【実施例】
【0049】
本発明は、以下の実施例からより良く理解されうる。実施例は、例示のためだけに示され、いかなる方法によっても本発明を限定することを意図しない。以下の実施例において、ドーパミン溶液のpHは、0.010mol/Lのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびHClで緩衝され、モノマーペアの水溶液のpHは、K
2HPO
4/クエン酸で3.0〜8.0のpH範囲に緩衝されるか、またはH
3BO
3/KCl/NaOHで8.0〜10.0のpH範囲に緩衝される。
【0050】
実施例1〜12
実施例1〜12は、水溶液中のインサイチュ重合が可能であり、誘電性基材上の水不溶性コポリマー(A+B)フィルムを形成できる一部のモノマーペアの例を与える。これらのコポリマー(A+B)フィルムは、コンディショナーの機能を示し、これにより従来のコンディショナーを使用することなく、ガラスクロス試片上に無電解銅被覆を増大させる。
【0051】
実施例1
(1)前処理
ガラスクロス試片は、ガラスファイバー強化ベアエポキシラミネートS1141から得た(サイズ:50mm*150mm*1mm,供給元:Shengyi Technology Co.Ltd.、ガラス転移温度:140〜150℃、ベアラミネートとして略記される)。ベアラミネート試片をまず、98%H
2SO
4に1日含浸させ、エポキシ樹脂を溶解し、ガラスクロスを露呈させ、次いで水で5分間すすいで、ガラスクロス表面を清浄にした。次いでこの処理を少なくとも1回繰り返し、エポキシ残渣を最小限にした。最終的なすすぎの後、ガラスクロス試片を120℃で4時間オーブン乾燥させた。
【0052】
(2)フリーラジカル開始剤処理
乾燥したガラスクロス試片を、フリーラジカル開始剤溶液と接触させた。ガラス試片を、トルエン中の0.2mol/LのAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を含むフリーラジカル開始剤溶液中に、室温で1分間浸漬させ、次いでドラフト中で室温にて5分間乾燥させた。
【0053】
(3)(A)+(B)溶液処理
次に、ガラスクロス試片を(A)および(B)を含む溶液と接触させた。0.026mol/Lのヘキサメチレンジアミンおよび0.013mol/Lのカテコールを含む溶液を、K
2HPO
4/クエン酸緩衝剤溶液を用いて調製した。溶液のpHは4.5であった。次いでガラスクロス試片を上述の水溶液中に、80℃で4時間浸漬した。水不溶性コポリマー(A+B)フィルムを、処理されたガラスクロス試片の表面上に形成した。
【0054】
(4)従来のコンディショナー工程を使用しない無電解めっき
次に、コポリマー(A+B)フィルムで処理されたガラスクロス試片を、従来のコンディショナー工程なしで、無電解銅めっきプロセスにて処理した。試片を、50g/LのPREPOSIT(商標)Etch748(Dow Electronics Materials)および20mL/Lの98%H
2SO
4(Sigma−Aldrich)を含有するMicroetch浴に室温で1分間含浸させ、次いでR.O.水で3分間すすいだ。この後、試片を、270g/LのCATAPREP(商標)404PreDip(Dow Electronics Materials)中に23℃で1分間浸漬した。次いでガラスクロス試片を、20mL/LのCATAPOSIT(商標)44触媒濃縮物(Dow Electronics Materials)および270g/LのCATAPREP(商標)404PreDipを含有する触媒浴に、40℃で5分間浸漬し、次いでR.O.水で2分間すすいだ。次いで、試片を、CIRCUPOSIT(商標)880無電解銅浴(Dow Electronics Materials)中に、34℃で30〜45分間浸漬したが、これは45mL/LのCIRCUPOSIT(商標)880E、10mL/LのCIRCUPOSIT(商標)880A、28mL/LのCUPOSIT(商標)Z、25mL/LのCIRCUPOSIT(商標)880C、および15mL/LのCUPOSIT(商標)Yを用いて調製された。その後、ガラスクロス試片を、R.O.水で3分間すすぎ、エアナイフで2分間乾燥させた。均一な無電解銅フィルムが、従来のコンディショナーの使用なしで、ガラスクロス試片の表面に形成された。
【0055】
実施例2〜8
