特許第6362909号(P6362909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362909
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】保護管用の切断工具
(51)【国際特許分類】
   B26B 27/00 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B26B27/00 G
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-78970(P2014-78970)
(22)【出願日】2014年4月7日
(65)【公開番号】特開2015-116467(P2015-116467A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】特願2013-234213(P2013-234213)
(32)【優先日】2013年11月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−160869(JP,U)
【文献】 特開平11−198094(JP,A)
【文献】 実開昭61−071073(JP,U)
【文献】 特開平10−328441(JP,A)
【文献】 特開平10−328440(JP,A)
【文献】 実開昭60−117096(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0084985(US,A1)
【文献】 独国実用新案第29711774(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 27/00
B23D 21/06−21/12
B26D 3/16
F16L 11/00
H02G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面略長円形状の保護管を切断する、切断工具であって、
工具本体と、その工具本体に固定される第1の刃体および第2の刃体とを、備え、
前記工具本体は、前記保護管が貫通可能な貫通部と、その貫通部に対し前記保護管をその断面略長円形状の幅広方向の側から出し入れ可能な開口部とを有し、
前記第1の刃体の刃部である第1刃部は、前記開口部に突出して、その開口部を前記保護管が通ることでその保護管の断面略長円形状の幅狭方向の側にある第1の周壁を切断し、
前記第2の刃体の刃部である第2刃部は、前記貫通部に突出して、その貫通部を貫通する前記保護管が前記工具本体に対して相対的に回動することでその保護管の断面略長円形状の幅広方向の側にある第2の周壁を切断し、
前記第2の周壁における、少なくとも前記保護管の軸心から離れた側となる頂部部分を切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分を前記保護管の内側へ撓ませるように前記保護管を押す押圧部が、前記工具本体の前記貫通部を挟む両側、それら押圧部の間隔が前記保護管の前記幅広方向の幅寸法より短く前記保護管の前記幅狭方向の幅寸法より長くなるように設けられる、保護管用の切断工具。
【請求項2】
前記押圧部は、前記保護管の周壁における、前記第1刃部による切断と前記第2刃部による切断との互いの連絡位置では、前記保護管を押さないように配置される、請求項1に記載の保護管用の切断工具。
【請求項3】
前記保護管は、その長手方向に山部と谷部が連続して並ぶコルゲート管からなり、
前記第1刃部および前記第2刃部は、前記コルゲート管の山部を切断し、
前記第1刃部は、その第1刃部による前記山部の切断の過程で、前記谷部における前記コルゲート管の内面よりも内側に突出しないように設けられ、かつ、
前記第2刃部は、その第2刃部による前記山部の切断の過程で、前記谷部における前記コルゲート管の内面よりも内側に突出しないように設けられる、請求項1または2に記載の保護管用の切断工具。
【請求項4】
前記切断工具は、前記貫通部における前記第2の刃体を挟む一方の側に、前記保護管としての、長手方向に山部と谷部が連続して並ぶコルゲート管の、谷部に入り込んでそのコルゲート管の長手方向の移動を阻止する係止部を有し、前記押圧部は、少なくとも前記一方の側に設けられる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保護管用の切断工具。
【請求項5】
前記押圧部は、前記第2の刃体を挟む両方の側に設けられるとともに、それら押圧部は、前記第2の刃体から異なる距離に位置し、かつ、前記第2の刃体から遠い側にある押圧部が、近い側にある押圧部に比して、前記保護管を押す押込み量が大となるように前記貫通部に突出する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の保護管用の切断工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、断面略長円形状の保護管を切断する、保護管用の切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、断面略長円形状のコルゲート管を切断する、切断工具があった(例えば、特許文献1参照)。図19に示すように、この切断工具21は、内部に配線・配管材1を収容した状態でコルゲート管20を切断する工具であって、C字状の拡大頭部22aを有するカッタ本体22を備えていた。このカッタ本体22の拡大頭部22aは、その内側の空間が、コルゲート管20が受け入れられる受入孔23となり、対向する両端間が、コルゲート管20を受入孔23に挿入するための挿入口24となっていた。そして、挿入口24には、第1切刃25が設けられ、受入孔23には、直状の第2切刃26が設けられた。そこで、コルゲート管20を、挿入口24に通すことで、コルゲート管20の両側壁部20a、20aが、第1切刃25によって切断された。