(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置を用いた場合、包装体のサイズの変更に伴い、(本発明に係る実施形態における吸着ヘッド10に相当する)吸着ヘッドを交換する必要がある。すなわち、包装体のサイズ毎に吸着ヘッドを必要としたり、交換の作業が手間であったりする。
【0005】
そして、供給装置は、先端に吸着ヘッドを備えた多関節ロボットを用いることもできるが、多関節ロボットは、高価であり、ティーチングに時間がかかるという課題がある。
【0006】
このような問題は、ニラの包装体を供給する場合に限られず、その他の農作物、あるいは日用品や食品など各種物品を供給する場合に共通して存在し得る。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、吸着ヘッドを交換することなく異なる物品に兼用できる供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、物品を保持する保持手段と、前記保持手段を
前記物品の搬送方向に沿って水平平面内で往復移動させる第1移動手段と、前記保持手段を
上下方向に往復移動させる第2移動手段と、
を備え、前記カバー板が塞ぐ範囲は、前記保持手段が吸着する前記物品の重心の位置に応じて設定することを特徴とする、供給装置である。
【0009】
本発明によれば、カバー板の位置を変更することで、部品を交換することなく異なる物品に兼用できる。
【0013】
(2)本発明はまた、前記チャンバーは、前記吸着面に対向する位置に、該チャンバー内に負圧を発生させる負圧発生手段が接続される接続口を有し、前記カバー板は、少なくとも前記接続口に対向する位置の前記孔を塞ぐことを特徴とする、上記
(1)に記載の供給装置である。
【0014】
上記発明によれば、チャンバーにおいて、負圧発生手段が接続される接続口に対向する位置の孔が塞がれているので、吸着面に形成された多数の孔による吸着力にムラが生じることを防止できる。
【0015】
(3)前記物品の重心の変化に応じて前記保持手段で該物品を保持する位置を前記第1移動手段の移動方向と直交する方向に位置調整する調整機構と、を備えていることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の供給装置である。本発明によれば、調整機構によって保持手段で物品を保持する位置を調整することで、重心位置やサイズが異なる物品に対応できる。すなわち、保持手段などの部品を交換することなく異なる物品に兼用できる。
(4)本発明はまた、物品の重心の変化
は、比重、又は密度の少なくともいずれかに起因することを特徴とする、上記(1)〜
(3)のいずれかに記載の供給装置である。
(5)前記物品が長尺物の農作物であって、その重心の位置が根と葉の間で変化するものであり、
前記カバー板が塞ぐ範囲は、前記物品の長さ方向に調整することを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の供給装置である。
【0016】
(6)本発明はまた、前記第1移動手段、及び前記第2移動手段のうち、少なくとも一方の移動手段が位置決め制御可能な単軸ロボットであることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の供給装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記(1)〜(6)に記載の供給装置によれば、吸着ヘッドを交換することなく異なる物品に兼用できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る供給装置1について詳細に説明する。
【0020】
まず、
図1及び
図2を用いて、供給装置1の構成について説明する。
図1は、供給装置1の側面図である。
図2(A)及び
図2(B)は、供給装置1の正面図である。
図2(A)は、包装体XA1の長さが相対的に長いL1の場合を示す。
図2(B)は、包装体XA1の長さが相対的に短いL2の場合を示す。
図3(A)は、供給装置1の平面図である。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0021】
図1、
図2(A)、
図2(B)及び
図3(A)に示される供給装置1は、ニラを箱詰めするラインで使用される。このラインでは、ニラが100g程度の束にされてから、フィルムで個包装されて包装体XA1にされる。そして、包装体XA1は、集積装置2で集積されてから、供給装置1の吸着ヘッド10にまとめて吸着される。
【0022】
集積装置2は、ダブルループ構成であり、仕切り板2aの間隔を変更可能に構成されている。なお、集積装置2のダブルループ構成の詳細は、例えば、特開2013−091496号公報に示されるバケットコンベアを参照されたい。
