特許第6362758号(P6362758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362758剤およびその材料およびその資材およびその製品ならびにその機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362758
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】剤およびその材料およびその資材およびその製品ならびにその機器
(51)【国際特許分類】
   A01N 59/16 20060101AFI20180712BHJP
   A01N 25/12 20060101ALI20180712BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20180712BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 29/02 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 29/12 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 29/16 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 31/12 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 33/24 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 33/38 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20180712BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20180712BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20180712BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20180712BHJP
   A61L 9/16 20060101ALI20180712BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20180712BHJP
   D06M 11/83 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A01N59/16 A
   A01N25/12
   A01N59/16 Z
   A01P1/00
   A01P3/00
   A61L15/18 100
   A61L15/44 100
   A61L29/02
   A61L29/12
   A61L29/16
   A61L31/02
   A61L31/12
   A61L31/16
   A61K33/24
   A61K33/38
   A61K9/06
   A61K47/04
   A61K8/02
   A61K8/29
   A61K8/19
   A61Q15/00
   A61Q19/00
   A61P17/00 101
   A61P17/04
   A61P17/02
   A61P31/12
   A61P31/04
   A61P31/10
   A61P37/08
   A61L9/01 B
   A61L9/01 E
   A61L9/16 D
   C02F1/50 510A
   C02F1/50 510D
   C02F1/50 510E
   C02F1/50 520A
   C02F1/50 520K
   C02F1/50 520L
   C02F1/50 531D
   C02F1/50 531E
   C02F1/50 531F
   C02F1/50 531H
   C02F1/50 540D
   C02F1/50 560B
   D06M11/83
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-227279(P2017-227279)
(22)【出願日】2017年11月27日
(62)【分割の表示】特願2016-120218(P2016-120218)の分割
