(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362766
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】孔部内に構成要素を備える剃刀の柄、及びそのような剃刀の柄を備える剃刀
(51)【国際特許分類】
B26B 21/52 20060101AFI20180712BHJP
B26B 21/40 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
B26B21/52 A
B26B21/40 Z
【請求項の数】32
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-506717(P2017-506717)
(86)(22)【出願日】2014年8月7日
(65)【公表番号】特表2017-522997(P2017-522997A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2014067038
(87)【国際公開番号】WO2016020009
(87)【国際公開日】20160211
【審査請求日】2017年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】507020417
【氏名又は名称】ビック・バイオレクス・エス・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スピロス・グラツィアス
(72)【発明者】
【氏名】イオアニス・マリオス・プシマダス
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルギオス・ゲオルガキス
(72)【発明者】
【氏名】エフストラティオス・クリストフィデリス
【審査官】
亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−024456(JP,A)
【文献】
特開2012−254280(JP,A)
【文献】
特開平10−043444(JP,A)
【文献】
特開2005−185856(JP,A)
【文献】
特開2003−311048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 21/00 − 21/60
B25G 1/10
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向(C)に延びる細長い本体(4)を備える剃刀の柄(2)であって、
前記細長い本体(4)は、外面(4E)を有し、かつ前記外面(4E)に開口するとともに前記細長い本体(4)の内側の内部空間を区切る第1の孔部(9)を設けられ、前記剃刀の柄(2)は前記第1の孔部(9)内に設けられた構成要素(12)をさらに備える、剃刀の柄(2)において、
前記構成要素(12)は、前記細長い本体(4)と一体であるとともに、前記第1の孔部(9)の前記内部空間より小さな最大径を有し、かつ前記第1の孔部(9)の前記内部空間の形状とは異なる外部形状を有することを特徴とする、剃刀の柄(2)。
【請求項2】
前記細長い本体(4)は、第1の材料(22)及び第2の材料(23)を備え、前記構成要素(12)は前記第2の材料(23)からなることを特徴とする請求項1に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項3】
前記第1の材料(22)はプラスティックの中から選択され、一方で前記第2の材料(23)はゴムの中から選択されることを特徴とする請求項2に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項4】
前記構成要素(12)は、前記第1の孔部(9)内に成形されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項5】
前記構成要素(12)は、前記長手方向(C)に対して垂直な方向において前記第1の孔部(9)内に延びる部分(12C)を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項6】
前記構成要素(12)は、球状の形状を有する外面(12B)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項7】
前記構成要素(12)は、指を置く領域を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項8】
前記剃刀の柄(2)は第2の孔部(10)を備え、前記第2の孔部(10)は前記細長い本体(4)の前記外面(4E)に開口することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項9】
前記剃刀の柄(2)は、前記第2の孔部(10)内に部分的に封止された挿入部材(11)を備えることを特徴とする請求項8に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項10】
前記挿入部材(11)は、前記第2の孔部(10)内で動くことができず、前記動くことができない挿入部材(11)は指を置く領域を形成することを特徴とする請求項9に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項11】
前記挿入部材(11)は前記第2の孔部(10)内で可動であることを特徴とする請求項9に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項12】
前記挿入部材(11)は球状であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項13】
前記挿入部材(11)は、前記長手方向(C)に垂直な方向において測定した、前記細長い本体(4)の幅(W1)の10%〜80%の直径(D11)を有することを特徴とする請求項12に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項14】
前記挿入部材(11)は、前記細長い本体(4)の材料の密度とは異なる密度を有する剛体材料から作られることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項15】