実施例2〜8は、手順(3)におけるモノマーペア((A)+(B))およびそれらのモル比が表2に示されるように変更された以外は、実施例1と同じ方法で加工処理された。基本濃度は0.013mol/Lであった。基本濃度0.013mol/Lと表2に示されている指示モノマーのモル比を乗じることによって、処理浴中のそのモノマーの初期濃度を得た。すべての実施例において、水不溶性コポリマー(A+B)フィルムを、「(A)+(B)溶液処理」の後、ガラスクロス試片表面上に形成し、無電解銅めっきフィルムを、従来のコンディショナー工程なしで無電解めっき後に形成した。
【0056】
実施例9、10
実施例9および10は、化学物質、それらのモル比、処理温度および手順(3)内の処理滞留時間を、表2に示すように変更し、工程(2)を行わない以外、実施例1と同じ方法で加工処理した。基本濃度は0.013mol/Lであった。基本濃度0.013mol/Lと表2に示されている指示モノマーのモル比を乗じることによって、処理浴中のそのモノマーの初期濃度を得た。水不溶性コポリマー(A+B)フィルムを、「(A)+(B)溶液処理」の後、ガラスクロス試片表面上に形成し、無電解銅めっきフィルムを、従来のコンディショナー工程なしで無電解めっき後に形成した。
【0057】
実施例11
実施例11は、実施例1〜8のブランクコントロールである。それは、工程(2)を、フリーラジカル開始剤の不存在下、トルエンを用いて行い、工程(3)を、溶質を含まない蒸留水単独で用いて行う以外、実施例1と同じ方法で加工処理した。非常に少量の無電解銅のみが、従来のコンディショナー工程を使用しない無電解めっき後に、ガラスクロス試片の表面上に堆積した。無電解銅フィルムの連続フィルムは形成されなかった。
【0058】
実施例12
実施例12は実施例9および10のブランクコントロールである。それは、工程(3)が、溶質を含まない蒸留水のみを用いて行われる以外、実施例9および10と同じ方法で加工処理された。非常に少量の無電解銅のみが、従来のコンディショナー工程なしで無電解めっき後のガラスクロス試片の表面上に堆積した。無電解銅フィルムの連続フィルムは形成されなかった。
【0059】
【表2】
【0060】
実施例1〜12から、実施例1〜9のモノマーペア((A)+(B))のすべてが、ドーパミンの挙動と同様に、水溶液中の重合により水不溶性ポリマーフィルムを形成することができたことがわかる。従来のコンディショナーの補助なしで、ガラスクロス試片上に無電解銅はほぼ堆積できない。無電解銅めっき後、ブランクコントロールのガラスクロス試片に関しては、部分的な被覆で非常に淡いピンク色のみの形成が観察される(実施例11、12)。モノマーペア処理されたまたはドーパミン処理されたガラスクロス試片は、従来のコンディショナーの補助なしで、無電解銅めっき後に、連続銅堆積物を示す均一な明るいサーモンピンクの外観を示す。実施例1〜9のモノマーペア((A)+(B))によって形成されたコポリマー(A+B)フィルム、ならびに室温にてドーパミンによって形成されたポリドーパミンフィルムは、コンディショナー機能を示すといえる。それらは、従来のコンディショナーを使用することなく、ガラスクロス試片上に銅被覆を増大できる。
【0061】
実施例13〜17
実施例13〜17に関しては2つの目的がある。一方の目的は、モノマーペア処理のコンディショナー機能と、80℃で2〜4時間ドーパミンによる場合とを、バックライトテストによって比較することであった。他方の目的は、モノマーペア処理のコンディショナー機能に対するフリーラジカル開始剤処理の利益を試験することであった。
ガラスクロス試片上の無電解銅の被覆を視覚的に確認することによって、インサイチュ重合フィルムのコンディショナー機能を、より直接的に、より好都合に評価した。無電解銅被覆の定量測定は、バックライトテストであったが、これはめっきスルーホールにおける無電解銅被覆の程度を測定し、これは樹脂、ガラスファイバーチップ、および横断ガラスファイバーの領域を含有する。
【0062】
バックライトテストは、同じ軸に沿って配列されている多数のホールを含有するドリル穿孔されたラミネートから切断された小さいセクション上で行われた。選択されたホールの直径は、1ミリメートルであった。ドリル穿孔されたラミネートが無電解銅めっきプロセスを通して加工処理されたら、評価されるべきホールは、ダイアモンドソーを用いて抜き出された。ホールはバリまたは他の破片がなく、試片の厚さ(ホールの背面から中央まで)が3mm未満であり、光がサンプル中を伝達でき、光がバックライトテストのために突き抜けることができることを確実にしながら、ホールを、それらの中心軸に可能な限り近く切断した。50〜1500倍の拡大が可能な光学顕微鏡を使用して、バックライトテストを行った。各ホールは、