そして、受入孔23に受け入れられたコルゲート管20に対し、切断工具21を回動することで、コルゲート管20の両端湾曲壁部20b、20bが、第2切刃26によって切断された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−328440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の切断工具21にあっては、コルゲート管20(保護管)の切断時における第1切刃25および第2切刃26(第2刃部)の先端が通る軌跡M1、M2は、おおよそ図20に示すようになっている。特に第2切刃26(軌跡M2)は、コルゲート管20の周壁に対し、両端湾曲壁部20b、20bの頂部20c、20cでは最も内側を通り、頂部20c、20cから離れるに従って外側を通るようになっていく。そこで、コルゲート管20の切断を確実にするためには、第2切刃26は、第1切刃25(軌跡M1)による切断と第2切刃26(軌跡M2)による切断との連絡位置Tで、より内側を通る必要があったが、内部の配線・配管材1との関係では、両端湾曲壁部20b、20bの頂部20c、20cにおいて、第2切刃26の、コルゲート管20内への突出量を制限する必要があることから、第2切刃26を、これ以上内側に寄せることができなかった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、断面略長円形状の保護管を確実に切断することができ、かつ、第2刃部の、保護管内への突出量を制限することができる、保護管用の切断工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る保護管用の切断工具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る保護管用の切断工具は、断面略長円形状の保護管を切断する、切断工具である。この切断工具は、工具本体と、その工具本体に固定される第1の刃体および第2の刃体とを、備える。ここで、前記工具本体は、前記保護管が貫通可能な貫通部と、その貫通部に対し前記保護管をその断面略長円形状の幅広方向の側から出し入れ可能な開口部とを有する。前記第1の刃体の刃部である第1刃部は、前記開口部に突出して、その開口部を前記保護管が通ることでその保護管の断面略長円形状の幅狭方向の側にある第1の周壁を切断する。前記第2の刃体の刃部である第2刃部は、前記貫通部に突出して、その貫通部を貫通する前記保護管が前記工具本体に対して相対的に回動することでその保護管の断面略長円形状の幅広方向の側にある第2の周壁を切断する。そして、前記第2の周壁における、少なくとも前記保護管の軸心から離れた側となる頂部部分を切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分を前記保護管の内側へ撓ませるように前記保護管を押す押圧部が、前記工具本体の前記貫通部を挟む両側、それら押圧部の間隔が前記保護管の前記幅広方向の幅寸法より短く前記保護管の前記幅狭方向の幅寸法より長くなるように設けられる。
【0007】
この切断工具によると、工具本体は、保護管が貫通可能な貫通部と、その貫通部に対し保護管を出し入れ可能な開口部とを有している。ここにおいて、開口部には、保護管の断面略長円形状の幅狭方向の側にある第1の周壁を切断する第1刃部が突出し、貫通部には、保護管の断面略長円形状の幅広方向の側にある第2の周壁を切断する第2刃部が突出している。そして、工具本体には、保護管の第2の周壁の少なくとも頂部部分を切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分を保護管の内側へ撓ませるように保護管を押す押圧部が設けられている。そこで、この切断工具により、保護管を切断するには、保護管がその断面略長円形状の幅広方向の側から開口部を通って貫通部に入るように、切断工具を進める。このとき、保護管の断面略長円形状の幅狭方向の側にある第1の周壁が、開口部に突出する第1刃部によって切断される。次に、保護管が工具本体に対して相対的に回動するように、切断工具を回動する。これにより、保護管の断面略長円形状の幅広方向の側にある第2の周壁が、貫通部に突出する第2刃部によって切断される。ここで、工具本体には、押圧部が設けられており、この押圧部により、第2の刃体で、第2の周壁の少なくとも頂部部分を切断する過程で、保護管が押されて、その切断する少なくとも頂部部分が保護管の内側へ撓み、これによって、第2刃部の、保護管内への突出量が制限される。すなわち、保護管を確実に切断すべく第2刃部を保護管の軸心に近づけた場合であっても、押圧部で保護管を押して少なくとも頂部部分を保護管の内側へ撓ませることで、第2刃部の、保護管内への突出量を制限することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る保護管用の切断工具は、請求項1に記載の切断工具において、前記押圧部は、前記保護管の周壁における、前記第1刃部による切断と前記第2刃部による切断との互いの連絡位置では、前記保護管を押さないように配置される。こうして、押圧部による保護管の撓みを制限することで、この切断工具を回動するときの負荷を低減することができる。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る保護管用の切断工具は、請求項1または2に記載の切断工具において、前記保護管は、その長手方向に山部と谷部が連続して並ぶコルゲート管からなる。そして、前記第1刃部および前記第2刃部は、前記コルゲート管の山部を切断する。そこで、前記第1刃部は、その第1刃部による前記山部の切断の過程で、前記谷部における前記コルゲート管の内面よりも内側に突出しないように設けられ、かつ、前記第2刃部は、その第2刃部による前記山部の切断の過程で、前記谷部における前記コルゲート管の内面よりも内側に突出しないように設けられる。こうして、コルゲート管の切断にあたって、第1刃部および第2刃部が、コルゲート管の谷部での内面よりも内側に突出しないことから、コルゲート管の内部に配線・配管材が挿入されている場合であっても、その配線・配管材を、第1刃部とか第2刃部で傷付けることがない。
