(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362856
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】中央翼と胴体とを含み、前記胴体が、前記中央翼につながるように、かつ、前記胴体が受ける応力を前記中央翼に伝達するように構成された接続装置を備えている飛行機
(51)【国際特許分類】
B64C 1/26 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
B64C1/26
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-255257(P2013-255257)
(22)【出願日】2013年12月10日
(65)【公開番号】特開2014-114012(P2014-114012A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2016年11月21日
(31)【優先権主張番号】1261827
(32)【優先日】2012年12月10日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】509347273
【氏名又は名称】エアバス オペラシオン ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ ロヤン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル ルガルド
【審査官】
諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0170987(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0156935(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0138746(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0283666(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0299636(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0160968(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0147521(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0283637(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00− 1/40
B64C 7/00− 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長手方向に沿って延びる胴体と、前記胴体(6;106)の内部空間内に配置された中央翼(13;113)とを含む飛行機であって、
前記胴体(6;106)が、前記中央翼(13;113)につながるように、かつ、前記飛行機(1)が操縦される際に前記胴体(6;106)が受ける応力を前記中央翼(13;113)に伝達するように構成された接続装置を含み、
前記接続装置が、キールビーム(20;120)と、前記キールビーム(20;120)の接続部分(22)を介して前記キールビーム(20;120)に連結されたビーム板(24;124)とで形成されており、
前記キールビームが、略長手方向の第1方向に延びる主要部分(21;121)と、前記第1方向とは異なる第2方向に延び、前記中央翼(13;113)に連結されるように構成されている誘導部分(23;123)とを更に備えており、
前記誘導部分(23;123)、前記接続部分(22)および前記主要部分(21;121)が、キールビーム(20;120)が受ける前記応力の大部分を前記第2方向に誘導し、圧縮応力として、前記応力の前記大部分を前記中央翼(13;113)に伝達するように構成されている、
ことを特徴とする飛行機。
【請求項2】
前記誘導部分(23;123)が、前記主要部分(21;121)および前記接続部分(22)に対して傾いており、10°〜50°の範囲内に含まれる傾斜角を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の飛行機。
【請求項3】
