【実施例】
【0018】
図1に示すように、実施例に係る車両内装部材10は、板状の基材12と、この基材12の表側を覆う表皮材16とから構成され、基材12の表面12aに表皮材16が接着剤等によって接合されている。車両内装部材10は、基材12よりも表皮材16を一回り大きく形成して、基材12の端縁13,14から外方へ延出するように余した表皮材16の端末17,18を、端末処理装置によって基材12の裏面12bに巻き込んで該裏面12bに溶着などで固着している。これにより、車両内装部材10では、表皮材16を基材12から剥離し難くすると共に、基材12の端縁13,14を表皮材16で覆って見栄えを向上させている。
【0019】
前記基材12は、車両内装部材10の形状を形作ると共に該車両内装部材10の剛性を担保する硬質な板状部材であって、ポリプロピレン(PP)等の合成樹脂からインジェクション成形などによって所要形状に成形される。基材12は、直線またはゆるく湾曲する端縁(一般端縁13という)と、互いに交差する方向に延在する2つの一般端縁13,13を繋ぎ、外方へ凸となるように一般端縁13よりも大きな曲率(一般端縁13よりも小さい曲率半径)で湾曲する凸状コーナー端縁14とによって、その外形が多辺形状に形成されている。また、基材12は、表皮材16が接合される表面12aが平坦に形成される一方で、該基材12の裏面12bに、車両内装部材10を車体等に取り付けるための取付部などの各種造作物(何れも図示せず)が、前記端縁13,14から離した位置に形成されている。
【0020】
前記表皮材16は、車両内装部材10の車室側に臨む表面(意匠面)を形成する部材であって、例えば本革の風合いを出すために、弾力性を有していたり、シボ加工や擬似ステッチなどが表側に形成されることがある。実施例の表皮材16は、該表皮材16の表面を構成する柔軟な表層部と、この表層部の裏側に設けられ、弾力性を有する発泡体等からなる裏層部とを有する多層構造であり、全体として可撓性および伸縮性を有している。表層部は、ポリウレタン、オレフィン系(TPO)、塩化ビニル系またはスチレン系のエラストマー、あるいは、ポリウレタンや塩化ビニル系の合成皮革などを用いることができる。裏層部をなす発泡体としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系材料からなるフォーム、あるいはスチレンフォームなどを用いることができる。なお、裏層部としては、不織布や織物なども用いることができる。表皮材16は、表層部上で裏層部をなす発泡体を発泡成形することで接合したり、接着剤やフレームラミネーション等で接合したりすること等によって、表層部と裏層部とが一体化される。表皮材16としては、ポリウレタン合成皮革からなる表層部に、ポリウレタンフォームからなる裏層部を積層したものが、伸縮性および弾力性に優れているので好ましい。
【0021】
図2(a)、
図3および
図4に示すように、実施例に係る端末処理装置は、表皮材16および基材12を重ね合わせた状態で保持する設置台20と、表皮材16において基材12の一般端縁13より外方へ延出する端末(一般端末17という)を該一般端縁13に巻き込む一般処理部22と、表皮材16において基材12の凸状コーナー端縁14より外方へ延出する端末(コーナー端末18という)を該凸状コーナー端縁14に巻き込むコーナー処理部30とを備えている。端末処理装置は、基材12の各辺(各一般端縁13)に対応して少なくとも1基の一般処理部22を設けると共に、各コーナー端縁14に対応して1基のコーナー処理部30を設けている。なお、基材12における短手の一般端縁13に対応して1基の一般処理部22が配設され、基材12における長手の一般端縁13に対応して複数基(実施例では2基)の一般処理部22が配設されている。
【0022】
前記設置台20は、基材12の表面12aに重ね合わせて接合した表皮材16と基材12とを保持する台状の受け治具であり、基材12の裏面12bを露出させた姿勢で位置規制するようになっている(
図3および
