(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362978
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H01M 2/10 20060101AFI20180712BHJP
B25H 3/02 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
H01M2/10 U
B25H3/02
H01M2/10 M
H01M2/10 L
H01M2/10 K
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-191121(P2014-191121)
(22)【出願日】2014年9月19日
(65)【公開番号】特開2016-62808(P2016-62808A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀山 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀 篤
【審査官】
小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−050234(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/070858(WO,A2)
【文献】
特開2013−045689(JP,A)
【文献】
特開2012−048885(JP,A)
【文献】
特開2013−226622(JP,A)
【文献】
特開2007−015032(JP,A)
【文献】
特開2013−006254(JP,A)
【文献】
特開2013−066982(JP,A)
【文献】
特開2012−190736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
B25H 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース本体と該ケース本体を開閉する蓋部を有する収納ケースに、電動工具の電源として用いられる充電可能なバッテリパックを複数個収納し、収納した複数個のバッテリパックの電力を外部に出力するための電源出力部を備えており、
前記収納ケースは上下に段積み可能であり、上段側若しくは下段側の他の収納ケースに対する結合手段を備えており、
前記ケース本体に、前記複数個のバッテリパックを取り付けるためのバッテリ取り付け部を備えており、該複数のバッテリ取り付け部は、前後左右に複数列に配置されるとともに、各バッテリ取り付け部は前記ケース本体の底部から起立状態に設けて、各バッテリ取り付け部に対して前記バッテリパックを、前記ケース本体の深さ方向となる上下方向にスライドさせて取り付け、取り外し可能な構成とした電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置であって、前記収納ケースに持ち運び用のハンドルを備えた電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電源装置であって、前記収納ケースに、前記バッテリパックに加えて電動工具を収納可能な電源装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載した電源装置であって、前記電源出力部の出力電圧を切り替える電源制御装置を備えた電源装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載した電源装置であって、前記電源出力部は、外部電源出力用の接続手段として任意に選択して外部機器に接続可能な複数種類の接続機器を接続可能な電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載した電源装置であって、前記収納ケースの外面に、電動工具の電源として用いられるバッテリパックを保持するためのバッテリ保持部を備えた電源装置。
【請求項7】
請求項6記載の電源装置であって、前記バッテリ保持部は、前記バッテリパックを下方にスライドさせて取り付け、上方にスライドさせて取り外しをするためのレール部を備えた電源装置。
【請求項8】
