(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362903
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】刺股
(51)【国際特許分類】
F41B 15/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
F41B15/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-76347(P2014-76347)
(22)【出願日】2014年4月2日
(65)【公開番号】特開2015-197268(P2015-197268A)
(43)【公開日】2015年11月9日
【審査請求日】2017年3月31日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年10月2日に東京ビッグサイトにて開催の危機管理産業展2013で展示 平成25年10月2日に東京ビッグサイトにて開催の危機管理産業展2013でカタログを配布
(73)【特許権者】
【識別番号】591199741
【氏名又は名称】株式会社プロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 光也
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/008052(WO,A1)
【文献】
登録実用新案第3120023(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が把持する柄と、柄の先端側に設けられた押付部とを備え、制圧しようとする相手に押付部を押し付けて使用する刺股において、
前記押付部に、外部から加わる力で割れるように形成された外装体の内部に相手に付着させるための液体を収容した液体収容体が相手側に押付可能に取り付けられる取付部を設け、
取付部は、前記押付部側から液体収容体の押付方向一端側に当接する第1の当接部と、第1の当接部の反対側から液体収容体の押付方向他端側に当接する第2の当接部とを有し、
第1の当接部が押付部側に固定されるとともに、第2の当接部が第1の当接部に対して押付方向に移動自在に設けられている
ことを特徴とする刺股。
【請求項2】
先端に前記押付部が設けられ、前記柄に軸方向に摺動自在に設けられた摺動部材と、一端を摺動部材に回動自在に連結された一対のアームと、柄の先端側と各アームとを連結するリンクとを備え、摺動部材の押付部を相手側に押し付けると、摺動部材が柄に対して移動するとともに、各アームがリンク及び摺動部材に連動して閉じるように構成されるとともに、
前記摺動部材の先端側に軸方向に移動自在に設けられ、前記押付部を有するとともに相手側への押付方向に付勢された押付部材と、
所定の回動位置まで開いた各アームの閉じる方向への回動を規制する第1のロック機構と、
押付部材を摺動部材に対して所定位置まで押し込むことにより第1のロック機構のロックを解除する第1のロック解除機構と、
任意の位置まで閉じた各アームの開く方向への回動を規制する第2のロック機構と、
所定の操作により第2のロック機構のロックを解除する第2のロック解除機構とを備えた
ことを特徴とする請求項1記載の刺股。
【請求項3】
前記第1のロック機構は、柄及び摺動部材の一方に設けられた係止部材と、柄及び摺動部材の他方に設けられた係止部とを有し、各アームの開く方向への回動により摺動部材が柄に対して軸方向の所定位置まで摺動すると、係止部材が係止部に係止し、各アームの閉じる方向への摺動部材の移動が規制されるように構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の刺股。
【請求項4】
前記第1のロック解除機構は、押付部材に設けられた当接部を有し、押付部材が摺動部材に対して所定位置まで押し込まれると、当接部が第1のロック機構の係止部材に当接し、係止部材と係止部との係止が解除されるように構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の刺股。
【請求項5】
前記第2のロック機構は、柄及び摺動部材の一方に固定された係止部材と、柄及び摺動部材の他方に軸方向に配列された複数の係止部とを有し、各アームの閉じる方向への回動により摺動部材が柄に対して軸方向に摺動すると、係止部材が係止部に係止し、各アームの開く方向への摺動部材の移動が規制されるように構成されている
ことを特徴とする請求項2、3または4記載の刺股。