図4参照)。設置台20は、基材12の外形全体(実施例)または一部範囲と相似させて、該基材12の外形より表皮材16の厚み(表皮厚)分程度大きい開口形状で凹状に形成された設置凹部21を有し、この設置凹部21に表皮材16および基材12の順に収容される。設置凹部21は、基材12と表皮材16とを重ね合わせた車両内装部材10の厚みと略同一深さで凹設され、設置凹部21に収容した基材12の裏面12bと設置台20における該設置凹部21の周囲20aとが略同一面上に揃うようになっている。そして、設置台20は、表側に表皮材16を重ね合わせた基材12を設置凹部21に収容した際に、基材12の端縁13,14から外方へ延出する表皮材16の端末17,18を、設置凹部21の周壁によって該端縁13,14に沿って折り曲げて基材12の裏側に向けて立ち上がるように支持している。
【0023】
図2(a)および
図3に示すように、前記一般処理部22は、平板状の巻き込み体24と、この巻き込み体24を往復移動するシリンダ等のアクチュエータからなる一般駆動部26とを有している。一般処理部22は、対応の一般端縁13より外方へ延出する表皮材16の一般端末17を巻き込み体24で押して、該一般端縁13を支点として基材12の裏面12bに巻き込むよう構成される。巻き込み体24は、表皮材16の一般端末17を押す当接縁24aが、基材12における対応の一般端縁13の延在形状に合わせて形成されると共に、その板面が基材12の裏面12bと並行するように配置されている。巻き込み体24は、一般駆動部26の駆動により、その全体が設置凹部21の外側(設置凹部21に設置された基材12の対応する一般端縁13の外側)に退避した後退位置と、設置凹部21の開口内側(設置凹部21に設置された基材12の裏面12b)に重なる前進位置との間でスライド移動するよう構成される。巻き込み体24は、基材12の裏面12bから表皮厚程度離間する高さ位置を、基材12の裏面12bに沿って平行に移動し、前記前進位置において、設置凹部21に設置された基材12の裏面12bと相対して、該基材12の裏面12bとの間に一般端末17を挟み込むようになっている。また、巻き込み体24には、当接縁24a側に偏倚した位置に厚み方向に貫通して複数の固着口25が設けられており、この固着口25を介して接合手段の接合部28を差し込み可能になっている(
図3参照)。なお、巻き込み体24には、複数の固着口25が当接縁24aに沿って並ぶように配置されている。接合手段は、ロボットハンド等の移動機構によって接合部28を三次元的に移動し得るように構成されている。実施例では、接合部28で発生させた微細な超音波振動による超音波溶着によって、前進位置にある巻き込み体24で押さえた一般端末17を基材12の裏面12bに固着している。
【0024】
図2、
図4および
図5に示すように、前記コーナー処理部30は、表皮材16において前記凸状コーナー端縁14を被覆するコーナー端末18を保持する保持部34を有する巻き込み手段32と、この巻き込み手段32を往復移動するシリンダ等のアクチュエータからなる巻き込み駆動手段38と、基材12の裏面12bに巻き込まれたコーナー端末18を基材12の裏面12bに固着する固着手段とを備えている。コーナー処理部30は、コーナー端末18を巻き込み手段32で合掌状に重なるように挟んで保持して基材12の裏側に折り返すように引っ張り、コーナー端末18を引っ張った状態で固着手段の固着部40で基材12の裏面12bに固着するよう構成される。
【0025】
