(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
建具本体に形成した開口部に配置した被固定部を、前記建具本体における前記開口部の周縁に設けた固定枠と、前記建具本体又は前記固定枠に取り外し可能に固定される押縁とにより、挟持するように構成された防火建具であって、
温度上昇によって前記押縁が変形することにより前記被固定部が前記開口部から脱落することを防止する防火手段を備え、
前記防火手段を、前記押縁を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって形成し、
前記防火手段によって前記被固定部における前記押縁側の見付面の端部が覆われるように、当該防火手段を、前記押縁を前記建具本体又は前記固定枠に固定するための固定手段を介して、前記押縁側の見付面に取り外し可能に固定した、
防火建具。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る各実施の形態を詳細に説明する。最初に、各実施の形態に共通の基本的概念について説明し、次に、各実施の形態の具体的内容について順次説明し、最後に、各実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔各実施の形態に共通の基本的概念〕
最初に、各実施の形態に共通の基本的概念について説明する。各実施の形態は、防火建具に関するものである。ここで、「建具」とは、建物の開口部に設けられる仕切りであり、扉体や窓パネルの如き可動体を備えている「開閉ドア」や「開閉窓」等と、扉体や窓パネルの如き可動体を備えていない「嵌め殺し窓」等を含む。「建具」の取り付け位置や用途は任意であり、例えば、建具が「ドア」である場合には、玄関に設置される「玄関ドア」、勝手口や通用口に設置される「勝手口ドア」、あるいは建物内部に設置されるための「室内ドア」を含み、建具が「窓」である場合には、外壁に設置される「外窓」、あるいは室内に設置される「室内窓」を含む。
【0020】
特に、各実施の形態の「建具」は「防火建具」として構成されている。この「防火建具」は、当該防火建具が販売や使用等される国の法令で規定されている防火基準を充足する防火性能を備えた建具であり、例えば、建具が「ドア」である場合には、「防火断熱玄関ドア」や「防火扉」が該当し、建具が「窓」である場合には、「防火窓」が該当する。
【0021】
この防火建具の建具本体には被固定部が固定されている。ここで、「建具本体」とは、防火建具の主要構成要素であり、例えば、建具が「ドア」である場合には、「扉体」であり、建具が「窓」である場合には、「窓パネル」である。また、「被固定部」とは、建具の意匠性や採光性を向上させる等の任意の目的で建具本体に固定されるものであり、代表的には、「単層ガラス」、「複層ガラス」、「透明樹脂パネル」、又は「半透明樹脂パネル」等の透光部であるが、非透光部であってもよい。
【0022】
以下、各実施の形態では、「防火建具」が「防火断熱玄関ドア」であり、「建具本体」が「扉体」であり、「被固定部」が「複層ガラス」である場合について例示する。
【0023】
〔実施の形態1〕
次に、実施の形態1の具体的内容について説明する。この形態は、押縁側に防火手段を設けた形態である。
【0024】
図1は、実施の形態1に係る防火断熱玄関ドアの正面図、
図2は、
図1の防火断熱玄関ドアの背面図、
図3は、
図1の防火断熱玄関ドアのA−A矢視断面図、
図4は、
図1の防火断熱玄関ドアのB−B矢視断面図である。以下では、
図1〜4に示す各方向のうち、X方向を右方向、X’方向を左方向、Y方向を前方向(又は屋外側方向若しくは開放方向)、Y’方向を後方向(又は、屋内側方向若しくは閉鎖方向)、Z方向を上方向、Z’方向を下方向、と称する。また、
図3のようにY−Z平面に平行な断面を「縦断面」、
図4のようにX−Y平面に平行な断面を「横断面」と称する。
【0025】
これら
図1、2に示すように、防火断熱玄関ドア1は、枠体10、扉体20、及び外装パネル30を備えて構成されている。ただし、防火断熱玄関ドア1は、以下に特記する事項を除いて、公知の防火断熱玄関ドアと同様に構成することができるものとする。
【0026】
(枠体)
枠体10は、建物の開口部2に設けられるものであり、左右一対の縦枠11、12、上枠13、及び下枠14を備えている。これら左右一対の縦枠11、12、上枠13、及び下枠14は、それぞれ開口部の周縁における建物の躯体3に公知の方法で直接的に固定され、相互に組み合わせられて、全体として正面角環状の枠を構成する。以下では、必要に応じて、一対の縦枠11、12のうち、扉体20の戸先側(扉体20の左右のうち、後述する蝶番25から遠い側であり、本実施の形態においては左側)の縦枠11を「戸先側縦枠」11と称し、扉体20の戸尻側(扉体20の左右のうち、蝶番25に近い側であり、本実施の形態においては右側)の縦枠12を「戸尻側縦枠」12と称する。このうち、戸先側縦枠11には、扉体20を全閉位置(本実施の形態においては
図1〜4に示す位置)に位置させた状態において、デッドボルト受けとラッチ受け(いずれも図示省略)が設けられている。
【0027】
また、この枠体10は、防火断熱玄関ドア1に断熱性を持たせるための断熱構造で構成されている。具体的には、
図3、4に示すように、戸先側縦枠11は外側縦枠11aと内側縦枠11b、戸尻側縦枠12は外側縦枠12aと内側縦枠12b、上枠13は外側上枠13aと内側上枠13bに、それぞれ分割構成されており、これら外側縦枠11aと内側縦枠11bとの相互間に断熱形材11c、外側縦枠12aと内側縦枠12bとの相互間に断熱形材12c、外側上枠13aと内側上枠13bとの相互間に断熱形材13c、をそれぞれ介在させることで、室外側と室内側の相互間における熱伝導を低減している。
【0028】
このような枠体10を構成する各部材は、任意の方法や材質で製造することができ、例えば、アルミニウム合金を押出成形することにより製造することができる。
【0029】
(扉体)
扉体20は、建物の開口部2を開閉するための平板状の開閉体である。この扉体20は、任意の方法や材質で製造することができるが、本実施の形態においては、複数のスチール製の枠材から正面方形環状に枠組みされた扉枠21を、その屋外側及び屋内側に配置した一対の化粧鋼板22、23で外側から覆い、これら一対の化粧鋼板22、23の相互間に断熱材24を収容して構成されている。このように構成された扉体20は、
