特許第6362731号(P6362731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6362731
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ソフトルアー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/14 20060101AFI20180712BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A01K85/14
   A01K85/00 J
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-97760(P2017-97760)
(22)【出願日】2017年5月16日
【審査請求日】2018年3月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518068763
【氏名又は名称】株式会社釣り吉ホルモン
(74)【代理人】
【識別番号】100142550
【弁理士】
【氏名又は名称】重泉 達志
(72)【発明者】
【氏名】小野田 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】小野田 大輝
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−155392(JP,A)
【文献】 特開2008−289435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 − 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面及び裏面を有するソフトルアーであって、
所定厚さで形成された内面組織と、前記内面組織の組織表面に不規則に形成された複数の突起組織と、を含む動物の消化器からなり、
前記表面の少なくとも一部を、前記複数の突起組織が形成されている状態の前記内面組織の前記組織表面としたソフトルアー。
【請求項2】
前記動物の消化器は、前記内面組織の組織裏面側に壁本体組織を有し、
前記裏面の少なくとも一部を、前記壁本体組織の露出面とした請求項1に記載のソフトルアー。
【請求項3】
厚肉部と、前記厚肉部と連続的に形成され前記厚肉部より薄い薄肉部と、を備え、
前記厚肉部は、少なくとも前記壁本体組織及び前記内面組織を含んで構成され、
前記薄肉部は、少なくとも前記内面組織及び前記各突起組織を含んで構成され、
前記厚肉部及び前記薄肉部は、少なくとも前記内面組織が連続的に形成されている請求項2に記載のソフトルアー。
【請求項4】
前記各突起組織は、薄膜状に形成される請求項1から3のいずれか1項に記載のソフトルアー。
【請求項5】
前記動物の消化器は、牛の胃である請求項4に記載のソフトルアー。
【請求項6】
前記内面組織及び前記各突起組織は、皮膜が除去されている請求項5に記載のソフトルアー。
【請求項7】
請求項5または6に記載のソフトルアーの製造方法であって、
前記牛の胃の前記皮膜を湯むきによって除去し、前記牛の胃の柔軟性を向上させる柔軟性付与工程と、
前記柔軟性付与工程にて前記皮膜が除去された前記牛の胃を、所定の温度でボイル処理をして耐久性を向上させる耐久性付与工程と、を含むソフトルアーの製造方法。
【請求項8】
前記柔軟性付与工程の後、前記耐久性付与工程の前に、前記皮膜が除去された前記牛の胃に軟化剤を添加する軟化加工工程を含む請求項7に記載のソフトルアーの製造方法。
【請求項9】
前記耐久性付与工程の後、所定の型を用いて前記牛の胃の型抜きを行う型抜き工程と、
前記型抜き工程の後、前記薄肉部の部分の前記壁本体組織の少なくとも一部を除去する薄肉化工程と、を含む請求項7または8に記載のソフトルアーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトルアー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から釣りの手法として、動き、色、匂い、味等で、直接魚を誘うルアーフィッシングが知られている。ルアーフィッシングで使用されるルアーとして、金属のような比較的固い素材からなるハードルアーと、軟質樹脂のような比較的柔らかい素材からなるソフトルアーが存在する。
【0003】
