(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6362745
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】操作画面に表示される選択可能な項目の配置決定装置、配置決定プログラム及び配置の決定方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0482 20130101AFI20180712BHJP
G06Q 30/02 20120101ALI20180712BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06Q30/02 328
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-156745(P2017-156745)
(22)【出願日】2017年8月15日
【審査請求日】2017年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】500165795
【氏名又は名称】ネットパイロティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】武井 健太郎
【審査官】
星野 昌幸
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5738460(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/048
G06Q 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置決定装置であって、
複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段と、
ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断手段と、
前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定手段と、
前記決定手段が決定した配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成手段と、
を備えることを特徴とする配置決定装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から逆順、又はランダムに、各々の項目の配置領域を決定すること
を特徴とする請求項1記載の配置決定装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、前記操作画面に配置される項目のうち、ユーザに選択される可能性が最も低い項目の配置を、ユーザに選択される可能性が最も高い配置領域に決定すること
を特徴とする請求項1記載の配置決定装置。
【請求項4】
ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置決定プログラムであって、
複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、
ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断手段、
前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定手段、
前記決定手段が決定した配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成手段として機能させること
を特徴とする配置決定プログラム。
【請求項5】
ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置の決定方法であって、
複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断ステップと、
前記コンピュータが、前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断ステップにおいて項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断ステップにおいて項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定ステップと、
前記決定ステップで決定された配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成ステップと、
を有することを特徴とする配置の決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置決定装置、配置決定プログラム及び配置の決定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
PC(パーソナルコンピュータ)やタブレット型コンピュータ、店舗に設置されるKIOSK端末等を用いて様々な情報を提供する際のユーザインタフェースには、画面上にユーザが選択可能な項目をボタンで表示し、ユーザが所望の項目に対応するボタンを押下等する選択操作を行うことによって、必要な処理が実行される仕組みが広く用いられている。
【0003】