請求項7記載の電源装置であって、前記蓋部は、前記バッテリ保持部に保持したバッテリパックのロック爪部が係合される係合部を有し、前記ケース本体に対して閉じられた状態では、該係合部に前記ロック爪部を係合させて前記バッテリパックの前記バッテリ保持部に対する保持状態をロックし、前記ケース本体を開放して該ロック状態を解除可能な構成とした電源装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載した電源装置であって、前記ケース本体内に装置起動用の一つの起動ボタンを備えた電源装置。
【請求項10】
請求項4に記載した電源装置であって、前記ケース本体内に前記電源制御装置を備えており、該電源制御装置の上面に前記出力電圧を切り替えるための切り替えボタンを備えた電源装置。
【請求項11】
請求項1〜3の何れか1項に記載した電源装置であって、前記ケース本体の左右方向同じ側の側部に、前記電源出力部と、該電源出力部に電源供給する電源制御装置を備えた電源装置。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載した電源装置であって、前記複数のバッテリ取り付け部は、左右方向に並列に並んだ状態で配置された電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばねじ締め機等の電動工具の電源として用いられる電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ締め機等の電動工具は、先端工具やバッテリ等の付属品とともに専用の収納ケースに収納して持ち運ぶことができる。この収納ケースは樹脂製のハードケースで、一般にプラケースとも称されている。従来、この種の収納ケースに関する様々な技術が下記の特許文献に開示されている。これら特許文献に開示されているように、収納ケースは、上方開放のケース本体とこれを開閉する蓋部を備えている。蓋部の閉じ状態は、ラッチ(ロック部材)によりロックされる。使用者は、ラッチを開放側に操作することにより蓋部を開放することができ、ラッチを閉じ側に操作することにより蓋部を閉じ状態にロックすることができる。
【0003】
従来より、この種の収納ケースには様々な工夫が施されている。例えば、下記の特許文献1に開示されているように複数の収納ケースを上下に段積みした際における搬送若しくは取り扱いの利便性を高めるための工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−226622号公報
【特許文献2】特開2013−193174号公報
【特許文献3】特開2011−131357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記段積み対応の収納ケースは、少なくとも電動工具を収納することを主たる目的として用いられるもので、電動工具以外の例えばバッテリパック等の周辺付属品についてはあくまで付属部品として収納されるに過ぎなかった。本発明は、電動工具を収納するために用いられている収納ケースを有効活用することにより、従来にない新規かつ有用な電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は以下の各発明により解決される。第1の発明は、ケース本体とケース本体を開閉する蓋部を有する収納ケースに、電動工具の電源として用いられる充電可能なバッテリパックを複数個収納し、収納した複数個のバッテリパックの電力を外部に出力するための電源出力部を備えた電源装置である。第1の発明によれば、収納ケースを複数個のバッテリパックを収納しておくためのケースとして利用できるほか、外部機器に電源を供給するための電源装置としても利用することができ、当該収納ケースの利便性を高めることができる。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、収納ケースに持ち運び用のハンドルを備えた電源装置である。第2の発明によれば、当該電源装置を持ち運ぶ際の利便性を高めることができる。
【0008】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、収納ケースに、バッテリパックに加えて電動工具を収納可能な電源装置である。第3の発明によれば、収納ケースの利便性をさらに高めることができる。
【0009】