【原出願日】2013年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-43993(P2018-43993A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2017年12月15日
(31)【優先権主張番号】13/572,437
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146571
【氏名又は名称】株式会社信州セラミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100119747
【弁理士】
【氏名又は名称】能美 知康
(74)【代理人】
【識別番号】100093470
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 富士雄
(72)【発明者】
【氏名】桜田 司
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ、ピーター、ジャーバ
【審査官】 新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−261337(JP,A)
【文献】 特開2000−239823(JP,A)
【文献】 特開2007−137808(JP,A)
【文献】 特開平11−047611(JP,A)
【文献】 特開平11−300215(JP,A)
【文献】 特開2005−289778(JP,A)
【文献】 特開2008−050559(JP,A)
【文献】 特開平02−006333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
A61K
A61L
A61P
A61Q
C02F
D06M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属の粒子と酸化チタンからなるセラミックの粒子とからなり、両粒子の一方の粒子と他方の粒子とが互いにくいこむような結合をした金属−セラミック結合体粒子と、
吸着材と、
の混合物よりなり、
光の照射がなくとも光の照射下で持つ効果と同様の効果を有する抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤。
【請求項2】
前記金属の粒子が、金、銀、プラチナ、銅、または、それらの混合物から選択される請求項1に記載の剤。
【請求項3】
高温及び/又は多湿条件下でも効果が持続できる請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
細菌、ウィルス及びアレルゲンの少なくともいずれか一つを分解することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の剤。
【請求項5】
環境への有害作用を有さないことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の剤。
【請求項6】
前記請求項1〜のいずれか一項に記載の剤を用いた医療用材料、医療用資材、医療用製品、または、医療用機器から選択される医療用品
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤が用いられた布団カバー、毛布カバー、シートカバー、フロアクッションカバー、カバー、テーブルクロス、カーペット、ハンカチーフ、または、水清浄フィルターから選択された製品
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤が用いられた包帯、白衣、フェイスマスク、バルーン、医療用計器のボタン、または、医療の領域用の樹脂製品から選択された製品
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤が用いられたスキンローション、化粧品、または、ハンドクリームから選択された製品
【請求項10】
水虫、火傷、褥瘡、アトピーの二次疾患、皮膚又は表皮の傷の少なくともいずれか一つの疾患用に供される請求項1〜のいずれか一項に記載の抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤
【請求項11】