一例として、ドラッグストア等の小売店では、商品の販売を促進するために、お買い得商品などの情報提供機能や割引価格で商品を購入できるクーポンの出力機能を備えた専用端末を店舗内に設置するケースが増加してきているが、こうした端末のユーザインタフェースにも、情報を取得したい商品のカテゴリーを選択するボタンや、割引価格で購入できるクーポンを発行する商品を選択するボタン等が設けられている。こうしたサービスが販売促進により大きな効果を生じさせるためには、ユーザの選択操作を促して、需要の喚起につながる操作性に優れた画面を生成することが課題になる。
【0004】
このような課題に対応するために、例えば、クーポンの発行ボタン等を選択した数をユーザ毎に記録し、所定の条件から選択操作に積極的と判断されるユーザには、できるだけ多くの選択肢を提供するために、通常より多い数のボタン等の項目を画面に表示させる一方、選択操作に消極的と判断されるユーザには、画面の見やすさを向上させるために、通常より少ない数のボタン等の項目を画面に表示させる、情報表示制御装置に関する発明が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5738460号特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の発明によると、クーポン発行等のボタンの選択操作に積極的なユーザであるか否かに応じて、操作画面に表示されるボタンの数が変わるため、ボタンの選択操作に積極的なユーザ、消極的なユーザのいずれに対しても、より多くの選択操作を促す効果を期待することができる。しかしながら、需要喚起を目的として、表示するボタンの数をさらに増やしていくと、たとえ、ボタンの選択操作に積極的なユーザであったとしても画面の見にくさにつながり、選択操作の妨げとなってしまう可能性を否定することができないため 、画面の見やすさを損なうことなく、ユーザの需要を喚起する画面を生成する他の仕組みも求められるところである。
【0007】
また、画面全体の操作性を向上させることによってユーザの選択操作を促すだけではなく、商品を販売する小売業者にとっては、ユーザがこれまでに購入したことがない商品や、販売に力を入れているキャンペーン商品等、特定の商品に関する情報やクーポンを提供して販売を促したい場合があり、こうしたニーズに対応するために、ユーザの操作傾向に応じて、販売を促進したい商品等に関するボタンが選択されやすくなる画面を生成する仕組みも求められるところである。
【0008】
本発明はこのような課題に対応するためになされたものであり、画面の見やすさを損なうことなく、ユーザの積極的な項目の選択操作を促すとともに、特定の項目の選択を促進することにも好適な、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する、配置決定装置、配置決定プログラム及び配置の決定方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題に対して、ユーザにボタン等の形式で表示される項目の選択操作を促すためには、通常であれば、操作画面上でユーザに選択されやすい配置領域から順に、ユーザに選択される可能性が高い項目を配置するのが好ましいと考えられるところ、項目選択の頻度が高くて選択操作に積極的と考えられるユーザに対しては、あえてそのような配置にしなくても選択操作が行われる可能性が高いため、例えば、選択される可能性が低い項目を選択されやすい領域に配置することが新たな需要喚起につながるという着想に基づいて、本発明では、ユーザが過去に操作画面で選択した項目の数(同一の項目が複数回選択された場合は、「選択した項目の数」を1と数えてもよいし、選択された回数を「選択した項目の数」としてもよい)を記録し、その数からユーザの項目選択の頻度が高いかを判断して、項目選択の頻度が高いユーザであるか否かによって、操作画面に表示する際の項目の配置を決定する構成としている。
【0010】
具体的には、項目選択の頻度が高くて選択操作に積極的と考えられるユーザに対しては、ユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順で配置するのではなく、逆順、ランダム等の正順でない順序で、各々の項目を配置する領域を決定する。特に、ユーザに選択される可能性が最も低い項目を、選択される可能性が最も高い領域に配置すれば、通常であれば選ばれにくい項目の選択を効果的に促すのに好適な構成となる。
【0011】
つまり、本発明は、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置決定装置であって、複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段と、ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断手段と、前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定手段と、前記決定手段が決定した配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成手段と、を備えることを特徴とする配置決定装置である。
【0012】
本発明は、前記決定手段は、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から逆順、又はランダムに、各々の項目の配置領域を決定することを特徴とすることもできる。
【0013】
本発明は、前記決定手段は、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、前記操作画面に配置される項目のうち、ユーザに選択される可能性が最も低い項目の配置を、ユーザに選択される可能性が最も高い配置領域に決定することを特徴とすることもできる。