図1、2に示すように、当該扉体20の戸尻側の側面において、上下方向における3箇所に配置された蝶番25を介して、戸尻側縦枠12に回動自在に軸支されている。また、扉体20の戸先側の近傍位置には、把手26、ラッチ(図示省略)、及びシリンダ錠27が設けられている。把手26は、扉体20の前面と後面における相互に対応する位置に設けられており、この把手26を介してユーザが扉体20の開閉操作を行うことが可能となっている。ラッチは、扉体20の内部に設けられた連動機構(図示省略)を介して把手26と連結されており、ユーザによる把手26の操作に連動して、ラッチを扉体20の戸先側の側面から出し入れすることができ、扉体20を全閉位置に位置させた状態において、このラッチを戸先側縦枠11のラッチ受けに係脱自在に係止させることで、施錠の有無に関わらず、扉体20を全閉位置に維持することが可能になっている。また、シリンダ錠27は、扉体20の把手26の近傍位置に設けられており、ユーザが扉体20の前方から鍵操作を行うことにより、あるいはユーザが扉体20の後方からサムターン27aの操作を行うことにより、デッドボルト(図示省略)を扉体20の戸先側の側面から出し入れすることができ、扉体20を全閉位置に位置させた状態において、このデッドボルトを戸先側縦枠11のデッドボルト受けに係止させることで、扉体20を施錠することができる。
【0030】
(扉体−扉窓)
この扉体20には、防火断熱玄関ドア1の意匠性や採光性を高める等の目的から、扉窓40が設けられている。以下、この扉窓40の構成について説明する。
図5は、
図3のC部分の拡大図、
図6は、
図4のD部分の拡大図である。
図1〜6に示すように、扉窓40は、概略的には、扉体20に形成した開口部28に複層ガラス29を固定することによって構成されている。具体的には、扉体20の左右及び上下の中央位置に、正面形状が縦長長方形状の開口部28が形成されており、この開口部28の四周の各辺には、枠材としての扉窓枠43が配置されている。また、この開口部28の周縁のうち、上縁には、
図5に示すように、固定枠60A、及び押縁70Aが設けられている。また、開口部28の周縁のうち、左側縁には、
図6に示すように、固定枠60B、及び押縁70Bが設けられている。なお、開口部28の周縁のうち、下縁の周辺構造は複層ガラス29を挟んで上縁の周辺構造と対称であり、右縁の周辺構造は複層ガラス29を挟んで左縁の周辺構造と対称であるため、これらの説明は省略する(後述する防火材80及び膨張材90、91についても同じ)。また、固定枠60Aと固定枠60Bを相互に区別する必要がない場合には「固定枠60」、押縁70Aと押縁70Bを相互に区別する必要がない場合には「押縁70」と、それぞれ総称する。
【0031】
(扉体−扉窓−固定枠)
固定枠60は、複層ガラス29を固定するための固定構造の一部であり、当該固定枠60が配置された開口部28の上縁又は左側縁の全長に対応した長さの長尺部材として形成されている。この固定枠60は、固定内枠61及び固定外枠62を一体形成して構成されている。
【0032】
固定内枠61は、複層ガラス29の見込面(複層ガラス29を屋外側又は屋内側から見た時に見えない面であり、X−Y平面又はY−Z平面に平行な面)に平行な向きで、扉窓枠43と複層ガラス29の相互間に配置されており、扉体20の外部に露出しないようになっている。
【0033】
一方、固定外枠62は、複層ガラス29の見付面(複層ガラス29を屋外側又は屋内側から見た時に見える面であり、X−Z平面に平行な面)に平行な向きで、化粧鋼板22よりも屋外側に配置されており、外装パネル30の相互間の隙間を介して、扉体20の外部に露出するようになっている。この固定外枠62における複層ガラス29側の端部近傍位置には、複層ガラス29に向けて突出する気密材固定部62aが一体に形成されており、この気密材固定部62aには樹脂製の気密材62bが嵌め込み固定されている。この気密材62bは、複層ガラス29の屋外側の見付面に当接することにより、複層ガラス29と固定外枠62との相互間の気密性を高めるためのものである。
【0034】
また、左側縁の固定枠60Bには、さらに外装パネル枠63が一体形成されている。この外装パネル枠63は、外装パネル30を固定するための枠材である。具体的には、外装パネル枠63は、固定外枠62から扉体20の戸尻側に至り、さらに屋外側に立ち上がるように形成されている。
【0035】
このように形成された固定枠60は、その長手方向の複数箇所において、固定ネジ41と固定ネジ42によって扉窓枠43に固定されている。この固定枠60の材質は任意であるが、軽量で加工性及び意匠性に優れた材質であることが好ましく、例えば、アルミニウム合金が採用される。
【0036】
(扉体−扉窓−押縁)
押縁70は、複層ガラス29を固定するための固定構造の一部であり、当該押縁70が配置された開口部28の上縁又は左側縁の全長に対応した長さの長尺部材として形成されている。この押縁70は、押縁本体71と蓋部材72を備えて構成されている。
【0037】
押縁本体71は、その長手方向に直交する断面が半楕円形状となるように形成されており、平坦状の側面が複層ガラス29に近接すると共に、円弧状の側面が屋内側に露出するような向きで、配置されている。この円弧状の側面には、スリット71aが形成されており、その長手方向の複数箇所において、このスリット71aを介して押縁本体71の内部に固定ネジ41を挿入させ、この固定ネジ41を、化粧鋼板23、扉窓枠43、及び固定内枠61に順次ネジ込むことにより、押縁本体71が扉体20に固定されている。この押縁本体71における複層ガラス29側の端部近傍位置には、複層ガラス29に向けて突出する気密材固定部71bが一体に形成されており、この気密材固定部71bには樹脂製の気密材71cが嵌め込み固定されている。この気密材71cは、複層ガラス29の屋内側の見付面に当接することにより、複層ガラス29と押縁本体71との相互間の気密性を高めるためのものである。
【0038】
一方、蓋部材72は、平板状に形成されており、複層ガラス29の見付面に対して平行な向きで、配置されている。この蓋部材72には、押縁本体71に向けて突出する係止爪72aが一体に形成されており、この係止爪72aを押縁本体71のスリット71aを介して当該押縁本体71の内部に挿入し、係止爪72aをスリット71aの周縁内側に係脱自在に係止させることにより、蓋部材72が押縁本体71に固定されている。このように蓋部材72を押縁本体71に固定することにより、固定ネジ41が扉体20の外部に露出しないようにすることができ、扉体20の意匠性を高めることができる。
【0039】
このように押縁70の気密材71cと上述した固定枠60の気密材62bとを介して、固定枠60と押縁70の相互間に複層ガラス29を挟持することにより、この複層ガラス29を扉体20の開口部28に固定している。なお、押縁70の材質は任意であるが、固定枠60の材質と同様に、軽量で加工性及び意匠性に優れた材質であることが好ましく、例えば、アルミニウム合金が採用される。
