特許第6362885号(P6362885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧

特許6362885季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置
<>
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000002
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000003
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000004
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000005
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000006
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000007
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000008
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000009
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000010
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000011
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000012
  • 特許6362885-季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362885
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】季節性情動障害を治療するための生物医学的眼用装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20180712BHJP
   G01N 27/447 20060101ALI20180712BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20180712BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   A61M21/02 J
   G01N27/447 301A
   G02C7/04
   G02C11/00
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-51272(P2014-51272)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2014-180565(P2014-180565A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年7月25日
(31)【優先権主張番号】13/833,196
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ランドール・ビー・ピュー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・エイ・フリッチュ
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0215291(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0199995(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0245444(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0139963(US,A1)
【文献】 特開2000−131318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61N 5/06
A61B 5/00
G01N 27/447
G02C 7/04
G02C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物医学的眼用装置であって、
エネルギー源と、
前記エネルギー源と電気的に接続する光源と、
ユーザーの涙液膜に含まれる生体分子の変化を検出し、測定された変化に対応する信号データを生成できる、バイオマーカーセンサーと、
前記バイオマーカーセンサーと論理通信するプロセッサであって、季節性情動障害を治療するために、前記信号データを受信し、処理して、前記光源の制御に関連するデータを出力するように作動する、プロセッサと、を備え、
前記光源が前記プロセッサによって制御されている、生物医学的眼用装置。
【請求項2】
前記プロセッサと通信する光センサー、を更に備える、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項3】
前記バイオマーカーセンサーが、分析感度を備える電気化学マイクロチップ、を備える、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項4】
前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のメラトニン生体分子の変化を測定できる、請求項3に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項5】
前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のセロトニン生体分子の変化を測定できる、請求項3に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項6】
前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のインターロイキン−6生体分子の変化を測定できる、請求項3に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項7】
記生物医学的眼用装置がコンタクトレンズを備える、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項8】
記コンタクトレンズが、前記エネルギー源を封入する媒体挿入物を備える、請求項7に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項9】
アンテナを更に備える、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項10】
前記アンテナが、外部コントローラからの電気信号を前記プロセッサへ送信できる、請求項9に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項11】
前記プロセッサが、眼鏡内に収容される第2のプロセッサと論理通信する、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【請求項12】
前記光源が1つ又は2つ以上の発光ダイオードを備える、請求項1に記載の生物医学的眼用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、季節性情動障害(SAD)の診断及び治療に使用される装置及び方法に関する。より具体的には、光線療法治療用にSADの症状をモニタリングできる、付勢された生物医学的眼用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
季節性情動障害(SAD)は、十分に確証された気分障害であり、患者は、1年の特定の季節において、最も頻繁には冬場に、抑うつ症状を経験する。SADを患う患者は、多くの場合、1年の大半は、正常な精神的健康を有する。SADの症状としては、過剰睡眠、体力の欠如、炭水化物欲求、集中力の欠如、及び社会活動からのひきこもりが挙げられるが、これらに限定されない。この症状が、抑うつ、絶望、悲観、及び喜びの欠如の感情をもたらす。
【0003】
季節性気分変動は、光への曝露における変化に関連すると考えられている。より少ない昼光時間、より低い日光強度、又はかなり長い期間の曇天空を経験する、極北地方などの地理的地方では、SADの発生の程度がより高い。成人集団内のSADの有病率の変化は、フロリダ及び他の晴天が多い州における低い有病率からアラスカ、ニューハンプシャー及び他の北部又は曇りの日が多い地方における著しく高い有病率までの範囲で、合衆国内で明白である。
【0004】
