(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記各カメラのうち少なくとも2以上の前記カメラによって前記パターンがそれぞれ撮影されたとき、前記検出装置は、撮影された前記パターンの画像のうち前記パターンが最も大きく撮影された画像に基づいて、前記ステージの位置および姿勢を検出する、請求項8に記載のステージ機構。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ステッピングモータのステップ数をカウントすることによって、ステージの位置および姿勢を検出する場合、ステッピングモータとステージとの間で生じるギヤ同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりすることにより、ステージの制御上の位置および姿勢とステージの実際の位置および姿勢とに差がでてしまう。このため、ステージの正確な位置および姿勢を検出することができない。また、エンコーダのパルス数をカウントすることによって、ステージの位置および姿勢を検出する場合、エンコーダとコントローラ部分とを配線で接続する必要がある。このため、ステージの可動部分が可動した際に生じる応力に耐え得る配線を用いたり、配線とステージとが干渉しないようなレイアウトにしたりする必要があり、構造が複雑化する。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することが可能なステージ機構をシンプルな構造で実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステージ機構は、ベースと、パターンが設けられ、前記ベースに移動自在に支持されたステージと、前記ステージを駆動するステージ移動部と、前記ステージに設けられた前記パターンを撮影する撮影装置と、前記撮影装置によって撮影された前記パターンの画像に基づいて、前記ステージの位置および姿勢を検出する検出装置と、を備え、前記撮影装置から前記パターンを見たときに、前記パターンは、前記ステージの位置および姿勢によって異なる。
【0007】
本発明に係るステージ機構によれば、検出装置は、撮影装置によって撮影されたパターンの画像に基づいて、ステージの位置および姿勢を検出する。撮影装置から見えるパターンは、ステージの位置および姿勢によって異なっている。このため、撮影装置によって撮影されたパターンの画像によって、ステージの位置および姿勢が一義的に決定される。撮影装置によって撮影されたパターンの画像は、実際のステージに設けられたパターンの画像であるため、検出装置は、該パターンの画像からステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。このように、本発明によれば、ステージの可動部分にエンコーダを用いなくとも、簡単な構造によってステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。また、例えばステッピングモータを用いてステージを可動する場合に、ステッピングモータとステージとの間で生じるギヤ同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりしたとしても、ステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記パターンに外接する仮想四辺形を備え、前記パターンは、目印を備える。
【0009】
上記態様によれば、撮影装置によって撮影された画像における、パターンに外接する仮想四辺形および目印の位置に基づいて、ステージの位置および姿勢が一義的に決定される。
【0010】
本発明の一態様によれば、前記パターンは、それぞれ同一の長さの長辺と同一の長さの短辺とを備えた長方形状の第1〜第4のサブパターンを備え、前記第1〜第4のサブパターンのいずれか一つには、前記目印が形成され、前記仮想四辺形は、前記第1〜第4のサブパターンのそれぞれの一頂点を第1〜第4の頂点とし、前記第1〜第4のサブパターンは、前記仮想四辺形の内方に配置され、前記第1のサブパターンと前記第2のサブパターンとは前記第1のサブパターンの長辺および前記第2のサブパターンの長辺が延びる方向に離間して配置され、前記第1のサブパターンと前記第3のサブパターンとは前記第1のサブパターンの短辺および前記第3のサブパターンの短辺が延びる方向に離間して配置され、前記第3のサブパターンと前記第4のサブパターンとは前記第3のサブパターンの長辺および前記第4のサブパターンの長辺が延びる方向に離間して配置され、前記第2のサブパターンと前記第4のサブパターンとは前記第2のサブパターンの短辺および前記第4のサブパターンの短辺が延びる方向に離間して配置されている。
【0011】
上記態様によれば、撮影装置によって撮影された画像における、4つのサブパターンの形状および目印の位置に基づいて、ステージの位置および姿勢が一義的に決定される。
【0012】
本発明の一態様によれば、前記ステージ移動部は、前記ステージを6自由度で駆動するように構成され、前記検出装置は、前記撮影装置によって撮影された前記パターンの画像から前記目印を検出し、前記検出された目印の位置に基づいて前記ステージのZ軸回りの回転角度を算出する第1算出部と、前記撮影装置によって撮影された前記パターンの画像において、前記第1の頂点から前記第2の頂点までの第1長さと、前記第3の頂点から前記第4の頂点までの第2長さと、前記第1の頂点から前記第3の頂点までの第3長さと、前記第2の頂点から前記第4の頂点までの第4長さと、を算出する、第2算出部と、前記第1長さと前記第2長さとの比から前記ステージのX軸回りの回転角度を算出する第3算出部と、前記第3長さと前記第4長さとの比から前記ステージのY軸回りの回転角度を算出する第4算出部と、前記算出されたX軸回りの回転角度、Y軸回りの回転角度およびZ軸回りの回転角度に基づいて、前記ステージの姿勢を検出し、かつ前記算出されたX軸回りの回転角度、Y軸回りの回転角度、Z軸回りの回転角度および第1〜第4長さ、ならびに原点位置で算出された前記第1〜第4長さに基づいて、前記第1の頂点と前記第4の頂点とを結ぶ第1の線分と前記第2の頂点と前記第3の頂点とを結ぶ第2の線分との交差点を前記ステージの位置として検出する検出部と、を備えている。
【0013】
上記態様によれば、検出装置は、撮影装置によって撮影された画像における第1〜第4のサブパターンを備えたパターンの画像の位置と大きさから、XYZ軸上のステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0014】
本発明の一態様によれば、前記ステージ移動部は、昇降自在な第1〜第6のガイド部と、それぞれ第1〜第6のガイド部を昇降させる第1〜第6のアクチュエータと、一端部が第1自在継手を介して前記ステージに接続され、他端部が第2自在継手を介してそれぞれ第1〜第6のガイド部に接続された第1〜第6のロッドと、を備える。
【0015】
上記態様によれば、ステージ移動部は、第1〜第6のガイド部を適宜に昇降させることにより、ステージをX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに移動させることができる。X軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルとを組み合わせたステージ移動部に比べて、アクチュエータの出力を抑えることができる。また、小型のアクチュエータを利用可能なので、ステージ移動部を小型化することができる。また、ステージ移動部はステージを6自由度で駆動し、ステージの位置および姿勢を自在に変更することができるため、ステージの位置および姿勢の組み合わせがより複雑化するが、検出装置は、パターンの画像の位置および大きさから、XYZ軸上のステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0016】
