(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362951
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】マルチ形状カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0402 20060101AFI20180712BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20180712BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20180712BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
A61B5/04 310M
A61B5/04 300J
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-156037(P2014-156037)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-29912(P2015-29912A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2017年5月9日
(31)【優先権主張番号】13/956,621
(32)【優先日】2013年8月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・リキテンスタイン
【審査官】
九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−537680(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0151924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/0496
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブであって、
体腔を介して対象の身体内に挿入されるように構成されている可撓性の挿入管と、
前記挿入管内に収容される一連の管状モジュールであって、各モジュールが、それぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ前記管セグメントの内面に内側溝を含んでいる、一連の管状モジュールと、
前記一連の管状モジュールの中に通される可撓性のエキスパンダー管であって、前記管状モジュールを相互整列させて保持するように、前記エキスパンダー管が拡張されたときに前記管状モジュールのそれぞれの前記管セグメント内の前記内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、前記管状モジュールは、前記エキスパンダー管が拡張されていないときに前記相互整列から外れて移動することができる、エキスパンダー管と、
前記エキスパンダー管を拡張させるために前記可撓性のエキスパンダー管を通して挿入可能な拡張要素と、
を備える、プローブ。
【請求項2】
前記管状モジュールの前記相互整列が前記プローブの所定の形状を形成する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記可撓性の挿入管が、ケーブル布線及び流体の少なくとも一方に対応するように構成されたチャネルを備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記対象の身体からの信号を取得するように構成された、前記可撓性の挿入管上に形成された少なくとも1つの電極を備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記それぞれの既定の形状が、直円筒及びエルボーの少なくとも一方を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記それぞれの既定の形状が軸を有し、前記軸に対して直交する一対の平面によって終端する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
前記拡張要素がワイヤを含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項8】
前記拡張要素が流体を含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項9】
プローブを形成する方法であって、
体腔を介して対象の身体内に挿入するための可撓性の挿入管を構成すること、
一連の管状モジュールを前記挿入管内に導入することであって、各モジュールがそれぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ前記管セグメントの内面に内側溝を含んでいる、こと、