【0010】
また、請求項4に記載の発明に係る保護管用の切断工具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の切断工具において、前記貫通部における前記第2の刃体を挟む一方の側に、前記保護管としての、長手方向に山部と谷部が連続して並ぶコルゲート管の、谷部に入り込んでそのコルゲート管の長手方向の移動を阻止する係止部を有し、前記押圧部は、少なくとも前記一方の側に設けられる。このように、係止部を、第2の刃体を挟む一方の側に設けた場合には、第1の刃体によるコルゲート管の第1の周壁の切断と、第2の刃体によるコルゲート管の第2の周壁の切断とにより、分断されたコルゲート管における、係止部により長手方向の移動が阻止された側のコルゲート管の、断面略長円形状の幅広方向の側が、工具本体の開口部側を向くように、切断工具の回動位置を定めてから、切断工具をコルゲート管から後退させることで、コルゲート管は、貫通部から開口部を通って外に出ることができる。ここで、押圧部が、少なくとも係止部がある一方の側に設けられているため、係止部によって長手方向の移動が阻止された側のコルゲート管の、断面略長円形状の幅広方向の側が、工具本体の開口部側を向くように、切断工具を回動する過程で、押圧部がコルゲート管の第2の周壁を押圧することができ、それによって、第2刃部の、コルゲート管内への突出量を制限することができる。
【0011】
また、請求項5に記載の発明に係る保護管用の切断工具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の切断工具において、前記押圧部は、前記第2の刃体を挟む両方の側に設けられるとともに、それら押圧部は、前記第2の刃体から異なる距離に位置し、かつ、前記第2の刃体から遠い側にある押圧部が、近い側にある押圧部に比して、前記保護管を押す押込み量が大となるように前記貫通部に突出する。このように、第2の刃体を挟む押圧部が、第2の刃体から異なる距離に位置する場合に、第2の刃体から遠い側にある押圧部を、近い側にある押圧部に比して、その押込み量が大となるように突出させることで、保護管における第2の刃体で切断する部分を、第2の刃体を挟む両側において均等に撓ませて、保護管をその長手方向に対して垂直に切ることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係る保護管用の切断工具によれば、保護管を押して第2の周壁の少なくとも頂部部分を保護管の内側へ撓ませる押圧部を設けることで、断面略長円形状の保護管を確実に切断することができ、かつ、第2刃部の、保護管内への突出量を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の一実施の形態の、切断工具の斜視図である。
図2】同じく、一部分解斜視図である。
図3】同じく、分解斜視図である。
図4】同じく、平面図である。
図5】同じく、図4におけるA−A線による拡大断面図である。
図6】同じく、図4におけるB−B線による拡大断面図である。
図7】同じく、カバー体を工具本体に対して90°回動した平面図である。
図8】同じく、図7におけるC−C線による拡大断面図である。
図9】同じく、切断工具からカッターを取り出した要部拡大平面図である。
図10】同じく、切断工具を進めて、コルゲート管が開口部を通るときの平面図である。
図11】同じく、図10におけるD−D線による拡大断面図である。
図12】同じく、切断工具をさらに進めて、コルゲート管が貫通部に挿入されたときの平面図である。
図13】同じく、図12におけるE−E線による拡大断面図である。
図14】同じく、切断工具を時計回りに大よそ50°回動したときの平面図である。
図15】同じく、切断工具を時計回りに90°回動したときの平面図である。
図16】同じく、図14におけるF−F線による拡大断面図である。
図17】同じく、図15の要部を、カバー体を省略して模式化した拡大図である。
図18】同じく、第1および第2の刃体を示し、(a)は、平面図、(b)は、G矢視拡大図、(c)は、H−H線による拡大端面図である。
図19】従来の切断工具を示す、平面図である。
図20】同じく、従来の切断工具の、切断の軌跡を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明に係る保護管用の切断工具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1図18は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。2は、前記配線・配管材1を内部に収容する断面略長円形状の保護管を示す。3は、前記保護管2を、内部の配線・配管材1を切断することなく切断する、切断工具を示す。
【0016】
この切断工具3は、工具本体4と、その工具本体4に固定される第1の刃体5および第2の刃体6とを、備える。ここで、工具本体4は、保護管2が貫通可能な貫通部4aと、その貫通部4aに対し保護管2をその断面略長円形状の幅広方向P2の側から出し入れ可能な開口部4bとを有する。
【0017】
第1の刃体5の刃部である第1刃部5aは、工具本体4の開口部4bに突出して、その開口部4bを保護管2が通ることでその保護管2の断面略長円形状の幅狭方向P1の側にある第1の周壁2aを切断する。そして、第2の刃体6の刃部である第2刃部6aは、工具本体4の貫通部4aに突出して、その貫通部4aを貫通する保護管2が工具本体4に対して相対的に回動する(詳しくは、相対的に貫通部4aの軸心周りに回動する)ことでその保護管2の断面略長円形状の幅広方向P2の側にある第2の周壁2bを切断する。
