(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用者の操作によって飲料を提供する飲料サーバーと、内部に飲料を収容し、前記飲料サーバーの上に据え付けられて前記飲料サーバーに飲料を供給する飲料容器とを接続する、飲料サーバー用飲料容器の接続構造体であって、
前記飲料容器の下部から飲料を流通させる供給流路と、
前記供給流路に連通する空気室が内部に形成された空気室ハウジングと、
前記空気室ハウジングの下部に設けられ、前記飲料サーバーに設けられている受け部材と嵌合するコネクターと、
を備え、
前記飲料サーバーに前記飲料容器を接続する前の状態において、前記空気室には空気溜まりが存在しており、
前記空気室の内径が前記供給流路の内径よりも大きく、前記コネクターを介して前記飲料容器が前記飲料サーバーに接続された使用状態において、前記飲料サーバーによる飲料の提供中または提供停止中にかかわらず、前記空気室から前記コネクターを経由して前記飲料サーバーへ流出する飲料の流速が、前記供給流路から前記空気室に飲料が流出する流速と同じまたはそれ以上であることにより、前記空気室内に空気溜まりが存在し続けることを特徴とする飲料サーバー用飲料容器の接続構造体。
前記供給流路の少なくとも一部は、弾性変形可能な弾性チューブにより構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の飲料サーバー用飲料容器の接続構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、飲料水中に水中浮遊菌などの菌が発生することを防止するため、飲料サーバーは、例えば夜間に飲料サーバー内に滞留している飲料を加熱することにより、殺菌処理を行っている。しかし、仮に飲料サーバー内の飲料に菌が発生して、その飲料が飲料容器内の飲料と接触することで、飲料容器内の飲料にまで菌が混入した場合、飲料サーバーで殺菌処理を行っても、飲料容器内の飲料を殺菌することはできない。
【0007】
このため、飲料容器の飲料と飲料サーバーの飲料を遮断する必要があるが、フロート弁を用いる上記特許文献1,2の飲料サーバーには下記の問題がある。
【0008】
特許文献1の飲料サーバーの場合、飲料容器に飲料水があるときはフロート弁が浮上し管路が開放されているため、飲料サーバーの飲料が飲料容器の飲料と接触するおそれがある。
【0009】
特許文献2の飲料サーバーの場合、フロート弁が上昇して飲料容器の水出口部を閉鎖することで、飲料容器の飲料水は飲料サーバーの飲料水から一応遮断される。しかしながら、フロート弁は浮力によるものであるため、飲料容器の水出口部を十分に封止できないおそれがある。
【0010】
また、フロート弁に付着した飲料サーバーの飲料水が飲料容器の水出口部に付着するため、飲料サーバーの飲料に菌が発生した場合、飲料容器の飲料がその菌により汚染される可能性が高い。
【0011】
本発明は、上記の技術的認識に基づいてなされたものであり、その目的は、飲料サーバー内で菌が発生しても、その菌が飲料容器内に混入することを防止可能な飲料サーバー用飲料容器の接続構造体、および接続構造体付き飲料容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る飲料サーバー用飲料容器の接続構造体は、
使用者の操作によって飲料を提供する飲料サーバーと、内部に飲料を収容し、前記飲料サーバーの上に据え付けられて前記飲料サーバーに飲料を供給する飲料容器とを接続する、飲料サーバー用飲料容器の接続構造体であって、
前記飲料容器の下部から飲料を流通させる供給流路と、
前記供給流路の内径よりも大きい内径を有し且つ前記供給流路に連通する空気室が内部に形成された空気室ハウジングと、
前記空気室ハウジングの下部に設けられ、前記飲料サーバーに設けられている受け部材と嵌合するコネクターと、
を備え、
前記供給流路および前記空気室ハウジングの形状は、前記コネクターを介して前記飲料容器が前記飲料サーバーに接続された使用状態において、前記飲料サーバーによる飲料の提供中または提供停止中にかかわらず前記空気室内に空気溜まりを形成するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記飲料サーバー用飲料容器の接続構造体において、
前記飲料サーバーから供給される飲料の