前記挿入部材(11)は、金属、プラスティック、及びゴムの中から選択された材料を備えることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項16】
前記細長い本体(4)は上面(4A)及び下面(4B)を有し、前記下面(4B)は前記上面(4A)に対向し、前記第1及び第2の孔部(9、10)は、前記上面(4A)と、前記下面(4B)と、の間に延びる貫通孔であることを特徴とする請求項8〜15のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項17】
前記下面(4B)は前記上面(4A)に対向し、前記上面(4A)の少なくとも一部(19)及び前記下面(4B)の少なくとも一部(20)は前記第2の材料(23)で覆われ、それによって前記一部それぞれが、少なくとも上部把持領域(19)及び少なくとも下部把持領域(20)それぞれを形成することを特徴とする請求項2〜16のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項18】
前記構成要素(12)は、前記上面(4A)及び前記下面(4B)を覆う前記第2の材料(23)と一体の構成要素を形成することを特徴とする請求項17に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項19】
前記細長い本体(4)は、互いに対向するとともに、前記上面(4A)と、前記下面(4B)と、の間で前記長手方向に延びる2つの側面(4C、4D)を有し、前記側面(4C、4D)は、前記第2の材料(23)からなる複数の滑らかなリブ(16)を備え、前記滑らかなリブ(16)のそれぞれは、前記上部把持領域(19)と、前記下部把持領域(20)と、を一緒に接続していることを特徴とする請求項17又は18に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項20】
前記剃刀の柄(2)は前端(2A)と、後端(2B)と、の間に延び、前記後端(2B)は前記前端(2A)に対向し、前記前端(2A)には、髭剃りカートリッジ(3)への接続のための接続手段(5)が設けられていることを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項21】
前記挿入部材(11)は前記前端(2A)の近傍に配置され、一方で前記構成要素(12)は前記後端(2B)の近傍に配置されていることを特徴とする請求項9〜19のいずれか一項及び請求項20に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項22】
前記挿入部材(11)は、その重心を、前記前端(2A)から前記長手方向(C)に沿って測定された、前記剃刀の柄(2)の長さ(L)の10%〜30%の距離(L11)に位置する第1の点(11A)に有することを特徴とする請求項21に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項23】
前記構成要素(12)は、その重心を、前記後端(2B)から前記長手方向(C)に沿って測定された、前記剃刀の柄(2)の長さ(L)の10%〜30%の距離(L12)に位置する第2の点(12A)に有することを特徴とする請求項21に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項24】
前記長手方向(C)に沿って測定された、前記第1の点(11A)と、前記第2の点(12A)と、の間の距離(L11−12)は、前記剃刀の柄(2)の長さの50%〜70%であることを特徴とする請求項22及び23に記載の剃刀の柄。
【請求項25】
前記側面(4C、4D)のそれぞれは、前記剃刀の柄(2)の前記前端(2A)の近傍に、離間して突出する複数のピン(18)を備えることを特徴とする請求項19及び20に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項26】
前記第2の孔部(10)は内部側壁(10A)を有し、保持リング(13)が前記内部側壁(10A)から突出するとともに、前記挿入部材(11)を前記第2の孔部(10)内に保持するために、前記挿入部材(11)を少なくとも部分的に周辺で取り囲むことを特徴とする請求項9〜25のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項27】
前記第1の孔部(9)は、前記長手方向(C)に延びる細長い棒状部材(14)によって分割され、前記細長い棒状部材(14)は、前記構成要素(12)を少なくとも部分的に周辺で取り囲む部分(14A)を備えることを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項28】
前記第1の孔部(9)は内部側壁(9A)を備え、前記第1の孔部(9)は、互いに対向するとともに前記内部側壁(9A)から突出する2つの突出部(15A、15B)をさらに備え、かつ前記構成要素(12)の形状に部分的に相補的な形状を有することを特徴とする請求項1〜27のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項29】
前記第1の孔部(9)は、前記細長い本体(4)の内側に備えられた第1の内部空間(9B)を区切り、前記第2の孔部(10)は、前記細長い本体(4)の内側に備えられた第2の内部空間(10B)を区切り、前記構成要素(12)及び前記挿入部材(11)のそれぞれは、前記第1の孔部及び前記第2の孔部(9、10)の前記内部空間(9B、10B)よりそれぞれ小さい最大径を有することを特徴とする請求項9〜28のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項30】
前記剃刀の柄(2)は、断面において、滑らかな角部を有する略台形状の形状(TZ)を有することを特徴とする請求項1〜29のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか一項に記載の剃刀の柄(2)と、該剃刀の柄(2)に接続された髭剃りカートリッジ(3)と、を備える剃刀(1)。
【請求項32】
前記剃刀カートリッジ(3)がトリミング用刃を備えることを特徴とする請求項31に記載の剃刀(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剃刀の柄及び剃刀に関する。
【背景技術】
【0002】
