特許第6362937号(P6362937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362937
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】阻止棒
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/04 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   E01F13/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-136438(P2014-136438)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2016-14257(P2016-14257A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】508201868
【氏名又は名称】東邦ガスリビング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510231352
【氏名又は名称】株式会社156物産
(74)【代理人】
【識別番号】100137327
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 勝義
(72)【発明者】
【氏名】松井 常芳
(72)【発明者】
【氏名】石田 豊治
【審査官】 石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−056624(JP,A)
【文献】 特開平10−159803(JP,A)
【文献】 特開2011−052523(JP,A)
【文献】 特開平10−175551(JP,A)
【文献】 特開2010−048052(JP,A)
【文献】 特開2001−106077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両又は人の通行を規制する阻止機に取り付けられる阻止棒において、
前記阻止棒は、長尺袋体と、該長尺袋体に挿着固定可能な支持部材と、を備え、
前記長尺袋体は、外層シートと内層シートとの間に気体を圧縮充填した筒状に形成されており、
前記長尺袋体は、円周方向に分割された複数の分割長尺袋体からなり、
前記複数の分割長尺袋体は連通されて気体が出入り可能とされ、1箇所の気体注入口から複数の分割長尺袋体に気体を供給可能としていることを特徴とする阻止棒。
【請求項2】
前記外層シートは硬質材で形成され、前記内層シートは軟質材で形成されている請求項に記載の阻止棒。
【請求項3】
前記内層シートは、軟質の合成樹脂で形成されている請求項に記載の阻止棒。
【請求項4】
前記軟質の合成樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂のうちのいずれか又はこれらの組み合わせである請求項に記載の阻止棒。
【請求項5】
前記外層シートは、合成繊維からなるシートの一面側に前記軟質の合成樹脂をラミネート加工して形成され、他面側を外部側として用いる請求項3又は4に記載の阻止棒。
【請求項6】
前記合成繊維は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維のいずれか又はこれらの組み合わせである請求項に記載の阻止棒。
【請求項7】
前記阻止棒は、軟質の外装用シートで更に被覆されている請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の阻止棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両又は人の通行を規制する阻止棒に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路の料金所における通行においては自動料金収受システム(以下「ETCシステム」という。)では、収受員に対する料金の支払いをすることなく車両が通行できるため、料金所における車両の渋滞が緩和されている。
このシステムは、料金所に進入した車両に登載した機器と料金所のアンテナで交信し、車両の通行を許可するときは、常時水平となっている阻止棒を上方へ回動して垂直となって該通行を許容するようにしている。従来、この阻止棒の本体部分は、アルミニウムからなる芯材に発泡ウレタン(硬質ウレタンフォーム)を巻きつけたものからなり、軽量の弾性材料であるという特徴を有していた。
しかしながら、車両が料金所に高速で進入してくると、阻止棒の上方への回動が間に合わず、車両が阻止棒に衝突することがある。阻止棒の材質は上述の弾性材料であるため衝突時の衝撃はある程度緩和されるものの、阻止棒の破損や、車両の損傷が生ずる場合がある。
また近年、人の安全な通行を目的として、その通行を規制するための阻止棒が利用されている。この阻止棒においても、人との接触事故を防ぐ必要がある。
【0003】
前記の問題を解決するため、出願人は、空気を圧縮充填してなる阻止棒を提案した(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載の阻止棒は、前記長尺袋体と、該長尺袋体を支持する支持部材とからなり、長尺袋体は、支持部材に着脱自在に挿着されている。