光線療法は、典型的な、又は冬期ベースの、季節性感情障害に顕著なかつ有効な処置として研究及び確立されてきた。従来の光線療法は、標準型白熱電球よりもかなり多くのルーメンを放射する装置を使用する。一般的な実装は、10,000ルクスにて好ましい明るい白色の全スペクトル光、又は所望により2,500ルクスにて480nmの波長での任意の青色光、若しくは350ルクスにて500nmの波長での緑色光を含む。光線療法では通常、患者が、光源から規定された距離を置いて、毎日30分から60分間目を開いた状態で座ることが必要とされる。この季節性処置は、患者が自然光への頻繁な曝露を経験するまで、数週間持続される。患者の大部分は既存の治療が面倒であると考えており、したがって、かなりの割合(いくつかの調査では、最大19%)が治療を中止する。したがって、より簡便かつ制御された、インテリジェントな方法で光線療法を送達するために、新たな方法及びアプローチが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述のニーズは本発明によって、かなりな程度まで、満たされ、一態様では、少量の涙液を検査してモニタリングし、SAD治療にインテリジェントな光線療法を提供できる付勢された生物医学的眼用装置が提供される。本説明には、SADをモニタリングし、それに応じてインテリジェントな光線療法を送達する方法、及びSADの症状のモニタリングに使用され、光源と論理通信するバイオマーカーセンサーを備える、付勢された生物医学的眼用装置の開示が含まれる。いくつかの実施形態では、付勢された生物医学的眼用装置は、1つ又は2つ以上のセンサーと、SADを治療できる集積光源と、を備える、付勢された眼用レンズであってよい。代替の実施形態では、付勢された眼用レンズは、1つ又は2つ以上のセンサーと、SADを治療できる非集積光源と通信するコントローラにセンサーで測定されたデータを転送する通信手段と、を備えてよい。
【0006】
本発明のいくつかの態様では、光線療法の個人別投与計画を実現できる。個人別投与計画は、様々なデータを分析して、プログラムされた治療スケジュールを補正すると、インテリジェントな光線療法をもたらすことができる。分析対象のデータとしては、付勢された生物医学的眼用装置ユーザーの涙液膜内のバイオマーカーの変化に関する、センサーで測定されたデータが挙げられるが、これに限定されない。補正には、ユーザーの好みを考慮しつつ、治療頻度、期間、及び/又は光強度を変更してより効果的な治療を提供し、ユーザーにより有意義な経験を提供することを含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、バイオマーカーのモニタリングは分析感度を有し、生物医学的眼用装置内に収容される、1つ又は2つ以上の電気化学センサーによって達成されてよい。電気化学センサーは、例えば、症状関連の生体分子の存在及び/又は濃度など、涙液膜内のバイオマーカーを分析できる。SADの様々な症状と相互関係を有する生体分子としては、セロトニン、メラトニン、及びインターロイキン−6が挙げられるが、これらに限定されない。生体分子の分析は、所定の頻度若しくは時間帯、例えば、1時間ごと、3時間ごと、又は特定の活動中、又はユーザーがSADの症状を最も発症しやすい時間帯に行われてよい。いくつかの実施形態では、SADの症状のモニタリングに役立ち得る他のセンサー、例えば、光センサー又はユーザーの概日リズムの変化を検出できるセンサーなども含まれ得る。
【0008】
いくつかの実施形態によると、センサーは、電気泳動機能及び選択的化学発光分析感度機能を備えるマイクロチップであってよい。いくつかの好ましいセンサーでは、分析感度は、涙液膜の生体分子からのデータ、例えば、電気伝導度、電気抵抗、又は電気容量;蛍光、吸光度、光散乱又はプラズモン共鳴、露光量、及び概日リズムの変化の1つ又は2つ以上を測定して、SADを治療するためのインテリジェントな光線療法のモニタリング、診断、及び/又は提供を行うことができる付勢されたマイクロチップ構成要素によって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のいくつかの態様を実施するために使用され得る方法工程を図示する。
図2】本発明のいくつかのレンズの実施形態で使用され得るバイオマーカーセンサーを備える、例示の付勢された生物医学的眼用装置を図示する。
図3】本発明のいくつかの実施形態で使用され得る例示のプロセッサを図示する。
図4】発明のいくつかのレンズの実施形態で使用され得るマイクロコントローラを含む例示の媒体挿入物を備える、付勢された生物医学的眼用装置を図示する。
図5】本発明のいくつかのレンズの実施形態による光源を含む、例示の付勢された生物医学的眼用装置の断面図を図示する。
図6】本発明のいくつかの実施形態で使用され得るレンズに埋め込まれた光源及び支援電子機器を備える、例示の相補的眼鏡の背面図を図示する。
図7】本発明のいくつかのコンタクトレンズの実施形態による、付勢された生物医学的眼用装置の中へ光を向ける埋め込まれた光源を備える、例示の相補的眼鏡の断面図を図示する。
図8】本発明のいくつかのコンタクトレンズの実施形態による、光源を含む付勢された生物医学的眼用装置と無線通信する支援電子機器を備える、例示の相補的眼鏡の断面図を図示する。
図9A】本発明のいくつかの眼用レンズの実施形態による、例示のコイル型アンテナを備える付勢された生物医学的眼用装置を図示する。
図9B】本発明のいくつかのコンタクトレンズの実施形態による、例示のスパイラル型アンテナを備える付勢された生物医学的眼用装置を図示する。
図9C】本発明のいくつかの実施形態によるアンテナ及び受信機回路のブロック図表示である。
図10】本発明のいくつかの実施形態を実施するために使用され得るプロセッサの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、SADの症状をモニタリングし、SADの治療に使用される光線療法を制御するための方法及び付勢された生物医学的眼用装置を含む。具体的には、本発明は、涙液膜内のバイオマーカー並びに/又はSADの症状に関連する眼表面の状態及び特性をモニタリングして、インテリジェントな光線療法を提供できる方法及び装置の実施形態を含む。
【0011】
以下の項において、本発明の実施形態の詳細な説明を与える。好ましい実施形態及び代替の実施形態の両方の説明は、例示的な実施形態に過ぎず、変形、修正、及び代替が当業者にとって明白であることが理解される。したがって、これらの代表的な実施形態は基礎をなす発明の範囲を制限しない点は理解されなければならない。
【0012】
用語集
本発明を目的とする本説明及び特許請求の範囲において、以下の定義が適用される、様々な用語が使用される。
「生物医学的眼用装置」は、眼内又は眼上に位置することができる、任意の眼用装置を指す。これらの装置は、光学補正、光学治療の1つ又は2つ以上を提供でき、美容用であってよい。例えば、生物医学的眼用装置は、付勢されたコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球挿入物、光学挿入物、涙点プラグ、又は視力を矯正する若しくは修正する、眼の状態を改善できるか若しくは阻止できる、及び/若しくは眼の生理機能が美容的に強調される(例えば、虹彩色)他の同様の眼用装置を指してよい。いくつかの実施形態では、本発明の生物医学的眼用装置として、シリコーンヒドロゲル、及びフルオロヒドロゲルを含むがこれらに限定されない、シリコーンエラストマー又はヒドロゲルから作製される、ソフトコンタクトレンズが挙げられる。
【0013】
「構成要素」とは、本明細書で使用するとき、論理的状態、又は物理的状態の1つ又は2つ以上の変化を生じるためにエネルギー源から電流を引き込む装置を指す。
【0014】
本明細書で使用する場合、「付勢された」は、電流を供給することができるか、又は内部に蓄積された電気的エネルギーを有することができる状態であることを指す。
【0015】
「エネルギーハーベスタ」は、本明細書で使用するとき、環境からエネルギーを抽出することができ、それを電気的エネルギーに変換することができる装置を指す。
【0016】
「エネルギー源」とは、本明細書で使用するとき、エネルギーを供給することができるか、又は生体医学的装置を付勢された状態に置くことができる装置を指す。
【0017】
本明細書で使用するとき、「エネルギー」は、仕事を行なうための物理的システムの能力を指す。本発明で使用される場合の多くは、動作する際に電気的作用を行うことが可能なこの容量に関連し得る。
【0018】
「インテリジェントな光線療法」とは、本明細書で使用するとき、プロセッサが多様なデータを評価し、データ分析に基づいて、プログラムされた光線療法スケジュール及び/又は機能に対する補正調整をダイナミックに行う、光線療法の送達方法を指してよい。インテリジェントな光線療法は、例えば、周辺光へのユーザーの曝露、測定された涙液膜内のバイオマーカー、及びモニタリングされた概日リズムが挙げられるが、これらに限定されない1つ又は2つ以上の条件に基づいて光線療法を調整することによって行われてよい。
【0019】
「光源」とは、本明細書で使用するとき、光を放射できる装置を指す。