前記主要部分(21;121)が、底(37)と2つの側面縦通材(38;39)とを備えたU形の断面を有する、ことを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項4】
前記接続部分(22)が、2つの接続アームにより形成されており、
前記接続アームが、それぞれ前記側面縦通材(38;39)の一方から延びており、前記底(37)と前記ビーム板(24;124)の双方に連結される下縁部(42)をそれぞれ有する、
ことを特徴とする請求項3に記載の飛行機。
【請求項5】
前記誘導部分(23;123)が、2つの誘導アームにより形成されており、
前記誘導アームが、それぞれ前記側面縦通材(38;39)の一方から延びており、前記中央翼(13;113)に当接するように構成された上縁部(41)をそれぞれ有する、
ことを特徴とする請求項3および4のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項6】
前記ビーム板(24;124)が、全体として湾曲した断面を有し、胴体パネルを形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項7】
前記ビーム板(24;124)が、前記中央翼(13;113)に連結されるように構成された複数の補強部材(31;131)を含む、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項8】
各々の前記補強部材(31;131)が、前記ビーム板(24;124)の内側面上に取り付けられた湾曲した底(43)と、前記中央翼(13;113)に連結されるように構成された2つの支え足(44)とを備えたアーチ形を全体として有する、ことを特徴とする請求項7に記載の飛行機。
【請求項9】
前記キールビーム(20;120)および前記ビーム板(24;124)が、別個のものであり、
前記接続装置が、前記ビーム板(24;124)の連結部分(36)と前記キールビーム(20;120)の前記主要部分(21;121)の面上の双方に配置される固定部材(30;130)を備えている、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項10】
前記キールビーム(20)が、単一部品で作製される、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項11】
前記キールビーム(20;120)および/または前記ビーム板(24;124)が、少なくとも部分的に金属材料および/または複合材料で作製される、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項12】
前記接続装置が、更に、前記キールビーム(120)の前記主要部分(121)を前記ビーム板(124)の反対側に延長した胴体後方下部パネル(146)、および/または、前記ビーム板(124)を前記キールビーム(120)の反対側に延長した胴体前方下部パネル(147)により形成される、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項13】
前記胴体(6;106)が、前方部分(7;107)と、後方部分(8;108)と、前記前方部分(7;107)と前記後方部分(8;108)の間に位置する中央部分(10)とを含み、
前記接続装置が、前記中央部分(10)の領域に配置され、前記前方部分(7;107)と前記後方部分(8;108)の双方につながっており、
前記ビーム板(24;124)が、前記前方部分(7;107)に連結され、
前記キールビーム(20;120)の前記主要部分(21;121)が、前記後方部分(8;108)に連結され、
前記応力の前記大部分が、前記後方部分(8;108)から来る、ことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項14】
少なくとも1つの脚格納室(12;112)を含み、前記脚格納室が、前記胴体内に穴を形成するように前記胴体(6;106)内に設けられ、少なくとも1つの着陸装置を格納するように構成されており、
前記接続装置が、前記少なくとも1つの脚格納室(12;112)により形成された前記穴の領域に配置される、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の飛行機。
【請求項15】
前記接続装置が、前記胴体(6;106)の前記内部空間の内部または外部に取り付けられるように構成されている、ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の飛行機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央翼と胴体とを含み、前記胴体が、この胴体を中央翼に連結する接続装置を備えている飛行機に関する。
