(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6362990
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ロール収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/72 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
B65D5/72 A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-212514(P2014-212514)
(22)【出願日】2014年10月17日
(65)【公開番号】特開2016-78896(P2016-78896A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000166258
【氏名又は名称】古林紙工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】今村 紳
【審査官】
谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−196667(JP,A)
【文献】
実開平02−087728(JP,U)
【文献】
特開平08−230871(JP,A)
【文献】
特開平01−254543(JP,A)
【文献】
米国特許第04298123(US,A)
【文献】
米国特許第02803339(US,A)
【文献】
特開2011−068384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 − 5/76
B65D 23/00 − 25/56
B65D 83/00
B65D 83/08 − 83/76
B65D 85/58
B65D 85/62 − 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板(2)と前面板(3)と後面板(4)及び両側面板(5、5)で囲まれた上面開口の収納部(10)に、シート状物を巻回したロール(R)が収納され、前記後面板(4)上縁から蓋板(6)及び蓋前面板(7)が順々に連設され、前記前面板(3)の裏面に補強板(15)を貼付したロール収納箱(1)において、
上記両側面板(5、5)の内面に沿ってそれぞれ折り込まれる一対の連接片(13、14)を、上記前面板(3)の側縁及び後面板(4)の側縁にそれぞれ連設し、その前面板(3)の連接片(13)の上縁部に後面板(4)に向かう突片(21)を折り目線(r1)を介して設けると共に、後面板(4)の連接片(14)の上縁部に前面板(3)に向かう突片(22)を折り目線(r2)を介して設け、前記後面板(4)に向かう突片(21)の折り目線(r1)は、前面板(3)の連接片(13)の上縁から底板(2)に向かい下向き傾斜し、前記前面板(3)に向かう突片(22)の折り目線(r2)は、後面板(4)の連接片(14)の上縁から前面板(3)に向かい下向き傾斜しており、
前記両連接片(13、14)は前記側面板(5)に沿って折り込まれて重ねられ、その重なった外側の連接片(13)の突片(21)は折り目線(r1)を介し内側に折り曲げられて内側の連接片(14)の突片(22)をその下側から越えて内側斜め下方に突出して上記収納部(10)に収納されたロール(R)の端部上方に位置してそのロール(R)の飛び出しを防止し、越えられた突片(22)は前記折り目線(r2)を介し内側斜め下方に折り曲げられてその下縁が前記越えた突片(21)の上面に噛み合って外側の連接片(13)の突片(21)の浮き上がりを防止していることを特徴とするロール収納箱。
【請求項2】
上記前面板(3)の長さ方向中程にその長さ方向の長孔(11)を形成し、その長孔(11)の上縁中程をさらに上方に抉って指掛け部(12)を形成したことを特徴とする請求項1に記載のロール収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品包装用のラップフィルムや金属箔等のシート状物を巻回したロールを収納し、そのシート状物を必要量引き出して使用するためのロール収納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来のラップフィルムの収納箱は、この発明の一実施形態である
