特許第6362776号(P6362776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6362776駐車場における空き駐車スペースに車両を誘導するための方法、当該方法を実施するように構成されている駐車場、車両及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362776
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】駐車場における空き駐車スペースに車両を誘導するための方法、当該方法を実施するように構成されている駐車場、車両及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20180712BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20180712BHJP
   E04H 6/00 20060101ALI20180712BHJP
   E04H 6/10 20060101ALI20180712BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20180712BHJP
   G06K 19/06 20060101ALI20180712BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20180712BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   G08G1/14 A
   G08G1/00 X
   E04H6/00 C
   E04H6/10 A
   G06K19/07 230
   G06K19/06 187
   G06K7/08 040
   G06K7/10 244
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-522859(P2017-522859)
(86)(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公表番号】特表2018-500637(P2018-500637A)
(43)【公表日】2018年1月11日
(86)【国際出願番号】EP2015072323
(87)【国際公開番号】WO2016066350
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年4月27日
(31)【優先権主張番号】102014221746.6
(32)【優先日】2014年10月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ノアトブルフ
【審査官】 平野 貴也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−146805(JP,A)
【文献】 特開2011−076215(JP,A)
【文献】 特開2003−331382(JP,A)
【文献】 特表2011−517348(JP,A)
【文献】 特開2004−206199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36、
23/00 − 25/00
G05D 1/00 − 1/12
E04H 6/00 − 6/44
G06K 7/00 − 7/14、
19/00 − 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駐車スペース(14)を有する駐車場(10)における空き駐車スペース(18)への自律走行を行う車両(20)を誘導するための方法であって、
各駐車スペース(14)に1つの駐車スペースマーカー(30)が対応付けられている方法において、
前記駐車スペースマーカー(30)が、前記駐車スペース(14)の占有状態に関する少なくとも1つの情報を記憶し、
前記車両(20)は、前記駐車スペース(14)内への入庫の際に、前記駐車スペース(14)を、前記駐車スペースマーカー(30)を介して占有状態としてマーキングし、前記駐車スペース(14)からの出庫の際に、前記駐車スペース(14)を、前記駐車スペースマーカー(30)を介して再び空き状態としてマーキングすることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記駐車場(10)の車線(37,38)を含む車道(12)が、前記駐車スペース(14)の近傍を通っており、前記車線(37,38)には複数の車道マーカー(32)が対応付けられており、前記複数の車道マーカー(32)を介して前記車両(20)は前記車線(37,38)を識別でき、前記車両(20)は、前記車道(12)を走行している間に当該車道(12)に隣接する前記駐車スペース(14)の駐車スペースマーカー(30)を読取り、前記車両(20)は、空き駐車スペース(18)を識別した場合に、前記車道(12)を離れ、当該空き駐車スペース(18)に入庫する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の車道マーカー(32)は、前記車線(37,38)の方向に関する情報を含んでいる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の車道マーカー(32)は、前記車道(12)内に埋め込まれた複数のマグネットとして、及び/又は、前記車道に対応付けられたRFIDタグとして実施される