(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
本実施形態の熱制御装置を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態の熱制御装置1の構成を示す概略図である。
【0012】
前記熱制御装置1は、放熱板11と、支持部材12とを備える。前記放熱板11は、熱制御対象物2方向に延びる伝熱部材13を備える。支持部材12は、前記放熱板11と前記熱制御対象物2との間に配置され、前記放熱板及び前記伝熱部材13を前記熱制御対象物2から離して支持する。
【0013】
前記放熱板11の材料は、高い熱伝導率を有し、放熱性に優れた材料で、一般に放熱板に用いられる材料であれば特に限定なく用いることが出来る。当該材料の一例としては金属を挙げることができる。当該金属の中では、放熱性の観点からアルミニウム、銅、又はこれらの合金が好ましい。これらの中でも、放熱性の観点、加工性の観点、軽量化の観点から、アルミニウムがより好ましい。前記放熱板11は、放熱を促進するためのフィンを備えていても良い。
【0014】
前記支持部材12は、予め定められた温度Th以上のときに形状が変化し、予め定められた温度Th未満のときには元の形状に戻る。予め定められた温度Th以上のときに形状が変化し、予め定められた温度Th未満のときには元の形状に戻る材料としては温度応答性高分子が挙げられ、当該温度応答性高分子としては、液晶エラストマーが挙げられる。当該液晶エラストマーとしては、液晶ポリウレタンエラストマー、液晶シリコーンエラストマー、液晶アクリレートエラストマー、ポリN置換(メタ)アクリルアミド(例えば、ポリN−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルエーテル等が例示できるが、いずれを用いるかは熱制御対象物2の特性、環境温度、所望の断熱性能、放熱性能、等を考慮して適宜決定することができる。断熱と放熱の切り替えの観点から、前記放熱板11及び伝熱部材13の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料が好ましい。
【0015】
一例としては、前記熱制御対象物2が常温付近(例えば−10〜40℃)での使用が想定されるものである場合(例えば、前記特許文献1及び2に記載の充電池)、前記支持部材12の材料は、軽量化の観点、断熱性能と放熱性能の切り替えの観点、予め定められた温度の調整の観点、及び形状変化の大きさの観点から液晶エラストマーが好ましい。
【0016】
[液晶エラストマー]
前記液晶エラストマーの例としては、活性水素基を有するメソゲン基含有化合物にアルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドを付加した液晶性化合物と、当該液晶性化合物の活性水素基と反応する化合物とを反応させて得られる液晶エラストマーが挙げられる。当該液晶性化合物は、液晶性が発現する温度範囲が低い。当該液晶性化合物を用いることにより、無溶媒でかつ液晶性が発現した状態で反応硬化を行うことができる。前記液晶エラストマーは、原料である前記液晶性化合物の液晶性が発現する温度範囲が低く、かつ架橋によるネットワーク構造を有するため、低温(室温付近)で液晶性とゴム弾性を有する。当該液晶エラストマーは、メソゲン基が一軸方向に配向しているため、熱が加わることによりメソゲン基の配向度が減少して配向方向に縮み、熱を除くことによりメソゲン基の配向度が増加して配向方向に伸びるという特徴的な応答挙動を示す。
【0017】
〔活性水素基を有するメソゲン基含有化合物にアルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドを付加した液晶性化合物〕
前記メソゲン基含有化合物は、低温(例えば、特許文献1及び2に記載の充電池の使用が想定される温度)での液晶性とゴム弾性を発現させる観点から、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【0018】
【化1】
(式中、Xは活性水素基であり、R
1は単結合、−N=N−、−CO−、−CO−O−、又は−CH=N−であり、R
2は単結合、又は−O−であり、R
3は単結合、又は炭素数1〜20のアルキレン基である。ただし、R
2が−O−であり、かつR
3が単結合である場合を除く。)
【0019】
Xとしては、例えば、OH、SH、NH
2、COOH、又は二級アミンなどが挙げられる。
【0020】
液晶相から等方相へ、又は等方相から液晶相への転移温度(Ti)が、0〜100℃である液晶エラストマーを得るために、ビフェニル骨格(R
1が単結合)を有する化合物を用いることが好ましい。また、R
3がアルキレン基の場合、炭素数は2〜10であることが好ましい。
【0021】