ソフトルアーとして、所定の肉厚を備えた頭部と、頭部から伸ばしたシート状のフィン部とを、プラスチック、合成ゴム等の人工素材で一体成形したものが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、人工素材からなるため、泳動時のソフトルアーの動き、ソフトルアーにより生じる水流等はどうしても不自然となる。特許文献1に記載のソフトルアーでは、フィン部に、長さ方向に対して直角に多数のリブが形成されているものの、リブの形状及び配置が規則的であるため、ソフトルアーの動き、水流等の不自然さを解消するには至っていない。また、魚がソフトルアーを食べてしまった場合、魚の体内に人工素材が取り込まれてしまうため、環境に対する悪影響が懸念される。
【0004】
人工素材でなく、天然素材からなるソフトルアーとして、豚皮を原料としたものが知られている(特許文献2参照)。このソフトルアーでは、豚の原皮から脂肪分を除去して得た皮組織を粉砕して粒状もしくは粉末物とし、たんぱく質、リン酸塩、多糖質等から選ばれたゲル化用添加物と混練した後、加熱及び成形することによってシート状に加工される。このソフトルアーにおいては、頭部及びフィン部は、同じ厚さで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−155392号公報
【特許文献2】特開2008−289435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載のソフトルアーであっても、豚皮を原料としているものの、皮組織を粉砕して添加物と混練された人工組織であるため、泳動時のソフトルアーの動き、ソフトルアーにより生じる水流等は、依然として不自然である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、泳動時の動きをより自然なものに近づけることができるソフトルアー及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、表面及び裏面を有するソフトルアーであって、所定厚さで形成された内面組織と、前記内面組織の組織表面に不規則に形成された複数の突起組織と、を含む動物の消化器からなり、前記表面の少なくとも一部を、前記複数の突起組織が形成されている状態の前記内面組織の前記組織表面としたソフトルアーが提供される。
【0009】
このソフトルアーによれば、動物の消化器における内面組織及び各突起組織の天然組織をそのまま利用しているため、人工組織のものと比べて、泳動時のソフトルアーの動き、ソフトルアーにより生じる水流等は自然なものとなる。特に、各突起組織は互いに異なる形状を呈するとともに不規則に配列されているため、各突起組織に起因して生じる泳動時のソフトルアーの動き及び水流をより自然なものに近づけることができる。
【0010】
上記ソフトルアーにおいて、前記動物の消化器は、前記内面組織の組織裏面側に壁本体組織を有し、前記裏面の少なくとも一部を、前記壁本体組織の露出面としてもよい。
【0011】
このソフトルアーによれば、裏面の少なくとも一部を壁本体組織の露出面とすることにより、当該箇所の厚さを、内面組織の厚さに壁本体組織の厚さを加えた厚さとすることができる。
【0012】
上記ソフトルアーにおいて、厚肉部と、前記厚肉部と連続的に形成され前記厚肉部より薄い薄肉部と、を備え、前記厚肉部は、少なくとも前記壁本体組織及び前記内面組織を含んで構成され、前記薄肉部は、少なくとも前記内面組織及び前記各突起組織を含んで構成され、前記厚肉部及び前記薄肉部は、少なくとも前記内面組織が連続的に形成されていてもよい。
【0013】
このソフトルアーによれば、厚肉部を壁本体組織及び内面組織を含んで構成し、薄肉部を内面組織及び各突起組織を含んで構成するとともに、厚肉部及び薄肉部を内面組織で連続的に形成することにより、組織を損なうことなく、消化器の構成を利用して、厚肉部と薄肉部を一体に形成することができる。
【0014】
上記ソフトルアーにおいて、前記各突起組織は、薄膜状に形成されることが好ましい。
【0015】
このソフトルアーによれば、各突起組織が薄膜状に形成されていることから、薄肉部及び各突起組織は互いに独立して動くことができ、各突起組織が不規則に形成されていることと相俟って、泳動時のソフトルアーの動き及び水流がより複雑となり、より自然に近いものとなる。
【0016】
上記ソフトルアーにおいて、前記動物の消化器は、牛の胃であることが好ましい。
【0017】
このソフトルアーによれば、一般的に食用に供されない牛の胃の内面側を利用して作製することができる。従って、食肉工場等で廃棄される部位を利用することができ、牛の胃を無駄なく利用することができる。
【0018】
上記ソフトルアーにおいて、前記内面組織及び前記各突起組織は、皮膜が除去されていることが好ましい。
【0019】