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記駐車場(10)に、前記駐車場(10)の階、入庫口、出庫口の位置及び/又は使用可能な前記車線(37,38)に関する情報を提供する付加的な複数の位置マーカー(34)が対応付けられている、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の位置マーカー(34)は、RFIDタグとして実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記駐車スペースマーカー(30)は、前記各駐車スペース(14)に対応付けられたRFIDタグとして実施され、前記RFIDタグは、少なくとも前記駐車スペース(14)の占有状態に関する情報を記憶している、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
複数の駐車スペース(14)を含む駐車場(10)において、
前記各駐車スペース(14)に1つの駐車スペースマーカー(30)が対応付けられており、前記駐車スペースマーカー(30)は、前記各駐車スペース(14)の占有状態に関する少なくとも1つの情報を記憶するように構成されており、
前記駐車場(10)は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする駐車場。
【請求項9】
車載制御機器(40)と、
駐車スペースマーカー(30)の読取り及び新たな書込みを実施するように構成された読取り/書込み機器(42)と、を含んでいる車両(20)であって、
前記車両(20)は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法を共に実施するように構成されている、請求項8に記載の駐車場(10)と、請求項9に記載の車両(20)とを含んでいるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各駐車スペースに1つの駐車スペースマーカーが対応付けられている、複数の駐車スペースを有する駐車場における空き駐車スペースに車両を誘導するための方法に関する。本発明のさらなる態様は、それぞれこの方法を実施するように構成された駐車場、車両及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
駐車場検索の負担軽減のために、運転者が自身の車両を駐車場の従事者に引き渡し、当該従事者がこの車両の駐車を引き受けるサービスは公知である。車両がその持ち主又はその運転者に必要になったときには、この車両が、車両の従事者によって、駐車スペースから出庫され、受け取り用の受け取り領域に提供される。このサービスは、バレーパーキングとも称される。
【0003】
通常、このサービスは、これまでは、運転者が到着時に自身のキーを駐車場管理会社の従事者に引き渡すことで実現されていた。車両の入庫と出庫は、その後従事者によって実施され、従事者は、当該車両を、引き渡しゾーンから駐車場へ走らせ、そして再び戻すために受け取り領域へ走らせる。
【0004】
さらに例えば独国特許出願公開第102012015968号明細書(DE102012015968A1)からは、パーキングエリアにおいて車両を無人で移動させるための方法が公知である。ここでのこれらの車両は、自律走行が可能な支援システムを備えている。ここでは、駐車エリア内の割り当てられた駐車スペースに、又は、駐車スペースから、車両を操縦するために、外部制御装置に当該車両へのアクセスを可能にさせることが想定されている。
【0005】
完全に自動化された駐車に関連する挑戦は、駐車場又はパーキングビル内でのナビゲーションである。このことは、特に次のことに基づいている。即ち、多くの駐車場や特にパーキングビル内では、通常は、十分な車道マーカー又は各車線の十分なマーカーが存在しておらず、特にパーキングビル又は地下駐車場においては、衛星ベースのナビゲーションを使用することができず、頻繁にナビゲーション用の正確なマップが存在しないことに基づいている。さらに駐車場において、どの駐車スペースがまだ空いているのか又は既に占有状態であるのかを正確に識別する必要があり、パーキングビル内では、平面内の位置の他に、付加的に高さやパーキングデッキを知らせるか又は車両によって検出可能でなければならない。
【0006】
米国特許出願公開第20120092189号明細書(US20120092189A1)からは、駐車スペースの占有状態が識別可能であるRFIDベースの方法が公知である。それに対して各駐車スペースは、1つのRFIDタグを有している。1つの駐車スペースが車両によって占有状態であるならば、RFIDタグの信号が遮断され、そのため読取り機器は、問合せに対して、非占有状態の駐車スペースに対応付けられているRFIDタグからの応答しか受け取ることができない。
【0007】
米国特許出願公開第20020143465号明細書(US20020143465A1)からは、車道上の車両の位置を決定するための方法が公知である。それに対して車道内に複数のマグネットが埋め込まれ、この場合、車線は、マグネットの極性を介して又は極性変化のシーケンスを介して符号化され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012015968号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第20120092189号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20020143465号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術では、次のような方法の必要性が生じている。即ち、自律走行中の車両が駐車場における自身の位置を正確に決定することができ、かつ、中央制御ユニットの支援なしで空き駐車スペースへの経路を見つけることができるような方法の必要性である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の開示
