(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363007
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】コンクリート杭の造形方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/58 20060101AFI20180712BHJP
E02D 5/44 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
E02D5/58 A
E02D5/44 Z
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-236197(P2014-236197)
(22)【出願日】2014年11月21日
(65)【公開番号】特開2016-98550(P2016-98550A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】500246108
【氏名又は名称】株式会社近畿開発
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】濱中 重信
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−202822(JP,A)
【文献】
実開平4−26239(JP,U)
【文献】
特開2005−248456(JP,A)
【文献】
特開平9−59973(JP,A)
【文献】
実開昭54−52109(JP,U)
【文献】
特開昭61−282518(JP,A)
【文献】
特開2000−336660(JP,A)
【文献】
米国特許第4915544(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22〜 5/80
E04G 1/12〜 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤又はコンクリート構造物に筒状の穴を穿設し、コンクリートを打設してコンクリート杭を造形するにあたり、
地盤(20)又はコンクリート構造物に上記筒状の穴よりも大径の下穴(21)を形成する工程と、
ねじ穴(31)が形成された定着板(30)を上記下穴(21)の内底部にセットするとともに、上記下穴(21)内に筒状、テーパー筒状又は外周面に突条がらせん状に形成された筒状の上記定着板(30)よりも小径の型枠(32、32−1、32−2)をセットする工程と、
上記型枠(32、32−1、32−2)と下穴(21)内面との間にコンクリートを打設し、コンクリートの固化後、型枠(32、32−1、32−2)を外して筒状の穴(22)を形成する工程と、
該筒状の穴(22)内にPC鋼棒(33)又はねじ節鉄筋を挿入して上記定着板(30)のねじ穴(31)に螺合させ、該PC鋼棒(33)又はねじ節鉄筋の上部に止圧板(40)を介してナット(41)を螺合させナット(41)を上記PC鋼棒(33)又はねじ節鉄筋に対して螺進させて上記PC鋼棒(33)又はねじ節鉄筋に引っ張り力を作用させる工程と、
上記筒状の穴(22)内にコンクリートを打設し、コンクリートの固化後、上記ナット(41)を弛め、固化したコンクリート(51)に圧縮力を作用させたコンクリート杭を造形する工程と、
を備えたことを特徴とするコンクリート杭の造形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート杭の造形方法に関し、特に高い強度のコンクリート杭を造形するようにした方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤やコンクリート構造物にオーガやドリルなどによって筒状の穴を穿設し、そこに鉄筋などのアンカー材を挿入し、グラウト材や樹脂などの後埋め材を注入し固定してコンクリート杭を造形する方法が知られているが、筒状の穴の内面が平滑であると、コンクリート杭の固定強度が不十分となり、過大な外力が加わったときにコンクリート杭が地盤やコンクリート構造物から抜けるおそれがある。
【0003】
これに対し、コンクリート構造物に筒状の穴を形成し、この筒状の穴の内面にリング状の溝を形成し、コンクリート杭の固定強度をアップするようにした方法が種々提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0004】
また、地盤にあけた筒状の穴の底部に掘削ロッドを挿入し、掘削ロッド先端の拡径ビットによって穴底部に拡径部を形成し、この穴にコンクリートを打設して、引き抜き抵抗の大きなコンクリート杭を形成するようにした方法が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−156734号公報
【特許文献2】特開2005−280244号公報
【特許文献3】特開平6−320529号公報