前記一連の管状モジュールの中に可撓性のエキスパンダー管を通すことであって、前記可撓性のエキスパンダー管は、前記管状モジュールを相互整列させて保持するように、前記エキスパンダー管が拡張されたときに前記管状モジュールのそれぞれの前記管セグメント内の前記内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、前記管状モジュールは、前記エキスパンダー管が拡張されていないときに前記相互整列から外れて移動することができる、こと、及び
前記エキスパンダー管を拡張させるために前記可撓性のエキスパンダー管内に拡張要素を挿入すること、
を含む、方法。
【請求項10】
前記管状モジュールの前記相互整列が前記プローブの所定の形状を形成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記可撓性の挿入管が、ケーブル布線及び流体の少なくとも一方に対応するように構成されたチャネルを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の身体からの信号を取得するように構成された少なくとも1つの電極を、前記可撓性の挿入管上に形成することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記それぞれの既定の形状が、直円筒及びエルボーの少なくとも一方を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記それぞれの既定の形状が軸を有し、前記軸に対して直交する一対の平面によって終端する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記拡張要素がワイヤを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記拡張要素が流体を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してプローブ又はカテーテルに関するものであり、具体的には、可変形状を有するプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許第7,419,477号(Simpsonら)は、形状変更可能な領域を含む遠位領域を有するカテーテルを用いるカテーテル法を説明している。この方法は、予め確定した形状を形状可変領域に与えることを含む。
【0003】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許第8,323,171号(Lebovicら)は、ヒト又はその他の哺乳類の身体の標的組織領域に小線源療法を供給するための可撓性の移植可能な小線源治療デバイスを説明している。このデバイスには、不溶性のケーシングに固定されている1つ以上の放射線源が含まれる場合がある。
【0004】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許出願第2012/0109079号(Aslesonら)は、細長い第1管状部材と、第1管状部材内の細長い第2管状部材とを有する経中隔カテーテル送達システムを説明している。第1管状部材は、遠位端に隣接した可調整部分を含んでいる。
【0005】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許第8,326,423号(Zhuら)は、心調律管理における電気刺激を操縦するためのシステムを説明している。カテーテルの配列は、心臓組織にその配列を取り付けるために使用される固定機構を支持する細長い構造体を含む。
【0006】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許第8,313,478号(Tockmanら)は、外側カテーテル部材と内側カテーテル部材とを備えたカテーテルアセンブリを説明している。内側カテーテル部材は、外側カテーテル部材のルーメン内に摺動可能かつ回転可能に配置される。外側カテーテル部材は、予め形成された湾曲を有する遠位端部分を有する。
【0007】
参照により本明細書にその開示内容が援用される米国特許第4,935,017号(Sylvanowiczら)は、カテーテルの遠位部分の湾曲形状を変化させることができるカテーテルアセンブリを説明している。このカテーテルは、所定の湾曲をその遠位端に有し、湾曲を直線にする傾向を有するシースをその遠位端の上で進めることができる。
【0008】
参照により本明細書にその開示内容が援用されるPCT特許出願第PCT/AU2011/000532号(Ogle)は、カテーテル形状調整機構を説明している。カテーテルは、カテーテルシース内に受容される形状をした遠位部を有する探り針を含んでいる。そのカテーテルは、移動可能にハンドルによって支えられている探り針キャリアと、ハンドルの周囲で回転可能なカラーの形態をした形状調整器とを含んでいる。