【0040】
(扉体−扉窓−複層ガラス)
複層ガラス29は、屋外側に配置された透明ガラス29aと、屋内側に配置された網入りガラス29bとを、断熱空間部29cを介して相互に平行に配置して構成されている。この複層ガラス29としては、公知の複層ガラスを採用することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
(外装パネル)
外装パネル30は、防火断熱玄関ドア1の意匠性や耐火性を高める等の目的から設けられたもので、
図1、3、5に示すように、扉体20の屋外側に複数並設されている。これら複数の外装パネル30の各々は、中空角筒状に形成された化粧鋼板31の内部に断熱材32を収容して構成されており、その左右方向の各端部において、固定枠60の外装パネル枠63に対して固定ネジ(図示省略)等にて固定されている。これら複数の外装パネル30は、相互に一定間隔を隔てて配置されており、これら複数の外装パネル30の相互間の隙間を介して、扉体20が屋外側に露出する。
【0042】
(防火材)
このように構成された防火断熱玄関ドア1には、
図5、6に示すように、防火材80が設けられている。この防火材80は、温度上昇によって押縁70が変形(一部のみが反る場合や、全体が溶融する場合を含む)することにより複層ガラス29が開口部28から脱落することを防止する防火手段である。すなわち、防火断熱玄関ドア1の室外側や室内側において火災が発生した場合には、火災の熱によって固定枠60や押縁70が熱せられることになり、これら固定枠60や押縁70を形成しているアルミニウム合金の融点は600℃前後であって金属類の中でも比較的低温であるため、固定枠60や押縁70の強度が低下し、固定枠60や押縁70が変形する可能性がある。そして、このように固定枠60や押縁70が変形した場合には、扉体20の開口部28に複層ガラス29を固定するための固定力が低下し、扉体20から複層ガラス29が脱落し易くなることで、防火断熱玄関ドア1の防火性能が低下する可能性がある。特に、室外側において火災が発生した場合には、炎や熱が外装パネル30によってある程度遮断されるため、室外側に配置された固定枠60の温度上昇が軽減されるが、室内側において火災が発生した場合には、炎や熱が室内側に配置された押縁70に直接到達するため、この押縁70が温度上昇により強度低下を起こす可能性がある。そこで、本実施の形態においては、温度上昇によって押縁70が変形等した場合であっても、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減するため、防火材80を設けている。
【0043】
この防火材80の具体的な構造及び形状は、その所望の機能を果たす限りにおいて任意であるが、本実施の形態において、防火材80は、
図5、6に示すように、複層ガラス29の見付面に平行に配置される平板部81と、平板部81から複層ガラス29に近づく方向にわずかに屈曲するように延出された屈曲部82とを一体に備えて、全体として「へ字」状の断面形状となるように形成されている。このように形成された防火材80の具体的な配置位置は任意であるが、本実施の形態においては、防火材80が、複層ガラス29における押縁70側の見付面の端部(例えば数cm程度)を覆うように配置されている。従って、押縁70が火災時の熱によって変形等した場合であっても、この複層ガラス29がその押縁70側の見付面の端部において防火材80によって支持されるので、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減することができる。
【0044】
この防火材80は、複層ガラス29を固定する目的のみを考慮すれば、短尺部材に形成した上で、複層ガラス29に沿った複数箇所に相互に間隔を空けて並設するようにしてもよい。しかしながら、このように防火材80を相互に間隔を空けて並設した場合には、防火材80の相互間から火災の炎が入り込み、複層ガラス29の側方を通って防火断熱玄関ドア1の反対側に廻り込む可能性があるために好ましくない。そこで、本実施の形態においては、防火材80を複層ガラス29の全長に対応する長尺部材として形成している。具体的には、開口部28の上縁に配置される防火材80は、複層ガラス29の左右方向に沿った全長に対応する長尺部材として形成されており、開口部28の左側縁に配置される防火材80は、複層ガラス29の上下方向に沿った全長に対応する長尺部材として形成されている。そして、このように長尺部材として形成した防火材80を、化粧鋼板23と複層ガラス29との相互間の隙間を塞ぐように、これら化粧鋼板23から複層ガラス29に至る位置に配置している。具体的には、平板部81を、化粧鋼板23と押縁70本体との相互間に挟持させることにより、これら化粧鋼板23と押縁本体71との両方に当接させている。また、屈曲部82を、複層ガラス29と押縁本体71との相互間に配置し、押縁本体71に当接させている。このように防火材80を形成及び配置することで、防火材80によって火災の炎を遮断することができ、火災の炎が複層ガラス29の側方を通って防火断熱玄関ドア1の反対側に廻り込む可能性を低減することができる。
【0045】
この防火材80の具体的な材質は任意であるが、本実施の形態において、防火材80は、押縁70よりも高い耐火性を持つように、押縁70を形成するアルミニウム合金(第1材)よりも融点が高い「第2材」によって形成されている。ただし、防火材80を融点が高い第2材によって形成しても、防火材80の固定先の部材の材質の融点が低い場合には、固定先が変形等することで、防火材80の耐火機能が損なわれる可能性がある。そこで、本実施の形態においては、扉体20の扉窓枠43を、押縁70を形成するアルミニウム合金(第1材)よりも融点が高い「第3材」によって形成することとした上で、この扉窓枠43に対して防火材80を固定するようにしている。このように防火材80を形成する「第2材」や、扉窓枠43を形成する「第3材」に関して、その具体的な種類は任意であり、相互に同一の材質としてもよく、あるいは相互に異なる材質としてもよいが、例えば、ステンレスや耐熱鋼等のスチールを採用することができる。
【0046】
ただし、このように防火材80をステンレスや耐熱鋼等のスチールによって形成した場合、スチールはアルミニウム合金に比べて質感において意匠性に劣るため、防火材80が防火断熱玄関ドア1の外部に露出しないことが好ましい。そこで、本実施の形態においては、防火材80の長手方向に対して直交する方向の寸法を、当該防火材80が当接する押縁70の同一方向の寸法より短くした上で、防火材80を扉体20と押縁70の相互間に配置することで、防火材80を押縁70によって覆い、防火材80が防火断熱玄関ドア1の外部に露出しないようにしている。