【特許文献2】特開平07−268867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1〜4記載の方法ではコンクリート杭の引き抜き抵抗はアップできるものの、鉄筋などを配筋していてもコンクリート杭自体の強度はあまり望めるものではなっかた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、コンクリート杭自体の強度をアップできるようにしたコンクリート杭の造形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係るコンクリート杭の造形方法は、地盤又はコンクリート構造物に筒状の穴を穿設し、コンクリートを打設してコンクリート杭を造形するにあたり、地盤又はコンクリート構造物に上記筒状の穴よりも大径の下穴を形成する工程と、ねじ穴が形成された定着板を上記下穴の内底部にセットするとともに、上記下穴内に筒状、テーパー筒状又は外周面に突条がらせん状に形成された筒状の上記定着板よりも小径の型枠をセットする工程と、上記型枠と下穴内面との間にコンクリートを打設し、コンクリートの固化後、型枠を外して筒状の穴を形成する工程と、該筒状の穴内にPC鋼棒又はねじ節鉄筋を挿入して上記定着板のねじ穴に螺合させ、該ねじ節鉄筋の上部に止圧板を介してナットを螺合させナットを上記PC鋼棒又はねじ節鉄筋に対して螺進させて上記PC鋼棒又はねじ節鉄筋に引っ張り力を作用させる工程と、上記筒状の穴内にコンクリートを打設し、コンクリートの固化後、上記ナットを弛め、固化したコンクリートに圧縮力を作用させたコンクリート杭を造形する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは地盤又はコンクリート構造物に大径の下穴をあけ、下穴底部に定着板と筒状、テーパー筒状又は外周面に突条がらせん状に形成された筒状の型枠をセットして定着板をセメントで固定し、定着板にPC鋼棒又はねじ節鉄筋を固定してその上端部に止圧板とナットをセットし、PC鋼棒又はねじ節鉄筋に引っ張り力を加え、その状態でコンクリートを打設し固化した後、PC鋼棒又はねじ節鉄筋の引っ張り力を解放するようにした点にある。
【0010】
これにより、コンクリート杭内にPC鋼棒又はねじ節鉄筋が配筋されて強度がアップされるとともに、コンクリート杭に圧縮力が加わってさらに強度がアップされるので、コンクリート杭の強度を大幅に増大できる。
【0011】
型枠は真っ直ぐな管であってもよいが、外周面に突条がらせん状に形成された管を用いると、コンクリート杭の固定強度をさらに向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るコンクリート杭の造形方法の好ましい実施形態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るコンクリート杭の造形方法の好ましい実施形態を示す。コンクリート杭を造形する場合、地盤20に
図1の(a)に示されるように、オーガ60やドリルなどを用いて下穴21をあける。この下穴21は穿設すべき筒状の穴22よりも大径とし、大径のオーガやドリルを回転させ、又は小径のオーガやドリルを回転させながら中心軸線廻りに旋回させることによって下穴21を形成することができる。
【0014】
こうして下穴21が形成できると、
図1の(b)に示されるように、下穴21底部に定着板30をセットする。この定着板30には中央にねじ穴31が形成されている。
【0015】
次に、
図1の(c)に示されるように、下穴21内に定着板30よりも小径のテーパー筒状の型枠32をセットし、型枠32と下穴21との間にコンクリートを打設する。
この型枠32は筒状の穴22の内径に等しい外径のポリ塩化ビニル製の管の外周面に断面台形状の突条32Aをらせん状に形成して製作されている。突条32Aは管を製造するときに一体的に形成するようにしてもよく、又肉厚の管を切削することによって形成するようにしてもよく、さらに管とは別体に製作し、管外側面に接着剤などによって固着するようにしてもよい。
【0016】
コンクリート50が固化し、型枠32を外すと、筒状の穴22ができるので、
図1の(d)に示されるように、内22内にPC鋼棒(又はねじ節鉄筋)33を差し込んで定着板30のねじ穴31に螺合させ、
図1の(e)に示されるように、PC鋼棒33の上端部に止圧板40とナット41とをセットし、ナット41を螺進させてPC鋼棒33に引っ張り力を作用させる。
【0017】
次に、穴22内にコンクリートを打設し、打設したコンクリート51が固化すると、ナット41を弛めるとともに、止圧板40を外し、
図1の(f)に示されるように、コンクリートにPC鋼棒33によって圧縮力が加えられたコンクリート杭が得られる。
【0018】
以上のように、コンクリート杭内にPC鋼棒33が配筋されるとともに、コンクリート杭に圧縮力を加えることができ、これによってコンクリート杭の耐倒壊強さを大幅に増大できる。
【0019】
図2は第2の実施形態を示し、図において
図1と同一符号は同一又は相当部分を示す。本発明では上記の例のテーパー筒状の型枠32に代え、
図2に示されるような真っ直ぐな筒状の型枠32−1や外周面に突条をらせん状に形成した筒状の型枠32−2を使用することができる。
【0020】
なお、上記ではPC鋼棒を使用したが、ねじ節鉄筋を使用することもできる。
【符号の説明】
【0021】
20 地盤
21 下穴
22 筒状の穴
30 定着板
31 ねじ穴
32 型枠
33 PC鋼棒
40 止圧板
41 ナット
50 コンクリート
51 コンクリート