より具体的には、本発明は、長手方向に延びる細長い本体を備える剃刀の柄に関し、この細長い本体は外面を有するとともにこの外面に開口する第1の孔を設けられており、剃刀の柄は、この第1の孔内に設けられた構成要素をさらに備えている。
【0003】
特許文献1は、第1の剛性材料にモールド成形された内側コア及びこの内側コアから分離した挿入部材を備える既知の剃刀の柄の例を開示する。第2の材料は、把持部を形成するとともに、挿入部材を包み込んでいる。
【0004】
しかし、剃刀の柄のそのような挿入部材を、製造の時間及びコストをかけることなく包含させることは困難であることが多い。さらに、挿入部材が剃刀の柄から不注意で外れてしまう危険がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第2250003号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、これら欠点を回避することである。より具体的には、本発明の1つの目的は、髭剃り中の使用者の髭剃りの感覚的体験(shaving experience)を改善しつつ、本発明に係る剃刀の柄の製造を容易化することである。
【0007】
別の目的は、本発明に係る剃刀の柄の構成要素の不注意による分離を回避することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これは、本発明によれば、前記構成要素が細長い本体と一体にされており、前記第1の孔部の形状とは異なる形状を有するという事実によって解決される。
【0009】
したがって、剃刀の柄は、細長い本体と一体ではない挿入部を組み込むことなく容易に製造することができる。
【0010】
さらに、構成要素は、細長い本体の材料でもある所定の材料からなる。したがって、構成要素は細長い本体とともに容易に成形することができる。
【0011】
そのような剃刀の柄の有利な実施形態では、以下の1つ及び/又は他の特徴を組み込むことができる。
【0012】
‐細長い本体は、第1の材料及び第2の材料を備え、構成要素は前記第2の材料から成る。
‐構成要素は第1の孔部内に成形される。
‐構成要素は、長手方向に対して垂直な方向において第1の孔部内に延びる。
‐第1の材料はプラスティックから選択されるが、第2の材料はゴムから選択される。
‐構成要素は、球状の形状を有する外面を有する。
【0013】
‐構成要素は指を置く領域(finger rest area)を形成する。
‐剃刀の柄は第2の孔部を備え、この第2の孔部は、細長い本体の外面に開口する。
‐剃刀の柄は、第2の孔部内に部分的に封止された挿入部材を備える。
‐挿入部材は第2の孔部内では動くことができず、この動くことができない挿入部材が指を置く領域を形成する。
‐挿入部材は第2の孔部内で可動である。
【0014】
‐挿入部材は球状である。
‐挿入部材は、10mm〜20mmの直径を有する。
‐挿入部材は、長手方向に垂直な方向において測定された、細長い本体の幅の10%〜80%の直径を有する。
‐挿入部材は、細長い本体の密度とは異なる密度を有する剛体材料から成る。
‐挿入部材は、金属、プラスティック、及びゴムから選択された材料を備える。
【0015】
‐細長い本体は上面及び下面を有し、下面は上面に対向し、第1及び第2の孔部は、前記上面と前記下面との間に延びる貫通孔である。
‐下面は上面に対向し、上面の少なくとも一部及び下面の少なくとも一部は、これら部分がそれぞれ少なくとも上部把持領域及び少なくとも下部把持領域を形成するように、第2の材料で覆われている。
‐構成要素は、上面及び下面を覆う第2の材料と一体構成要素を形成する。
‐細長い本体は、互いに対向するとともに上面と下面との間に長手方向に延びる2つの側面を有し、前記側面は第2の材料から成る複数の滑らかなリブを備え、前記滑らかなリブのそれぞれは、上部把持領域及び下部把持領域を一緒に接続する。
‐剃刀の柄は前端と後端との間に延び、後端は前端に対向し、前端には髭剃りカートリッジへの接続のための接続手段が設けられている。
【0016】
‐挿入部材は前端の近傍に配置されており、一方で構成要素は後端の近傍に配置されている。
‐挿入部材は、長手方向に沿って測定した前端から約30mmの距離に位置する第1の点を中心とする。
‐構成要素は、長手方向に沿って測定した後端から約20mmの距離に位置する第2の点を中心とする。
‐長手方向に沿って測定した第1の点と第2の点との間の距離は70mm〜90mmである。
‐挿入部材は、前端から長手方向に沿って測定された剃刀の柄の長さの10%〜30%の距離にある第1の点を中心とする。
【0017】
‐構成要素は、後端から長手方向に沿って測定された、剃刀の柄の長さの10%〜30%の距離にある第2の点を中心とする。
‐長手方向に沿って測定された第1の点と第2の点との間の距離は、剃刀の柄の長さの50〜70%である。
‐側面それぞれは、剃刀の柄の前端の近傍に、離間して突出する複数のピンを備える。
‐第2の孔部は内側壁を有し、保持リングが、この内側壁から突出するとともに、前記第1の孔部内に挿入部材を保持するために挿入部材を少なくとも部分的にその周囲で取り囲む。
‐第1の孔部は、長手方向に延びる細長い棒状部材(bar)によって分割されており、前記細長い棒状部材は、構成要素を少なくとも部分的に周囲で取り囲む部分を備える。
【0018】
‐第2の孔部は内側壁を備え、前記第1の孔部は、互いに対向するとともに前記内側壁から突出し、かつ構成要素の形状に対して部分的に相補的な形状を有する、2つの突出部をさらに備える。
‐第1及び第2の孔部のそれぞれは、細長い本体の内側に備えられた内部空間を区切り、挿入部材及び構成要素は、前記内部空間よりそれぞれ小さい前記第1及び第2の孔部のサイズを有する。
‐剃刀の刃は、その断面において、滑らかな角部を有する略台形状の形状を有する。
【0019】
また、本発明は、そのような剃刀の柄及びこの剃刀の柄に接続された髭剃りカートリッジを備える剃刀にも関する。
【0020】
一実施形態によれば、髭剃りカートリッジはトリミング用ブレードを備えることができる。
【0021】
本発明の上述した及び他の目的、並びに利点が、添付の図面に関連して考慮された、本発明の一実施形態の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】髭剃りカートリッジに接続された剃刀の柄を備える本発明に係る剃刀の斜視図である。
【
図2】