第4の発明は、第1〜第3の何れか一つの発明において、収納ケースは上下に段積み可能であり、上段側若しくは下段側の他の収納ケースに対する結合手段を備えた電源装置である。第4の発明によれば、当該電源装置を段積み可能な電動工具の収納ケースと同様に取り扱うことができ、この点で当該電源装置の取り扱い性を一層高めることができる。
【0010】
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、電力出力部の出力電圧を切り替える電源制御装置を備えた電源装置である。第5の発明によれば、定格電圧の異なる外部機器に対してそれぞれ電源を供給することができ、この点で当該収納ケースの利便性及び外部機器に対する汎用性をより高めることができる。
【0011】
第6の発明は、第1〜第5の何れか一つの発明において、電源出力部は、外部電源出力用の接続手段として任意に選択して外部機器に接続可能な複数種類の接続機器を接続可能な電源装置である。第6の発明は、電源の接続形態が異なる外部機器を接続することができ、この点で当該収納ケースの利便性及び外部機器に対する汎用性を高めることができる。
【0012】
第7の発明は、ケース本体と、ケース本体を開閉する蓋部を有する収納ケースであって、外面に、電動工具の電源として用いられるバッテリパックを保持するためのバッテリ保持部を備えた収納ケースである。第7の発明によれば、収納ケースの外面を有効活用できるとともに、当該収納ケースの内部に収納した物品に加えてバッテリパックの持ち運びの利便性を高めることができる。
【0013】
第8の発明は、第7の発明において、バッテリ保持部は、バッテリパックを下方にスライドさせて取り付け、上方にスライドさせて取り外しをするためのレール部を備えた収納ケースである。第8の発明によれば、バッテリ保持部よりも上方領域であって当該収納ケースを設置した床面や作業台等の邪魔になる部位がない領域においてバッテリパックをバッテリ保持部に対して楽に取り付け、取り外しすることができるとともに、バッテリパックを下方に向けてスライドさせて取り付ける構成であるので、振動等による当該バッテリパックの不用意な脱落を防止することができる。
【0014】
第9の発明は、第8の発明において、蓋部は、バッテリ保持部に保持されたバッテリパックのロック爪部が係合される係合部を有し、ケース本体に対して閉じられた状態では、係合部にロック爪部を係合させてバッテリパックのバッテリ保持部に対する保持状態をロックし、ケース本体を開放してロック状態を解除可能な構成とした収納ケースである。第9の発明によれば、蓋部の係合部に対するロック爪部の係合により、バッテリ保持部に保持したバッテリパックの脱落を防止することができるとともに、蓋部を開ければこのロック状態が解除されてバッテリパックをバッテリ保持部から迅速に取り外すことができ、この点でバッテリパックの取り付け、取り外し時の操作性及び利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る電源装置の全体斜視図である。本図は、収納ケースの蓋部を閉じた状態を示している。
【
図2】本発明の実施形態に係る電源装置の全体斜視図である。本図は、収納ケースの蓋部を開けた状態を示している。
【
図3】本発明の実施形態に係る電源装置の全体斜視図である。本図は、バッテリパックをすべて取り出した状態を示している。
【
図4】バッテリ取り付け部に対するバッテリパックの取り付け操作を示す図である。
【
図6】バッテリパック単体を
図5中矢印(VI)方向から見た図である。
【
図7】バッテリパック単体を
図5中矢印(VII)方向から見た上面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電源装置を、他の収納ケースの上側に段積みした状態を示す斜視図である。
【
図9】収納ケースの全体斜視図である。本図は、外部取り付け部にバッテリパックを全て取り付けた状態を示している。
【
図10】収納ケースの全体斜視図である。本図は、外部取り付け部からバッテリパックをすべて取り外した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図10に基づいて説明する。
図1,2に示すように本実施形態の電源装置Pは、収納ケース1に多数個のバッテリパック10を収納した構成を備えている。収納ケース1は、上方開放のケース本体2とこれを開閉する蓋部3を備えている。ケース本体2及び蓋部3はそれぞれ合成樹脂の成形により製作されており、当該収納ケース1はいわゆるハードケースとなっている。