本発明の一態様によれば、前記撮影装置は、前記ステージの下方に配置されている。
【0017】
6自由度パラレルリンク機構によって構成されたステージ移動部では、ステージの下方には空間が形成されている。このため、ステージの下方に撮影装置を配置したとき、撮影装置とステージとの間には、撮影装置がステージに設けられたパターンを撮影することを妨げるものが存在しない。すなわち、上記態様によれば、撮影装置はパターンを確実に撮影することができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記検出装置は、前記検出部によって検出された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが一致しているか否かを判断する判断部と、前記判断部により、前記検出部によって検出された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが異なると判断されると、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢が前記検出部によって検出された前記ステージの位置および姿勢となるように前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度を補正する補正部と、を備えている。
【0019】
アクチュエータが例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージの制御上の位置および姿勢とステージの実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージの正確な位置および姿勢を検出できると共に、補正部によって、ステッピングモータの脱調を補正することができる。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記検出装置は、前記検出部によって検出された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが一致しているか否かを判断する判断部と、前記判断部により、前記検出部によって検出された前記ステージの位置および姿勢と、前記第1〜第6のアクチュエータの回転角度から導かれる前記ステージの制御上の位置および姿勢とが異なると判断されると、前記第1〜第6のアクチュエータの動作を停止させる停止部と、を備えている。
【0021】
アクチュエータが例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージの制御上の位置および姿勢とステージの実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージの正確な位置および姿勢を検出できると共に、停止部によって、ステッピングモータの動作が停止され、ステージの駆動を停止することができる。
【0022】
本発明の一態様によれば、前記撮影装置は、2以上のカメラから構成され、前記各カメラは、相互に異なる位置から前記パターンを撮影する。
【0023】
上記態様によれば、ステージが大きく傾いたときに一のカメラではステージに設けられたパターンを撮影できない場合であっても、他の一のカメラでパターンを撮影できるように、カメラを配置することができる。すなわち、ステージの可動領域をより広げた場合であっても、ステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0024】
本発明の一態様によれば、前記各カメラのうち少なくとも2以上の前記カメラによって前記パターンがそれぞれ撮影されたとき、前記検出装置は、撮影された前記パターンの画像のうち前記パターンが最も大きく撮影された画像に基づいて、前記ステージの位置および姿勢を検出する。
【0025】
上記態様によれば、検出装置は、パターンが最も大きく撮影された画像に基づいて、ステージの位置および姿勢を検出するため、ステージの正確な位置および姿勢をより確実に検出することができる。
【0026】
本発明に係る3次元造形装置は、樹脂材料を硬化して所定の断面形状の樹脂を順次積層することにより造形物を3次元造形する3次元造形装置であって、前記ステージ機構と、前記ベースの上方に配置され、樹脂材料を吐出するノズルを備えた造形ヘッドと、を備え、前記ノズルから吐出される前記樹脂材料は、前記ステージの上面で保持され、前記パターンは、前記ステージの下面に設けられ、前記撮影装置は、前記ステージの下方に配置されている。
【0027】
ノズルから吐出された樹脂材料がパターンを覆うことによってパターンが汚れてしまうと、検出装置は、撮影されたパターンの画像に基づいてステージの位置および姿勢を検出できなくなる。しかし、本発明に係る3次元造形装置によれば、ノズルから吐出される樹脂材料はステージの上面に保持され、パターンが設けられたステージの下面には樹脂材料は吐出されない。このため、パターンは樹脂材料に覆われることがない。この結果、検出装置は、撮影されたパターンの画像からステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ステージの正確な位置および姿勢を確実に検出することが可能なステージ機構をシンプルな構造で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る3次元造形装置10は、ステージ機構30を備えている。3次元造形装置10は、樹脂材料を硬化して所定の断面形状の樹脂を順次積層することにより造形物を3次元造形する。樹脂材料としては、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂等が挙げられる。以下の説明では、ステージ機構30が3次元造形装置10に用いられる場合を例に説明するが、本発明の適用対象をかかる種類の装置に限定することを意図したものではない。
【0031】
以下の説明において、特に断らない限り、
図2の左、右、上、下をそれぞれ3次元造形装置10の左、右、上、下とする。
図3の左、右、上、下をそれぞれ3次元造形装置10の前、後、左、右とする。図面中の符号F、Rr、L、R、Up、Dnは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Xは、X軸を示し、左右方向を表す。図面中の符号Yは、Y軸を示し、前後方向を表す。図面中の符号Zは、Z軸を示し、上下方向を表す。符合θ
X、θ
Y、θ
Zは、それぞれX軸回り、Y軸回り、Z軸回りの回転方向を表す。本実施形態では、X軸、Y軸、Z軸は、いずれか一つの軸が他の二つの軸に対して直交するように設定されている。ただし、X軸、Y軸、Z軸は、いずれか一つの軸が他の二つの軸に対して交差するように設定されていればよい。また、これらは説明の便宜上の方向に過ぎず、3次元造形装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
【0032】
図1に示すように、3次元造形装置10は、ステージ機構30と、ホルダ15と、造形ヘッド20と、を備えている。
【0033】