特許文献1に係る阻止棒は気体を圧縮充填して形成された長尺袋体を有するため、車両の衝突により容易に弾性変形し、破損せず繰り返し使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−46972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の阻止棒では、長尺袋体は内部に圧縮充填された気体のみで水平を保持するため、気体の圧力が低下すると先端部側が下がりぎみになるという問題があった。
また、車両が阻止棒に衝突した場合には、阻止棒全体が車両の進行方向へ回動し、車両の進行方向に水平に折れ曲がるという、いわゆるリリースすることが好ましいが、リリースせずに、長尺袋体が途中で折れ曲がり、折れ曲がり部分の疲労が生じやすいという問題もあった。更に折れ曲がり部分が車両に捲きついて車両に損傷を与えるおそれもあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、確実に形状を保持することができると共に、車両が阻止棒に衝突したとき、破損せず繰り返し使用可能であり、且つ、衝突した車両に損傷を与えず、人が接触した場合にも傷害を与えない阻止棒を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の通りである。
1.車両又は人(以下「車両等」という。)の通行を規制する阻止機に取り付けられる阻止棒において、
前記阻止棒は、長尺袋体と、該長尺袋体に挿着固定可能な支持部材と、を備え、
前記長尺袋体は、外層シートと内層シートとの間に気体を圧縮充填した筒状に形成されており、
前記長尺袋体は、円周方向に分割された複数の分割長尺袋体からなり、
前記複数の分割長尺袋体は連通されて気体が出入り可能とされ、1箇所の気体注入口から複数の分割長尺袋体に気体を供給可能としていることを特徴とする阻止棒。
2.前記外層シートは硬質材で形成され、前記内層シートは軟質材で形成されている1.に記載の阻止棒。
3.前記内層シートは、軟質の合成樹脂で形成されている2.に記載の阻止棒。
4.前記軟質の合成樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂のうちのいずれか又はこれらの組み合わせである3.に記載の阻止棒。
5.前記外層シートは、合成繊維からなるシートの一面側に前記軟質の合成樹脂をラミネート加工して形成され、他面側を外部側として用いる3.又は4.に記載の阻止棒。
6.前記合成繊維は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維のいずれか又はこれらの組み合わせである5.に記載の阻止棒。
7.前記阻止棒は、軟質の外装用シートで更に被覆されている1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の阻止棒。
【発明の効果】
【0008】
1.本発明の阻止棒は、気体を圧縮充填した長尺袋体を備えており、外層シートと内層シートとの間に気体を圧縮充填した筒状に形成されているため、長尺袋体全体が安定し、阻止棒として水平に保持した場合であっても、先端部側が下がり気味となることもない。
また、車両等が衝突した場合においても、長尺袋体が途中で折れ曲がることがないため、リリースしやすくなると共に、長尺袋体が疲労するのを防ぐことができる。
従って、本発明の阻止棒によれば、確実に形状を保持することができると共に、車両等が阻止棒に衝突したときに、破損せず繰り返し使用可能であり、且つ、衝突した車両に損傷を与えず、人が接触した場合にも傷害を与えない。
また、長尺袋体が、円周方向に分割された複数の分割長尺袋体からなる場合には、それぞれの分割長尺袋体に気体が分散され、それぞれの分割長尺袋体によって、支持部材が押圧挟持されている。
そのため、車両が阻止棒に衝突した場合においても、支持部材が、それぞれ分割独立した気体圧によって均等に力を受けるため、一方向に支持部材が偏るのを防ぐことができる。
更に、複数の分割長尺袋体が連通されて気体が出入り可能とされ、1箇所の気体注入口から複数の分割長尺袋体に気体を供給可能とすれば、効率的に分割長尺袋体を形成することができる。
2.長尺袋体の外層シートは硬質材で形成され、内層シートは軟質材で形成されていることが好ましい。こうすることで、内層シートは圧縮変形がしやすく、衝突の際の衝撃が吸収しやすくなる。
また、外層シートが強度を保持しているため、衝撃に対する損傷を防ぐことができる。
そして、軟質の内層シートが気体の圧力で外部に向かって伸びようとするのを、硬質の外層シートが、その伸びを抑制して長尺袋体全体を緊張させて、締め付けることによって全体の形状を保持することができる。その結果として、阻止棒の先端が下がるのを更に防止することができる。
3.内層シートは、軟質の合成樹脂で形成されている場合は、圧縮変形がしやすく、衝突の際の衝撃が吸収しやすい材料として適している。
4.前記合成樹脂が、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂のうちのいずれか又はこれらの組み合わせである場合には、特に効果的である。