【0017】
蓋部3は、ケース本体2の後部にヒンジ部4を介して上下に回動可能に結合されている。蓋部3の上面には、持ち運び用のキャリングハンドル9が設けれている。キャリングハンドル9は、上下に回動可能に支持されており、
図1に示すように蓋部3の上面からはみ出さない位置に収納することができる。蓋部3の左右側部には、ベルト掛け部3d,3dが設けられている。左右のベルト掛け部3d,3d間に肩掛けベルト(図示省略)を掛け渡すことにより使用者は当該収納ケース1を肩に掛けて持ち運ぶことができる。
【0018】
蓋部3は、合計4箇所に設けたロック部材(ラッチ)5〜8により
図1に示す閉じ位置にロックされる。合計4箇所のロック部材5〜8は、前面左右寄りと左右側部の後部寄りに配置されている。4箇所のロック部材5〜8を含む各ロック機構は同様に構成されている。以下、前面左側のロック部材5を例にしてそのロック機構を説明する。ケース本体2の前面左側には、上下2段の本体側凹部2a,2dが設けられている。上下2段の本体側凹部2a,2dのうち、上側の本体側上凹部2a内にロック部材5が支持されている。ロック部材5は、本体側上凹部2a内において上下に変位可能かつ前後に傾動可能に支持されている。ロック部材5は、概ね平板形状を有する樹脂成形部品で、後ろ側のロック位置へ傾動させると本体側上凹部2aに収容されて前方へはみ出さない状態となる。
【0019】
本体側上凹部2aの底部には、2つの本体側凸部2b,2bが設けられている。本体側下凹部2dの底部には、2つの連結凸部2c,2cが設けられている。蓋部3の前面左側には、ケース本体2側の凹部2a,2dに連続する蓋側凹部3aが設けられている。この蓋側凹部3aには2つの蓋側凸部3b,3bが設けられている。それぞれ左右対をなす本体側凸部2b,2bと連結凸部2c,2cと蓋側凸部3b,3bは、すべて同じ寸法のブロック体形状を有して、左右同じ間隔に配置されている。
【0020】
図では見えにくいが、ロック部材5の後面(本体側上凹部2aの底部に対向する面)には、左右一対の係合凹部が上下二段に設けられている。蓋部3を閉じた状態で、ロック部材5を下側にスライドさせてロック側に傾動させると、その下段側の係合凹部に本体側凸部2b,2bが弾性的に嵌め込まれるとともに、その上段側の係合凹部に蓋側凸部3b,3bが同じく弾性的に嵌め込まれる。これによりロック部材5がロック位置に保持され、従って蓋部3が閉じられた状態にロックされる。この閉じロック状態でロック部材5を前方のアンロック側に傾動させれば、本体側凸部2b,2b及び蓋側凸部3b,3bに対する係合状態が外れて
図2に示すように蓋部3を開放可能となる。
【0021】
本体側下凹部2dに設けた連結凸部2c,2cは、当該収納ケース1を複数段に段積みした場合に、これら複数の収納ケース1〜1を一体で取り扱うことができるように連結する機能を有している。例示した収納ケース1を少なくとも2段に段積みした場合、ロック部材5を上側へスライドさせてロック側に傾動させると、その下段側の係合凹部に蓋側凸部3b,3bが弾性的に嵌め込まれ、その上段側の係合凹部に上側に段積みした収納ケース1側の連結凸部2c,2cが弾性的に嵌め込まれる。この操作を4箇所のロック部材5〜8について行うことにより、当該収納ケース1が蓋部3の閉じ状態にロックされるとともに、段積みした上側の収納ケース1と連結されて一体化された状態となる。段積みした複数の収納ケース1についてロック部材5〜8を同様に操作することにより、これら複数段に段積みした収納ケース1〜1を一体的に取り扱うことができることから、その取り扱い性及び搬送性が格段に高まり、また振動等により荷崩れしにくい段積み状態を得ることができる。
図8には、当該収納ケース1を上下2段に段積みした状態が示されている。この段積みについてはさらに後述する。
【0022】
本実施形態に係る収納ケース1は、ねじ締め機等の手持ち式電動工具ではなく、
図2に示すように多数のバッテリパック10が収納される点に特徴を有している。本実施形態では、
図2に示すように10個のバッテリパック10が収納されている。10個のバッテリパック10は、単に収納されているだけでなく、電気的に接続されて電力を出力可能な状態で収納されている。