流量が1〜2リットル/分である場合、前記供給流路の内径は5mm〜12mmであり、前記空気室ハウジングの内径は25mm〜40mmであるようにしてもよい。
【0014】
また、前記飲料サーバー用飲料容器の接続構造体において、
前記供給流路の少なくとも一部は、弾性変形可能な弾性チューブにより構成されているようにしてもよい。
【0015】
また、前記飲料サーバー用飲料容器の接続構造体において、
前記コネクターは、
前記飲料容器から供給された飲料が流通する第1の流路が内部に設けられた係合部材と、
前記係合部材に基端部を支持された付勢部材と、
前記付勢部材の先端部に接続された弁体と、
前記飲料が流通する第2の流路が内部に設けられ、前記弁体を密封可能に着座させる弁座部が内周面に設けられた筒状部材と、
を有し、
前記係合部材は、前記弁体および前記付勢部材が前記筒状部材に挿入され且つ前記弁体が前記付勢部材により前記弁座部に向けて付勢されるように、前記筒状部材に固着されているようにしてもよい。
【0016】
また、前記飲料サーバー用飲料容器の接続構造体において、
前記コネクターの前記弁体の下端には突起部が設けられ、
前記飲料サーバーの前記受け部材には、当接部が設けられ、
前記コネクターを前記受け部材に嵌合させると、前記突起部が前記当接部に当接することにより、前記突起部は前記付勢部材の付勢力に抗って押し上げられ、前記弁体は前記筒状部材の弁座部から離間するようにしてもよい。
【0017】
本発明に係る接続構造体付き飲料容器は、
本発明に係る接続構造体と、
前記供給流路を介して前記接続構造体に接続された飲料容器と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、供給流路および空気室ハウジングの形状は、飲料サーバーによる飲料の提供中または提供停止中にかかわらず、空気室内に空気溜まりを形成するように構成されている。この空気溜まりによって、飲料の提供停止中は、飲料容器の飲料は飲料サーバーの飲料から隔てられる。また、飲料の提供中は、飲料容器の飲料が供給流路から飲料サーバーに向かって空気溜まりを経由して流れる状態であるため、飲料サーバーの飲料が飲料容器へ逆流することはない。
【0019】
よって、本発明によれば、飲料サーバー内で菌が発生しても、その菌が飲料容器内に混入することを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0022】
まず、本発明の実施形態に係る飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1(以下、単に「接続構造体1」ともいう。)、飲料容器10および飲料サーバー20の構成について、
図1および
図2を参照して説明する。
【0023】
図1(a)は、飲料サーバー20に装着される前の状態における接続構造体1、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図を示す。なお、コネクター4の一部(付勢部材6,弁体7)については側面図である(
図3〜
図6も同様)。なお、
図1(a)において、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図は、各々の、接続構造体1との接続部近傍の部分に係る一部断面図である。
図1(b)は、
図1(a)のB方向から見た受け部材22の平面図を示す。
図2は、空気室ハウジング3およびコネクター4の拡大断面図である。
【0024】
飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1は、飲料容器10と飲料サーバー20とを接続するためのものである。まず、飲料容器10と飲料サーバー20について説明し、その後、飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1について説明する。
【0025】
飲料容器10は、
図1(a)に示すように、内部に飲料(水、ジュースなど)15を収容する。飲料容器10は、飲料サーバー20の上に据え付けられて飲料サーバー20に飲料を供給する。
【0026】
この飲料容器10は、
図1(a)に示すように、本体部13と、本体部13の下部に設けられたスパウト部11と、キャップ部12とを有する。
【0027】
飲料容器10の本体部13は、フィルムからなる軟性の一重または二重以上の袋(「バッグ」とも呼ばれる)であり、スパウト部11が取り付けられる部分が開口している。なお、本体部13は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の樹脂またはガラス等からなる容器であってもよい。
