特許第6363009号(P6363009)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363009
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】合成樹脂製ボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   B65D1/02 220
   B65D1/02 250
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-242624(P2014-242624)
(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公開番号】特開2016-101975(P2016-101975A)
(43)【公開日】2016年6月2日
【審査請求日】2017年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】富山 茂
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
【審査官】 新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−156272(JP,A)
【文献】 特開2014−156287(JP,A)
【文献】 特開2007−246126(JP,A)
【文献】 特開2009−280274(JP,A)
【文献】 特開2009−154963(JP,A)
【文献】 特開2013−180756(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0000421(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00 − 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部の上端部に上方に向けて縮径するテーパ筒状の肩部を介して口筒部が立設された合成樹脂製ボトルにおいて、
肩部上部と胴部下部の間の領域は、複数の減圧吸収面と複数の柱部とを周方向に交互に配置することで、横断面において複数の柱部を頂点とする略多角形状をなすように形成されており、
各柱部は、横断面においてボトル軸心を中心とする円弧状をなしており、
各減圧吸収面は、少なくとも胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだ凹面として形成されていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。
【請求項2】
前記各柱部及び各減圧吸収面は、肩部上部と肩部下端部の間の領域が、縦断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなしており、
前記各減圧吸収面は、肩部上部と胴部上端部の間の領域及び胴部上端部領域が、横断面において直線状をなしており、また、
前記各減圧吸収面は、胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしている、請求項1に記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項3】
前記各減圧吸収面の胴部上端部と胴部下部の間の領域における凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝が形成されている、請求項2に記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項4】
前記各柱部は、肩部上部と胴部上端部の間の領域が、縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしており、
前記各減圧吸収面は、肩部下端部領域及び胴部上端部領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしており、また、
前記各減圧吸収面は、胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしており、
前記各減圧吸収面において、前記肩部下端部領域及び胴部上端部領域の凹面と、前記胴部上端部と胴部下部の間の領域の凹面とはなだらかに連なっている、請求項1に記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項5】
前記各減圧吸収面の肩部下端部領域、胴部上端部領域及び胴部上端部と胴部下部の間の領域における凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝が形成されている、請求項4に記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項6】
前記肩部上部と胴部下部の間の領域は、横断面において6つの前記柱部を頂点とする略正6角形状をなすように形成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の合成樹脂製ボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状の胴部の上端部に上方に向けて縮径するテーパ筒状の肩部を介して口筒部が立設された合成樹脂製ボトルに関し、特に、シンプルなボトル形状を維持しつつ、減圧吸収機能を向上させようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の合成樹脂製ボトルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂製等の2軸延伸ブロー成形によるボトルや、ポリプロピレン(PP)樹脂製等のダイレクトブロー成形によるボトルなどが、飲料用、食品用、化粧料等の様々な分野で使用されている。
【0003】
また、このような合成樹脂製ボトルとして、内容物の冷却に伴って容器内が減圧した際に、ボトルの歪な変形(局所的な陥没変形など)を生じないようにするために、減圧吸収面を設けた耐熱ボトルが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−241207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような耐熱ボトルにおいては、シンプルなボトル形状を維持しつつ、減圧吸収機能を向上させることが求められる。具体的には、ボトル内に付与する負圧を強くしていったときにボトルの歪な変形を生じない限界の減圧圧力を表す減圧強度を高めることと、同じくボトル内に付与する負圧を強くしていったときにボトルの歪な変形を生じない限界の体積変化量(吸収容量)を高めることが求められる。
