(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および
図2は、本発明の半導体装置の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
図3は、
図1(b)に示す基板の平面図を示す。
【0026】
なお、方向について言及するときには、基板2が水平に配置されたときの方向を基準とし、具体的には各図に示した矢印方向を基準とする。
【0027】
なお、
図1〜
図4において、左右方向は、第1方向であり、
図2において、左右方向と直交する前後方向は、第2方向である。左側は、第1方向一方側であり、右側は、第1方向他方側であり、前側は、第2方向一方側であり、後側は、第2方向他方側である。
【0028】
本発明の半導体装置の製造方法は、準備工程、ワイヤボンディング工程、圧接工程(対向配置工程を含む)および大気解放工程を備える。
【0029】
[準備工程]
準備工程は、端子3および半導体素子の一例としての発光ダイオード(以下、LED4とする。)が配置された基板2を準備する工程である。
【0030】
基板2は、
図3に示すように、面方向(前後左右方向)略中央に凹部7を有する平面視略矩形の平板形状に形成されている。
【0031】
基板2は、例えば、アルミニウムなどの金属材料、例えば、アルミナなどのセラミック材料、例えば、ポリイミドなどの樹脂材料など、半導体装置の基板として一般に用いられる材料から形成されている。
【0032】
また、基板2は、上記した材料から一体的に形成されてもよく、あるいは、上記した材料からなる平板と、平板の上面中央を取り囲むように設けられる配線回路基板とを備え、配線回路基板に取り囲まれる部分が凹部7として形成されるように、2種類以上の材料から形成することもできる。
【0033】
基板2の1辺の長さは、例えば、1mm以上であり、また、例えば、1000mm以下でもある。
【0034】
また、基板2の厚さは、例えば、0.7mm以上、好ましくは、0.9mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下でもある。
【0035】
凹部7は、基板2の上面において、平面視正方形状に下方に向かって窪むように形成され(
図1(a)参照)、凹部7の周辺における基板2の凹部7以外の部分(周辺)によって四方(前後左右方向)を隙間なく取り囲まれている。
【0036】
凹部7の1辺の長さは、例えば、0.8mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、300mm以下、好ましくは、100mm以下でもある。
【0037】
凹部7の深さH1(上下方向において、凹部7の周辺の上面(以下、周辺上面11とする。)から凹部7の上面(以下、凹部上面10とする。)までの長さ)は、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下、より好ましくは、200μm以下、とりわけ好ましくは、170μm以下であり、また、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上でもある。
【0038】
また、凹部7の深さH1は、基板2の厚さに対して、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下であり、また、例えば、10%以上、好ましくは、20%以上でもある。
【0039】
基板2には、複数の端子3と、複数のLED4とが配置されている。
【0040】
端子3は、基板2の周辺上面11において、凹部7を挟んで互いに対向する2辺の近傍にそれぞれ設けられている。
【0041】
具体的には、左右方向における凹部7の左側の周辺上面11に、前後方向に間隔を隔てて複数(3つ)配置されており、これに対応して、左右方向における凹部7の右側の周辺上面11に、前後方向に間隔を隔てて複数(3つ)配置されている。
【0042】
各端子3には、外部電源からの電力が供給される。
【0043】
LED4は、基板2の凹部7内において、左右方向に互いに間隔を隔てて、複数(3つ)並列配置され、前後方向に互いに間隔を隔てて、複数列(3列)並列配置されている。
【0044】
LED4は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、上面に端子(図示せず)を備えている。
【0045】
LED4の1辺の長さは、例えば、0.05mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、10mm以下、好ましくは、5mm以下でもある。
【0046】
LED4の厚さは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1,000μm以下でもある。
【0047】
また、LED4の厚さは、凹部7の深さH1に対し、例えば、90%以下、好ましくは、80%以下である。
【0048】
LED4の前後方向および左右方向における間隔は、例えば、0.1mm以上、好ましくは、1mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、5mm以下でもある。
【0049】
平面視において、複数のLED4の占める面積の総和は、凹部7の面積に対し、例えば、0.01%以上、好ましくは、0.1%以上であり、また、例えば、99.99%以下、好ましくは、99.9%以下でもある。
【0050】
[ワイヤボンディング工程]
ワイヤボンディング工程は、端子3とLED4とをワイヤ5で接続する工程である。
【0051】
ワイヤ5は、複数のLED4のそれぞれに対応して複数設けられる。
【0052】
ワイヤ5の材料としては、例えば、金、銀、銅など、半導体のワイヤボンディング材として用いられる材料が挙げられ、耐腐食性の観点から、好ましくは、金が挙げられる。
【0053】