【0014】
また、本発明は、本発明に係る配置決定装置において動作する、操作画面に表示される選択可能な項目の配置決定プログラムとして特定することもできる。
【0015】
本発明に係る配置決定プログラムは、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置決定プログラムであって、複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータを、ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断手段、前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断手段によって項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定手段、前記決定手段が決定した配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成手段として機能させることを特徴とする配置決定プログラムである。
【0016】
本発明に係る配置決定プログラムは、先に説明した本発明に係る配置決定装置の各々の構成に対応する配置決定プログラムとして特定することもできる。
【0017】
また、本発明は、本発明に係る配置決定装置によって実行される、操作画面に表示される選択可能な項目の配置の決定方法として特定することもできる。
【0018】
本発明に係る配置の決定方法は、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置の決定方法であって、複数の選択可能な項目が表示された操作画面において、ユーザが過去に選択した項目の数に関する情報を記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、ユーザから前記操作画面の表示要求を受け付けると、前記記憶手段に記憶された前記ユーザが前記操作画面において過去に選択した項目の数から、前記ユーザが項目選択の頻度が高いと判断される所定の条件に合致するかを判断する判断ステップと、前記コンピュータが、前記操作画面においてユーザに選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、前記判断ステップにおいて項目選択の頻度が高いユーザと判断されなかった場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順に各々の項目の配置領域を決定し、前記判断ステップにおいて項目選択の頻度が高いユーザと判断された場合は、ユーザに選択される可能性が高い項目から正順とはならない順序で各々の項目の配置領域を決定する決定ステップと、前記決定ステップで決定された配置領域に選択可能な項目を配置した操作画面を生成する生成ステップと、を有することを特徴とする配置の決定方法である。
【0019】
本発明に係る配置の決定方法は、先に説明した本発明に係る配置決定装置の各々の構成に対応する配置の決定方法として特定することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、操作画面にボタン等の形式で表示される項目の選択操作に積極的でないユーザに対しては、ユーザに選択されやすい配置領域から正順でユーザに選択される可能性が高い項目を配置して、項目の選択操作が行われやすくなる条件を整える一方、選択操作に積極的なユーザに対しては、逆順やランダム等の順序で、ユーザに選択されやすい配置領域に、あえてユーザに選択される可能性が比較的低い項目を配置することによって、多様な項目の選択を促して新たな需要を喚起することが可能になる。
【0021】
本発明は、特に、店舗等に設置される販売促進用の端末の操作画面に好適であり、ボタン押下等の選択操作による商品情報の取得やクーポンの発行等を促し、新たな需要を喚起して商品やサービスの販売促進に資することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明に係る配置決定装置の第1の実施形態の概要を示す図である。
【
図2】本発明によって端末に出力される操作画面の一例を示す図である。
【
図3】端末の操作画面における項目の配置領域について、選択されやすさの順位の一例を示す図である。
【
図4】
図3に例示した配置領域の順位に対して、項目を正順でない配置とする第1の例を示す図である。
【
図5】
図3に例示した配置領域の順位に対して、項目を正順でない配置とする第2の例を示す図である。
【
図6】本発明に係る配置決定装置の第2の実施形態の概要を示す図である。
【
図7】本発明に係る配置決定装置の第1の実施形態における構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】本発明に係る配置決定装置による処理フローの一例を示す第1のフローチャートである。
【
図9】本発明に係る配置決定装置による処理フローの一例を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例を示したものであって、操作画面に表示される項目の内容や数、配置領域の順位等の具体例を含め、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態の概要を示したものである。