図1の剃刀の斜視図であって、髭剃りカートリッジが剃刀の柄から外されている。
【
図5】
図3Aに示された剃刀の柄の、線V−Vに沿った長手方向断面図である。
【
図6】
図5に示された剃刀の柄の、線VI−VIに沿った断面図である。
【
図7】
図3Aに示された剃刀の柄の、線VII−VIIに沿った断面図である。
【
図8】
図5に示された剃刀の柄の、線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【
図9】
図5に示された剃刀の柄の、線IX−IXに沿った断面図である。
【
図11A】
図11の剃刀の柄の、線XIA−XIAに沿った断面図である。
【
図11B】
図11の剃刀の柄の、線XIB−XIBに沿った断面図である。
【
図11C】
図11の剃刀の柄の、線XIC−XICに沿った断面図である。
【
図11D】
図11の剃刀の柄の、線XID−XIDに沿った断面図である。
【
図11E】
図11の剃刀の柄の、線XIE−XIEに沿った断面図である。
【
図11F】
図11の剃刀の柄の、線XIF−XIFに沿った断面図である。
【
図11G】
図11の剃刀の柄の、線XIG−XIGに沿った断面図である。
【
図11H】
図11の剃刀の柄の、線XIH−XIHに沿った断面図である。
【
図11I】
図11の剃刀の柄の、線XII−XIIに沿った断面図である。
【
図11J】
図11の剃刀の柄の、線XIJ−XIJに沿った断面図である。
【
図11K】
図11の剃刀の柄の、線XIK−XIKに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な図面において、同じ参照符号は同一の又は同様の構成要素を示す。
【0024】
図1はウェットタイプの髭剃り用剃刀1を示す。本発明は、剃刀の柄2と、髭剃りカートリッジ3を備える。髭剃りカートリッジ3は好ましくは使い捨て式髭剃りカートリッジであって1つ又は幾つかの刃3Aを備え、髭剃りカートリッジは
図1及び
図2にそれぞれ示すように、剃刀の柄に接続するか、又は剃刀の柄から外すことができる。髭剃りカートリッジ3はまた、少なくとも1つのトリミング用刃を、好ましくは刃3Aに対向する側部に設けられている。トリミング用刃先は、刃3Aの刃先に対して反対側に面している。
【0025】
剃刀の柄2は、
図4におけるように側面から見たときに概して湾曲した形状を有する。剃刀の柄2は前端2Aと、後端2Bと、の間で長手方向に延び、後端2Bは前端2Aに対向している。剃刀の柄2は、剃刀の柄2を把持する手のための細長い本体4をも有している。より正確には、細長い本体4は、後端2Bから前端2Aに近い場所まで長手方向に延びる。剃刀の柄2は、前端2Aまでの細長い本体4の延長部に接続手段5をさらに備える。言い換えると、細長い本体4は、後端2Bから接続手段5の始まりまで長手方向に延びる。髭剃り用剃刀1は、後端2Bから接続手段5の自由端(この自由端は、髭剃りカートリッジ3に接続される部分である)まで長手方向に延びる。
【0026】
図3A及び
図3Bを参照すると、剃刀の柄2を正中面P1に対して対称とすることができ、長手方向Cにおける長さLを有することを見て取ることができる。長手方向Cに沿って測定された細長い本体4の長さL4は、剃刀の柄2の長さLの60%〜90%とすることができる。長手方向Cに沿って測定された接続手段5の長さL5は、剃刀の柄2の長さLの10%〜30%とすることができる。長手方向Cにおける長さLは、100mm〜150mm、好ましくは約125mmとすることができる。細長い本体4の長さL4は約100mm〜約120mmであり、一方で接続手段5の長さL5は約15〜25mmである。例えば、剃刀の柄2の長さLは約126mmである。接続手段5の長さL5は約17mmである。細長い本体4の長さL4は、約108mmである。
【0027】
また、剃刀の柄2は、剃刀の柄2の長さLに沿って、変化する高さH及び幅Wを画定することができる。剃刀の柄2の高さHは、方向Cに沿って変化させることができるが、好ましくは15mm〜25mm、好ましくは約20mmである。
図4に示すように、細長い本体4の最も小さい高さH1は、剃刀の柄2のほぼ中央に位置する。
【0028】
剃刀の柄2が、前端2Aの近傍に最大とされた幅W1を有する第1の拡大された部分Ep1をもまた有することを、
図3A及び3Bの剃刀の柄2の上面図及び下面図に見ることができる。また、細長い本体は、剃刀の柄2の後端2Bの近傍に位置する、最大とされた幅W2を有する第2の拡大された部分Ep2をも有する。第1及び第2の拡大された部分Ep1、Ep2は、剃刀の柄2の略中央に位置する細い部分Spによって一緒に接続されている。具体的には、細い部分Spは、最小とされた幅W3を有する。第1の拡大された部分Ep1はこの細い部分Spから接続手段5まで延び、第2の拡大された部分Ep2はこの細い部分Spから後端2Bまで延びる。第1及び第2の拡大された部分Ep1、Ep2は、長手方向Cに沿って長さLEp1、LEp2を有し、これら長さLEp1、LEp2はそれぞれ、細い部分Spによる、第1の拡大された部分Ep1と第2の拡大された部分Ep2との間の接続が滑らかな湾曲を有するように選択されている。
【0029】
長さ方向Cに沿って測定された第1の拡大された部分Ep1の長さLEp1は、剃刀の柄2の長さLの10%〜20%とすることができる。長さ方向Cに沿って測定された第2の拡大された部分Ep2の長さLEp2は、剃刀の柄2の長さLの40%〜70%とすることができる。細い部分Spの長さLSpは、剃刀の柄2の長さLの10%〜20%とすることができる。例えば、第1の拡大された部分Ep1の長さLEp1は、約25mmである。第2の拡大された部分Ep2の長さLEp2は、約55mmである。
細い部分Spの長さLSpは、約25mmである。
【0030】
それらすべてが
図11に示したような剃刀の柄2に沿った断面である
図11A〜11Kに示したように、剃刀の柄2は断面において、剃刀の柄2の中央の近くに位置するゾーンを除いて、滑らかな角部を有する略台形状の形状を有している。この特定の領域では、断面における剃刀の柄2のおおよその形状は、
図11Hに示すように、より三角形状である。
【0031】
この略台形状の形状は、例えば
図11D、11E、及び11Iに示す仮想の台形TZによって図上に強調されている。台形状の形状は、指を置くための4つの異なる面を有するが、三角形状の形状は3つの異なる面しか有さない。また、その略台形状の形状のゆえに、剃刀の柄2は指による把持のためのより良く、大きな領域を有する。したがって、この特定の台形状の形状は、快適な把持と、髭剃りと、を容易にする。