感染対策に供される請求項1〜のいずれか一項に記載の抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、織物、プラスチック、金属、セラミックス、複合物といった基材の表面に接着して、長期間、継続的に優れた殺菌効果と脱臭効果等を発揮することができる剤に関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌剤や脱臭剤が存在することは従来公知である。しかしながら、これらは固体ないし液体の形態のいずれかである。固体の剤は、光触媒の酸化還元力を利用した光触媒関連技術のものである。光触媒は長期間作用させることができるが、紫外線光があるときにのみ作用し暗所では作用しない。アルコール、塩素剤といった液体の剤は、通常は光を必要とせずに作用するが、短期間しか作用しない。また、すぐに蒸発するかあるいはすぐに劣化してしまう。更に、一般的に多くの液体の殺菌剤は依然として毒性を有しており、それ故に環境に負荷を与えるという欠点を有している。
【0003】
これらの光触媒は、紫外線光の存在下において光触媒またはその表面で起こる酸化還元反応を通して生成するラジカルによって、細菌、ウィルス、アレルゲン、様々な臭気の原因となる有機物が分解されることにより、殺菌効果と脱臭効果を有する。しかしながら、酸化還元反応は光触媒の境界面でのみ起こり、その反応は可視光の下では非常に弱いので、光触媒は暗い環境では有用ではないという問題があると考えられている。
【0004】
これらの光触媒を有用にする為に、光触媒の中身を増加させるか、または適切な結晶の構造を選択するといった試みがなされ、上述の問題が解決されている。しかしながら、上記した酸化還元反応を利用した分解は、何を分解して、何を分解しないかを選ぶ能力はない。換言すると、光触媒に近いところに存在している全ての有機物は分解されてしまう。その結果、光触媒は、酸化還元反応が強過ぎると、光触媒を担持した基材や有機物はボロボロに崩れてしまうという別の問題を有している。
【0005】
加えて、先行技術(従来技術)の剤は、環境に負荷を与えるという欠点をも有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、上記した従来技術の諸問題を解決することである。
【0007】
また、本発明の特別の目的は、光の照射がなくとも作用し、長期間にわたって作用を持続させることができる剤を提供することである。
【0008】
またさらに本発明の別の目的は、従来公知の金属複合物に比べて優れた殺菌効果を有する剤を提供することである。
【0009】
またさらに本発明の別の目的は、医療分野にも用いられる剤を提供することである。
【0010】
またさらに本発明の別の目的は、複数の基材およびキャリアーと併用して有用な剤を提供することである。
【0011】
またさらに本発明の別の目的は、製造および使用に際して簡易かつ低廉な剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した本発明の特徴および目的は、金属の粒子と酸化チタンからなるセラミックの粒子とからなり、両粒子の一方の粒子と他方の粒子とが互いにくいこむような結合をした金属−セラミック結合体粒子と、
吸着材と、
の混合物よりなり、
光の照射がなくとも光の照射下で持つ効果と同様の効果を有する抗ウィルス剤、抗アレルゲン剤、抗真菌剤、または、抗臭気物質剤から選択される剤により達成される。
【0013】
該金属は、粒子の形態であり、例えば、金、銀、プラチナ、もしくは銅の粒子、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0014】
完成した剤は、塗料、インク、接着剤、ゲル、層形成剤と混合することができ、および/または、剤単体で、紙、織物、プラスチック、金属、セラミックス、これらの複合物といった多種の異なる基材の上に、あるいはそれらと一緒に印刷したり、塗布したり、噴霧したり、挿入したり、絡み合わせたりすることが可能である。また当該剤は、人間の体の表面に用いることができる、多種の、ローション、クリーム、ジェル、軟膏、水、もしくはその他の液体または半液体等のキャリアーと混合することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の剤は、基材から水に剤が溶け出してしまうと効果を有さなくなる。一方、本発明の剤は、基材上に留まることにより効果的になり、有機物を分解し続けることができ、結果的に効果は長期間続き、環境への有害作用を有さない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるセラミックと金属とが熱結合される仕方を示した図である。
図2】本発明によるセラミックと金属とが圧力結合される仕方を示した図である。
図3】本発明によるセラミックと金属とに熱/圧結合を適用する仕方を示した図で ある。
図4】マッピング画像として二酸化チタンと銀とをフィルムの形態にしているSE M画像である。