このソフトルアーによれば、比較的硬質な皮膜が除去されていることから柔軟性が向上し、泳動時におけるより滑らかな動きが実現される。また、黒色を呈する皮膜が除去されることで、白色の内面組織及び各突起組織を露出させることができ、必要に応じて任意の色に着色をすることができる。
【0020】
また、本発明では、上記ソフトルアーの製造方法であって、前記牛の胃の前記皮膜を湯むきによって除去し、前記牛の胃の柔軟性を向上させる柔軟性付与工程と、前記柔軟性付与工程にて前記皮膜が除去された前記牛の胃を、所定の温度でボイル処理をして耐久性を向上させる耐久性付与工程と、を含むソフトルアーの製造方法が提供される。
【0021】
このソフトルアーの製造方法によれば、牛の胃の皮膜は湯むきにより除去される。この後、柔軟性が付与された牛の胃は、ボイル処理をされることにより若干収縮し、耐久性が付与される。これにより、ソフトルアーに柔軟性と耐久性の両方を付与することができる。
【0022】
上記ソフトルアーの製造方法において、前記柔軟性付与工程の後、前記耐久性付与工程の前に、前記皮膜が除去された前記牛の胃に軟化剤を添加する軟化加工工程を含むことが好ましい。
【0023】
このソフトルアーの製造方法によれば、ソフトルアーに軟化剤が添加されるので、よりソフトで自然な動きが実現される。
【0024】
上記ソフトルアーの製造方法において、前記耐久性付与工程の後、所定の型を用いて前記牛の胃の型抜きを行う型抜き工程と、前記型抜き工程の後、前記薄肉部の部分の前記壁本体組織の少なくとも一部を除去する薄肉化工程と、を含むことが好ましい。
【0025】
このソフトルアーの製造方法によれば、型抜き工程において厚肉部と薄肉部の形状が成型され、薄肉化工程において壁本体組織の少なくとも一部を除去して薄肉部の厚さが調整される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、泳動時の動きをより自然なものに近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態を示すソフトルアーの平面図である。
図2】ソフトルアーの側面図である。
図3】ソフトルアーの底面図である。
図4】ソフトルアーの製造工程を示すチャートである。
図5】使用状態を示すソフトルアーの説明図である。
図6】使用状態を示すソフトルアーの説明図である。
図7】変形例を示すソフトルアーの平面図である。
図8】変形例を示すソフトルアーの側面図である。
図9】変形例を示すソフトルアーの底面図である。
図10】変形例を示すソフトルアーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から図6は本発明の一実施形態を示し、図1はソフトルアーの平面図、図2はソフトルアーの側面図、図3はソフトルアーの底面図、図4はソフトルアーの製造工程を示すチャート、図5及び図6は使用状態を示すソフトルアーの説明図である。
【0029】
図1に示すように、このソフトルアー100は、表面及び裏面を有するシート状に形成され、釣り針200を引っ掛けるための厚肉部110と、厚肉部110と連続的に形成され厚肉部110より薄い薄肉部120と、を備えている。図2に示すように、ソフトルアー100の表面130には、互いに異なる形状の複数の突起組織140が設けられている。各突起組織140は、薄膜状に形成され、幅寸法及び長さ寸法に分布があるものの、長さ寸法についてはおおむね厚肉部110の厚さ寸法よりも大きくなっている。また、ソフトルアー100の表面130上における単位面積あたりの各突起組織140の個数にも分布がある。本実施形態においては、図1に示すように、各突起組織140を表面130に沿って同じ方向へ寝かせた状態とすると、平面視にて表面130が隠れた状態となる。尚、必ずしも表面130の全部分が各突起組織140により覆われる必要はない。
【0030】
このソフトルアー100は、壁本体組織150と、壁本体組織150の内面側に所定の厚さで形成された内面組織160と、内面組織160の組織表面に不規則に形成された複数の突起組織140と、を含む、動物の消化器からなる。従って、各突起組織140は、一般的な皮膚組織の毛とは異なり、吸収のために内部に血管等が配置されている。動物の消化器は食肉用家畜の消化器が好ましく、本実施形態においては牛の第1胃である。牛の第1胃では、内面組織160の厚さは例えば1mm以上5mm以下であり、壁本体組織150の厚さは例えば5mm以上15mm以下である。従って、各突起組織140を除いたソフトルアー100の厚さは、1mm以上20mm以下の範囲で適宜調整される。尚、未加工の状態では各突起組織140の組織表面には皮膜が形成されているが、本実施形態においては各突起組織140の皮膜は除去されている。図2に示すように、厚肉部110は壁本体組織150、内面組織160及び突起組織140からなり、薄肉部120は内面組織160及び突起組織140からなる。厚肉部110及び薄肉部120は、内面組織160及び突起組織140が連続的に形成されている。