【背景技術】
【0002】
内部空間を画定する胴体と、この胴体に、例えばこの胴体の中央部分の領域で連結される翼部と、胴体の内部空間内に配置され、翼部を胴体に連結するように構成された中央翼とを備えた飛行機が知られている。
【0003】
飛行機は、1つまたは複数の着陸装置を更に含み、前記着陸装置は、胴体中に設けられた1つまたは複数の脚格納室から展開し、前記格納室内に引き込まれるように構成されている。脚格納室は、胴体のその他の内部空間とは異なり与圧されないので、各々の脚格納室は、胴体内に穴を形成している。
【0004】
飛行機が操縦される際、例えば、上昇または下降(鉛直方向の移動)する際に、翼部および胴体は、相対する大きな曲げ応力を被り、前記曲げ応力は、胴体、より具体的にはその下部に(上昇の際に)圧縮応力または(下降の際に)引張応力として働く。圧縮応力は、引張応力よりも大きいことに留意されたい。
【0005】
各々の脚格納室の領域には、胴体上の他の場所よりも剛性の小さなゾーンが形成されるため、一般に飛行機の胴体には、各々の脚格納室に起因する胴体の剛性損失を補償するように構成された接続装置が備え付けられている。この接続装置は、多くの場合、キールビームにより形成される。
【0006】
ある胴体では、キールビームが、一方では、胴体の前方部分につながり、他方では、胴体の後方部分につながっている。
他の胴体では、キールビームが、一方では、中央翼につながり、他方では、胴体の後方部分につながっている。このビームは、胴体の前方部分につながっていない。
キールビームが胴体の前方部分と後方部分の双方につながり、同じく、中央翼にもつながっている胴体も知られている。キールビームは、中央翼に連結され、胴体が受ける応力を中央翼に誘導するように構成されており、この応力は、中央翼に対して剪断応力として働く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の装置と同じ種類のものであるが、応力の分散すなわちこの装置の負荷の最適化に関する性能が向上されると同時に、とりわけ簡易、便利かつ経済的な接続装置を有する胴体を備えるむ飛行機を提供することを目指す。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、したがって、略長手方向に沿って延びる胴体と、前記胴体の内部空間内に配置された中央翼とを含む飛行機を対象としており、前記胴体が、前記飛行機の中央翼につながるように、かつ、前記飛行機が操縦される際に前記胴体が受ける応力を前記中央翼に伝達するように構成された接続装置を含み、前記接続装置が、キールビームと、前記キールビームの接続部分を介して前記キールビームに連結されたビーム板とで形成され、前記キールビームが、略長手方向の第1方向に延びる主要部分と、前記第1方向とは異なる第2方向に延び、前記中央翼に連結されるように構成されている誘導部分とを更に備えており、前記誘導部分、前記接続部分および前記主要部分が、キールビームが受ける前記応力の大部分を前記第2方向に誘導し、圧縮応力として、前記応力の前記大部分を前記中央翼に伝達するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明による飛行機の胴体の接続装置によって、胴体が受ける曲げ応力を特に圧縮応力として飛行機の中央翼に誘導し、伝達することで、その応力を最適に分散することができる。
【0010】
したがって、本発明による飛行機の胴体の接続装置により、胴体が受ける応力を伝達し、均衡させる装置を形成することができる。
【0011】
実際には、キールビームが受け、胴体から来る応力の大部分は、主要部分および誘導部分により誘導され、次に、この誘導部分により、中央翼に圧縮応力として伝達されるのに対し、キールビームが受け、胴体から来る応力の残りは、主要部分および接続部分ならびにビーム板により誘導され、次に、ビーム板により、中央翼に剪断応力として伝達される。
【0012】
用語「応力の大部分」は、飛行機が操縦される際に胴体が受ける応力の半分以上が、本発明による胴体の接続装置により、主要ボックスに圧縮応力として伝達されることを意味することに留意されたい。
【0013】
したがって、本発明による飛行機の胴体は、応力の分散すなわちこの装置の負荷の最適化に関する性能が向上されると同時に、とりわけ簡易かつ便利である。
【0014】
本発明による飛行機の簡易、便利かつ経済的である好適な特徴によれば、