付加するアルキレンオキシドは特に制限されず、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルグリシジルエーテル、及びアリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。付加するスチレンオキシドは、ベンゼン環にアルキル基、アルコキシル基、又はハロゲンなどの置換基を有していてもよい。液晶相から等方相へ、又は等方相から液晶相への転移温度(Ti)が、0〜100℃である液晶エラストマーを得るために、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、及びスチレンオキシドからなる群より選択される少なくとも1種のオキシドを付加することが好ましい。
【0022】
また、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドは、一般式(1)で表される化合物1モルに対して2〜10モル付加することが好ましく、2〜8モル付加することがより好ましい。付加モル数が2モル未満の場合には、液晶性化合物の液晶性が発現する温度範囲を十分に下げることが難しくなり、無溶媒でかつ液晶性が発現した状態で反応硬化を行うことが困難になる傾向にある。一方、付加モル数が10モルを超える場合には、液晶性化合物が液晶性を発現しなくなる傾向にある。
【0023】
前記液晶性化合物は、液晶相から等方相へ、又は等方相から液晶相への転移温度(Ti)が、15〜150℃であることが好ましく、より好ましくは25〜125℃である。
【0024】
前記液晶性化合物は、1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
〔前記液晶性化合物の活性水素基と反応する化合物〕
前記液晶性化合物の活性水素基と反応する化合物としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、シラノール基含有化合物、ハロゲン化物、カルボン酸、アルコールなどが挙げられる。特に、液晶相から等方相へ、又は等方相から液晶相への転移温度(Ti)が、0〜100℃である液晶エラストマーを得るために、イソシアネート化合物を用いることが好ましい。以下、液晶エラストマーについて、液晶ポリウレタンエラストマーを例に挙げて説明する。
【0026】
液晶ポリウレタンエラストマーの原料であるイソシアネート化合物は、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。例えば、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
液晶ポリウレタンエラストマー内に架橋点を導入してネットワーク化するために、3官能以上のイソシアネート化合物を併用することが好ましく、特に3官能のイソシアネート化合物を併用することが好ましい。3官能以上のイソシアネート化合物としては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、及びビシクロヘプタントリイソシアネートなどのトリイソシアネート、テトライソシアネートシランなどのテトライソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、多量化ジイソシアネートを用いてもよい。多量化ジイソシアネートとは、3つ以上のジイソシアネートが付加することにより多量化したイソシアネート変性体又はそれらの混合物である。イソシアネート変性体としては、例えば、1)トリメチロールプロパンアダクトタイプ、2)ビュレットタイプ、3)イソシアヌレートタイプなどが挙げられる。
【0028】
ジイソシアネートと3官能のイソシアネート化合物を併用する場合、前者/後者=19/1〜1/1(重量比)で配合することが好ましい。
【0029】
前記液晶エラストマーの効果を損なわない範囲で高分子量ポリオールを用いてもよい。高分子量ポリオールとしては、液晶ポリウレタンエラストマー内に架橋点を導入してネットワーク化するために、水酸基数3以上の高分子量ポリオールを用いてもよい。水酸基数は3であることが好ましい。高分子量ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリエステルポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
高分子量ポリオールの他に、前記液晶エラストマーの効果を損なわない範囲で活性水素基含有低分子量化合物を用いてもよい。活性水素基含有低分子量化合物とは、分子量が400未満の化合物であり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、テトラメチロールシクロヘキサン、メチルグルコシド、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、スクロース、2,2,6,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサノール、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等の低分子量ポリオール;エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、及びジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミン;モノエタノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、及びモノプロパノールアミン等のアルコールアミンなどが挙げられる。これら活性水素基含有低分子量化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