【0047】
このように構成された防火材80を固定するための具体的な構造は任意であり、例えば、専用の固定ネジや耐熱性両面テープ等によって防火材80を扉窓枠43に固定してもよい。しかしながら、本実施の形態においては、押縁70を扉窓枠43に固定するための固定ネジ41を介して、防火材80を扉窓枠43に固定している。このように、共通の固定ネジ41によって、押縁70と防火材80とを扉窓枠43に固定することにより、これら押縁70と防火材80とを一括的に固定ネジ41を介して扉窓枠43に取り付けることができ、あるいは、押縁70と防火材80とを一括的に固定ネジ41を介して扉窓枠43から取り外すことができるので、専用の固定ネジ等によって防火材80を扉窓枠43に固定する場合に比べて、防火手段の施工が容易になる。
【0048】
このように防火材80を設けることで、押縁70が変形等した場合においても、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減することが可能になる。しかしながら、押縁70の変形自体を抑制することができれば、複層ガラス29を一層確実に固定することが可能になると考えられる。そこで、本実施の形態では、さらに防火材80を押縁70に当接するように固定する構造を採用することで、押縁70の変形を抑制している。この当接の具体的な構造は任意であるが、本実施の形態では、防火材80の複層ガラス29側の端部83を、押縁本体71の気密材固定部71bに内側から係脱自在に係止させている。特に、この気密材固定部71bは複層ガラス29の近傍位置に配置されているので、この気密材固定部71bに防火材80の端部83を係止させることで、複層ガラス29の近傍位置において防火材80を押縁70に当接させることができ、押縁70が複層ガラス29の近傍位置から遠ざかる方向に変形することを防火材80によって効果的に抑制することが可能になる。
【0049】
(膨張材)
このように構成された防火断熱玄関ドア1には、膨張材90、91が設けられている。これら膨張材90、91は、温度上昇によって膨張することにより防火材80と複層ガラス29との相互間の隙間を減少させる耐火性の膨張手段である。すなわち、防火材80を設けた場合であっても、防火材80を化粧鋼板23や複層ガラス29と完全に密着させることは困難であるため、これら防火材80と化粧鋼板23や複層ガラス29との隙間から火災の炎が入り込み、複層ガラス29の側方を通って防火断熱玄関ドア1の反対側に廻り込む可能性があるために好ましくない。そこで、本実施の形態においては、この隙間に予め膨張材90、91を配置しておき、火災の熱で膨張材90、91の温度が上昇した場合には、膨張材90、91を自動的に膨張させることで、この隙間を塞ぎ、火災の炎が廻り込む可能性を低減している。これら膨張材90、91としては、公知の耐火性の膨張材を使用することができ、例えば、フィブロック(登録商標)(積水化学工業株式会社製)のように、約200℃の温度になった場合に厚み方向に10倍程度膨張する、プラスチック系の耐火材を使用することができる。
【0050】
これら膨張材90、91の具体的な配置位置は任意であるが、本実施の形態においては、膨張材90、91を、複層ガラス29の全長に対応する長尺部材として形成した上で、膨張材90を、防火材80の屈曲部82における複層ガラス29側の面に配置し、膨張材91を、固定枠60の固定内枠61における複層ガラス29側の面に配置している。特に、膨張材90を防火材80の屈曲部82に配置しているので、押縁70や固定枠60が火災の熱によって変形等した場合であっても、熱によって変形等する可能性が低い防火材80によって膨張材90を確実に所望の位置に保持することが可能になる。
【0051】
なお、膨張材90、91の具体的な固定構造は任意であり、例えば、耐熱性の両面テープで屈曲部82や固定内枠61に貼付することができる。あるいは、
図5、6に示すように、固定内枠61を固定するための固定ネジ42を膨張材91に貫通させて扉窓枠43にネジ込むようにしてもよく、この場合には、固定手段の共通化を図ることができると共に、両面テープで固定する場合に比べて膨張材91の固定力を向上させることが可能になる。
【0052】
(実施の形態1の効果)
これまで説明したように実施の形態1によれば、押縁70を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって形成された防火材80によって、複層ガラス29における押縁70側の見付面の端部を抑えることができるので、防火断熱玄関ドア1の周囲で発生した火災の熱によって押縁70が熱せられ、押縁70が変形した場合であっても、扉体20の開口部28への複層ガラス29の固定状態を防火材80によって維持することができ、複層ガラス29が押縁70側から脱落する可能性を低減することができるので、防火断熱玄関ドア1の防火性能を向上させることが可能になる。また、防火材80を複層ガラス29の全長に対応する長尺部材として形成したので、複層ガラス29の側方を介して、火災の炎が防火断熱玄関ドア1の反対側に廻り込むことを防止することができる。特に、防火材80を押縁70に当接するように防火断熱玄関ドア1に固定しているので、火災の熱によって熱せられることにより押縁70が変形することを、この押縁70に対する防火材80の当接によって低減することができるので、防火断熱玄関ドア1の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0053】
また、防火断熱玄関ドア1の周囲で発生した火災の熱によって押縁70が熱せられる状況においては、この熱によって耐火性の膨張材90が膨張して防火材80と複層ガラス29との相互間の隙間を減少させるため、この隙間を介して火災の炎が防火断熱玄関ドア1の反対側に廻り込む可能性を低減することができるので、防火断熱玄関ドア1の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0054】
また、押縁70を形成する第1材よりも融点が高い第3材によって形成された扉窓枠43に防火材80を固定したので、防火断熱玄関ドア1の周囲で発生した火災の熱によって押縁70が熱せられ、押縁70が変形した場合であっても、防火材80の扉体20に対する固定力を維持することができるので、防火断熱玄関ドア1の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0055】