図1に示される一連の標準画像と比較することによって個々に評価された。
【0063】
透過した光は、不完全な無電解銅被覆が存在するホール内のいずれかの領域において視覚可能であった。0.0〜5.0の数値スケールが、バックライト等級として使用され、ここで5.0は樹脂領域およびガラスファイバー領域の両方において完全な銅被覆を表す。4.5以上のバックライト等級は、樹脂およびガラスファイバー領域上の実質的に完全な銅被覆を表す。副次的なガラスチップボイドだけが観察された。4.0以上のバックライト等級は、樹脂およびガラスファイバー領域の大部分が銅被覆を有するが、一部のガラスチップ領域において、および時にはガラスファイバーの横領域においてボイドが認められたことを示した。2〜3.5の範囲のバックライト等級は、樹脂領域上では良好な銅被覆を表すが、ガラス領域(ガラスチップおよび横断ガラスファイバー領域)上では不十分な銅被覆を表した。2より低いバックライト等級は、最小の銅被覆が、樹脂領域またはガラスファイバー領域のいずれかに認められたことを意味する。本発明に示されるバックライト等級は、10個のホールについての値の平均であった。
【0064】
実施例13
(1)前処理
実施例1と同じガラスクロス試片を、フィルム形成テストおよび無電解銅被覆テストのためにサンプルとして使用し、1mm直径のドリル穿孔ホールを有する銅クラッドラミネートS1141(サイズ:35mm*100mm*2mm、試片あたりの20個のホール、Shengyi Technology Co.Ltd.、ガラス転移温度:140〜150℃、ドリル穿孔ラミネートと略記)をバックライトテストのためのサンプルとして使用した。ドリルラミネートは、以下に示されるデスミアプロセスを通して加工処理され、これは膨潤剤、酸化、および中和剤浴処理を含んでいた。ガラスクロス試片は、デスミアプロセスにおいて処理されなかった。
【0065】
ドリルラミネートは、75℃にて5分間膨潤剤浴中に浸漬し、これは125mL/LのCIRCUPOSIT(商標)MLBConditioner211(Dow Electronics Materials)および115mL/LのCUPOSIT(商標)Z(Dow Electronics Materials)を含有しており、次いでR.O.水で3分間すすいだ。ドリル穿孔ラミネートを、次いで酸化浴中に80℃で8分間浸漬したが、これは150mL/LのCUPOSIT(商標)Z(Dow Electronics Materials)および100mL/LのCIRCUPOSIT(商標)MLBプロモーター213(Dow Electronics Materials)を含有しており、次いでR.O.水で3分間すすいだ。その後、ドリル穿孔ラミネートを、50mL/LのCIRCUPOSIT(商標)MLB中和剤215−5浴(Dow Electronics Materials)中に40℃で5分間浸漬した後、水で3分間すすいだ。ドリル穿孔ラミネートを、次いでエアナイフで2分間乾燥させた。
【0066】
(2)フリーラジカル開始剤処理
乾燥されたガラスクロス試片ならびにデスミアされたドリル穿孔ラミネートを、実施例1と同じフリーラジカル開始剤処理で処理した。テストサンプルは、トルエン中の0.2mol/LのAIBNを含むフリーラジカル開始剤溶液中に室温で1分間浸漬した。次いでサンプルをドラフト中、室温で5分間乾燥させた。
【0067】
(3)(A)+(B)溶液処理
ガラスクロス試片およびドリル穿孔ラミネートの両方を、上記の(A)および(B)を含む溶液と接触させた。表3に示されるように、0.026mol/Lのヘキサメチレンジアミンおよび0.013mol/Lのカテコールを含む溶液を、K
2HPO
4/クエン酸緩衝剤溶液を用いて調製した。溶液のpHを4.5にした。サンプルを上記で記載される水溶液中に80℃で2〜4時間で浸漬させた。水不溶性コポリマー(A+B)フィルムがサンプルの表面上に形成された。
【0068】
(4)従来のコンディショナー工程を使用しない無電解銅めっき
ガラスクロス試片およびドリル穿孔ラミネートの両方を、実施例1と同じ無電解銅めっきプロセスを通して加工処理した。
【0069】
(5)バックライトテスト
無電解銅めっき後、ドリル穿孔ラミネートサンプルを、先行するセクションに記載されるダイアモンドソーによって切断した。バックライトテストを1mm直径を有するサンプルあたり10個のホールについて、拡大:50×のLeica DM6000光学顕微鏡を用いて行った。表3に示されるバックライト等級は、10個のホールについての値の平均であった。