図5】本発明による剤の種々の製品への使用の図である。
図6】飲料水用に使用される本発明の剤の図である。
図7】飲料水の保存用に使用される本発明の剤の図である。
図8】クーリングタワー用の保存用に使用される本発明の剤の図である。
図9】土壌改良用に使用される本発明の剤の図である。
図10】本発明の剤の効果および持続性を示す一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、セラミックに熱結合、圧力結合、熱圧結合された金属からなる。セラミックは、TiO、Cr、Co、Al、SiC、CdS、CdSe、WO、Fe、SrTiO、KNbO等、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され、とりわけTiOが化学的に安定しており、食品添加物として認可がされており、健康上の諸問題と無関係であり、簡易に利用可能で、費用がかからないことから望ましい。より広い表面積および良好な接着性を確保する為に、セラミックの粒子径は0.3〜100μmであり、0.3〜50μmが望ましい。
【0018】
本発明の剤で使用される金属は、金、銀、プラチナ、銅、この組み合わせ、及び、その他の多種の金属の粒子(パーティクル)、好ましくは銀、から選択された金属からなる。経済的な観点より、しかしながら、二酸化チタンと銀との組み合わせが、上記した特性、持ち、非毒性(無毒)であり、従って安全であり、生態系に影響を及ぼさない理由により好ましい。当該金属と当該セラミックとの関係では、金属の粒子(パーティクル)の大きさは0.3〜50μmが望ましい。当該剤が、細菌を殺菌し、臭気を除去する等、効果的である為に、当該金属への当該セラミックの重量比は、100:0.01〜30であり、とりわけ100:0.05〜15 が望ましい。当該セラミックに結合している当該金属から成る当該剤の大きさは0.3〜100μmである。当該剤はまた、金属に結合しているセラミック(金属−セラミック結合体粒子)と吸着材を混ぜて製造することも可能である。
【0019】
ゼオライト、セピオライト、アパタイト、活性炭等といった吸着材はまた、細菌、ウィルス、アレルゲン、真菌のみならず不快な臭気物質及び有害物質等といったその他の対象物を吸着し保持する為に本発明の当該剤に使うことができる。本発明は、とりわけ、吸着材として作用するハイドロキシアパタイトを使用する。本発明におけるハイドロキシアパタイトの粒子の大きさは、より広い表面積確保の為及び作用良好性達成の為、特に0.3〜50μmが望ましい。金属に結合したセラミックとハイロドキシアパタイト(即ち、吸着材)との混合重量比は100:1〜50であり、望ましい殺菌効果、脱臭効果等の為にはとりわけ100:1〜30であることが好ましい。
【0020】
剤は、金属に結合したセラミックをハイドロキシアパタイト、即ち、吸着材と混合することで製造することができる。
【0021】
金属に結合されたセラミックは、(1)図1の熱結合、(2)図2の圧力結合、(3)図3の熱/圧結合を使用して製造することができる。
【0022】
この過程で、セラミック(TiO)および金属(銀)の粒子が、図1で示されている高温のゾーンを通して結合される。この過程において、金属の一部分がセラミック粒子の内部までくいこむ(ingrown)。これにより金属の粒子とセラミック粒子とは互いに内部にくいこむような結合、すなわち物理的な結合をしている。高温のゾーンの瞬間温度は実質的に約摂氏2,900度である。この過程でセラミックと金属とが図2で示されているボールミルの使用を通して結合される。ボールミルは、アルミナあるいはジルコニウムといった素材からなる非常に硬質のボールを持ち、ボールは約0.1mm、0.004mgである。更に、図3に示すように、加熱と加圧とを同時に加えることでセラミックおよび金属の粒子とを結合することもできる。
【0023】
銀の純度は80〜99.9%で、二酸化チタンの純度は約90〜99%である。銀と熱圧結合されたセラミック、酸化チタンの結果は、実質的に図4のようになり、図4は二酸化チタンおよび銀をマッピング画像として皮膜化したSEM(電子顕微鏡)画像である。
【0024】
金属をセラミックに結合する上記の過程を説明したが、高温ローラーおよび高温超音波圧着(法)といったその他の過程を使用してもよい。
【0025】
本発明の剤は、木、布、プラスチック、金属、セラミック、コンクリート等といった対象物に使用するために、コーティング等を通して接着することもでき、これらは内側の充填材として使用することもできる。本発明の剤がこのように有用である間、水、有機溶剤、接着剤等といった分散剤に分散させることで有益な材にもなる。
