【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、この目的は、クランピンググリッパにもたらされ、能動位置では、力をグリッパアームに及ぼしそれを互いに押し離し、受動位置では、力をグリッパアームに及ぼさない、制御可能なエキスパンションデバイスによって達成され、また、液体体積を収容する液体コンテナが移送される予定のときに、この「能動」グリッパシステムが排他的に使用されることによって達成される。
【0014】
これには、液体を収容する液体コンテナが受けられるおよび/または解放されるとき、グリッパのクランプ保持力が短時間減少されるようにエキスパンションデバイスが作動されるという利点がある。これは、グリッパと液体コンテナとの間にクランプ保持連結がもたらされる間のスナップ運動、したがって液体のはねを防ぐ。空の液体コンテナの輸送の間は、液体がはねる危険が全くないので、エキスパンションデバイスの能動的な作動を省略することができ、したがって、グリッパシステムの機械部品の摩耗を減少させることができる。
【0015】
したがって、本発明は、自動分析装置であって、それぞれ液体コンテナのための複数の受け入れ位置を含む第1および第2の受け入れデバイスと、自動的に動くことができる移送アームに固定され、第1の受け入れデバイスの受け入れ位置から第2の受け入れデバイスの受け入れ位置へと液体コンテナを移送するためのデバイスとを含む自動分析装置に関する。液体コンテナを移送するためのデバイスは、2つのグリッパアームを含む受動クランプ保持グリッパを含み、2つのグリッパアームの間に、グリッパの水平方向運動によって液体コンテナがクランプ保持される。クランプ保持グリッパは、制御可能エキスパンションデバイスを含む。制御可能エキスパンションデバイスは、能動位置では、力をグリッパアームに及ぼし、それによって、グリッパアームが押されて互いに離され、受動位置では、力をグリッパアームに及ぼさない。
【0016】
2本のアームのあるグリッパは、一体片に設計され、弾性変形可能であり、実質的に、プラスチックまたは金属で作られる。好ましくは、エキスパンションデバイスが受動位置にありグリッパが十分な力で液体コンテナに押し付けられている限り、グリッパは、張力がかかった状態にあり、したがってスナップ効果があり、グリッパは、開き、液体コンテナの周りに係合し、それを固定する。その逆に、グリッパが固定された液体コンテナから十分な力で遠ざけられるときだけ、グリッパが再び開き、液体コンテナが解放される。
【0017】
エキスパンションデバイスは、制御可能に設計される。エキスパンションデバイスは、一方では、力をグリッパアームに及ぼす、能動位置をとり、それによってグリッパアームは押されて互いに離され、張力が減少された状態になる。エキスパンションデバイスは、他方では、力をグリッパアームに及ぼさない受動位置をとることができる。
【0018】
一実施形態では、エキスパンションデバイスは、グリッパの2つのグリッパアームの間に垂直方向に突き出る駆動軸を含む。駆動軸の端部には、ピン形エキスパンションヘッドが設けられる。ピン形エキスパンションヘッドは、エキスパンションデバイスが能動位置にあるとき、2つのグリッパアームに対して横方向に配置され、したがってグリッパアームに押圧力を及ぼし、それによってグリッパアームは押されて互いに離され、エキスパンションデバイスが受動位置にあるとき、2つのグリッパアームに対して長手方向に配置され、したがってグリッパアームに力を及ぼさない。
【0019】
グリッパアームの間には、好ましくは、開口部または間隙があり、その範囲は、輸送予定の液体コンテナのサイズに適用される。ピン形エキスパンションヘッドの長さは、好ましくは、エキスパンションデバイスが能動位置において2つのグリッパアームに対して横方向に配置されるとき、エキスパンションヘッドの両端がグリッパアームの内面に接触し、グリッパアームに押圧力を及ぼすように選択される。ピン形エキスパンションヘッドの幅は、好ましくは、エキスパンションデバイスが受動位置において2つのグリッパアームに対して長手方向に配置されるとき、エキスパンションヘッドとグリッパアームの内面との接触がなく、したがってグリッパアームに力を及ぼさないように選択される。
【0020】
エキスパンションヘッドは、好ましくは、例えば連結ねじである、連結要素を介して駆動軸の端部に連結される。あるいは、駆動軸の端部を、整合する内側ねじ山を含むエキスパンションヘッドが上にねじ留めされるねじ山として設計することができる。
【0021】
最も簡単な場合、エキスパンションヘッドは、金属またはプラスチックで作られるピンからなってよい。
【0022】