【0018】
そして、工具本体4には、保護管2の第2の周壁2bにおける、少なくとも保護管2の軸心から離れた側となる頂部部分2xを切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分2xを保護管2の内側へ撓ませるように保護管2を押す押圧部4xが、前記貫通部4aを挟む両側に、それら押圧部4x、4xの間隔が保護管2の前記幅広方向P2の幅寸法より短く保護管2の前記幅狭方向P1の幅寸法より長くなるように設けられる(図15図17参照)。この押圧部4xは、図示実施の形態においては、保護管2の周壁における、第1の刃体(詳しくは、第1刃部5a)による切断と第2の刃体6(詳しくは、第2刃部6a)による切断との互いの連絡位置Sでは、保護管2を押さないように配置される(図14参照)。
【0019】
また、切断工具3は、カバー体7を備える。このカバー体7は、貫通部4aに設けられ、その貫通部4aの軸心方向に垂直な面に沿って移動可能であって、その移動により、カバー体7は、第2刃部6aよりも(図示実施の形態においては、第2刃部6aの少なくとも一方の側面M(詳しくは、第2刃部6aの一方の側面M)を被ってその第2刃部6aよりも)貫通部4aの中央側に突出する第1移動域(図4図6参照)と、第2刃部6aよりも貫通部4aの中央側に突出することなく第2刃部6aを貫通部4aの中央側に露出させる第2移動域(図7図8参照)とに渡って移動する。そして、カバー体7は、前記第1移動域中に、貫通部4aに対し、保護管2を、開口部4bを通じて出し入れ可能とする、出し入れ位置(図4参照)を有する。
【0020】
詳細には、カバー体7は、工具本体4によって、貫通部4aの軸心回りに回動可能に支持される。そして、カバー体7は、保護管2の外周に係合する係合部7aを有する。そこで、カバー体7が前記出し入れ位置にあるときに開口部4bから貫通部4aに挿入された保護管2に対し、工具本体4を回動させると、係合部7aが保護管2の外周に係合してカバー体7がその保護管2側に留まることで、そのカバー体7は、工具本体4に対して相対的に回動して前記第1移動域と第2移動域とに渡って移動するとともに、その第2移動域にて第2刃部6aが保護管2の第2の周壁2bを切断する。より詳細には、この係合部7aは、保護管2の、第1の周壁2a、2aの両方の外側(図示実施の形態においては、第1の周壁2a、2aの両方および第2の周壁2b、2bの一方の外側)に嵌合して、その保護管2を保持する保持部7bからなる。なお、嵌合の概念には、ちょうど当接するようにして嵌まる場合の他に、圧入ぎみに嵌まる場合とか、僅かに隙間を有して嵌まる場合を含む。
【0021】
具体的には、配線・配管材1は、配管材、例えば追焚き用とか床暖房用の配管材であって、2本の管1a、1aが並置され、それら管1a、1aがアルミ積層フィルムとかアルミフィルムとかのフィルム1bで巻き付けられて形成される(図4参照)。
【0022】
保護管2は、その長手方向に山部2cと谷部2dが連続して並ぶコルゲート管201からなる。そこで、切断工具3における第1の刃体5および第2の刃体6(詳しくは、第1刃部5aおよび第2刃部6a)は、コルゲート管201の山部2cを切断する。そして、図17において、符号L1は、第1刃部5a(第1の刃体5)の先端が通る軌跡を示すが、この軌跡L1から解かるように、第1刃部5aは、その第1刃部5aによる山部2cの切断の過程で、谷部2dにおけるコルゲート管201の内面2zよりも内側に突出しないように設けられる。すなわち、後に詳述する第1の刃体5の、開口部4bの口縁4yからの突出量は、コルゲート管201の第1の周壁2aにおける内外周間寸法(つまり、谷部2dでの内面2zと山部2cでの外面との間隔)よりも小となっている(図11図17参照)。同様に、図17において、符号L2は、第2刃部6a(第2の刃体6)の先端が通る軌跡を示すが、この軌跡L2から解かるように、第2刃部6aは、その第2刃部6aによる山部2cの切断の過程で、谷部2dにおけるコルゲート管201の内面2zよりも内側に突出しないように設けられる。すなわち、後に詳述する第2の刃体6の、押圧部4xからの突出量は、コルゲート管201の第2の周壁2bにおける内外周間寸法(つまり、谷部2dでの内面2zと山部2cでの外面との間隔)よりも小となっている(図16図17参照)。なお、この図17において、符号2yは、山部2cにおけるコルゲート管201の内面を示す。
【0023】
工具本体4は、例えば金属製であって、前記貫通部4aおよび開口部4bが設けられた本体部401と、その本体部401から延出した柄部402とを備える。ここで、本体部401は、略C字状に形成されて、その内側が前記貫通部4aとなり、その両端間が前記開口部4bとなる。そこで、前記押圧部4xは、貫通部4aを挟む両側、つまり後に詳述する第2の刃体6がある側であって、第2の刃体6とは所定寸法控えた位置に設けられる。この押圧部4xは、図示実施の形態においては、本体部401(工具本体4)と一体となって形成される。詳細には、押圧部4xは、本体部401の内径を狭めるように貫通部4aの中央側に突出して、その先端が直線となるように形成されている。
【0024】
開口部4bにおいては、その開口部4bの口縁4yに、コルゲート管201の谷部2dに入り込んでそのコルゲート管201の長手方向の移動を阻止する第1係止部4cが設けられる。図示実施の形態においては、第1係止部4cは、本体部401の略C字状に湾曲してなる開放側の両端部分に設けられ、各端部分において、第1の刃体5を挟むように二つ設けられる。
【0025】