【請求項6】
前記第2のロック解除機構は、第2のロック機構の係止部材と係止部との間に挿入可能な係止解除部材と、係止解除部材を柄の軸方向に移動させる操作部とを有し、操作部を柄の軸方向に移動すると、係止解除部材が係止部材と係止部との間に挿入され、係止部材と係止部との係止が解除されるように構成されている
ことを特徴とする請求項5記載の刺股。
【請求項7】
前記操作部が柄に設けた長孔に沿って移動するように設けられている
ことを特徴とする請求項6記載の刺股。
【請求項8】
前記柄の長孔を覆うカバー部材を備え、
カバー部材が操作部と共に柄に沿って移動するように設けられている
ことを特徴とする請求項7記載の刺股。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に学校その他各種施設の防犯または警備用の道具として用いられる刺股に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の刺股としては、両端側が左右方向に向かって二股状に延びるアームを長い柄の先端に取り付け、暴漢や犯人を取り押さえる際、柄を把持して刺股本体を相手の胴体に押し付けることにより、抵抗する相手を制圧するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の刺股としては、柄に軸方向に摺動自在に設けられた摺動部材と、柄の先端側と各アームとを連結するリンクとを備え、アームを開いた状態で摺動部材の先端側を相手に押し付けると、摺動部材が柄に対して後退するとともに、アームがリンク及び摺動部材に連動して内側に閉じ、閉じたアームによって相手を拘束するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−242537号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記刺股は、十分な訓練を受けた警察官や警備員等によって使用される場合が多いが、近年では学校等の一般施設に防犯用として配備されるものが増えている。しかしながら、取扱いに不慣れな学校の教職員や一般人では、抵抗する相手を捕捉することは困難であり、刺股で対抗しても相手に逃げられてしまえば、相手を特定する痕跡を残すことができなかった。
【0006】
一方、特殊な塗料や染料等の液体を充填した、いわゆるカラーボールを犯人に投げつける方法が知られている。この方法では、カラーボールが相手に命中すると、衝撃でカラーボールの外装が割れて内部の液体が飛散するようになっているので、相手に液体を付着させることができれば、逃亡した相手の特定に有効である。
【0007】
しかしながら、暴漢に立ち向かうなどの緊迫した状況では、カラーボールを相手に命中させることは困難であり、たとえ命中したとしても、相手の衣服等の柔らかい部分に当たった場合は、カラーボールが割れず、内部の液体を相手に付着させることができないことも多かった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、相手を捕捉することができない場合でも、相手に痕跡を残すことのできる刺股を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、使用者が把持する柄と、柄の先端側に設けられた押付部とを備え、制圧しようとする相手に押付部を押し付けて使用する刺股において、前記押付部に、外部から加わる力で割れるように形成された外装体の内部に相手に付着させるための液体を収容した液体収容体が相手側に押付可能に取り付けられる取付部を設け
、取付部は、前記押付部側から液体収容体の押付方向一端側に当接する第1の当接部と、第1の当接部の反対側から液体収容体の押付方向他端側に当接する第2の当接部とを有し、第1の当接部が押付部側に固定されるとともに、第2の当接部が第1の当接部に対して押付方向に移動自在に設けられている。
【0010】
これにより、押付部に設けられた取付部に液体収容体が相手側に押付可能に取り付けられることから、押付部を相手に押し付けると、液体収容体が割れて内部の液体が相手に付着する。
この場合、相手への押付力で取付部の第2の当接部が第1の当接部側に移動することにより、第1の当接部と第2の当接部の間に位置する液体収容体が第1及び第2の当接部による圧縮力で割れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の刺股によれば、押付部を相手に押し付けると、液体収容体が割れて内部の液体を相手に付着させることができるので、液体収容体を投げつける場合に比べ、液体収容体の液体を相手に付着させる可能性を高めることができる。これにより、制圧しようとする相手を捕捉することができない場合でも、液体収容体の液体による痕跡を相手に残すことができるので、逃亡した相手の特定に有効である。