前記液晶エラストマーは、原料として前記液晶性化合物を50〜90重量%含むことが好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。液晶性化合物の配合量を多くしてメソゲン基の含有量を多くすることにより、温度変化によって大きく変形する液晶エラストマーを得ることができる。本発明においては、前記液晶性化合物を用いているため、液晶性化合物の含有量を多くしても得られる液晶エラストマーは低弾性率である。液晶性化合物の含有量が50重量%未満の場合には、液晶エラストマーの液晶が発現し難くなる傾向にある。一方、液晶性化合物の含有量が90重量%を超える場合には、分子内に架橋点を導入し難くなるため、硬化し難くなる傾向にある。
【0032】
前記液晶ポリウレタンエラストマーは、ポリウレタン原料組成物を加熱してウレタン化反応によって硬化させることにより得られる。そして、ウレタン化反応中に、液晶性化合物が液晶性を発現した状態で、液晶性化合物のメソゲン基を一軸方向に配向させ、メソゲン基を配向させた状態で硬化させる。メソゲン基を一軸方向に配向させる方法は特に制限されないが、例えば、配向膜上でウレタン化反応を行う方法、ウレタン化反応時に電場又は磁場をかけて配向させる方法、半硬化状態の時に延伸する方法などが挙げられる。
【0033】
活性水素基を有するメソゲン基含有化合物に、アルキレンオキシド及び/又はスチレンオキシドを付加することによりメソゲン基の熱的安定性が低下し、それにより液晶性が発現する温度範囲を低下させることが出来る。当該液晶性化合物を用いることにより、無溶媒でかつ液晶性が発現した状態で反応硬化を行うことができる。液晶性が発現した状態で反応硬化を行うことにより、メソゲンの結晶性を阻害して結晶相の形成を防ぐことができる。
【0034】
ポリウレタン原料組成物中の液晶性化合物の含有量は50〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜80重量%である。ポリウレタン原料組成物は無溶媒条件下で各原料成分を混合して調整する。
【0035】
前記液晶ポリウレタンエラストマーは、プレポリマー法により製造してもよく、ワンショット法により製造してもよい。なお、第3級アミン系等の公知のウレタン反応を促進する触媒を使用してもかまわない。
【0036】
前記液晶エラストマーは、液晶相から等方相へ、又は等方相から液晶相への転移温度(Ti)が、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは0〜85℃である。
【0037】
前記予め定められた温度Thは、前記支持部材12を構成する材料に応じて適宜調整することができる。一例としては、前記支持部材12の材料として液晶ポリウレタンエラストマーを用いた場合、前記予め定められた温度Thの調整は、前記液晶ポリウレタンエラストマーのTiを調整することによって行うことが出来る。前記液晶ポリウレタンエラストマーのTiは、種々の手法により調整することが出来る。例えば、前記一般式(1)で表されるメソゲンジオールのアルキレンオキサイドの付加数が大きいと前記Tiが小さくなり、当該付加数が小さいとTiが大きくなることから、当該アルキレンオキサイドの付加数を調整することによりTiを調整することができる。他の例としては、前記液晶ポリウレタンエラストマー内に架橋点が多いとTiが小さくなり、当該架橋点が少ないとTiが大きくなることから、架橋剤を調整することによりTiを調整することができる。他の例としては、液晶性発現の元となるメソゲンの凝集を阻害する方向に配合を調整するとTiが小さくなり、凝集を誘起する方向に配合を調整するとTiが大きくなることから、メソゲンの凝集を調整することによりTiを調整することができる。また、前記メソゲンジオールの含有量が多くなるほどTiは高くなるので、当該含有量を調整することによっても液晶ポリウレタンエラストマーのTiを調整することができる。液晶ポリウレタンエラストマーの原料であるイソシアネート化合物として高結晶性イソシアネート化合物、芳香環含有イソシアネート化合物を用いるとTiが高くなる傾向があることから、イソシアネート化合物の種類によってTiを調整することができる。
【0038】