図1に示すように、ステージ機構30は、ベース40と、ステージ50と、ステージ移動部60と、撮影装置としてのカメラ70と、検出装置としてのコンピュータ75と、を備えている。
【0034】
図2に示すように、ベース40は、第1ベース42と、6つの支柱44と、第2ベース46とを備えている。第1ベース42は、円板状に形成されている。支柱44は、第1ベース42から上方に延びている。第2ベース46は、円板状に形成されている。
図3に示すように、第2ベース46には、開口47が形成されている。
図2に示すように、第2ベース46は、第1ベース42の上方に配置されている。第2ベース46は、6つの支柱44の上に配置されている。第1ベース42の直径と、第2ベース46の直径は実質的に同一である。
【0035】
図1に示すように、ステージ50は、円板状に形成されている。ステージ50は、ベース40に移動自在に支持されている。ステージ50は、造形ヘッド20の下方に配置されている。ステージ50は、第1ベース42の上方かつ第2ベース46の下方に配置されている。なお、ステージ50は、造形ヘッド20の下方に配置される限りにおいて、第2ベース46の上方に配置されてもよい。ステージ50は、後述する造形ヘッド20のノズル22から吐出された樹脂材料を保持する。詳細には、樹脂材料は、ステージ50の上面50Uで保持される。造形物はステージ50の上面50Uで造形される。ステージ50には、後述のパターン80(
図4参照)が設けられている。詳細には、ステージ50の下面50B(
図2参照)には、パターン80が設けられている。ステージ50の形状は予めコンピュータ75に記憶されている。
【0036】
図1に示すように、ステージ移動部60は、ベース40に配置されている。ステージ移動部60は、ステージ50を6自由度で駆動する。ステージ移動部60は、ステージ50を並進3自由度および回転3自由度で駆動する。すなわち、ステージ移動部60は、ステージ50をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に並進移動させるとともに、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに回転移動させるように構成されている。
【0037】
図2に示すように、ステージ移動部60は、6自由度パラレルリンク機構によって構成されている。ステージ移動部60は、ステージ50に連結された6本のロッド62と、それぞれロッド62に連結され、支柱44に沿って昇降自在な6つのガイド部64(
図2では2つのみ図示している)と、ガイド部64を昇降させる6つのアクチュエータ65(
図2では2つのみ図示している)とを備えている。ロッド62、ガイド部64、およびアクチュエータ65は、ベース40に配置されている。ロッド62は、その一端62Aに第1自在継手63Aを備えている。ロッド62は、その他端62Bに第2自在継手63Bを備えている。第1自在継手63Aは、ステージ50を支持する。第1自在継手63Aは、ロッド62の一端62Aとステージ50とを連結している。
【0038】
ガイド部64は、支柱44にスライド自在に係合したスライダにより構成されている。
図2に示すように、第2自在継手63Bは、ガイド部64に接続されている。第2自在継手63Bは、ロッド62の他端62Bとガイド部64とを連結している。支柱44には溝が形成されており、この溝の内方には、上下に延びるボールねじ66が配置されている。ボールねじ66の上端部には、ボールねじ66を回転させるアクチュエータ65が配置されている。アクチュエータ65の種類は何ら限定されないが、例えば、サーボモータを用いることができる。ガイド部64には、上下に延びる図示しないねじ孔が形成されている。ガイド部64のねじ孔にはボールねじ66が挿入されており、ガイド部64のねじ孔は、ボールねじ66と噛み合っている。そのため、ボールねじ66が回転するとガイド部64は上昇し、ボールねじ66が逆回転するとガイド部64は下降する。ガイド部64が昇降することにより、ロッド62が移動する。
【0039】
各アクチュエータ65は独立して動作可能であり、各アクチュエータ65は各ロッド62を相互に独立して移動させる。アクチュエータ65は、ベース40の上方に配置された回路基板68と電気的に接続されている。回路基板68は、第2ベース46の上に配置されている。6本のロッド62が相互に独立して移動することにより、ステージ50は、ベース40内において、X軸方向の並進移動、Y軸方向の並進移動、Z軸方向の並進移動、X軸回りの回転移動、Y軸回りの回転移動、およびZ軸回りの回転移動が可能である。6本のロッド62が相互に独立して移動することにより、ステージ50の位置および姿勢を自由に設定することができる。
【0040】
図1に示すように、カメラ70は、ステージ50に設けられたパターン80(
図4参照)を撮影する。カメラ70は、パターンを撮影することが可能な位置に配置されている。カメラ70は、ベース40に配置されている。カメラ70は、ステージ50の下方に配置されている。カメラ70は、第1ベース42上に配置されている。カメラ70は、第1ベース42の中心に配置されている。カメラ70のレンズ72の中心72Cは、第1ベース42の中心に配置されている。カメラ70は、第1ベース42に対して傾斜して配置されてもよい。カメラ70によって撮影されたパターン80の画像は、コンピュータ75に出力される。
【0041】
図4に示すように、パターン80は、ステージ50に設けられている。パターン80は、ステージ50の下面50Bに設けられている。パターン80は、第1のサブパターン81と、第2のサブパターン82と、第3のサブパターン83と、第4のサブパターン84と、を備えている。第1〜第4のサブパターン81〜84は、長方形状に形成されている。第1〜第4のサブパターン81〜84は、それぞれ同一の長さの長辺85Lと同一の長さの短辺85Sとを備えている。本実施形態では、長辺85Lの長さはLであり、短辺85Sの長さはSである。
【0042】
図4に示すように、第2のサブパターン82には、目印86が形成されている。目印86は、長方形状に形成されているが、目印86の形状および大きさは特に限定されない。なお、本実施形態では第2のサブパターン82に目印86が形成されているが、第1のサブパターン81、第3のサブパターン83、または第4のサブパターン84のいずれかに形成されていてもよい。目印86は、カメラ70から目印86を見たときに、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。即ち、カメラ70から目印86を見たときの目印86の形状および位置は、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。目印86とは、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像において、コンピュータ75がパターン80を認識するためのしるしである。本実施形態では、パターン80が備える第1のサブパターン81、第2のサブパターン82、第3のサブパターン83および第4のサブパターン84をコンピュータ75が識別して認識するためのしるしである。
【0043】