この場合、取付部の第1の当接部と第2の当接部の間に位置する液体収容体を第1及び第2の当接部による圧縮力で割ることができるので、相手への押付力で液体収容体を容易に割ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図23は本発明の一実施形態を示すもので、主に学校その他各種施設の防犯または警備用の道具として用いられる刺股を示すものである。
【0014】
同図に示す刺股1は、使用者Aが把持する柄10と、柄10に軸方向に摺動自在に設けられた摺動部材としてのシャフト20と、一端をシャフト20に回動自在に連結された湾曲形状の一対のアーム30と、柄10の先端側と各アーム30とを連結する一対のリンク40と、シャフト20の先端側に軸方向に移動自在に設けられた押付部材50と、所定の回動位置まで開いた各アーム30の閉じる方向への回動を規制する第1のロック機構60と、押付部材50をシャフト20に対して所定位置まで押し込むことにより第1のロック機構60のロックを解除する第1のロック解除機構70と、任意の位置まで閉じた各アーム4の開く方向への回動を規制する第2のロック機構80と、所定の操作により第2のロック機構80のロックを解除する第2のロック解除機構90とを備え、押付部材50の先端側には、液体収容体としてのカラーボール100が取り付けられる取付部110が設けられている。
【0015】
柄10は、円筒状の金属パイプからなり、例えば1700mm程度の長さに形成されている。柄10の基端側にはグリップ11が設けられ、グリップ11は柄10の外周面に被着された円筒状の部材からなる。
【0016】
シャフト20は、外形寸法が柄10の内径よりも小さい角筒状の金属パイプからなり、柄10内に摺動自在に挿入されている。
【0017】
各アーム30は、金属パイプを湾曲させることによって形成され、その基端側はシャフト20の先端側に回動自在に連結されている。各アーム30の基端側はシャフト20を間にしてシャフト20の径方向に対向するように配置され、シャフト20を径方向に貫通する一本のネジ31によって回動自在に支持されている。
【0018】
各リンク40は、直線状に延びる金属板からなり、その一端側は柄10の先端側に回動自在に連結されている。各リンク40の一端側は柄10を間にして柄10の径方向に対向するように配置され、柄10の径方向一端側と他端側に取り付けられたネジ41によってそれぞれ回動自在に支持されている。また、リンク40の他端側は他のネジ42によってアーム30の基端側に回動自在に連結されている。この場合、リンク40とアーム30との連結位置は、シャフト20とアーム30との連結位置に対して所定距離だけアーム30の先端側に位置している。
【0019】
押付部材50は、外径がシャフト20の内形寸法よりも小さい金属パイプからなり、シャフト20内に摺動自在に挿入されている。押付部材50の先端側には左右方向に亘って延びる押付部51が設けられ、押付部51は押付部材50の先端から両側に湾曲するように延びている。押付部材50の外周面には軸方向に延びる一対の長孔52が径方向に対向するように設けられ、各長孔52には各アーム30のネジ31が挿通している。これにより、押付部材50は長孔52の長さだけシャフト20に対して軸方向に移動自在になっている。また、押付部材50内にはコイル状のバネ53が設けられ、バネ53によって押付部材50が先端側に付勢されている。この場合、バネ53の一端は押付部材50内に固定され、その他端はネジ31に圧接している。
【0020】
第1のロック機構60は、シャフト20内に設けられた係止部材61と、一方のリンク40のネジ41とから構成され、ネジ41は係止部材61に係止する係止部をなす。係止部材61は弾性変形可能な金属板からなり、その一端はシャフト20内に固定されている。係止部材61の他端側には突起62が設けられ、突起62はシャフト20の周面に設けられた孔21からシャフト20の外側(柄10の内部)に突出するようになっている。また、係止部材61の他端側はシャフト20の内周面に押し付けられており、これにより突起62が孔21から突出した状態に保持されている。即ち、第1のロック機構60では、
図8に示すように孔21から突出した突起62がネジ41の頭部に係止することにより、柄10の基端側へのシャフト20の移動が規制され、各アーム30の閉じる方向への回動を規制されるようになっている。