図1において、本発明に係る配置決定装置は、小売店の店内に設置される店内端末と接続された商品情報提供サーバの一部の機能に対応する。商品情報提供サーバには、顧客情報を管理する顧客データベースと、商品情報を管理する商品データベースが備えられている。
【0025】
小売店の店舗に来店したユーザである顧客が、店内端末を操作して会員カードから読み取った会員番号等の会員の識別情報を商品情報提供サーバに送信すると、商品情報提供サーバで顧客データベースと照合して会員の認証を行った後に、
図2に例示したようなカテゴリー(商品の種類)又はテーマ(目的)を選択可能な操作画面が、店内端末に表示される。この例では、店内端末の操作画面に、顧客が選択可能な項目としてカテゴリーとテーマがそれぞれ6つずつ表示され、各々の項目を選択するボタンが画面上に設けられている。この画面上でいずれかの項目のボタンが選択されると、選択された項目であるカテゴリー又はテーマに属する商品を対象に、割引価格で商品を購入できるクーポンや詳しい商品情報等を出力するための選択可能な複数のボタンが表示された画面に遷移するので、顧客はその画面上でいずれかのボタンを選択することで、クーポンの取得や詳しい商品情報(これらに関する情報は商品データベースに記憶されている)の確認が可能となっている。
【0026】
図2の例のように画面上に表示される項目であるカテゴリーとテーマは、それぞれ商品データベースに記憶されているカテゴリーとテーマから選択されており、それらの選択はレコメンド用のエンジンを用いて顧客毎にその嗜好に合ったカテゴリーとテーマを選択することが好ましいが、顧客の属性毎に共通の、あるいは顧客の如何に関わらず共通のカテゴリーとテーマが選択されるものであってもよい。ここで画面上に表示される項目であるカテゴリーとテーマには、いずれのパターンにおいても顧客に選択される可能性が高いものから順に、優先順位が定められている。
【0027】
出願人の調査によると、
図2に例示したような画面構成においては、カテゴリーとテーマ各々の6つのボタンの配置領域のうち、一般に、顧客は左上から順に選択しやすいことが明らかになっている。すなわち、
図3に示したように、操作画面上の各々のボタンの配置領域が顧客に選択されやすい順位は、カテゴリーとテーマそれぞれについて、左上が1位、右上が2位、左中が3位、右中が4位、左下が5位、右下が6位となる。
【0028】
クーポンの発行や詳しい商品情報の提供によって顧客の需要を喚起するためには、顧客に積極的なボタンの選択操作を促すことが必要になるが、一般には、顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が高いカテゴリーとテーマから正順で配置することによって、顧客の関心が高いカテゴリーやテーマほど目につきやすい場所に表示されることになるため、顧客がボタンを選択する操作を行う可能性が高くなると考えられる。そのため本発明においても、一般のユーザに対しては、顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が高いものから正順にカテゴリーとテーマの配置領域が決定されることを原則とする。
【0029】
その一方で、そもそもボタンの選択操作に積極的な顧客であれば、このような誘導をあえて行わなくても、どの配置領域に配置しても興味のあるカテゴリーやテーマを探して、ボタンを選択する可能性が高くなると考えられる。また、そうした顧客に対しては、顧客の目につきやすい配置領域には、むしろ顧客に選択される可能性が比較的低いカテゴリーやテーマを配置すれば、顧客がそれらを選択して新たな需要の喚起につながることも想定される。
【0030】
こうした着想に基づいて、本発明では、顧客がボタンの選択操作を行った回数、すなわち、選択されたボタンの数(同一のボタンが複数回選択された場合は、複数回であってもボタンの数を「1」とカウントしてもよいし、選択された回数をボタンの数としてカウントすることとしてもよい)を実績として顧客データベースに記録しておき、過去の選択実績からボタンの選択操作に積極的と判断される顧客に対しては、顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が高いものから正順とはならない順序でカテゴリーとテーマの配置領域を決定して、
図2のような操作画面を生成することとしている。
【0031】
図4と
図5は、ボタンの選択操作に積極的と判断される顧客向けに決定される配置の具体例を示したものであるが、
図4の例のように、
図3に示した顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が高いものから逆順に、カテゴリーとテーマの配置領域をそれぞれ決定することとしてもよいし、
図5の例のように、
図3に示した顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が最も低いものを左上に固定しながら、その他のものはランダムに配置して、カテゴリーとテーマの配置領域をそれぞれ決定することとしてもよい。
【0032】
ここに示した例の他にも、例えば、全てをランダムに配置する、顧客に選択される可能性が最も高いものを右下に固定しながらその他のものを正順に配置する等、顧客に選択される可能性が高いものから正順とはならない順序であれば、配置を決定する具体的なルールは特に限定されるものではないが、新たな需要の喚起という観点からは、操作画面に表示されるものとして選択されたカテゴリーやテーマのうち、顧客に選択される可能性が最も低いものを、顧客に選択される可能性が最も高い配置領域である左上に固定することが好ましい。
【0033】