【0070】
実施例14
実施例14は、工程(2)がいずれかのフリーラジカル開始剤の不存在下でトルエン中で行われた以外、実施例13と同じ方法で加工処理された。
【0071】
実施例15
実施例15は、フリーラジカル処理を用いるドーパミンのコントロール実施例であった。それは、工程(3)が、0.010mol/Lのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびHClでpH8.5に緩衝された0.013mol/Lのドーパミン水溶液を用いて行われる以外、実施例13と同じ方法で加工処理された。
【0072】
実施例16
実施例16は、フリーラジカル処理を用いないドーパミンのコントロール実施例であった。それは、工程(2)が、フリーラジカル開始剤の不存在下でトルエン中で行われ、工程(3)が、0.010mol/Lのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびHClでpH8.5に緩衝された0.013mol/Lのドーパミン水溶液を用いて行われる以外、実施例13と同じ方法で加工処理された。
【0073】
実施例17
実施例17は、実施例13〜16のブランクコントロールであった。それは、工程(2)がフリーラジカル開始剤の不存在下でトルエン中で行われ、工程(3)が溶質を含まない蒸留水のみで行われた以外、実施例13と同じ方法で加工処理された。
【0074】
【表3】
【0075】
実施例14と17とを比較すると、良好な銅被覆は、ガラスクロス試片上において、およびフリーラジカル開始剤なしで80℃で2〜4時間モノマーペア(HMDA/カテコール)によって処理されたドリル穿孔ラミネートのスルーホールにおいての両方で得られただけであったことがわかる。
【0076】
実施例14と13とを比較すると、さらに良好な銅被覆は、フリーラジカル開始剤処理を伴う同じ温度(80℃)で同じ期間(2〜4時間)、同じモノマーペア(HMDA/カテコール)によって処理されたドリル穿孔ラミネートのスルーホールにおいて得られたことがわかる。
【0077】
実施例15および16では、不十分な銅被覆は、ガラスクロス試片上において、および80℃で2〜4時間ドーパミンによって処理されたドリル穿孔ラミネートのスルーホールにおいて、フリーラジカル処理ありまたは処理なしのいずれにかかわらず、観察されたことが示されたが、処理されたサンプルの表面上には視覚可能なポリドーパミンフィルムが形成されていた。表2に示された実施例10と比較して、ポリドーパミンの形成温度は、そのコンディショナー機能に影響した。室温で24時間では、形成されたポリドーパミンフィルムは、良好なコンディショナー機能を示した。80℃で2〜4時間では、ポリドーパミンフィルムは、コンディショナー機能を示さなかったが、その外観は室温24時間で形成された場合と同様であった。この現象の可能性としての説明は、反応の優先度が処理温度の上昇によって変更された可能性があることである。より高温では、酸化反応の割合が高いことが観察され、マイケル付加反応の割合が高いことが想定された。これらの条件下、アミン基がより多く消費されることが予測され、ポリドーパミンフィルムの表面上に残留するアミン基は少なく、より弱いコンディショナー機能をもたらした。
【0078】
実施例18〜25
実施例18〜25は、モノマーペア((A)+(B))処理によって形成されたコポリマー(A+B)フィルムの複数の機能を試験するために行われ、これは、ブラックライトテストおよび剥離強度テストによるコンディショナーの機能および接着促進剤の機能を含む。
【0079】
剥離強度テストは、以下の条件を用いてテスト試片にて行われた:
設備:剥離強度テスター、タイプ:Ceco TA631E
剥離速度:2インチ/分
銅ストリップの幅:10ミリメートル
銅ストリップの長さ:100ミリメートル
銅ストリップの厚さ:34ミクロン〜38ミクロン
ストリップあたりの試験時間:80秒
1つのストリップに関して剥離強度データ:15秒〜75秒の間の剥離強度値の平均
本発明に示される剥離強度データ:8〜10ストリップから得られた剥離強度データの平均
【0080】
実施例18〜20
(1)前処理
実施例13と同じドリル穿孔ラミネートS1141を、バックライトテストのためのサンプルとして使用し、ガラスファイバー強化ベアエポキシラミネートS1141(サイズ:50mm*150mm*1mm、供給元:Shengyi Technology Co.Ltd.、ガラス転移温度:140〜150℃、ベアラミネートS1141として略記される)を、誘電性基材と堆積された金属フィルムとの間の剥離強度のためのテストサンプルとして使用した。