【0023】
吸着ヘッド10に吸着された複数の包装体XA1は、吸着ヘッド10の移動により、段ボール箱ZA1の中に移載されて箱詰めされる。なお、本実施形態おいて、集積装置2が、バケット2bを有するバケットコンベアである場合を例に説明するが、集積装置はこれに限定されるものではない。
【0024】
例えば、ニラは600mm程度の長さを有し、包装体XA1は650mm程度の長さを有する。包装体XA1は5個ずつ集積されて、段ボール箱ZA1に箱詰めされる。なお、本発明において、吸着ヘッド10に移載されて箱詰めされる対象は、ニラの包装体XA1に限定されず、その他の農作物、あるいは、日用品などの各種物品であってもよい。そして、本発明において、吸着ヘッドに吸着される物品は、複数まとめて(集合品)に限定されず、単品でも良い。
【0025】
供給装置1は、搬送方向(
図1における左から右の方向、
図2における奥から手前の方向)、及び上下方向に移動可能な吸着ヘッド10を備えた"2軸"ロボット供給装置であり、吸着ヘッド10は、包装体XA1の重心位置の変更に伴い搬送方向の直角方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)に位置調整が可能である。
【0026】
具体的に、供給装置1は、所定数(本実施形態では、5個)の包装体XA1をまとめて吸着する吸着ヘッド10と、この吸着ヘッド10の前後に取り付けられ包装体XA1を中心に寄せ集める一対のアーム11と、これら一対のアーム11を駆動する一対のシリンダー12と、吸着ヘッド10を包装体XA1の搬送方向(
図1における左から右の方向、
図2における奥から手前の方向)に沿って往復移動させる第1移動手段30と、この第1移動手段30とは異なる方向として、上下方向に往復移動させる第2移動手段35と、包装体XA1の重心の変化に応じて吸着ヘッド10で当該包装体XA1を保持する位置を第1移動手段30の移動方向と直交する方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)に位置調整する調整機構13と、吸着ヘッド10に負圧を生じさせて包装体XA1を吸着させるための吸着ブロワー(負圧発生手段)(図示省略)と、吸着ヘッド10に圧縮空気を送り込み包装体XA1の吸着を解除するためのエアポンプ(図示省略)と、制御ユニット(図示省略)と、などを備えている。
【0027】
供給装置1の各部は、所々に設けられた複数のセンサによる包装体XA1の検出結果に基づき、制御ユニットによって統括的に制御される。すなわち、供給装置1の各部は、制御ユニットの制御下において動作して、その動作状況が制御ユニットによって管理される。
【0028】
制御ユニットは、CPU、RAM及びROMなどから構成され、各種制御を実行するCPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0029】
第1移動手段30は、位置決め制御可能な単軸ロボットからなる。具体的に、第1移動手段30は、包装体XA1の搬送方向(
図1における左から右の方向、
図2における奥から手前の方向)に沿って配置された第1レール31と、この第1レール31に沿って往復移動する第1スライダー32と、などを備えている。第1スライダー32には、第2移動手段35が固定され、当該第2移動手段35などを介して吸着ヘッド10が取り付けられている。このような第1移動手段30は、第1スライダー32を第1レール31に沿って往復移動させることで、吸着ヘッド10を包装体XA1の搬送方向に沿って往復移動させる。
【0030】
第2移動手段35は、位置決め制御可能な単軸ロボットからなる。具体的に、第2移動手段35は、上下方向に沿うように第1スライダー32に固定された第2レール36と、この第2レール36に沿って往復移動する第2スライダー37と、などを備えている。第2スライダー37には、調整機構13が固定され、当該調整機構13などを介して吸着ヘッド10が取り付けられている。このような第2移動手段35は、第2スライダー37を第2レール36に沿って往復移動させることで、吸着ヘッド10を上下方向に沿って往復移動させる。
【0031】
なお、第1移動手段30を構成する単軸ロボット、及び第2移動手段35を構成する単軸ロボットとしては、電動アクチュエータ、リニアアクチュエータを用いることができる。
【0032】
調整機構13は、吸着ヘッド10が吸着する包装体XA1の重心の変化に応じて、当該吸着ヘッド10を第1移動手段30の搬送方向の直角方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)に位置調整する。包装体XA1の重心の変化は、当該包装体XA1の調整機構13の調整方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)の長さ、又は比重、又は密度の少なくともいずれかに起因する。なお、