柄部402は、本体部401の略C字の中間位置から、開口部4bとは反対側に延びて形成され、この柄部402を掴むことで、工具本体4、つまりは切断工具3を操作することができる。また、この柄部402には、カッター8が、取り出し可能に収容される。図示実施の形態においては、このカッター8におけるカッター本体8aには、軸孔8xがあけられており、その軸孔8xに、柄部402に設けられた軸部4dが嵌合することで、カッター8は、柄部402に対して軸支され、柄部402内に収容された収容位置(図4参照)と、柄部402から取り出された取出し位置(図9参照)との間を回動可能となっている。
【0026】
このカッター8は、主に、配線・配管材1(詳しくは、配管材)におけるフィルム1bを切断するために用いられるものであって、例えば合成樹脂製の前記カッター本体8aと、そのカッター本体8aに固定された例えば金属製の刃体8bとを備えている(図9参照)。ここで、カッター本体8aは、先端部分に、フィルム1b等の被切断物を受け入れるスリット8cを有する。そして、刃体8bは、その刃部8dが、スリット8cの口元側を向いてスリット8cに対し斜めに交差するように延び、かつ、その刃部8dの先端8e側が、スリット8cの奥側に位置するように配置されている。そして、刃部8dの先端8eは、スリット8cを形成する対向壁Qをのり越えることなく、その対向壁Qに当接あるいは若干離れて位置している。これにより、フィルム1bが、アルミ積層フィルムであったりアルミフィルムであったりしたとき、刃部8dの先端8eがスリット8cの対向壁Qをのり越える場合と異なり、ちぎれ易いアルミが、刃部8dの先端8e側で細かくちぎれて刃部8dの先端8e側とスリット8cの対向壁Qとの間の先細りの空間8fに挟まったまま詰まるのを低減することができる。
【0027】
また、工具本体4は、本体部401および柄部402を通じてスライスするように分割された二つの分割体(第1の分割体X1および第2の分割体X2)からなる。すなわち、第1の分割体X1は、本体部401を構成する略C字状の第1本体部4eと、柄部402を構成する第1柄部4fとからなり、同様に、第2の分割体X2は、本体部401を構成する略C字状の第2本体部4gと、柄部402を構成する第2柄部4hとからなる。そして、これら第1の分割体X1と第2の分割体X2とは、自身にあけられた取付孔4iを連通するビス等の固着具(図示せず)により、互いに連結される。
【0028】
そこで、これら第1の分割体X1と第2の分割体X2とが(詳しくは、第1本体部4eと第2本体部4gとが)、前記第1および第2の刃体5、6とカバー体7とを挟み込むようにして支持する。図示実施の形態においては、第1および第2の刃体5、6には、前記取付孔4i、4iと連通する孔5b、6bがあけられており、これら取付孔4i、4iと孔5b、6bとをビス等の固着具(図示せず)が貫通することで、第1および第2の刃体5、6は、本体部401、つまりは工具本体4に固定される。そして、本体部401には、貫通部4aに臨むとともにカバー体7の外周側が嵌まる溝4jが設けられており、カバー体7は、この溝4jに案内されて、工具本体4に対して相対的に回動する。
【0029】
また、この工具本体4には、カバー体7を前記出し入れ位置に保持する掛止め手段9が設けられている。この掛止め手段9は、例えば、カバー体7を弾性的に保持するものであって、図示実施の形態においては、金属製の板ばね9aからなる。
【0030】
第1の刃体5は、例えば金属製であって、工具本体4における開口部4bを挟む両側に設けられる。この第1の刃体5は、基端側に前述の孔5bがあけられ、先端部分が、先細となって開口部4bに突出している。そこで、この第1の刃体5の先端部分に、開口部4bの口元側を向くように前記第1刃部5aが設けられる。そして、この第1の刃体5の先端部分における、開口部4bの奥側は、刃がなく、かつ、凸状に湾曲して形成された、湾曲部5cとなっている(図3参照)。また、図18に示すように、第1の刃体5における、第1刃部5aの後ろ側の端部5xは、その板厚方向の角部が弧状に(図示実施の形態においては、板厚方向の両角部が、連続する弧によって)面取りされている。
【0031】
第2の刃体6は、例えば金属製であって、工具本体4における貫通部4aを挟む両側に設けられる。この第2の刃体6は、基端側に前述の孔6bがあけられ、先端部分が、横長となって貫通部4aに突出している。そこで、この第2の刃体6の先端部分に、貫通部4aの中央側を向くように前記第2刃部6aが設けられる。ここで、第1刃部5aの先端が通る軌跡L1と、第2刃部6aの先端が通る軌跡L2との交点Nは、保護管2の、切断する肉厚の内面(図示実施の形態においては、コルゲート管201の、山部2cでの内面2y)よりも、内側に位置し(図17参照)、これによって、保護管2(図示実施の形態においては、コルゲート管201の山部2c)が確実に切断される。なお、図示実施の形態においては、第1の刃体5と第2の刃体6とは、連設部10を介して一体に形成される。もっとも、これら第1の刃体5と第2の刃体6とは、別個に形成されても構わない。
【0032】
カバー体7は、例えば金属製であって、互いに対向する対向部7c、7cと、それら対向部7c、7cを一方で繋ぐ中間部7dとで、略U字状に形成されている。そして、このカバー体7は、その外周が円弧状に形成され、前述したように、工具本体4に対して相対的に回動可能となる。そして、カバー体7は、その略U字の口元側から、コルゲート管201(保護管2)が内部に受け入れられる(つまり、前記出し入れ位置は、カバー体7の略U字の口元側が、工具本体4の開口部4bを向くこととなる回動位置である)。そこで、このカバー体7の内周が、コルゲート管201(保護管2)の外周に係合する係合部7aとなり、また、コルゲート管201(保護管2)を保持する保持部7bともなる。
【0033】
そして、このカバー体7には、コルゲート管201の谷部2dに入り込んでそのコルゲート管201の長手方向の移動を阻止する第2係止部7eが設けられる。詳細には、この第2係止部7eは、カバー体7の内周に、段差が形成されるようにその厚みが小となって突出する。そして、前記係合部7aとか保持部7bは、このカバー体7の内周の、段差を構成する段部7fからなる。なお、図示実施の形態においては、第2係止部7eは、内周全体に渡って形成される。