図2(b)に示すように、前記巻き込み手段32は、スリット状に形成された保持部34を有し、平板状の本体がその板面を基材12の裏面12bと並行するように配置されている。また、巻き込み手段32は、前記巻き込み駆動手段38によって、基材12の凸状コーナー端縁14の外側位置と、該外側位置から凸状コーナー端縁14の湾曲中心側(巻き込み方向という)に移動した巻き込み位置との間で、基材12の裏面12bに沿って往復移動するよう構成される。ここで、巻き込み手段32は、凸状コーナー端縁14の中央部および該凸状コーナー端縁14の湾曲中心を結んだライン(巻き込みライン)に沿う直線的な移動経路で、基材12の裏面12bと平行に移動するようになっている。また、巻き込み手段32は、前記外側位置で保持部34の開放端が設置凹部21の外側に退避して、設置凹部21の開口縁から立ち上がるコーナー端末18に該保持部34の開放端34aが相対するようになっている。巻き込み手段32は、前記外側位置から巻き込み方向前側に移動することで、保持部34が設置凹部21の開口内側に重なり、該設置凹部21に設置された基材12の裏面12bに重なる。このように、実施例の巻き込み手段32は、該巻き込み手段32の移動につれて、巻き込み手段32に形成された保持部34が巻き込み方向前後に移動するよう構成されている。巻き込み手段32は、巻き込み方向前側端縁(前端縁33という)が、保持部34の形成位置を除いて、凸状コーナー端縁14の延在形状に合わせて形成されている。巻き込み手段32は、外側位置において凸状コーナー端縁14の外側に該巻き込み手段32の前端縁33が沿うよう配置されている。そして、巻き込み手段32は、コーナー端末18におけるコーナー端縁14からの延出寸法よりも、巻き込み位置にある巻き込み手段32の前端縁33が、コーナー端縁14から離れた位置まで移動するように構成され、巻き込み手段32によってコーナー端末18を引っ張って伸張させ得るようになっている。ここで、外側位置から巻き込み位置へ巻き込み方向前側に向かう巻き込み手段32(保持部34)の移動を前進といい、巻き込み位置から外側位置へ巻き込み方向後側に向かう巻き込み手段32(保持部34)の移動を後退という。
【0026】
図2(b)に示すように、保持部34は、巻き込み手段32に上下方向に貫通すると共に前記巻き込み方向前側に開放するスリット状に形成される。保持部34は、巻き込み手段32の前記前端縁33から巻き込み方向後側へ向かって延在する。また、保持部34は、スリットを形成する開口縁間の中央部を通る直線が、前記巻き込みライン上に位置して該巻き込みラインに沿って直線的に延在している。また、保持部34は、外側位置において保持部34の巻き込み方向前側である開放端34aが凸状コーナー端縁14の延在方向中央部(コーナー端末18の中央部という)に相対するようになっている。また、保持部34は、スリットを形成する開口縁が、巻き込み方向と交差すると共に基材12の裏面12bに沿う方向に相対している。保持部34は、開放端34aの開口幅が、表皮材16の厚みの2倍より大きく設定される。また保持部34は、巻き込み方向後側である閉塞端34b側の開口幅が、表皮材16の厚みの2倍以下に設定され、合掌状に重ねたコーナー端末18を該閉塞端34b側で挟持し得るよう構成される。更に、保持部34は、開放端34aから閉塞端34b側に向かうにつれて開口幅が狭くなるV字形状となっている。そして、保持部34は、巻き込み手段32が前進するにつれて、保持部34の開放端34aからコーナー端末18を受け入れて合掌状に重なるよう案内し、閉塞端34b側で合掌状に重ねたコーナー端末18を挟持し、巻き込み手段32の更なる前進に際して、該保持部34からコーナー端末18が滑ったり外れたりしないようにコーナー端末18を保持している。
【0027】
実施例の巻き込み手段32は、コーナー端末18における該コーナー端末18の中央部に連なる保持部34から外れた部位を押して、該コーナー端末18を基材12の裏面12bに巻き込むよう構成される。巻き込み手段32は、前記前端縁33で、コーナー端末18の保持部34から外れた部位を押すよう構成される。巻き込み手段32は、基材12の裏面12bから表皮厚程度離間する高さ位置を、基材12の裏面12bに沿って平行に移動し、前記巻き込み位置において、設置凹部21に設置された基材12の裏面12bと相対して、基材12の裏面12bとの間にコーナー端末18における保持部34から外れた部位を挟み込むようになっている。また、巻き込み手段32には、巻き込み位置において基材12の裏面12bに対向する位置に、厚み方向に貫通して複数の固着孔36が設けられている。巻き込み手段32には、複数の固着孔36が保持部34に近接して配置されている。実施例では、保持部34の閉塞端34b側を巻き込み方向に交差する方向に挟む位置に2つの固着孔36が設けられ、保持部34における閉塞端34bの巻き込み方向後側に1つの固着孔36が設けられている。