【0031】
図3に示すように、ソフトルアー100は所定方向に延びて形成され、長手方向一端側に厚肉部110が配置される。すなわち、ソフトルアー100の裏面における厚肉部110の部分は、壁本体組織150の露出面となっている。このように、裏面の少なくとも一部を壁本体組織150の露出面とすることにより、当該箇所の厚さを、内面組織160の厚さに壁本体組織150の厚さを加えた厚さとすることができる。そして、厚肉部110の長手方向他端から薄肉部120が長手方向他方へ向かって延びている。厚肉部110の一端側は、平面視にて半円部をなし、厚肉部110の他端側は、平面視にて長手方向他方へ向かって幅寸法が小さくなる台形部をなしている。
【0032】
薄肉部120は、厚肉部110の台形部112の短辺部分から長手方向他方へ延びる。図3に示すように、本実施形態においては、薄肉部120は、幅方向中央に長手方向へ延びる切り込み部121を有し、切り込み部121により分割された2つの薄肉片122が互いに独立して泳動可能となっている。また、各薄肉片122は、幅方向外端が外側へ向かって凸となるよう形成される。
【0033】
以上のように構成されたソフトルアー100の製造方法について図4を参照して説明する。
図4に示すように、まず、未加工の牛の胃を準備する(材料準備工程:S1)。この牛の胃は、壁本体組織150の内面側と、内面組織160及び突起組織140を含んでいればよい。尚、この牛の胃は未加工であるので、内面組織160及び突起組織140の組織表面には黒色かつ硬質の皮膜が形成されている。ここで、食用として供されるのは壁本体組織150であり、食肉工場等で壁本体組織150の食用部分を除去された内面側の部位を利用すれば、ソフトルアー100に必要な部分を準備することができる。
【0034】
次に、牛の胃の皮膜を湯むきによって除去し、牛の胃の柔軟性を向上させる(柔軟性付与工程:S2)。このとき、黒色を呈する皮膜が除去されることで、白色の内面組織及び各突起組織が露出し、任意の色に着色可能な状態となる。この後、皮膜が除去された牛の胃に軟化剤を添加する(軟化加工工程:S3)。ここで、軟化剤は任意であるが、例えばpH調整剤、食塩等を用いることができる。pH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、DL−リンゴ酸ナトリウム等を挙げることができる。尚、この軟化加工工程は、適宜省略することができる。
【0035】
軟化剤を添加した後、牛の胃に対して、所定の温度でボイル処理を施して耐久性を向上させる(耐久性付与工程:S4)。本実施形態においては、ボイル処理は、75℃以上85℃以下で行われる。このとき、柔軟性が付与されていた牛の胃は、若干収縮してボイル処理前と比べて硬くなる。本実施形態においては、ボイル処理前に軟化剤が添加されているので、ボイル処理後であっても牛の胃は十分に柔らかい。
【0036】
この後、所定の型を用いて牛の胃の型抜きを行う(型抜き工程:S5)。これにより、ソフトルアー100は、平面視の形状が成型された状態となる。そして、薄肉部120の部分の壁本体組織150を除去する(薄肉化工程:S6)。これにより、ソフトルアー100が完成する。本実施形態においては、薄肉部120の壁本体組織150は全て除去されるが、所定厚さだけ壁本体組織150を残存させてもよい。また、薄肉化工程を行うタイミングは任意に変更することができ、型抜き工程の直前に行うこともできるし、材料準備工程の直後に行うこともできる。この後、ソフトルアー100は、食用色素等を用いて、必要に応じて任意の色に着色される。完成したソフトルアー100は、所定の保存液に浸された状態で瓶詰め等された状態で出荷される。
【0037】
このソフトルアー100によれば、図5に示すように、厚肉部110に釣り針200が引っ掛けられて使用され、泳動時に厚肉部に追従して薄肉部120がひらひらと動く。尚、図5にはソフトルアー100が単独で使用される状態を示しているが、図6に示すように他のルアー300と組み合わせての使用も可能である。ここで、ソフトルアー100は、動物の消化器における内面組織160及び各突起組織140の天然組織をそのまま利用しているため、人工組織のものと比べて、泳動時のソフトルアー100の動き、ソフトルアー100により生じる水流等は自然なものとなる。特に、各突起組織140は互いに異なる形状を呈するとともに不規則に配列されているため、各突起組織140に起因して生じる泳動時のソフトルアー100の動き及び水流をより自然なものに近づけることができる。