図2に示すように10個のバッテリパック10は、左右方向に4個並列に並んだ状態のバッテリパック10の列が前後方向に2列配置され、さらにその後ろ側に2個のバッテリパック10が左右横並び状態で整然と配置されている。ケース本体2の後部左側には、電源制御装置13が収納されている。電源制御装置13は、ケース本体2の当該位置に固定されている。
【0023】
図3には、10個のバッテリパック10を全て取り外した状態が示されている。ケース本体2の底部には、合計10個のバッテリ取り付け部11が取り付けられている。
図5〜
図7に示すようにバッテリパック10は、直方体形状のバッテリケース内に複数本のセルを内装したもので、本実施形態では出力電圧18Vのリチウムイオンバッテリが用いられている。このバッテリパック10は、バッテリ取り付け部11から取り外して、別途用意した充電器で充電することにより繰り返し使用することができる。また、このバッテリパック10は、電動ねじ締め機や電動ドリル等の他の充電式電動工具のバッテリとしても用いられる汎用の高いスライド取り付け形式のバッテリで、他の充電式電動工具との間で共用する(使い回す)ことができる。
【0024】
バッテリパック10の正面には、左右一対のレール受け部10aが設けられている。左右レール受け部10aの内側に正負の端子受け部10b,10cが設けられている。正負の端子受け部10b,10c間には、充電器との間で各種の制御信号を送受信するためのコネクタ部10dが配置されている。コネクタ部10dの上方には、ロック爪10eが設けられている。このロック爪10eは、バッテリケース内に装着したばねにより正面側へ突き出す方向に付勢されている。
図7に示すようにバッテリパック10の上面には、アンロックボタン10fが設けられている。このアンロックボタン10fは、ロック爪10eと一体に設けられている。このため、アンロックボタン10fを指先で背面側へ押し下げ操作すると、ロック爪10eをばね付勢力に抗して下方へ引き込む方向(アンロック側)に移動させることができる。
【0025】
各バッテリ取り付け部11は同様の構成を備えている。
図4に示すようにバッテリ取り付け部11は、左右一対のレール部11aを備えている。レール部11aは上下方向に延びている。両レール部11aの内側には正負の接続端子11b,11cが配置されている。バッテリ取り付け部11の上部に、バッテリパック10側のロック爪10eが嵌り込む係合凹部11dが設けられている。バッテリ取り付け部11に対してバッテリパック10を上方から下方へ向けてスライドさせることにより、当該バッテリ取り付け部11に対して一つのバッテリパック10が取り付けられる。逆にバッテリパック10の取り付け状態において、使用者が指先でアンロックボタン10fをアンロック側に押し下げ操作し、これによりロック爪10eを係合凹部11dから退出させた状態で、上方へスライドさせることにより当該バッテリパック10をバッテリ取り付け部11から取り外すことができる。
【0026】
取り外したバッテリパック10は、
図4に示すようにその正面をバッテリ取り付け部11側に向けた向きで下方へ移動させて左右のレール受け部10aにレール部11aを進入させることにより、バッテリ取り付け部11に対して取り付けることができる。バッテリパック10を下方へスライドさせてロック爪10eが係合凹部11d内に弾性的に嵌り込むことにより、当該バッテリパック10がバッテリ取り付け部11に対して取り付けられた状態にロックされる。バッテリパック10がバッテリ取り付け部11に対して取り付けられると、正負の端子受け部10b,10cに正負の接続端子11b,11cが進入して当該バッテリパック10がバッテリ取り付け部11に対して電気的に接続された状態となる。なお、バッテリパック10のコネクタ部10dは、バッテリ取り付け部11に対しては接続されない。このコネクタ部10dは、当該バッテリパック10を別途用意する充電器に取り付けて充電する場合に、充電器側に各種の制御信号を出力するために充電器側のコネクタ受け部に接続される。
【0027】
各バッテリ取り付け部11は、電源制御装置13に接続されている。10個のバッテリ取り付け部11は、電源制御装置13に接続されている。電源制御装置13は、10個のバッテリパック10の各電力を統合し、逆に切り離して18V電源と36V電源を切り換えて出力可能とする機能を有している。電源制御装置13の上面には、装置起動用の一つの起動ボタン13aと、18V出力と36V出力の切り替えを行うための切り替えボタン13bが3つ配置されている。
【0028】