図5に示すように、パターン80は、第1のサブパターン81の頂点81T、第2のサブパターン82の頂点82T、第3のサブパターン83の頂点83T、および第4のサブパターン84の頂点84Tを頂点とする仮想四辺形88を備えている。仮想四辺形88は、パターン80に外接する。仮想四辺形88の内方には、第1〜第4のサブパターン81〜84が配置されている。仮想四辺形88は、第1〜第4のサブパターン81〜84に外接する。頂点81Tは、第1のサブパターン81の各頂点のうち、第4のサブパターン84から最も離れた頂点である。頂点82Tは、第2のサブパターン82の各頂点のうち、第3のサブパターン83から最も離れた頂点である。頂点83Tは、第3のサブパターン83の各頂点のうち、第2のサブパターン82から最も離れた頂点である。頂点84Tは、第4のサブパターン84の各頂点のうち、第1のサブパターン81から最も離れた頂点である。パターン80は、カメラ70からパターン80を見たときに、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。即ち、カメラ70からパターン80を見たときのパターン80の形状は、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。
【0044】
図4に示すように、第1のサブパターン81と第2のサブパターン82とは第1のサブパターン81の長辺85Lおよび第2のサブパターン82の長辺85Lが延びる方向に離間して配置されている。第1のサブパターン81と第2のサブパターン82とは、長辺85Lの長さLだけ離間して配置されている。第1のサブパターン81の長辺85Lと第2のサブパターン82の長辺85Lとは平行に配置されている。第1のサブパターン81と第3のサブパターン83とは第1のサブパターン81の短辺85Sおよび第3のサブパターン83の短辺85Sが延びる方向に離間して配置されている。第1のサブパターン81と第3のサブパターン83とは、短辺85Sの長さSだけ離間して配置されている。第1のサブパターン81の短辺85Sと第3のサブパターン83の短辺85Sとは平行に配置されている。第3のサブパターン83と第4のサブパターン84とは第3のサブパターン83の長辺85Lおよび第4のサブパターン84の長辺85Lが延びる方向に離間して配置されている。第3のサブパターン83と第4のサブパターン84とは、長辺85Lの長さLだけ離間して配置されている。第3のサブパターン83の長辺85Lと第4のサブパターン84の長辺85Lとは平行に配置されている。第2のサブパターン82と第4のサブパターン84とは第2のサブパターン82の短辺85Sおよび第4のサブパターン84の短辺85Sが延びる方向に離間して配置されている。第2のサブパターン82と第4のサブパターン84とは、短辺85Sの長さSだけ離間して配置されている。第2のサブパターン82の短辺85Sと第4のサブパターン84の短辺85Sとは平行に配置されている。
【0045】
図5に示すように、第1のサブパターン81の第1の頂点81Tと第4のサブパターン84の第4の頂点84Tとを結ぶ線分を第1の線分89Aとし、第2のサブパターン82の第2の頂点82Tと第3のサブパターン83の第3の頂点83Tとを結ぶ線分を第2の線分89Bとしたとき、第1の線分89Aと第2の線分89Bとの交差点89Cは、ステージ50の位置および姿勢を示す基準点である。交差点89Cは、ステージ50の下面50Bの中心に設けられている。
【0046】
図4に示すように、第1のサブパターン81と第2のサブパターン82とは、長辺85Lの長さLだけ離間して配置され、第3のサブパターン83と第4のサブパターン84とは、長辺85Lの長さLだけ離間して配置されているが、これに限定されない。第1のサブパターン81と第2のサブパターン82との間隔と、第3のサブパターン83と第4のサブパターン84との間隔と、が同じである限り、長辺85Lの長さLとは異なる長さであってもよい。第1のサブパターン81と第3のサブパターン83とは、短辺85Sの長さSだけ離間して配置され、第2のサブパターン82と第4のサブパターン84とは、短辺85Sの長さSだけ離間して配置されているが、これに限定されない。第1のサブパターン81と第3のサブパターン83との間隔と、第2のサブパターン82と第4のサブパターン84との間隔と、が同じである限り、短辺85Sの長さSとは異なる長さであってもよい。
【0047】
図1に示すように、ホルダ15は、ベース40の上方に配置されている。ホルダ15は、第2ベース46の上に配置されている。ホルダ15は、第2ベース46の開口47を跨ぐように配置されている。ホルダ15は、造形ヘッド20を支持する第1壁13および第2壁14を備えている。第1壁13と第2壁14との間には、造形ヘッド20が配置されている。
【0048】
図1に示すように、造形ヘッド20は、ベース40の上方に配置されている。造形ヘッド20は、ホルダ15に固定されている。造形ヘッド20は、樹脂材料を吐出するノズル22を備えている。
図3に示すように、ノズル22は、平面視で第2ベース46の開口47と重なる。
【0049】
図1に示すように、3次元造形装置10は、樹脂材料を収容するタンク24と、樹脂供給路26とを備えている。タンク24は、ベース40の上方に配置されている。タンク24は、ホルダ15に配置されている。タンク24は、交換可能である。樹脂供給路26は、タンク24と造形ヘッド20とに接続されている。樹脂供給路26を介して、タンク24内の樹脂材料は造形ヘッド20に供給される。樹脂供給路26としては、例えば、可撓性を有するチューブが挙げられる。樹脂供給路26は、金属製の管であってもよい。ホルダ15には、モータ28が配置されている。モータ28を駆動させることによって、樹脂供給路26内の樹脂材料を造形ヘッド20に供給することができる。モータ28は、後述の回路基板68と電気的に接続されている。モータ28は、コンピュータ75により制御される。
【0050】
コンピュータ75は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像に基づいて、ステージ50の位置および姿勢を検出する。コンピュータ75は、ステージ機構30に通信可能に接続されている。ステージ機構30は、コンピュータ75に常時接続されていてもよく、適宜に接続されていてもよい。また、ステージ機構30とコンピュータ75との接続は、有線による接続に限らず、無線による接続であってもよい。コンピュータ75は、中央演算処理装置(以下、CPUという)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えていてもよい。コンピュータ75は、ステージ機構30のための専用のコンピュータであってもよく、パーソナルコンピュータのような汎用的なコンピュータであってもよい。
【0051】
図6に示すように、コンピュータ75は、第1算出部91と、第2算出部92と、第3算出部93と、第4算出部94と、検出部95と、判断部96と、補正部97と、を備えている。
【0052】
第1算出部91は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像から目印86を検出する。第1算出部91は、検出された目印86の位置に基づいてステージ50のZ軸回りの回転角度α(
図7参照)を算出する。
図7において、二点鎖線は、パターン80が原点位置に存在する状態を表している。実線は、パターン80が原点位置に対してZ軸回りに角度α回転したときの状態を表している。
【0053】
本実施形態の原点位置は、以下の(1)から(5)に基づいて決定される。(1)第1ベース42とステージ50とが平行に配置されている。(2)カメラ70のレンズ72の中心72Cが第1ベース42の中心に配置されている。(3)パターン80の交差点89Cがステージ50の下面50Bの中心に設けられている。(4)レンズ72の中心72Cを通る垂線U(