尚、ボタンの選択操作に積極的な顧客に該当するか否かを判断する方法は特に限定されるものではないが、例えば、1回のセッション(来店した顧客が店内端末の操作を開始してから終了するまで)におけるボタンの選択数に関する閾値を設定しておいて、対象となる顧客の1回のセッションにおけるボタンの選択数の平均値がその閾値を超える場合は、ボタンの選択操作に積極的な顧客と判断することとすればよい。あるいは、所定の期間内(例えば直近の1ヶ月間)におけるボタンの選択数に関する閾値を設定しておいて、対象となる顧客の所定の期間内におけるボタンの選択数がその閾値を超える場合は、ボタンの選択操作に積極的な顧客と判断することとしてもよい。
【0034】
図6は、本発明の第2の実施形態の概要を示したものであるが、本発明に係る配置決定装置に対応する商品情報提供サーバは、インターネットを介してパーソナルコンピュータやスマートフォンなどのネットワーク端末と接続される。第2の実施形態においても、カテゴリー等の項目を選択する操作画面がネットワーク端末に表示され、ここで顧客がカテゴリー等の項目を選択した数を実績として顧客データベースに記録し、その実績から選択操作に積極的な顧客と判断される場合は、顧客に選択されやすい配置領域の順位に対して、顧客に選択される可能性が高いものから正順とはならない順序でカテゴリー等の項目の配置領域を決定して操作画面を生成するよう構成されることは、第1の実施形態と同様である。
【0035】
さらに、図面には示していないが、本発明の第3の実施形態として、本発明をスタンドアローンで使用されるコンピュータに適用することも可能である。PCやタブレット型コンピュータにインストールして用いるアプリケーションソフト等の操作画面にも、選択可能な項目に対応する複数のボタンが表示されることがあるが、こうしたボタンの配置領域の決定に、本発明を適用することも可能である。
【0036】
図7は、本発明に係る配置決定装置の第1の実施形態における構成の一例を示したものである。
図7において、商品情報提供サーバ10に備えられる一部の機能が、本発明に係る配置決定装置に対応する。
【0037】
商品情報提供サーバ10には、ネットワークに接続して店内端末20との情報の送受信が可能なコンピュータが用いられる。商品情報提供サーバ10と店内端末20を接続するネットワークは特に限定されるものではなく、インターネットのようにオープンネットワークを介するものであってもよいし、LAN等のクローズドネットワークを介するものであってもよい。商品情報提供サーバ10には、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられていて、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、所定の機能が実現される。
【0038】
商品情報提供サーバ10を構成するコンピュータの構成は特に限定されるものではなく、本発明における操作画面に表示する選択可能な項目の配置の決定機能の他に、他の機能が同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータを用いて実現されるものであってもよい。
【0039】
商品情報提供サーバ10の商品情報提供部11は機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された商品情報提供部11の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、商品情報提供部11に対応する機能が実現される。
【0040】
商品情報提供サーバ10の顧客情報格納部12(顧客マスタ121及び操作履歴記録部122を含む)と商品情報格納部13には、商品情報提供サーバ10を構成するコンピュータに備えられるHDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等を含む複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0041】
店内端末20には、店舗内に設置されるKIOSK端末等が用いられるが、商品情報提供サーバ10とのデータ通信が可能な端末であれば、その構成は特に限定されるものではない。第2の実施形態では、これらの端末が、インターネットに接続可能なPCやスマートフォン等のネットワーク端末に置換されることになる。
【0042】
以上の構成を前提として、
図8と
図9のフローチャートを用いながら、第1の実施形態において、商品情報提供サーバ10によって、店内端末20の操作画面に表示するカテゴリー等の選択可能な項目の配置を決定して、操作画面を生成して店内端末20に送信する処理フローの一例について説明する。
【0043】
商品情報提供サーバ10が、店内端末20から送信された、ユーザである顧客の会員カード等から読み取った会員番号等を受信すると(S01)、商品情報提供部11が起動されて、以下の処理を実行する。まず、会員番号をキーに顧客情報格納部12を検索して(S02)、該当する顧客マスタ121の情報を用いて顧客の認証処理を行う(S03)。顧客の認証方法は特に限定されるものではなく、受信した会員番号が顧客情報格納部12に有効な会員番号として存在することをもって正規の会員と認証することとしてもよいし、顧客にパスワードを入力させ、顧客マスタ121にあらかじめ登録されたパスワードと照合して本人認証を行うこととしてもよい。
【0044】
顧客の認証がされなかった場合は(S03がNo)、店内端末20の操作画面にエラーメッセージを表示させる等のエラー処理が実行されるが、正規の顧客であると認証されると(S03がYes)、店内端末20の操作画面に表示される所定の数のカテゴリー等の項目(