ここでは、各駐車スペースに1つの駐車スペースマーカーが対応付けられている、複数の駐車スペースを有する駐車場における空き駐車スペースに車両を誘導するための方法が提案されている。さらにここでは、駐車スペースマーカーが、駐車スペースの占有状態に関する少なくとも1つの情報を記憶し、車両は、駐車スペース内への入庫の際に、この駐車スペースを、駐車スペースマーカーを介して占有状態としてマーキングし、駐車スペースからの出庫の際に、この駐車スペースを、駐車スペースマーカーを介して再び空き状態としてマーキングすることが想定される。
【0011】
駐車場とは、例えば屋外駐車場、パーキングビル又は地下駐車場であり得る。この場合、駐車場の各駐車スペースには1つの駐車スペースマーカーが対応付けられており、この駐車スペースマーカーは、各駐車スペースが占有状態か又は空き状態かに関する少なくとも1つの情報を記憶している。車両は、自律走行を可能にする駐車支援システムを備えている。それ故、横方向誘導(操舵)も、長手方向誘導(加速と制動)も、この支援システムによって引き継がれる。この車両はその運転者によって、まず駐車場の近傍か又は駐車場の引き渡しゾーンに走行する。そこで運転者は降車し、さらに駐車支援システムが起動して、その車両は自動的に空き駐車スペースに誘導可能になる。
【0012】
車両は、駐車場内を自律走行し、その際この車両は、適切な読取り機器によって、駐車スペースに対応付けられた駐車スペースマーカーを読み取る。駐車スペースが占有状態として識別された場合には、車両は走行を続ける。それに対して車両が空き駐車スペースを識別した場合には、車両はこの駐車スペースに入庫し、この駐車スペースの駐車スペースマーカーを新たに書き込むために書込み機器が使用され、それによってこの駐車スペースマーカーはここで「駐車スペース占有状態」を記憶する。この方法の変化実施形態に応じて、マーカーの新たな書込みは、入庫開始前、入庫終了後又は入庫操作中に行うことが可能である。
【0013】
車両がその運転者又はその持ち主によって再び必要となった場合には、運転者は適切な遠隔制御機器を介してその車両の支援システムを新たに起動し、それによって車両は、駐車場から出庫し、駐車場の受け取り領域へ操縦される。この方法の変化実施形態に応じて、出庫の際、出庫の後又は出庫の直前に、駐車スペースの駐車スペースマーカーは、車両の書込み機器によって再び新たに書き込まれ、それによってこの駐車スペースマーカーはここで「駐車スペース空き状態」を記憶する。
【0014】
遠隔制御機器は、例えば車両キーに統合されてもよいし、あるいは携帯電話用のアプリケーションの形態で構成されてもよい。この方法のさらなる実施形態では、運転者は、自身が再び車両を必要とする時刻を設定する。その後、車両の支援システムは、設定された時刻に達したときに自動的に起動し、それによって車両は、適時に受け取りゾーンへ操縦され、運転者による受け取りのために準備される。
【0015】
この方法の一実施形態では、駐車場の車道が駐車スペースの近傍を通っており、この車道には複数の車道マーカーが対応付けられており、それらの車道マーカーを介して車両は車線を識別できる。さらに空き駐車スペースの検索では、車両が車道マーカーによって特徴付けられた車線に追従し、車道を走行している間に車道に隣接する駐車スペースの駐車スペースマーカーを読み取ることが想定される。車両は空き駐車スペースを識別すると、車道から離れ、空き駐車スペースに入庫する。
【0016】
車両が車道マーカーに追従する際に、駐車場の全ての駐車スペースを通過するように、車道が車道マーカーによって特徴付けられているならば、いずれのケースにおいても、駐車場にまだ少なくとも1つの空き駐車スペースが存在する限り、車両が空き駐車スペースを発見し、この駐車スペースを使用できることが保証される。このことは、例えば駐車場の入車口前に制御装置が配置され、この制御装置が、駐車場への進入を、まだ少なくとも1つの空き駐車スペースが存在する場合にのみ許可することによっても保証することができる。その際の空き駐車スペースの数は、入車する車両と出車する車両を計数し、入車する車両毎に空き駐車スペースの数を1だけ低減し、出車する車両毎に1だけ増加することによって簡単に求めることができる。
【0017】
車両を迅速に空き駐車スペースに誘導するために、さらなる実施形態では、駐車場に対応付けられたインフラストラクチャによってさらなる誘導情報が車両に送信されること、及び/又は車道マーカーが中央システムを介して制御されることが想定可能である。
【0018】
この方法の一実施形態では、駐車スペースマーカーは、各駐車スペースに対応付けられたRFIDタグとして実施される。この場合、これらのRFIDタグは、少なくとも駐車スペースの占有状態に関する情報を記憶している。この方法のさらなる改良構成では、これらのRFIDタグは、例えばさらに付加的に、駐車スペース番号、駐車場の料金、駐車場が屋根付きか否か、電気自動車用の充電手段が存在するか否か、又は付加的な監視が提供されているか否かに関する情報を記憶可能である。