【0020】
「光線療法」とは、本明細書で使用するとき、多様な装置を使用して制御され、特定の時間、特定の強度で、場合によっては特定の時間帯に投与される、光の特定の波長への曝露を指す。
【0021】
「リチウムイオンセル」とは、リチウムイオンがセルを通じて移動して電気エネルギーを生成する、電気化学セルを指す。典型的には電池とよばれるこの電気化学セルは、その通常の状態に再付勢又は再充電され得る。
【0022】
「ルクス」とは、本明細書で使用するとき、国際単位系(SI)における照度の単位を指す。ルクスは、単位面積当たりの発光量の度量をもたらす。1ルクスは、1ルーメンが1平方メートルの面積上に均等に分布する場合にもたらされる照明の量である。これは、1国際燭の点光源から1メートルにある表面の全ての点上に存在すると考えられる照明と等価である。1ルクスは、2.8316cm燭(0.0929フィート燭)に等しい。
【0023】
「光学ゾーン」は、本明細書で使用する場合、眼用レンズの装用者がそこを通して見ることになる、眼用レンズの区域を指す。
【0024】
「出力」とは、本明細書で使用するとき、単位時間当たりに行われる仕事、又は移送されるエネルギーを指す。
【0025】
「プログラムされた光線療法スケジュール」とは、本明細書で使用するとき、測定データ、日付、地理的地域、及びユーザーの季節性情動障害症状の重篤性などの可変要素に基づいて、光線療法の時期、持続時間及び強度を制御する自動指示のセットを指す。プログラムされた光線療法スケジュールは、眼科専門医、医師、プロセッサに組み込まれたソフトウェアコード、及び/又はユーザーによって設定されてよい。
【0026】
「再充電可能、又は再付勢可能」とは、本明細書で使用するとき、仕事を行うためのより高い能力を有する状態へと回復する能力を指す。本発明においては多くの場合、ある再復旧された期間、ある率で、電流を流す能力で復元可能な能力との関連で使用され得る。
【0027】
「再充電又は再付勢」とは、本明細書で使用するとき、仕事をするためのより高い能力を有する状態まで復元する活動を指す。本発明においては多くの場合、ある再復旧された期間、ある率で、電流を流す能力を有する復元装置に関連して使用され得る。
【0028】
「季節性情動障害(SAD)」は、本明細書で使用するとき、日光の欠如又はある波長の光によって患者が通常経験する、気分に変化をきたす症状の再発状態を指し得る。これは、日光への曝露が制限される場合に季節間に発症する気分障害で、抑うつ症状によって特徴づけられ、かつ春の到来又は光線療法によって緩和されるものを含み得る。
【0029】
人間の眼は、他の哺乳類の眼と同様に、涙液として知られる塗液を含んでいる。涙液は、眼表面に潤いを与え、円滑剤となり、これを保護し、通常、眼の健康及び視力に十分な環境をもたらすことができる。血液及び唾液のように、多少のタンパク性生体分子を含む涙液の成分は、多種多様な源に由来するものであってよく、生理的要因及び/又は周囲環境要因によって濃度が異なってよい。濃度などの生体分子の特性を測定できることにより、健康管理及び介入のための条件及び症状の特定と関連付け、並びに/又は最適レベルのモニタリングに役立つ情報を提供できる。
【0030】
涙液中のタンパク質生体分子は、電気泳動、マイクロ流体チップを用いたシステム、分光測定法、及び液体クロマトグラフィーなどの方法を用いて分析されてよい。ただし、涙液の収集では、特に、大部分の正常な眼は顕著な感度を示すため、比較的個人に不快感を与えない方法で分析し、汚染を防止するために少量を収集することなどの課題が示されてきた。本発明は、生体分子、更に具体的には、条件又は症状への関連が特定されたタンパク質を含む生体分子(バイオマーカーとしても知られる)を分析できる方法及び付勢された生物医学的眼用装置を提供する。
【0031】
ここで図1を参照すると、SAD関連症状のモニタリングに使用され得る方法工程が図示されている。101において、個人が1つ又は2つ以上の付勢された生物医学的眼用装置を着用してよい。付勢された生物医学的眼用装置は、眼内又は眼上に位置付けられてよい。一部の生物医学的眼用装置は、好ましくは前方眼表面に配置され、光学矯正、光学治療の1つ又は2つ以上を提供するために使用されてよく、美容用であってよい。例えば、これは、付勢された眼用レンズ又は付勢された眼用装置であってよく、コンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼球挿入物、光学挿入物、涙点プラグ、又は視力を矯正する若しくは修正する、眼の状態を改善できるか若しくは阻止できる、及び/若しくは眼の生理機能が美容的に強調される(例えば、虹彩色)他の同様の眼用装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
本発明のいくつかの態様では、付勢された生物医学的装置を使用して、1つ又は2つ以上のSAD関連症状をモニタリングしてよい。症状のモニタリングは、付勢された生物医学的眼用装置を構成するセンサーを使用して、涙液膜内のバイオマーカーを分析することによって行われてよい。追加的に、又は代替的、いくつかの実施形態では、ユーザーの眼環境で受光される光の長さ及び/又は強度を測定する工程(120)及び/又はユーザーの概日リズムをモニタリングする工程(125)も含まれ得る。
【0033】
センサーを使用して涙液膜内のバイオマーカーの分析が行われる(105)と、バイオマーカーの変化を既知のSADの症状に関連付けることができる(110)。SADの関連症状の例としては、過剰睡眠、体力の欠如、炭水化物欲求、集中力の欠如、及び社会活動からのひきこもりが挙げられるが、これらに限定されない。これらの症状は、多くの場合、落ち込み感、絶望感、悲観的感情、及び喜びの欠如をもたらし、これらの感情は、特定の涙液膜バイオマーカーの変化と相関し得る。涙液膜のバイオマーカーの変化としては、セロトニン濃度及び遺伝的多型(genetic polymosphisms)の変動、概日リズムの相変化を示すメラトニン濃度の変化、及びインターロイキン−6濃度の増加が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
SAD関連の涙液膜内のバイオマーカー濃度の既知のレベル及び閾値は、モニタリングに使用される装置の構成要素に事前にプログラムされてよい。更に、又はあるいは、この装置は、入力及びユーザー特有の収集データの学習を続行してよい。更に、濃度は、年齢及び環境条件、個人又は比較可能な母集団の血液、血清、若しくは唾液の検体で測定される標準値などの要因によって異なり得るため、ユーザーの涙液膜値と関連付けられてよい。次に、変化又は測定値をモニタリングしてよく(115)、必要に応じて、変化に基づいた光線療法をユーザーに提供してよい(130)。
【0035】
ここで図2を参照すると、本発明の実施形態のいくつかの付勢された眼用レンズ200で使用され得る、バイオマーカーセンサー構成要素203を備える、例示の付勢された生物医学的眼用装置が図示されている。バイオマーカーセンサー構成要素203に加えて、例示の付勢された眼用レンズ200は、エネルギー源202と、光源202Aと、を備える。エネルギー源202は、光源202A及び構成要素203と電気的に導通できる。光源202Aは、発光ダイオード(LED)又は450〜500ナノメートル、最も好ましくは470〜480ナノメートルの波長、かつ2,000〜3,000ルクスで青色光を放射する他のライトを含み得る。あるいは、LEDs又は他の光は、475〜525ナノメートル、最も好ましくは490〜510ナノメートルの波長で、かつ300〜400ルクスにて緑色光を放射してもよい。別の実施形態では、単一の光源は、パイプを通して眼用レンズ201の1つ又は2つ以上の位置に送られ、SAD光線療法に必要な照明をもたらしてよい。
【0036】
構成要素203は、バイオマーカーの変化を検出する分析感度を備える、任意の光センサー及び/又は電気化学センサー装置を含み得る。この構成要素は、電気泳動機能及び選択的化学発光機能、例えば、涙液膜の蛍光、吸光度、光散乱、又はプラズモン共鳴、露光量、及び概日リズムの変化を検出する機能などを備えるマイクロチップを含み得る。いくつかの実施形態では、構成要素203は、状態変化による電位変化に反応でき、例えば、半導体型チップ、受動電気装置、水晶体などの光学装置、微小電気機械(MEMS)又はナノ電気機械(NEMS)を備えるプロセッサであってよい。
【0037】
更に、構成要素203は、キャパシタ、ウルトラキャパシタ、スーパーキャパシタ、又は他の記憶装置構成要素など蓄電装置を含むか、論理接続していてよい。エネルギー源202としては、例えば、視覚ゾーンの外側、眼用レンズの周辺部に位置し、1つ又は2つ以上の無線周波、光起電力、及び磁気誘導によってエネルギー源202へと充電可能な、リチウムイオン電池が挙げられる。
【0038】