図1に基づいて説明すると、底板2とその底板2の各辺から立設された前面板3、後面板4及び両側の側面板5、5で囲まれた上面開口の収納部10とから成り、その収納部10の開口を覆うように、後面板4の上縁から折目線を介して蓋板6、蓋前面板7が順々に連接された構成であり、前記収納部10にロールRが収納される。
【0003】
このような収納箱1において、出願人は、上記前面板2の上縁にその前面板2の内面に折り込み可能な補強板を連設し、この補強板の上部端縁に、折目線を介して前記補強板の横幅方向に延びる第一固定片を連設するとともに、前記後面板の側縁にも連設片を連設し、この連設片の上部端縁に、折目線を介して前記後面板の横幅方向に延びる第二固定片を連設し、この収納箱を組み立てた状態において、第一固定片は第二固定片の根元方向に起立する一方で、第二固定片は第一固定片の根元方向に起立して、両固定片は互いに重なり合い、ロールが飛び出そうとした際に両固定片の下縁が、このロールの端部外周面に当接してロールRの飛び出しを防止する発明を提案した(特許文献1、請求項1、
図1、
図5E(b)等参照)。
【0004】
一方、この種の収納箱1からフィルムを引き出した切断端が前面板に引っ付いて掴み難いと言う不満が多い。このため、その掴み易くする要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−68384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の発明は、両固定片が重なって、両固定片と前面板及び連設片のなす三角形によってロールの飛び出しを有効に防止する。
しかし、両固定片が重なり合わなかったり、連設片に沿ったりして上記三角形を形成しない場合が生じて、ロールが飛び出す場合が希に生じた。
【0007】
この発明は、以上の実状の下、ロールの飛び出しを従来とは異なる構成によって防止することを第1の課題、フィルムを引き出した切断端を掴み易くすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の第1の課題を達成するために、この発明は、両側面板の内面に沿って折り込まれる一対の連接片(連設片)を、それぞれ前面板及び後面板に連設し、その連接板の一方にロールの飛び出しを防止する片、他方の連接片に飛び出し防止片に噛み合ってその浮き上がりを防止する片を設けたのである。
このようにすれば、飛び出し防止片の浮き上がりがその防止片によって阻止されるため、ロールの飛び出しを有効に防止できる。
【0009】
上記の第2の課題を達成するために、この発明は、前面板の長さ方向中程にその長さ方向の長孔を形成し、その長孔の上縁中程をさらに上方に抉って指掛け部を形成したのである。
このような長孔を形成すると、上に抉れた指掛け部の存在によってその指掛け部の上縁部が浮き上がり、その浮き上がり部分に引き出されたシート状物の切断部が位置すると、その切断部も浮き上がる。このため、その指掛け部に指を掛ければ、シート状物を容易に掴むことができる。
【0010】
第1の課題を達成するこの発明の具体的な構成としては、底板と前面板と後面板及び両側面板で囲まれた上面開口の収納部
に、シート状物を巻回したロールが収納され、前記後面板上縁から蓋板及び蓋前面板が順々に連設され、前記前面板の裏面に補強板を貼付したロール収納箱において、両側面板の内面に沿ってそれぞれ折り込まれる一対の連接片を、前面板の側縁及び後面板の側縁にそれぞれ連設し、その前面板の連接片の上縁部に後面板に向かう突片を
折り目線を介して設けると共に、後面板の連接片の上縁部に前面板に向かう突片を
折り目線を介して設け、
後面板に向かう突片の折り目線は、前面板の連接片の上縁から底板に向かい下向き傾斜し、前面板に向かう突片の折り目線は、後面板の連接片の上縁から前面板に向かい下向き傾斜しており、両連接片は側面板に沿って折り込まれて重ねられ、その重なった外側の連接片の突片は
折り目線を介し内側に折り曲げられて内側の連接片の突片を
その下側から越えて内側
斜め下方に突出して
収納部に収納されたロールの端部上方に位置してそのロールの飛び出しを防止し、越えられた突片
は折り目線を介し内側斜め下方に折り曲げられてその下縁が越えた突片の上面に噛み合って
外側の連接片の突片の浮き上がりを防止している構成を採用することができる。
【0011】