ケース本体2の左側部には、電源出力部12が設けられている。電源出力部12には、3つの接続コネクタ12a,12b,12cが設けられている。各接続コネクタ12a,12b,12cに対して電源制御装置13から18V又は36Vの電源が供給される。各接続コネクタ12a,12b,12cの出力電圧は、上記切り替えボタン13bの押し操作によって18V又は36Vに切り替えることができる。
【0029】
3つの接続コネクタ12a,12b,12cにはそれぞれ外部機器20を接続するための接続機器21,22,23を接続することができる。
図2には、接続機器21として差し込みコンセント式の電源コード、接続機器22として18V電源出力用の18Vアダプタと、接続機器23として36V電源出力用の36Vアダプタが電源出力部12の各接続コネクタ12a,12b,12cに接続された状態が示されている。接続機器21(電源コード)は、図示省略した外部機器の電源コンセントに接続して18V電源を供給することができる。接続機器22(18Vアダプタ)は、本体ケース2内に収納したバッテリパック10と同じバッテリケースを主体とするもので、外部機器20としてのねじ締め機に取り付けて18V電源を供給することができる。接続機器23(36Vアダプタ)は、外部機器としての例えば刈払い機(図示省略)のバッテリ取り付け部に取り付けて36V電源を供給することができる。
【0030】
以上説明した本実施形態の電源装置Pによれば、収納ケース1内に多数のバッテリパック10を収納して、これらの電力を18V又は36V電源として出力する大容量の電源装置として利用することができる。係る電源装置Pにより、上記ねじ締め機等の充電式電動工具あるいは、比較的大きな電力を要する刈払い機や芝刈機等の園芸工具を長時間連続使用することができる。
【0031】
本実施形態の電源装置Pは、他の電源装置Pあるいは他の電動工具の収納ケース30と段積み状態で一体に取り扱うことができる。
図8には、電動工具の収納ケース30の上側に本実施形態の電源装置Pを段積みした状態が示されている。下側の収納ケース30は、上記例示した本実施形態の電源装置Pの収納ケース1と同様の構成を備えている。同様の部材及び構成については同位の符号を付してその説明を省略する。上段側の収納ケース1と下段側の収納ケース30は、下側の収納ケース30が備えるロック部材5〜8によって相互に一体に結合されている。上段側の電源装置Pと下段側の収納ケース30が相互に一体に結合されることにより、これらを一体で取り扱うことができる。このため、上段側の電源装置Pのキャリングハンドル9を把持して、当該電源装置Pと収納ケース30(外部機器20)を一度に持ち運ぶことができ、当該電源装置P及び収納ケース30の取り扱い性及び可搬性が高まる。
【0032】
電源装置Pと収納ケース30は上下を逆にして段積みした場合であっても、下段側の電源装置Pのロック部材5〜8を用いることにより相互に一体に結合することができる。また、収納ケース30に加えて若しくは代えて、例示した電源装置Pをもう一段段積み状態で結合させることができる。例示した電源装置Pを上下二段若しくは三段以上に段積みして相互に結合することにより、大容量の電力を一体で取り扱うことができる。
【0033】
上記例示した実施形態では、18V出力のバッテリパック10を10個収納した電源装置Pを例示したが、収納ケース1をより大型化することによりさらに多くのバッテリパック10を収納した電源装置とすることができる。また、18V出力のバッテリパック10に加えて若しくは代えて、より低出力若しくは高出力のバッテリパックを収納する構成としてもよい。例えば、5V、7.2V、10.8V、24Vあるいは28V出力のバッテリパックについて適用することができる。5V出力のバッテリパックを収容する場合は、電源出力部に例えばUSB(Universal Serial Bus)出力端子を設けることができる。
【0034】
また、収納ケース1内に、収容したバッテリパック10の充電をするための充電機能(充電器)を内装しておくことができる。この場合、充電機能に電源を供給するための電源としては例えば商用100V電源を電源コードを経て供給する構成とすることができる。
【0035】
以上説明した電源装置Pでは、10個のバッテリパック10をケース本体2内に収納した構成を例示したが、バッテリパックをケース本体2の外部に保持して持ち運び可能とすることもできる。