【0028】
図4および
図5に示すように、前記固着手段は、前記固着孔36を介して差し込み可能な固着部40を有している。固着手段は、固着孔36を通した固着部40で発生させた微細な超音波振動によって、保持部34でコーナー端末18を保持した状態で、該端末18を基材12の裏面12bに溶着する。固着手段は、ロボットハンド等の移動機構によって三次元的に移動し得るように構成される。なお、実施例の固着手段は、巻き込み手段32を巻き込み位置から後退させた状態で、合掌状に重なり基材12の裏側へ突出するコーナー端末18を基材12の裏面12bに沿うよう倒して溶着する際にも使用される。
【0029】
〔実施例の作用〕
次に、実施例の作用について説明する。前述した端末処理装置を用いて基材12に表皮材16を巻き付けて車両内装部材10を製造する場合は、表皮材16および基材12を設置台20の設置凹部21にまず設置する。ここで、表面12aに表皮材16を接着剤等により貼り付けた基材12を、該基材12の裏面12bが外側に臨むように設置凹部21に設置しても、表皮材16を設置凹部21に設置した後に、表皮材16の裏面または/および基材12の表面12aに接着剤等を塗布して、基材12を表皮材16の裏面に重ね合わせて設置凹部21に設置してもよい。このように、基材12と表皮材16とを設置凹部21に設置する前に予め接合しても、基材12と表皮材16とを設置凹部21で接合しても、何れであってもよい。表皮材16および基材12を設置凹部21に設置することで、基材12の外形に合わせて開口するよう形成された設置凹部21の周壁によって、基材12の端縁13,14から延出する表皮材16の端末17,18が基材12の裏側に向けて立てた状態になるように屈曲されてこの状態で保持される。
【0030】
端末の巻き込み処理は、一般処理部22によって一般端末17から行われる。
図3に示すように、一般処理部22の夫々において、一般駆動部26の駆動により後退位置に退避している巻き込み体24を前進位置に向けて前進することで、一般端末17を巻き込み体24の当接縁24aで押して基材12の裏面12bに折り返す。巻き込み体24を更に前進することで、一般端末17を基材12の裏面12bと巻き込み体24との間に挟んで押し撫でることになり、巻き込み体24の前進につれて一般端末17を引っ張ることができる。そして、巻き込み体24が前進位置に到達すると、一般駆動部26を駆動停止し、接合手段の接合部28を巻き込み体24の固着口25から挿入し、固着口25に臨む一般端末17に接合部28を押し当てて超音波溶着を行うことで、一般端末17と基材12とを固着する。超音波溶着を固着口25の夫々を介して行うことで、巻き込み体24で一般端末17を引っ張った状態で保持したまま、一般端末17の延出端側が一般端縁13に沿った複数箇所で固着し得る。このように、巻き込み体24によって一般端末17を引っ張りつつ押さえ付けた状態で固着するので、一般端縁13にしわが生じないように張った状態で一般端末17を巻き付けることができ、基材12の裏側において一般端末17の浮き上がりを防止することができる。
【0031】
次に、各コーナー処理部30によってコーナー端末18の巻き込み処理が夫々行われる。外側位置に退避している巻き込み手段32を巻き込み駆動手段38によって巻き込み位置に向けて移動すると(
図4(a)および