図示するように、いくつかの実施形態では、エネルギー源部分202、光源202A、及び構成要素203は、好ましくは光学ゾーン204の外側に位置してよく、光学ゾーン204は、眼用レンズ200の装用者に視線を提供する眼用レンズ200の部分を含む。他の実施形態では、眼用レンズの視覚ゾーン部分にエネルギー源202を含め得る。例えば、そのような実施形態は、裸眼では小さすぎて見えないような導電性粒子のエネルギー源202を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、好ましい眼用レンズの種類として、シリコーン含有成分を含むレンズ201が挙げられる。「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー又はプレポリマー中に少なくとも1個の[−Si−O−]単位を含有する成分である。好ましくは、総Si及び結合Oは、シリコーン含有成分中に、そのシリコーン含有成分の総分子量の約20重量%より大きい、更に好ましくは30重量%より大きい量で存在する。有用なシリコーン含有成分は、好ましくは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル、N−ビニルラクタム、N−ビニルアミド及びスチリル官能基などの重合性官能基が含まれる。
【0040】
ここで図3を参照すると、本発明の実施形態のいくつかの付勢された生物医学的眼用装置で使用され得る例示のプロセッサが300において図示されている。この図では、エネルギー源310は、薄膜の再充電可能なリチウムイオン電池を含み得る。電池は、相互接続を可能にする接触点370を有し得る。ワイヤは、接触点370へとワイヤ結合されたワイヤであり、電池エネルギー源310を再充電するために使用され得る光電セル360へと電池を接続してもよい。追加的なワイヤがエネルギー源を、第2組の接触点350のワイヤ結合された接触点を介して相互接続される可撓性回路に接触させてもよい。これらの接触点350は、光源330も含み得る可撓性相互接続基材355の一部分であってよい。
【0041】
相互接続基材は、典型的な円錐レンズ形状又は生物医学的眼用装置に応じた他の形状に近い形状に形成されてよい。しかしながら、いくつかの実施形態で必要な追加的な可撓性を追加するために、相互接続基材355は、半径方向の切断部345などの追加的な形状特徴をその長さに沿って含み得る。半径方向の切断部は、相互接続基材355の個別フラップ形状構造を形成するために使用されてよく、様々なIC、別個の構成要素、受動構成要素などの電子的構成要素及びアイテム390として示されているかかる装置に接続されてよい。構成要素は、ワイヤ、又は他の接続手段340によって、相互接続基材355内の導電経路へと相互接続されてよい。非限定的な実施例により、様々な構成要素が、電池への相互接続を作製する様々な手段により可撓性相互接続基材355に接続されてよい。様々な電気構成要素の組み合わせは、バイオマーカーのモニタリング、光源、及びいくつかの実施形態では、アイテム390として示される電気光学装置を制御するための制御信号を規定してよい。この制御信号は、相互接続部320に沿ってそれぞれ伝導されてよい。
【0042】
付勢された機能を有する、この種類の代表的な付勢された眼用レンズは、例示の目的のためのみに提供される。当業者には明白であり得るように、この記述は決して本発明の技術の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、機能、設計、相互接続構成、エネルギー印加構成、及び本発明の概念の全体的利用の、多くの異なる実施形態がこの開示から存在し得る。例えば、いくつかの実施形態では、眼用レンズの外観に影響を与える方法が存在し得る。薄膜マイクロ電池の審美性は様々な方法で変えることができ、これは、電気活性のコンタクトレンズ、又は成形されたヒドロゲル物品に埋め込まれた際に特定の外観を示す。薄膜マイクロ電池は、審美的に心地良いパターン、及び/又は有色包装材料を有するように製造してもよく、これは落ち着いた色彩の外観の薄膜マイクロ電池を提供するか、あるいは、虹彩様の有色パターン、無地、及び/若しくは混合色パターン、反射性の設計、玉虫色の設計、金属状の設計、又は潜在的に任意の他の優れた設計若しくはパターンを提供するように機能し得る。他の実施形態では、薄膜フィルム電池は、レンズ内の他の構成要素、例えば、電池の前側表面に取り付けられた光起電力チップにより、あるいは、可撓性回路の全部、又は一部の後側に電池を定置することにより、部分的に隠されてもよい。更なる実施形態では、薄膜電池は、上側、又は下側瞼が電池の可視性を部分的に、又は全体的に隠すように、計画的に配置されてもよい。
【0043】
好ましい実施形態では、エネルギー源及び光源は、眼用レンズを通る光の透過を遮らなくてよい。したがって、設計は、付勢されたレンズの光学ゾーン(中心の5〜8mm)がエネルギー源及び光源の任意の不透明部分によって著しく遮られないようであってよい。付勢された眼用レンズの光学的に関連する部分と良好に相互作用するための、様々なエネルギー源及び光源の設計に関連する、多くの異なる実施形態が存在し得る。
【0044】
本発明のいくつかの態様によると、エネルギー源及び光源は、コンタクトレンズの外側縁部から一定の距離に定置されて、良好な快適性を提供すると同時に、有害事象の発生を最小限にするためにコンタクトレンズ縁部の輪郭の有利な設計を可能にするべきである。回避するべきこのような有害事象の例としては、上皮弓状病変、又は巨大乳頭結膜炎が挙げられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、埋め込まれた電気化学セルのカソード、電解質、及びアノード機構が含まれてよく、これらは、例えば、かかるカソード、電解質、及びアノード区域などを画定する形状に適切なインクを印刷することにより形成され得る。このように形成された電池は、例えば、マンガン酸化物、及び亜鉛の化学的性質に基づく単回使用セル、並びに薄膜電池の化学的性質に基づく再充電可能な薄い電池の両方を含み得る。付勢された生物医学的眼用装置の様々な機構、及び形成方法の様々な異なる実施形態が、印刷技術の使用を含み得ることも、当業者には明白であり得る。
【0046】
ここで図4を参照すると、本発明のいくつかのレンズの実施形態で使用され得る、マイクロコントローラ404を含む例示の媒体挿入物401を備える付勢された生物医学的眼用装置400の断面図が図示されている。活性化因子、つまりプロセッサ405を用いることにより、マイクロコントローラ404内の記憶装置内に含まれる1つ以上の実行可能なプログラムを実行することができる。プログラムは、マイクロコントローラと論理通信している光源(図示なし)を制御するように作動できる。1つ以上の光源は、媒体挿入物内、生物医学的眼用装置内/上の媒体挿入物の外側、又はそこに近接して、例えば、相補的眼鏡内に含まれ得る(図6にて詳説する)。更に、いくつかの実施形態では、マイクロコントローラ404を介して実行されるプログラムが、構成要素403内の状態の変化をもたらす場合もある。記憶装置には、ランダムアクセスメモリ半導体、読み出し専用メモリ半導体、スタティックメモリ、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ、又はディジタルデータを格納し命令に応じて提供することができるその他の構成要素を含み得る。
【0047】
リチウム系電池又はキャパシタなどのエネルギー源408を充電するために、光受容体402のようなエネルギーハーベスタを備えてもよい。マイクロコントローラ404を用いて再付勢プロセスを管理することができる。例えば、プロセッサ405はエネルギー源408内の電荷量を示すデータを受信し、回路を開いて、エネルギーハーベスタ402、例えば光受容体からの電流がエネルギー源408へと流れるようにすることができる(他の実施例では磁気又は誘導装置を含み得る)。別の態様では、プロセッサはまた、エネルギーハーベスタ402がエネルギー源408を充電するのに十分な電流を提供できるときをモニタリングし、かかる充電に適した回路を介する電気的経路を与えるようにプログラムされることもできる。充電のための電気回路には、例えば、スイッチとして機能するトランジスタ及び電流の適切な流れを確保するためのダイオードを含み得る。
【0048】
ここで図5を参照すると、本発明のいくつかのレンズの実施形態による光源502を含む、例示の付勢された生物医学的眼用装置500の断面図が図示されている。この実施例では、例示の付勢された眼用レンズ501はコンタクトレンズであり、眼505の角膜504の上に光503を向けるように図示されている。いくつかの実施形態では、断面図500は上面図であってよく、1つ又は2つ以上の埋め込まれた光源502はコンタクトレンズ501の側部付近に定置される。他の実施形態では、断面図500は側面図であってよく、1つ又は2つ以上の埋め込まれた光源502は、コンタクトレンズ501の上部及び底部付近に定置される。光源502の数及びコンタクトレンズ501の周辺部の周囲での光源502の配置は、様々であり得る。光源502は、照明が観察者にわからないかもしれないように、装用者の眼に照明を向ける。コンタクトレンズ501はまた、ユーザーの光線療法を低下させずに、観察者がすぐに光線療法用ルミネッセンスに気付かないように保護するコーティングを含み得る。