図2の例であれば6つのカテゴリーと6つのテーマ)が、商品情報格納部13から抽出される(S04)。
【0045】
ここで所定の数のカテゴリー等の項目を選択して抽出するルールは特に限定されるものではないが、例えば、顧客情報格納部12の顧客マスタ121に含まれる顧客の属性から、当該属性に対して定められた優先順位に従って所定の数の項目を抽出することとしてもよいし、顧客の属性に関わらず、全ての属性に適用される優先順位に従って所定の数の項目を抽出することとしてもよい。あるいは、顧客の嗜好を解析するレコメンド用のエンジンを顧客情報格納部12の操作履歴記録部122に記録された操作ログ等に適用して、顧客毎にその嗜好との適合度が高いと推測される所定の数の項目を抽出することとしてもよい。また、表示対象となる項目を、例えば顧客が商品を未購入のカテゴリーのように特定の対象に絞り込んだ上で、その中から抽出することとしてもよい。いずれにしても、抽出された所定の数の項目には、顧客に選択される可能性に応じた優先順位が定められることになる。
【0046】
続いて、会員番号に対応する顧客情報格納部12の操作履歴記録部122に記録された、当該顧客が店内端末20の操作画面上で過去に行った項目の数(項目の選択操作の回数)等の選択操作の実績を確認して(S05)、その実績が項目の選択操作に積極的(項目選択の頻度が高い)と判断される所定の閾値以上であるかを判断する(S06)。
【0047】
一方、店内端末20の操作画面のテンプレートには、表示される項目の各々の配置領域に対して、ユーザである顧客に選択されやすい順位があらかじめ指定されているが、選択操作の実績が閾値を超えない、すなわち、項目の選択操作に積極的ではないと判断される顧客である場合には(S06がNo)、顧客に選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、顧客に選択される可能性が高い項目から正順に、抽出された各々の項目の配置領域を決定する(S08)。
【0048】
一方、選択操作の実績が閾値を超える、項目の選択操作に積極的(項目選択の頻度が高い)と判断される顧客に該当する場合には(S06がYes)、顧客に選択されやすい順位が指定された項目の配置領域に対して、顧客に選択される可能性が高い項目から逆順、あるいは、ランダムに配置する等、正順とはならない順序で、抽出された各々の項目の配置領域を決定する(S07)。
【0049】
以上のようにして決定された配置領域に各々の項目が配置された操作画面を生成して、店内端末20に送信すると(S09)、店内端末20のディスプレイには、
図2に例示したような操作画面が表示される。ここでユーザである顧客がいずれかの項目を選択する操作を行うと、その選択操作に関する情報が送信されて、商品情報提供サーバ10で受け付けられる(S10がYes)。
【0050】
商品情報提供部11では、商品情報格納部13から選択された項目に関連する情報を読み出し、それらの情報が表示される次に遷移する画面、例えば、項目として表示されたいずれかのカテゴリーのボタンが選択された場合には、そのカテゴリーに属する商品のクーポンを出力するための複数のボタンが新たな項目として表示された画面等を生成し、店内端末20に送信して(S11)、店内端末20のディスプレイに表示させる。さらに、項目の選択操作が1回行われたことを、選択操作の実績として顧客情報格納部12の操作履歴記録部122に記録する(S12)。こうした処理が、店内端末20で終了操作が行われるまで継続される(S13)。
【0051】
尚、項目の選択操作の実績を1回のセッション単位で記録する場合には、選択操作が行われる毎にその実績を顧客情報格納部12の操作履歴記録部122に記録するのではなく、終了操作が行われた後(S13がYes)に、そのセッションで行われた選択操作の回数を顧客情報格納部12の操作履歴記録部122に記録することとすればよい。
【0052】
また、先の例のように、店内端末20で遷移した画面に商品のクーポンを出力するための複数のボタンを項目として新たに表示する場合は、表示対象となる項目(商品のクーポン)の抽出から、いずれかの項目の選択操作を受け付けた後までの処理についても、S04−S13と同様のフローを適用することができる。この場合、S11の選択された項目に関連する情報を表示する画面の生成及び送信する処理は、選択されたクーポンを店内端末20に出力させる処理に置き換えられることになる。
【符号の説明】
【0053】
10 商品情報提供サーバ
11 商品情報提供部
12 顧客情報格納部
121 顧客マスタ
122 操作履歴記録部
13 商品情報格納部
20 店内端末
【要約】
【課題】 画面の見やすさを損なうことなくユーザの積極的な操作を促すとともに、特定の項目の選択を促進することにも好適な、ユーザが所定の操作を行う操作画面に表示される選択可能な項目の配置を決定する配置決定装置を提供する。
【解決手段】 操作画面上の項目が表示される各々の配置領域についてユーザに選択されやすい順位を指定しておき、項目の選択操作に積極的ではないと判断されるユーザには、ユーザに選択されやすい項目から正順に配置した操作画面を生成する一方、項目の選択操作に積極的と判断されるユーザに対しては、選択されにくい項目についても選択操作が行われる可能性が比較的高くなるので、ユーザに選択されやすい項目から正順ではなく、例えば、逆順やランダムに項目を配置して、選択されにくい項目も比較的目につきやすくなり、新たな需要の喚起に好適な操作画面を生成する。
【選択図】
図1