【0032】
接続手段5は細長い本体4と一体であるとともに、細長い本体4から延び、剃刀の柄2の前端2Aにおける自由端6Bに向かって突出する2つの柔軟なアーム部6を備える。言い換えると、この柔軟なアーム部6及び細長い本体4が一体となっている。
【0033】
図10に示すように、2つのアーム部6は、髭剃りカートリッジ3への接続のための支持構造7を自由端6Bにそれぞれ設けられた、剃刀の柄2の長手方向Cから分岐するV字状に配置することができる。開示されている実施形態では、髭剃りカートリッジ3は枢動タイプであり、支持構造7は剃刀の柄2に接続されているときに髭剃りカートリッジ3の枢動を可能にし、一方でアーム部6間に延び、髭剃りカートリッジ3上に形成された溝部8Aと協働する長手方向の柔軟な舌部8は、髭剃りカートリッジ3を
図1に示すような静止位置に向かって付勢するばね力を提供する。しかし、髭剃りカートリッジ3はまた、髭剃りの柄2に対して固定することもできる。
【0034】
それぞれのアーム部6は、その上面に複数の小さな空洞21をさらに有する。そのような構造は、人間の髭剃りの目的のための接続手段5に十分な構造的強度を提供し、一方で剃刀の柄2のこの部分の重量及びコストを節約する。より正確には、アーム部6及び柔軟な舌部8は、滑らかな角部を有する四角形状の形状を有し、接続手段5の改善されたロバスト性を可能にする。
【0035】
細長い本体4は外面4E、より正確には
図3A及び3Bに示すような上面4A及び下面4Bを有し、下面4Bは上面4Aに対向している。細長い本体4は、上面4Aと、下面4Bと、の間に備えられた、互いに対向するとともに長手方向に延びる2つの側面4C、4Dをさらに有する。上面4A及び下面4Bが、前端2Aの近傍における下面4B(すなわち、接続手段5が手による把持を容易化するように設計された凹部分を有する)、及び後端2Bの近傍を除いて凸であることを
図11A〜11Iに見て取ることができる。
【0036】
例えば、剃刀の柄2の長手方向断面図である
図5に見られるように、細長い本体4及び接続手段5は、第1の材料22から成形された一体構成要素を形成している。第1の材料22は、いずれかの成形可能な材料とすることができる。好ましくは、第1の材料22は剛体である。例えば、第1の材料22はプラスティック及びゴムから選択される。また、細長い本体4及び接続手段5は、熱可塑性材料、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)又はポリプロピレン中に成形することができる。
【0037】
細長い本体4は、このようにただ1つの材料を備えることができる。また別の実施形態では、細長い本体4は第1の材料22とは異なる第2の材料23も備えることができる。第2の材料は、ゴムから選択することができる。第2の材料23は、熱可塑性エラストマ(TPE)のような、エラストマ材料とすることができる。例えば、第2の材料23は、弾性を有するとともに使用者によって変形可能であってもよい。
【0038】
第2の材料23は、プラスティックから選択することもできる。より正確には、第2の材料23は剛体プラスティックとすることができる。第2の材料23にプラスティックを使用することは、生産の低いコストと、剃刀の柄2の簡単な製造プロセスを可能にする。さらに、第2の材料23は、第1の材料22の色とは異なる色を有することができ、したがって第1の材料22と第2の材料とのコントラストを示すことができる。また別の実施形態によれば、第2の材料23は、剃刀の柄2に曇った見かけ(glaze look)を与えるように透明とすることができる。
【0039】
第2の材料23は、快適な手による把持と、すべての髭剃りポジションにおけるしっかりした指による把持と、のために必要とされる柔らかさを提供する。
図3A及び3Bに示されるように、上面4Aの少なくとも一部分19及び下面4Bの少なくとも一部分20を第2の材料23で覆って、前記部分19、20それぞれが上部把持領域と下部把持領域とを形成するようにすることができる。より好ましくは、例えば
図11A〜11Kに見られるように、第2の材料23は細長い本体4の上面4Aの大部分、好ましくはすべてを覆う。第2の材料23はまた、細長い本体4の下面4Bの大部分、好ましくはすべてを覆う。
【0040】
細長い本体4は、第1の孔部9をさらに含む。第1の孔部9は、好ましくは剃刀の柄2の第2の拡大された部分Ep2の中に配置される。細長い本体4は、第2の孔部10をさらに含むことができる。第2の孔部10は、好ましくは剃刀の柄2の第1の拡大された部分Ep1の中に配置される。
【0041】
第1及び第2の孔部9、10は、好ましくは細長い本体4の上面4Aと下面4Bとの間に延びる貫通孔である。代替的に、第1及び第2の孔部9、10は、側面4C、4D間に延びる貫通孔とすることもできる。さらに、第1及び第2の孔部9、10は、細長い本体4の外面4E、特に上面4A又は下面4Bに開口するめくら孔とすることができる。
【0042】
図7、8、及び9に示すように、第1及び第2の孔部9、10のそれぞれは、内部側壁9A、10Aをそれぞれ有し、これら内部側壁9A、10Aのそれぞれは、上面及び下面4A、4B間において細長い本体の内側に備えられた内部空間9B、10Bを区切る。より具体的には、第1及び第2の孔部9、10のそれぞれの内部側壁9A、10Aは、半円部分9C、10Cを備える。第1及び第2の孔部9、10は、これら半円部分9C、10Cから、剃刀の柄2の中央の細い部分Spに向かって長手方向CにV状に収束する。また、第1及び第2の孔部9、10の両方は、好ましくはそれぞれが
図3A及び3Bに示されたように上から又は下から見たときに反対方向にそれぞれ方向付けられた水滴形状を有する。言い換えると、上から、又は下からみると、細い部分Spを介して接続されている第1及び第2の孔部9、10は、8の字を形成する一般的形状を有する。
図7及び11Jに示されるように、第2の材料23は、第2の孔部10の側壁10B上に少なくとも部分的にオーバーフローすることができる。
【0043】
第1の孔部9は、長手方向Cにおける剃刀の柄2の長さLの10%〜40%とすることができる長さL9を有する。例えば、第1の孔部9の長手方向に沿った長さL9は、40mm〜60mm、好ましくは約47mmである。第2の孔部10は、長手方向Cにおける剃刀の柄2の長さLの10%〜30%とすることができる長さL10を有する。例えば、第2の孔部10の長手方向に沿った長さL10は、10mm〜30mm、好ましくは約22mmである。また、