− 前記誘導部分は、前記主要部分および前記接続部分に対して傾いており、10°〜50°の範囲内に含まれる傾斜角を有する。
− 前記主要部分は、底と2つの側面縦通材とを備えたU形の断面を有する。
− 前記接続部分は、2つの接続アームにより形成されており、前記接続アームは、それぞれ前記側面縦通材の一方から延びており、前記底と前記ビーム板の双方に連結される下縁部をそれぞれ有する。
− 前記誘導部分は、2つの誘導アームにより形成されており、前記誘導アームは、それぞれ前記側面縦通材の一方から延びており、前記中央翼に当接するように構成された上縁部をそれぞれ有する。
【0015】
− 前記ビーム板は、全体として湾曲した断面を有し、胴体パネルを形成するように構成されている。
− 前記ビーム板は、前記中央翼に連結されるように構成された複数の補強部材を含む。
− 各々の前記補強手段は、前記ビーム板の内側面上に取り付けられた湾曲した底と、前記中央翼に連結されるように構成された2つの支え足とを備えたアーチ形を全体として有する。
【0016】
− 前記キールビームおよび前記ビーム板は、個別のものであり、前記接続装置は、前記ビーム板の連結部分と前記キールビームの前記主要部分の面上の双方に配置される固定部材を備えている。
− 前記キールビームは、単一部品で作製される。
− 前記キールビームおよび/または前記ビーム板は、少なくとも部分的に金属材料および/または複合材料で作製される。
【0017】
− 前記接続装置は、更に、前記キールビームの前記主要部分を前記ビーム板の反対側に延長した胴体後方下部パネル、および/または、前記ビーム板を前記キールビームの反対側に延長した胴体前方下部パネルにより形成される。
− 前記胴体は、前方部分と、後方部分と、前記前方部分と前記後方部分の間に位置する中央部分とを含み、前記接続装置は、前記中央部分の領域に配置され、前記前方部分と前記後方部分の双方につながっており、前記ビーム板は、前記前方部分に連結され、前記キールビームの前記主要部分は、前記後方部分に連結され、前記応力の前記大部分は、前記後方部分から来る。
【0018】
− 飛行機は、少なくとも1つの脚格納室を含み、前記脚格納室は、前記胴体内に穴を形成するように前記胴体内に設けられ、少なくとも1つの着陸装置を格納するように構成されており、前記接続装置は、前記少なくとも1つの脚格納室により形成された前記穴の領域に配置される。および/または、
− 前記接続装置は、前記胴体の前記内部空間の内部または外部に取り付けられるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
ここからは以下の付属図面を参照しながら、非限定的に提示する実施例の記述を用いて本発明を説明していく。
【0020】
【
図1】その飛行機の胴体の下部を見ることを可能にする角度から眺めた飛行機を概略的に表す斜視図である。
【
図2】
図1の飛行機の胴体がこの飛行機の上昇操作の際に受ける応力を表している概略図である。
【
図3】
図1の飛行機の胴体を概略的かつ部分的に表し、その胴体の一部は、胴体の内部空間を見せるために部分的にカットされており、その内部空間内には、特に、飛行機の中央翼と胴体の接続装置が配置されている。
【
図4】2つの異なる角度から個別に眺めた
図3の中央翼および接続装置を概略的に斜視図で表す。
【
図5】2つの異なる角度から個別に眺めた
図3の中央翼および接続装置を概略的に斜視図で表す。
【
図7】
図3の中央翼および接続装置を部分的に示している概略断面図である。
【
図8】
図1〜7で少なくとも部分的に見ることのできる胴体の変形実施形態を概略的に斜視図で表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、胴体6を備えた飛行機1を示し、この胴体は、略長手方向に延び、前方部分7と中央部分10と後方部分8とを有し、翼部4はそれぞれ胴体6に、ここでは胴体6の中央部分10の領域で連結されている。飛行機は、本明細書に示される形以外の形であってもよい。
【0022】
飛行機1は、更に、翼部4の各々に2つのエンジン5を備えており、これら2つのエンジン5は、各々の翼部4の下壁にそれぞれ固定され、翼部4から、それぞれ胴体6に平行に、飛行機1の前方2に延びている。
飛行機1は、飛行機1の後方3で胴体6の両側に配置される2つの尾翼11を更に備えている。
【0023】
飛行機1は、2つの可動式のドア9を更に備えており、前記ドアは、胴体6の中央部分10内に設けられた脚格納室12(
図2)をそれぞれ開閉するように構成されている。