また、押縁70を扉窓枠43に固定するための固定ネジを介して、防火材80を扉窓枠43に固定したので、押縁70と防火材80とを一括的に固定ネジを介して扉窓枠43に取り付けることができ、あるいは、押縁70と防火材80とを一括的に固定ネジを介して扉窓枠43から取り外すことができるので、防火材80の施工が容易になる。
【0056】
また、防火材80を押縁70に係止させたので、例えば、防火断熱玄関ドア1における押縁70とは反対側で火災が発し、この火災の熱によって押縁70の温度が上昇して変形等しようとした場合においても、押縁70に対する防火材80の係止力によって押縁70の変形を抑制することができ、防火断熱玄関ドア1の防火性能を一層向上させることが可能になる。特に、防火材80を複層ガラス29の近傍位置において押縁70に係止させたので、押縁70が複層ガラス29から離れることを効果的に防止することができ、防火断熱玄関ドア1の防火性能を一層向上させることが可能になる。また、防火材80を押縁70に係止させることで、防火材80が不用意に振動することを防止できるので、防火材80が振動して押縁70や複層ガラス29に当たって振動音を発生させるようなことを防止することができる。
【0057】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2の具体的内容について説明する。この形態は、押縁側の防火手段に加えて、固定枠側にも第2防火手段を設けた形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する事項を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成については、必要に応じて、実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を付して、その説明を省略する。
【0058】
図7は、実施の形態2に係る防火断熱玄関ドア4を示す図であり、
図6に対応する部分を示す拡大図である。この防火断熱玄関ドア4は、概略的には、実施の形態1の防火断熱玄関ドア1から外装パネル30を省略して構成されており、これに伴って、固定枠60の外装パネル枠63も省略されている。このように外装パネル30を省略した場合、固定枠60の固定外枠62が屋外側に完全に露出することになる。従って、屋外側で火災が発生した場合には、この火災の熱によって固定外枠62の温度が上昇して、固定外枠62が変形することで、押縁70の変形時と同様に、扉体20の開口部28に複層ガラス29を固定するための固定力が低下し、扉体20から複層ガラス29が脱落し易くなることで、防火断熱玄関ドア4の防火性能が低下する可能性がある。
【0059】
(第2防火材)
そこで、本実施の形態においては、温度上昇によって固定枠60が変形した場合であっても、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減するため、第2防火材100を設けている。以下、この第2防火材100について説明するが、特に説明なき事項については、第2防火材100は防火材80と同様に構成することができる。また、開口部28の周縁のうち、左縁の周辺構造は上縁の周辺構造にも同様に適用することができ、下縁の周辺構造は複層ガラス29を挟んで上縁の周辺構造と対称であり、右縁の周辺構造は複層ガラス29を挟んで左縁の周辺構造と対称であるため、これらの説明は省略し、左縁の周辺構造のみを説明する(第2防火材100及び後述する膨張材92についても同じ)。
【0060】
この第2防火材100の具体的な構造及び形状は任意であるが、本実施の形態において、第2防火材100は、複層ガラス29の見込面に平行に配置される第1平板部101と、複層ガラス29の見付面に平行に配置される第2平板部102とを一体に備えて、全体として「L字」状の縦断面形状となるように形成されている。このように形成された第2防火材100の具体的な配置位置は任意であるが、本実施の形態においては、第2防火材100が、複層ガラス29における固定枠60側の見付面の端部を覆うように配置されている。従って、固定枠60が火災時の熱によって変形等した場合であっても、この複層ガラス29がその固定枠60側の見付面の端部において第2防火材100によって支持されるので、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減することができる。
【0061】
この第2防火材100は、複層ガラス29を固定する目的のみを考慮すれば、短尺部材に形成した上で、複層ガラス29に沿った複数箇所に相互に間隔を空けて並設するようにしてもよいが、火災の炎が第2防火材100の相互間から複層ガラス29の側方を通って防火断熱玄関ドア4の反対側に廻り込む可能性を低減するため、複層ガラス29の全長に対応する長尺部材として形成している。具体的には、開口部28の上縁に配置される第2防火材100は、複層ガラス29の左右方向に沿った全長に対応する長尺部材として形成されており、開口部28の左側縁に配置される第2防火材100は、複層ガラス29の上下方向に沿った全長に対応する長尺部材として形成されている。そして、このように長尺部材として形成した第2防火材100を、扉窓枠43と複層ガラス29との相互間の隙間を塞ぐように、これら扉窓枠43から複層ガラス29に至る位置(より詳細には、扉窓枠43に隣接する固定内枠61から複層ガラス29に至る位置)に配置している。具体的には、第1平板部101を、固定内枠61における複層ガラス29側の面に当接する位置に配置し、第2平板部102を、第1平板部101の屋外側の端部から複層ガラス29の屋外側の見付面の端部に至る位置に配置している。このように第2防火材100を形成及び配置することで、第2防火材100によって火災の炎を遮断することができ、火災の炎が複層ガラス29の側方を通って防火断熱玄関ドア4の反対側に廻り込む可能性を低減することができる。
【0062】
この第2防火材100の具体的な材質は任意であるが、本実施の形態において、第2防火材100は、固定枠60よりも高い耐火性を持つように、固定枠60を形成するアルミニウム合金(第4材)よりも融点が高い「第5材」によって形成されている。ただし、第2防火材100を融点が高い「第5材」によって形成しても、第2防火材100の固定先の部材の材質の融点が低い場合には、固定先が変形等することで、第2防火材100の耐火機能が損なわれる可能性がある。そこで、本実施の形態においては、実施の形態1と同様に、扉体20に設けられた扉窓枠43を、固定枠60を形成するアルミニウム合金(第4材)よりも融点が高い「第3材」によって形成することとした上で、この扉窓枠43に対して第2防火材100を固定するようにしている。このように第2防火材100を形成する「第5材」や固定枠60を形成する「第3材」に関して、その具体的な種類は任意であるが、例えば、防火材80の材質(第2材)や扉窓枠43の材質(第3材)と同様に、ステンレスや耐熱鋼等のスチールを採用することができる。