【0021】
第1のロック解除機構70は、押付部材50の基端側に設けられた当接部71からなり、押付部材50がシャフト20に対して所定位置まで押し込まれると、押付部材50の当接部71が第1のロック機構60の係止部材61に当接し、係止部材61を変位させるようになっている。
【0022】
第1のロック解除機構70では、
図9に示すように当接部71の当接によって係止部材61が変位すると、突起62が孔21内に没入し、突起62とネジ41との係止が解除され、
図10に示すように第1のロック機構60のロックが解除されるようになっている。
【0023】
第2のロック機構80は、シャフト20の基端に固定された第1のロック部材81と、柄10内に固定された第2のロック部材82と、第1のロック部材81に設けられた係止部材83と、第2のロック部材82に設けられた多数の係止部84とからなり、第1のロック部材81は第2のロック部材82内に摺動自在に挿入されている。第1のロック部材81は幅方向両側が直角に屈曲するように形成され、第2のロック部材82は角筒状に形成されている。係止部材83は幅方向両側が直角に屈曲するように形成され、第1のロック部材81の両側面に支軸83aを介して回動自在に取り付けられている。この場合、係止部材83は、支軸83aに取り付けられたコイル状のバネ83bによって第1のロック部材81の外側に回動するように付勢されている。各係止部84は柄10及びシャフト20の軸方向に配列され、第2のロック部材82の内面に固定された第3のロック部材85に一体に形成されている。この場合、各係止部84は、柄10及びシャフト20の軸方向一方のみで係止部材83が係止する山形の突起からなる。即ち、第1のロック部材81が第2のロック部材82内に配置されると、
図11に示すように係止部材83がバネ84によって第3のロック部材85に圧接し、何れか一つの係止部84に係止するようになっている。
【0024】
第2のロック機構80では、
図12に示すようにシャフト20が柄10の基端側(軸方向他方)に移動すると、係止部材83がバネ83bに抗して係止部84を乗り越えるように変位しながら第3のロック部材85上を任意の位置まで移動するようになっている。また、柄10の先端側(軸方向一方)へのシャフト20の移動に対しては、係止部材83が係止部84に係止し、同方向へのシャフト20の移動が規制され、各アーム4の開く方向への回動が規制されるようになっている。
【0025】
第2のロック解除機構90は、第2のロック機構80の係止部材83と各係止部84との間に挿入可能な係止解除部材91と、係止解除部材91を柄10の軸方向に移動させる操作部92とからなる。係止解除部材91は互いに幅方向に間隔をおいて配置された一対の棒状部材からなり、その先端は尖鋭に形成されている。操作部92は手指で把持可能な円柱状の部材からなり、柄10の外側に配置されている。この場合、柄10の周面には軸方向に延びる長孔12が設けられており、操作部92は棒状の連結部材92aを介して係止解除部材91の基端側に連結されている。操作部92はバネ93によって柄10の基端側に付勢されており、操作部92を柄10の先端側に向かって移動すると、操作部92がバネ93によって柄10の基端側に戻るようになっている。バネ93は一端を操作部92に連結され、他端を柄10の基端側に連結されている。また、柄10の外側には長孔12を覆うカバー部材94が設けられている。カバー部材94は柄10の外周面に摺動自在に設けられた円筒状の部材からなり、連結部材92aはカバー部材93の周面に設けられた孔94aに挿通されている。この場合、操作部92を長孔12に沿って移動させると、カバー部材94も操作部92と共に移動するようになっている。
【0026】
第2のロック解除機構90では、操作部92を長孔12に沿って柄10の先端側(軸方向一方)に移動すると、
図13に示すように係止解除部材91が係止部材83と係止部84との間に挿入されて係止部材83と係止部84との係止が解除され、
図14に示すように第2のロック機構80のロックが解除されるようになっている。
【0027】
カラーボール100は、外部から加わる力で割れるように形成された厚さの薄い樹脂成形品からなる球状の外装体101の内部に、相手に付着させるための液体を収容した周知の防犯用品からなり、内部の液体としては、例えば蛍光塗料等の目立つ色の液体、臭気の強い液体、ルミノール反応の残る液体等が用いられる。
【0028】