図3Bに示すように、第1の拡大された部分Ep1は、接続手段5から剃刀の柄2の中央に向かって配置された第2の孔部10の端部へ延びる。細い部分Spは、剃刀の柄2の中央に向かって配置された第2の孔部10のこの端部から、これもまた剃刀の柄2の中央に向かって配置された第1の孔部9の端部へ延びる。第2の拡大された部分Ep2は、剃刀の柄2の中央に向かって配置された第1の孔部9の端部から、後端2Bへ延びる。
【0044】
剃刀の柄2は、第1の孔部9内にそれぞれ配置された構成要素12をさらに備える。構成要素12は、好ましくは第1の孔部9の内部区間9B内に成形される。具体的には、構成要素12は、第1の孔部9の形状とは異なる形状を有することができる。有利には、構成要素12は第1の孔部9のサイズより小さなサイズを有する。この特定の実施形態によれば、構成要素12は第1の孔部9の内部空間のすべてを満たすことはなく、第1の孔部9のいくらかの空間が、構成要素12がない状態とされる。また、
図3A及び3Bに示すように、長手方向Cにおける第1の孔部9の長さL9は、構成要素12の長手方向におけるサイズより大きい。
【0045】
図5に示すように、構成要素12は、長手方向Cに垂直な方向において第1の孔部9内に延びる部分12Cを有する。この部分12Cは、結果的に構成要素12を剃刀の柄2内に、特に細長い本体4の第1の材料22に固定することを可能とする。また、構成要素12は使用者に見える外面12Bを備える。より好ましくは、構成要素12の外面12Bは、髭剃り中に使用者が触れることができる。構成要素12の外面12Bは、球状の形状を有することができる。より正確には、外面12Bは、
図3Bに示すように、細長い本体4の少なくとも上面4A及び/又は下面4Bにおいては球状の形状を有することができる。外面12Bは卵型の形状を有することができる。より一般的には、構成要素12の外面12Bは、パラレリピペディック(parallelipipedic)、立方体、又は円柱状の形状を有することができる。図面に記載されている実施形態では、構成要素12の外面12Bは、好ましくは球状の形状を細長い本体4の上面及び下面4A、4Bに有する。
【0046】
構成要素12は細長い本体4と一体とすることができる。一体とすることによって、構成要素12を細長い本体4の材料から作られることが理解される。
【0047】
一実施形態によれば、構成要素12は第1の材料22から成る。例えば、構成要素12は第1の材料22から細長い本体4と一緒に成形することができ、それによって製造コストを減少することを可能にする。
【0048】
また、構成要素12は第2の材料23から作ることもできる。
図5に示すように、構成要素12は、細長い本体4の上面4A及び/又は下面4Bを覆う第2の材料23と一体とされる。言い換えると、構成要素12並びに、上面4A及び/又は下面4Bを覆う第2の材料23の層は一体であり、それによって材料の不連続が構成要素12と細長い本体4の第2の材料23との間に存在することがない。
【0049】
図8に示すように、第1の孔部9は、長手方向Cに延びるとともに平面P1において第1の孔部9内にある細長い棒状部材14によって2つの部分に分割される。細長い棒状部材14は第1の材料22から成る部分14Aを備え、この部分14Aは構成要素12の周囲を部分的に取り囲む。第1の孔部9の内部側壁9Aもまた、互いに対向し、好ましくは第1の材料22から成る2つの小さな突出部15A、15Bを備える。突出部15A、15Bは内部側壁9Aから突出し、構成要素12の形状に対して部分的に相補的な形状を有する。
【0050】
構成要素12は、後端2Bの近傍に配置することができる。好ましくは、構成要素12は、後端2Bから長手方向Cに沿って測定された、剃刀の柄2の長さLの10%〜30%の距離L12に位置する第2の点12Aを中心とする。例えば、距離L12は後端2Bから約21mmとすることができる。
【0051】
また、剃刀の柄2は第2の孔部10の内部空間10B内に配置された挿入部材11を備えることができる。挿入部材11は、
図5に示すように、第2の孔部10内に部分的に封止することができる。好ましくは、挿入部材11の表面の75%未満、好ましくは50%未満が第2の孔部10内に封止される。言い換えると、封止された挿入部材11の表面は、細長い本体4の第1の材料22で周囲を取り囲まれているので、使用者が直接触ることはできない。さらに、挿入部材はまた封止されていない外面11Bをも有する。
【0052】
挿入部材11は球状の形状を有することができる。挿入部材11は卵型の形状を有することができる。より一般的には、挿入部材11は、パラレリピペディック、立方体、又は円柱状の形状を有することができる。特に、挿入部材11は第2の孔部10の形状とは異なる形状を有することができる。有利には、挿入部材11は、第1の孔部のサイズより小さなサイズを有する。
図3A及び3Bに示すように、第2の孔部10の長手方向Cにおける長さL10は、挿入部材11の長手方向サイズより大きい。
【0053】
挿入部材11は好ましくは、金属、プラスティック、及びゴムから選択された材料から成る。具体的には、挿入部材11は好ましくは第1の材料22及び細長い本体4の第2の材料23の密度とは大きく異なる密度を有する剛体材料から成る。それによって、挿入部材11は、剃刀の柄2の体積を大幅に増加させることなく剃刀の柄2の重量を増加させることに寄与する。したがって、剃刀の柄2は、良好な髭剃りを提供し、髭剃りカートリッジ3の刃3Aと髭剃りされる使用者の皮膚との間に良好な接触が提供されることを確実にするのに十分重くすることができる。髭剃りカートリッジ3がトリミング用刃を備える実施形態では、剃刀の柄2は、このトリミング用刃を使用するために90度だけ反転することができる。トリミング位置では、挿入部材11は髭剃り中と同じ目的を維持する。挿入部材11は、トリミング用刃とトリムされる髪との間の接触を制御するのを助ける確定された表面を依然として提供する。さらに、好ましくは細長い本体4の下面4Bを封止されていない挿入部材11の面に指を置くことによって、挿入部材11を使用者による把持表面として依然として使用することができる。したがって、使用者は指の配置を調整することを強制されず、剃刀の柄2を髭剃りに対するのと同じ態様で使用することができる。
【0054】