これら脚格納室12の各々は、胴体6の中央部分10に穴を形成しており、少なくとも1つの着陸装置(図示されず)を格納するように構成されており、着陸装置は、この脚格納室12から展開し、前記脚格納室内に引き込まれるように構成されている。
【0024】
各々の脚格納室12は、胴体6により画定された内部空間に穴を形成しており、この穴は、この胴体6のその他の内部空間とは異なり与圧されないことに留意されたい。
【0025】
この飛行機1が操縦される際、例えば、上昇または下降(鉛直方向の移動)する際に、翼部4ならびに胴体6の前方部分7および後方部分8は、相対する大きな曲げ応力を被り、前記曲げ応力は、胴体6、より具体的にはその中央下部10に(上昇の際に)圧縮応力または(下降の際に)引張応力として働く。
【0026】
図2では、矢印Aは、翼部4が被り、特に飛行機1の中央翼13(
図3)に伝達される応力を概略的に表し、矢印Dは、尾翼11が被り、胴体6の後方部分8に伝達される応力に対応し、矢印BおよびCに関しては、胴体6のそれぞれ前方部分7および後方部分8が受ける慣性応力に対応するのに対し、矢印Eは、胴体6の中央部分10、すなわち脚格納室12に導かれる応力を表す。
【0027】
ここで
図2は飛行機1の上昇を示し、したがって矢印Eは、胴体6の中央部分10(ここでは、飛行機1の下部を取り上げるので、中央下部分)にかかる圧縮応力の働きを表す。
図2では、脚格納室12は、剛性が胴体6の他の場所よりも小さなゾーンであることを示すため、飛行機1の胴体6中に設けられた切り込みで表される。
【0028】
胴体6は、応力を集め、応力を飛行機1の中央翼13に誘導して最適に分散することを可能にする上記の接続装置を更に含む。この接続装置により、脚格納室12に起因する胴体6の剛性損失を補償することができる。
【0029】
中央翼13は、胴体6の内部空間内に配置されており、飛行機1の翼部4の各々に連結されるように構成されている。
この中央翼13は、各翼部4の構造上の連続性を確保することを可能にし、更には、大きな応力を吸収するように構成されている。
【0030】
中央翼13は、略平行六面体形状であり、つながっている2つの脚格納室12により作り出される空間と同じ空間内に配置される。
これは非与圧空間であるため、飛行機1は、中央翼13に連結された密閉上壁14と、密閉上壁14におよび胴体6の後方部分8に連結された密閉後壁15とを含む。
【0031】
密閉上壁14が脚格納室12の上部を閉じるのに対し、密閉後壁15は、飛行機1の後方3に位置する脚格納室の側面を閉じる。
飛行機1は、密閉前壁17を更に含み、前記密閉前壁は、中央翼13と胴体6の前方部分7とに連結され、飛行機1の前方2に位置する脚格納室のもう一方の側面を閉じる。
【0032】
胴体6は、その中央部分10の領域、より具体的には脚格納室12の領域に接続装置を更に備えており、前記接続装置は、ここでは、キールビーム20とこのキールビーム20に連結されたビーム板24とで形成されている。
キールビーム20は、ここでは胴体6の内部空間内に、より具体的には、中央翼13があり、特に脚格納室12により画定される、非与圧空間内に配置されている。
キールビーム20は、略長手方向の第1方向に延び、胴体6の後方部分8に連結される、主要部分21を含む。
【0033】
キールビーム20は、第1方向とは異なる第2方向に、ここでは長手方向に対して斜めに延び、中央翼13に接合部18の領域で連結される、誘導部分23を含む。
キールビーム20は、ビーム板24に連結された接続部分22を更に含む。
このキールビーム20は、ここでは複合材料の単一部品で作製され、胴体6の中央部分10とすれすれに設けられる。
【0034】
ビーム板24に関しては、接続部分22と主要部分21とを介して、胴体6の前方部分7とキールビーム20の双方に連結されている。
このビーム板24は、中央翼13に連結された複数の補強部材31を有する。
このビーム板24は、複合材料で作製され、胴体6の中央部分10上にすれすれに取り付けられる。
【0035】
ここからは
図4〜7を参照しながら、中央翼13と、キールビーム20およびビーム板24により形成された接続装置とを更に詳細に記述していく。
中央翼13は、密閉上壁14と向かい合って配置されるように構成された上壁25と、上壁25に対向し、ビーム板24と向かい合って配置されるように構成された下壁26と、密閉前壁17、密閉上壁14ならびにこのボックス13の上壁25および下壁26に連結された前壁27と、前壁27に対向し、このボックス13の上壁25および下壁26ならびに密閉上壁14に連結された後壁28とを有する。
【0036】
キールビーム20の誘導部分23が連結されるように構成されるのは、下壁26の領域であることに留意されたい。