好ましい一実施形態では、エキスパンションヘッドは、両端に、垂直軸周りに回転可能に取り付けられるローラまたはボールを有する。これには、駆動軸の回転によってエキスパンションヘッドが受動位置から能動位置にされグリッパアームが押し離されるときに増加する摩擦力を減少させるという利点がある。これは、一方で、駆動軸を動かすのに必要な力を減少させる。これは、他方では、グリッパアーム、エキスパンションヘッドおよび駆動軸の駆動における摩耗を減少させる。ローラまたはボールは、硬質ゴム、プラスチックまたは金属で作ることができる。
【0023】
駆動軸は、好ましくは、制御装置から発せられる命令を機械的運動、具体的には駆動軸のその長手方向軸周りの回転に変換するアクチュエータの一部である。アクチュエータは、例えば、電気または空気圧により駆動される。
【0024】
他の実施形態では、エキスパンションデバイスは、グリッパの2つのグリッパアームの間に垂直方向に挿入可能なロッドを含む。ロッドの端部には、円錐形エキスパンションヘッドが設けられる。円錐形エキスパンションヘッドは、エキスパンションデバイスの能動位置では、グリッパアームの内面に押圧力を及ぼすほどの深さまでグリッパアームの間に挿入され、それによってグリッパアームは押されて互いに離され、エキスパンションデバイスの受動位置では、2つのグリッパアームに接触せず、したがって、力をグリッパアームに及ぼさない。
【0025】
用語「円錐形」は、具体的には、エキスパンションヘッドの円錐および円錐台の幾何形状を含む。
【0026】
ロッドの端部は、整合する内側ねじ山を含む円錐形エキスパンションヘッドが上にねじ留めされるねじ山として設定される。
【0027】
最も簡単な場合では、円錐形エキスパンションヘッドは、金属、プラスチックまたは硬質ゴムで作ることができる。エキスパンションヘッドをグリッパアームの間に導入するときの摩擦および加える力を減少させるように、表面を、摺動を助ける材料、例えばテフロン(登録商標)でコーティングすることが好ましい。別法として、またはそれに加えて、どちらの場合でも水平方向軸周りに回転可能に取り付けられる1つまたはそれ以上のローラまたはボールを、エキスパンションヘッドのテーパ状フランクにもたらすことができる。これには、ロッドの垂直方向運動によってエキスパンションヘッドが受動位置から能動位置にされ、それによってグリッパアームが互いに押し離されるときに増加する摩擦力を減少させるという利点がある。これは、一方において、ロッドを動かすのに必要な力を減少させる。これは、他方において、グリッパアーム、エキスパンションヘッドおよびロッドの駆動における摩耗を減少させる。ローラまたはボールは、硬質ゴム、プラスチックまたは金属で作ることができる。
【0028】
ロッドは、好ましくは、制御装置から発せられる命令を機械的運動、具体的にはロッドの長手方向軸に沿った直線的な上下運動に変換するアクチュエータの一部である。アクチュエータは、例えば、電気または空気圧により駆動される。
【0029】
エキスパンションデバイスが、グリッパの2つのグリッパアームの間に垂直方向に突き出る駆動軸を含み、駆動軸の端部には、ピン形エキスパンションヘッドが設けられる場合、エキスパンションデバイスは、駆動軸の約90度の回転によって能動位置から受動位置にされ、逆もまた同様である。能動位置から受動位置への変更、およびその逆の場合も、回転は、一方向に90度ずつ段階的に行われるか、一方向に90度、さらに反対方向に90度で行われるかのどちらかであってよい。
【0030】
エキスパンションデバイスが、グリッパの2つのグリッパアームの間に垂直方向に挿入されるロッドを含み、ロッドの端部には、円錐形エキスパンションヘッドが設けられる場合、エキスパンションデバイスは、ロッドの垂直方向の下降によって受動位置から能動位置にされる。エキスパンションデバイスを能動位置から受動位置に変えるには、ロッドを垂直方向に上昇させる。
【0031】
好ましい自動分析装置において、移送デバイスのクランプ保持グリッパは、可撓性連結要素を介して水平方向および垂直方向に動くことができる移送アームに連結される。さらに、エキスパンションデバイスは、好ましくは、同じ移送アームに固定される。
【0032】
「液体コンテナの受け入れ位置」は、液体コンテナの配置のためにもたらされる場所を示す。これは、しばしば、液体コンテナを安全に直立して収納することを可能にする構造的に適用された受け入れ位置であり、例えば、具体的に構成された液体コンテナが形状嵌め係合によりそこに挿入されるスリーブである。自動分析装置において、受け入れ位置は、第一に、一次サンプル容器、反応容器(通常は透明な管状キュベットの形態)および試薬液コンテナについてもたらされる。受け入れ位置は、例えば、回転可能キュベットもしくは試薬プレートなどの可動受け入れデバイス、または静止収容コンテナ内である、定められた位置に配置される。