さらに、挿入部材11によって、細長い本体4は、既知の剃刀の柄に使用されている材料と比較すると、軽く安価な材料で作ることができる。第1及び第2の材料22、23の軽さにもかかわらず、剃刀の柄2は高品質な外観と、挿入部材のおかげの最適化された重量を依然として有する。挿入部材11の材料を、細長い本体4の第1及び第2の材料22、23と異ならせることができるので、使用者は、指が剃刀の柄2の挿入部材11上にうまく置かれるかどうかを、触れることを通じて容易に知ることができる。また、挿入部材11の位置を認識することによって、使用者は、指を置く領域として提供することができる第1の孔部10の自由空間に指を置くように導かれることができる。好ましくは、挿入部材11は金属のみからなり、他のいずれの材料も備えない。
【0055】
また、挿入部材11はいくつかの材料で作ることができる。具体的には、挿入部材11は、滑らかな表面を有する別の材料の層で覆うことができる。例として、挿入部材11を金属で作り、ゴムの層で覆うことができる。この実施形態では、層は0.5μm〜1.6μm(粗さRa)の表面仕上げを有することができる。また別の代替例として、挿入部材11は、その半球がゴムからなり、他の半球がプラスティックからなる球体とすることができる。このように、挿入部材11は、異なるタイプの指を置く領域を提供することによって2つの目的を果たすことができる。
【0056】
挿入部材11は、好ましくは第2の孔部10内に好都合に固定された状態に保持され、したがって使用者によって第2の孔部10から取り外せないようにすることができる。さらに、挿入部材11は第2の孔部10内においていずれの態様でも動かすことができない。したがって、挿入部材11は第2の孔部10に対して可動ではない(動かせないか又は静止している)。動かない挿入部材11はしたがって、指を置く領域を形成する。より正確には、挿入部材11は第2の孔部10内を滑動することができない。より具体的には、
図7に示すように、好ましくは第1の材料22で作られた保持リング13が、剃刀の柄2の対称面P1に垂直な平面P2内の第2の孔部10の内部側壁10Aから突出し、前記挿入部材11を前記第2の孔部10内に保持するために挿入部材11を部分的に周面で取り囲む。
【0057】
しかし、また別の実施形態では、挿入部材11は、すべての方向にその自身の軸の周りにそれ自体で回転することができる球体とすることができる。また、挿入部材11が球体である場合には、挿入部材11の回転を容易とするために挿入部材11と保持リング13との間に隙間を提供することができる。隙間は、挿入部材11の選択された回転自由度に依存して、0.005μm〜0.025μmとすることができる。小さい隙間は挿入部材が容易に回転することを妨げ、大きな隙間は回転を容易とする。挿入部材11の表面仕上げは、この可動性、特に回転を可能にするように適用される。挿入部材11が異なる材料から成り、したがって異なる密度を有する2つの半球を備える場合には、使用者は必要に応じて挿入部材11を回転させることによって、2つの半球間を切り替えることができる。指のうちの1本をそのような可動な挿入部材11上に位置付けることができる使用者は、指が挿入部材11上で絶えず滑動するので髭剃りが困難であることがわかるだろう。したがって、髭剃りは正確ではなく、快適でない。したがって、挿入部材11が第2の孔部10に対して可動である場合には、指を置く領域を形成することができない。
【0058】
挿入部材11は前端2Aの近傍に配置される。好ましくは、挿入部材11は、前端2Aから長手方向Cに沿って測定された、剃刀の柄2の長さLの10%〜30%の距離L11に位置する第1の点11Aを中心とする。例えば、距離L11は、前端2Aから約25mmとすることができる。
【0059】
構成要素12の表面12B及び/又は挿入部材11の表面11Bは、以下に詳細に述べるように、直接的又は間接的に使用者の指に接触可能であってもよい。また、構成要素12の外面12B及び/又は挿入部材11の表面11Bは、細長い本体4の上面4A及び/又は下面4B上に指を置く領域を形成することができる。このように、使用者が髭剃りをしたいときには、使用者は指を構成要素12及び/又は挿入部材11の上、好ましくは構成要素12の表面12Bの上及び/又は封止されていない挿入部材11の外面11Bの上に、位置させることができる。
【0060】
好ましくは、構成要素12及び挿入部材11は、剃刀の柄2が人差し指と親指との間に保持され、親指が上面4A上の挿入部材11上に置かれ、人差し指が剃刀の柄2の下面4Bにおける挿入部材11上に置かれる位置のような、所定の髭剃り位置における手による把持を向上させる。また、別の髭剃り位置では、使用者は親指及び人差し指を構成要素12上に置くこともできる。しかし、構成要素12は、細長い棒状部材14が構成要素12を部分的に覆っている場合があるので、上面4A上の使用者の指で直接触れることはできない場合がある。この代替例によれば、構成要素12は、細長い棒状部材14の第1の材料22によって少なくとも部分的に覆われている。使用者は、髭剃りの際に、細長い本体4の上面4A上の細長い棒状部材14上に指を位置づけることができる。
【0061】
また、挿入部材11用に及び/又は構成要素12用に選択された材料は、使用者が指を挿入部材11及び構成要素12の上に置くときに、使用者の感覚経験に影響を与える。例として、金属からなる挿入部材11は使用者の指にピンポイントの接触を与え、それによって髭剃りから伝えられたすべての振動の伝達を可能にする。対照的に、例えば熱可塑性プラスティックのようなゴムから選択された第2の材料23からなる構成要素12は、髭剃りからのほとんどの振動を吸収し、それらを使用者の指に伝達しない。
【0062】
第2の孔部10内に設けられる挿入部材11は金属から作ることができ、一方で第1の孔部9内に設けられる構成要素12はゴムから作ることができる。この代替例によれば、挿入部材11は金属性であり、使用者がその上に人差し指を置くときに、快適な感覚及び柄の制御を強化する。この代替例は、金属製の挿入部材11と、構成要素12の第2の材料と、の間に存在する、質感、温度、及び形状の違いによる、使用者の方向的な触覚のフィードバックを強化する。
【0063】
また、挿入部材11及び構成要素12は一様でない表面、例えば刻みつきのパターン又は窪みパターンによるクレータ又はバンプを有する表面を有することができる。実際に、挿入部材11及び構成要素12の表面のタイプは、使用者が指を挿入部材11及び/又は構成要素12の上に指を置く際に、使用者の質感の感覚に影響を与える。