前記支持部材12の形状変化は、前記支持部材12を構成する材料に応じて適宜調整することができる。一例としては、前記支持部材12の材料として液晶ポリウレタンエラストマーを用いた場合、モノドメイン化の延伸方向(モノドメインの配向方向)が変形方向になるため、当該配向方向(延伸方向)を基に形状変化の方向を調整することが出来る。前記支持部材12の材料として液晶ポリウレタンエラストマーを用いた場合の形状の変化量の調整は、例えば、液晶ポリウレタンエラストマーは延伸量が多い方、すなわち、配向度が大きい方が前記変形量が大きくなるので、当該延伸量を調整することによって前記変形量を調整することができる。他の例としては、前記液晶ポリウレタンエラストマー内に架橋点が多いと前記変形量が小さくなり、当該架橋点が少ないと前記変形量が大きくなることから、架橋剤を調整することにより前記変形量を調整することができる。他の例としては、液晶性発現の元となるメソゲンの凝集を阻害する方向に配合を調整すると前記変形量が小さくなり、凝集を誘起する方向に配合を調整すると前記変形量が大きくなることから、メソゲンの凝集を調整することにより前記変形量を調整することができる。
【0039】
前記伝熱部材13の材料は、高い熱伝導率を有し、前記支持部材12よりも高い熱伝導率を有する材料であれば特に限定なく用いることが出来る。当該材料の一例としては金属を挙げることができる。当該金属の中では、高い熱伝導率を有するアルミニウム、銅、又はこれらの合金が好ましい。これらの中でも、放熱性の観点、加工性の観点、軽量化の観点から、アルミニウムがより好ましい。
【0040】
図2は、予め定められた温度Th以上のときの前記熱制御装置1の状態を示す概略図である。前記熱制御対象物2の温度が低く、支持部材12が予め定められた温度Th未満のときは、
図1で示されるように、前記伝熱部材13は、熱伝導率が比較的低い前記支持部材12で支持されて前記熱制御対象物2と離れているため、前記熱制御対象物2の熱は放熱板11に伝わりにくい。そのため、前記熱制御対象物2の温度が低い場合は、本実施形態の熱制御装置1は断熱性に優れる。前記熱制御対象物2の温度が高くなり、前記支持部材12の温度が予め定められた温度Th以上になると、前記支持部材12の形状が変化することにより、
図2で示されるように、前記伝熱部材13と前記熱制御対象物2が接触し、前記熱制御対象物2の熱が前記伝熱部材13によって前記放熱板11に伝わるため、放熱性が向上する。そのため、前記熱制御対象物の温度が高いときは、本実施形態の熱制御装置は放熱性に優れる。また、前記熱制御対象物2の温度が低くなり、前記支持部材12の温度が予め定められた温度Th未満になると、前記支持部材12の形状が図で示される状態に戻り、前記伝熱部材13は前記熱制御対象物2から離れ、前記熱制御対象物2の熱は放熱板11に伝わりにくくなる。
【0041】
前記熱制御対象物2は必ずしも充電池等の発熱体である必要はなく、例えば、前記支持部材12を保持する部材であっても良い。当該部材は、前記支持部材12よりも高い熱伝導率を有する材料が好ましく、具体的には、前記放熱板11や前記伝熱部材13の材料として好ましい材料と同様の材料が挙げられる。前記熱制御対象物2が充電池等の発熱体では無い場合、充電池等の発熱体の熱を前記熱制御対象物2を介して制御する。
【0042】
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、第1の実施形態と異なる部分を説明する。第2の実施形態に係る熱制御装置1は、前記支持部材12に液晶エラストマーを用いる。当該液晶エラストマーとしては、液晶ポリウレタンエラストマーが例示できる。第2の実施形態において、前記液晶エラストマーは、内部に空隙を有する。前記液晶エラストマーが空隙を有することにより、予め定められた温度Th未満のときは熱伝導率がより低くなるため、断熱性に優れる。すなわち、支持部材12が空隙を有することにより、断熱性能と放熱性能をより大きく切り替えることができる。支持部材12の空隙率は、支持部材12が所望の断熱性能を有し、温度によって形状が変化すれば特に限定されない。空隙は、それぞれが独立していても良く、連続していても良いが、断熱性能と放熱性能をより大きく切り替える観点から独立空隙率が高い方が好ましい。空隙率及び独立空隙率は、所望の断熱性能及び放熱性能によって適宜設定することができる。断熱性の観点から、空隙率は高いほうが好ましいが、空隙率が99%を超えると装置を動かすことができなくなる傾向がある。
【0043】
空隙を有する液晶エラストマーの製造方法としては、メカニカルフロス法により気泡を取り込む方法、中空フィラーを含有させる方法、発泡剤により発泡させて空隙を設ける方法が挙げられる。メカニカルフロス法とは、原料成分をミキシングヘッドの混合室内に入れるとともに非反応性気体を混入させ、オークスミキサー等のミキサーで混合撹拌することにより、非反応性気体を微細気泡状態にして原料混合物中に分散させる方法である。メカニカルフロス法は、非反応性気体の混入量を調節することにより、容易にポリウレタン樹脂発泡体の密度を調整することができるため好ましい方法である。また、略球状の微細気泡を有するポリウレタン樹脂発泡体を連続成形することができるため製造効率がよい。
【0044】
〔製造例〕
参考として、液晶ポリウレタンエラストマーの製造例、及び当該液晶ポリウレタンエラストマーを温度応答性高分子部材に用いた熱制御装置を評価した。
【0045】
<評価方法>
[測定、評価方法]
〔液晶性化合物の含有量の算出〕
ポリウレタンエラストマー中の液晶性化合物の含有量は下記式により算出した。
液晶性化合物の含有量(重量%)={(液晶性化合物の重量)/(ポリウレタンエラストマーの全原料成分の重量)}×100