【0049】
埋め込まれた光源502としては、発光ダイオード(LED)、又は光線療法のための光1003を放射できる他の光源502が挙げられる。光源502は、発光ダイオード(LEDs)、又は450〜500ナノメートル、最も好ましくは470〜480ナノメートルの波長で、かつ2,000〜3,000ルクスにて青色光を放射する他の光を含み得る。あるいは、LEDs又は他の光は、475〜525ナノメートル、最も好ましくは490〜510ナノメートルの波長で、かつ300〜400ルクスにて緑色光を放射してもよい。別の実施形態は、照明をもたらすために、眼用レンズ501内の1つ又は2つ以上の位置にパイプを通して光が送られてよい単一光源を含む。
【0050】
例示の眼用レンズ501は、光センサー、バイオマーカーセンサー、エネルギー源、キャパシタ、メモリ、プロセッサ、及び通信装置などの構成要素を備える支援電子機器(この図には示されていない)を含む。光センサーは、周囲の白色光、青色光、又は緑色光の検出に用いられる。エネルギー源及びキャパシタは、付勢された生物医学的眼用装置の他の構成要素にエネルギーを供給できる。メモリは、非限定例として、事前にプログラムされた光線療法計画を保存するため、1つ又は2つ以上のセンサーから収集したデータを保存するため、ユーザーの好みを保存するため、実際の光線療法の日付、時間帯、期間、及び強度を保存するため、並びに装置の故障を検出するために光源及び光センサーの動作に関するデータを保存するために使用されてよい。更に、プロセッサは、例えば、メモリに保存された、プログラムされた光線療法スケジュール実行するため、光センサーデータを分析して、装用者の周囲光への曝露に基づいて固有の個人別光線療法スケジュールを決定するため、プログラムされた光線療法スケジュールに対する手動での変更を評価して、補正的調整、すなわちインテリジェントな光線療法を行うため、並びに光源及び光センサーのデータを分析して装置の故障を検出するために使用されてよい。
【0051】
通信装置は、付勢された生物医学的眼用装置及び外部装置への、及びこれらからのデジタルデータの伝送、並びに付勢された生物医学的眼用装置内の構成要素間でのデジタルデータの伝送の1つ又は2つ以上を電気的に制御するために使用されてよい。通信装置は、非限定例として、付勢された生物医学的眼用装置を制御するために用いられるフォブ、携帯情報端末(PDA)、又はスマートフォンアプリケーションなどの1つ又は2つ以上の外部装置と無線通信するために使用されてよい。付勢された生物医学的眼用装置内における構成要素間の通信は、直接的な導電路などの物理的接続によるものであっても、無線であってもよい。内部構成要素間の通信としては、例えば、プロセッサからの光源の制御、センサーとメモリとの間でのデータ伝送が挙げられてよい。
【0052】
支援電子機器は、付勢された生物医学的眼用装置、例えば、コンタクトレンズ501内に含まれる光源502と論理的かつ電気的に通信している。通信は、支援電子機器と光源502との間の直接的な導電路によるものであり得るか、無線通信によるものであり得る。通信の無線モードとしては、例えば、コンタクトレンズ501内の光源502に近接して配置されたアンテナ及びコンタクトレンズ501内の別の領域からアンテナへと電力を伝送する電源を介して達成されるインダクタンスが挙げられてよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、支援電子機器は、フォブ、装身具、帽子、衣類、又はユーザーが浴びた周囲光を光センサーなどのセンサーが検出し、支援電子機器が無線通信を行うためにコンタクトレンズの近くに存在するように、ユーザーによって着用される他のアイテムに含まれてよい。通信の無線モードとしては、例えば、インダクタンスを挙げることができる。インダクタンスは、付勢された生物医学的眼用装置内/上に配置されたアンテナ及び装身具、衣類、又はアンテナに近接する他のアイテム内の支援電子機器からの電力を伝送する電源を介して達成されてよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、ユーザーは、フォブ、携帯情報端末、コンピュータ、タブレット、及びスマートフォンアプリケーションなどの1つ又は2つ以上を含むが、これらに限定されない外部装置を使用して、光線療法のタイミング、期間、及び強度を調整してよい。いくつかの実施形態は、基準操作状態をもたらし、ここでは、使用者が適切な時間で治療を開始又は停止させることによって、光線療法が手動で制御される。
【0055】
本発明の実施形態によると、プログラムされた光線療法スケジュールは、例えば、日付、地理的地域、ユーザーの好み、並びにバイオマーカーセンサーによって収集されたSADの症状に関連するデータ及びユーザーのSADの症状の重篤性などの変数に基づいて、光線療法のタイミング、期間、及び強度を自動的に調整してよい。プログラムされた光線療法スケジュールは、眼科専門医、医師、又は使用者によって設定され得る。いくつかの実施形態では、光線療法スケジュールは、過去の反応を学習し、インテリジェントな光線療法を提供するように調整されてよい。例えば、プログラムされた光線療法中の応答としては、例えば読書中、コンピュータでの作業中、又は運転中に光の強度を減少させるなどの活動に基づいて、ユーザーが光の強度を調整することが挙げられる。逆に、休憩時間、昼休み、又は視覚的にあまり活動的ではない時間中には、光の強度を増加させることが望ましい場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、プロセッサがプログラムされた光線療法スケジュールの手動での変更及び検出された、ユーザーによる変更を評価し、期間、頻度、及び/又は治療の強度を補正調整する場合、インテリジェントな光線療法を送達することができる。インテリジェントな光線療法はまた、光センサーからのデータがプロセッサによって分析され、プログラムされた光線療法スケジュールが装用者の周辺光への曝露に基づいて動的に調整される場合に達成され得る。
【0056】
本発明の別の実施形態では、ユーザーは、涙液で測定されたデータ、並びに/又はメラトニン、セロトニン、及びインターロイキン−6の濃度の1つ又は2つ以上の濃度の検査を含むがこれらに限定されない血液、唾液検査の結果に基づいて光線療法を手動で調整してよい。バイオマーカーの濃度は、露光量又はSADの症状に基づいて増減し得る。例えば、メラトニン濃度は、光によって抑制され、暗闇で増加する。メラトニンのより高い濃度は、季節性情動障害の症状である眠気及び昏睡を促進する。
【0057】
更に他の実施形態では、ユーザーの好みの一部として、ユーザーが光線療法を手動で調整して、睡眠周期を意図的に変更してよい。睡眠周期変更のための光線療法の使用は、夜勤シフトで働く人、著しく異なる時間帯に旅行する人、夜間業務に備える軍人、及び他の用途に有用であり得る。同様に、起床時にユーザーによって開始された光線療法は、遅延睡眠期症候群(DSPS)及び非24時間睡眠覚醒症候群などの概日リズム障害の治療に使用されてよい。
【0058】
ここで図6を参照すると、レンズ603内に埋め込まれた光源602及び支援電子機器を備える例示の眼鏡600の背面図が図示されている。他の実施形態では、光源602はまた、レンズ603の表面に取り付けられてよい。光源602は、発光ダイオード(LEDs)、又は450〜500ナノメートル、最も好ましくは470〜480ナノメートルの波長で、かつ2,000〜3,000ルクスにて青色光を放射する他の光を含み得る。あるいは、LEDs又は他の光は、475〜525ナノメートル、最も好ましくは490〜510ナノメートルの波長で、かつ300〜400ルクスにて緑色光を放射してもよい。更に別の実施形態では、単一光源は、照明をもたらすために、眼鏡レンズ603又は眼鏡フレーム601内の1つ又は2つ以上の位置にパイプを通して送られてよい。光導体としては、例えば、光ファイバー経路を挙げることができる。
【0059】
照明された光源の例を、604に図示する。光源602は、照明が観察者にわからないように、装用者の眼に向かって照明をもたらす。
【0060】
光源602は、導電路605によって互いに接続されてよい。導電経路605は、レンズ603内に埋め込まれたワイヤであってよく、又はパッド印刷、スパッタコーティング、蒸着、若しくは別の好適な方法によってレンズ603の表面に施された、例えば、金、銅、銀、若しくは他の金属、又は導電ファイバーなどの導電材料であってよい。導電経路605は、一方又は双方のつる部品609内に収容される支援電子機器と電気的かつ論理的に連通してよい。いくつかの実施形態では、支援電子機器は、例えば、蝶番607付近の領域、レンズの上のフレーム608内、ブリッジ610内、イヤパッド611内、又は他の領域など眼鏡の他の領域に収容できるように最小化される。
【0061】