【0009】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、組み込まれた文書内の用語が、本明細書で明示的又は暗黙的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが検討されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、プローブを提供するものであり、このプローブは、
体腔を介して対象の身体内に挿入されるように構成されている可撓性の挿入管と、
各モジュールが、それぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ管セグメントの内面に内側溝を含んでいる、挿入管内に収容される一連の管状モジュールと、
一連の管状モジュールの中に通される可撓性のエキスパンダー管であって、管状モジュールを相互整列させて保持するように、エキスパンダー管が拡張されたときに管状モジュールのそれぞれの管セグメント内の内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、管状モジュールは、エキスパンダー管が拡張されていないときに相互整列から外れて移動することができる、エキスパンダー管と、
エキスパンダー管を拡張させるために可撓性のエキスパンダー管を通して挿入可能な拡張要素と、を備える。
【0011】
典型的には、管状モジュールの相互整列は、プローブの所定の形状を形成する。
【0012】
開示される実施形態において、可撓性の挿入管は、ケーブル布線及び流体の少なくとも一方に対応するように構成されたチャネルを含む。
【0013】
更に開示されるプローブの実施形態においては、プローブは、対象の身体からの信号を取得するように構成された、可撓性の挿入管上に形成された少なくとも1つの電極を有する。
【0014】
更に開示される実施形態において、それぞれの既定の形状は、直円筒及びエルボーの少なくとも一方を含む。
【0015】
代替実施形態においては、それぞれの既定の形状は軸を有し、その軸に対して直交する一対の平面によって終端する。
【0016】
更なる代替実施形態においては、拡張要素はワイヤを含む。
【0017】
更なる代替実施形態においては、拡張要素は流体を含む。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、プローブを形成する方法が更に提供され、この方法は、
体腔を介して対象の身体内に挿入するための可撓性の挿入管を構成すること、
一連の管状モジュールを挿入管内に導入することであって、各モジュールがそれぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ管セグメントの内面に内側溝を含んでいること、
一連の管状モジュールの中に可撓性のエキスパンダー管を通すことであって、可撓性のエキスパンダー管は、管状モジュールを相互整列させて保持するように、エキスパンダー管が拡張されたときに管状モジュールのそれぞれの管セグメント内の内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、管状モジュールは、エキスパンダー管が拡張されていないときに相互整列から外れて移動することができること、及び
エキスパンダー管を拡張させるために可撓性のエキスパンダー管内に拡張要素を挿入すること、を含む。
【0019】
本開示は、以下の発明を実施するための形態を、以下の図面と併せ読むことによって、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態による、マルチ形状カテーテルを用いた侵襲的医療術の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による、カテーテルの遠位端の一部分の概略図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態による、カテーテルを構築するために行われる工程を示す流れ図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、管の上に順に通されたモジュールの一例を図示する概略分解図である。
【
図5】エキスパンダー管とともに、挿入管へのモジュールの挿入を図示する、本発明の一実施形態によるカテーテルの遠位端の概略分解図である。
【
図6】本発明の一実施形態による、
図5の遠位端の概略組み立て図である。
【
図7】本発明の一実施形態による、エキスパンダー管への拡張ワイヤの挿入の初めの遠位端の概略分解図である。
【
図8】本発明の一実施形態による、拡張ワイヤがエキスパンダー管に完全に挿入された後の
図7の遠位端の概略組み立て図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
概論