5.前記外層シートは、合成繊維からなるシートの一面側に前記軟質の合成樹脂をラミネート加工して形成され、他面側を前記外部側として用いることが好ましい。
こうすることで、外部に対しては強度を保持して、衝撃からの損傷を防ぐと共に、内部側では、気体の圧縮変形を助けることができる。
6.前記合成繊維は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維のいずれか又はこれらの組み合わせである場合には特に効果的である。
7.阻止棒は、軟質の外装用シートで更に被覆されている場合には、阻止棒に車両が衝突した場合の衝撃を減少させて、車両の損傷を更に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1に係る阻止棒を示す模式的な斜視図である。
図2】実施形態1に係る阻止棒の分解斜視図である。
図3図1のA−A模式断面図である。
図4図1のB−B模式断面図である。
図5図1のC−C模式断面図である。
図6図1のD−D模式断面図である。
図7図1のE−E模式断面図である。
図8】実施形態2に係る阻止棒を示す模式的な断面図(実施形態1におけるC−C模式断面図と同様の切断面)である。
図9】実施形態3に係る阻止棒を示す模式的な断面図(実施形態1におけるC−C模式断面図と同様の切断面)である。
図10】実施形態4に係る阻止棒を示す模式的な断面図(実施形態1におけるC−C模式断面図と同様の切断面)である。
図11】実施形態5に係る阻止棒を示す模式的な斜視図である。
図12】実施形態5に係る阻止棒の分解斜視図である。
図13図11のF−F断面図である。
図14】実施形態に係る阻止棒に対する車両の通過直前の状態を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を図1図14を用いて詳しく説明する。なお、本発明はこれらの図に限定されるものではなく、種々の形態に変更が可能である。
前記「阻止棒」は、車両等の通行を規制する阻止機に取り付けられ、車両等の通行を許可するときは垂直状態となって通行を許容し、車両等の通行を拒否するときは水平状態となって通行を阻止するものである。
前記「車両」とは、自動車、原動機付自転車、トロリーバス、自転車、荷車、その他人や動物又は他の車両にけん引され、レールによらないで運転する車(そり,牛馬を含む)等である。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係る阻止棒1は、図1及び図2に示すように、長尺袋体20と、長尺袋体20に挿着固定可能な支持部材10と、を備えている。
【0012】
(1)長尺袋体20
長尺袋体20は、図1及び図2に示すように、円周方向に分割された4つの分割長尺袋体21、22、23、24からなる。なお、長尺袋体には、後述の長尺袋体40のように、分割されていないものも含まれる。
なお、この分割の数は、特に限定はないが、通常2〜6分割である。
【0013】
ここで、分割長尺袋体には、それぞれ独立して形成されて、気体注入口もそれぞれ備えてもよいが、図1に示す長尺袋体20のように、4つの分割長尺袋体が連通されて気体が出入り可能とされ、1箇所の気体注入口20aからの分割長尺袋体に気体を供給可能とすることが好ましい。すなわち、分割長尺袋体内部は、図3に示すように4つの分割長尺袋体が、連通する構造となっており、注入口20aから注入された気体は、例えば、矢印に沿って4つの分割長尺袋体すべてに行きわたることができる。
更に図6に示すように、先端部においても、4つの分割長尺袋体が、連通する構造となっており、注入口20aから注入された気体は、例えば、矢印に沿って4つの分割長尺袋体すべてに行きわたることができる。こうすることで、先端部において分割長尺袋体間が連通し、それぞれの端部同士が環状に接続されるため、
それぞれの端部が尖るのを防ぐことができる。
【0014】
前記「気体」は、長尺袋体に圧縮充填することができれば特に限定はないが、安全性に優れ、気温による体積変化が少ないものであることが好ましい。例えば、窒素ガス又は空気であれば、好適に使用することができる。
長尺袋体内部の気体の圧力は阻止棒としての役割を果たす程度であればよく、圧力が高すぎると、破損する危険性があり、圧力が低すぎると阻止棒としての形状を維持することが困難である。ゲージ圧で、20〜90kPaであることが好ましく、50〜80kPaであることが更に好ましい。
【0015】
長尺袋体は、内部側を構成する軟質の内層シートと、外部側を構成する硬質の外層シートと、で形成されていることが好ましい。例えば図4に示すように、分割長尺袋体21は、軟質の内層シート21bと硬質の外層シート21aとから形成されている。
こうすることで、内層シート21bは支持部材10に対して柔軟に包接すると共に、圧縮変形がしやすく、衝突の際の衝撃を吸収しやすくなる。また、外層シート21aが強度を保持しているため、衝撃に対する損傷を防ぐことができるとともに、内部の気体圧による外部方向への膨張を防いで、分割長尺袋体21全体の形状を保持することができる。