図2(A)は、包装体XA1の長さがL1の場合を、
図2(B)は、包装体XA1の長さがL2の場合を、それぞれ例示している。
【0033】
具体的に、調整機構13は、メインプレート14と、スライダー15と、サイドプレート16と、を備えている。メインプレート14は、サイドプレート16を介して、第2スライダー37に固定されている。このメインプレート14は、包装体XA1の搬送方向の直角方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)に沿った上下一対のレール17を備えている。上下一対のレール17の間には、スライダー15がスライド可能に取り付けられている。スライダー15は、上下一対のレール17に沿って、包装体XA1の搬送方向の直角方向にスライドする。このスライダー15には、棒材18を介して吸着ヘッド10が固定されている。これにより、吸着ヘッド10は、包装体XA1の搬送方向の直角方向にスライド可能となっている。
【0034】
このような調整機構13によれば、包装体XA1の重心位置の変更に応じて、吸着ヘッド10を移動させて包装体XA1の吸着位置を変更することができる。なお、複数の物品からなる集合品を吸着ヘッド10で保持する場合における物品の重心位置は、集合品全体に対する重心位置となる。
【0035】
メインプレート14には、レール17に沿って一対の長孔14aが形成されている。スライダー15には、一対の長孔14aに一対一で対応するように一対の丸孔15aが形成されている。そして、スライダー15は、丸孔15a及びメインプレート14の長孔14aに通されたピン19で締め付けることで、メインプレート14に固定される。すなわち、スライダー15は、供給装置1の動作時(包装体XA1の搬送時)に固定されている。そして、スライダー15は、供給ヘッド10を位置調整する時に、ピン19を緩めたり外したりすることで、包装体XA1の搬送方向の直角方向(
図1における奥から手前の方向、
図2における左右方向)にスライド可能となる。
【0036】
次に、
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bを用いて、吸着ヘッド10の構成について説明する。
図4Aは、第1実施例に係る吸着ヘッド10の正面図である。
図4Bは、第2実施例に係る吸着ヘッド10の正面図である。
図5Aは、第1実施例に係る吸着ヘッド10の底面図である。
図5Bは、第2実施例に係る吸着ヘッド10の底面図である。
【0037】
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bに示されるように、吸着ヘッド10は、チャンバー20と、カバー板21と、などを備えている。チャンバー20は、多数の孔22aが形成された吸着面22を下方に有する。このチャンバー20には、管TU1を介して吸着ブロワー(図示省略)が接続される接続口23aが形成されている。このチャンバー20は、吸着ブロワー(図示省略)の動作によって内部が負圧になる。
【0038】
カバー板21は、吸着面22の裏側に固定され、当該吸着面22に形成された多数の孔22aの一部を塞ぐ。カバー板21が塞ぐ範囲は、吸着ヘッド10が吸着する包装体XA1の長さや重心の位置に応じて、適宜設定される。このカバー板21は、接続口23aに対向する位置の孔22aを塞ぐことが好ましい。
【0039】
このようなカバー板21の取付位置を変更させて吸着面22における吸引面積を変更することで、吸着ヘッド10における吸引力を吸着場所によって変更することができる。例えば、吸着する物品がニラ等の長尺物の農作物の場合には、成長の具合によって重心位置は、長尺物の根と葉の間において変化する。このような場合であっても、吸着ヘッド10の位置、又は吸着ヘッド10のカバー板21の取付位置、又はカバー板21のサイズ、又は前記事項の2つを変更することで、対応することができる。
【0040】
次に、
図1を用いて、供給装置1による箱詰めの動作を説明する。
【0041】
まず、吸着ヘッド10は、集積装置2のバケット2b上にある複数の包装体XA1の上方に位置する。すなわち、吸着ヘッド10は、集積装置2の吸着位置の上方に位置する。そして、第2移動手段35により、吸着ヘッド10を下降させて、集積装置2のバケット2b上にある複数の包装体XA1を一対のアーム11で前後から押えて複数の包装体XA1からなる物品群をコンパクトにして、当該吸着ヘッド10で吸着保持する。
【0042】