図2参照)上にパターン80の交差点89Cが配置されている。(5)目印86が所定の位置に配置されている。本実施形態の原点位置は、ステージ50と第1ベース42とが平行に配置され、ステージ50がX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りに回転しておらず、カメラ70からパターン80を見たときに、第1〜第4のサブパターン81〜84の長辺85LがX軸と平行に延びかつ短辺85SがY軸と平行に延びるときのステージ50の位置である。なお、原点位置は任意に定めることができる。原点位置に関する情報としては、パターン80が原点位置にある状態でカメラ70によって撮影されたパターン80の画像における、後述の第1〜第4長さL1〜L4の長さ情報が、ステージ50の回転角度の検出および位置の検出に必要である。パターン80が原点位置にある状態でカメラ70によって撮影されたパターン80の画像における、第1〜第4長さL1〜L4の長さは予め算出される。これら原点位置に関する情報は、予めコンピュータ75に記憶されている。目印86の位置と、回転角度αとの関係は予めコンピュータ75に記憶されている。
【0054】
第2算出部92は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像において、
図5に示すように、第1のサブパターン81の頂点81Tと、第2のサブパターン82の頂点82Tと、第3のサブパターン83の頂点83Tと、第4のサブパターン84の頂点84Tと、を検出する。第2算出部92は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像において、第1の頂点81Tから第2の頂点82Tまでの第1長さL1と、第3の頂点83Tから第4の頂点84Tまでの第2長さL2と、第1の頂点81Tから第3の頂点83Tまでの第3長さL3と、第2の頂点82Tから第4の頂点84Tまでの第4長さL4と、を算出する。第2算出部92は、第1〜第4長さL1〜L4をサブピクセル精度で算出するとよい。第1〜第4長さL1〜L4は、ステージ50の位置および姿勢によって異なる。第2算出部92は、パターン80が原点位置にある状態でカメラ70によって撮影されたパターン80の画像における、第1〜第4長さL1〜L4の長さを算出する。
【0055】
第3算出部93は、第2算出部92によって算出された第1長さL1と第2長さL2との比からステージ50のX軸回りの回転角度γ(
図8参照)を算出する。
図8において、二点鎖線は、パターン80が原点位置に存在する状態を表している。実線は、パターン80が原点位置に対してX軸回りに角度γ回転したときの状態を表している。第1長さL1と第2長さL2との比と、回転角度γとの関係は予めコンピュータ75に記憶されている。
【0056】
第4算出部94は、第2算出部92によって算出された第3長さL3と第4長さL4との比からステージ50のY軸回りの回転角度β(
図9参照)を算出する。
図9において、二点鎖線は、パターン80が原点位置に存在する状態を表している。実線は、パターン80が原点位置に対してY軸回りに角度β回転したときの状態を表している。第3長さL3と第4長さL4との比と、回転角度βとの関係は予めコンピュータ75に記憶されている。
【0057】
検出部95は、ステージ50の姿勢を検出する。検出部95は、第3算出部93によって算出されたX軸回りの回転角度γ、第4算出部94によって算出されたY軸回りの回転角度β、および第1算出部91によって算出されたZ軸回りの回転角度αに基づいて、ステージ50の姿勢を検出する。検出部95は、ステージ50の位置を検出する。検出部95は、第3算出部93によって算出されたX軸回りの回転角度γ、第4算出部94によって算出されたY軸回りの回転角度β、および第1算出部91によって算出されたZ軸回りの回転角度α、第2算出部92によって算出された第1〜第4長さL1〜L4、および原点位置で算出された第1〜第4長さL1〜L4に基づいて、第1の頂点81Tと第4の頂点84Tとを結ぶ第1の線分89A(
図5参照)と第2の頂点82Tと第3の頂点83Tとを結ぶ第2の線分89B(
図5参照)との交差点89Cをステージ50の位置として検出する。
図8に示すように、ステージ50に設けられたパターン80(
図5参照)の交差点89Cとカメラ70のレンズ72の中心72Cとの距離Mおよび交差点89CのXYZ座標即ちステージ50の位置は、ステージ50の姿勢、即ち回転角度α、回転角度βおよび回転角度γと、第2算出部92によって算出された第1〜第4長さL1〜L4と、原点位置で算出された第1〜第4長さL1〜L4とに基づいて、算出される。ステージ50の形状は予めコンピュータ75に記憶されているため、交差点89Cを検出することによって、ステージ50の上面50Uおよび下面50Bの任意の位置を検出することができる。検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢に関する情報は、判断部96へと出力される。
【0058】
判断部96は、検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢(以下、「実際の位置」ともいう。)と、各アクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢(以下、「制御上の位置」ともいう。)とが一致しているか否かを判断する。各アクチュエータ65の回転角度に関する情報は、判断部96へと常時出力される。判断部96により、実際の位置と、制御上の位置とが異なると判断されると、判断部96は、補正部97に信号を出力する。なお、ステージ50の制御上の位置および姿勢は、アクチュエータ65のステップ数から導いてもよい。
【0059】
補正部97は、判断部96から信号を受信したとき、すなわち、検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢と、各アクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢とが異なる場合、各アクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢が、検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢となるように各アクチュエータ65の回転角度を補正する。
【0060】
次に、
図10を参照しながら、本実施形態に係るステージ機構30におけるステージ50の位置および姿勢の検出並びに補正について説明する。
図10は、本実施形態に係るステージ機構30におけるステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理のフローチャートである。
【0061】
まず、3次元造形装置10が造形物の3次元造形を開始すると、ノズル22から吐出された樹脂材料を順次積層し、所定の断面形状の樹脂層を形成するためにステージ50が移動する。これにより、ステージ機構30において、ステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理が開始される。
【0062】
ステップS10において、カメラ70は、ステージ50に設けられたパターン80を撮影する。撮影されたパターン80の画像は、コンピュータ75に出力される。
【0063】