この構成の両突片は、重なった内側の連接片の突片がその突片を超えた外側の連接片の突片を押さえる態様となって、その噛み合いが確実となるため、外側の連接片の突片の内側への突出状態も安定してロールの飛び出しを確実に防止する。
このとき、重なった内側の連接片の突片を折り目線を介して設け、その折り目線を介して内側の連接片の突片を内側に折り曲げて外側の連接片の突片に噛み合わせた構成とすれば、その噛み合わせがより確実となってロールの飛び出しをより確実に防止する。
【0012】
これらの構成において、突片によるロールの飛び出し防止は、前面板側又は後面板側での突片の噛み合いで行うことが考えられるが、シート状物を引き出す側からロールが抜け出やすいため、前者側で行うことが好ましい。すなわち、上記突片の噛み合わせは、下記実施形態のように前面板側とすることが好ましい。
なお、以上の構成において、前面板の長さ方向中程にその長さ方向の長孔を形成し、その長孔の上縁中程をさらに上方に抉って指掛け部を形成すれば、上記第2の課題を達成することができる。
【0013】
その第2の課題を達成するこの発明の具体的な構成としては、底板と前面板と後面板及び両側面板で囲まれた上面開口の収納部に、ラップフィルム等のシート状物を巻回したロールが収納され、後面板上縁から蓋板及び蓋前面板が順々に連設され、前面板の裏面に補強板を貼付したロール収納箱において、前面板の長さ方向中程にその長さ方向の長孔を形成し、その長孔の上縁中程をさらに上方に抉って指掛け部を形成した構成を採用することができる。このように、第2の課題を達成する発明は第1の課題を達成する発明の構成には限られない。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、以上のように、従来にない構成によってロールの飛び出しを防止したので、その飛び出し防止を安定して行うことができる。
また、指掛け部を有する長孔を設ければ、シート状物が摘み易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明に係るラップフィルムの収納箱の一実施形態の蓋を開放した斜視図
【
図7】同実施形態の作用説明図であり、(a)は要部斜視図、(b)は要部平面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明に係るロール収納箱の一実施形態を
図1乃至
図7に示し、この実施形態のロール収納箱1は、食品包装用のラップフィルムFを巻回したロールRを収納するものである。この収納箱1は、
図1、
図5に示すように、底板2と前面板3と後面板4及び両側面板5、5で囲まれた上面開口の直方体状収納部10を有し、その収納部10にロールRを収納するとともに、前記開口を開閉しうるように前記後面板4上縁から蓋板6を連設している。
【0017】
この収納箱1は、
図5に示す展開図のブランクから、まず、底板2の前後に連設された前面板3及び後面板4をそれぞれ折目線sで上方に折り曲げて底板2より立ち上げ、前面板3及び後面板4の両端縁よりそれぞれ外側に向かって連設された一対の連接片13及び連接片14を内側へ折り込んで重ねる(
図6A〜
図6D)。つぎに、底板2の両端縁より外側に向かって連設された側面板5、5を折目線sで上方に折り曲げて底板2より立ち上げ、その側面板5の内面を、前記重ねられた連接片13、14の外面に貼付し、上面開口した収納部10を構成する。
【0018】
上記蓋板6は、その収納部10の開口を覆うために、後面板4の上縁から折目線sを介して連設され、その蓋板6の先端縁から折目線sを介して上記前面板3を覆う蓋前面板7が延びている。また、蓋板6の両端縁には蓋端面板9が連設され、蓋前面板7両端縁に連設された連接片17がその蓋端面板9の内側に貼付される。
【0019】
その蓋前面板7には、横方向全長に亘るミシン目による切目線cが設けられて、蓋前面板7の切目線cより下方が接着部7a、3aを介して前面板3に接着される。このため、切目線cで蓋前面板7を上下方向に切り離すことにより、蓋前面板7の切目線cから上部、及び蓋板6は、前面板3から離れて、後面板4に対して折目線sを介して回動可能となるので、収納部10の前記開口が、
図1の矢印Aに示すように開閉される。その蓋前面板7の前記切目線cを挟んで蓋板6側の切断面には、その切断面から外方へ突出するように切刃Bが設けられて、ラップフィルムFの切断に供される。
【0020】