ワイヤ5は、上記した材料から線状に形成されており、ワイヤ5の線径(太さ)は、例えば、10μm以上、好ましくは、30μm以上であり、また、例えば100μm以下、好ましくは、50μm以下でもある。
【0054】
ワイヤ5の線径が上記範囲未満であると、ワイヤ5の強度が低下し変形しやすくなる場合がある。また、ワイヤ5の線径が上記範囲を超過すると、半導体装置のコストが高くなる場合、LED4からの発光を遮る面積が増加する場合がある。
【0055】
ワイヤ5によって、左端のLED4の上面の端子と、左右方向において対応する左側の端子3とを電気的に接続する。
【0056】
また、ワイヤ5によって、右側のLED4の上面の端子と、左右方向において対応する右側の端子3とを電気的に接続する。
【0057】
また、ワイヤ5によって、左右方向に互いに隣接するLED4の上面の端子同士を、電気的に接続する。
【0058】
そのような接続によって、LED4と端子3とを、または、LED4同士を電気的に接続するワイヤ5が、前後方向に間隔を隔てて3列並ぶように配置される。
【0059】
ワイヤ5は、
図1(b)に示すように、LED4と端子3とを接続している状態において、湾曲または屈曲されて、略弧形状(例えば、三角弧形状、四角弧形状、円弧形状など)に形成され、湾曲したワイヤ5の頂点は、周辺上面11よりも上方に配置されている。
【0060】
このようなワイヤボンディング工程後、複数の端子3に外部電源からの電力が供給されると、複数のLED4は発光する。
【0061】
[圧接工程]
圧接工程は、封止シート6を、減圧雰囲気下において、周辺上面11とは密着し、かつ、凹部上面10とは離間するように、基板2に圧接させる工程である。
【0062】
封止シート6は、封止樹脂を含有する封止樹脂組成物から形成されている。
【0063】
封止樹脂としては、例えば、加熱により可塑化する熱可塑性樹脂、例えば、加熱により硬化する熱硬化性樹脂、例えば、活性エネルギー線(例えば、紫外線、電子線など)の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。
【0064】
熱可塑性樹脂としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル樹脂、EVA・塩化ビニル樹脂共重合体などが挙げられる。
【0065】
熱硬化性樹脂および活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0066】
これら封止樹脂として、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0067】
熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物としては、例えば、2段階熱硬化型樹脂組成物、1段階熱硬化型樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、2段階熱硬化型樹脂組成物が挙げられる。
【0068】
2段階熱硬化型樹脂組成物としては、例えば、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物、2段階硬化型エポキシ樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0069】
1段階熱硬化型樹脂組成物としては、例えば、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物、1段階硬化型エポキシ樹脂組成物などが挙げられ、好ましくは、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0070】
2段階硬化型シリコーン樹脂組成物とは、2段階の反応機構を有しており、1段階目の反応でBステージ化(半硬化)し、2段階目の反応でCステージ化(最終硬化)する熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0071】
なお、Bステージは、封止樹脂組成物が、溶剤に可溶なAステージと、最終硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、溶剤に膨潤するが完全に溶解せず、加熱によって軟化するが溶融しない状態である。
【0072】
2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(1段階目の硬化前)としては、例えば、縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0073】
縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、加熱によって、縮合反応および付加反応することができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物であって、より具体的には、加熱によって、縮合反応して、Bステージ(半硬化)となることができ、次いで、さらなる加熱によって、付加反応(具体的には、例えば、ヒドロシリル化反応)して、Cステージ(最終硬化)となることができる熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0074】
