特許第6362835号(P6362835)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362835
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】カッター機構
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/08 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B26D1/08
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-152579(P2013-152579)
(22)【出願日】2013年7月23日
(65)【公開番号】特開2015-20267(P2015-20267A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月20日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000140845
【氏名又は名称】株式会社皆藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
(72)【発明者】
【氏名】樋口 剛
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−303626(JP,A)
【文献】 特開2009−016327(JP,A)
【文献】 特開平10−217184(JP,A)
【文献】 特開2011−161557(JP,A)
【文献】 特開2003−109584(JP,A)
【文献】 特開平10−230495(JP,A)
【文献】 特開平08−197485(JP,A)
【文献】 特開2000−158380(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/161786(WO,A1)
【文献】 特開2009−043540(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/019781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一刃先を有する第一カッターと、第二刃先を有する第二カッターとを備え、該第一カッターの該第一刃先と該第二カッターの該第二刃先との間に、電池又はコンデンサを製造するための帯状の電極を配置し、該第一カッターの該第一刃先と該第二カッターの該第二刃先とを互いに接近させて当接させ、該電極を切断するカッター機構であり、
前記第一カッターは、前記第一刃先と前記第二刃先との接近方向に延びるガイドを有し、該ガイドは、該第一刃先と該第二刃先との接近時に、該第二刃先に接触するガイド面を有し、
前記第一刃先と前記ガイド面とが連続し、
前記第二カッターとの間で前記電極を挟持する押さえ部材であって、前記第二刃先が前記ガイド面に対して摺動している時に、前記第一刃先とともに前記電極に接触する押さえ部材を備え
前記第一カッターを支持する基台を備え、
前記第一カッターの前記ガイド面が前記第二刃先に向かう方向に回動し、前記第二カッターの前記第二刃先を弾性的に押圧するように前記ガイドに付勢力を付与する押圧機構を備え、
前記押圧機構は、
前記第一カッターに設けられた孔と、
前記孔に貫通され、前記基台に固定され、前記第一カッターが有する前記ガイドの回動を規制するピンと、を備えたカッター機構。
【請求項2】
前記第一カッターの前記ガイド面が、該第一カッターの前記第一刃先と前記第二カッターの第二刃先との接近方向に対して傾斜するテーパ面である請求項1に記載するカッター機構。
【請求項3】
電池又はコンデンサを製造するための帯状の電極を捲回して捲回素子を形成する捲回装置であり、
前記請求項1又は2のいずれかに記載するカッター機構を備え、該カッター機構により前記電極を切断する捲回装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第一カッターの第一刃先と第二カッターの第二刃先との間に切断対象物を配置し、第一カッターの第一刃先と第二カッターの第二刃先とを互いに接近させて、切断対象物を切断するカッター機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、帯状の正電極、帯状の負電極及び帯状のセパレーターを巻芯に巻き取り、巻き取った捲回素子を電解液に浸漬し、セパレーターと正電極及び負電極との間に電解液を浸み込ませて電池又はコンデンサを製造することが行われている。図12において、符号120は、原反112、114、116及び118から送られた帯状の正電極100、帯状の第一セパレーター102、帯状の負電極104及び帯状の第二セパレーター106を巻芯108へ捲回していく捲回装置である。この捲回装置120は、同図に示すように、位置S1において、正電極100等を捲回した後、カッター機構130によって正電極100及び負電極104を切断し、更に正電極100等を捲回して捲回素子109を形成し、捲回素子109を位置S2へ送り、カッター機構130によって第一セパレーター102及び第二セパレーター106を切断し、位置S2においてテープ124を貼着し、捲回素子109を位置S3へ送り、位置S3において巻芯108を抜き出して捲回素子109を取り出すことができる。なお、捲回装置に関して、種々発明され、本願出願人によって出願されている(特許文献1〜7参照。)。