ビーム板24は、飛行機1の前方に向く第1側面33と、第1側面33に連結された第2側面34と、同様に第1側面33に連結された第3側面35と、飛行機1の後方3に向き、第2側面34および第3側面35に連結された連結部分36とを有する。
【0037】
ビーム板24は、断面が全体として湾曲している胴体パネルの形状を有する。
ビーム板24は、第1側面33に対応する真っ直ぐな前縁部と、第2側面34および第3側面35の一部に対応する漏斗状の後縁部とを有する。
ビーム板24の漏斗状の後縁部の延長上に、キールビーム20の幅と同じ幅である、このビーム板24の連結部分36が延びる。
特にこの連結部分36を介して、ビーム板24がこのキールビーム20に連結される。
【0038】
ビーム板24は、中央翼13の下壁26に向き合うように構成されている、内側面と称する面を有する。
このビーム板24は、この内側面上に、ビーム板24に沿って延びる複数の長手補剛材32を含む。
このビーム板24は、その内側面上に取り付けられ、中央翼13の下壁26の方に延びる、複数の補強部材31を更に含む。
【0039】
各々の補強部材31は、ビーム板24の内側面上で第2側面34と第3側面35との間に固定されている横手底43と、2つの足44とを備えた保持アーチの形を有し、前記2つの足は、それぞれ第2側面34および第3側面35の領域でこの底43から延び、前記2つの足が中央翼13の下壁26にそれを介して固定されるように構成されている自由端まで延びている。
これら足44の各々は、その自由端の領域で、中央翼13の下壁26に連結するように構成されている固定要素45を有する(
図7)。
【0040】
キールビーム20の主要部分21は、その断面が、底37とその底37の各側面にそれぞれ連結された側面縦通材38および39とを有するU形である。
底37ならびに縦通材38および39は、ここでは単一部品で形成されている。
接続部分22に関しては、側面縦通材38、39の延長部分にそれぞれ延びている2つの接続アームにより形成される。
これら接続アームの各々は、真っ直ぐな下縁部42を備えている。
【0041】
誘導部分23に関しては、同様に側面縦通材38および39の延長部分に延びている2つの誘導アームにより形成される。
これら誘導アームの各々は、真っ直ぐな上縁部41を有する。
【0042】
接続部分22および誘導部分23、すなわち接続アームおよび誘導アームは、主要部分21を接合部29から延ばしたものである。
誘導アームの各々は、接続アームに向き合って延び、この接続アームおよび各々の側面縦通材38、39に対して傾いており、前記側面縦通材からは、誘導アームの各々が延びている。
【0043】
すなわち、誘導部分23は、接続部分22に向き合って延びており、この接続部分および主要部分21に対して傾いている。
誘導部分23の傾斜角は、ここでは、キールビームが、側面から見た場合(
図6)に、根元として主要ビーム21と、分岐として誘導部分23および接続部分22とを有するフォーク形状を全体として有するように、約30°であり、接合部29は、これらの部分21〜23の各々の連結点を形成している。
【0044】
ここでは、接続部分22、より正確には、真っ直ぐな下縁部42は、主要ビーム21の底37が延びている面と同じ面に延びている。言い換えれば、接続部分22は、主要ビーム21に対して傾いていない。
したがって誘導部分23は、この接続部分22に対して、この主要部分21に対するのと同じ傾斜角を有する。
こうして空間40は、誘導部分23と接続部分22との間、すなわち誘導アームおよび接続アームの各々の間に作り出される。
【0045】
主要部分21、誘導部分23および接続部分22(より全体的には、キールビーム20)は、キールビーム20が受け、胴体6の後方部分8から来る応力の大部分が、主要部分21および誘導部分23により誘導され、次に、誘導部分23を介して中央翼13に圧縮応力として伝達されるように構成されている。
図6では、これが矢印Fで示されている。
【0046】
キールビーム20が受け、胴体6の後方部分8から来る応力の残りは、主要部分21および接続部分22により、ビーム板24の方に誘導される。
図6では、これが矢印Gで示されている。したがって応力の残りは、ビーム板24およびその補強部材31により誘導され、次に、補強部材31の足44を介して中央翼13に剪断応力として伝達される。
【0047】
ここでは、この応力の大部分が、これら応力の約55%から約70%までの範囲に相当するのに対し、これら応力の残りが、これら応力の約30%から約45%までの範囲に相当する。
【0048】
ここからは接続装置の組み付け、より正確にはキールビーム20とビーム板24との組み付けについて記述していく。