【0026】
上述の形態の他に、本発明はプリント用インク及び塗料の形態をとることもできる。これらの形態は殺菌、脱臭、装飾的効果を提供することをも目的とする。本発明のプリント用インク、その他の形態は、金属に結合されたセラミックと吸着材としてのハイドロキシアパタイトに限定されず、少なくとも色材とキャリアーも含まれる。プリント用インクには必要ならばその他の成分も含まれる。色材として、無機の色素(顔料)及び有機の色素(顔料)(即ちプリント用インクとして一般的に使用されている色材)のみならず、ソルベント染料(有機溶剤溶解染料)、分散染料等といった染料が挙げられる。キャリアーとして、以下のものが一例として挙げられる。
【0027】
例えば、亜麻仁油(リンシードオイル)等の乾性油、大豆油等の半乾性油、ひまし油等の不乾性油などの油や、天然樹脂(松脂(ロジン)、改質松脂(改質ロジン)、ギルソナイト等)、天然樹脂派生製品、フェノール樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、石油樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、環化ゴム、セルロース系派生製品、反応性樹脂等の樹脂や、可塑剤などが挙げられる。
【0028】
その他の材料として、以下のものが挙げられる。
【0029】
天然ワックス(天然蝋)、合成ワックス(合成蝋)の中のワックス(蝋)成分、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増ちょう剤(増粘剤)、皮張り防止剤、安定剤、平坦剤、消泡剤、色ムラ防止剤、抗真菌剤等が挙げられる。
【0030】
これらの成分の特定の混合比は無く、市場の一般的なプリント用インクでの混合比を利用できる。
【0031】
プリント用インクが細菌を殺し、臭気を除去する等の効果を発揮し、適切なプリント能力を確実にするには、セラミックの金属への圧力結合からなる本発明の剤の好ましい全体量は、プリント用インクの総重量の3〜80%、とりわけ、10〜80%である。
【0032】
プリント用インクの形態あるいは種類については特に限定はされない。ペーストインク、油性インク、溶剤無し(ソルベントフリー)インクでもよい。オフセットプリントインク、平板印刷インク、グラビア印刷インク、スクリーン法インク、凸版印刷インクあるいは特別のプリント用インクとして使用することもできる。本発明の最良の目的達成の為に、スクリーン法インクは、例えば、紙用のスクリーン法インク、プラスチック用のスクリーン法インク、ガラス用のスクリーン法インク、金属用のスクリーン法インク、布用のスクリーン法インク等が上述の種類のなかでは好ましい。
【0033】
上記に加えて、本発明のその他の形態は以下に説明される。塗料は、金属に結合されたセラミックの粒子からなる本発明の剤のみならず、少なくともフィルム形成の成分と分散剤も含まれる。その他の成分も必要ならば含めることができる。
【0034】
フィルム形成成分としては、以下のもの、即ち、セルロース性派生製品、フタル酸塩樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、乳剤(エマルジョン)、水溶性樹脂等の合成樹脂、植物性乾性油等が挙げられる。
【0035】
分散剤として、以下のもの、即ち、石油系溶剤、芳香族溶剤、アルコール溶媒、エステル系溶剤、ケトン溶媒、セロソルブ溶剤、水等が挙げられる。紛体塗装の場合、分散剤としての溶剤は必要ではない。
【0036】
その他の成分として、以下のもの、即ち、色素(顔料)、例えば、二酸化チタン、クロム酸鉛、ベンガラ(インディアンレッド)、酸化クロム、カーボンブラック等といった無機の色素(顔料)、ハンザイエロー、ノバパームオレンジ、キナクリドンバイオレット、銅フタロシアニン等といった有機の色素(顔料)、沈降炭酸カルシウム、硫酸バリウム、滑石(タルク)、粘土(クレイ)、ホワイトカーボン等の体質顔料、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム等の錆止め顔料に代表される特殊の機能性色素(顔料)が挙げられる。
【0037】
さらに、上記の他にも、以下のものを補助的材料として組み入れることができ、例えば、ペイントフィルムの乾燥を加速させるドライヤー(乾燥剤)、重合触媒、湿潤剤、顔料分散剤、色ムラ防止剤、色素(顔料)の分散促進用非硬化剤、増ちょう剤(増粘剤)、チキソトロープ剤、色素(顔料)の流動性調整用の非垂れ止め剤、塗装された表面の調整用の、均染剤、消泡剤、非クローリング剤、可塑剤と同様に色浮き防止剤、皮張り防止剤、静電気塗装補助剤、非擦過剤、ブロッキング防止剤、紫外線防止剤、防汚剤、防腐剤、抗真菌剤等が挙げられる。これらの成分の特別な配合比は無く、配合比は当該技術の通常技術の1つであるべきである。