次に、ステップS20において、第2算出部92は、サブパターン81〜84の位置および姿勢を検出する。詳細には、第2算出部92は、ステップS10において撮影されたパターン80の画像から黒い領域を抽出する。例えば、パターン80の画像において、予め設定した閾値よりも画素の輝度が低い領域が黒い領域として抽出される。第2算出部92は、抽出された各黒い領域の位置およびサイズをサブピクセル精度で検出する。第2算出部92は、一の黒い領域の長辺の長さと、他の一の黒い領域の長辺の長さと、一の黒い領域と他の一の黒い領域との距離とが実質的に同じ長さのものを検出する。
図4に示す例では、第1のサブパターン81と第2のサブパターン82とのペア、および第3のサブパターン83と第4のサブパターン84とのペアを検出する。第2算出部92は、一の黒い領域の短辺の長さと、他の一の黒い領域の短辺の長さと、一の黒い領域と他の一の黒い領域との距離とが実質的に同じ長さのものを検出する。
図4に示す例では、第1のサブパターン81と第3のサブパターン83とのペア、および第2のサブパターン82と第4のサブパターン84とのペアを検出する。このようにして、第2算出部92は、パターン80、即ち第1〜第4のサブパターン81〜84を検出する。
【0064】
次に、ステップS30において、第1算出部91は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像から目印86を検出する。詳細には、第1算出部91は、第2算出部92によって、検出された第1〜第4のサブパターン81〜84の中から、目印86が形成されたサブパターンを検出し、検出された目印86の位置に基づいてステージ50のZ軸回りの回転角度α(
図7参照)を算出する。
【0065】
次に、ステップS40において、第2算出部92は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像において、第1〜第4のサブパターン81〜84の各頂点81T〜84Tを検出する。第1〜第4のサブパターン81〜84は、各頂点81T〜84Tを頂点とする仮想四辺形88の内方に配置されている。仮想四辺形88は、第1〜第4のサブパターン81〜84に外接する。
【0066】
次に、ステップS50において、第2算出部92は、検出された各頂点81T〜84Tに基づいて、第1の頂点81Tから第2の頂点82Tまでの第1長さL1と、第3の頂点83Tから第4の頂点84Tまでの第2長さL2と、第1の頂点81Tから第3の頂点83Tまでの第3長さL3と、第2の頂点82Tから第4の頂点84Tまでの第4長さL4と、を算出する。
【0067】
次に、ステップS60において、第3算出部93は、第2算出部92によって算出された第1長さL1と第2長さL2との比からステージ50のX軸回りの回転角度γ(
図8参照)を算出する。
【0068】
次に、ステップS70において、第4算出部94は、第2算出部92によって算出された第3長さL3と第4長さL4との比からステージ50のY軸回りの回転角度β(
図9参照)を算出する。
【0069】
次に、ステップS80において、検出部95は、ステージ50の姿勢および位置を検出する。検出部95は、第3算出部93によって算出されたX軸回りの回転角度γ、第4算出部94によって算出されたY軸回りの回転角度β、および第1算出部91によって算出されたZ軸回りの回転角度αに基づいて、ステージ50の姿勢を検出する。検出部95は、回転角度γ、回転角度β、および回転角度α、第2算出部92によって算出された第1〜第4長さL1〜L4、および原点位置で算出された第1〜第4長さL1〜L4に基づいて、第1の頂点81Tと第4の頂点84Tとを結ぶ第1の線分89A(
図5参照)と第2の頂点82Tと第3の頂点83Tとを結ぶ第2の線分89B(
図5参照)との交差点89Cをステージ50の位置として検出する。
図8に示すように、ステージ50に設けられたパターン80(
図5参照)の交差点89Cとカメラ70のレンズ72の中心72Cとの距離Mおよび交差点89CのXYZ座標即ちステージ50の位置は、ステージ50の姿勢、即ち回転角度α、回転角度βおよび回転角度γと、第2算出部92によって算出された第1〜第4長さL1〜L4と、原点位置で算出された第1〜第4長さL1〜L4とに基づいて、算出される。
【0070】
次に、ステップS90において、判断部96は、検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢(即ち実際の位置)と、各アクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢(即ち制御上の位置)とが一致しているか否かを判断する。ステップS90において、実際の位置と、制御上の位置とが一致していると判断された場合、コンピュータ75は、ステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理を終了する。一方、実際の位置と、制御上の位置とが一致していないと判断部96により判断された場合、ステップS100に進む。このとき、判断部96は、補正部97に信号を出力する。
【0071】
ステップS100において、補正部97は、制御上の位置が、実際の位置となるように各アクチュエータ65の回転角度を補正する。補正部97が各アクチュエータ65の回転角度を補正し、制御上の位置と実際の位置とが一致すると、コンピュータ75は、ステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理を終了する。なお、このような、ステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理は、ステージ50が移動する毎に行ってもよいし、一定時間毎に行ってもよい。
【0072】
以上のように、ステージ機構30によれば、コンピュータ75は、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像に基づいて、ステージ50の位置および姿勢を検出する。カメラ70から見えるパターン80は、ステージ50の位置および姿勢によって異なっている。このため、カメラ70によって撮影されたパターン80の画像によって、ステージ50の位置および姿勢が一義的に決定される。カメラ70によって撮影されたパターン80の画像は、実際のステージ50に設けられたパターン80の画像であるため、コンピュータ75は、該パターン80の画像からステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。このように、ステージ機構30によれば、ステージ50の可動部分にエンコーダを用いなくとも、簡単な構造によってステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。また、例えばステッピングモータを用いてステージ50を可動する場合に、ステッピングモータとステージ50との間で生じるギヤ同士のバックラッシュなどの機械的な誤差が生じたり、ステッピングモータが脱調したりしたとしても、ステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0073】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図5に示すように、ステージ機構30は、パターン80に外接する仮想四辺形88を備え、パターン80は、目印86を備える。これにより、カメラ70によって撮影された画像における、パターン80に外接する仮想四辺形88および目印86の位置に基づいて、ステージ50の位置および姿勢が一義的に決定される。
【0074】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図6に示すように、コンピュータ75は、検出部95を備えている。検出部95は、算出されたX軸回りの回転角度γ(