【0081】
ベアラミネートS1141およびドリル穿孔ラミネートS1141を、実施例13に記載される同じデスミアプロセスを通して加工処理した。
【0082】
(2)フリーラジカル開始剤処理
デスミアベアラミネートS1141およびデスミアドリル穿孔ラミネートS1141を、実施例13に記載される同じフリーラジカル開始剤処理プロセスを通して加工処理した。
【0083】
(3)(A)+(B)溶液処理
次に、サンプルは、上記(A)および(B)を含む溶液と接触させる工程を通して加工処理された。これらの実験において、(A)は、ヘキサメチレンジアミンであり、(B)はカテコールである。基本濃度は0.013mol/Lであった。基本濃度0.013mol/Lと表4に示される指示モノマーのモル比を乗じることによって、処理浴中のそのモノマーの初期濃度を得た。サンプルを80℃で2〜4時間処理した。水不溶性フィルムが、処理されたサンプルの表面上に形成された。
【0084】
(4)従来のコンディショナー工程を使用しない無電解めっき
(A)+(B)溶液処理の後、ベアラミネートS1141およびドリル穿孔ラミネートS1141は、実施例13に記載される従来のコンディショナー工程のない同じ無電解めっきプロセスを通して加工処理された。
【0085】
(5)バックライトテスト
無電解めっき後、ドリル穿孔ラミネートS1141は、実施例13と同じバックライトテストを用いて試験された。
【0086】
(6)電解めっき
無電解銅フィルムを有するベアラミネートS1141のサンプルを、電解銅めっきプロセスを通して加工処理した。サンプルをまず、酸清浄剤浴において40℃で5分間浸漬させたが、これは50mL/LのRONACLEAN(商標)LP200ACIDIC CLEANER(Dow Electronics Materials)および50mL/Lの98%のH
2SO
4(Sigma−Aldrich)を含有していた。次いでサンプルをR.O.水で3分間すすいだ。その後、サンプルを、100mLの98%H
2SO
4水溶液中に、23℃で1分間浸漬させた。次いで電解めっきを、CuSO
4からの75g/L銅イオン、100mL/Lの98%H
2SO
4(Sigma−Aldrich)、1mol/LのHCl(Sigma−Aldrich)からの60ppmの塩化物イオン、10mL/LのCOPPER GLEAM(商標)125T−AB PartBおよび5mL/LのCOPPER GLEAM(商標)125T−AB PartAを含む水溶液にて、平方フィートあたり20アンペアで80分間行われた。
【0087】
(7)ベーキング
次に、電解めっきサンプルを、剥離強度テストの前に160℃で60分間ベークした。
【0088】
実施例21
実施例21は、実施例18〜20についてのブランクコントロールであった。それは、工程(2)が、フリーラジカル開始剤の不存在下でトルエン中で行われ、工程(3)が溶質を含まない蒸留水でのみ行われた以外、実施例18〜20と同じ方法で加工処理された。
【0089】
実施例22〜24
実施例22〜24は、剥離強度テストが、別のタイプの誘電性基材、ラミネート基材に適用されたABF−GX−13フィルム(サイズ:100mm*100mm、供給元:Ajinomoto fine−techno Co.,Inc.)上で行われ、バックライトテストを行わなかった以外、実施例18〜20と同じ方法で加工処理された。
【0090】
実施例25
実施例25は、実施例22〜24についてのブランクコントロールであった。それは、工程(2)が、フリーラジカル開始剤の不存在下でトルエン中で行われ、工程(3)が、溶質を含まない蒸留水のみで行われた以外、実施例22〜24と同じ方法で加工処理された。
【0091】
【表4】
【0092】
実施例18〜20の溶液で処理されたスルーホール(
図2―実施例19)は、未処理のもの(
図3―実施例21)よりも相当良好な無電解銅被覆を示し、ヘキサメチレンジアミンおよびカテコールを含む溶液で処理された試片(S1141−実施例18〜20またはABF−GX13−実施例22〜24のいずれか)は、未処理のもの(実施例20または実施例25)よりも相当高い剥離強度を示したことが観察された。バックライトおよび剥離強度における改善は、(A)と(B)とのモル比および処理浴のpHにより変動したが、これは性能が要件に基づいて調整され得ることを示した。