【0003】
カッター機構130は、図13に示すように、第一刃先132を有する移動刃(第一カッター)134と、第二刃先136を有する固定刃(第二カッター)138とを備え、移動刃134の第一刃先132と固定刃138の第二刃先136との間に帯状の正電極(切断対象物)100又は帯状の負電極(切断対象物)104を配置し、第一刃先132を第二刃先136に接近させて当接させ、正電極100等を切断することができる。
【0004】
しかし、このカッター機構130は、第一刃先132と第二刃先136とによって正電極100等を切断した時に、正電極100等の粉塵が散乱し、正電極100等の表面に付着する場合があった。この場合には、形成した捲回素子109を使用して製造した電池等の精度が悪くなり電池等の品質低下に繋がることが考えられる。また、正電極100等の表面に付着した正電極100等の粉塵によって、正電極100と負電極104との短絡も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−043540号公報
【特許文献2】特開2009−093901号公報
【特許文献3】特開2009−256022号公報
【特許文献4】特開2009−272245号公報
【特許文献5】特開2011−161557号公報
【特許文献6】特開2011−184132号公報
【特許文献7】国際公開第2009/019781号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、第一刃先と第二刃先とによって正電極又は負電極等の切断対象物をスムーズに切断し、正電極等の粉塵の生じないカッター機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカッター機構は、第一刃先を有する第一カッターと、第二刃先を有する第二カッターとを備え、該第一カッターの該第一刃先と該第二カッターの該第二刃先との間に、電池又はコンデンサを製造するための帯状の電極を配置し、該第一カッターの該第一刃先と該第二カッターの該第二刃先とを互いに接近させて当接させ、該電極を切断するカッター機構であり、
前記第一カッターは、前記第一刃先と前記第二刃先との接近方向に延びるガイドを有し、該ガイドは、該第一刃先と該第二刃先との接近時に、該第二刃先に接触するガイド面を有し、
前記第一刃先と前記ガイド面とが連続し、
前記第一刃先と前記第二刃先とによって前記電極を切断する時に前記第二カッターとの間で前記電極を挟持する押さえ部材を備え、
前記第二刃先が前記ガイド面に対して摺動している時に、前記第一刃先及び前記押さえ部材は前記電極に接触することを特徴とする。
【0008】
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記第一カッターの前記ガイド面が前記第二カッターの前記第二刃先を弾性的に押圧するように前記ガイドに付勢力を付与する押圧機構を備え、
前記押圧機構は、前記第一カッターに設けられた孔と、前記孔に貫通されたピンと、を備え、
前記第一カッターは、前記孔の内壁及び前記ピンによって規制される範囲内で、前記ガイド面が前記第二刃先に向かう方向に、回動できることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記第一カッターの前記ガイド面が、該第一カッターの前記第一刃先と前記第二カッターの第二刃先との接近方向に対して傾斜するテーパ面であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカッター機構は、前記カッター機構において、前記第二カッターの前記第二刃先が前記第一カッターの前記ガイド面を弾性的に押圧するように該第二カッターに付勢力を付与する押圧機構を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の捲回装置は、電池又はコンデンサを製造するための帯状の電極を捲回して捲回素子を形成する捲回装置であり、前記カッター機構を備え、該カッター機構により前記電極を切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカッター機構によれば、切断対象物を切断するために第一カッターの第一刃先と第二カッターの第二刃先とを互いに接近させていくと、まずガイドのガイド面が第二刃先に当接し、その後、第一カッターと第二刃先との接触部は、第一刃先の一端において、ガイド面から第一刃先へと連続的に移行する。このため、第一カッターは、第二刃先に対して、ガイド面から第一刃先が連続的に当接し摺動していくため、第一刃先と第二刃先との当接の開始がスムーズに行われ、正電極等の切断をスムーズ且つ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るカッター機構の構成を示す正面図である。