すなわち、軟質の内層シート21bが気体の圧力で外部に向かって伸びようとするのを、硬質の外層シート21aが、その伸びを抑制して長尺袋体21全体を緊張させ、締め付けることによって全体の形状を保持することができる。その結果として、阻止棒1の先端が下がるのを更に防止することができる。
【0016】
分割長尺袋体22、23、24もそれぞれ、軟質の内層シート22b、23b、24bと硬質の外層シート22a、23a、24aとからなることで、同様の作用効果を奏する。
【0017】
内層シート21b、22b、23b、24bは、軟質の合成樹脂で形成されていることが好ましい。軟質の合成樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂のうちのいずれか又はこれらの組み合わせが例示される。これらの中では、ポリウレタン樹脂が特に好適に用いられる。
軟質のポリウレタン樹脂で形成されていれば、圧縮変形がしやすく、衝突の際の衝撃が吸収しやすい材料として適している。
【0018】
外層シート21a、22a、23a、24aは、合成繊維からなるシートの一面側に前記軟質の合成樹脂をラミネート加工して形成され、他面側を前記外部側として用いることが好ましい。合成繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ガラス繊維、カーボン繊維のいずれか又はこれらの組み合わせが好適に用いられる。これらの中では、ナイロン繊維が特に好適に用いられる。
外層シート22aを例に説明すると、図4に示すように、ナイロン繊維部22a1の一面側にポリウレタン樹脂部22a2が形成されている。そして、ポリウレタン樹脂部22a2が形成されていない面が、外部側として用いられている。
こうすることで、外部側に対しては強度を保持して、衝撃からの損傷を防ぐと共に、内部側では、気体の圧縮変形を助けることができる。
【0019】
この実施形態に係る長尺袋体20は、それぞれ矩形状の外層シート21a、22a、23a、24a形成用のシート素材一枚と内層シート21b、22b、23a、24a形成用のシート素材一枚を接合することによって形成されている。
すなわち、図4に示すように、それぞれ溶着部20p、20q、20r、20sによって分割袋体22、23、24の分割された側面部が形成される。
シート素材同士の繋ぎ合わせ箇所となる、分割長尺袋体22と分割長尺袋体23の接合部においては、外層シート22aのポリウレタン樹脂部22a2と外層シート23aのポリウレタン樹脂部23a2が溶着され、その溶着箇所は、更に内層シート22bと内層シート23bの溶着部とも溶着されている。
【0020】
また、図7に示すように、先端部においては外層シート21aを折り曲げて内層シート21bの先端側と溶着部21tによって接続され、後端部においては外層シート21aを折り曲げて内層シート21bの後端側と溶着部21uによって接続されている。
分割長尺袋体21と対向する分割長尺袋体23についても、同様に、先端部においては外層シート23aを折り曲げて内層シート23bの先端側と溶着部23tによって接続され、後端部においては外層シート23aを折り曲げて内層シート23bの後端側と溶着部23uによって接続されている。
更に同様に、分割長尺袋体22、24についても、同様に溶着形成することで、分割長尺袋体の先端部、後端部が封止され、分割長尺袋体21、22、23、24が形成されている。
【0021】
(2)支持部材10
支持部材10は、長尺袋体20に挿着固定可能な部材であり、その取付部12は、図14に示す阻止装置90に取り付けられる。
その形状は、特に限定はなく、柱状、管状又はこれらの組み合わせとすることができる。また、これらの材質も特に限定されない。
例えば、図1及び図2に示す支持部材10は、円管状の合成樹脂からなる本体部11と、本体部11が挿着固定された金属製の取付部12とを備えている。
本体部11の材質としては、FRP、カーボン繊維、ガラス繊維、アルミニウム、硬質の発泡ウレタン等が好適に用いられる。また取付部12の材質としては、アルミニウムが好適に用いられる。
支持部材は、長尺袋体に対しては固着されていてもよいが、挿脱自在であることが好ましい。挿脱自在であれば、支持部材又は長尺袋体のいずれか一方が損傷しても、損傷した部材のみを交換することができる。
【0022】
(3)外装用シート30
図1に示すように、阻止棒1は、その長尺袋体20を軟質の外装用シート30で更に被覆されている。こうすることで、阻止棒1に車両が衝突した場合の衝撃を減少させて、車両の損傷を更に防ぐことができる。
また、軟質の外装用シート30には、ウレタン素材からなる本体シート31に、軟質のステッカー35が接着され、白地33に赤の模様32をデザインすることで、車両運転者又は通行人に一時停止の注意を喚起することができる。
【0023】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る阻止棒2は、図8に示すように、気体を圧縮充填した筒状の長尺袋体40を備えている。
長尺袋体40は、実施形態1に係る長尺袋体20と異なり、分割されていない。すなわち、長尺袋体40は、内部側を構成する軟質の内層シート40bと、外部側を構成する硬質の外層シート40aとで形成されている。