その後、第2移動手段35によって、少なくとも集積装置2のバケット2bに干渉しない高さまで吸着ヘッド10を上昇させる。そして、第1移動手段30によって、吸着ヘッド10を段ボール箱ZA1の開口部の上方まで移動させる。また、第2移動手段35によって、吸着ヘッド10を所定高さまで下降させてから、当該吸着ヘッド10による吸着保持、及び一対のアーム11による押さえを解除して、1段目の複数の包装体XA1の段ボール箱ZA1への供給を完了する。
【0043】
上記の逆の手順をたどり吸着ヘッド10を集積装置2の吸着位置の上方まで戻す。その後、上記と同様の手順をたどり、2段目以降の複数の包装体XA1の段ボール箱ZA1への供給を順次完了させる。ただし、段ボール箱ZA1への供給の際、第2移動手段35による吸着ヘッド10の高さ方向の位置を、包装体XA1の厚み分ずつ順次高くなるようにすることによって、包装体XA1を積み重ねて箱詰めすることを可能としている。
【0044】
このように、吸着装置1によれば、調整機構13によって吸着ヘッド10を位置調整することで、重心位置やサイズが異なる包装体XA1に対応できる。すなわち、吸着ヘッド10などの部品を交換することなく異なる包装体XA1に兼用できる。
【0045】
そして、カバー板21の位置を変更することで、部品を交換することなく異なる包装体XA1に兼用できる。
【0046】
また、吸着ブロワー(図示省略)が接続される接続口23aに対向する位置の孔22aが塞がれているので、吸着面22に形成された多数の孔22aによる吸着力にムラが生じることを防止できる。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態及び各変形例において、可能な範囲で他の変形例の構成を適用してもよい。
【0048】
すなわち、上記実施形態において、各構成の位置、大きさ、長さ、形状、材質、向きなどは適宜変更できる。
【0049】
あるいは、上記実施形態において、負圧になるチャンバー20を備えた吸着ヘッド10を例に説明したが、本発明の保持手段はこれに限定されず、包装体XA1をアームで挟持する把持手段であってもよい。
【0050】
あるいは、上記実施形態において、吸着ヘッド10が集積装置2の搬送方向に移動する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、集積装置2の搬送方向と直角方向に移動するものや、集積装置2の搬送方向に対して所定角度傾斜して移動するものでも良い。この場合、第1移動手段30は、包装体XA1の供給する方向に沿って配置する。すなわち、
図3(B)及び
図3(C)に示す場合、図示は省略するが、第1移動手段30は、図中に示す矢印の方向に沿って配置することになる。
【0051】
あるいは、上記実施形態において、第2移動手段35の移動距離を一定にしても良い。具体的には、
図6を用いて説明する。
図6は、第2移動手段35による吸着ヘッド10の移動距離を一定にした変形例に係る供給装置1の側面図である。
【0052】
図6に示されるように、吸着ヘッド10の上下方向の移動距離を一定にして、水平方向の第1移動手段30の移動距離を逐次変更させて物品XA2を横並びにして段ボール箱ZA2に供給することができる。
【0053】
あるいは、上記実施形態では、各移動手段30,35として単軸ロボットを採用した場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、移動手段30,35の移動距離を一定とした場合には、当該移動手段30,35にエアシリンダーを用いても良い。この場合、エアシリンダーのロッドの先端に吸着ヘッド10、又は当該吸着ヘッド10を備えた移動手段を配置する。
【0054】
あるいは、上記実施形態では、吸着ヘッド10を第1移動手段30によって水平方向に移動、かつ第2移動手段35によって上下方向に移動させる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、
図7及び
図8に示される場合のように、吸着ヘッド10を、第1移動手段によって上下方向に移動、かつ第2移動手段によって水平方向に移動させても良い。
【0055】
なお、
図7(A)は、相対的に小さい物品XA3を段ボール箱ZA3に箱詰めする場合を示す平面図である。
図7(B)は、相対的に小さい物品XA3を段ボール箱ZA3に箱詰めする場合を示す側面図である。
図8(A)は、相対的に大きい物品XA4を段ボール箱ZA4に箱詰めする場合を示す平面図である。
図8(B)は、相対的に大きい物品XA4を段ボール箱ZA4に箱詰めする場合を示す側面図である。
【0056】
あるいは、上記実施形態において、供給装置1を備えた箱詰め装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、ピロー包装機、深絞り包装機などでも良い。