上記前面板3の長さ方向(収納されるロールRの軸方向と同じ方向)中程にその長さ方向に長い長孔11が形成され、その長孔11の上縁中程をさらに上方に抉って指掛け部12が形成されている。この長孔11の長さや幅及び指掛け部12の抉り度合は下記フィルムFの浮き度合や掴み易さ等を考慮して適宜に決定する。
前面板3の上縁にはその長さ方向全長に亘る補強板15が連設されており、この補強板15は内側に折り曲げて前面板3の裏面に貼着される。この貼着によって、
図1に示すように、この収納箱1の前面に指掛け部12を有する長孔11の没部が形成される。このため、
図1に示すように、前記指掛け部12の形成部分が長孔11の他の部分に比べて前面板3の上縁までの距離Lが短くなっていることにより、
図4(b)に示すように、その指掛け部12が浮き上がり、この浮き上がりに沿って切断したフィルムFも浮き上がる。このため、この指掛け部12に指を掛けることによって、フィルムFを容易に掴むことができる。
【0021】
さらに、底板2の両端縁から連設された側面板5には、
図2及び
図3に示すように、その上縁に切り折目線tを介して上方へ延びる側片16が設けられ(
図5参照)、その折目線tを介して側片16を内側に折り曲げ、この折り曲げられた側片16によって、ロールRの収納部10からの飛び出しが少なからず防止される。
【0022】
上記前面板3の両側の連接片13の上縁(
図5における補強板15側の縁)に前面板3との上縁連接部から底板2に向かい
下向き傾斜する折り目線r1を介して抜け止め片(ロール飛び出し防止用突片)21が設けられていると共に、後面板4の両側の連接片14の上縁先端にその先端から突出する押さえ片(ロール飛び出し防止用突片の浮き上がり防止用突片)22が設けられている。この押さえ片22も連接片14の上縁から前面板3に向かう下向き傾斜の折り目線r2を介して内側に折り曲げ可能となっている。
【0023】
この両連接片13、14を、前面板3側の連接片13を外側にして(後面板4側の連接片14を内側にして)、
図6D〜同Fに記載のように、前面板3又は後面板4から内側に折り込んで重ねると、抜け止め片21と押さえ片22もその押さえ片22を内側にして重なる。
【0024】
この状態(
図6E又は同F)において、収納部10内にロールRを入れ、その後、抜け止め片21を内側に押し込むことによって、
図7に示すように、その抜け止め片21は押さえ片22を越え、その抜け止め片21の上面に押さえ片22の下縁が係止した両片21、22が噛み合った状態となる。この噛み合い状態は、抜け止め片21がロールRの端部の上方に位置してそのロールRの抜け出し(飛び出し)を防止する。その防止は抜け止め片21にロールRの巻芯が当たることによって行われる(
図4(a)から同(b)参照)。
このとき、
図7に示すように、抜け止め片21は、底板2に向かい傾斜する折り目線r1を介して内側に折り曲げられて傾斜して突出し、押さえ片22はその傾斜した抜け止め片21の上面に同じく傾斜した下縁が当接して噛み合うため、その噛み合いは強固である。また、その押さえ片22を折り目線r2を介してさらに内側に倒せば(
図7(a)の鎖線状態)、その噛み合いもより強固となる。
このように、両片21、22の噛み合い状態は強固であって、下からの力に強いため、ロールRの飛び出しを有効に阻止する。
【0025】
上記実施形態は、抜け止め片21、押さえ片22の噛み合いを前面板3側で行ったが、後面板4側で行っても良い。このとき、上記連接片13、14の側面板5の幅方向の長さ(折り曲げ長さ)度合は逆となる。
また、前面板3の連接片13を内側、後面板4の連接片14を外側に重ねる態様とすることができる。この場合、連接片13の突片21が押さえ片、連接片14の突片22が抜け止め片となり、その両突片の形状も同一の作用がなされるようにする。
この発明に係るシート状物としては、ラップフィルムF以外に、アルミホイルなどの金属箔、クッキングペーパー等のシート状物も採用することができ、それらのロールRは、巻芯を用いなくても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 収納箱
2 底板
3 前面板
4 後面板
5 側面板
6 蓋板
7 蓋前面板
10 収納部
11 長孔
12 括れた指掛け部
13、14 連接片
15 補強板
21 抜け止め片(ロール飛び出し防止用突片)
22 押さえ片(ロール飛び出し防止用突片の浮き上がり防止用突片)
r1、r2 折り目線
F フィルム
R ロール