このような縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物としては、例えば、シラノール両末端ポリシロキサン、アルケニル基含有トリアルコキシシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第1の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、シラノール基両末端ポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基含有ケイ素化合物(以下、エチレン系ケイ素化合物とする。)、エポキシ基含有ケイ素化合物、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒および付加触媒(ヒドロシリル化触媒)を含有する第2の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、両末端シラノール型シリコーンオイル、アルケニル基含有ジアルコキシアルキルシラン、オルガノハイドロジェンシロキサン、縮合触媒およびヒドロシリル化触媒を含有する第3の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、1分子中に少なくとも2個のアルケニルシリル基を有するオルガノポリシロキサン、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒および硬化遅延剤を含有する第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのヒドロシリル基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒およびヒドロシリル化抑制剤を含有する第5の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、少なくとも2つのエチレン系不飽和炭化水素基と少なくとも2つのシラノール基とを1分子中に併有する第1オルガノポリシロキサン、エチレン系不飽和炭化水素基を含まず、少なくとも2つのヒドロシリル基を1分子中に有する第2オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル化抑制剤、および、ヒドロシリル化触媒を含有する第6の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、ケイ素化合物、および、ホウ素化合物またはアルミニウム化合物を含有する第7の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、ポリアルミノシロキサンおよびシランカップリング剤を含有する第8の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0075】
これら縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0076】
縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物として、好ましくは、第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。
【0077】
第4の縮合反応・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、特開2011−219597号公報などに記載され、例えば、ジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサン、トリメチルシリル末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体および水酸化テトラメチルアンモニウムなどを含有する。
【0078】
一方、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物とは、1段階の反応機構を有しており、1段階目の反応で最終硬化する熱硬化性シリコーン樹脂組成物である。
【0079】
1段階硬化型シリコーン樹脂組成物としては、例えば、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。
【0080】
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、例えば、主剤となるエチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、架橋剤となるオルガノハイドロジェンシロキサンとを含有する。
【0081】
エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとしては、例えば、アルケニル基含有ポリジメチルシロキサン、アルケニル基含有ポリメチルフェニルシロキサン、アルケニル基含有ポリジフェニルシロキサンなどが挙げられる。
【0082】
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物では、通常、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンと、オルガノハイドロジェンシロキサンとが、別々のパッケージで提供される。具体的には、主剤(エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサン)を含有するA液と、架橋剤(オルガノハイドロジェンシロキサン)を含有するB液との2液として提供される。なお、両者の付加反応に必要な公知の触媒は、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンに添加されている。
【0083】
このような付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、主剤(A液)と架橋剤(B液)とを混合して混合液を調製し、混合液から上記した封止シート6の形状に成形する工程において、エチレン系不飽和炭化水素基含有ポリシロキサンとオルガノハイドロジェンシロキサンとが付加反応して、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が硬化して、シリコーンエラストマー(硬化体)を形成する。
【0084】
このような封止樹脂の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、99.9質量部以下、好ましくは、99.5質量部以下でもある。
【0085】