【0038】
また、このソフトルアー100によれば、各突起組織140が薄膜状に形成されていることから、薄肉部120及び各突起組織140は互いに独立して動くことができ、各突起組織140が不規則に形成されていることと相俟って、泳動時のソフトルアー100の動き及び水流がより複雑となり、より自然に近いものとなる。さらに、このソフトルアー100によれば、比較的硬質な皮膜が除去されていることから柔軟性が向上し、泳動時におけるより滑らかな動きが実現される。さらにまた、このソフトルアー100によれば、ボイル処理により耐久性が付与されており、柔軟性を有しながらも耐用年数、耐用回数等の向上が図られている。尚、このソフトルアー100によれば、軟化剤が添加されているので、よりソフトで自然な動きが実現される。
【0039】
また、このソフトルアー100は動物の消化器からなるので、魚に食べられても、魚の体内に取り込まれるのは天然素材であり、環境に対する悪影響を抑制することができる。特にこのソフトルアー100は牛の第1胃からなり、一般的に食用に供されない牛の胃の内壁表面側を利用して作製することができる。従って、食肉工場等で廃棄される部位を利用することができ、牛の胃を無駄なく利用することができる。
【0040】
さらに、厚肉部110を壁本体組織150及び内面組織160を含んで構成し、薄肉部120を内面組織160及び各突起組織140を含んで構成するとともに、厚肉部110及び薄肉部120を内面組織160で連続的に形成することにより、組織を損なうことなく、消化器の構成を利用して、厚肉部110と薄肉部120を一体に形成することができる。
【0041】
尚、前記実施形態においては、ソフトルアー100を牛の第1胃から構成したものを示したが、壁本体組織150、内面組織160及び各突起組織140を含んでいれば、牛の第2胃、第3胃等から構成してもよいし、牛以外の動物の胃、腸等から構成してもよい。
【0042】
また、前記実施形態においては、各突起組織140が表面130に全面的に形成されているソフトルアー100を示したが、各突起組織140はソフトルアー100の表面の少なくとも一部に形成されていればよく、少なくとも薄肉部120に形成されていることが好ましい。
【0043】
また、前記実施形態においては、薄肉部120が2つの薄肉片122に分割されたものを示したが、薄肉部120が分割されない構成としてもよいし、例えば薄肉部120を短冊状とするなど、薄肉部120が3つ以上に分割される構成とすることもできる。
【0044】
また、前記実施形態においては、厚肉部110及び薄肉部120を有し、厚さを意図的に変化させるものを示したが、例えば図7から図9に示すように厚さがほぼ一定のソフトルアー200とすることもできる。図8に示すように、このソフトルアー200は、全体にわたって、壁本体組織150、内面組織160及び突起組織140から構成される。図7に示すように、このソフトルアー200は、平面視にて、一端側から他端側へ向かって窄む直線状に形成される。図9に示すように、このソフトルアー200は、分割等されていない。
さらに、例えば図10に示すように、壁本体組織150を有さず、内面組織160及び突起組織140のみから構成されるソフトルアー300とすることもできる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を示したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0046】
100 ソフトルアー
110 厚肉部
120 薄肉部
130 表面
140 突起組織
150 壁本体組織
160 内面組織
200 ソフトルアー
300 ソフトルアー
S2 柔軟性付与工程
S3 軟化加工工程
S4 耐久性付与工程
S5 型抜き工程
S6 薄肉化工程
【要約】
【課題】泳動時の動きをより自然なものに近づけることができるソフトルアー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】表面130及び裏面を有するソフトルアー100であって、所定厚さで形成された内面組織160と、内面組織160の組織表面に不規則に形成された複数の突起組織140と、を含む動物の消化器からなり、表面130の少なくとも一部を、複数の突起組織140が形成されている状態の内面組織160の組織表面とした。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10