本発明の一実施形態は、プローブ、典型的にはプローブの遠位端を実質的に任意の2次元又は3次元の所定の形状に形成することができるシステムを提供する。プローブは、典型的には直円筒及び/又は異なる角度のエルボーである既定の形状を有する一連の剛性の管状モジュールで形成される。各モジュールは内側溝をモジュールの内面に有する。モジュールはプローブの「骨格」として作用し、一連のモジュールを、管の外面上に外側溝を有する非拡張状態の可撓性のエキスパンダー管の上に通すことができる。次いで、管が通された一連のモジュールを、プローブの外側スリーブとして作用する可撓性の挿入管内に挿入する。この段階では、エキスパンダー管はその非拡張状態にあるので、モジュールは互いに対して移動することができる。
【0022】
所定の形状にモジュールをロックするには、典型的にはワイヤである拡張要素をエキスパンダー管内に挿入する。挿入によって管の拡張が引き起こされて、管の外側溝がモジュールの内側溝と係合する。この係合は、モジュールを互いに整列させてロック又は保持し、挿入中は、典型的には互いに端が隣接しているモジュール間の整列を調整して、所定の形状を達成することができる。挿入中、必要に応じて、エキスパンダー管を「非拡張」にすることによって、隣接したモジュールを整列から外して移動することができ、その後、挿入管を再び拡張させることによって、2つの溝セットを再び係合させることによって、新しい相互整列を得ることができる。
【0023】
本発明の実施形態は、適切な一連の剛性の管状モジュールの選択によってプローブを実質的に任意の形状に構成することを可能にする。
【0024】
モジュールは剛性であるが、構築後のプローブを患者の内腔に挿入するのを可能にするように、それらは通常は十分に可撓性、即ち屈曲可能である。モジュールは、例えば心室のような体腔内などの内腔から出された後に、モジュールの初期の曲げられていない形状に戻り、又は「跳ね戻り」、その結果、プローブの所定の形状が回復する。
【0025】
システムの説明
以下の説明において、図面中の同様の要素は同様の数字により識別され、同様の要素は、必要に応じて識別数字に文字を添えることにより区別される。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態による、マルチ形状カテーテル10を用いた侵襲的医療処置の概略図である。例として、カテーテル10は、本明細書においてプローブ10とも呼ばれ、例えば、ヒト患者18の心臓の心筋層16に医療専門家14によって実施される侵襲的医療処置に使用される装置12の一部であると想定される。この医療処置は、心筋層の複数の場所20、場所20A、20B...での心臓の電極電位測定を含む。この測定を行うために、専門家14はプローブ10を患者の内腔に挿入し、その結果、患者の心臓にプローブの遠位端24が進入する。電極電位を測定するために、遠位端24は、カテーテル10の外側に装着された電極26を含み、電極は心筋層のそれぞれ対応する領域と接触している。カテーテル10は近位端28を有する。
【0027】
装置12は、装置の操作コンソール48に位置づけられたシステムプロセッサ46によって制御される。処置中、プロセッサ46は通常、当該技術分野において公知の方法を用いて、カテーテルの遠位端24の場所及び向きを追跡する。例えば、プロセッサ46は磁気追跡法を用いることができ、患者18の外部の磁気トランスミッタが、遠位端に位置づけられたコイルで信号を生成する。Biosense Webster(Diamond Bar,CA)により生産されるCarto(登録商標)システムはこのような追跡方法を用いている。
【0028】
心臓と電極との接触によって電極26により取得される電位から誘導される信号は、カテーテル10内のケーブル布線30を介してプロセッサ46に転送される。プロセッサは受信した信号を分析することができ、コンソールに取り付けられている画面50に分析結果を提示することができる。分析から得られた結果は、典型的には、局所活性化時間、数値表示及び/又は電位対時間グラフなどの心臓の電気的特性のマップを含む。
【0029】
プロセッサ46のソフトウェアは、例えばネットワークを介して、電子的形態でプロセッサにダウンロードすることができる。あるいは、又はこれに加えて、このソフトウェアは、光学的、磁気的、又は電子的記憶媒体など、非一過性の有形媒体上に提供されてもよい。
【0030】
遠位端24を患者18に挿入する前に、専門家14は、専門家が必要とする既定の構成に遠位端24を組み入れる。この組み立ては、以下に詳述される遠位端内に組み込まれた要素を用いる。遠位端24の構成が、実質的に任意の3次元(3D)の線状の経路を辿るように遠位端が構成されるのを可能にすることは明らかであろう。そのような経路の例としては、「C」経路、「S」経路、「W」経路、これらの経路を変形して作った3D経路、及び、例えば螺旋系のようなその他の3D経路が挙げられる。専門家が選択する既定の構成は、典型的には、患者18の心臓への利用可能なアクセス及び専門家が測定したいと望んでいる心筋層16の領域に依存する。
【0031】