【0063】
ただし、このように第2防火材100をステンレスや耐熱鋼等のスチールによって形成した場合、スチールはアルミニウム合金に比べて質感において意匠性に劣るため、第2防火材100が防火断熱玄関ドア4の外部に露出しないことが好ましい。そこで、本実施の形態においては、第2防火材100を、固定枠60と複層ガラス29によって囲繞される空間部に収まる寸法で形成し、この空間部に配置することで、第2防火材100を固定枠60によって覆い、第2防火材100が防火断熱玄関ドア4の外部に露出しないようにしている。
【0064】
また、第2防火材100の具体的な固定構造は任意であり、例えば、専用の固定ネジや耐熱性両面テープによって第2防火材100を扉窓枠43に固定することが考えられる。しかしながら、本実施の形態においては、固定枠60を扉窓枠43に固定するための固定ネジ42を介して、第2防火材100を扉窓枠43に固定している。このように、共通の固定ネジ42によって、固定枠60と第2防火材100とを扉窓枠43に固定することにより、これら固定枠60と第2防火材100とを一括的に固定ネジ42を介して扉窓枠43に取り付けることができ、あるいは、固定枠60と第2防火材100とを一括的に固定ネジ42を介して扉窓枠43から取り外すことができるので、専用の固定ネジによって第2防火材100を扉窓枠43に固定する場合に比べて、防火手段の施工が容易になる。
【0065】
このように第2防火材100を設けることで、固定枠60が変形等した場合においても、扉体20から複層ガラス29が脱落する可能性を低減することが可能になる。しかしながら、固定枠60の変形自体を抑制することができれば、複層ガラス29を一層確実に固定することが可能になると考えられる。そこで、本実施の形態では、第2防火材100を固定枠60に当接するように固定することにより、固定枠60の変形を抑制している。この当接の具体的な構造は任意であるが、本実施の形態では、第2防火材100の第1平板部101を固定枠60の固定内枠61の複層ガラス29側の面に当接させると共に、第2防火材100の第2平板部102を固定枠60の気密材固定部62aに当接させている。特に、このように第2平板部102を気密材固定部62aに当接させることで、第2平板部102を複層ガラス29の近傍位置において固定枠60に当接させることができるので、複層ガラス29から遠い位置で当接させる場合に比べて、一層効果的に、固定枠60が複層ガラス29から離れることを抑制することができる。
【0066】
(膨張材)
このように構成された防火断熱玄関ドア4には、実施の形態1と同様の膨張材90、91に加えて、さらなる膨張材92が設けられている。この膨張材92は、温度上昇によって膨張することにより第2防火材100と複層ガラス29との相互間の隙間を減少させる耐火性の膨張手段であり、膨張材90、91と同様の耐火材料によって構成されている。
【0067】
この膨張材92の具体的な配置位置は任意であるが、本実施の形態においては、膨張材92を、複層ガラス29の全長に対応する長尺部材として形成した上で、第2防火材100の第2平板部102における複層ガラス29側の面に配置している。また、実施の形態1と同じ膨張材91を、実施の形態1のように固定内枠61における複層ガラス29側の面ではなく、第2防火材100における複層ガラス29側の面に配置している。特に、このように膨張材91、92を第2防火材100に配置しているので、押縁70や固定枠60が火災の熱によって変形等した場合であっても、熱によって変形等する可能性が低い第2防火材100によって膨張材91、92を確実に所望の位置に保持することが可能になる。
【0068】
なお、膨張材91、92の具体的な固定構造は任意であり、例えば、膨張材91、92を、耐熱性の両面テープで第2防火材100に貼付することができる。あるいは、膨張材91については、
図7に示すように、固定内枠61及び第2防火材100を固定するための固定ネジ42を膨張材91に貫通させて扉窓枠43にネジ込むようにしてもよく、この場合には、固定手段の共通化を図ることができると共に、両面テープで固定する場合に比べて膨張材91の固定力を向上させることが可能になる。
【0069】
(実施の形態2の効果)
これまで説明したように実施の形態2によれば、実施の形態1の効果に加えて、固定枠60を形成する第4材よりも融点が高い第5材によって形成された第2防火材100によって、複層ガラス29における固定枠60側の見付面の端部を、複層ガラス29の全長に渡って抑えることができるので、防火断熱玄関ドア4の周囲で発生した火災の熱によって固定枠60が熱せられ、固定枠60が変形した場合であっても、扉体20の開口部28への複層ガラス29の固定状態を第2防火材100によって維持することができ、複層ガラス29が固定枠60側から脱落する可能性を低減することができるので、防火断熱玄関ドア4の防火性能を向上させることが可能になる。特に、第2防火材100を固定枠60に当接するように防火断熱玄関ドア4に固定しているので、火災の熱によって熱せられることにより固定枠60が変形することを、この固定枠60に対する第2防火材100の当接によって低減することができる。
【0070】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0071】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。例えば、防火断熱玄関ドア1、4の防火性能が従来と同等である場合にも、従来と同等の防火性能を従来と異なる手段によって得ることができている場合には、本願の課題は解決されている。
【0072】
(各実施の形態の相互関係について)
各実施の形態に示した特徴の全部又は一部は、他の実施の形態に適用することができる。例えば、実施の形態1のように外装パネル30を備えた形態に対して、実施の形態2のように第2防火材100や膨張材92を設けてもよい。あるいは、実施の形態1の押縁70に対する防火材80の係止構造と同様の構成を、実施の形態2の固定枠60と第2防火材100との相互間に適用することで、第2防火材100を固定枠60に係止させるようにしてもよい。
【0073】
(押縁について)
上記各実施の形態では、押縁70を固定ネジ41を介して扉窓枠43と固定枠60の両方に固定した例を説明したが、扉窓枠43と固定枠60のいずれか一方に固定してもよく、あるいは、扉窓枠43に代えて、扉体20を構成する他の部分に固定するようにしてもよい。
【0074】
(防火材又は第2防火材について)