図5(a)参照)、凸状コーナー端縁14に立ち上がっているコーナー端末18の中央部が保持部34の開放端34aに相対すると共に、巻き込み手段32の前端縁33が該端末18における保持部34から外れた部位に当接する。巻き込み手段32を更に前進させると、巻き込み手段32は、保持部34の開放端34aからコーナー端末18の中央部を受け入れる。また、巻き込み手段32は、該巻き込み手段32の前進につれて、保持部34に受け入れたコーナー端末18の中央部を、該保持部34における巻き込み方向と交差すると共に基材12の裏面12bに沿う方向に対向する開口縁に沿わせて、該コーナー端末18の中央部から異なる方向に延在する部分を互いに寄せて合掌状に重ねるよう案内する。この保持部34に受け入れられて合掌状に重なる部分を重ね部18aという。また、巻き込み手段32は、当接するコーナー端末18における保持部34から外れた部位を前端縁33で押して基材12の裏面12bに折り返す。巻き込み手段32を更に前進させると、巻き込み手段32は、コーナー端末18の重ね部18aを、保持部34の開口幅が表皮材16の2倍以下に形成された閉塞端34b側で挟持し、コーナー端末18を保持する(
図4(b)および
図5(b)参照)。この際、巻き込み手段32は、コーナー端末18の重ね部18aを、開放端34aから閉塞端34b側に向かうにつれて開口幅が狭くなるよう形成された保持部34の開口縁に沿わせることで、閉塞端34b側まで案内する。
【0032】
巻き込み手段32は、保持部34でコーナー端末18を保持した状態で、該巻き込み手段32を更に前進させると(
図4(c)および
図5(c)参照)、コーナー端末18の重ね部18aを巻き込み方向前側に引っ張り、表皮材16における凸状コーナー端縁14を被覆する部分(端縁被覆部分という)を伸ばす。なお、巻き込み手段32は、該巻き込み手段32の前進により、コーナー端末18における中央部から外れた部位を、巻き込み手段32と基材12の裏面との間に挟んで押し撫でることで、コーナー端末18を引っ張るようになっている。巻き込み駆動手段38を駆動停止して、保持部34でコーナー端末18を保持して該端末18を引っ張った状態を保ったまま巻き込み手段32を停止し、固着手段の固着部40を基材12の裏面12bに向けて近接させるように移動する(
図4(d)および
図5(d)参照)。固着部40は、巻き込み手段32の固着孔36を通って、該保持部34で保持されたコーナー端末18における保持部34に近接する部位を基材12の裏面12bに押し付ける。そして、固着部40によってコーナー端末18と基材12とを超音波溶着することで、保持部34で保持された状態でコーナー端末18が基材12に固着される。巻き込み手段32を外側位置まで後退させると(
図4(e)および
図5(e)参照)、保持部34は、保持部34の開口縁を閉塞端34b側から開放端34a側に沿わせてコーナー端末18を案内し、該保持部34によるコーナー端末18の保持が解除される。この際、固着部40によってコーナー端末18の重ね部18aの周りが溶着されているので、基材12の裏面12bに折り返したコーナー端末18は張った状態のまま弛むことはない。固着手段の固着部40を、コーナー端末18の重ね部18aで、基材12の裏面12bに向けて近接させるように移動する(
図4(e)および
図5(e))。この際、コーナー端末18の合掌状に重ねた部分を、基材12の裏面12bに超音波溶着することで、該コーナー端末18の重ね部18aが基材12の裏面12bに沿った状態となる(
図4(f)および
図5(f)参照)。
【0033】
前述したコーナー端末18の巻き込み処理によれば、巻き込み手段32の保持部34によって、コーナー端末18を合掌状に重なるように挟んで保持することで、コーナー端末18が寄せられるから、湾曲する凸状コーナー端縁14に沿ってコーナー端末18を巻き掛けることによって生じるコーナー端末18の余剰部分を寄せる作業を、巻き込み手段32によって機械的に行うことができる。そして、基材12の凸状コーナー端縁14に表皮材16のコーナー端末18を巻き付けることで生じる該コーナー端末18の余剰部分を寄せるよう保持部34で保持した状態で、コーナー端末18を基材12の裏面12bに固着しているので、表皮材16を凸状コーナー端縁14にしわが生じないように巻き付けることができる。また、コーナー端末18の凸状コーナー端縁14への巻き付けの一連工程を、巻き込み手段32、巻き込み駆動手段38および固着手段によって自動化することができ、コーナー端末18巻き付けにかかる手間を軽減することができる。更に、コーナー端末18を凸状コーナー端縁14にしわなく巻き付けるために、該コーナー端末18にスリット等を形成する必要がない。従って、車両内装部材10の製造効率を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