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するために開発されたもので、シンプルなボトル形状を維持しつつ、減圧吸収機能、すなわち、減圧強度及び限界の体積変化量を向上できる合成樹脂製ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.筒状の胴部の上端部に上方に向けて縮径するテーパ筒状の肩部を介して口筒部が立設された合成樹脂製ボトルにおいて、
肩部上部と胴部下部の間の領域は、複数の減圧吸収面と複数の柱部とを周方向に交互に配置することで、横断面において複数の柱部を頂点とする略多角形状をなすように形成されており、
各柱部は、横断面においてボトル軸心を中心とする円弧状をなしており、
各減圧吸収面は、少なくとも胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだ凹面として形成されていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。
【0008】
2.前記各柱部及び各減圧吸収面は、肩部上部と肩部下端部の間の領域が、縦断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなしており、
前記各減圧吸収面は、肩部上部と胴部上端部の間の領域及び胴部上端部領域が、横断面において直線状をなしており、また、
前記各減圧吸収面は、胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしている、前記1の合成樹脂製ボトル。
【0009】
3.前記各減圧吸収面の胴部上端部と胴部下部の間の領域における凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝が形成されている、前記2の合成樹脂製ボトル。
【0010】
4.前記各柱部は、肩部上部と胴部上端部の間の領域が、縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしており、
前記各減圧吸収面は、肩部下端部領域及び胴部上端部領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしており、また、
前記各減圧吸収面は、胴部上端部と胴部下部の間の領域が、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしており、
前記各減圧吸収面において、前記肩部下端部領域及び胴部上端部領域の凹面と、前記胴部上端部と胴部下部の間の領域の凹面とはなだらかに連なっている、前記1の合成樹脂製ボトル。
【0011】
5.前記各減圧吸収面の肩部下端部領域、胴部上端部領域及び胴部上端部と胴部下部の間の領域における凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝が形成されている、前記4の合成樹脂製ボトル。
【0012】
6.前記肩部上部と胴部下部の間の領域は、横断面において6つの前記柱部を頂点とする略正6角形状をなすように形成されている、前記1〜5のいずれかの合成樹脂製ボトル。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、肩部上部と胴部下部の間の領域は、複数の減圧吸収面と複数の柱部とを周方向に交互に配置することで、横断面において複数の柱部を頂点とする略多角形状をなすように形成されており、各柱部は、横断面においてボトル軸心を中心とする円弧状をなしているという構成によってシンプルなボトル形状を維持することができる。また、本発明によれば、各減圧吸収面を、少なくとも胴部上端部と胴部下部の間の領域においては、横断面において内側に凹んだ凹面として形成したので、減圧強度及び限界の体積変化量を向上させることができる。
【0014】
したがって、本発明によれば、シンプルなボトル形状を維持しつつ、減圧吸収機能、すなわち、減圧強度及び限界の体積変化量を向上できる合成樹脂製ボトルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る合成樹脂製ボトルの側面図である。
図2図1のX−X断面図である。
図3図1に示す合成樹脂製ボトルの変形例の側面図である。
図4】本発明の他の実施形態に係る合成樹脂製ボトルの側面図である。
図5図4のY−Y断面図である。
図6図4に示す合成樹脂製ボトルの変形例の側面図である。
図7】比較例としての合成樹脂製ボトルの側面図である。
図8】他の比較例としての合成樹脂製ボトルの側面図である。
図9図1図3及び図7に示す合成樹脂製ボトルについて減圧強度及び限界の体積変化量を測定した結果を示すグラフである。
図10図4図6及び図8に示す合成樹脂製ボトルについて減圧強度及び限界の体積変化量を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1図3を参照して、本発明の一実施形態に係る合成樹脂製ボトルについて詳細に例示説明する。
なお、本明細書において、上下方向とは、合成樹脂製ボトルの正立状態を基準とし、上方とは例えば図1における上方を意味し、下方とはその反対方向を意味するものとする。
【0017】
図1図2に示すように、本実施形態に係る合成樹脂製ボトル1は、筒状の胴部2を備えている。胴部2の上端部には、上方に向けて縮径するテーパ筒状の肩部3を介して円筒状の口筒部4が立設されている。胴部2の下端部には、底部5が連設されている。
【0018】
なお、本実施形態では、合成樹脂製ボトル1は、ポリプロピレン(PP)樹脂単体のダイレクトブロー成形によって形成されている。しかしながら、これに代えて、例えば、ガスバリア性樹脂層等を積層した積層ボトルとしてもよく、この場合にはダイレクトブロー成形によって形成することが好ましいが、2軸延伸ブロー成形によって形成することも可能である。
【0019】