防火材80又は第2防火材100の固定構造としては、固定ネジ41、42で固定する構造に限定されず、例えば、耐熱性の両面テープによって、防火材80又は第2防火材100を、化粧鋼板23や押縁70若しくは固定枠60に貼付するようにしてもよい。
防火材80又は第2防火材100は、相互に別々に形成する以外に、相互に一体に形成してもよい。あるいは、扉窓枠43等のように耐火性がある部材に対して、防火材80や第2防火材100を一体に形成するようにしてもよい。
防火材80又は第2防火材100の押縁70や固定枠60に対する当接構造としては、実施の形態1の如き係止構造以外にも、例えば、耐熱性の両面テープや固定ネジを用いて、防火材80を押縁70に当接状態で固定したり、第2防火材100を固定枠60に当接状態で固定したりしてもよい。
また、防火材80や第2防火材100は、必ずしも押縁70や固定枠60に対して当接させなくてもよく、例えば、押縁70や固定枠60に対して接触しない位置に配置するようにしてもよい。
【0075】
(膨張材について)
防火材80又は第2防火材100によって所望の防火性能を得ることができる場合には、膨張材90、91、92の一部又は全部を省略してもよい。
【0076】
〔第1の付記〕
上述した課題を解決し、目的を達成するために、第1の付記1に記載の防火建具は、建具本体に形成した開口部に配置した被固定部を、前記建具本体における前記開口部の周縁に設けた固定枠と、前記建具本体又は前記固定枠に固定される押縁とにより、挟持するように構成された防火建具であって、温度上昇によって前記押縁が変形することにより前記被固定部が前記開口部から脱落することを防止する防火手段を備え、前記防火手段を、前記押縁を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって、前記被固定部の全長に対応する長尺部材として形成し、前記防火手段を、前記被固定部における前記押縁側の見付面の端部を覆うように、前記建具本体に固定した、防火建具。
【0077】
第1の付記2に記載の防火建具は、第1の付記1に記載の防火建具において、前記防火手段に、温度上昇によって膨張することにより当該防火手段と前記被固定部との相互間の隙間を減少させる耐火性の膨張手段を設けた。
【0078】
第1の付記3に記載の防火建具は、第1の付記1又は2に記載の防火建具において、前記建具本体は、前記押縁を形成する前記第1材よりも融点が高い第3材によって形成された枠材を備え、前記防火手段を、前記建具本体の前記枠材に固定した。
【0079】
第1の付記4に記載の防火建具は、第1の付記1から3のいずれか一項に記載の防火建具において、前記防火手段を、前記建具本体と前記押縁との相互間において、前記押縁を前記建具本体に固定するための固定手段を介して、前記建具本体に固定した。
【0080】
第1の付記5に記載の防火建具は、第1の付記1から4のいずれか一項に記載の防火建具において、前記防火手段を、前記被固定部の近傍位置において、前記押縁に係止させた。
【0081】
第1の付記6に記載の防火建具は、第1の付記1から5のいずれか一項に記載の防火建具において、温度上昇によって前記固定枠が変形することにより前記被固定部が前記開口部から脱落することを防止する第2防火手段を備え、前記第2防火手段を、前記固定枠を形成する第4材よりも融点が高い第5材によって、前記被固定部の全長に対応する長尺部材として形成し、前記第2防火手段を、前記被固定部における前記固定枠側の見付面の端部を覆うように、かつ、前記固定枠に当接するように、前記建具本体に固定した。
【0082】
〔第1の付記の効果〕
第1の付記1に記載の防火建具によれば、押縁を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって形成された防火手段によって、被固定部における押縁側の見付面の端部を抑えることができるので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられ、押縁が変形等した場合であっても、建具本体の開口部への被固定部の固定状態を防火手段によって維持することができ、被固定部が押縁側から脱落する可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を向上させることが可能になる。また、防火手段を被固定部の全長に対応する長尺部材として形成したので、被固定部の側方を介して、火災の炎が防火建具の反対側に廻り込むことを防止することができる。
【0083】
また、第1の付記2に記載の防火建具によれば、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられる状況においては、この熱によって耐火性の膨張手段が膨張して防火手段と前記被固定部との相互間の隙間を減少させるため、この隙間を介して火災の炎が防火建具の反対側に廻り込む可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0084】
また、第1の付記3に記載の防火建具によれば、押縁を形成する第1材よりも融点が高い第3材によって形成された枠材に防火手段を固定したので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられ、押縁が変形等した場合であっても、建具本体に対する防火手段の固定構造を維持することができるので、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0085】
また、第1の付記4に記載の防火建具によれば、押縁を建具本体に固定するための固定手段を介して防火手段を建具本体に固定したので、押縁と防火手段とを一括的に固定手段を介して建具本体に取り付けることができ、あるいは、押縁と防火手段とを一括的に固定手段を介して建具本体から取り外すことができるので、防火手段の施工が容易になる。
【0086】
また、第1の付記5に記載の防火建具によれば、防火手段を押縁に係止させたので、例えば、防火建具における押縁とは反対側で火災が発し、この火災の熱によって押縁の温度が上昇して変形等しようとした場合においても、押縁に対する防火手段の係止力によって押縁の変形を抑制することができ、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。特に、防火手段を被固定部の近傍位置において押縁に係止させたので、押縁が被固定部から離れることを効果的に防止することができ、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。また、防火手段を押縁に係止させることで、防火手段が不用意に振動することを防止でき、防火手段が振動して押縁や被固定部に当たって振動音を発生させるようなことを防止することができる。
