(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態につき、添付図面を参考にして説明する。
【0017】
図1、
図2に示すマスク本体1は、着用者の鼻や口を覆うことが可能な形状と大きさを有する覆い部2と、覆い部2の左右両側に設けられ、着用者の耳に掛けられる耳掛け部3と、覆い部2の左右両端側に設けられた漏れ防止部4とから構成される。
【0018】
図3(a)に示すように、覆い部2は、プリーツ状に折り畳まれている。即ち、中央面部2aを中心に両側に第一段面部2b、2bと、第二段面部2c、2cが形成されるように折り畳まれている。
【0019】
また、
図3(b)に示すように、覆い部2は、ここでは表面層2x、中間層2y、裏面層2z(着用者側)の三層構造で構成される。各層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂の不織布で構成されており、各層の目的に応じてスパンボンド、メルトブロー等の各種製法の不織布が使用される。なお、中間層2yには、抗菌性不織布が用いられる。
【0020】
各層の目付は、本実施形態においては、表面層2xが30g/m
2、中間層2yが20g/m
2、裏面層2zが20g/m
2で構成される。尚、目付はJIS L1096:織物及び編物の生地試験方法により算出した。各層の目付けは20g/m
2〜40g/m
2の範囲であることが好ましい。目付けが20g/m
2より低いと、剛性が得られず、40g/m
2より高いと、硬くなるため、良好な肌触りが得られない。
【0021】
また、
図1に示すように、覆い部2は、その周囲が溶着されることによって、三層の不織布の各層(2x、2y、2z)が固定される。即ち、覆い部2の左右両側縁は、側部溶着部2d、2dで溶着される。
【0022】
また、覆い部2の上側縁および下側縁は、上下2条の溶着により、上部溶着部2e、下部溶着部2fが形成される。
【0023】
上述したように、プリーツ状の覆い部2の左右両側縁を側部溶着部2dで溶着することで、着用者がマスク本体1を着用する際、覆い部2を上下に拡開すると、プリーツが伸長してマスク本体1が前方に膨らみ、着用者の口元空間を確保できるように立体化することができる。
【0024】
また、上下2条の上部溶着部2e、2eの間には、可撓性プラスチック等で構成された帯状の形状保持部材5が挿入保持されており、形状保持部材5の端部付近を点溶着することで位置規制溶着部6が形成される。位置規制溶着部6によって、左右方向の動きが規制される。
【0025】
また、本実施形態においては、
図3(a)に示すように、覆い部2の上側縁を折り返して、その空間に形状保持部材5を挿入している。
【0026】
図2に示すように、覆い部2の両端部側には、コ字状の点溶着部7によって、漏れ防止部4が設けられる。
【0027】
漏れ防止部4は、本実施形態においては、一枚の帯状の不織布で構成される。漏れ防止部4は、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂の不織布で構成され、スパンボンド、メルトブロー等の各種製法が用いられる。
【0028】
また、目付は、30〜40g/m
2が好ましい。目付けが30g/m
2より低いと、剛性が得られないため、漏れ防止部4が立ち上がらず、40g/m
2より高いと、硬くなるため、肌触りが悪くなる。
【0029】
漏れ防止部4を構成する帯状の不織布の大きさは、覆い部2の上端から下端に至る長さと、左右両端間の3分の1以下の幅を有する。漏れ防止部4は、不織布の幅方向の中間付近(折り返し部4c)で折り返され、点溶着部7で固定される。
【0030】
即ち、漏れ防止部4は、覆い部2の両端部側から覆い部2の中央に向かって延在する第一の面4aと、第一の面4aの覆い部2の中央側端部で折り返され、覆い部2の中央から覆い部2の端部側に向かって延在する第二の面4bで構成される。
【0031】
漏れ防止部4の上端および下端は、それぞれ第一の面4a、第二の面4bが重なった状態で上端溶着部7b、下端溶着部7cによって覆い部2に溶着、固定される。
【0032】
また、漏れ防止部4の側端は、第一の面4aのみが縦溶着部7aによって覆い部2に溶着、固定される。この時、漏れ防止部4は、第一の面4aの短手方向の長さが、第二の面4bの短手方向の長さより短くなるように設定される。
【0033】
これにより、漏れ防止部4を折り返した状態で覆い部2上に設置した後、縦溶着部7a、上端溶着部7b、下端溶着部7cを一度の工程で覆い部2に溶着し、固定することができる。
【0034】
また、この時、弾性部材の紐等で構成された耳掛け部3の先端部3aを溶着し、覆い部2に耳掛け部3を溶着、固定することができる。
【0035】
縦溶着部7aは、側部溶着部2d上又は、側部溶着部2dより覆い部2の端部側に設けることが好ましい。これにより、覆い部2を構成する不織布等の繊維に比べて柔軟性に欠ける溶着部位が側部溶着部2dより覆い部2の中央側に設けられることを防ぐことができるため、口元付近の柔軟性の有る部分の面積を広く備えることができる。また、覆い部2の端部の補強を図ることができる。
【0036】
次に、本発明の実施形態の着用時について説明する。
【0037】
着用時において、覆い部2を上下に拡開すると、プリーツが伸長してマスク本体1が前方に湾曲し、着用者の呼吸用空間を確保できるように立体化することができる。この時、
図4の各図に示すように、漏れ防止部4が着用者側に起立し密着する。
【0038】
図4(a)に示すように、覆い部2の両端が撓み応力により前方に円弧状に変形すると、第二の面4bが立ち上がって、優先的に着用者の頬に接する。これにより、溶着によって柔軟性に欠ける覆い部両端が着用者に接することが無く、着用者に不快感を与えない。
【0039】
また、
図4(b)に示すように、覆い部2の両端が撓み応力により前方に円弧状に変形すると、第一の面4aと第二の面4bが袋状に立ち上がる。これにより、マスク本体1と着用者の頬との間の隙間を無くすことができ、密着性を高めることができる。
【0040】
また、
図4(c)に示すように、第二の面4bが頬と面接触するため、密着性が高まり、更に着用者に不快感を与えることがない。
【0041】
また、漏れ防止部4を折り返して第一の面4a、第二の面4bを設けたことにより、漏れ防止部4に剛性が生まれ、袋状に立ち上がった際の形状が保持される。また、第二の面4bの覆い部2の端部側は覆い部2に固着されておらず、マスク本体1を立体化する際に手で摘んでマスク本体1の形状を整える際に用いることができる。
【0042】
更に、着用時においても第二の面4bを左右方向に引っ張ることで調節ができ、確実に密着性を高めることができる。
【0043】
次に、本発明の実施形態の製造工程について説明する。
【0044】
図5は上述のマスクの製造方法を段階的に説明する説明図である。
図5(a)に示すように、単一素材の各不織布を積層してプリーツ状に折り畳み、その周囲を溶着して矩形状の覆い部2を成形した。
【0045】
次に、
図5(b)に示すように、単一素材の不織布を用いた漏れ防止部4を覆い部2の両端に備え、折り返し部4cでそれぞれ折り返す構成とする。
【0046】
次に、
図5(c)に示すように、第一の面4aの短手方向の長さが第二の面4bの短手方向の長さより短くなるように漏れ防止部4を形成し、耳掛け部3の先端部3aを第一の面4a上に形成する。
【0047】
次に、
図5(d)に示すように、漏れ防止部4と耳掛け部3を点溶着部7で溶着し、覆い部2に固定する。