図8参照)、Y軸回りの回転角度β(
図9参照)およびZ軸回りの回転角度α(
図7参照)に基づいて、ステージ50の姿勢を検出する。検出部95は、X軸回りの回転角度γ、Y軸回りの回転角度β、Z軸回りの回転角度α、第2算出部92によって算出された第1〜第4長さL1〜L4、および原点位置で算出された第1〜第4長さL1〜L4に基づいて、第1の線分89Aと第2の線分89Bとの交差点89Cをステージ50の位置として検出する。これにより、コンピュータ75は、第1〜第4のサブパターン81〜84を備えたパターン80の画像からステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0075】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図1に示すように、ステージ移動部60は、各ガイド部64を適宜に昇降させることにより、ステージ50をX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、X軸回り、Y軸回り、およびZ軸回りに移動させることができる。X軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Y軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルと、Z軸方向に移動可能なアクチュエータ付テーブルとを組み合わせたステージ移動部に比べて、アクチュエータ65の出力を抑えることができる。また、小型のアクチュエータを利用可能なので、ステージ移動部60を小型化することができる。また、ステージ移動部60はステージ50を6自由度で駆動し、ステージ50の位置および姿勢を自在に変更することができる。このため、ステージ50の位置および姿勢のバリエーションがより複雑化するが、コンピュータ75は、パターン80の画像の位置および大きさから、XYZ軸上のステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0076】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図2に示すように、カメラ70は、ステージ50の下方かつ第1ベース42に配置されている。6自由度パラレルリンク機構によって構成されたステージ移動部60では、ステージ50と第1ベース42との間には空間が形成されている。このため、ステージ50の下方かつ第1ベース42にカメラ70を配置したとき、カメラ70とステージ50との間には、カメラ70がステージ50に設けられたパターン80を撮影することを妨げるものが存在しない。これにより、カメラ70はパターン80を確実に撮影することができる。
【0077】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図6に示すように、コンピュータ75は、補正部97を備えている。アクチュエータ65が例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージ50の制御上の位置および姿勢とステージ50の実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージ50の正確な位置および姿勢を検出できると共に、補正部97によって、ステッピングモータの脱調を補正することができる。
【0078】
本実施形態の3次元造形装置10によれば、
図1に示すように、ノズル22から吐出される樹脂材料は、ステージ50の上面50Uで保持され、パターン80は、ステージ50の下面50Bに設けられ、カメラ70は、ステージ50の下方に配置されている。ノズル22から吐出された樹脂材料がパターン80を覆うことによってパターン80が汚れてしまうと、コンピュータ75は、撮影されたパターン80の画像に基づいてステージ50の位置および姿勢を検出できなくなる。しかし、3次元造形装置10によれば、ノズル22から吐出される樹脂材料はステージ50の上面50Uに保持され、パターン80が設けられたステージ50の下面50Bには樹脂材料は吐出されない。このため、パターン80は樹脂材料に覆われることがない。この結果、コンピュータ75は、撮影されたパターン80の画像からステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0079】
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係るステージ機構30を備えた3次元造形装置10の構造を示す側面図である。
図12は、第2実施形態に係るステージ機構30の平面図である。
図12において、説明の便宜上、ロッド62および第2ベース46の図示を省略している。
【0080】
図11に示すように、ステージ機構30は、相互に異なる位置に配置された3つのカメラ70を備えている。
図12に示すように、各カメラ70は、第1ベース42の周方向に等間隔を置いて配置されている。各カメラ70同士の間隔は、等間隔に限定されず任意である。各カメラ70は、相互に異なる位置からステージ50に設けられたパターン80を撮影する。カメラ70の数は3つに限定されず、2つまたは4つ以上であってもよい。
【0081】
コンピュータ75は、各カメラ70によって撮影されたパターン80の画像のうちパターン80が最も大きく撮影された画像に基づいて、ステージ50の位置および姿勢を検出する。
【0082】
第1算出部91は、各カメラ70によって撮影されたパターン80の画像のうちパターン80が最も大きく撮影された画像から目印86を検出する。第1算出部91は、検出された目印86の位置に基づいてステージ50のZ軸回りの回転角度α(
図7参照)を算出する。
【0083】
第2算出部92は、各カメラ70によって撮影されたパターン80の画像のうちパターン80が最も大きく撮影された画像において、頂点81T(
図5参照)と、頂点82T(
図5参照)と、頂点83T(
図5参照)と、頂点84T(
図5参照)と、を検出する。第2算出部92は、各カメラ70によって撮影されたパターン80の画像のうちパターン80が最も大きく撮影された画像において、第1〜第4長さL1〜L4(
図5参照)を算出する。
【0084】
本実施形態に係るステージ機構30によれば、
図11に示すように、カメラ70は、2以上のカメラから構成され、各カメラ70は、相互に異なる位置からパターン80を撮影する。ステージ50が大きく傾いたときに一のカメラ70ではステージ50に設けられたパターン80を撮影できない場合であっても、他の一のカメラ70でパターン80を撮影できるように、カメラ70を配置することができる。すなわち、ステージ50の可動領域をより広げた場合であっても、ステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0085】
本実施形態に係るステージ機構30によれば、コンピュータ75は、撮影されたパターン80の画像のうちパターン80が最も大きく撮影された画像に基づいて、ステージ50の位置および姿勢を検出する。このように、パターン80が最も大きく撮影された画像に基づいて、ステージ50の位置および姿勢を検出するため、ステージ50の正確な位置および姿勢をより確実に検出することができる。
【0086】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るステージ機構30の主要要素のブロック図である。なお、