取付部110は、押付部51側からカラーボール100一端側に当接する第1の当接部111と、第1の当接部111の反対側からカラーボール100の他端側に当接する第2の当接部112とからなり、第1及び第2の当接部111,112はそれぞれカラーボール100の外径よりも小さい内径を有する環状の部材からなる。第1の当接部111は、押付部材50の外周面に固定された第1の固定部材113から延びる一対の棒状の第2の固定部材114の先端に固定され、押付部51の幅方向中央に位置するように押付部51の先端側に配置されている。第2の当接部112は、第1の当接部111と押付方向(押付部材50の軸方向)に間隔をおいて配置され、第1の当接部111に対して押付方向に移動自在に設けられている。第2の当接部112には押付方向に延びるボルト11の頭部が固定され、第1の当接部111にはボルト115が押付方向に移動自在に係合する係合部材116が設けられている。係合部材116はボルト115が摺動自在に挿通する円筒状の部材からなり、第1の当接部111に固定されている。係合部材116を挿通するボルト115の先端側にはナット117が螺合しており、ナット117はワッシャ118を介して係合部材116の一端に係止するようになっている。また、係合部材116の他端とボルト115の頭部との間にはコイル状のスプリング119が圧縮状態で設けられている。尚、ボルト115、係合部材116、ナット117、ワッシャ118及びスプリング119は、第1及び第2の当接部111,112の周方向二箇所に設けられている。
【0029】
前記取付部110では、第1の当接部111と第2の当接部112との間にカラーボール100を配置し、ボルト115とナット117とを螺合することにより、第1及び第2の当接部111,112がカラーボール100の外装体101に当接し、カラーボール100が取付部110に保持される。その際、係合部材116の他端とボルト115の頭部との間に圧縮状態で配置されたスプリング119によってナット117がワッシャ118を介して係合部材116の一端に圧接することから、ナット117の緩みが防止される。
【0030】
以上のように構成された刺股1においては、
図1に示すように各アーム30を所定位置まで開くことにより、第1のロック機構60によって各アーム30が開いた状態でロックされる。ここで、例えば学校等の施設に侵入した暴漢等の相手Bを制圧しようとする場合、
図15に示すように使用者Aは柄10が略水平になるように持って構える。次に、
図16に示すように、各アーム30の間に、制圧しようとする相手Bを位置させるとともに、押付部材50の押付部51を相手Bに押し付けることにより、図中白抜き矢印で示すように押付部材50にシャフト20側への押圧力を加える。これにより、押付部材50がシャフト20内に押し込まれ、第1のロック解除機構70によって第1のロック機構60のロックが解除される。第1のロック機構60のロックが解除されると、
図10に示すようにシャフト20が柄10の基端側に向かって移動し、
図17に示すように各アーム30が相手Bを包み込むように閉じる。その際、第2のロック機構80によって各アーム30が閉じた状態でロックされるので、相手Bは各アーム30を開くことができず、各アーム30によって相手Bが拘束される。これにより、使用者Aは、相手Bを取り押さえることもできるが、そのまま放置して逃げてもよい。その場合、相手Bには刺股1が組み付いたままになっているので、使用者Aを追いかけようとしても刺股1が邪魔になり、使用者Aが相手Bから逃げやすくなる。
【0031】
また、押付部材50の押付部51を相手Bに押し付けると、取付部110に取り付けられたカラーボール100が相手Bに押し付けられ、押付力によりカラーボール100の外装体101が割れて内部の液体が飛散する。これにより、飛散した液体が相手Bに付着する。この場合、押付力がカラーボール100の外装体101に直接加わることによりカラーボール100の外装体101が割れるか、或いは
図22に示すように押付力で第2の当接部112が第1の当接部111側に移動することにより、
図23に示すように第1の当接部111と第2の当接部112の間に位置する外装体101が第1及び第2の当接部111,112によって圧縮されて割れ、図中実線矢印で示すように内部の液体が飛散する。
【0032】
一方、開いた各アーム30の間に相手Bを位置させる前に、
図18に示すように相手Bに各アーム30を掴まれた場合でも、各アーム30は第1のロック機構60によって開いた状態でロックされているため、押付部材50を押し込まない限り、図中白抜き矢印で示すように相手Bが各アーム30を持って閉じることはできない。これにより、相手Bに各アーム30を閉じられて相手Bを拘束することができなくなることはない。