内層シート40bは、軟質のポリウレタン樹脂で形成されている。外層シート40aは、一面側のナイロン繊維部40a2と他面側のポリウレタン樹脂部40a1とから形成されている。
阻止棒2に係る長尺袋体40も阻止棒1に係る長尺袋体20と同様、矩形状の外層シート40a形成用のシート素材一枚と内層シート40b形成用のシート素材一枚を接合することによって形成されている。
すなわち、図7に示すように、溶着部40cによって溶着されて、長尺袋体40の側面部が形成される。
先端部、後端部の溶着による封止形成については、長尺袋体20と同様と同様である。
阻止棒2についてのその他の構成、作用効果については、実施形態1に係る阻止棒1と同様であり、前述の通りであるためその説明を省略する。
【0024】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る阻止棒3は、図9に示すように、気体を圧縮充填した筒状の長尺袋体50を備えている。
阻止棒3は、阻止棒1とは、長尺袋体が4つではなく3つに分割されている点のみ異なる。
すなわち、長尺袋体50は、円周方向に分割された3つの分割長尺袋体51、52、53からなる。分割長尺袋体51は、阻止棒1に係る軟質の内層シート51bと硬質の外層シート51aとから形成されている。分割長尺袋体51の外層シート51aは、図9に示すように、ナイロン繊維部51a1の一面側にポリウレタン樹脂部51a2が形成されている。その構成、作用効果については、長尺袋体20と同様であり、前述の通りである。
また、阻止棒3についてのその他の構成、作用効果についても、実施形態1に係る阻止棒1と同様であり、前述の通りであるため、その説明を省略する。
【0025】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態に係る阻止棒4は、図10に示すように、支持部材に囲繞包接し、気体を圧縮充填した筒状の長尺袋体60を備えている。
阻止棒4は、阻止棒1とは、長尺袋体が4つではなく5つに分割されている点のみ異なる。
すなわち、長尺袋体60は、円周方向に分割された5つの分割長尺袋体61、62、63からなる。
阻止棒4についてのその他の構成、作用効果については、実施形態1に係る阻止棒1と同様であり、前述の通りであるため、その説明を省略する。
【0026】
[第5実施形態]
本発明の第4実施形態に係る阻止棒5は、図10に示すように、気体を圧縮充填した筒状の長尺袋体20を備えている。この長尺袋体は、実施形態1における長尺袋体20と同一のものであり、分割長尺袋体21、22、23、24からなる。その構成については、前述の通りである。
【0027】
長尺袋体20は、支持部材17全体に囲繞包接している点が実施形態1〜4と異なる。
このように、分割長尺袋体で支持部材17を囲繞することによって、それぞれの分割長尺袋体に気体が分散され、それぞれの分割長尺袋体によって、支持部材17が押圧挟持されているため、車両等が衝突した場合においても、支持部材17が、それぞれ分割独立した気体によって均等に圧力を受けるため、一方向に支持部材17が偏るのを防ぐことができる。
このように、阻止棒5は、支持部材17によって、長尺袋体20全体を確実に支持することができる。そのため、阻止棒5として水平に保持した場合であっても、先端部側が下がり気味となることもない。また、車両等が衝突した場合においても、長尺袋体が途中で折れ曲がることがないため、リリースしやすくなると共に、長尺袋体が疲労するのを防ぐことができる。
【0028】
支持部材17は、円管状の合成樹脂からなる本体部13と、本体部13が挿着固定された金属製の取付部12とを備えている。なお、支持部材17は、棒状で筒状の長尺袋体に囲繞包接されれば、特に限定はなく、柱状、管状又はこれらの組み合わせとすることができる。また、これらの材質も特に限定されない。
本体部11の材質としては、FRP、カーボン繊維、ガラス繊維、アルミニウム、発泡ウレタン等が好適に用いられる。
また取付部12の材質としては、アルミニウムが好適に用いられる。この取付部12は、図14に示す阻止装置90に取り付けられる。
【0029】
支持部材17は、長尺袋体に対しては固着されていてもよいが、挿脱自在であることが好ましい。挿脱自在であれば、支持部材又は長尺袋体のいずれか一方が損傷しても、損傷した部材のみを交換することができる。
本体部13の先端部に軟質部材15が装着固定されていることが好ましい。こうすることで、車両等が衝突して、阻止棒1がリリースする際の先端部による車両等の損傷を防ぐことができる。この軟質部材15は、ウレタン発泡材、ゴムなどを使用することができる。
阻止棒5についてのその他の構成、作用効果については、実施形態1に係る阻止棒1と同様であり、前述の通りであるためその説明を省略する。
【符号の説明】
【0030】
1、2、3、4、5;阻止棒、10、17;支持部材、15;軟質材、20、40、50、60;長尺袋体、20a;気体注入口、21、22、23、24、51、52、53、61、62、63、64、65;分割長尺袋体、21b、22b、23b、24b、40b、51b;内層シート、21a、22a、23a、24a、40a、51a;外層シート、30;外装用シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14