【0028】
飲料容器10は、接続構造体1の供給流路(後述)を介して接続構造体1に接続される。
【0029】
なお、飲料容器10は、飲料15が供給され内容物が少なくなるにつれて容易に変形し、飲料容器10内が負圧になることがないように構成されていることが好ましい。これにより、飲料容器10の内容物の減少に伴って、飲料の供給が妨げられることや、飲料が逆流することを防止できる。
【0030】
例えば、飲料容器10は、フィルムからなる袋状の飲料容器を段ボール箱に内装したバッグインボックスとすることが好ましい。これにより、上記の効果に加えて、飲料用サーバー20に据え付ける際の取り扱い性も向上させることができる。
【0031】
スパウト部11は、本体部13の開口に取り付けられた筒状の部材である。キャップ部12は、スパウト部11に打栓により容易に外れないように取り付けられている。
【0032】
図1(a)に示すように、キャップ部12には、接続部12aが設けられている。この接続部12aは筒状の突起として形成されており、接続部12aが弾性チューブ2に嵌挿されることにより、飲料容器10は弾性チューブ2に接続される。
【0033】
飲料サーバー20は、使用者の操作によって飲料を提供する。例えば、使用者は飲料サーバー20のレバー等の飲料注出手段(図示せず)を操作することにより、飲料サーバー20から所望の量の飲料をコップ等の容器に注出する。
【0034】
飲料サーバー20は、
図1に示すように、本体部21と、受け部材22と、受け部材22に接続された飲料注出路23とを有する。受け部材22および飲料注出路23はいずれも本体部21内に設けられた管状の部材であり、飲料容器10から供給された飲料を内部に流通させる。
【0035】
受け部材22には、
図1(a)および
図1(b)に示すように、当接部22aが設けられている。この当接部22aは、詳細は後述するが、飲料容器10から供給された飲料15が通過可能なように、コネクター4の逆止弁を開くためのものである。
【0036】
次に、飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1について説明する。
【0037】
接続構造体1は、供給流路と、空気室ハウジング3と、コネクター4とを備えており、
図1(a)に示すように、供給流路は弾性チューブ2を含んでいる。 弾性チューブ2は、弾性変形可能なチューブである。これにより、飲料容器10を飲料サーバー20に接続する際、接続構造体1の空気室ハウジング3を手に持ってコネクター4を飲料サーバー20の受け部材22に装着すればよい。このため、重い飲料容器10を担いで位置を微調整しながら飲料サーバー20に接続する必要がなくなり、飲料容器10を飲料サーバー20に接続することが容易となる。
【0038】
空気室ハウジング3は、
図1(a)に示すように、例えば、円筒状の部材(例えば樹脂製)により構成される。
【0039】
空気室ハウジング3の上部には、接続部3aが設けられている。この接続部3aは筒状の突起として形成されており、接続部3aが弾性チューブ2に嵌挿されることにより、空気室ハウジング3は弾性チューブ2に接続される。
【0040】
本実施形態においては、キャップ部12の接続部12aと、弾性チューブ2と、空気室ハウジング3の接続部3aとが供給流路を構成する。供給流路は、飲料容器10の下部から延出して飲料容器10内の飲料15を流通させる。
【0041】
図1(a)に示すように、空気室ハウジング3の内部には、空気室Aが形成されている。この空気室Aは、供給流路の内径、特に供給流路の流出口の内径(即ち、接続部3aの内径)よりも大きい内径を有し、且つ供給流路に連通している。なお、接続構造体1が飲料サーバー20に装着される前の状態において、空気室Aには空気が存在している。
【0042】
また、空気室ハウジング3は、
図1(a)に示すように、段部3bを有し、この段部3bにおいて、空気室ハウジング3の内径が急峻に変化している。即ち、空気室ハウジング3の内径は、段部3bにおいて、接続部3aの内径から空気室Aの内径に急峻に変化している。
【0043】
コネクター4は、
図1(a)および
図2に示すように、空気室ハウジング3の下部に設けられている。
【0044】
図2に示すように、本実施形態のコネクター4は、逆止弁として構成されており、係合部材5と、付勢部材6と、弁体7と、筒状部材8とを有する。なお、係合部材5、付勢部材6および弁体7は、樹脂成形等より一体成形されたものであってもよいし、あるいは、個々に成形されたものを結合したものであってもよい。
【0045】
係合部材5は、飲料容器10から供給された飲料15が流通する流路B1が内部に設けられている。
【0046】
付勢部材6は、係合部材5に基端部6aを支持された部材である。この付勢部材6は、
図2に示すように、例えば、コイルスプリングで構成される。その他、付勢部材6の形状は特に限定されず、1本以上の柱状ないし板状の弾性部材で構成されてもよいし、あるいは、複数のコイルスプリングが二重らせん状に組み合わされたものとして構成されてもよい。なお、付勢部材6は、飲料15による腐食を防止する観点から、樹脂からなることが好ましい。
【0047】
弁体7は、付勢部材6の先端部6bに接続されている。この弁体7は、コネクター4が飲料サーバー20に接続しておらず閉状態のとき、筒状部材8の弁座部8aに密閉可能に着座している。また、弁体7は、
図2に示すように、下端に突起部7aが設けられている。なお、弁体7の形状は、
図2に示すコマ型の形状に限らず、筒状部材8の弁座部8aに密封(シール)可能に着座する形状であればよい。
【0048】
筒状部材8は、飲料15が流通する流路B2が内部に設けられている。この筒状部材8の下部の内周面には、弁体7を密封可能に着座させる弁座部8aが設けられている。
【0049】
また、筒状部材8は、
図2に示すように、上部から半径方向外側に延出する外縁部8bを有する。この外縁部8bは、筒状部材8と空気室ハウジング3との間を閉塞するとともに、空気室ハウジング3の下端と係合する。
【0050】
係合部材5は、弁体7と付勢部材6が筒状部材8に挿入され且つ弁体7が付勢部材6により弁座部8aに向けて付勢されるように、筒状部材8に固着されている。この係合部材5は、例えば、係合部材5の外周面に設けられた凸部(図示せず)と、筒状部材8の内周面に設けられた凹部(図示せず)とが嵌合することにより、筒状部材8に嵌着される。
【0051】
次に、上記の接続構造体1を飲料サーバー20に装着した場合について、
図3を参照して説明する。
図3は、飲料サーバー20に装着された状態における接続構造体1、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図を示している。
【0052】
図3に示すように、コネクター4を飲料サーバー20の受け部材22に装着することで、飲料容器10は飲料サーバー20に接続される。より詳しくは、飲料サーバー20の受け部材22が筒状部材8に形成された凹部Cに入り込むことで、コネクター4の筒状部材8と、飲料サーバー20の受け部材22とが嵌合し、コネクター4は飲料サーバー20に固定される。
【0053】
また、コネクター4を飲料サーバー20の受け部材22に嵌合させると、
図3に示すように、弁体7の突起部7aが当接部22aに当接する。これにより、突起部7aは付勢部材6の付勢力に抗って押し上げられ、弁体7は筒状部材8の弁座部8aから離間する。飲料容器10から供給される飲料15が弁体7と筒状部材8の間を通ることが可能な状態となる。
【0054】
そして、飲料容器10から供給された飲料15は、供給流路から流出し、弁体7と筒状部材8の間を通って、飲料サーバー20の受け部材22および飲料注出路23を充填する。
【0055】
次に、飲料サーバー20から飲料を提供している状態について、
図4を参照して説明する。
図4は、飲料提供中の状態における接続構造体1、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図を示している。なお、
図4中の飲料25は、飲料サーバー20側の飲料を示している。
【0056】
使用者がレバー等の飲料注出手段を操作することにより飲料サーバー20から飲料が注出されると、
図4に示すように、飲料サーバー20から注出された分量に相当する飲料15が供給流路から空気室ハウジング3の空気室Aに流出する。
【0057】
図4に示すように、供給流路から流出する飲料15は、空気室A内にある程度溜まるものの、空気室Aを全て充填することなく、飲料注出路23へ流出する。これは、飲料15が供給流路から空気室Aに流出する流速(以下、「流速X」という。)に比べ、空気室Aからコネクター4を経由して飲料サーバー20へ流出する流速(以下、「流速Y」という。)が流速Xと同じ速度、またはそれ以上であるためである。
【0058】
ここで、流速X、Yは、飲料サーバー20の飲料注出手段の開栓の程度に依存するが、飲料注出手段の開栓を全開にした際に(即ち、飲料の供給量を最大にした時に)流速X、Yは最大となる。この流速X、Yの最大値は、空気室Aの内径と供給流路の内径とによって決定される。また、流速Yの最大値が流速Xの最大値以上であれば、任意の開栓状態(供給量)において流速Yは流速X以上となる。
【0059】
よって、空気室Aの内径と供給流路の内径を適切に決定する(例えば、供給流路の内径に対する空気室Aの内径の比を所定値以上とする。)ことで、流速Yが常に流速X以上となるようにすることが可能となる。
【0060】
上記のように流速Yが常に流速X以上であるため、供給流路から流出する飲料15が空気室Aを全て充填することはなく、空気室A内には空気溜まり(空気層)Dが存在する。
【0061】
飲料を提供している間は、飲料15が供給流路から飲料サーバー20に向かって空気溜まりDを経由して流れる状態であるため、飲料サーバー20の飲料25が飲料容器10へ逆流することはない。よって、飲料サーバー20内で菌が発生しても、その菌が飲料提供中に飲料容器10内に混入することを防止できる。
【0062】
次に、飲料サーバー20から飲料を提供していない状態について、
図5を参照して説明する。
図5は、飲料提供停止中の状態における接続構造体1、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図を示している。
【0063】
使用者がレバー等の飲料注出手段を元の位置に戻して飲料の注出を止めると、飲料容器10の飲料15は供給流路から流出しなくなる。
図5に示すように、この状態においても空気溜まりDが存在する。このため、飲料を提供していない間、飲料容器10の飲料15は、空気溜まりDによって飲料サーバー20の飲料25から隔てられる。
【0064】
上記のように、飲料の提供中または提供停止中にかかわらず、空気室ハウジング3の空気室A内には空気溜まりDが形成される。飲料の提供停止中は、飲料容器10の飲料15は、空気溜まりDによって、飲料サーバー20の飲料25から隔てられる。飲料の提供中は、空気溜まりDが存在するために、飲料15は常に空気溜まりDを経由して飲料サーバー20へ向かう方向に流れることとなる。したがって、飲料サーバー20の飲料25が飲料容器10へ逆流することはない。つまり、飲料サーバー20の飲料25が飲料容器10内の飲料15に接することはない。
【0065】
よって、本実施形態によれば、飲料サーバー20内で菌が発生し、その菌が飲料25に浮遊していたとしても、菌が飲料容器10内に混入することはない。
【0066】
次に、空気溜まりDが形成される条件について説明する。
【0067】
空気溜まりDが形成されるためには、空気室A内の空気が供給流路を通って飲料容器10側に移動しないことが必要である。そのため、空気室Aの内径は供給流路の内径に比べてある程度大きくなければならない。さらに、飲料サーバー20からの飲料の供給速度(飲料25の流速)も考慮する必要がある。即ち、飲料25の流速が大きいほど、空気室A内の圧力が高まるため、空気室Aの空気が飲料容器10側に逃げやすくなる。よって、例えば、飲料サーバー20の最大供給速度を把握した上で空気室Aの内径を決める。
【0068】
例えば、飲料サーバー20から供給される飲料の
流量が1〜2リットル/分である場合、供給流路の内径(接続部3aの内径)は5mm〜12mmであり、空気室ハウジング3の内径は25mm〜40mmであることが好ましい。これにより、飲料サーバー20による飲料の提供中または提供停止中にかかわらず、空気室A内には空気溜まりDが形成される。なお、これらの数値範囲は任意に狭めることで一部を除いてもよく(また、当該範囲中の一点を除いてもよく)、除いた後の範囲においても除く前と同様の作用効果を奏するものである。
【0069】
飲料容器10内の飲料15が無くなると、使用者により飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1は飲料サーバー20から取り外される。
図6は、飲料サーバー20から取り外した状態における接続構造体1、飲料容器10および飲料サーバー20の断面図を示している。
【0070】