【0033】
また、閉じた各アーム30を開いた状態に戻す場合は、
図13に示すように第2のロック解除機構90の操作部92を柄10の先端側に向かって移動させると、第2のロック機構80のロックが解除され、
図14に示すようにシャフト20が移動し、
図1に示すように各アーム30が所定の回動位置まで開く。
【0034】
このように、本実施形態の刺股によれば、押付部51に設けられた取付部110にカラーボール100が相手側に押付可能に取り付けられているので、押付部51を相手Bに押し付けると、カラーボール100が割れて内部の液体を相手Bに付着させることができ、カラーボール100を投げつける場合に比べ、カラーボール100の液体を相手Bに付着させる可能性を高めることができる。これにより、制圧しようとする相手Bを捕捉することができない場合でも、カラーボール100の液体による痕跡を相手Bに残すことができるので、逃亡した相手Bの特定に有効である。
【0035】
この場合、取付部100は、押付部51側からカラーボール100の押付方向一端側に当接する第1の当接部111と、第1の当接部111の反対側からカラーボール100の押付方向他端側に当接する第2の当接部112とを有し、第1の当接部111が押付部51側に固定されるとともに、第2の当接部112が第1の当接部111に対して押付方向に移動自在に設けられているので、相手Bへの押付力がカラーボール100の外装体101に直接加わることによりカラーボール100の外装体101が割れない場合でも、押付力で第2の当接部112が第1の当接部111側に移動することにより、第1の当接部111と第2の当接部112の間に位置する外装体101を第1及び第2の当接部111,112による圧縮力で割ることができ、相手Bへの押付力でカラーボール100を容易に割ることができる。
【0036】
また、本実施形態の刺股によれば、所定の回動位置まで開いた各アーム30の閉じる方向への回動を規制する第1のロック機構60と、押付部材50をシャフト20に対して所定位置まで押し込むことにより第1のロック機構60のロックを解除する第1のロック解除機構70とを備えているので、相手Bに各アーム30を持って閉じられることがなく、各アーム30の間に相手Bを位置させるまで各アーム30を開いた状態に保持することができる。これにより、各アーム30の間に相手Bを位置させる前に、相手Bに各アーム30を閉じられて相手Bを拘束することができなくなることがなく、相手Bを制圧する場合に極めて有利である。
【0037】
更に、各アーム30の間に位置する相手Bに押付部材50を押し付けて各アーム30を閉じると、第2のロック機構80によって各アーム30の開く方向への回動が規制されるので、相手Bは各アーム30を開くことができず、各アーム30によって相手Bを強固に拘束することができる。この場合、各アーム30により、取付部110のカラーボール100を相手Bに押し付けた状態で相手Bを拘束することができるので、相手Bが各アーム30の拘束から逃れようとしてもがくほど、カラーボール100から流出した液体が相手Bの衣服等の広範囲に付着し、相手Bに液体の付着による痕跡を残す効果を高めることができる。
【0038】
また、第2のロック機構80は、シャフト20の軸方向に配列された多数の係止部84を有しているので、係止部材83と係止部84との係止位置の間隔を細かく多段階にすることができ、相手Bの体型や体格に応じて各アーム30を緩みなく相手Bに圧着することができる。
【0039】
更に、操作部92の操作により第2のロック機構80のロックを解除する第2のロック解除機構90を備えているので、例えば刺股1の使用訓練時に訓練相手を各アーム30で拘束した後、第2のロック解除機構90によって速やかに各アーム30のロックを解除することができ、刺股1の使用訓練を円滑に行うことができる。
【0040】
また、操作部92を移動させるための長孔12を柄10の外周面に設けたカバー部材94によって覆うようにしたので、外部のゴミ等の異物が長孔12から柄10の内部に侵入することがなく、異物の侵入による動作不良を効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…刺股、10…柄、20…シャフト、30…アーム、40…リンク、50…押付部材、60…第1のロック機構、61…係止部材、70…第1のロック解除機構、80…第2のロック機構、83…係止部材、84…係止部、90…第2のロック解除機構、92…操作部、94…カバー部材、100…カラーボール、110…取付部、111…第1の当接部、112…第2の当接部。