【0019】
車道マーカーは、好ましくはこれらが車線の方向に関する情報を含むように構成される。そのような方向情報は、例えば左車線又は右車線としての車線標識であってもよいが、車線が駐車場に入るように誘導するか又は(駐車場から)出るように誘導するかを示す標識として構成されてもよい。このようにして、駐車場を自律走行中の車両が、いつでもどの方向に車線が誘導しているのかを知ることが保証され、それによって、生じ得る衝突が防止される。これらの車道マーカーは、変化実施形態に応じて、車道内に埋め込まれた複数のマグネットとして、及び/又は車道に対応付けられたRFIDタグとして実施されてもよい。
【0020】
RFIDタグとして実施する場合には、これらの車道マーカーは、多くの情報を記憶することができ、その中には方向情報の他にも許容速度、曲率半径に関する情報又は上り坂や下り坂の勾配に関する情報が含まれる。これらの車道マーカーが車道内に埋め込まれたマグネットとして実施されているならば、複数の情報が例えば磁石の極性を介して又は複数の磁石(この場合、各磁石は異なる極性を有し得る)のシーケンスによって符号化され得る。例えば右車線は、マグネットの磁気的N極を上方に向けることによってマーキング可能であり、左車線は、それらのマグネットのS極を上方に向けることによってマーキング可能である。
【0021】
さらにこの方法では、駐車場に、位置及び/又は可能な車線に関する情報を提供する付加的な複数の位置マーカーが対応付けられていることが想定され得る。ここでの情報には、パーキングビル又は地下駐車場における位置、特に階又はパーキングデッキに関する情報が含まれ得る。可能な車線に関する情報は、車両に例えば、それぞれの場所において例えば1つの車線だけを提供することを通知することが可能であり、又は所定の車線を所期のように操縦させる状態に車両を置き換えるナビゲーション情報を含むことができる。さらに車両は、まさに衛星航法システムが利用できない場合であっても、位置マーカーを介して、駐車場における自身の位置を正確に特定できる状態に置き換わる。
【0022】
一実施形態では、これらの位置マーカーは、RFIDタグとして実施される。しかしながら位置マーカーのための手段として、光学マーカー、例えばQRコードの形態の光学マーカーもさらに考えられ得る。さらにこれらのQRコードは、特に入車領域において、駐車場に関連する全てのデータが記憶されているインターネットサイトを示唆し得る。
【0023】
本発明の別の態様は、複数の駐車スペースを含む駐車場の提供に関しており、この場合、各駐車スペースに1つの駐車スペースマーカーが対応付けられており、この駐車スペースマーカーは、各駐車スペースの占有状態に関する少なくとも1つの情報を記憶するように構成されている。さらにこの駐車場は、好ましくは前述した方法のうちの1つを実施するように構成されている。
【0024】
本発明のさらなる態様は、制御機器と、駐車スペースマーカーの読取り及び新たな書込みを実施するように構成された読取り/書込み機器を含んでいる車両の提供である。さらにこの車両は、前述した方法の1つを実施するように構成されている。
【0025】
さらに本発明の課題は、前述した方法を共に実施するように構成された駐車場及び車両を含んでいるシステムを提供することである。
【0026】
これらの駐車場や車両も、システムも、好ましくは、車両を誘導するための前述した方法の1つを実施するように構成されている。したがって、この方法の枠内で説明した特徴は、駐車場、車両又はシステムに対して相応に当てはまり、その逆として駐車場、車両又はシステムの枠内で説明した特徴はこの方法に対して当てはまる。
【0027】
発明の利点
本発明による方法、又は、駐車場及び車両からなる本発明によるシステムによって、車両は、自動的に駐車場でのその位置を検出し、空き駐車スペースを見つけることが可能になる。空き駐車スペースを求めるために、車両が相互作用できる複数のマーカーが使用される。その際好ましくは、空き駐車スペースに入車する車両は、当該駐車スペースを書込み機器を介して占有状態としてマーキングすることが想定される。その後、後続車両は、そのための中央制御装置の介入を必要とすることなく、この駐車場を占有状態として識別する。
【0028】
駐車場の車道又は車線がさらに、車道マーカーを用いて特徴付けられているならば、車両は、過度に大きく外れることなく、当該の特徴付けられた車線に正確に追従し得る。もちろん車両が例えば障害物を識別するさらなるセンサの支援なしでも、それによって駐車場における安全なナビゲーションは既に可能である。さらに車道を次のようにマーキングすることが可能である。即ち、車両がマーキングされた車線に追従する際に、駐車場の駐車スペースの近傍を通るようにマーキングすることが可能である。この通過の間、車両は空き駐車スペースを自動的に識別し、空き駐車スペースに入庫することが可能である。これに対しても中央制御部は必要とされない。
【0029】
さらに複数の位置マーカーを設けることによって、車両は、駐車場におけるその位置を一義的にかつ正確に識別可能である。このことは特に、例えばパーキングビル又は地下駐車場において、衛星航法が利用できない場合に有利となる。さらに衛星信号が存在する場合でも、フロアーやパーキングデッキの特定は困難なだけか又はまったく不可能であろう。
【0030】
車道マーカーと駐車スペースマーカーの相互作用により、自律走行中の車両に、駐車場において安全にナビゲートさせることと、高精度なマップ又は中央制御部を必要とすることなしに空き駐車スペースを検索させることが可能になる。
【0031】