図2図1のカッター機構を示す左側面図である。
図3図1のカッター機構の移動刃14を示す右側面図である。
図4】同図(a)は、図1のカッター機構において第一刃先12及び第二刃先16を含む部分を拡大して示すA−A線切断部要部拡大断面図であり、同図(b)は、図1のカッター機構において移動刃14と基台42との連結部を示すA−A線切断部要部拡大断面図である。
図5図1のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、正電極100を配置した状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃14が移動してガイド面26が第二刃先16に接触した瞬間を示す図である。
図6図1のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、移動刃14が更に移動してガイド面26が第二刃先16を押圧する状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃14が更に移動して押さえ部材38と固定刃18との間に正電極100が挟持された状態を示す図である。
図7図1のカッター機構の使用状態を示す正面図であり、同図(a)は、移動刃14が更に移動して第一刃先12と第二刃先16とによって正電極100が切断されていく状態を示す図であり、同図(b)は、移動刃14が更に移動して正電極100の切断が完了した瞬間を示す図である。
図8】本発明に係るカッター機構の他の実施形態を示す拡大断面図である。
図9】同図(a)は、本発明に係るカッター機構の更に他の実施形態を示す正面図であり、同図(b)は、本発明に係るカッター機構の更に他の実施形態を示す正面図である。
図10】本発明に係るカッター機構の更に他の実施形態を示す正面図である。
図11】本発明に係るカッター機構の更に他の実施形態を示す正面図である。
図12】従来の捲回装置を示す正面図である。
図13】従来のカッター機構を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るカッター機構の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、及び図4図7において、符号10は、本発明に係るカッター機構である。
【0015】
本発明に係るカッター機構10は、図1及び図2に示すように、第一刃先12を有する移動刃(第一カッター)14と、第二刃先16を有する固定刃(第二カッター)18とを備え、移動刃14の第一刃先12と固定刃18の第二刃先16との間に帯状の正電極(切断対象物)100又は帯状の負電極(切断対象物)104を配置し、移動刃14の第一刃先12を固定刃18の第二刃先16に接近させて当接させ、正電極100等を切断する機構である。なお、図1図3は本発明のカッター機構に係る構成を説明するための図であり、図1図3においては、正電極100又は負電極104を2点鎖線で示す。
【0016】
移動刃14の第一刃先12は、図2に示すように、固定刃18の第二刃先16との点接触による当接によって正電極100等を切断しやすいように、直線状の第二刃先16に対して傾斜し、一端50から他端52まで延びる直線状である。
【0017】
移動刃14は、図1に示すように、第一刃先12と第二刃先16との接近方向に延びるガイド24を有し、ガイド24は、第一刃先12と第二刃先16との接近時に、第二刃先16に接触するガイド面26を有している。また、直線状の第一刃先12とガイド面26とが、第一刃先12の一端50において連続している。ガイド面26は、図4(a)に示すように、移動刃14の第一刃先12と固定刃18の第二刃先16との接近方向に対してa1°傾斜するテーパ面である。a1°は、ガイド面26が第二刃先16にスムーズに接触するためには、2〜6°であることが好ましい。
【0018】
また、カッター機構10は、図1に示すように、移動刃14を支持する基台42と、基台42に支持され、固定刃18に当接した時のガイド面26が固定刃18の第二刃先16を弾性的に押圧するようにガイド24に付勢力を付与する圧縮バネ30を備えている。移動刃14には、図4(b)に示すように、ピン32が貫通する孔34が設けられ、孔34の内壁とピン32との間には、僅かな厚さの隙間36が設けられている。このため、移動刃14は、孔34の内壁及びピン32の頭部44に規制される範囲内で、固定刃18に当接した時のガイド面26が第二刃先16に向かう方向に、僅かな角度で回動することができる。これにより、移動刃14は、圧縮バネ30から付勢力を付与されることにより、固定刃18に当接した時のガイド面26が固定刃18を弾性的に押圧するように構成されている。すなわち、圧縮バネ30及び隙間36によって押圧機構が構成される。なお、図1及び図4(b)においては、移動刃14は、圧縮バネ30から付勢力を付与され、且つ孔34の内壁及びピン32の頭部44に当接することにより、停止し位置決めされている。なお、圧縮バネ30の代替としてゴム等の弾性体を使用してもよい。