前述したコーナー端末18の巻き込み処理によれば、巻き込み手段32が前進すると、コーナー端末18の中央部に相対する保持部34の開放端34aに、該コーナー端末18の中央部が受け入れられる。そして、該巻き込み手段32の外側位置からの前進につれて、コーナー端末18を保持部34に受け入れて合掌状に重ね合わせた状態で保持し得るので、コーナー端末18巻き付けにかかる手間を軽減することができる。また、保持部34の形状が一定なので、コーナー端末18を常に同じように合掌状に重ねることができ、基材12の裏面12bでコーナー端末18を寄せる状態を安定させることができる。また、巻き込み手段32によってコーナー端末18を設定した力で安定して引っ張ることができるから、凸状コーナー端縁14に巻き付けた表皮材16の仕上がり状態が安定し、得られる車両内装部材10の品質を向上することができる。しかも、巻き込み手段32によれば、手作業ではかけることが困難な力でコーナー端末18を継続的に引っ張ることができるから、表皮材16の端縁被覆部分を適切に伸ばして、該端縁被覆部分でのしわの発生をより好適に防止することができる。
【0035】
コーナー端末18の巻き込み処理によれば、保持部34の開放端34aの開口幅が表皮材16の厚みの2倍より大きいので、表皮材16を圧縮したりすることなく、巻き込み手段32の前進により保持部34にコーナー端末18を受け入れることができる。更に、保持部34の閉塞端34b側の開口幅が表皮材16の2倍以下に形成され、保持部34が開放端34aから閉塞端34b側に向かうにつれて開口幅が狭くなるよう形成したので、保持部34に受け入れたコーナー端末18を該保持部34に沿わせて該保持部34の閉塞端34b側でスムーズに保持できる。また、保持部34のスリットを形成する開口縁間の中央部を通る直線が、巻き込みライン上に位置するよう巻き込み手段32に保持部34を設け、保持部34によりコーナー端末18の中央部を保持しているので、コーナー端末18の中央部を優先して引っ張り、コーナー端末18をバランスよく引っ張ることができる。また、巻き込み手段32を前進させることで、巻き込み手段32の前端縁33でコーナー端末18の中央部に連なる部位を押して基材12の裏面12bに折り返すことができる。また、コーナー端末18の中央部に連なる部位を巻き込み手段32と基材12の裏面12bとの間に挟んで押し撫でて、コーナー端末18を引っ張ることができる。
【0036】
巻き込み手段32の固着孔36を通した固着部40でコーナー端末18を基材12に固着することで、保持部34にコーナー端末18を保持し、巻き込み手段32により凸状コーナー端縁14に巻き掛けて基材12の裏面12bに引っ張って押さえ付けた状態でコーナー端末18が基材12に溶着されるので、コーナー端末18が弛むことを防止でき、基材12の凸状コーナー端縁14に巻き付けた表皮材16の仕上がりをよりきれいにすることができる。また、保持部34によるコーナー端末18の保持を解除した後で、合掌状に重なり基材12の裏側に突出するコーナー端末18を、固着部40で基材12の裏面12bに沿わせて基材12に固着することで、基材12の裏側に巻き込んだコーナー端末18の仕上がりをよりきれいにすることができる。
【0037】
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)保持部は、表皮材の端末を合掌状に重なるように挟んで保持して引っ張ることができる構成であれば、実施例の構成に限定されず、表皮材の端末を把持する把持手段を設けたりするなど、適宜の構成を採用し得る。