図13において、第1実施形態の要素と同一の作用効果を奏する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0087】
図13に示すように、コンピュータ75は、第1算出部91と、第2算出部92と、第3算出部93と、第4算出部94と、検出部95と、判断部96と、停止部99と、を備えている。
【0088】
判断部96により、実際の位置と、制御上の位置とが異なると判断されると、判断部96は、停止部99に信号を出力する。
【0089】
停止部99は、判断部96から信号を受信したとき、すなわち、検出部95によって検出されたステージ50の位置および姿勢と、各アクチュエータ65の回転角度から導かれるステージ50の制御上の位置および姿勢とが異なる場合、各アクチュエータ65の動作を停止させる。これにより、ステージ50の駆動も停止される。
【0090】
図14は、本実施形態に係るステージ機構30におけるステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに補正処理のフローチャートである。なお、第1実施形態と同様の処理については、その説明を省略する。
【0091】
ステップS90において、判断部96により、実際の位置と、制御上の位置とが一致していないと判断された場合、ステップS120に進む。このとき、判断部96は、停止部99に信号を出力する。
【0092】
ステップS120において、停止部99は、各アクチュエータ65の動作を停止させる。この結果、ステージ50の駆動が停止される。ステージ50の駆動が停止されると、コンピュータ75は、ステージ50の位置および姿勢の検出処理並びに停止処理を終了する。
【0093】
なお、本実施形態において、コンピュータ75は、補正部97をさらに備えていてもよい。この場合、ステップS90において、判断部96により、実際の位置と、制御上の位置とが一致していないと判断されると、判断部96は、補正部97に信号を出力する。そして、ステップS120において、停止部99が各アクチュエータ65の動作を停止させた後に、補正部97は、制御上の位置が、実際の位置となるように各アクチュエータ65の回転角度を補正する。これにより、例えば、ステージ50上での3次元造形を継続して行うことができる。
【0094】
本実施形態のステージ機構30によれば、
図13に示すように、コンピュータ75は、停止部99を備えている。アクチュエータ65が例えばステッピングモータから構成されている場合、ステッピングモータが脱調したときに、ステージ50の制御上の位置および姿勢とステージ50の実際の位置および姿勢とに差がでることがある。しかし、上記態様によれば、ステッピングモータが脱調した場合であっても、ステージ50の正確な位置および姿勢を検出できると共に、停止部99によって、ステッピングモータの動作が停止され、ステージ50の駆動を停止することができる。特に、外部からの予期せぬ衝撃がステージ50に加わることによって、ステージ50上での3次元造形が失敗に終わったことが明らかになったとき等に有効である。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することが可能である。
【0096】
上述した実施形態では、パターン80は、ステージ50の下面50Bに設けられていたが、ステージ50の上面50Uに設けてもよい。この場合、造形ヘッド20のノズル22から吐出された樹脂材料が配置されない部分に、パターン80を設けるとよい。また、ステージ50に取り付けた部材にパターン80を設けてもよい。これにより、造形ヘッド20のノズル22から吐出された樹脂材料が配置されない部分に、パターン80を設けることができる。なお、パターン80の配置を変更しても、上述した実施形態において定義した原点位置からのパターン80のオフセット量を考慮することによって、計算によりステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0097】
上述した実施形態では、カメラ70は、ステージ50の下方に配置されていたが、ステージに50に設けられたパターン80を撮影することができる限りにおいて、ステージ50の上方に配置してもよいし、ステージ50の側方に配置してもよい。これにより、カメラ70は、ステージ50、ステージ50上に配置された樹脂材料、およびロッド62に妨げられることなくパターン80を撮影することができる。なお、カメラ70の配置を変更しても、カメラ70のレンズ72の中心72Cのオフセット量を考慮することによって、ステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0098】
上述した実施形態では、ステージ機構30は、3次元造形装置10に用いる場合について説明したが、これに限定されない。ステージ機構30は、例えば、切削加工機に用いてもよい。この場合、加工ツールをステージ50に取り付けて被切削物を加工したり、固定された加工ツールに対してステージ50を移動させ、ステージ50上に配置した被切削物を加工したりしてもよい。
【0099】
上述した実施形態では、ステージ移動部60は、ステージ50を6自由度で駆動していたが、これに限定されない。ステージ50を3自由度、4自由度または5自由度で駆動するステージ移動部を用いてもよい。
【0100】
上述した実施形態では、原点位置は、カメラ70のレンズ72の中心72Cが第1ベース42の中心に配置され、パターン80の交差点89Cがステージ50の下面50Bの中心に設けられているときのものであったが、これに限定されない。例えば、レンズ72の中心72Cが第1ベース42の中心からずれた位置に配置されていてもよいし、パターン80の交差点89Cがステージ50の下面50Bの中心からずれた位置に設けられていてもよい。かかる場合であっても、レンズ72の中心72Cおよびパターン80の交差点89Cに対するオフセット量を考慮することによって、ステージ50の正確な位置および姿勢を確実に検出することができる。
【0101】
上述した実施形態では、パターン80は、長方形状に形成された第1〜第4のサブパターン81〜84を備え、ステージ機構30は、第1〜第4のサブパターン81〜84に外接する仮想四辺形88を備えていたが、これに限定されない。例えば、
図15に示すように、ステージ機構30は、三角形状のパターン80と、パターン80に外接する仮想四辺形88とを備えていてもよい。仮想四辺形88は、
図5に示す仮想四辺形88の4つの頂点81T〜84Tと、第1〜第4長さL1〜L4とを同様に備えている。また、仮想四辺形88の頂点81Tと頂点84Tとを結ぶ線分を第1の線分89Aとし、頂点82Tと頂点83Tとを結ぶ線分を第2の線分89Bとしたとき、第1の線分89Aと第2の線分89Bとの交差点89Cが、ステージ50の位置および姿勢を示す基準点となる。また、
図16に示すように、ステージ機構30は、円形状のパターン80と、パターン80に外接する仮想四辺形88とを備えていてもよい。仮想四辺形88は、
図5に示す仮想四辺形88の4つの頂点81T〜84Tと、第1〜第4長さL1〜L4とを同様に備えている。また、仮想四辺形88の頂点81Tと頂点84Tとを結ぶ線分を第1の線分89Aとし、頂点82Tと頂点83Tとを結ぶ線分を第2の線分89Bとしたとき、第1の線分89Aと第2の線分89Bとの交差点89Cが、ステージ50の位置および姿勢を示す基準点となる。
【0102】
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。