【0064】
挿入部材11及び構成要素12は、類似した形状又は異なる形状を有することができる。挿入部材11及び構成要素12は、同じ寸法を有することができるか、又は異なる寸法を有することができる。
図1〜3及び5〜9に示すように、挿入部材11のそれぞれ及び構成要素12のそれぞれは、球状の形状の外面11B、12Bを有する。そのような挿入部材11の外面及び構成要素12の外面は、長手方向Cに垂直な方向において測定された、好ましくは細長い本体4の幅W1の10%〜80%のそれぞれの直径D11、D12を有する。例えば、直径D11、D12は、10mm〜20mm、好ましくは15mm未満、より好ましくは約12mmである。しかし、構成要素12は、挿入部材11の直径D11とは異なる直径D12を有することができる。構成要素12の外面12Bは、球状の形状を有し、剃刀の柄2の上に指を置いたときに柔らかさを高める。構成要素12の外面12Bは、挿入部材11もまた球状である特定の代替例において、挿入部材11との視覚的連続性をも高める。しかし、この代替例によれば、挿入部材11のそれぞれ、及び構成要素12のそれぞれは、完全な球でなくてもよく、部分的に湾曲する表面、特に指を置く領域として提供された部分的な球面を備えるだけでも良い。
【0065】
図5に示すように、挿入部材11及び構成要素12が球状の形状を有する特定の実施形態では、第1の点11A及び第2の点12Aそれぞれは、前記挿入部材11及び構成要素12の中心に対応する。長手方向(C)に沿って測定された第1の点11Aと、第2の点12Aと、の間の距離L11−12は、好ましくは剃刀の柄2の長さLの50%〜70%である。距離L11−12は、60mm〜10mm、好ましくは約78mmとすることができる。しかし、この距離L11−12は細長い本体4の長さL4及び、挿入部材11及び構成要素12によって好ましい重量バランスによって、変化させることができる。
【0066】
構成要素または挿入部材を有さない既知の剃刀は、通常、剃刀の柄の中心に位置するか、又はわずかに剃刀の柄に向かう前端に向かうバランスの中心を有している。このために、このバランスの中心を達成するように、剃刀の柄の後部はその前部より大幅に大きくすることができず、またその逆もできない。本発明では、剃刀の柄2の前端2Aからの正確な位置に挿入部材11を付加することによって、剃刀の柄2の形状に関わらず、このバランスン中心の位置を制御することができる。例えば、第2の拡大された部分Ep2が第1の拡大された部分Ep1より大幅に大きいとしても、バランスの中心を長手方向Cにおける剃刀の柄2の中心に位置させることができる。好ましくは、挿入部材11の、及び構成要素12の内包物は、細長い本体4の形状の過剰な変形をもたらすことはない。細長い本体4の形状は、好ましくはいずれの挿入部材又はいずれの構成要素も含まない細長い本体の形状と同様のままである。
【0067】
細長い本体4の側面4C、4Dは、第2の材料23から成る複数の滑らかなリブ16をさらに備える。
図4に示すように、細長い本体4の側面4C、4Dのそれぞれは、好ましくは上部把持領域及び下部把持領域19、20を一緒に接続する複数のリブ16を備える。
図4に示す特定の実施形態では、第1の拡大された部分Ep1の側面4C、4Dのそれぞれは2つのリブ16を備え、第2の拡大された部分Ep2の側面4C、4Dは4つのリブ16を備える。
図1〜4及び10に示すように、側面4C、4Dそれぞれはまた、接続手段5と一体とされた離間して突出する複数のピン18を備えるとともに、接続手段5の細長い本体4との結合点において剃刀の柄2の前端2Aの近傍に配置された側部把持領域17を備える。この側部把持領域17は、特に親指と人差し指とが前端2A及び好ましくは正確な髭剃りの必要性を満足させるためのアーム部6に非常に近接して位置する髭剃り位置において剃刀の柄2の指による把持を強化する。
【0068】
一実施形態によれば、構成要素12の位置と、挿入部材11の位置とを交換することができる。より正確には、構成要素12は前端2Aの近傍に配置することができ、挿入部材11は後端2Bの近傍に配置することができる。この実施形態によれば、第1の孔部9は前端2Aの非常に近傍に配置され、第1の孔部10は後端2Bの近傍に配置される。また、挿入部材11はしたがって、後端2Bから長手方向Cに沿って測定された、剃刀の柄2の長さLの10%〜30%の距離L11に位置する第1の点11Aを中心とする。例えば、距離L11は、後端2Bから約21mmとすることができる。構成要素12は、前端2Aから長手方向Cに沿って測定した、剃刀の柄2の長さLの10%〜30%の距離L12に位置する第2の点12Aを中心とする。例えば、距離L12は、前端2Aから約25mmとすることができる。
【0069】
また、剃刀の柄2は挿入部材11を備えなくてもよいが、代わりに第2の孔部10の内部空間10B内にそれぞれ位置された構成要素12と同一の第2の構成要素を備えることができる。この実施形態によれば、第2の構成要素は第1の材料22又は第2の材料23から作ることができる。
【0070】
剃刀の柄2は、1つ以上の挿入部材と、1つ以上の固定された構成要素と、を有することができる。例えば、剃刀の柄2は別の挿入部材又は別の構成要素がその中に配置された第3の孔部を備えることができる。さらに、いくつかの構成要素及び/又は挿入部材を同じ孔部内に配置することができる。例えば、いくつかの挿入部材は小さな直径を有し、例えば3つの挿入部材を第2の孔部10内に配置することができる。同様に、いくつかの小さい構成要素、例えば3つの構成要素を第1の孔部9内に配置することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 剃刀
2 剃刀の柄
2A 前端
2B 後端
3 髭剃りカートリッジ
4 細長い本体
4A 上面
4B 下面
4C、4D 側面
4E 外面
5 接続手段
9 第1の孔部
9A 内部側壁
9B、10B 内部空間
10 第2の孔部
10A 内部側壁
11 挿入部材
11A 第1の点
12 構成要素
12A 第2の点
12B 外面
12C 部分
13 保持リング
14 棒状部材
14A 取り囲む部分
15A、15B 突出部
16 リブ
18 ピン
19 一部、上部把持領域
20 一部、下部把持領域
22 第1の材料
23 第2の材料
C 長手方向
D11 直径
L 長さ
L11 距離
L12 距離
L11−12 距離
TZ 略台形状の形状
W1 幅