【0034】
また、カバー体7には、その対向部7cに、前記第1移動域にて第2刃部6aの前方を塞ぐ閉塞片7gが、設けられている。詳細には、この閉塞片7gは、カバー体7の板面から、少なくとも第2の刃体6の厚みを越える高さとなるよう、突出して形成されており、貫通部4aの中央側を向く面は、カバー体7の内周(図示実施の形態においては、内周の段部7f)と、面一となって、前記係合部7aとか保持部7bの一部となっている。
【0035】
また、このカバー体7には、その外周に、凹状の被掛合部7hが設けられており、この被掛合部7hに、前述の掛止め手段9としての板ばね9aに設けられた凸状の掛合部9bが嵌まることで、カバー体7は、その出し入れ位置に、弾性的に保持される。すなわち、板ばね9aの掛合部9bが、前記出し入れ位置にて、カバー体7の被掛合部7hに嵌まり、これによって、カバー体7は、その出し入れ位置に保持される。そして、その板ばね9aの弾性に抗してカバー体7を回動(移動)させるように力を加えれば、板ばね9aが変形して被掛合部7hが掛合部9bから外れ、カバー体7は、工具本体4に対して回動(移動)することができる。
【0036】
次に、以上の構成からなる切断工具3の作用効果について説明する。この切断工具3によると、本体部401(工具本体4)は、コルゲート管201(保護管2)が貫通可能な貫通部4aと、その貫通部4aに対しコルゲート管201を出し入れ可能な開口部4bとを有している。ここにおいて、開口部4bには、コルゲート管201の断面略長円形状の幅狭方向P1の側にある第1の周壁2aを切断する第1刃部5aが突出し、貫通部4aには、コルゲート管201の断面略長円形状の幅広方向P2の側にある第2の周壁2bを切断する第2刃部6aが突出している。
【0037】
そして、工具本体4には、コルゲート管201の第2の周壁2bの少なくとも頂部部分2xを切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分2xをコルゲート管201の内側へ撓ませるようにコルゲート管201を押す押圧部4xが設けられている(図15図17参照)。
【0038】
また、切断工具3は、貫通部4aに、カバー体7を備える。このカバー体7は、貫通部4aの軸心方向に垂直な面に沿って移動することで、第2刃部6aよりも貫通部4aの中央側に突出する第1移動域(図4図6参照)と、第2刃部6aよりも貫通部4aの中央側に突出することなく第2刃部6aを貫通部4aの中央側に露出させる第2移動域(図7図8参照)とに渡って移動する。
【0039】
そこで、この切断工具3により、コルゲート管201を切断するには、初めに、カバー体7を第1移動域中の出し入れ位置にして(図4参照)、コルゲート管201がその断面略長円形状の幅広方向P2の側から開口部4bを通って貫通部4aに入るように、切断工具3を進める(図10図12参照)。このとき、コルゲート管201の断面略長円形状の幅狭方向P1の側にある第1の周壁2aが、開口部4bに突出する第1刃部5aによって切断される(図10図11参照)。
【0040】
次に、コルゲート管201が工具本体4に対して相対的に回動するように、切断工具3を回動する(図14図15参照)。これにより、コルゲート管201の断面略長円形状の幅広方向P2の側にある第2の周壁2bが、貫通部4aに突出する第2刃部6aによって切断される(図15図16参照)。ここで、カバー体7は、切断工具3の回動に連動して第2移動域に移動する。そして、工具本体4には、押圧部4xが設けられており、この押圧部4xにより、第2の刃体6で、コルゲート管201の第2の周壁2bの少なくとも頂部部分2xを切断する過程で、コルゲート管201が押されて、その切断する少なくとも頂部部分2xがコルゲート管201の内側へ撓み、これによって、第2刃部6a(軌跡L2)の、コルゲート管201内への突出量が制限される(図15図17参照)。すなわち、コルゲート管201を確実に切断すべく第2刃部6aをコルゲート管201の軸心に近づけた場合であっても、押圧部4xでコルゲート管201を押して少なくとも頂部部分2xをコルゲート管201の内側へ撓ませることで、第2刃部6aの、コルゲート管201内への突出量を制限することができる。なお、図15および図16は、切断工具3を時計回りに90°回動したときの状態を示すが、コルゲート管201の第2の周壁2bの全体を切断するためには、必要に応じて、さらに切断工具3を時計回りに回動する。
【0041】
そして、第1および第2の周壁2a、2bを切断した後(つまり、コルゲート管201の全周を切断した後)、コルゲート管201の断面略長円形状の幅広方向P2の側が開口部4b側を向くように、切断工具3の回動位置を定めて(図示実施の形態においては、図12に示す位置まで、切断工具3を回動して)、切断工具3をコルゲート管201から後退させることで、コルゲート管201は、貫通部4aから開口部4bを通って外に出ることができる(図10図4参照)。ここで、カバー体7は、切断工具3の回動に連動して出し入れ位置に移動する。
【0042】
こうして、この切断工具3により、コルゲート管201(保護管2)の断面略長円形状の幅狭方向P1の側にある第1の周壁2aおよび幅広方向P2の側にある第2の周壁2bを切断することができる。そして、この切断工具3によれば、コルゲート管201を押して第2の周壁2bの少なくとも頂部部分2xをコルゲート管201の内側へ撓ませる押圧部4xを設けることで、断面略長円形状のコルゲート管201を確実に切断することができ、かつ、第2刃部6aの、コルゲート管201内への突出量を制限することができる。
【0043】
