特許第6362923号(P6362923)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6362923-建物解体用集塵装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362923
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】建物解体用集塵装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20180712BHJP
   B01D 45/02 20060101ALI20180712BHJP
   B01D 50/00 20060101ALI20180712BHJP
   B01D 47/06 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   E04G23/08 Z
   B01D45/02
   B01D50/00 501F
   B01D50/00 501L
   B01D50/00 501Z
   B01D47/06 Z
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-104840(P2014-104840)
(22)【出願日】2014年5月21日
(65)【公開番号】特開2015-218544(P2015-218544A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】龍神 弘明
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 忠
【審査官】 坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−203054(JP,A)
【文献】 特開平10−008742(JP,A)
【文献】 特開平08−028026(JP,A)
【文献】 特開2009−097202(JP,A)
【文献】 特開2000−336939(JP,A)
【文献】 特開2002−349079(JP,A)
【文献】 特開2013−194429(JP,A)
【文献】 特開2013−079507(JP,A)
【文献】 特開平11−343746(JP,A)
【文献】 実開昭59−054161(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0186778(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/00−23/08
B01D 45/02
B01D 47/06
B01D 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解体建物の上方の作業空間に対し上方から覆う天井部と、
その天井部の周囲下面に一体化され、前記作業空間を周囲から覆う周壁部と
前記周壁部を内外二重のダブルスキン構造にして、その内外二重のダブルスキン構造部の内部に形成され、前記作業空間で発生する粉塵が集められる集塵空間と、
前記集塵空間の底部に前記集められた粉塵を吸着する吸着材と、
前記集塵空間に噴霧して前記粉塵を落下させる噴霧器と、
を備えることを特徴とする建物解体用集塵装置。
【請求項2】
前記作業空間に開口して粉塵を吸引し、その吸引された粉塵を前記集塵空間に開口して排出する集塵吸引配管を備えることを特徴とする請求項1に記載の建物解体用集塵装置。
【請求項3】
前記集塵空間の前記吸着材の上方にグレーチング床を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の建物解体用集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物解体用の集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高層建物の解体の際、周辺への騒音・粉塵の低減や落下防止などのために、解体空間を閉鎖した解体工法が採用される場合があるが、その際、閉鎖された作業空間内で発生する浮遊粉塵に対しては対策を施すことはほとんどない。
閉鎖型解体工法の一つとして、例えば特許文献1に、建物の外側に設置される外郭体と、その内方に配置される内郭体と、その内方に配置されるシート状部材及び負圧除塵装置とを備える解体用装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−203054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、閉鎖型解体工法では、内部の作業空間に開口が少ない場合、作業空間に粉塵が浮遊し、粉塵による作業環境の悪化が考えられる。
【0005】
本発明の課題は、閉鎖型の建物解体時において、発生する粉塵を集めてから纏めて容易に廃棄できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
解体建物の上方の作業空間に対し上方から覆う天井部と、
その天井部の周囲下面に一体化され、前記作業空間を周囲から覆う周壁部と
前記周壁部を内外二重のダブルスキン構造にして、その内外二重のダブルスキン構造部の内部に形成され、前記作業空間で発生する粉塵が集められる集塵空間と、
前記集塵空間の底部に前記集められた粉塵を吸着する吸着材と、
前記集塵空間に噴霧して前記粉塵を落下させる噴霧器と、