【0087】
また、第1の付記6に記載の防火建具によれば、固定枠を形成する第4材よりも融点が高い第5材によって形成された第2防火手段によって、被固定部における固定枠側の見付面の端部を、被固定部の全長に渡って抑えることができるので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって固定枠が熱せられ、固定枠が変形等した場合であっても、建具本体の開口部への被固定部の固定状態を第2防火手段によって維持することができ、被固定部が固定枠側から脱落する可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を向上させることが可能になる。
【0088】
〔第2の付記〕
また、第2の付記1の防火建具は、建具本体に形成した開口部に配置した被固定部を、前記建具本体における前記開口部の周縁に設けた固定枠と、前記建具本体又は前記固定枠に取り外し可能に固定される押縁とにより、挟持するように構成された防火建具であって、温度上昇によって前記押縁が変形することにより前記被固定部が前記開口部から脱落することを防止する防火手段を備え、前記防火手段を、前記押縁を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって形成し、前記防火手段によって前記被固定部における前記押縁側の見付面の端部が覆われるように、当該防火手段を、前記押縁を前記建具本体又は前記固定枠に固定するための固定手段を介して、前記押縁側の見付面に取り外し可能に固定した。
【0089】
また、第2の付記2の防火建具は、第2の付記1に記載の防火建具において、前記建具本体は、前記固定枠を形成する材質よりも融点が高い材質によって形成された枠材を備え、前記防火手段を、前記建具本体の前記枠材における前記押縁側の見付面に取り外し可能に固定した。
【0090】
第2の付記3の防火建具は、第2の付記1又は2に記載の防火建具において、前記防火手段に、温度上昇によって膨張することにより当該防火手段と前記被固定部との相互間の隙間を減少させる耐火性の膨張手段を設けた。
【0091】
第2の付記4の防火建具は、第2の付記1から3のいずれか一項に記載の防火建具において、前記建具本体は、前記押縁を形成する前記第1材よりも融点が高い第3材によって形成された枠材を備え、前記防火手段を、前記建具本体の前記枠材に固定した。
【0092】
第2の付記5の防火建具は、第2の付記1から4のいずれか一項に記載の防火建具において、前記防火手段を、前記被固定部の近傍位置において、前記押縁に係止させた。
【0093】
第2の付記6の防火建具は、第2の付記1から5のいずれか一項に記載の防火建具において、温度上昇によって前記固定枠が変形することにより前記被固定部が前記開口部から脱落することを防止する第2防火手段を備え、前記第2防火手段を、前記固定枠を形成する第4材よりも融点が高い第5材によって形成し、前記第2防火手段を、前記被固定部における前記固定枠側の見付面の端部を覆うように、前記建具本体に固定した。
【0094】
〔第2の付記の効果〕
第2の付記1に記載の防火建具によれば、押縁を形成する第1材よりも融点が高い第2材によって形成された防火手段によって、被固定部における押縁側の見付面の端部を抑えることができるので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられ、押縁が変形等した場合であっても、建具本体の開口部への被固定部の固定状態を防火手段によって維持することができ、被固定部が押縁側から脱落する可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を向上させることが可能になる。
また、第2の付記1に記載の防火建具によれば、押縁を建具本体又は固定枠に固定するための固定手段を介して防火手段を建具本体に固定したので、押縁と防火手段とを一括的に固定手段を介して建具本体又は固定枠に取り付けることができ、あるいは、押縁と防火手段とを一括的に固定手段を介して建具本体又は固定枠から取り外すことができるので、防火手段の施工が容易になる。
【0095】
また、第2の付記3に記載の防火建具によれば、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられる状況においては、この熱によって耐火性の膨張手段が膨張して防火手段と前記被固定部との相互間の隙間を減少させるため、この隙間を介して火災の炎が防火建具の反対側に廻り込む可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0096】
また、第2の付記4に記載の防火建具によれば、押縁を形成する第1材よりも融点が高い第3材によって形成された枠材に防火手段を固定したので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって押縁が熱せられ、押縁が変形等した場合であっても、建具本体に対する防火手段の固定構造を維持することができるので、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。
【0097】
また、第2の付記5に記載の防火建具によれば、防火手段を押縁に係止させたので、例えば、防火建具における押縁とは反対側で火災が発し、この火災の熱によって押縁の温度が上昇して変形等しようとした場合においても、押縁に対する防火手段の係止力によって押縁の変形を抑制することができ、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。特に、防火手段を被固定部の近傍位置において押縁に係止させたので、押縁が被固定部から離れることを効果的に防止することができ、防火建具の防火性能を一層向上させることが可能になる。また、防火手段を押縁に係止させることで、防火建具の扉体の開閉等に伴って防火手段が不用意に振動することを防止でき、防火手段が振動して押縁や被固定部に当たって振動音を発生させるようなことを防止することができる。
【0098】
また、第2の付記6に記載の防火建具によれば、固定枠を形成する第4材よりも融点が高い第5材によって形成された第2防火手段によって、被固定部における固定枠側の見付面の端部を抑えることができるので、防火建具の周囲で発生した火災の熱によって固定枠が熱せられ、固定枠が変形等した場合であっても、建具本体の開口部への被固定部の固定状態を第2防火手段によって維持することができ、被固定部が固定枠側から脱落する可能性を低減することができるので、防火建具の防火性能を向上させることが可能になる。