1つ以上の光センサー606が、周囲の白色光、青色光又は緑色光を検出するために使用されてよい。光センサー606は、蝶番607付近の眼鏡フレーム601内、レンズ608上部のフレーム内、つる部品609内、ブリッジ610内、又は、例えば頭髪などによってセンサー606が妨害されない他の適切な区域内に位置してよい。光センサー606は、一方又は双方のつる部品609内又は眼鏡の他の区域内に収容される補助電子回路と電気的かつ論理的に連通している。
【0062】
いくつかの実施形態では、スイッチ又はボタンなどのユーザー制御要素612が、ユーザーが光線療法の時期、持続時間及び強度を調整できるように設けられてよい。1つ以上のユーザー制御素子612は、つる部品609、又は、例えば、蝶番607付近の領域、レンズの上のフレーム608内、ブリッジ610内、イヤパッド611内、若しくは他の領域などの眼鏡の他の領域に存在してよい。
【0063】
ここで図7を参照すると、本発明のいくつかのコンタクトレンズの実施形態による相補的な付勢された生物医学的眼用装置705の中に光を向ける埋め込まれた光源702を備える例示の眼鏡レンズ701の断面図700が図示されている。断面図700は、相補的(complimentary)コンタクトレンズ705の光散乱区域704に光703を向ける埋め込まれた光源702を備える眼鏡レンズ701を含む。光散乱区域704により、光706が眼708の角膜707に対して分散される。光散乱区域704は、回折特性、屈折特性、反射特性、又は回折、屈折及び反射特性の任意の組み合わせを含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、断面図700は、平面図であることができ、ここでは、1つ又は2つ以上の埋め込まれた光源702が、眼鏡レンズ701の側面付近に配置されている。他の実施形態では、断面図700は、側面図であり得るため、1つ又は2つ以上の埋め込まれた光源702が、眼鏡レンズ701の上部及び底部付近に配置される。更に他の実施形態では、埋め込まれた光源702は、眼鏡レンズ701よりもむしろ眼鏡フレーム内に埋め込まれるか又は眼鏡フレーム上に取り付けられてもよい。
【0065】
埋め込まれた光源702としては、例えば、発光ダイオード(LED)又は本明細書で前述した他の光源702が挙げられる。支援電子機器(図示なし)は、眼鏡フレーム内及び付勢された生物医学的眼用装置内に収容されてよく、互いに連通している。例えば、眼鏡の通信構成要素に収集したバイオマーカー濃度データを送信するための、付勢された生物医学的眼用装置のバイオマーカーセンサーの場合である。支援電子機器は、一方又は両方の相補的装置内に配置される構成要素であってよく、例えば、光センサー、電池、キャパシタ、メモリ、プロセッサ、及びUSBコネクタなどの構成要素を含み得る。更に、支援電子機器は、光源702及びバイオマーカーセンサ(図示なし)と論理的かつ電気的に通信している。電気的導通は、例えば、一対の眼鏡のつる内に位置する光源の間の導電接触を介して、導電ワイヤ、導電リボンワイヤを介して、又はインダクタンスなどの無線モードを介して、提供され得る。インダクタンスは、例えば、眼鏡内に配置されたアンテナと相補的レンズとの間で達成されてよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、相補的コンタクトレンズ705の光散乱区域704は、方向付けされた光703が、限定された標的区域に衝突する必要がないように、相補的コンタクトレンズ705の周囲区域内にリングを形成する。したがって、眼鏡レンズ701内の光源702に対する眼708上の相補的コンタクトレンズ705の向きは、光703が、相補的コンタクトレンズ705の周囲区域の周辺で切れ目がなく存在する光散乱区域704に向かって方向付けられる場合には、重要ではない。
【0067】
いくつかの好ましい実施形態では、相補的コンタクトレンズ705は、光散乱区域704とレンズの中央部分内の光学ゾーンとの間に内部のバリアを含み得る。内部のバリアは、光線療法を目的とする光703が相補的コンタクトレンズ705の光学ゾーン内に分散することを抑制する。このようにして、光線療法を目的とした光703が、角膜707の周囲部のみに分散され、これによって正視に及ぼすその影響を最小限にとどめる。
【0068】
更に他の実施形態では、相補的コンタクトレンズ705の全体が、回折、屈折及び反射などの光散乱特性を有する。光散乱特性は、埋め込まれた光源702によって放射される波長の光703のみを分散するように設計される。本実施形態は、正視に影響を及ぼす光波長の分散を引き起こさないと同時に、眼708内の光線療法を目的とする光703波長の最大分散を支持する。
【0069】
ここで図8を参照すると、本発明のいくつかのコンタクトレンズの実施形態による光源804を収容する付勢された生物医学的眼用装置805と無線通信する支援電子機器802を備える例示の眼鏡801の断面図800が図示されている。断面図800は、支援電子機器802を収容する眼鏡フレーム801を含む。支援電子機器802は、光センサー、電池、キャパシタ、メモリ、プロセッサ、及びUSBコネクタなどの構成部品を含み得る。補助電子回路802は、光806を眼808の角膜807上に向ける、埋め込まれた電源804を収容する相補的コンタクトレンズ805と無線通信803する。補助電子回路802は、眼鏡フレーム801内に埋め込まれた又は眼鏡フレーム801上に取り付けられた多様な場所に配置され得る。
【0070】
他の実施形態では、補助電子回路802は、光センサーが使用者によって経験される周囲光を検出するように、宝飾品、帽子、衣類、又は使用者によって着用される他の品目に含まれてもよく、また補助電子回路802は、無線通信の目的で、相補的コンタクトレンズ805の近辺に置かれる。通信の無線モードとしては、例えば、インダクタンスを挙げることができる。インダクタンスは、相補的コンタクトレンズ805内に位置するアンテナ、及び眼鏡フレーム801、宝飾品、衣類、又はアンテナに近接する他の品目から電力を送達する電源を介して達成され得る。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、断面図800は、平面図であることができ、ここでは、補助電子回路802が、眼鏡フレーム801の側面付近に配置されている。他の実施形態では、断面図800は、側面図であり得るため、補助電子回路802が、眼鏡フレーム801の側面の上部及び底部付近に配置される。相補的コンタクトレンズ805の周辺部に、埋め込まれた光源804の数及び埋め込まれた光源804の配列は、変動する場合がある。埋め込まれた光源804は、前述の発光ダイオード(LED)、又は光線療法用の光806を放射する他の光源804を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、光源804は、光源804が埋め込まれてよいか、相補的コンタクトレンズの表面に位置付けられてよい、相補的コンタクトレンズ805の内部に光806を向けてよい。光806は、示されてはいないが、回折特性、屈折特性、反射特性、又は回折、屈折及び反射特性の任意の組み合わせを含む光散乱区域に向けられ得る。光散乱区域は、相補的コンタクトレンズ805の周囲区域内にリングを形成する場合がある。光散乱区域に衝突する光806は、一般的に、眼808の角膜807上に光806の広い分散を引き起こす。
【0073】
いくつかの好ましい実施形態では、相補的コンタクトレンズ805はまた、レンズの周囲部の光散乱区域とレンズの中央部分の光学ゾーンとの間に内部バリアを含んでよく、前述した光散乱特性を有してよい。
【0074】
アンテナ又はアンテナシステムが、信号を受信するための手段として、信号を送信するための手段として、誘導結合の手段として、あるいはそれらの任意の組み合わせとして働き得る。アンテナの機能により、その設計及びその支援回路が決まる。例えば、受信装置、送信機回路、誘導結合回路に、あるいはこれらの任意の組み合わせにアンテナが結合されてよい。基本的に、アンテナは、電磁波形又は電気信号を異なる電気信号に変換する電気装置である。図9A及び図9Bの説明は、アンテナシステムを含む例示のアセンブリに重点が置かれており、図9Cは、図9A及び図9Bの例示のアセンブリによるアンテナ及び受信機回路のブロック図を図示している。
【0075】
ここで図9Aを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による例示のアンテナシステムが図示されている。回路基板904Aは、バイオマーカーセンサー、光源、及び/又は眼用レンズの光学レンズアセンブリなど付勢された生物医学的眼用装置の1つ以上の構成要素を備えて使用されてよい。回路基板904Aは、両面に及ぶ表側の導電性相互接続トレース912A1及び裏側の導電性相互接続トレース912A2(ファントム画法で示す)と、表側と裏側との間に電気接続をなすためのスルーホール、つまりビア918Aと、実装パッド914Aと、中央開口部916Aと、1つ以上のスパイラルアンテナ構造920Aと、を備える。しかし、いくつかの実施形態では、単ループアンテナが適切であってよい。1つ又は2つ以上のスパイラルアンテナ構造920Aはそれぞれ、1巻以上のワイヤと、導電性トレース又は同様のものと、を備えており、その導電性トレース又は同様のものは、回路基板904Aの表側若しくは裏側のいずれか、又はその両側に形成されている。多重アンテナが両側で利用される場合、スルーホール又はビア908Aは、それらの間の接続をなすために利用され得る。