を備える建物解体用集塵装置を特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、
請求項1に記載の建物解体用集塵装置であって、
前記作業空間に開口して粉塵を吸引し、その吸引された粉塵を前記集塵空間に開口して排出する集塵吸引配管を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、
請求項1または2に記載の建物解体用集塵装置であって、
前記集塵空間の前記吸着材の上方にグレーチング床を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、閉鎖型の建物解体時において、作業空間で発生する粉塵を集塵空間に集めてから吸着材に吸着して纏めて容易に廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明を適用した建物解体用集塵装置の一実施形態の概略構成を示す縦断面図である。
図2図1の内外二重構造部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(実施形態)
図1は本発明を適用した建物解体用集塵装置の一実施形態の概略構成を示すもので、1は解体建物、2は作業空間、3は天井部、4は周壁部、5は集塵空間、6は集塵吸引配管である。
【0013】
図示のように、解体建物1の上方の解体作業用の作業空間2を覆う、鉄骨を組み上げてパネルで覆われた天井部3及び周壁部4を備え、その周壁部4を鉄骨及びパネルによる内外二重のダブルスキン構造にして、そのダブルスキン構造部内に集塵空間5が形成されている。
【0014】
また、天井部3の下に沿って集塵吸引配管6を設けている。
この集塵吸引配管6は、矢印で示すように、作業空間2に複数個所で開口して、解体により空中を浮遊しているコンクリートや内装材等の粉塵を吸引し、その吸引された粉塵を周壁部4のダブルスキン構造部内の集塵空間5に開口して排出する。
具体的には、閉鎖された作業空間2の気流を制御する装置、あるいは自然換気(局所的に設けた開口の高低差)により、ダブルスキン構造部内の集塵空間5に粉塵を集める。
【0015】
図2は内外二重構造部を拡大したもので、7は噴霧器、8は吸着材、9はグレーチング床、dは粉塵である。
【0016】
図示のように、ダブルスキン構造部内の集塵空間5において、天井下に複数の噴霧器7を設置する一方、底部の全面に吸着材8を設置して、その吸着材8の上方の全面にグレーチング床9を設置する。
【0017】
噴霧器7は、ミストあるいは固化材を噴霧する。
吸着材8は、粉塵dを吸着する機能を具備して、例えば図示しない仕切板の設置により仕切られたブロック状のもので、粉塵dの吸着後はブロック単位で取り出せるものとなっている。
グレーチング床9は、その格子状隙間を通して粉塵dを下方の吸着材8に落下させる。
【0018】
このように、ダブルスキン構造による集塵空間5において、噴霧器7によりミストあるいは固化材を噴霧し、そのミストあるいは固化材が付着した粉塵dを下降させて吸着材8に吸着し、その吸着した粉塵dを吸着材8に一体化して固める。
【0019】
以上において、解体建物1上の作業空間2を覆う天井部3及び周壁部4は、建物解体の進展に応じて解体建物1に沿って降下し、その際、解体作業用の作業空間2から図示しない扉を開いて作業員が集塵空間5に入ってグレーチング床9の上に載った状態で外部足場としても機能する。
【0020】
以上、実施形態の建物解体用集塵装置によれば、解体建物1上の作業空間2を覆う天井部3及び周壁部4を備え、その周壁部4を内外二重のダブルスキン構造にして、そのダブルスキン構造部内に、作業空間2で発生して空中を浮遊する粉塵dが集められる集塵空間5を形成し、その集塵空間2の底部に集められた粉塵dを吸着する吸着材8を設けている。
従って、閉鎖型の建物解体時において、作業空間2で発生して空中に浮遊する粉塵dを天井部3から周壁部4の集塵空間5に集めて底部の吸着材8に吸着し、その吸着した粉塵dを吸着材8に一体固化した状態にして、纏めて容易に廃棄することができる。
【0021】
すなわち、具体的には、作業空間2の天井下に開口して備える集塵吸引配管6によって、空中を浮遊する粉塵dを吸引し、その吸引された粉塵dを集塵空間5に開口して排出し、その集塵空間5の天井下に備える複数の噴霧器7によりミストあるいは固化材を噴霧して粉塵dを落下させることで、そのミストあるいは固化材が付着した粉塵dを底部の吸着材8に吸着して、その吸着した粉塵dを吸着材8に一体固化した状態にすることができる。
【0022】
そして、その粉塵dが一体固化した状態の吸着材8ごと纏めて廃棄することができる。特に、仕切板の設置により仕切られたブロック状の吸着材8としておくことで、粉塵dの吸着固化後はブロック単位で吸着材8ごと取り出して、次々に纏めて容易に廃棄することができる。
【0023】
また、解体建物1上の作業空間2を覆い、建物解体の進展に応じて解体建物1に沿って降下する天井部3及び周壁部4を、その周壁部4のダブルスキン構造部内の集塵空間5底部の吸着材8の上方に備えるグレーチング床9の上に作業員が載った状態で、外部昇降足場としても用いることができる。
【0024】
(変形例)
以上の実施形態の他、具体的な細部構造等について適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0025】
1 解体建物
2 作業空間
3 天井部
4 周壁部
5 集塵空間
6 集塵吸引配管
7 噴霧器
8 吸着材
9 グレーチング床
d 粉塵
図1
図2