なお、封止樹脂組成物には、必要により、蛍光体、充填剤を適宜の割合で含有させることができる。
【0086】
蛍光体としては、
例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体などが挙げられる。そのような蛍光体としては、例えば、複合金属酸化物や金属硫化物などに、例えば、セリウム(Ce)やユウロピウム(Eu)などの金属原子がドープされた蛍光体が挙げられる。
【0087】
具体的には、蛍光体としては、例えば、Y
3Al
5O
12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、(Y,Gd)
3Al
5O
12:Ce、Tb
3Al
3O
12:Ce、Ca
3Sc
2Si
3O
12:Ce、Lu
2CaMg
2(Si,Ge)
3O
12:Ceなどのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、(Sr,Ba)
2SiO
4:Eu、Ca
3SiO
4Cl
2:Eu、Sr
3SiO
5:Eu、Li
2SrSiO
4:Eu、Ca
3Si
2O
7:Euなどのシリケート蛍光体、例えば、CaAl
12O
19:Mn、SrAl
2O
4:Euなどのアルミネート蛍光体、例えば、ZnS:Cu,Al、CaS:Eu、CaGa
2S
4:Eu、SrGa
2S
4:Euなどの硫化物蛍光体、例えば、CaSi
2O
2N
2:Eu、SrSi
2O
2N
2:Eu、BaSi
2O
2N
2:Eu、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体、例えば、CaAlSiN
3:Eu、CaSi
5N
8:Euなどの窒化物蛍光体、例えば、K
2SiF
6:Mn、K
2TiF
6:Mnなどのフッ化物系蛍光体などが挙げられる。好ましくは、ガーネット型蛍光体、さらに好ましくは、Y
3Al
5O
12:Ceが挙げられる。
【0088】
蛍光体の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。好ましくは、流動性の観点から、球状が挙げられる。
【0089】
蛍光体の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
【0090】
蛍光体の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下でもある。
【0091】
充填剤としては、例えば、シリコーン微粒子、ガラス、アルミナ、シリカ(溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカや疎水性超微粉シリカなど)、チタニア、ジルコニア、タルク、クレー、硫酸バリウムなどが挙げられ、これら充填剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。好ましくは、シリコーン微粒子、シリカが挙げられる。
【0092】
充填剤の配合割合は、封止樹脂組成物100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、80質量部以下、好ましくは、50質量部以下でもある。
【0093】
また、封止樹脂組成物には、例えば、変性剤、界面活性剤、染料、顔料、変色防止剤、紫外線吸収剤などの公知の添加物を適宜の割合で添加することができる。
【0094】
封止シート6は、熱硬化性シリコーン樹脂組成物が2段階硬化型シリコーン樹脂組成物である場合には、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体からなり、また、熱硬化性シリコーン樹脂組成物が1段階硬化型シリコーン樹脂組成物である場合には、1段階硬化型シリコーン樹脂組成物の未硬化体(硬化前)からなる。
【0095】
とりわけ好ましくは、封止シート6は、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物の1段階硬化体である。
【0096】
封止シート6を形成するには、例えば、上記した封止樹脂組成物(必要により蛍光体や充填剤などを含有する)を、図示しない剥離フィルムの上にキャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの方法により適当な厚さに塗工し、必要により加熱する。これにより、シート状の封止シート6を形成することができる。
【0097】
この封止シート6の23℃における圧縮弾性率は、例えば、2.0MPa以下、好ましくは、1.6MPa以下、より好ましくは、0.8MPa以下、とりわけ好ましくは、0.5MPa以下であって、また、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.04MPa以上でもある。
【0098】
封止シート6の圧縮弾性率が上記上限以下であれば、柔軟性を担保することができる。一方、封止シート6の圧縮弾性率が下限以上であれば、LED4を埋設することができる。
【0099】
また、封止シート6の大きさは、複数のLED4、および、複数のワイヤ5を一括して封止しつつ、凹部7を閉塞可能なサイズに形成されている。
【0100】
具体的には、封止シート6の前後方向長さは、例えば、凹部7の前後方向長さ以上であり、また、例えば、基板2の前後方向長さ以下である。
【0101】
また、封止シート6の左右方向長さは、例えば、凹部7の左右方向長さ以上であり、また、例えば、基板2の左右方向長さ以下である。
【0102】
封止シート6は、具体的には、
図3の仮想線で示すように、平面視矩形のシート状に形成されている。
【0103】
また、封止シート6の厚さは、例えば、100μm以上、好ましくは、300μm以上、より好ましくは、400μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下でもある。
【0104】
また、封止シート6の厚さH3は、