【0038】
市場での一般的な塗料の配合比を利用することができる。塗料が細菌を殺して、臭気を除去する等の効果を発揮させる為に、適切な塗料性を確実にする為に、金属に結合されたラミックの粒子(パーティクル)からなる本発明の好ましい全体量は、当該塗料の総重量の3〜80%、とりわけ10〜80%である。
【0039】
塗料用コーティングの方法は特に限定されない。ペイントブラシコーティング、エアースプレーコーティング、非エアースプレーコーティング、静電気スプレーコーティング、パウダーコーティング、電着コーティング、カーテンフローコーティング、ローラーブラシコーティング等の方法を使用できる。
【0040】
本発明の剤の必要とされる面積は特に限定されなないが、剤の使用によって異なる。
【0041】
本発明の剤は、軟膏やスキンローション等といった形態に代表される人体および/またはその他の表面に使用し得る液体あるいは剤と混ぜて使用することもでき、殺菌や脱臭等に効果的になる。例えば、化粧品、図5に示すハンドクリーム11、軟膏、治療用軟膏(水虫、火傷、褥瘡、アトピーの二次疾患、傷等皮膚、表皮に関する疾患用)といった種々の製品用として液体あるいは剤と混ぜることは有用である。
【0042】
また、本発明の剤は、液体溶剤あるいは剤と混合のみならず、樹脂、セラミック、接着剤等といった製品と混ぜることもでき、材料製造用の原料と混ぜることもできる。
【0043】
プリント用インクや塗料等の形態に代表されるように、本発明の剤は、紙、木、布、プラスチック、金属、コンクリート等の種々の形態に接着することができ、殺菌し、臭気を除去する等に効果的になる。また、本発明の剤は、所望の形状または図に印刷することで飾的な効果を発揮することもでき、光の照射の利用を想定できない場合の種々の装飾およびその他の目的に使用することができる。本発明の剤は、例えば、セラミックス、金属、複合物に接着して、図6に示す飲料水、図5に示す飲料水12の保存、雨水の保存(図7)、雨水の再利用、貯水池、池、野菜の洗浄、水耕栽培、図8に示すクーリングタワー、浴槽、温泉、図9に示す土壌改良、食品の保存、食品の鮮度保持、排水口、図5に示すタイル13、図5に示す加湿器14、医療機器、カラムの充填剤等の種々の製品に利用でき、紙に接着することで、本発明の剤は食品保存、フィルター、医療用材料、医療製品、図5に示す壁紙15、障子紙、襖紙、図5に示す家具16の外装材等といった材料、製品用の様々な包装紙、鞄等の住宅用材料として有用である。加えて、樹脂に接着することで、本発明の剤は、装飾フィルム、保護フィルム、食品包装フィルムといった種々のフィルム、カテーテル、内視鏡、バルーン、計器のボタンといった医療の領域用の樹脂製品、図5に示すパーソナルコンピューター30、図5に示す電話17、図5に示すジェットタオル18、遊具等といった製品、図5に示す手すり19、図5に示す天井材28等といった住宅用資材、これらの製品を製造するのに必要な材料と同様に有用である。また紙、織布および/または不織布の原料に含まれる糊剤(集束剤)としても有用である。
【0044】
布(織物材料)及び織布に接着することによって、本発明の剤は、図5に示す布21、図5に示す食品用資材、農業用資材、医療用資材、絆創膏22、図5に示すガーゼ、包帯、 白衣23、図5のユニフォーム、フェイスマスク24、図5のカーテン25、図5に示すベッド布(ベッドシーツ)、布団カバー、毛布カバー、枕カバー等、多種のカバー(シートカバー、フロアクッションカバー等)、テーブルクロス、カーペット26、タオル、ハンカチーフ等、これらの製品を製造するのに必要な材料と同様、様々な製品に有用である。また、図5に示す空気清浄フィルター27や図5に示す水清浄フィルター29の材料としても使用できる。さらに、建物及びその他の構造物の塗装用、多種の製品の塗装用、船、橋、桟橋(橋脚)等への低汚染塗料の添加用に、フジツボ、サーピュラ、イガイ属等といった水生動物を追い払う(忌避する)為に使用することができる。藻類の発生防止用にも使用することができる。
【0045】
本発明の剤は、第一に、悪臭を発する物質、有毒物質等と同様、細菌、ウィルス、真菌を吸着する。その吸着に続いてあるいは同時に、細菌、ウィルス、真菌等は分解される。さらに、本発明の効果は、分解されないものであってもその成長を止めるかあるいは寄せ付けないことである。また、光の照射なしで本発明の剤は人間が地球上で生活する常温で光の照射下で持つ効果と同一の効果を有する。さらに、タンパク質からなる細菌、ウィルス、真菌等は分解され、消滅する故、上記の効果は時間の経過で減少することはなく半永久的に続く。