本発明の実施形態は図面に示され、以下の明細書において詳細に説明される。唯一の図面は、複数の駐車スペースを有する駐車場の上方からの概略図を示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】発明対象を概略的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、複数の駐車スペース14を含んだ駐車場10が示されている。この駐車場10は、道路1に隣接しており、さらに、そこから車両20(以下では自車両とも称する)が駐車場10に到着することができる入車口2と、そこから車両20が駐車場10を再び離れることができる出車口4とを含んでいる。
【0034】
車両20の運転者は、自身の車両20を、入車口2までにしか走行させる必要はなく、そこで車両20を離れ、自動的な入庫過程を起動することが可能である。
【0035】
この自動的な入庫過程を支援するために、車両20は、制御機器40、及び、読取り/書込み機器42を含んでいる。この読取り/書込み機器42は、駐車スペース14に対応付けられている、駐車スペースマーカー30を読取り、場合によっては新たに書き込むように構成されている。さらにこの読取り/書込み機器42は、駐車場10の車道12内へ統合されている車道マーカー32を読み取るように構成されている。
【0036】
図1に示されている実施形態では、車道マーカー32は、車道12内に埋め込まれた複数のマグネットの形態で構成されている。その場合、車道マーカー32又は相応のマグネットは、部分的に異なる極性を有し、即ち、これらのマグネットの一部は、磁気的N極を上方に向け、これらのマグネットの一部は、磁気的N極を下方に向ける。複数のマグネットの極性により、車道マーカー32を用いて車道12は、2つの車線、詳細には右車線37と左車線38に分割され、この場合、右車線37は、駐車場10に入るように誘導し、左車線38は、駐車場10から出るように誘導する。図1中では、符号36の付された矢印で走行方向が示されている。
【0037】
車両20が入車口2に入車し、運転者が車両20を離れた後では、自動的な入庫が起動する。制御機器40によって操縦されると、車両20はここで、車道マーカー32によって特徴付けられた右車線37に沿って走行する。その際車両20は、右車線37に隣接する駐車スペース14の駐車スペースマーカー30の近傍を通り過ぎる。図1中に示されている状況では、車両20は、まずさらなる車両22(以下では他車両とも称する)によって占有された2つの駐車スペース16の近傍を通り過ぎ、この状況は、駐車スペースマーカー30に記憶されている情報に基づき、読取り/書込み機器42を介して、占有状態としても識別される。次の段階として、車両20は、空き駐車スペース18の近傍を通り過ぎ、それを車両20は、読取り/書込み機器42を介して駐車スペース14の相応の駐車スペースマーカー30を読み取ることで空き状態としても識別する。
【0038】
車両20は、空き駐車スペース18を識別したため、ここで右車線37を離れ、当該空き駐車スペース18に入庫する。この入庫操作の開始前に、読取り/書込み機器42を介して、駐車スペース14の相応の駐車スペースマーカー30は新たに書き込まれ、それによって、この駐車スペースマーカー30は、ここで「駐車スペース占有状態」の情報を記憶する。入庫過程の終了した後では、車両20は、その運転者又は持ち主によって再び必要となるまで待機する。
【0039】
車両20が再び必要となった場合には、その運転者又は持ち主によって受け取り場所に呼び出すことが可能である。図1中に示されている実施形態では、この受け取り場所は、駐車場10の出車口4と同一である。車両20の呼び出しのために、運転者は、相応の遠隔操作装置を使用することが可能であり、これは例えば車両キーの一部であるか、又は携帯電話上のアプリケーションとして構成されている。同様に、駐車場10の駐車場従事者に車両20を引き渡す前に、既に引き取り時間を、制御機器40にプログラミングすることも考えられる。それにより車両20は、予めプログラミングされた時間に自動的に出庫を開始する。
【0040】
駐車スペース14からの出庫の際には、車両20はそこから出るように走行して、再び駐車場10の車道12に到達する。そこでは車両20は、読取り/書込み機器42を介して再び車道12の車線37,38を同定でき、ここでは左車線38が選択され、この左車線38は、駐車場10から出るように出車口4の方向に誘導する。車両20はこの左車線38も、車道12に対応付けられた車道マーカー32を介して識別する。出車口4に到達した後では、車両20は、その運転者による受け取りのために待機する。
【0041】
入車口2及び出車口4の位置の同定のために、駐車場10にはさらなるマーカーが対応付けられていてもよい。図1に示されている実施形態では、それに対してそれぞれ1つの位置マーカー34が入車口2と出車口4の領域に設けられている。これらの位置マーカー34を介して車両20は、入車口2又は出車口4の位置に関する情報、及び、例えば駐車場10において使用可能な車線37及び38に関するさらなる情報を得ることが可能である。さらに、駐車場10において当該方法の実施のために必要なマーカー30,32が使用可能であり、それ故自動的な入庫が提供可能であることを車両20又は制御機器40に通知するために、これらの位置マーカー34を使用することも考えられる。
【0042】
本発明は、ここで説明した実施形態及びそこから導出される態様に限定されるものではない。それどころか請求の範囲によって明らかとなる範囲内では、当業者の枠内において多くの変更が可能である。
図1