図1(d)に示すように、凹部7の深さH1に対して、例えば、50%以上、好ましくは、80%以上、より好ましくは、100%以上であり、また、例えば、900%以下、好ましくは、700%以下、より好ましくは、400%以下でもある。
【0105】
圧接工程では、まず、封止シート6を、基板2の上側に間隔を隔てて対向配置させて、真空プレス機などの真空チャンバー内に投入する。
【0106】
次いで、真空チャンバー内を減圧する。具体的には、真空チャンバー内を真空ポンプ(減圧ポンプ)などにより排気する。
【0107】
そして、
図2(e)に示すように、真空チャンバー内を減圧雰囲気にしながら、真空プレス機のプレス機などにより、封止シート6を基板2に圧接させる。
【0108】
圧接工程における減圧雰囲気は、例えば、300Pa以下、好ましくは、100Pa以下、とりわけ好ましくは、50Pa以下である。
【0109】
また、圧接工程における圧接では、封止シート6が基板2側(下側)へ押し込まれる(圧接される)量(以下、押し込み量とする)を制御する。
【0110】
押し込み量の制御により、封止シート6の下面が、周辺上面11とは密着し、かつ、凹部上面10とは離間するように調整する。
【0111】
具体的には、封止シート6を、下記式により示される押し込み量がマイナスであって、押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも小さくなるように調整する。
【0112】
押し込み量=(基板2の底面を基準とする凹部上面10の高さH2+圧接工程前の封止シート6の厚さH3)−圧接工程後における基板2の底面を基準とする封止シート6の上面の高さH4
押し込み量がプラスであると、圧接工程後の封止シート6の厚さ(H4−H2)が、圧接工程前の封止シート6の厚さH3より薄くなるまで、封止シート6が過度に押圧され、封止シート6が凹部上面10と密着する。これに対し、押し込み量がマイナスであると、封止シート6が、凹部上面10とは離間するように調整される。
【0113】
押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも大きいと、封止シート6の下面が、周辺上面11と密着せず、封止シート6で凹部7を閉塞することができない。これに対し、押し込み量の絶対値が、凹部7の深さH1よりも小さいと、封止シート6が、周辺上面11と密着するように調整される。
【0114】
また、押し込み量(H2+H3−H4)の絶対値は、凹部7の深さH1に対して、例えば、100%未満、好ましくは、95%以下であり、また、例えば、0%超過、好ましくは、10%以上でもある。
【0115】
圧接工程の温度は、例えば、0℃以上、好ましくは、15℃以上であり、また、例えば、60℃以下、好ましくは、35℃以下でもある。
【0116】
また、圧接工程では、必要により、封止シート6を押し下げた(押し込んだ)状態で保持する。
【0117】
保持時間は、例えば、5秒以上、好ましくは10秒以上であり、また、10分以下、好ましくは、5分以下である。
【0118】
圧接工程によって、
図2(e)に示すように、凹部7において基板2と封止シート6とに区画される密閉された減圧空間8が形成される。
【0119】
[大気解放工程]
大気解放工程は、基板2と封止シート6とを大気圧雰囲気下に解放する工程である。
【0120】
圧接工程の後、大気解放工程により、封止シート6を、凹部7の形状に追従するように密着させる。
【0121】
具体的には、真空ポンプの運転を停止させて、真空チャンバー内を大気解放する。
【0122】
すると、減圧空間8と大気圧との差圧により、封止シート6の上面が下方に向かって押圧され、封止シート6の下面は、凹部7の形状に追従するように変形し、凹部7の上面に密着する。
【0123】
大気圧解放工程によって、封止シート6が凹部7に密着するようにLED4を封止する半導体装置の一例としてのLED装置1を得る。
【0124】
[硬化工程]
LED装置1の製造では、必要により(封止シート6が、熱硬化性樹脂や活性エネルギー線硬化性樹脂である場合)、
図2(g)に示すように、封止シート6を硬化させる。
【0125】
封止樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、加熱により、封止シート6を硬化させる。
【0126】
また、封止樹脂が活性エネルギー線硬化性樹脂である場合には、活性エネルギー線を上方から照射することにより、封止シート6を硬化させる。
【0127】
[2段階加熱工程]
封止シート6が、2段階熱硬化型樹脂を含む封止樹脂組成物から形成されている場合、好ましくは、2段階加熱工程により、封止シート6を硬化させる。
【0128】
2段階加熱工程は、大気解放工程の後に、封止シート6を、第1温度で加熱し、その後、第1温度より高温の第2温度で加熱する工程である。
【0129】
第1温度は、上記した封止シート6の2段階熱硬化型樹脂が完全硬化しない温度であって、封止シート6が縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂を含有する封止樹脂組成物から形成されている場合、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行しない温度である。
【0130】
具体的には、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、150℃以下、好ましくは、135℃以下でもある。
【0131】
また、第1温度は、上記した範囲から、定温(一定温度)として選択される。
【0132】
また、第1温度での加熱時間は、例えば、5分間以上、好ましくは、10分間以上であり、また、例えば、1時間以下、好ましくは、0.8時間以下でもある。
【0133】
第2温度は、上記した封止シート6の2段階熱硬化型樹脂が完全硬化する温度であって、封止シート6が縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂を含有する封止樹脂組成物から形成されている場合、付加反応(ヒドロシリル化反応)が進行する温度である。