また、押圧部4xは、コルゲート管201の周壁(詳しくは、周壁の山部2c)における第1の刃体5による切断と第2の刃体6による切断との互いの連絡位置Sでは、コルゲート管201を押さないように配置されている(図14参照)。こうして、押圧部4xによるコルゲート管201の撓みを制限することで、この切断工具3を回動するときの負荷を低減することができる。
【0044】
また、保護管2は、山部2cと谷部2dとが連続して並ぶコルゲート管201からなり、第1刃部5a(第1の刃体5)および第2刃部6a(第2の刃体6)は、コルゲート管201の山部2cを切断する。そして、第1の刃体5の第1刃部5a(軌跡L1)は、その第1刃部5aによる山部2cの切断の過程で、谷部2dにおけるコルゲート管201の内面2zよりも内側に突出しないように設けられる。そして、第2の刃体6の第2刃部6a(軌跡L2)は、その第2刃部6aによる山部2cの切断の過程で、谷部2dにおけるコルゲート管201の内面2zよりも内側に突出しないように設けられる(図17参照)。こうして、コルゲート管201の切断にあたって、第1刃部5a(軌跡L1)および第2刃部6a(軌跡L2)が、コルゲート管201の谷部2dでの内面2zよりも内側に突出しないことから、コルゲート管201の内部に配線・配管材1が挿入されている場合であっても、その配線・配管材1を、第1刃部5aとか第2刃部6aで傷付けることがない。なお、図示実施の形態においては、コルゲート管201の第2の周壁2bが押圧部4xに押されて内側に撓むことで、第2刃部6aの先端は、コルゲート管201の谷部2dでの内面2zから十分控えて位置する(図17参照)。そして、図示を省略するが、押圧部4xが設けられなかった場合には、第2刃部6aの先端が、コルゲート管201の谷部2dでの内面2zにほぼ到達するが、このように到達したり、あるいは僅かに控えて位置する場合であっても、押圧部4xを設けることで、余裕を持って、第2刃部6aを、コルゲート管201の内面2zよりも内側に突出しないようにすることができる。
【0045】
また、切断工具3は、貫通部4aにおける第2の刃体6を挟む一方の側に、コルゲート管201の谷部2dに入り込んでそのコルゲート管201の長手方向の移動を阻止する係止部としての第2係止部7eを有し、押圧部4xは、少なくとも前記一方の側に設けられる。このように、第2係止部7eを、第2の刃体6を挟む一方の側に設けた場合には、第1の刃体5(詳しくは、第1刃部5a)によるコルゲート管201の第1の周壁2aの切断と、第2の刃体6(詳しくは、第2刃部6a)によるコルゲート管201の第2の周壁2bの切断とにより、分断されたコルゲート管201における、第2係止部7eにより長手方向の移動が阻止された側のコルゲート管201の、断面略長円形状の幅広方向P2の側が、工具本体4の開口部4b側を向くように、切断工具3の回動位置を定めてから、切断工具3をコルゲート管201から後退させることで、コルゲート管201は、貫通部4aから開口部4bを通って外に出ることができる。ここで、押圧部4xが、少なくとも第2係止部7eがある一方の側に設けられているため、第2係止部7eによって長手方向の移動が阻止された側のコルゲート管201の、断面略長円形状の幅広方向P2の側が、工具本体4の開口部4b側を向くように、切断工具3を回動する過程で、押圧部4xがコルゲート管201の第2の周壁2bを押圧することができ、それによって、第2刃部6aの、コルゲート管201内への突出量を制限することができる。
【0046】
また、カバー体7の係合部7aは、コルゲート管201(保護管2)の第1の周壁2a、2aの両方の外側(図示実施の形態においては、第1の周壁2a、2aの両方および第2の周壁2b、2bの一方の外側)に嵌合してそのコルゲート管201を保持する保持部7bからなり、この保持部7bにより、切断工具3(詳しくは、工具本体4)の、コルゲート管201に対するがたつきを抑えることができる。このため、切断工具3を、正確にコルゲート管201の軸心に対して垂直な方向に回動させることができ、コルゲート管201の第2の周壁2bの切断を安定して行うことができる。
【0047】
また、工具本体4(詳しくは、本体部401)の開口部4bの口縁4yには、コルゲート管201の谷部2dに入り込んでそのコルゲート管201の長手方向の移動を阻止する第1係止部4cが設けられ、同様に、カバー体7には、コルゲート管201の谷部2dに入り込んでそのコルゲート管201の長手方向の移動を阻止する第2係止部7eが設けられている。したがって、これら第1係止部4cおよび第2係止部7eにより、コルゲート管201の長手方向に対する切断工具3の位置が定まり、第1の刃体5と第2の刃体6とで、コルゲート管201の同じ山部2cの部分を正確に切断することができる。
【0048】
また、第1の刃体5における、第1刃部5aの後ろ側の端部5xは、その板厚方向の角部が弧状に面取りされていることから、コルゲート管201(保護管2)を切断後、開口部4bから配線・配管材1および残ったコルゲート管201を引き出す際に、それらが第1刃部5aの後ろ側の端部5xに接触した際に傷付くのを防止し、また、残ったコルゲート管201の端部が引っ掛かったりして引き出し難くなるのを防止することができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、配線・配管材1としての配管材は、追焚き用とか床暖房用とかの配管材でなくとも、給水管とか給湯管とか、その他の配管材であってもよい。また、配管材は、管1a、1aにフィルム1bが巻き付けられて形成されているが、このフィルム1bは、無くともよい。また、配線・配管材1は、配管材の他に、通信用あるいは電力用の配線材であってもよい。
【0050】
また、切断工具3を用いてコルゲート管201(保護管2)を切断するにあたって、コルゲート管201内に配線・配管材1が挿入された状態でコルゲート管201を切断する場合のほか、コルゲート管201内に配線・配管1材が挿入されていない状態でコルゲート管201を切断しても構わない。
【0051】