【0046】
〔液晶性化合物及びポリウレタンエラストマーの液晶相から等方相への転移温度(Ti)の測定〕
Tiは、示差走査熱量分析器DSC(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、商品名:X−DSC 7000)を用いて、20℃/分の条件で測定した。
【0047】
〔液晶性の評価〕
液晶性化合物及びポリウレタンエラストマーの液晶性の有無は、偏光顕微鏡(ニコン社製、商品名:LV−100POL)及び示差走査熱量分析器DSC(株式会社日立ハイテクサイエンス社製、商品名:X−DSC 7000)を用いて、20℃/分の条件で評価した。
【0048】
〔液晶発現時の貯蔵弾性率(E′)の測定〕
液晶ポリウレタンエラストマーの液晶発現時の貯蔵弾性率は、VES(株式会社上島製作所社製、商品名:全自動粘弾性アナライザ VR−7110)を用いて、2℃/分、ひずみ2%、及び10Hzの条件で測定した。
【0049】
〔熱制御装置の性能評価〕
熱制御装置の評価は、熱流計(江藤電気製:M55A,2300A)、ラバーヒーター(サミコン230,SBX3030K1S)を組み合わせた装置を用いて性能評価を行った。
1)熱伝導率
熱制御装置の熱伝導率は、当該熱制御装置の厚さ方向(
図1及び
図2に記載の熱制御装置における、放熱板から熱制御対象物の方向)についてJISA 1412−2に従って熱流計法によって測定した。
2)厚み変化率
予め定められた温度未満のときの熱制御装置(縦100mm×横100mm×厚さ10mm)の厚みに対する、予め定められた温度以上のときの熱制御装置の厚みの割合を求めた。
3)熱伝導率変化率
熱伝導率変化率は、予め定められた温度未満のときの熱制御装置の熱伝導率を100%とし、予め定められた温度以上のときの熱制御装置の熱伝導率の変化の度合いを表す。数値が大きい方がより大きく熱伝導率が変化したことを意味する。熱伝導率変化率は、以下の式により求めた。
熱伝導率変化率(%)=予め定められた温度以上のときの熱制御装置/予め定められた温度未満のときの熱制御装置の熱伝導率×100
【0050】
<製造例>
[液晶性化合物であるメソゲンジオールの合成]
反応容器にBH6(100g)、KOH3.8g、及びDMF600mlを入れて混合し、その後、プロピレンオキシドをBH6(1モル)に対して4当量添加し、加圧条件下で120℃で2時間反応させた。その後、シュウ酸3.0gを添加して付加反応を停止させ、吸引ろ過により塩を除去し、さらにDMFを減圧蒸留により除去して、目的物であるメソゲンジオール(構造異性体を含んでいてもよい)を得た。当該反応を下記化学式2に示す。
【0052】
〔製造例1〕
前記メソゲンジオール 100g、ヘキサメチレンジイソシアネート 34.5g、及びHDI系イソシアヌレート(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300) 3.7gを100℃で混合した。その後、反応溶液を予め100℃に加温した金型内に流し入れ、100℃で30分硬化させて、所定のサイズの半硬化状態の液晶ポリウレタンエラストマーを得た。金型から脱型した後、20℃で試料を一軸方向に伸長することで、液晶ポリウレタンエラストマーを作製した。
【0053】
〔製造例2〕
前記メソゲンジオール 100g、ヘキサメチレンジイソシアネート 34.5g、及びHDI系イソシアヌレート(住化バイエルウレタン株式会社製、スミジュールN3300) 3.7gを100℃で混合した。そして、撹拌翼を用いて、回転数900rpmで反応系内に気泡を取り込むように約4分間激しく撹拌を行った。その後、反応溶液を予め100℃に加温した金型内に流し入れ、100℃で30分硬化させて、所定のサイズの半硬化状態の液晶ポリウレタンエラストマーを得た。金型から脱型した後、20℃で試料を一軸方向に伸長することで、液晶ポリウレタンエラストマーを作製した。
【0054】
液晶ポリウレタンエラストマーに係る評価結果を表1に示す。
【0056】
<実施例(熱制御装置)>
〔熱制御装置〕
[実施例1]
本発明の熱制御装置を下記材料で製作した。
・放熱板:アルミニウム合金板(寸法1mm×100mm×100mm)
・伝熱部材:アルミニウム合金(寸法φ3mm×10mm:前記放熱板に均等な間隔で25本配置)
・支持部材:前記製造例1の液晶ポリウレタンエラストマー(寸法10mm×10mm×12mm:前記伝熱部材の間に配置)
・熱制御対象物:アルミニウム合金板(寸法1mm×100mm×100mm)
【0057】
実施例1に係る熱制御装置の評価結果を表2に示す。
【0059】
[実施例2]
実施例1の支持部材を製造例2に係る液晶ポリウレタンエラストマーに変更したこと以外は実施例1と同様に作製した。
【0060】
実施例2に係る熱制御装置の評価結果を表3に示す。
【0062】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、上記の説明はあらゆる点において本発明の一例にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことが可能である。