【0134】
具体的には、例えば、135℃以上、好ましくは、150℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、180℃以下でもある。
【0135】
また、第2温度での加熱時間は、例えば、0.1時間以上、好ましくは、0.5時間以上であり、また、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下でもある。
【0136】
LED4を埋設する封止シート6が、2段階熱硬化型樹脂を含む封止樹脂組成物から形成されている場合、このような第1温度での加熱によって、封止シート6は、Bステージを保ちながら圧接工程の残留応力が緩和され、上記した第2温度での加熱によって、封止シート6は、完全硬化(最終硬化)してCステージとなる。
【0137】
また、熱硬化性樹脂が1段階硬化型シリコーン樹脂を含有する封止樹脂組成物から形成されている場合も、封止シート6は、上記した加熱によって、完全硬化(最終硬化)してCステージとなる。
【0138】
硬化(完全硬化)した封止シート6は、可撓性を有しており、具体的には、23℃における圧縮弾性率が、例えば、1MPa以上、好ましく、1.2MPa以上であり、また、例えば、15MPa以下、好ましくは、10MPa以下でもある。
【0139】
封止シート6の圧縮弾性率が上記上限以下であれば、可撓性を確実に担保することができる。封止シート6の圧縮弾性率が上記下限以上であれば、ワイヤ保護性能を確実に担保することができる。
【0140】
このようにして、LED装置1の製造が完了する。
【0141】
[作用効果]
このLED装置1の製造方法によれば、圧接工程において、封止シート6は、凹部上面10と離間するように圧接される。
【0142】
そのため、封止シート6が圧接されるときのワイヤ5に対する押圧力を低減することができる。
【0143】
一方で、圧接工程において、封止シート6は、減圧雰囲気下で周辺上面11を閉塞するため、凹部7には、基板2と封止シート6とに区画される密閉された減圧空間8が形成される。
【0144】
大気圧解放工程において、大気圧が解放されると、減圧空間8と大気圧との差圧により、凹部7に封止シート6が隙間なく充填される。
【0145】
そのため、基板2と封止シート6との間におけるボイドの発生を抑制することができる。
【0146】
その結果、ワイヤ5の変形を低減しながら、ボイドの発生を抑制することができる。
【0147】
また、このLED装置1の製造方法は、封止シート6は、2段階熱硬化型樹脂を含む封止樹脂組成物からなる場合には、大気解放工程の後に、第1温度で加熱し、その後、第1温度より高温の第2温度で加熱する2段階加熱工程を備えている。
【0148】
2段階加熱工程において、第1温度で加熱されているとき、封止シート6は、Bステージの状態であり、第2温度で加熱されているとき、封止シート6は、Cステージの状態となる。
【0149】
そのため、封止シート6は、第1温度で加熱されているとき、圧接工程の残留応力が緩和され、封止シート6の下面と凹部上面10との間でのボイドの発生を抑制しつつ、第2温度で加熱されているとき、確実に硬化することができる。
【0150】
また、このLED装置1の製造方法では、圧接工程において、封止シート6の圧縮弾性率が、0.16MPa以下であれば、ワイヤ5に過度の押圧力を掛けずに封止することができる。
【0151】
また、このLED装置1の製造方法では、凹部7の深さH1(上下方向における凹部上面10から周辺上面11までの長さ)が、500μm以下であれば、圧接工程および大気解放工程において、封止シート6を凹部7の形状に追従させて、確実に密着させることができる。
【0152】
[第1温度]
上記した実施形態では、第1温度を定温に設定しているが、これに限定されず、例えば、第1温度が、温度範囲を有してもよく、具体的には、第1温度が、第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することもできる。
【0153】
封止シート6を、温度が室温(20〜25℃程度)である乾燥機に投入し、続いて、乾燥機内の温度が第2温度に到達するように、乾燥機を昇温する。この場合には、第1温度は、20℃以上、さらには、25℃以上であり、また、第2温度未満の温度範囲である。第1温度における昇温速度は、例えば、1℃/分以上、好ましくは、2℃/分以上であり、また、例えば、30℃/分以下、好ましくは、20℃/分以下である。また、第1温度における昇温時間は、例えば、4分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0154】
あるいは、封止シート6を、上記した実施形態における定温、具体的には、例えば、80℃以上、好ましくは、100℃以上であり、また、例えば、150℃以下、好ましくは、135℃以下から選択される定温に設定された乾燥機に投入して、所定時間、定温を維持した後、乾燥機内の温度が第2温度に到達するように、乾燥機を昇温することもできる。定温を維持する時間は、例えば、3分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、300分以下、好ましくは、180分以下である。また、昇温速度は、例えば、1℃/分以上、好ましくは、2℃/分以上であり、また、例えば、30℃/分以下、好ましくは、20℃/分以下である。昇温時間は、例えば、1分以上、好ましくは、2分以上であり、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0155】
第1温度が、第2温度まで上昇する昇温温度範囲を有することにより、生産効率を向上させることができる。
[機械加圧]