【0076】
当然のことながら、回路基板904Aは更なる金属層を備えてよく、任意の層の組み合わせを使用してスパイラルアンテナ構造920Aを構成してよい。それに代わって、アンテナ構造は、他の導電層をアンテナ構造920Aの上及び/又は下にして、内部の導電層上に埋め込まれてもよい。
【0077】
ここで図9Bを参照すると、本発明のいくつかの実施形態による別の例示のアンテナシステムが図示されている。前述の実施例と同様に、回路基板904Aは、バイオマーカーセンサー、光源、及び/又は眼用レンズの光学レンズアセンブリなど付勢された生物医学的眼用装置の1つ又は2つ以上の構成要素を備えて使用されてよい。回路基板904Bは、両面に及ぶ表側の導電性相互接続トレース912B1及び裏側の導電性相互接続トレース912B2(ファントム画法で示す)と、表側と裏側との間に電気接続をなすためのスルーホール、つまりビア918Bと、実装パッド914Bと、中央開口部916Bと、多重巻ループアンテナ920Bと、を備える。しかし、いくつかの実施形態では、単ループアンテナが適切であってよい。多重ループアンテナ920Bは、2巻以上のワイヤと、回路基板904Bの表側又は裏側の一方又は両方に形成された導電性トレース又は同様のものと、を備える。多重アンテナが両側で利用される場合、スルーホール又はビア908Bは、それらの間の接続をなすために利用され得る。明らかとなるように、回路基板904Bは更なる金属層を備えてもよく、任意の層の組み合わせが使用されて多重巻ループアンテナ920Bが構成され得る。
【0078】
アンテナ及び受信機回路の例示のブロック図を説明する前に、示され、説明された回路が様々な方法で実装され得ることに留意することが重要である。例示的な一実施形態において、回路は個別のアナログ部品を使用して実装され得る。別の例示的な実施形態において、回路は、集積回路又は集積回路と個別の部品との組み合わせで実装され得る。それに代わる更に別の例示的な実施形態において、回路又は特別な機能は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ上で稼働するソフトウェアによって実装され得る。
【0079】
ここで図9Cを参照すると、本発明のいくつかの実施形態によるアンテナ及び受信機回路のブロック図表示が図示されている。無線受信機の電子回路900Cは、アンテナ整合回路904Cと、受信機回路906Cと、コントローラ908Cと、アクチュエータ910Cと、電池912Cと、電力管理回路914Cと、を備えてよい。この例示の構成では、アンテナ904Cは、電磁信号901Cを受信するように、また受信した電気信号をアンテナ整合回路904Cに与えるように構成されてよい。アンテナ整合回路904Cは、電力伝送を最大化しかつ/又は負荷からの反射を最小化するために、電力源と負荷との間のインピーダンスを調和させるのに必要な、任意の好適な回路を備えてよい。本質的に、アンテナピンピーダンスは、アンテナ上の任意の点における電圧と電流との比であり、効率的な動作のためには、アンテナインピーダンスは負荷に整合されるべきであり、したがって整合回路が利用される。
【0080】
したがって、整合回路904Cは、無線及び回路設計の分野で知られているように、電力整合、雑音整合、又は他の整合条件を最適にすべく、アンテナ902Cと受信機回路906Cとの間のインピーダンス整合をもたらすように構成されてよい。受信機回路906Cは、アンテナ902Cによって受信された変調信号を処理し、復調信号をコントローラ908Cに与えるのに必要な、任意の好適な回路を備えてよい。明確にする目的で、変調は、信号又は電磁波形の1つ又は2つ以上の特性を変化させることを含む。例えば、ある波形が、振幅変調(AM)されても、周波数変調(FM)されても、位相変調(PM)されてもよい。いくつかの実施形態では、他の形態のアナログ変調並びにデジタル変調も実装されてよい。
【0081】
他方で復調は、変調搬送波から元の情報担持信号を抽出することを伴ってよい。コントローラ908Cに命令を与えることができるのは、この復調された情報信号である。コントローラ908Cは、アクチュエータ910Cの状態又は動作を制御するために、復調信号に基づいて制御信号をアクチュエータ910Cに与えることができる。この制御信号は、コントローラ(例えば、制御法則を実施するため)及び/又はコントローラに結合された任意の他の回路(例えば、フィードバック制御システムを実装するため、又は、センサーデータに基づく情報など、他の情報に基づいてアクチュエータの動作を修正するため)の内部状態に更に基づくものであってよい。
【0082】
電池912Cは、エネルギーを必要とする電子回路900C内の構成要素に対する電気エネルギーの供給源となる。電力管理回路914Cは、電池912Cから電流を受け取り、その電流を調節するかあるいはその電流を調整して、電子回路900C内の他の能動回路による使用に好適な有効出力電圧を与えるように構成されてよい。コントローラ908Cはまた、受信機回路906又は受信機900C内の他の回路を制御するために利用されてもよい。アンテナ902Cは、例えば、前述の1つ以上の構成を備えてよい。他の実施形態としては、単巻ループアンテナ、多重巻ループアンテナ、スパイラルアンテナ、コイルアンテナアセンブリ、積層ダイ構成若しくは配置、又はこれらの好適な組み合わせが挙げられてよい。
【0083】
従来の技術で既知のように、アンテナと受信及び/若しくは送信回路との間での電力の伝送に使用される好ましい方法では、示されるインピーダンスを整合させることが必要であり得る、並びに/又は送信回路では、アンテナに示されるインピーダンスと回路に示されるインピーダンスを整合させる必要がある。基本的に、好適な電力伝送は、アンテナ及び回路のインピーダンスの無効成分が相殺され、インピーダンスの抵抗成分が等しくなるときに生じてよい。最適な電力伝送の基準をそれぞれに満たす回路にアンテナを結合するために整合回路が導入されてもよく、それによって、最適な電力伝送をアンテナと回路との間に生じさせることが可能となる。あるいは、回路における最大電流又は電圧など、異なるパラメータを最適化するために、異なる基準が選択されてもよい。整合回路は当該技術分野で周知であり、キャパシタ、インダクタ、及び抵抗器などの個別の回路構成要素を用いて、あるいは、所望のインピーダンス特性をもたらす、回路基板内のトレースなどの導電性構造を用いて実装され得る。
【0084】
小型のRFループアンテナのインピーダンスは通常、20ナノヘンリー〜50ナノヘンリーであり、整合用構成要素の値(valves)は、キャパシタが0.5ピコファラッド〜10ピコファラッド、インダクタが3ナノヘンリー〜50ナノヘンリーの範囲内にあってよい。非接触式充電コイルのインピーダンスは通常、100ナノヘンリー〜5ナノヘンリーであり、それに関連する、回路を共振させるためのコンデンサは20ピコファラッド〜100ピコファラッドである。
【0085】
アクチュエータ910Cは、任意の個数の好適な装置を備えてよい。例えば、アクチュエータ910Cは、任意のタイプの電気機械装置、例えばポンプ又はトランスデューサを備えてよい。アクチュエータはまた、電気装置、化学物質放出装置、又はそれらの任意の組み合わせを備えてよい。アクチュエータ910Cは、例えば、光線療法の提供に使用される光源、又はダイオードアレイ若しくは任意の他の好適なディスプレイ、又はユーザーインターフェイスなど被制御装置に代えられるか、これを含んでよい。
【0086】
電池912Cは、前述のように電気エネルギーの貯蔵に好適な任意の装置を備えてよい。それに代わる例示的な実施形態において、RFエネルギー採取又は近接場誘導結合に関連して上で説明したように、電池が必要とされないこともある。それに代わって、機械的振動及び類似の手段が、電力を発生又は採取するために利用されてよい。
【0087】
電力管理回路914Cは、電池912Cの出力を調整することに加えた多様な機能のために、更なる回路を備えてもよい。例えば、電力管理回路914Cは、充電量などの様々な電池パラメータをモニタリングし、電池の過放電を防止し、かつ/又は電子回路900Cの起動及び停止を管理するための回路を備えてよい。
【0088】
ここで図10を参照すると、本発明のいくつかの実施形態を実装するために使用され得る、コントローラ1000のブロック図が図示されている。コントローラ1000はプロセッサ1010を含むが、このプロセッサは、通信装置1020に結合した1つ又は2つ以上のプロセッサ構成要素を含み得る。いくつかの実施形態では、コントローラ1000は、付勢された生物医学的眼用装置内に配置されたエネルギー源、センサー、及び/又は光源にエネルギーを伝送するために使用され得る。
【0089】