本明細書の説明は、単純にするために、既定の構成に構築されたカテーテル10の遠位端を想定しているが、本発明の範囲には、カテーテル10の実質的に任意の部分を既定の構成に構築することが含まれ、それらの部分としては、近位端28、及びカテーテルの近位端と遠位端との中間部分が含まれる。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態による、遠位端24の一部分の概略図を示す。上述したように、遠位端24は、患者18の心臓に導入される前に組み立てられ、組み立てられた遠位端は、
図2に示す複数の別個の部分で構成されている。
【0033】
図2を参照すると、遠位端24は、多数の異なる既定の形状を有する剛性の管セグメントである複数の管状モジュール100で構成されている。典型的には、管状モジュール100は直円筒及びエルボーの形態に規定されている。本開示及び請求項において、エルボーは、「曲げられた」直円筒、すなわち、その軸がもはや直線ではないように変形された直円筒であると想定される。典型的に、エルボーの軸は円の一部である。各管状モジュールはそれぞれの軸102を有し、直円筒の軸は円筒の対称軸に相当し、特定のエルボーの軸は、円筒の軸が曲げられた後の、対応する直円筒の軸に相当する。エルボーの典型的な角度は90度であるが、45度又は60度、あるいは任意のその他の便利な値などの角度が本発明の範囲内に含まれる。
【0034】
各管状モジュール100は、その要素の対応する軸に直交に測定されたときに円形の外側断面を有し、そのため各要素の外壁は平滑である。対照的に、各管状モジュールの内壁は溝104を有しており、それらの溝はその要素の軸に平行である。典型的には、溝104は、各管状要素の内側断面が対称の凹多角形又は星形を有するように軸に対して対称に分布されている。
【0035】
各管状モジュール100は、要素の軸に直交する一対の平面106、108で終端する。
【0036】
一実施形態では、管状モジュールはポリイミドプラスチックで形成される。
【0037】
上述したように、管状モジュール100は異なる既定の形状を有し得る。
図2に図示されるのは、モジュール100の例である。
【0038】
軸102A及びモジュールの内壁上の溝104Aを有する第1の直円筒管状モジュール100A。モジュール100Aは、平面106A及び108Aで終端する。
【0039】
軸102B及びモジュールの内壁上の溝104Bを有する90度エルボー管状モジュール100B。このエルボーは、平面106B及び108Bで終端する。
【0040】
軸102C及びモジュールの内壁上の溝104Cを有する別の90度エルボー管状モジュール100C。このエルボーは、平面106C及び108Cで終端する。
【0041】
軸102D及びモジュールの内壁上の溝104Dを有する60度エルボー管状モジュール100D。60度エルボーは、平面106D及び108Dで終端する。
【0042】
軸102E及びモジュールの内壁上の溝104Eを有する第2の直円筒管状モジュール100E。モジュール100Eはモジュール100Aより短く、平面106E及び108Eで終端する。
【0043】
遠位端24は、可撓性のエキスパンダー管200を備え、この管は、対称軸202、及び軸に直交に測定される円形の内側断面を有する(この場合、管の内壁204は比較的平滑である)。より詳しく以下に説明するように、カテーテル10の構築の際、管200を一連の管状モジュール100に通す。管の外壁は、軸202に平行の溝206を有する。エキスパンダー管の溝は、管200が拡張されたときにモジュール100の溝と嵌合するように構成され、そのため、その拡張又は非拡張状態において、軸202に直交するようにとられた溝206の断面は、管状モジュールの凹多角形と似た対称の凹多角形である。
【0044】
一実施形態では、エキスパンダー管200はナイロンで形成される。
【0045】
遠位端24は、患者18に挿入可能なように生体適合性である、対称軸302を有する可撓性の挿入管300を備える。管300は、管状モジュール100の収容スリーブとして作用する。管300は、管内にチャネル304を有し、チャネルは、カテーテル10の遠位端24と近位端28との間で信号を伝達するためのケーブル布線に対応するように構成される。代替又は追加として、チャネル304は、カテーテル10の遠位端24と近位端28との間で灌漑液のような流体を移動させることができる。
図2に示すように、管300は、管の外側に電極26を有する。電極は、チャネル304内の導電ケーブル布線に接続され、患者18の心筋層から電極によって取得された信号は、ケーブル布線を介してプロセッサ46に伝達される。
【0046】
いくつかの実施形態では、遠位端24は、可撓性エキスパンダー管200へと挿入されると管の拡張を引き起こす拡張ワイヤ400を備える。管200を拡張するためのその他のシステムを以下に説明する。非拡張状態からの管200の拡張により、管200の溝206が管状モジュール100の溝102と係合する。より詳細に以下に説明するように、この係合により、モジュール100の整列が維持又は定位置でロックされるので、プローブ10の形成において実施されると、この係合は、プローブをロックされていない状態からロックされた状態に移動させる。同様に、管をその非拡張状態に戻すことは、溝206を溝102から解放して、それによりモジュールをロック解除し、その整列から外して移動させる。