上記各実施形態の硬化工程において、封止シート6が、熱硬化性樹脂を含む封止樹脂組成物から形成されている場合には、封止シート6を、加熱しながら、さらに、封止シート6を機械加圧することもできる。具体的には、上記した温度において、封止シート6を加熱および機械加圧する(加熱−機械加圧)。
【0156】
封止シート6を加熱および機械加圧するには、
図2(g)の仮想線で示すように、例えば、ヒータ12が装備された平板9を備える熱プレス装置10(つまり、機械加熱−機械加圧装置10)、あるいは、平板9を備えるプレス装置10が装備されたプレス装置付乾燥機13(流体加熱−機械加圧装置13)、などの加熱−機械加圧装置が用いられる。なお、加熱−機械加圧装置は、封止シート6を、静圧によって加圧するオートクレーブ(後述)と異なり、物理的な接触によって、封止シート6を加圧する加圧装置である。
【0157】
より具体的には、封止シート6が、2段階熱硬化型樹脂を含む封止樹脂組成物から形成されている場合で、かつ、2段階加熱工程が採用される場合であって、機械加熱−機械加圧装置10を用いる場合には、封止シート6を、ヒータ12によって第1温度に予め設定された平板9により挟持して機械加圧し、続いて、ヒータ12によって、平板9を第2温度に設定する。あるいは、封止シート6を、室温の平板9により挟持して機械加圧し、続いて、第1温度(昇温温度範囲)において、ヒータ12によって平板9を上記したように昇温し、平板9を第2温度に到達させる。
【0158】
また、封止シート6が、2段階熱硬化型樹脂を含む封止樹脂組成物から形成されている場合で、かつ、2段階加熱工程が採用される場合であって、流体加熱−機械加圧装置13を用いる場合には、第1温度に予め設定された流体加熱−機械加圧装置13内において、封止シート6を、流体加熱−機械加圧装置13内のプレス装置10によって挟持して機械加圧して、その後、流体加熱−機械加圧装置13を第2温度に設定する(流体加熱する)。あるいは、室温の流体加熱−機械加圧装置13内において、封止シート6をプレス装置10によって挟持して機械加圧して、その後、乾燥機を昇温し、流体加熱−機械加圧装置13を第2温度に設定する(流体加熱する)。
【0159】
なお、流体加熱−機械加圧装置13では、気体および/または液体が熱媒となり、かかる熱媒が密閉容器において加熱されることによって、封止シート6を加熱する。
【0160】
また、上記した説明では、2段階加熱工程における第1温度および第2温度の両方において、封止シート6を機械加圧しているが、例えば、2段階加熱工程のうちの第1温度においてのみ機械加圧し、第2温度では、機械加圧することなく、つまり、常圧雰囲気下において、封止シート6を加熱することもできる。
【0161】
具体的には、第1温度において機械加圧された封止シート6を、機械加熱加圧装置から取り出し、第2温度に予め設定した乾燥機に投入する。とりわけ、プレス装置付乾燥機13を用いる場合には、第1温度において機械加圧された封止シート6を、平板9による挟持を解除し、そのまま、プレス装置付乾燥機13を第2温度に設定する。
【0162】
好ましくは、機械加圧を、第1温度においてのみ実施する。
【0163】
これによって、生産効率を向上させることができる。
[加熱流体加圧工程]
上記した実施形態では、
図2(g)に示す硬化工程において、加熱−機械加圧装置を用いる2段階加熱工程を実施しているが、封止シート6が、熱硬化性樹脂を含有する封止樹脂組成物から形成されている場合には、加熱流体加圧工程により、封止シート6を硬化させることもできる。
【0164】
加熱流体加圧工程は、大気解放工程の後に、封止シート6を、加熱および流体加圧する加熱流体加圧工程である。加熱流体加圧工程では、例えば、オートクレーブなどの、高圧高温雰囲気下で処理する高圧高温雰囲気下処理装置23(流体加熱−流体加圧装置)などが用いられる。高圧高温雰囲気下処理装置23は、熱媒および加圧媒体となる流体(気体および/または液体)の静圧を利用する加熱加圧装置である。より具体的には、加熱流体加圧工程は、大気解放工程の後に、封止シート6をオートクレーブにより流体加熱および流体加圧する。
【0165】
この場合、封止シート6は、等方向から均一に加圧されながら加熱されるので、2段階加熱工程に比べ、ボイドの発生をより一層確実に抑制できる。
【0166】
そのため、凹部深さH1が500μm以下であれば、封止シート6の下面と凹部上面10との間でのボイドが発生することを抑制することができる。
【0167】
[その他の変形例]
また、上記した実施形態では、基板2を平面視略矩形状に形成しているが、基板2の形状としては、上記した平面視略矩形状に限定されず、例えば、平面視略円形状、平面視略多角形状などでもよい。
【0168】
また、上記した実施形態では、凹部7を平面視正方形状に形成しているが、凹部7の形状としては、上記した平面視正方形状に限定されず、例えば、略矩形、略円形、略長穴、その他形状などでもよい。
【0169】
また、上記した実施形態では、基板2に凹部7を1つ形成しているが、凹部7の数は特に限定されず、上記実施形態より多くてもよい。
【0170】
また、上記した実施形態では、端子3を周辺上面11に配置しているが、
図4に示すように、左右方向において最も外側のLED4のさらに外側における凹部上面10(凹部7内)に端子3を配置してもよい。
【0171】
また、上記した実施形態では、LED4を3つずつ3列に配置しているが、LED4の数は特に限定されず、1つでもよく、また、上記実施形態より多くてもよい。
【0172】
また、上記した実施形態では、湾曲したワイヤ5の頂点の高さは、周辺上面11よりも高いが、低くてもよい。
【0173】
また、上記した実施形態では、封止シート6を、
図3に示すように、平面視略矩形のシート状に形成しているが、封止シート6の形状としては、上記した平面視略矩形状に限定されず、基板2の形状やLED4の配置に応じて適宜設定され、例えば、平面視略円形状、平面視略多角形状などでもよい。
【0174】
また、上記した実施形態では、本発明における半導体素子としてLED4を一例として説明しているが、例えば、図示しないが、それらを、電子素子とすることもできる。