【0019】
また、カッター機構10は、図1に示すように、第一刃先12と第二刃先16とによって正電極100等を切断する時に、固定刃18との間で正電極100等を挟持する押さえ部材38と、押さえ部材38に対して固定刃18へ向かう方向に付勢力を付与する圧縮バネ40とを有している。押さえ部材38は、第一刃先12と第二刃先16とによって正電極100等を切断する時に、固定刃18からの反力により圧縮バネ40の付勢力に抗して基台42へ接近するように構成されている。
【0020】
基台42、移動刃14、及び押さえ部材38は、固定刃18に向かって接近又は離隔させられ、接近等させる離隔接近機構は、例えば、基台42を固定刃18に向かって接近又は離隔させる図示しないシリンダであるが特に限定されない。
【0021】
固定刃18は、図4(a)に示すように、側面45が、移動刃14の第一刃先12と固定刃18の第二刃先16との接近方向に対してa2°傾斜するテーパ面である。a2°は、正電極100等を確実に切断するためには、2〜6°であることが好ましい。
【0022】
切断対象物である正電極100及び負電極104の材質は、例えば、リチウム、リチウム遷移金属酸化物、アルミニウム、ステンレス、炭素構造体、ポリマー樹脂、カリウム、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、鉛、銅、銀、水銀、プラチナ、若しくは金等、又はこれらの化合物から選択される。
【0023】
このような構成のカッター機構10の作用及び効果について、以下に説明する。
【0024】
カッター機構10は、例えば図11に示す捲回装置120の従来のカッター機構130の代替として配設される。捲回装置120による正電極100又は負電極104の捲回が完了した時、図5(a)に示すように、移動刃14の第一刃先12と固定刃18の第二刃先16との間に正電極100等が配置される。以下の作用の説明においては、捲回装置120を用いて正電極100を切断する場合について説明する。
【0025】
次に、離隔接近機構が作動し、基台42、移動刃14、及び押さえ部材38が、固定刃18に向かってZ軸方向に接近させられ、移動刃14の第一刃先12が固定刃18の第二刃先16へ接近していき、図5(b)に示すように、移動刃14のガイド面26が固定刃18の第二刃先16に当接させられる。
【0026】
図6(a)に示すように、更に移動刃14の第一刃先12が固定刃18の第二刃先16へ接近させられると、第二刃先16からの反力により、移動刃14は、圧縮バネ30の付勢力に抗して、僅かに反時計まわりに回動させられる。この時、第二刃先16は移動刃14のガイド面26に対して摺動していく。また、第一刃先12及び押さえ部材38が正電極100に接触する。
【0027】
更に移動刃14の第一刃先12が固定刃18の第二刃先16へ接近させられると、図6(b)に示すように、第一刃先12及び押さえ部材38が、正電極100を僅かに持ち上げ、正電極100が押さえ部材38と固定刃18との間に挟持される。この時、第一刃先12の一端50と第二刃先16との間に正電極100が挟持され、この直後に、正電極100の切断が開始される。また、この直後に、移動刃14と第二刃先16との接触部は、第一刃先12の一端50において、ガイド24のガイド面26から第一刃先12へと連続的に移行する。
【0028】
更に移動刃14の第一刃先12が固定刃18の第二刃先16へ接近させられると、図7(a)に示すように、正電極100が、第一刃先12と第二刃先16とによって切断されていく。この時、第一刃先12は第二刃先16に対して点接触で当接しながら摺動していく。
【0029】
更に移動刃14の第一刃先12が固定刃18の第二刃先16へ接近させられると、図7(b)に示すように、正電極100が、第一刃先12と第二刃先16とによって完全に切断され、正電極100の切断が完了する。
【0030】
負電極104も同様にカッター機構10によって切断される。正電極100及び負電極104が切断されると、更に正電極100等を捲回して捲回素子109を形成し、捲回素子109を図11に示す捲回装置120の位置S2へ送り、他のカッター機構によって第一セパレーター及び第二セパレーターを切断し、位置S2においてテープ124を貼着し、捲回素子109を位置S3へ送り、位置S3において巻芯108を抜き出して捲回素子109を取り出し、電池又はコンデンサの原材料として使用される。
【0031】