【0033】
液体コンテナは、例えば、分析予定の液体を収容する血液採取管などの一次サンプル容器、または、内部で一次サンプルが1つまたはそれ以上の試薬と混合され、後で測定ステーションで測定される反応混合物が形成される、例えば透明な管状キュベットである反応容器、または、1つまたはそれ以上の分析物の検出のための1つまたはそれ以上の物質を含む液体を収容する試薬液コンテナであってよい。試薬液コンテナは、さらに、複数チャンバ形態のものであってよく、多くの異なる試薬液を収容することができる。
【0034】
本発明による自動分析装置は、制御デバイスをさらに含む。制御デバイスは:
・移送予定の液体コンテナが、ある体積の液体を含んでいるかそれとも空であるかを確認し;
a)移送予定の液体コンテナが空であることが確立された場合、移送は、以下のように、すなわち:
i)第1の受け入れデバイス(5)の受け入れ位置(4)においてクランプ保持グリッパ(11)と液体コンテナとの間にクランプ保持連結をもたらすために、移送デバイスを水平方向に動かし;
ii)液体コンテナを受け入れ位置(4)から取り出すために移送デバイスを上昇させ;
iii)移送デバイスを第2の受け入れデバイス(15)の受け入れ位置(14)へと水平方向に動かし;
iv)液体コンテナを第2の受け入れデバイス(15)の受け入れ位置(14)に配置するために、移送デバイスを下降させ;
v)クランプ保持連結を解放するために、移送デバイスを水平方向に動かして;
行われ;
ここで、エキスパンションデバイスは、工程a)i)からa)v)までの間、受動位置に排他的に配置され;
b)移送予定の液体コンテナがある量の液体を収容していることが確立された場合、移送は、以下のように、すなわち:
i)第1の受け入れデバイス(5)の受け入れ位置(4)においてクランプ保持グリッパ(11)と液体コンテナとの間にクランプ保持連結をもたらすために、移送デバイスを水平方向に動かし、ここで、エキスパンションデバイス(50、60)は、クランプ保持連結がクランプ保持グリッパ(11)と液体コンテナとの間にもたらされる前に能動位置にされ、それによって前記エキスパンションデバイスは、力をグリッパアーム(52、62)に及ぼし、それによってグリッパアーム(52、62)は互いに離され;
ii)液体コンテナを受け入れ位置(4)から取り出すために、移送デバイスを上昇させ、ここで、エキスパンションデバイス(50、60)は、移送デバイスが上昇される前に受動位置にされ、それによって前記エキスパンションデバイスは、力をグリッパアーム(52、62)に及ぼさなくなり;
iii)移送デバイスを、第2の受け入れデバイス(15)の受け入れ位置(14)へと水平方向に動かし;
iv)液体コンテナを第2の受け入れデバイス(15)の受け入れ位置(14)に配置するために移送デバイスを下降させ;
v)クランプ保持連結を解放するために移送デバイスを水平方向に動かし、ここで、エキスパンションデバイス(50、60)は、クランプ保持連結を解放するために移送デバイスが水平方向に動かされる前に能動位置にされ、それによって前記エキスパンションデバイスは、力をグリッパアーム(52、62)に及ぼし、それによってグリッパアーム(52、62)は押されて互いに離される;
ことで行われる、工程を含む、液体コンテナを移送する方法を制御するように構成される。
【0035】
移送予定の液体コンテナがある体積の液体を収容しているかそれとも空であるかなどの確認は、様々なやり方で行うことができる。例えば、カメラを移送デバイスにもたらし、移送予定の液体コンテナが液体を収容しているかどうかを監視することができる。所与の液体コンテナの充填状態が記憶されているデータメモリから情報を取り出す制御デバイスによって確認を行うこともできる。
【0036】
記載の発明およびその実施形態の利点は、具体的には、グリッパシステム自体の複雑な修正の必要なくして、すでに知られている受動グリッパシステムをエキスパンションデバイスの配置によって最適化することができることである。エキスパンションデバイスは、液体コンテナの受け入れおよび/または配置(setting down)を向上させるために作動されるが、必ずしも取り替えなくてよく、要求に応じて、および必要なときに使用可能である。例えば、空のコンテナを移送する間、液体がはねる危険がないときは、エキスパンションデバイスの能動的使用を省略することができる。
【0037】
以下において、図面を参照して本発明について説明する。詳細には: