(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バリア膜の屈折率と、OLEDのアウトカップリング面の屈折率との差が、前記OLEDのアウトカップリング面の前記屈折率の約10%以内であるか、又はバリア膜の屈折率と、マイクロレンズアレイの屈折率との差が、前記マイクロレンズアレイの前記屈折率の約10%以内である請求項2に記載のデバイス。
マイクロレンズアレイ及びバリア膜の合計露出高さと、前記マイクロレンズアレイのみの高さとの差が10%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載のデバイス。
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機発光層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するためのますます興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2及び特許文献3において記述されている。
【0005】
リン光性発光分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和(saturated)」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色発光分子の一例は、下記の構造:
【化1】
を有する、Ir(ppy)
3と表示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を排除しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子発光体であってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーはすべて小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、且つ/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が発光材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を含む。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキサイプレックス上に局在し得る。熱緩和等の無輻射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0031】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する発光分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0032】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する発光材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0033】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、発光層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及びバリア層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する複合カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0034】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5、844、363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAにF
4−TCNQをドープしたものである。発光材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenにLiをドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する複合カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0035】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、発光層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0036】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を含むものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を発光層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を含んでいてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に含んでいてよい。
【0037】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0038】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸着、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許第7,431,968号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸着を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0039】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、他のバリア層を更に含んでいてよい。バリア層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。バリア層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。バリア層は、単層又は多層を含んでいてよい。バリア層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せをバリア層に使用してよい。バリア層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましいバリア層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を含む。「混合物」とみなされるためには、バリア層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0040】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、3−Dディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されているが、この温度範囲外、例えば、摂氏−40度〜+80度で用いることもできる。
【0041】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0042】
ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールの用語は当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれるUS7,279,704の31〜32段において定義されている。
【0043】
マイクロレンズアレイ(MLAs)は、しばしば、OLEDデバイスから導波光を取り出すための有効な手段である。通常、MLAは、透明プラスチック膜上に形成されるが、その透明プラスチック膜は、許容範囲内の、又は高性能なバリア特性を有さない場合がある。本開示は、MLA、OLED、又はそれら両方の光学的性能、特に光取り出し性能を全体として低下させないバリア被膜を有するMLAsを組み込んだOLEDsに使用される構造を提供する。より具体的には、本明細書に開示される実施形態は、基板と、基板上に配置されるマイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイを形状適合的に被覆するバリア膜とを備える光学部品を提供する。
【0044】
バリア層が適用されうるその他の面及び層とは対照的に、MLAは、通常、その特性を膜によって変更することができないのであるが、それは、変更によりMLAの光取り出し性能が低下しやすいからである。従来の多層バリア膜では、通常、無機ポリマー及び有機ポリマーの被膜が交互に使用される。ポリマー層は、通常は液体である前駆体材料を重合することによって形成される。液体の前駆体は、平滑でない面に置かれると、高い頂部には留まらず、低い谷部に流れやすい。このような材料は、「流動性」材料と呼ばれる。不均一な面に流動性材料が成膜されたとき、気泡や不均一な濡れによっても問題が生じうる。したがって、流動性材料を使用した多層薄膜バリアは、流動性材料がレンズ機構の谷部に蓄積し、
図3に示すように表面プロファイルがずっと平滑になってしまうので、MLA面に対するバリアを提供するにはふさわしくないかもしれない。被膜厚さがレンズの高さとコンパラブルであるとき、たとえば、レンズ高さの90%以上であるとき、レンズ形状が事実上損なわれ、膜の光学的性能が著しく低下しうる。
【0045】
本発明の実施形態では、非流動性バリア材料を使用してMLA構造を形状適合的に被覆する。このようなバリア処理の例が、米国特許第7,968,146号に記載されており、その開示内容の全体を、参照により組み込むものとする。
本明細書に開示するバリア膜の適切な材料としては、シリコーンポリマー等のポリマー材料、酸化ケイ素等の各種非ポリマー材料、及び米国特許第7,968,146号に開示されるその他の任意の適切な材料が挙げられる。このようなバリア膜は、たとえば、単一チャンバーCVDシステムで成膜してよく、成膜処理の全体を通して、シロキサン等の一貫した前駆体を使用してよい。バリアは、混合的特性を有しており、部分的に酸化物状であり、部分的にポリマー状である。両者は、分子レベルで緊密に混合されており、膜は、多層膜ではなく混合(ハイブリッド)膜となる。
【0046】
図4は、デバイスの実施形態に係る一例の光学部品を示す。部品は、基板400、マイクロレンズアレイ(MLA)410、及びMLA上に形状適合的に配置された薄膜バリア420を備える。バリア膜の外形が、MLA、バリア膜の下に配置されるその他の任意の層若しくは構造、又はそれら両方の外形に実質的に又は正確に一致する場合、バリア膜420はMLA上に、本明細書で使用されるところの「形状適合的」に、配置されている。たとえば、
図3の膜310を
図4のバリア膜420に比較すると、膜310の面外形は、下層のMLAの隣接レンズ構造間の領域が膜310によって「ならされる(smoothing out)」ために、MLAの面外形と実質的に異なっていることがわかる。対照的に、
図4のバリア膜420は、下層のMLA層410と実質的に同じ面外形を有する。層が別の層をどの程度形状適合的に被覆しているかを判断する一つの方法は、層のみの相対高さを比較することであり、これは、バリア膜又は同様の層の場合は、下層の相対高さを、バリア膜の最低露出点から最高露出点までで測定した下層及びバリア膜の合計高さと比較することと同じである。
【0047】
310のような非形状適合的な層の場合、最低露出面から最高露出面までを測定した層の高さ301は、下層のMLAのみ、つまり膜310がMLA上に配置される前の膜310がない状態の高さ302よりかなり小さい。対照的に、基板に関して最低露出面から最高露出面までを測定したバリア膜の高さ401は、基板から測定したMLAの最大高さ402と実質的に同じである。MLA上に配置されるバリア膜の高さ401は、MLAの高さ402の少なくとも90%、又はMLAの高さ402との差が10%以下であることが好ましい。
【0048】
バリア膜は、たとえば、
図4に示すようにMLA上に配置されている部分等の、MLAの部分のみを被覆してよく、又は光学部品の追加的な部分を被覆してもよい。たとえば、
図5は、バリア膜520が、MLAだけでなく、少なくともMLAの一つの面及び少なくとも基板400の一つの面を被覆する光学部品の例を示す。同じく、
図6に示すように、バリア膜620は、上方にMLAが配置される基板の最近接面とは反対の基板面等の、基板の追加的な部分を被覆してよい。
図5及び
図6に示すような構成は、バリア膜がレンズ面に成膜されるのと同時にバリア膜の各部が成膜されうるので、効率的に製作されうる。光学部品の様々な部分がバリア膜によって被覆される各種の構成は、たとえば、光学部品のその他の部分に保護を与える目的、光学部品が組み込まれるデバイスのその他の部分に保護を与え、若しくは当該その他の部分からの保護を与える目的、又はそれら両方に有用である。
図6に示すような構成では、バリアの囲いの内部の、たとえば、バリア膜とMLAとの間に乾燥剤を含めて、湿気及び酸素からの更なる保護を設けてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、光学部品は、OLED等の追加的な部品を含んでよい。OLEDは、基板に直に隣接するように配置してよく、バリア膜によって被覆してよく、若しくはその両方であってよく、又はバリア膜の外に配置して、少なくともバリア膜の一部が、OLEDと基板との間、OLEDと光学部品の1つ以上のその他の層もしくは部品との間、又はその両方に配置されるようにしてよい。
図7は、バリア膜720が、基板400とOLED710との間に配置されるデバイスの例を示す。より一般的には、OLEDは、基板の上面又は下面、つまり、基板のMLA層と同一側又は反対側に、それぞれ結合してよい。光取り出し層等の追加的な層が、バリア膜720とOLED710との間に存在してよい。
【0050】
被覆層は、バリア特性に加えて、特にバリア膜の屈折率がMLAの屈折率以下であるとき、界面での反射を低減させる更なる利点を提供することができる。より一般的には、本発明の実施形態では、MLAのアウトカップリング性能を低下させないバリア膜を使用してよい。この利点の記載及びモデルを以下により詳細に提示する。バリア膜の屈折率と、OLEDのアウトカップリング面、MLA、又はそれら両方の屈折率との差が、それらいずれかの屈折率の約10%以内であることが好ましい。
【0051】
多様な基板及び基板材料を使用してよい。たとえば、全体的若しくは部分的に透明、可撓性、又はそれらの両方であってよいプラスチック基板を使用してよい。適切なプラスチック基板材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。基板は、基板面の方向において少なくとも1.6の屈折率を有するのもであってよいが、その他の材料を使用してもよい。
【0052】
本明細書に開示される光学部品を使用して、OLEDデバイスから光を取り出すことができる。光を取り出すには、バリア被覆MLAをOLEDデバイスに光学的に結合してよい。たとえば、
図7に示し、
図7を参照して記載したように、OLEDをバリア被覆MLA基板に物理的に接するよう配置してよい。バリアは、OLEDを成膜する前又は後に、MLAに塗工してよい。たとえば、OLEDは、MLA基板のMLA面とは反対側に構築してよい。また、薄膜バリア層を、OLEDの上面に塗工し、その後にMLA面側に塗工してもよく、又は両方の側に同時にバリア膜を塗工してもよい。
図7では、
図6に示す一般的な構造を使用しているが、
図4及び
図5に示すもの等の構造も使用してよい。
【0053】
別の例として、透明な接着材料を使用してOLEDをバリア被覆MLAと結合してよい。上述したように、OLEDをその他の基板材料上に構築してよく、接着剤を使用して基板をMLA膜に結合してよい。
【0054】
具体的に例示した以外の追加的なバリアを、たとえば、OLEDをバリア被覆MLAの反対側から保護するべく塗工してよい。更に、
図7に示すもの等のバリア被覆MLAに結合されたOLEDデバイスを、更に1以上のバリア被覆された平坦化膜によって包囲して更なる保護としてよい。そのようなデバイスの例が
図8に示されており、平坦化膜810がバリア膜820上に配置されている。
【0055】
本明細書で使用するところの「マイクロレンズアレイ」は、種々の形状および構成のマイクロレンズを有するアレイを含む。アレイの各レンズは球状であってよく、つまりレンズ面が定曲率を有する。たとえば、そのようなマイクロレンズアレイは、平坦な基板面上に隆起した半球を有するアレイを含む。又は、アレイの中のマイクロレンズは、非球面とすることができる。非球面レンズの面は、基板平面に垂直な軸を中心として径方向に対称であるが、変動曲率を有する。マイクロレンズは、基板上に、ランダムに、又は繰り返しパターン状に配置することができる。アレイの中のマイクロレンズは、均一の大きさであってよく、2以上の異なる大きさであってよく、又はランダムに異なる大きさであってよい。切子面状マイクロレンズアレイ(faceted microlens array)は、平坦な切子面(facets)によって境界が規定された構造を含む。切子面は、基板平面内で1つの軸に沿って繰り返されてよい。また、切子面は、2つ以上の軸に沿って繰り返されて、錐体、錐台等の多面体構造を形成してよい。渦巻きマイクロレンズ(convoluted microlens)は、軸対称性のない曲面特性物を含む。渦巻きマイクロレンズのアレイは、1つ以上の軸に関して周期的な表面トポグラフィ、つまり、波形又はディンプル状の「よろい格子(egg−crate)」面を有する。不規則型と呼ばれる別の種類のマイクロレンズは、任意形状のトポグラフィ特性物を基板上に有する。そのような特性物は、凹面、凸面、切子面、又はこれらを任意に組み合わせたものを有する。表面拡散体は、ランダムな配置、ランダムな大きさ、またはこれらの両方である不規則なマイクロレンズのアレイを有する。そのようなアレイの例が、http://www.luminitco.com/files/u1/Luminit_CapBroch_F3_9_12_lo.pdf.から入手可能なルミニット社(カリフォルニア州トーランス)の冊子「Capabilities」の第4頁に示されている。各レンズの大きさは、通常、OLEDデバイスの全体よりも小さく、取り出される光の波長と同等、又はそれより大きい。