【0175】
電子素子は、電気エネルギーを、光以外のエネルギー、具体的には、信号エネルギーなどに変換する半導体素子であって、具体的には、トランジスタ、ダイオードなどが挙げられる。電子素子のサイズは、用途および目的によって適宜選択される。
【0176】
この場合、封止シート6は、封止樹脂を必須成分として含有し、充填剤を任意成分として含有する。充填剤としては、さらに、カーボンブラックなどの黒色顔料などが挙げられる。充填剤の配合割合は、封止樹脂100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上であり、また、例えば、99質量部以下、好ましくは、95質量部以下でもある。
【0177】
また、封止シート6の物性(具体的には、圧縮弾性率など)は、上記した実施形態のそれと同一である。
【実施例】
【0178】
以下、本発明を各実施例および各比較例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定されるものではない。
【0179】
実施例1
[準備工程およびワイヤボンディング工程]
凹部(深さH1 163μm、1辺10mmの平面視正方形状)が形成され、凹部の周辺に6つの端子が配置されている基板を用意し(
図1(a)参照)、凹部の上面に9個のLEDを配置した(
図1(b)参照)。各LED間の間隔は、1.5mmであった。
【0180】
次いで、LEDの端子と、これに対応する基板側の端子とをワイヤで接続した。また、隣接するLEDの端子をワイヤで接続し(
図1(c)参照)、LEDが実装された基板を得た。
[封止シートの形成]
ジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサン(ビニルシリル基当量0.071mmol/g)20g(1.4mmolビニルシリル基)、トリメチルシリル末端ジメチルシロキサン−メチルヒドロシロキサン共重合体(ヒドロシリル基当量4.1mmol/g)0.40g(1.6mmolヒドロシリル基)、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(ヒドロシリル化触媒)のキシレン溶液(白金濃度2質量%)0.036mL(1.9μmol)、および、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH、硬化遅延剤)のメタノール溶液(10質量%)0.063mL(57μmol)を混合し、20℃で10分間攪拌し、その混合物100質量部に対して、シリコーン微粒子(トスパール2000B、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社社製)を30質量部配合して、均一に攪拌混合することにより、2段階硬化型シリコーン樹脂組成物を得た。
【0181】
これを離型紙に塗工し、135℃で15分間硬化させ、厚さ1000μmの半硬化(Bステージ状態)の2段階硬化型シリコーン樹脂組成物からなる封止シートを得た(
図1(d)参照)。
【0182】
得られた封止シートの圧縮弾性率(シートの硬さ)は、0.12MPaであった。
[圧接工程]
LEDが実装された基板と、封止シートとが、厚み方向に対向するように配置し、真空プレス機(型番CV200、ニチゴーモートン社製)の真空チャンバー内に投入した。
【0183】
真空ポンプ(減圧ポンプ)(型番E2M80、エドワーズ社製)で真空チャンバー内を排気し、真空チャンバー内を、50Paになるまで減圧した。
【0184】
減圧雰囲気下において、真空プレス機により、押し込み量(H2+H3−H4)が、−100μmになるように設定し、基板と封止シートとを圧接し、そのまま20℃で、3分間保持して、凹部に減圧空間を形成した(
図2(e)参照)。
[大気解放工程]
次いで、真空ポンプを停止し、真空チャンバー内を大気解放して、減圧空間と大気圧との差圧により、封止シートを凹部に密着させて、LED装置を得た(
図2(f)参照)。
[2段階加熱工程]
得られたLED装置を、温風式乾燥機(型番DF610、ヤマト科学社製)に投入し、まず、120℃(第1温度)で10分間加熱した後、次いで、150℃(第2温度)で30分間加熱した(
図2(g)参照)。
【0185】
これにより、封止シートで封止されたLED装置を製造することができた。
[評価]
得られたLED装置の外観を観察し、ワイヤ変形や、ボイド発生について評価した。
【0186】
ワイヤ変形
○:目視でワイヤの変形が確認できなかった。
×:目視でワイヤの変形が確認できた。
【0187】
ボイド発生
○:ボイドの発生が見られなかった。
△:小さなボイドがわずかに発生した。
×:ボイドが多数発生した。
【0188】
評価した結果を表1に示す。
【0189】
実施例2〜4および比較例1〜6
表1に示す硬さの封止シートを用い、表1に示す押し込み量に設定した以外は、実施例1と同様にして、LED装置を得た。ワイヤ変形およびボイド発生を評価した結果を表1に示す。
【0190】
なお、封止シートの圧縮弾性率(シートの硬さ)は、封止樹脂組成物の硬化条件を適宜変更することにより調整した。
【0191】
実施例5
表2に示す深さの凹部が形成された基板を用い、表2に示す硬さの封止シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、LED装置を得た。硬化工程前後のボイド発生を評価した結果を表2に示す。
【0192】
実施例6および7
表1に示す深さの凹部が形成された基板を用い、表2に示す硬さの封止シートを用い、2段階加熱工程に代えて、オートクレーブ(型番TAS−5−J3R、高圧高温雰囲気下処理装置(流体加熱−流体加圧装置)、
図2(g)の符号23参照、耐圧硝子工業社製)に投入し、加熱温度150℃、圧力0.6MPaで30分間処理した以外は、実施例1と同様にして、LED装置を得た。硬化工程前後のボイド発生を評価した結果を表2に示す。
【0193】
【表1】
【0194】
【表2】