また、押圧部4xは、工具本体4の厚み方向において、第2の刃体6を挟む両方の側に設けられるとともに、それら押圧部4x、4xは、第2の刃体6から異なる距離に位置しているが(図8参照)、このとき、それら押圧部4x、4xの、コルゲート管201(保護管2)を押す押込み量は、同じである必要はなく、第2の刃体6から遠い側にある押圧部4x(図8および図16において、下側の押圧部4x)が、近い側にある押圧部4x(図8および図16において、上側の押圧部4x)に比して、その押込み量が大となるように貫通部4aに突出してもよい。このように、第2の刃体6を挟む押圧部4x、4xが、第2の刃体6から異なる距離に位置する場合に、第2の刃体6から遠い側にある押圧部4xを、近い側にある押圧部4xに比して、その押込み量が大となるように突出させることで(例えば、コルゲート管201(保護管2)を押圧する押込み量を、第2の刃体6から押圧部4xまでの距離に比例させることで、)、コルゲート管201における第2の刃体6で切断する部分を、第2の刃体6を挟む両側において均等に撓ませて、コルゲート管201をその長手方向に対して垂直に切ることが可能となる。
【0052】
また、押圧部4xは、工具本体4の厚み方向において、第2の刃体6を挟む両方の側に設けられなくとも、第2の刃体6を挟む一方の側のみに設けられてもよい。このように、押圧部4xを第2の刃体6を挟む一方の側にのみ設けることで、両方の側に設ける場合に比して、コルゲート管201(保護管2)と押圧部4xとの摩擦抵抗を減らして、小さい力で切断工具3を回動することができる。また、押圧部4xを、工具本体4の厚み方向において、第2の刃体6を挟む両方の側に設けた場合であっても、それら押圧部4x、4xにつき、一方の押圧部4xに比して、他方の押圧部4xの突出の度合いを控えることにより、コルゲート管201(保護管2)と押圧部4x、4xとの摩擦抵抗を減らすことができる。そして、押圧部4xを第2の刃体6を挟む一方の側のみに設けた場合には、前述したように、その押圧部4xがある側である一方の側に、第2係止部7eを設けるのが好ましいが、同様の理由で、押圧部4xを第2の刃体6を挟む両方の側に設けて互いの突出の度合いを異ならせた場合には、その突出の度合いが相対的に大となる一方の押圧部4xのある側に、第2係止部7eを設けるのが好ましい。
【0053】
また、押圧部4xは、コルゲート管201(保護管2)の周壁における、第1の刃体5による切断と第2の刃体6による切断との互いの連絡位置Sでは、コルゲート管201を押さないように配置されているが(図14参照)、この連絡位置Sにおいても、第2の周壁2bをコルゲート管201の内側へ撓ませるようにコルゲート管201を押してもよい。
【0054】
また、押圧部4xは、その先端が直線となるように形成されなくとも、折れ曲がって形成されたり、弧状、曲線状等に形成されたりしてもよく、また、貫通部4aが、押圧部4x、4x間の方向を短軸とする楕円形状に形成されて、その楕円形状の一部が、押圧部4xの先端となってもよい。
【0055】
また、第2の周壁2bにおける、少なくとも頂部部分2xを切断するにあたって、その切断する少なくとも頂部部分2xをコルゲート管201(保護管2)の内側へ撓ませるように、押圧部4xでコルゲート管201(保護管2)を押すが、このことは、切断する部分が内側へ撓めばよいのであって、その撓んだ部分と、押圧部4xが押した部分とは、必ずしも一致する必要はない。すなわち、例えば、撓ませようとする部分の近辺とか両側を、押圧部4xで押しても構わない。
【0056】
また、工具本体4に押圧部4xを設けることで、第2刃部6aの、コルゲート管201(保護管2)内への突出量が制限され、これにより、第2刃部6aの先端が、谷部2dでのコルゲート管201の内面2zから控えて位置するが、これに限らず、第2刃部6aの突出量が制限されていれば、第2刃部6aは、コルゲート管201の内面2zから突出しても構わない。
【0057】
また、押圧部4xは、本体部401(工具本体4)と一体となって形成されなくとも、例えば、本体部401に組み付けられて一体化されるものであってもよい。
【0058】
また、切断工具3は、第1係止部4cと第2係止部7eとを備えているが、これら第1および第2係止部4c、7eの一方あるいは両方は、無くともよい。
【0059】
また、切断工具3は、カバー体7を備えているが、このカバー体7は、無くともよい。そして、カバー体7が無い場合には、第2係止部7eは、工具本体4に設けられてもよい。
【0060】
また、第1の刃体5は、一対設けられているが、片方だけであってもよい。この場合には、コルゲート管201(保護管2)を開口部4bから貫通部4aに入れる際に切断されるのは、コルゲート管201の第1の周壁2a、2aの一方のみであるが、コルゲート管201に対する切断工具3の向きを変えて出し入れしたり、切断工具3を上下反転して出し入れしたりすることで、第1の周壁2a、2aの両方を切断することができる。
【0061】
同様に、第2の刃体6は、一対設けられているが、片方だけであってもよい。もっとも、このように、第2の刃体6が片方だけの場合であっても、押圧部4xは、一対設けられるのが望ましい。
【0062】
また、保護管2は、コルゲート管201でなくとも、平滑管等その他の管であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
2 保護管
201 コルゲート管
2a 第1の周壁
2b 第2の周壁
2c 山部
2d 谷部
2x 頂部部分
2z 谷部におけるコルゲート管の内面
3 切断工具
4 工具本体
4a 貫通部
4b 開口部
4x 押圧部
5 第1の刃体
5a 第1刃部
6 第2の刃体
6a 第2刃部
7e 第2係止部(係止部)
P1 幅狭方向
P2 幅広方向
S 連絡位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20