(2)実施例では、スリット状の保持部が開放端から閉塞端側に向かうにつれて開口幅が狭くなるように形成される例を挙げて説明したが、開放端から閉塞端側に向かう途中位置までは開口幅が一定となり、該途中位置から閉塞端側に向かうにつれて開口幅が狭くなるよう保持部を形成してもよい。
(3)実施例では、平板状の巻き込み手段を例に挙げて説明したが、保持部が設けられていれば、巻き込み手段の形状は特に限定されない。例えば、スリット状の保持部の外形を規定するよう線状部材を折り曲げたような形状であってもよい。
(4)巻き込み手段の移動方向や保持部の延在方向は、凸状コーナー端縁の中央部から該凸状コーナー端縁の湾曲中心に向かうラインに沿う方向に限られず、凸状コーナー端縁の内側に位置する湾曲中心側に向かう方向であれば、凸状コーナー端縁の形状やコーナー端末に合わせて適宜調節することができる。
(5)基材の凸状コーナー端縁に連なる直線または緩く湾曲する端縁より該基材の外方へ延出する端末を、巻き込み手段で押すようにしてもよい。
(6)巻き込み手段の固着孔の形状は、固着手段の固着部を差し込み可能であれば円形に限られない。例えば、
図6に示すように、巻き込み手段32に矩形状の固着孔36を貫通形成してもよい。また、巻き込み手段に2つ以下または4つ以上の固着孔を形成してもよい。
(7)表皮材の端末を基材に固着する方法としては、超音波溶着や熱溶着に限られず、基材または/および表皮材に予め付与した接着剤によって固着手段による押し付けにより接合してもよい。また、固着手段は、各コーナー処理部に夫々設けてもよく、複数のコーナー処理部で1つの固着手段を共用してもよい。また、一般処理部において、接合手段としてコーナー処理部の固着手段を共用してもよい。
(8)
図7に示すように、固着手段として針42を打込むタッカーを採用してもよい。この場合、前記巻き込み手段32には、前記巻き込み位置において基材12の裏面12bに対向する位置に、タッカーの針42を打ち出す固着部40を差し込み可能な固着孔36が貫通形成される。タッカーは、固着孔36を通した前記固着部40から、表皮材16のコーナー端末18を介して基材12に針42を打込む。これにより、針42における2つの針部42a,42aを接続する頭部42bと基材12とによりコーナー端末18が挟み込まれ、該端末18が基材12の裏面12bにタッカー止めされる。この際、巻き込み手段32で基材12の裏面に沿うよう折り返されて前記保持部34で保持されたコーナー端末18を、固着孔36を通して基材12にタッカー止めするので、コーナー端末18が弛むことを防止でき、基材12の凸状コーナー端縁14に巻き付けた表皮材16の仕上がりをきれいにすることができる。また、タッカーにより、前記頭部42bが互いに平行となる向きで複数の針42を基材12へ打込んだり、該頭部42bが互いに交差する向きで複数の針42を基材12へ打込んだりしてもよい。なお、針の形状は略コ字型に限られず、例えば、鋲のような形状であってもよい。
(9)実施例では、表層部と裏層部とを有する積層構造の表皮材を例に挙げて説明したが、裏層部のない表皮材であってもよい。また実施例では、表皮材の端末における凸状コーナー端縁を覆う部分を伸長させたが、該端末の凸状コーナー端縁を覆う部分をしわがないよう張った状態とすればよい。すなわち、本発明における「伸びた状態」とは、しわがないよう張った状態も含んでいる。
(10)実施例では、端末にスリットのない表皮材を用いたが、一般端末にスリットを設けたり、コーナー端末において保持部で挟まれて合掌状に重なる部位にスリットを設けたり、コーナー端末と一般端末との境界にスリットを設けた表皮材を用いてもよい。また、コーナー端末にスリットを設けた場合、保持部にコーナー端末を受け入れた際に、当該スリットを基点としてコーナー端末を折り畳んで合掌状とすることができる。なお、スリットは、端末において基材の裏面に巻き込まれる寸法より小さく設定される。