図6に示すように、コネクター4が飲料サーバー20(受け部材22)から引き抜かれると、弁体7は受け部材22の当接部22aと当接しなくなるため、付勢部材6の付勢力により筒状部材8の弁座部8aに密封可能に着座する。これにより、空気室Aや筒状部材8内に残った残水26がコネクター4から流出することが防止される。
【0071】
このように、本実施形態によれば、接続構造体1を飲料サーバー20から取り外すとコネクター4の弁が自動的に閉じるため、コネクター4内の残水26が外部に飛び散ったり、飲料サーバー20に滴り落ちたりすることを防止できる。その結果、残水26が飲料サーバー20の受け部材22の周辺に付着して菌発生の原因となること等が防止される。
【0072】
以上説明したように、本実施形態において、供給流路および空気室ハウジング3の形状は、コネクター4を介して飲料容器10が飲料サーバー20に接続された使用状態において、飲料サーバー20による飲料の提供中または提供停止中にかかわらず空気室A内に空気溜まりDを形成するように構成されている。空気溜まりDによって飲料容器10の飲料15は飲料サーバー20の飲料から隔てられるため、飲料サーバー20内で菌が発生しても、その菌が飲料容器10内に混入することを防止できる。
【0073】
ここでいう「供給流路および空気室ハウジング3の形状」は、供給流路の内径(特に供給流路の流出口の径)および空気室ハウジング3の空気室Aの内径を含むほか、供給流路の流路の形状(例えば弾性チューブ2の形状)、空気室Aの形状(例えば段部3bを有する円筒形状)も含む。
【0074】
なお、上記の実施形態では、コネクター4は逆止弁として構成されていたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、コネクター4は、空気室ハウジング3の下端の開口部を封止するシール部材(例えばアルミニウム箔を含む積層体)であってもよい。この場合、コネクター4を飲料サーバー20に装着するとき、受け部材22の先鋭化された上端がシール部材を突き破ることで、コネクター4は受け部材22と嵌合することになる。
【0075】
また、上記の実施形態では、空気室ハウジング3は弾性チューブ2を介して飲料容器10に接続されていたが、本発明はこれに限るものではなく、弾性チューブを用いない別の実施形態も想定可能である。例えば、空気室ハウジング3は飲料容器10に直接接続されてもよい。この場合、キャップ部12の接続部12aと空気室ハウジング3の接続部3aとが直接連通して供給流路を構成する。なお、キャップ部12と空気室ハウジング3は、1つの部材として一体的に形成されてもよい。
【0076】
あるいは、空気室ハウジング3内に供給流路を設けてもよい。
図7は、別の実施形態に係る飲料サーバー用飲料容器の接続構造体1Aの断面図を示している。
図7に示すように、空気室ハウジング3がスパウト部11内に挿入され、さらに、空気室ハウジング3を固定するように筒状部材8がスパウト部11に嵌着されている。
【0077】
空気室ハウジング3には、
図7に示すように、上面から内部の空気室Aに向かって突出するように円筒部3cが設けられている。この円筒部3cが供給流路であり、円筒部3cの内径は空気室Aの内径よりも小さい。円筒部3cは空気室Aに連通しており、飲料容器10の飲料は円筒部3c、空気室A、コネクター4の内部を通って飲料サーバー20に流出する。
【0078】
本発明において、供給流路は、円筒部3cのように空気室ハウジング3内に形成することも可能である。また、供給流路は、空気室A内に突出した円筒形状でなく、空気室ハウジング3の上面に設けられた貫通孔(供給孔)により構成されてもよい。なお、円筒部3cまたは上記の供給孔は複数個設けてもよい。
【0079】
なお、弁体7には、
図7に示すような流通孔7bを設けてもよい。この流通孔7bは飲料の流量を一定量確保するためのものである。弁体7が押し上げられた状態では、流路の幅が狭くなり、流量が少なくなってしまう可能性があるが、弁体7にこの流通孔7bを設けることで、弁の開度にかかわらず所定の流量を確保することができる。
【0080】
また、通常、飲料容器10と接続構造体1は互いに接続された接続構造体付き飲料容器として運搬される。そのため、運搬時に、弁体7がなんらかの物体に接触することで弁体7の突起部が押されてしまい、飲料15が流出することがないよう、コネクター4を保護するキャップ等を接続構造体1に設けてもよい。
【0081】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。