ビーム板24は、その内側面で、接続部分22の接続アームの真っ直ぐな下縁部42を受けるのに対し、連結部分36は、キールビーム20の主要部分21の底37の外側面に当接する。
【0049】
ここでは平らな複合部品により形成される外部固定部材30は、連結部分36の外側面と底37の外側面とに跨がるように貼り付けられ、これらを互いに固定するように構成されている。
同じ種類の別の複合部品により形成される内部固定部材(可視化されず)が、同様に、連結部分36の内側面と底37の内側面とに跨がるように貼り付けられ、これらを互いに固定するように構成されていることに留意されたい。
【0050】
2つの誘導アームにより形成される誘導部分23が、足44の間、すなわち複数の保持アーチ31の底43の上に延びていることが理解されよう(
図5)。
この誘導部分23が、ここでは長手形鋼を用いて誘導部分23の両側に形成される固定部材により、中央翼13に接合部18の領域で固定されることに留意されたい。
【0051】
図8は、
図2〜7に少なくとも部分的に示された前記胴体の変形実施形態を示す。
なお全体として、同じ要素に対しては、数字100を付け加えた上で同じ参照番号を用いている。
【0052】
胴体106は、ここでは、複数の個別の金属部品および/または複合部品で作製されたキールビーム120と、キールビーム120に連結されたビーム板124とを含む。
キールビーム120は、底と、誘導部分123および接続部分を延長部分で形成するつながった側面縦通材とを含む主要部分121を備えており、前記誘導部分および接続部分は、接合部129から延びている。
【0053】
主要部分121は、胴体後方下部パネル146によりビーム板124の反対側に形成される延長部分を更に含む。
この胴体後方下部パネル146は、それ自体が胴体106の一部を形成する。
ビーム板124に関しては、
図4および
図5に見られるビーム板24と同じであり、中央翼113の下壁126に連結される複数の保持アーチ131を有し、胴体前方下部パネル147によりキールビーム120の反対側に形成される延長部分を更に含む。
【0054】
この胴体前方下部パネル147は、補剛材を有し、それ自体が胴体106の一部を形成する。
ビーム板124とキールビーム120は、ここでは平らな複合部品により形成される固定部材130を介して、互いに固定される。
【0055】
図8では、キールビームおよびビーム板124が、胴体106の内部空間の境界部に、より具体的には脚格納室112により形成される穴の境界部に配置されており、前記格納室の範囲が、特に、密閉上壁114および密閉後壁115により画定されることがわかる。
【0056】
図示されない異なる形態では、
− キールビームは、複合材料で作製されず、むしろ、少なくとも部分的に金属材料で作製される。
− ビーム板は、複合材料で作製されず、むしろ、少なくとも部分的に金属材料で作製される。
− キールビームは、胴体の内部空間の中に配置されず、むしろ、この内部空間の外に取り付けられる。
【0057】
− 接続部分および主要部分に対する誘導部分の傾斜角は、約30°ではなく、むしろ、約20°または約40°であり、より一般的には、その傾斜角は、10°〜50°の範囲内に含まれる。
− 主要部分は、全体としてU形の断面を有するのではなく、むしろ、全体として長方形の断面を有する。
【0058】
− キールビームおよびビーム板は、実質的に平らな複合材料により互いに固定されずに、実質的に平らな要素など、例えば金属製の他の固定部材または圧縮金具により互いに固定される。
− キールビームおよびビーム板は、ビーム板の補強部材の足の固定要素により互いに固定されずに、つながった固定要素により互いに固定される。
− キールビームおよびビーム板は、2つの個別の部品ではなく、むしろ、単一部品で作製される。
【0059】
− ビーム板は、胴体パネルのように湾曲した形ではなく、むしろ、真っ直ぐな形状の断面を有する。
− 用語「応力の大部分」は、より一般的には、これら応力の50%以上に相当するのに対し、これら応力の残りは、これら応力の50%未満に相当する。
− 飛行機は、
図1に示される種類と異なる種類のものであり、例えば、翼部および/または脚格納室が、胴体の後方部分の領域または胴体の前方部分の領域に位置しており、および/または、飛行機が、より多くのまたはより少ないエンジンを含む。および/または、
− 接続装置は、胴体の中央下部分の領域に配置されず、むしろ、胴体の後方下部分の領域に、または、胴体の前方下部分の領域に配置される。
【0060】
より一般的には、本発明が、ここに記述・表示された実施例に限定されないことについて留意されたい。