【0056】
一般的に、本明細書に開示される光学部品は、マイクロレンズアレイを取得し、本明細書に開示されるバリア膜材料をマイクロレンズアレイ上に成膜して、該アレイに形状適合的に接するようにバリア膜を形成することによって作製される。
図1及び
図2を参照して開示したように、その他の層をバリア膜の前後に配置してよい。
【0058】
上述したバリア特性に加えて、バリア膜層は、特にMLA構造が、被覆材料よりも高い屈折率を有する場合に、界面での反射を低減させることによる更なる利点を提供してよい。
【0059】
n
1とn
2との間の界面における法線入射光の反射損失R
12は、R
12=(n
1−n
2)
2/(n
1+n
2)
2に等しい。
n
1=1.7且つn
2=1.0(空気)の場合、損失は6.7%である。
【0060】
屈折率がn
3(n
1>n
3>n
2)の第3の材料を使用した場合、反射損失は、R
132=(n
1−n
3)
2/(n
1+n
3)
2+(n
3−n
2)
2/(n
3+n
2)
2と推定することができる。
上記式では、第1の界面での損失は小さいと仮定されている。本明細書に開示される実験に係るバリア膜の屈折率は約1.46である。このようなバリアを屈折率が1.7のMLA上で被覆材料として使用すると、反射損失は4.1%に低減される。
【0061】
上記の理論によると、基板よりも屈折率が高い被膜は、反射による損失を著しく増加させる。このモデルは、法線入射の反射損失という単純なケースのみを考慮している。
【0062】
光取り出しの影響を含む重要な要因の全てを説明するべく、更なるモデリングを行った。その結果、マイクロレンズアレイ上に低屈折率の被膜を配置することにより、マイクロレンズアレイが基板から光をアウトカップリングする効率が低下しうることが示唆された。1μmの形状適合的被膜が、マイクロレンズのアレイと、それらの間の平坦領域とを被覆する場合を考慮した。アウトカップリングは、被膜の屈折率n
c=1の場合、及びn
c=n
sub(n
subは、基板及びマイクロレンズの屈折率)の場合に最適であった。n
c=1の場合は、被膜は存在しない。被膜の存在により、n
c=n
subの場合に、マイクロレンズが僅かに拡大されることが分かったが、他の光学的効果はなかった。アウトカップリングは、n
c=1の場合とn
c=n
subの場合との中間辺りで極小に達することが分かった。アウトカップリング効率は、n
c>n
subの場合、急速に低下することが分かった。
【0063】
これらの結果は、モデル化される部品の配置、屈折率、及び反射率のみを考慮した光線追跡モデルを使用して得られた。薄膜干渉等の波長依存的効果はなかった。
図9(a)に示すアウトカップリングは、OLEDによって基板に導入された光のうち空気中にアウトカップリングされた部分として表されており、対応する構造が
図9(b)に示されている。マイクロレンズの六角形状アレイが、単位表面領域を表す長方形状セルを使用してモデル化されている。各セルは、OLED層から、屈折率整合したマイクロレンズを有する基板の上部にまで延伸する。垂直方向壁面は、完全鏡映対称境界条件である。セルの上部には少容量の空気(n=1)が存在しており、広角度で屈折した光を対称境界条件で遇することができるようになっている。光は、基板の底部にランバート分布で入射する。デバイス層は、入射光に対して80%反射ミラーとして機能する。薄膜形状適合被膜が、マイクロレンズ及び基板を包囲している。n
cは、n
subの2つの異なる値に対して、1から2の間で変更される。n
sub=1.5は、ソーダ石灰ガラス及び大半の一般的なプラスチックに対応する。n
sub=1.7は、基板の屈折率がOLED層に整合された場合を取り扱う。
【0064】
一例の光学部品を本明細書に開示された通りに作製した。ハイブリッドバリアをマイクロレンズアレイ膜上に成膜し、SEM写真を撮像して被覆率を調べた。この実験では、カプトンテープを使用してMLA面の一部を被覆し、被覆されていない領域と被覆された領域との対照比較を可能にした。
図10は、サンプルを斜めから見たSEM像を示す。サンプルの右半分をバリアで被覆し、左半分をテープで被覆してMLA面にバリアが成膜されないようにした。被膜処理を行った後、テープを除去すると、
図10に示すように、サンプルの中心に跡が残った。各レンズの直径は、約50μmである。画像の右側から示されるように、MLAは、平滑なバリア層で均一に被覆され、レンズ形状は十分に保たれている。エネルギー分散X線分光(EDS)分析を行って、材料の組成を調べた。その結果、左側は、主にマイクロレンズのプラスチックの炭素からなり(
図11)、右側にはバリア膜の主組成元素であるSiが優勢に存在する(
図12)ことが示された。EDSデータは、レンズの右半分がバリア材料によって被覆されていることを示す。
【0065】
カプトンテープを使用し、MLAの面が平坦ではないので、被覆領域と非被覆領域との境界がくっきりしていない。
図13は、MLA面上の被膜が明確に観察される一区画を示す。被膜の厚さは、581nmと測定された。
【0066】
本明細書に記載された各実施形態は、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することは意図されていないことは理解されよう。たとえば、本明細書に記載した材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく、その他の材料及び構造に置き換えてよい。従って、特許請求される本発明は、当業者には明らかであろうように、本明細書に記載した特定の例及び好適な実施形態からの変更を含む。本発明の各機能理論は、限定を意図したものでないことは理解されよう。