このようなカッター機構10によれば、正電極100又は負電極104を切断するために移動刃14の第一刃先12を固定刃18の第二刃先16へ接近させていくと、まずガイド24のガイド面26が第二刃先16に当接し、その後、移動刃14と第二刃先16との接触部は、第一刃先12の一端50において、ガイド面26から第一刃先と連続的に移行する。このため、移動刃14は、第二刃先16に対して、ガイド面26から第一刃先12が連続的に当接し摺動していくため、第一刃先12と第二刃先16との当接の開始がスムーズに行われ、正電極100等の切断をスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0032】
このため、形成した捲回素子を使用して製造した電池又はコンデンサの精度が悪くなることはなく、電池等の品質向上を図ることができる。また、正電極100等の切断による粉塵は発生せず、正電極100等の表面に粉塵は付着しないため、正電極100と負電極104との短絡が生じることもない。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述のものには限定されない。例えば、本発明のカッター機構10において、図8に示すように、ガイド24のガイド面26を、移動刃14の第一刃先12と固定刃18の第二刃先16との接近方向に対して傾斜する湾曲形状に構成してもよい。このような構成であっても、正電極100又は負電極104を切断するために移動刃14の第一刃先12を固定刃18の第二刃先16へ接近させていくと、まずガイド24のガイド面26が第二刃先16に当接し、その後、移動刃14と第二刃先16との接触部は、第一刃先12の一端50において、ガイド面26から第一刃先12へと連続的に移行する。
【0034】
また、本発明のカッター機構10において、図9(a)に示すように、移動刃14が基台42に対して回動軸46のまわりに回動するように構成してもよい。このような構成であっても、移動刃14が回動軸46のまわりに回動でき、圧縮バネ30から付勢力を付与されることにより、固定刃18に当接した時のガイド面26が固定刃18を弾性的に押圧する。
【0035】
また、本発明のカッター機構10において、図9(b)に示すように、移動刃14の中の第一刃先12を含まない部分を弾性体48から構成し、弾性体48を固定具54によって基台42に固定してもよい。この場合、移動刃14が弾性変形できることにより、固定刃18に当接した時のガイド面26が固定刃18を弾性的に押圧する。
【0036】
また、本発明のカッター機構10において、図10に示すように、ガイド24を2個備え、2個のガイド24が有する図示しない各ガイド面と、第一刃先12とが、第一刃先12の一端50及び他端52において連続するように構成してもよい。移動刃14を固定具54によって基台42に固定し、ガイド24を弾性体から構成してもよい。この場合、固定刃18当接した時のガイド面26がスムーズに安定して固定刃18に対して摺動する。
【0037】
また、本発明のカッター機構10において、図11に示すように、固定刃18の第二刃先16が移動刃14のガイド面26を弾性的に押圧するように固定刃18に付勢力を付与する押圧機構を備えてもよい。押圧機構は、圧縮バネ30及び隙間36によって構成される。この場合、移動刃14は基台42に固定される。このような構成であっても、移動刃14は、第二刃先16に対して、ガイド面26から第一刃先12が連続的に当接し摺動していくため、第一刃先12と第二刃先16との当接の開始がスムーズに行われ、正電極100等の切断をスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明は図示したものには限定されない。例えば、第一カッターを第二カッターに対して接近又は離隔させるカッター機構に限定されず、第二カッターを第一カッターに対して接近又は離隔させるカッター機構であってもよい。また、本発明のカッター機構によって切断する切断対象物は、帯状の正電極又は帯状の負電極に限定されず、帯状のセパレーターであってもよい。また、切断対象物は、その他の形状及び材質のものであってもよい。また、第一刃先及び第二刃先の形状は直線形状に限定されず、湾曲形状であってもよい。その他、本発明は、上述した実施形態以外の態様でも実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、第一カッターは、第二刃先に対して、ガイド面から第一刃先が連続的に当接し摺動していくため、第一刃先と第二刃先16との当接の開始がスムーズに行われ、正電極等の切断対象物の切断をスムーズ且つ確実に行うことができる。このため、切断対象物を切断するためのカッター機構として広く利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10:カッター機構
12:第一刃先
14:移動刃(第一カッター)
16:第二刃先
18:固定刃(第二カッター)
24:ガイド
26:ガイド面
30、40:圧縮バネ
32:ピン
34:孔
36:隙間
38:押さえ部材
42:基台
44:頭部
45:側面
46:回動軸
48:弾性体
50:一端
52:他端
54:固定具
100:正電極
104:負電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13