図9には、収納ケース40の左右側部に2個ずつバッテリパック10を保持可能とする実施形態が示されている。収納ケース40は、上記例示した収納ケース1,30と同じ部材及び構成を備えている。同様の部材及び構成について同位の符号を付してその説明を省略する。ケース本体2内には、主として手持ち式の充電式電動工具及びその周辺機器を収納することができる。
【0036】
図10に示すようにケース本体2の左右側部には、それぞれ2つのバッテリ保持部41が設けられている。各バッテリ保持部41は、一対のレール部41aを有している。一対のレール部41aは、前記したバッテリ取り付け部11のレール部11aと同じ間隔及び形状で形成されている。バッテリ保持部41に対して上側からバッテリパック10を下方へ向けてスライドさせてレール受け部10aにこのレール部41aを係合させることにより、当該バッテリパック10をバッテリ保持部41に保持することができる。
【0037】
上記したようにバッテリパック10を下方へスライドさせてバッテリ保持部41に保持すると、ロック爪部10eが蓋部3の側部に設けた係合凹部42に弾性的に係合する。ばね付勢されたロック爪部10eが係合凹部42に進入して弾性的に係合されることにより、バッテリパック10のバッテリ保持部41に対する保持状態がロックされる。
【0038】
バッテリ保持部41からバッテリパック10を取り外すには、それぞれのアンロックボタン10fを指先で押し下げ操作してロック爪部10eを係合凹部42から退避させればよい。また、蓋部3を上方へ回動させて開放することにより、各ロック爪部10eの係合凹部42に対する係合状態が解除されることから、各アンロックボタン10fをわざわざ押し下げ操作しなくとも、4個のバッテリパック10を迅速にバッテリ保持部41から取り外すことができる。
【0039】
上記した収納ケース40についても、他の収納ケース40と間で段積み状態に結合して一体に取り扱い可能とすることができる。また、当該収納ケース40と前記した電源装置1や収納ケース30との間でも上下に段積みして一体化することができる。
【0040】
上記例示した収納ケース40によれば、複数個のバッテリパック10をケース本体2の外部に保持しておくことができる。バッテリパック10をケース本体2の外部に保持する構成であるので、ケース本体2内のバッテリパック収納スペースを省略して当該ケース本体2内の空きスペースを有効活用することができる。
【0041】
また、ケース本体2の外部にバッテリパック10を保持しておくことができるので、ケース本体2内に十分な収納スペースを確保できない場合であっても、複数個のバッテリパック10を当該収納ケース40と一体で持ち運ぶことができる。複数個のバッテリパック10は、予備バッテリとして利用され、あるいはケース本体2内に収納した電動工具の電源として例えば2個同時に利用される。
【0042】
以上説明した各実施形態にはさらに変更を加えることができる。例えば、電源装置Pの収納ケース1、収納ケース30,40について、前面左右と左右側部の合計4箇所のロック部材5〜8により段積み状態で結合可能とする構成を例示したが、係る段積み結合構造(ロック部材7,8、連結凸部2c等)は省略してもよい。
【0043】
また、収納ケース40ついて、左右側部に合計4個のバッテリパック10を保持可能な構成を例示したが、保持可能なバッテリパック10の個数については必要に応じて増減してもよい。バッテリ保持部は、ケース本体2の左右側部に限らず、前面や後面に設けることもできる。また、蓋部3の上面に設けることもできる。
【符号の説明】
【0044】
P…電源装置
1…収納ケース
2…ケース本体
2a…本体側上凹部、2b…本体側凸部、2c…連結凸部、2d…本体側下凹部
3…蓋部
3a…蓋側凹部、3b…蓋側凸部、3c…挿通孔、3d…ベルト掛け部
4…ヒンジ部
5〜8…ロック部材
9…キャリングハンドル
10…バッテリパック
10a…レール受け部、10b,10c…正負の端子受け部、10d…コネクタ部
11…バッテリ取り付け部
11a…レール部、11b,11c…正負の接続端子、11d…係合凹部
11e…ロック爪、10f…アンロックボタン
12…電源出力部、12a,12b,12c…接続コネクタ
13…電源制御装置、13a…起動ボタン、13b…切り替えボタン
21…接続機器(電源コード)
22…接続機器(18Vアダプタ)
23…接続機器(36Vアダプタ)
30…収納ケース
40…収納ケース
41…バッテリ保持部、41a…レール部
42…係合凹部