【0046】
細菌、真菌等は増殖に高温および高湿条件を好む。本発明の剤は、とりわけ高温および高湿条件下において効果的であり、それ故に細菌および真菌に効果的である。
【0047】
そのため、本発明の剤中の殺菌成分は不溶性であり、剤は、細菌、真菌等の所望しない生物の成長を死滅させ抑制する極めて幅広い有用な技術を代表するものである。公衆衛生、細菌管理、臭気管理等が要求される住宅、病院、介護施設、公共の場所、食品工場、水のプラント等の場所において、一製品のみで対応することは難しい為、複数の製品用に本発明の剤はこれらを要求に合わせて自由に組み合わせて"システム"として用いることによって極めて効果的であり、細菌を殺菌し臭気を除去する等に効果的になる。例えば図5に感染制御を目的とした"システム"の例を示してある。
【0048】
より幅広い領域で更なる効果を獲得する為に、既存の薬剤と、本発明の剤が使用されている種々の製品あるいはシステムの両方を使用(併用)することで、即効性および継続性を有する新規の殺菌システム(殺菌手法)として使用することができる(図10参照)。
【実施例1】
【0049】
<実施例1>
TiOの粉末(粒子径10μm〜50μm)と銀の粉末(粒子径1μm〜50μm)とを重量比100:10で熱結合したものを準備した。
【0050】
<実施例2>
実施例1の粒子をステンレスのプレート上にコーティングしたものを準備した。
【0051】
<比較例1>
実施例1、即ち、熱結合したTiOと銀との粒子を、熱結合を施していないTiOと銀との粒子に取り換えた。その他の条件は実施例1と比較例1とで全く同一とした。
【0052】
<比較例2>
実施例1、即ち、熱結合したTiOと銀との粒子を、熱結合を施していないTiOのみに取り換えた。その他の条件は実施例1と比較例2とで全く同一とした。
【0053】
<比較例3>
実施例2のステンレスプレートの上にコーティングした熱結合TiO銀を、銀と亜鉛ゼオライトに取り換えた。その他の条件は実施例2と比較例3とで全く同一とした。
【0054】
実施例1の本発明の剤0.02g粉末と、蒸留水10mlと、4.5×10 cfu/mlの黄色ブドウ球菌溶液0.1mlとを混合した。比較例1の0.02g粉末と、蒸留水10mlと、4.5×10 cfu/mlの黄色ブドウ球菌溶液0.1mlとを混合した。実施例2の0.02g粉末と、蒸留水10mlと、4.5×10 cfu/mlの黄色ブドウ球菌溶液0.1mlとを混合した。室温で0分、240分後の反応発生後の黄色ブドウ球菌の菌数を平板寒天培養法で測定した。
【0055】
結果は以下のようである。
【表1】
【0056】
実施例1の本発明の剤0.02g粉末と、4.5×10 cfu/mlの大腸菌溶液0.1mlとを混合した。比較例1の0.02g粉末と、蒸留水10mlと、4.5×10 cfu/mlの大腸菌溶液0.1mlとを混合した。比較例2の0.02g粉末と、蒸留水10mlと、4.5×10 cfu/mlの大腸菌溶液0.1mlとを混合した。室温で0分、240分後の反応発生後、大腸菌の菌数を平板寒天培養法で測定した。
【0057】
結果は以下のようである。
【表2】
【0058】
4.5×10 cfu/mlの黄色ブドウ球菌0.01mlを、実施例2のプレートの上に接種した。4.5×10 cfu/mlの黄色ブドウ球菌0.01mlを、比較例3のプレートの上に接種した。実施例2では60分、180分の反応発生後の、比較例3では60分、240分の反応発生後の黄色ブドウ球菌の菌数を平板寒天培養法で測定した。
【0059】
試験細菌のlog10不活化は以下のようである。
【表3】
【0060】
上記結果に基づいて、熱結合したTiOと銀とからなる本発明の剤は、有機物を分解する良好な能力を有していると考えられる。
【0061】
上記に加えて、本発明の剤は環境に負荷を与えない。
【0062】
殺菌し、ウィルスを不活化し、アレルゲンを分解し、消臭目的の様々な医薬品が存在する。しかしそういった医薬品は効果的であるほど、より内因的に人体および自然界に破壊的であるという事実に相関している。しかしながら、本発明の剤は、剤が水に溶けず長時間持続し、長期間効果的であるという理由から環境に影響を及ぼさない。
【0063】
上記した実施例は、本発明の要旨の範囲から離れることなく当該技術分野における通常の知識を有する者による一例であることは明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10