コントローラは、通信チャネルを介してエネルギーを通信するように構成された通信装置に結合した1つ又は2つ以上のプロセッサを含むことができる。通信装置は、眼用レンズへの、若しくはこれからのデジタルデータの伝送、及び/又は眼用レンズ内に組み込まれる光源及び他の構成要素の制御を電気的に制御するために使用されてよい。
【0090】
通信装置1020を使用することによってまた、例えば、1つ又は2つ以上のコントローラ装置又は製造機器コンポーネントと通信してもよい。
【0091】
プロセッサ1010は、ストレージデバイス1030とも通信する。記憶装置1030は、磁気記憶装置、光学式記憶装置、並びに/又はランダムアクセスメモリ(RAM)装置及びリードオンリーメモリ(ROM)装置等の半導体記憶装置を含む、任意の適切な情報記憶装置を備え得る。
【0092】
ストレージデバイス1030は、プロセッサ1010を制御するためのプログラム1040を記憶することができる。プロセッサ1010は、プログラム1040の指示を実行し、それによって、本発明に従って作動する。記憶装置1030はまた、眼用データ、地理データ、センサーデータ、及び1つ又は2つ以上のデータベース内の関連データなどのデータを記憶してよい。データベースは、カスタマイズされたエネルギー源及び光源の設計、並びにエネルギー源、センサー、及び光源への、又はこれらからのエネルギーを制御するための、特定の制御順序を含んでよい。
【0093】
結論
本発明の多くの実施形態が説明されてきた。本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、いずれかの発明の範囲又は主張され得るものの範囲に対する限定としてではなく、むしろ、本発明の特定の装置の実施形態に特定な形態の説明として解釈されるべきである。
【0094】
別個の実施形態の文脈の中で本明細書に記載される特定の装置及びレンズの形態はまた、単一の実施形態において組み合わされて実施され得る。逆に、単一の実施形態の文脈の中で記載される様々な形態はまた、複数の実施形態において別個に、又は適切なサブコンビネーションで実施され得る。更には、諸形態が特定の組み合わせで機能するものとして上記で記載され得、更には最初にそのように主張され得るが、主張された組み合わせからの1つ又は2つ以上の形態が、場合によってはこの組み合わせから削除され得、並びに主張された組み合わせが、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を目的としてもよい。
【0095】
同様に、方法工程は、図面に特定の順序で示されているが、これは、そのような方法工程が、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序又は連続した順序で実行されるか、あるいは示された全ての操作が実行されることが必要であると理解されるべきではない。特定の環境では、多重タスキング及び並行が有利である場合がある。更に、上述した実施形態における様々な装置の構成要素の分離は、全ての実施形態においてかかる分離が必要であると理解するべきではなく、上述の装置の構成要素及び方法工程は、概して単一の装置若しくは方法に統合できる、又は多数の装置若しくは方法で使用できることを理解すべきである。
【0096】
このようにして、主題の特定の実施形態が説明されてきた。その他の実施形態は、以下の請求項の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲内に記載される方法工程は、異なる順序で実施され得、なお所望の結果を達成し得る。加えて、添付の図面中に示されるプロセスは、所望の結果を達成するために特定の順序表示又は順番を必ずしも必要とするものではない。しかしながら、様々な修正が、主張された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実行され得ることが、理解されるであろう。
【0097】
〔実施の態様〕
(1) 個人の季節性情動障害症状をモニタリングし、治療する方法であって、
付勢された生物医学的眼用装置(energized biomedical ophthalmic device)を着用する工程と、
涙液膜バイオマーカーの変化を測定する工程と、
前記測定された涙液膜バイオマーカーの変化を季節性情動障害の関連症状に関係づける工程と、
季節性情動障害症状の治療に使用される光線療法に関して前記測定された変化からデータを生成する工程と、
生成されたデータを光線療法計画に実装する工程と、を含む方法。
(2) 前記光線療法計画に従ってインテリジェントな光線療法スケジュールを策定し、かつ前記個人に特異的な1つ又は2つ以上の条件又は設定に基づいて行われた調整を補正する工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記個人の眼環境がある期間曝される露光量及び光の強度をモニタリングする工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記個人の概日リズムをモニタリングする工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 個人の好みを収集して、季節性情動障害の治療に使用される前記光線治療に関連するデータを生成する工程、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0098】
(6) 前記バイオマーカーがセロトニンを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記バイオマーカーがメラトニンを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記バイオマーカーがインターロイキン−6を含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 付勢された生物医学的眼用装置であって、
エネルギー源と、
前記エネルギー源によって付勢された光源と、
ユーザーの前記涙液膜に含まれる生体分子の変化を検出し、前記測定された変化に対応する信号データを生成できる、バイオマーカーセンサーと、
前記バイオマーカーセンサーと論理通信するプロセッサであって、前記信号データを受信し、処理して、前記光源の制御に関連するデータを出力する、プロセッサと、を備え、
前記光源が前記プロセッサによって制御され、かつ前記プロセッサに近接している、付勢された生物医学的眼用装置。
(10) 前記プロセッサと通信する光センサー、を更に備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
【0099】
(11) 前記バイオマーカーセンサーが、分析感度を備える電気化学マイクロチップ、を備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(12) 前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のメラトニン生体分子の変化を測定できる、実施態様11に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(13) 前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のセロトニン生体分子の変化を測定できる、実施態様11に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(14) 前記分析感度を備える電気化学マイクロチップが、涙液膜内のインターロイキン−6生体分子の変化を測定できる、実施態様11に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(15) 前記付勢された生物医学的眼用装置が付勢されたコンタクトレンズを備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
【0100】
(16) 前記付勢されたコンタクトレンズが、前記エネルギー源を封入する媒体挿入物を備える、実施態様15に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(17) アンテナを更に備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(18) 前記アンテナが、外部コントローラからの電気信号を送信できる、実施態様17に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(19) 眼鏡内に収容される第2のプロセッサと論理通信する前記プロセッサを備える付勢された相補的コンタクトレンズを備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
(20) 前記光源が1つ又は2つ以上の発光ダイオードを備える、実施態様9に記載の付勢された生物医学的眼用装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10