【0047】
図3は、本発明の一実施形態による、プローブ10を構築する際に実施される工程を示す流れ
図500である。流れ図の説明は、単純にするために、患者の心臓の電気信号を測定するために患者18にプローブ10が挿入されることを想定しており、当業者は、この説明を患者への他のタイプのプローブの挿入に応用することができるであろう。
【0048】
最初の工程502で、専門家14は、モジュールがそれらのそれぞれの平面で互いに隣接されているときにそれらが専門家の望む形状を形成するように、管状モジュール100を選択する。本明細書で所定の形状とも呼ばれているその望ましい形状は、完成したプローブの形状に相当するものであり、典型的には、患者18の心臓への利用可能なアクセスにしたがって、及び専門家が測定を行うことを望んでいる心臓内の場所にしたがって、専門家によって選択される。管状モジュールが選択されたら、それらを順に可撓性のエキスパンダー管200の上に通す。
【0049】
図4は、本発明の一実施形態による、管200の上に順に通したモジュール100の一例を図示する概略分解図である。明確さを期すために、管200の一部分のみが図に描かれているが、管200が1つの要素であることは理解されるであろう。例として、円筒形モジュール100A、90度エルボーモジュール100B、円筒形モジュール100E、90度エルボーモジュール100C、及び60度エルボーモジュール100Dが、管200の上を通っている。モジュールがそれらの平面で互いに隣接していることが理解されるであろう。例えば、モジュール100Cの面106Cは、モジュール100Eの面108Eに隣接している。
【0050】
流れ
図500に戻ると、スリーブ適用工程504で、工程502からの組み立てられた構造体が可撓性挿入管300内に導入される。
【0051】
図5は、管300へのモジュール100の挿入を管200とともに示している、遠位端24の概略分解図であり、そのためモジュールは挿入管内に収容されており、
図6は、本発明の一実施形態による、工程504が行われた後の遠位端の概略組み立て図である。面106D及び管200を示すコールアウトに示されているように、管200の溝はモジュールの溝と一致し得るが、それら2つの組の溝の大きさは異なる。大きさの差は、この段階ではアセンブリがロックされていないことを意味する。
【0052】
ロッキング工程506では、拡張ワイヤ400を備えるとして本明細書で想定されている拡張要素は、エキスパンダー管200内に挿入されて、管の拡張を引き起こす。ワイヤ400は、拡張されていない管の内径よりも大きいワイヤ直径を有することによって、管200の拡張要素として作用する。典型的には、ワイヤ400が管200の中に挿入される際、ワイヤ400の端に近接しているモジュール100が回転して、隣接したモジュール間の望ましい相互整列を達成し、そのため専門家が望んでいる形状を得ることができる(工程502)。モジュールは平面で終端しているので回転が可能であり、したがって、互いに端が隣接している隣接したモジュールは、互いに対して回転可能である。必要に応じて、ワイヤ400の端を管200から部分的に引き出して、その端に近接しているモジュールを整列から外すことを可能にし、ワイヤを管200に再び導入することによりモジュールの再整列を可能にすることができる。
【0053】
図7は、エキスパンダー管200への拡張ワイヤ400の挿入の初めの概略分解図であり、
図8は、本発明の一実施形態による、拡張ワイヤが管200に完全に挿入された後の遠位端24の概略組み立て図である。
【0054】
流れ
図500が遠位端24のアセンブリの一例に過ぎず、当業者には明白になるであろうその他の組み立て方法を使用してもよいことが理解されるであろう。例えば、管200の拡張によってモジュールが定位置にロックされた後に、管300をモジュール100の上にスライドさせることができる。全てのそのような方法は、本発明の範囲内に含まれると想定される。
【0055】
上記の説明は、ワイヤの直径と管の内径との相違によって管の拡張を引き起こすようにワイヤ400を管200内に挿入することを想定している。代替実施形態では、ワイヤが加熱されると拡張して必要な拡張要素として作用するように、管200の直径よりも小さい直径をワイヤ400が有するようにワイヤを最初に冷却する。
【0056】
更なる代替実施形態において、拡張要素は、生理食塩水のような液体、又は気体を含むことができ、これらのいずれかを管200内に注入して管を拡張することができる。したがって、固体、液体又は気体の拡張要素が本発明の範囲内に含まれるものと想定される。
【0057】
上記の説明は遠位端24のアセンブリを指すものであるが、当業者であれば、この説明を、遠位端と近位端との中間の近位端28の区間及び遠位端24の遠位先端のような区間を含むプローブ10の残りの部分の構成に、変更すべきところは変更して適用することができるであろう。そのようになるのは、近位端及び/又は中間区間及び/又は遠位先端に関して特定の形状が必要とされる場合であろう。あるいは、典型的にはプローブの遠位端24のみを形作る必要があるので、プローブ10の近位及び中間の区間を、遠位端の近位モジュール100と接触するように管300内に挿入される単一の管状要素で形成してもよい。単一の管状要素は、典型的には、断面の寸法においては直円筒モジュール100Aと略同じであるので、遠位端24への管200の通過に対応することができる。しかしながら、そのような単一の管状要素は、その遠位端でのみ溝を有することができる。同様に、遠位端24の遠位先端を、その近位端でのみ溝を有し得る単一の管状要素で形成してもよい。
【0058】
上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらは、上述の説明を読めば当業者には想到されるものであり、従来技術では開示されていないものである。
【0059】
〔実施の態様〕
(1) プローブであって、
体腔を介して対象の身体内に挿入されるように構成されている可撓性の挿入管と、
前記挿入管内に収容される一連の管状モジュールであって、各モジュールが、それぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ前記管セグメントの内面に内側溝を含んでいる、一連の管状モジュールと、
前記一連の管状モジュールの中に通される可撓性のエキスパンダー管であって、前記管状モジュールを相互整列させて保持するように、前記エキスパンダー管が拡張されたときに前記管状モジュールのそれぞれの前記管セグメント内の前記内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、前記管状モジュールは、前記エキスパンダー管が拡張されていないときに前記相互整列から外れて移動することができる、エキスパンダー管と、
前記エキスパンダー管を拡張させるために前記可撓性のエキスパンダー管を通して挿入可能な拡張要素と、
を備える、プローブ。
(2) 前記管状モジュールの前記相互整列が前記プローブの所定の形状を形成する、実施態様1に記載のプローブ。
(3) 前記可撓性の挿入管が、ケーブル布線及び流体の少なくとも一方に対応するように構成されたチャネルを備える、実施態様1に記載のプローブ。
(4) 前記対象の身体からの信号を取得するように構成された、前記可撓性の挿入管上に形成された少なくとも1つの電極を備える、実施態様1に記載のプローブ。
(5) 前記それぞれの既定の形状が、直円筒及びエルボーの少なくとも一方を含む、実施態様1に記載のプローブ。
【0060】
(6) 前記それぞれの既定の形状が軸を有し、前記軸に対して直交する一対の平面によって終端する、実施態様1に記載のプローブ。
(7) 前記拡張要素がワイヤを含む、実施態様1に記載のプローブ。
(8) 前記拡張要素が流体を含む、実施態様1に記載のプローブ。
(9) プローブを形成する方法であって、
体腔を介して対象の身体内に挿入するための可撓性の挿入管を構成すること、
一連の管状モジュールを前記挿入管内に導入することであって、各モジュールがそれぞれの既定の形状を有する剛性の管セグメントを含み、かつ前記管セグメントの内面に内側溝を含んでいる、こと、
前記一連の管状モジュールの中に可撓性のエキスパンダー管を通すことであって、前記可撓性のエキスパンダー管は、前記管状モジュールを相互整列させて保持するように、前記エキスパンダー管が拡張されたときに前記管状モジュールのそれぞれの前記管セグメント内の前記内側溝と係合するように構成されている外側溝を有し、前記管状モジュールは、前記エキスパンダー管が拡張されていないときに前記相互整列から外れて移動することができる、こと、及び
前記エキスパンダー管を拡張させるために前記可撓性のエキスパンダー管内に拡張要素を挿入すること、
を含む、方法。
(10) 前記管状モジュールの前記相互整列が前記プローブの所定の形状を形成する、実施態様9に記載の方法。
【0061】
(11) 前記可撓性の挿入管が、ケーブル布線及び流体の少なくとも一方に対応するように構成されたチャネルを備える、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記対象の身体からの信号を取得するように構成された少なくとも1つの電極を、前記可撓性の挿入管上に形成することを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記それぞれの既定の形状が、直円筒及びエルボーの少なくとも一方を含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記それぞれの既定の形状が軸を有し、前記軸に対して直交する一対の平面によって終端する、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記拡張要素がワイヤを含む、実施態様9に記載の方法。
【0062】
(16) 前記拡張要素が流体を含む、実施態様9に記載の方法。