特に、ダイレクトブロー成形によって、外側から内側に向けて、PP樹脂層/接着層/エチレンビニルアルコール(EVOH)共重合樹脂層/接着層/PP樹脂層からなる積層ボトルとした場合には、ガスバリア性を良好に発揮することができ、内容物の酸化による品質の低下を長期間安定して抑制することができる。ここに、接着層としては、PE系樹脂或いはPP系樹脂等のポリオレフィン樹脂に極性基を導入した樹脂(市販品としては三井化学社製の「アドマー」等がある)の使用が好ましい。また、必要に応じて再生材層等の他の層を加えて積層することもできる。
【0020】
胴部2は、本例では、肩部下端部と胴部下部との間の領域Aが、上方に向けて僅かに拡径している。なお、胴部2の前記領域Aは、上下方向に径寸法が変化しない筒状をなしていてもよい。胴部2の下部領域Bは、内側に凹んだ周溝6を有する短円筒部2aとして形成されている。
【0021】
また、肩部上部と胴部下部の間の領域Cは、複数の減圧吸収面7と複数の柱部8とを周方向に交互に配置することで、横断面(すなわち、ボトル軸心Oに直交する断面)において複数の柱部8を頂点とする略多角形状をなすように形成されている。より具体的には、本例では、前記肩部上部と胴部下部の間の領域Cは、横断面において6つの柱部8を頂点とする略正6角形状をなすように形成されている。ここに、各柱部8は、横断面においてボトル軸心Oを中心とする円弧状をなしている。
【0022】
各減圧吸収面7は、少なくとも胴部上端部と胴部下部の間の領域Dが、横断面において内側に凹んだ凹面として形成されている。より具体的には、本例では、各減圧吸収面7は、胴部上端部と胴部下部の間の領域Dが、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしている。
【0023】
また、本例では、各柱部8及び各減圧吸収面7は、肩部上部と肩部下端部の間の領域Eが、縦断面(すなわち、ボトル軸心Oを含む断面)において内側に凹んだなだらかな曲線状をなしている。さらに、本例では、各減圧吸収面7は、肩部上部と胴部上端部の間の領域F及び胴部上端部領域Gが、横断面において直線状をなしている。
【0024】
かかる構成になる本実施形態に係る合成樹脂製ボトル1によれば、肩部上部と胴部下部の間の領域Cは、複数の減圧吸収面7と複数の柱部8とを周方向に交互に配置することで、横断面において複数の柱部8を頂点とする略多角形状をなすように形成されており、各柱部8は、横断面においてボトル軸心Oを中心とする円弧状をなしているという構成によってシンプルなボトル形状を維持することができる。また、合成樹脂製ボトル1によれば、各減圧吸収面7を、少なくとも胴部上端部と胴部下部の間の領域Dにおいては、横断面において内側に凹んだ凹面として形成したので、当該領域Dにおいて減圧吸収面7を平面として形成した場合よりも、減圧時に減圧吸収面7が内側に変形し易くなるため、減圧強度及び限界の体積変化量を向上させることができる。
【0025】
また、本例のように、各柱部8及び各減圧吸収面7は、肩部上部と肩部下端部の間の領域Eが、縦断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなしており、各減圧吸収面7は、肩部上部と胴部上端部の間の領域F及び胴部上端部領域Gが、横断面において直線状をなしており、また、各減圧吸収面7は、胴部上端部と胴部下部の間の領域Dが、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなすという構成とした場合には、減圧強度及び限界の体積変化量をより確実に向上させることができる。
【0026】
次に、前述した本実施形態に係る合成樹脂製ボトル1の変形例について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、本変形例に係る合成樹脂製ボトル1’は、各減圧吸収面7’の形状が異なる他は、図1図2を用いて説明した例の場合と同一の構成になっている。
【0027】
すなわち、本変形例では、各減圧吸収面7’の胴部上端部と胴部下部の間の領域Dにおける凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝9が形成されている。
かかる構成によれば、凹溝9の付加によって合成樹脂製ボトル1’の周長が延び、減圧時に減圧吸収面7’がより変形しやすくなるため、減圧強度及び限界の体積変化量の更なる向上が可能となる。
【0028】
次に、図4図6を参照して、本発明の他の実施形態に係る合成樹脂製ボトル10について詳細に例示説明する。
図4図5に示すように、本実施形態に係る合成樹脂製ボトル10は、各減圧吸収面11及び各柱部12の形状が異なる他は、図1図2を用いて説明した例の場合と同一の構成になっている。
【0029】
すなわち、本実施形態では、各柱部12は、肩部上部と胴部上端部の間の領域Fが、縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしており、各減圧吸収面11は、肩部下端部領域H及び胴部上端部領域Gが、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において外側に凸となるなだらかな曲線状をなしている。
【0030】
また、各減圧吸収面11は、胴部上端部と胴部下部の間の領域Dが、横断面において内側に凹んだなだらかな曲線状をなす凹面として形成されており、該凹面は縦断面において直線状をなしており、各減圧吸収面11において、前記肩部下端部領域H及び胴部上端部領域Gの凹面と、前記胴部上端部と胴部下部の間の領域Dの凹面とはなだらかに連なっている。
【0031】
かかる構成になる本実施形態に係る合成樹脂製ボトル10によれば、図1図2を用いて説明した例の場合と比べると、各減圧吸収面11に分断されないより大きな凹面を形成することができるため、減圧強度及び限界の体積変化量を更に効果的に向上させることができる。
【0032】
次に、前述した本実施形態に係る合成樹脂製ボトル10の変形例について、図6を用いて説明する。
図6に示すように、本変形例に係る合成樹脂製ボトル10’は、各減圧吸収面11’の形状が異なる他は、図4図5を用いて説明した例の場合と同一の構成になっている。
【0033】
すなわち、本変形例では、各減圧吸収面11’の肩部下端部領域H、胴部上端部領域G及び胴部上端部と胴部下部の間の領域Dにおける凹面には、該凹面の周方向中央部に、横断面において内側に凹む凹溝13が形成されている。
かかる構成によれば、凹溝13の付加によって合成樹脂製ボトル10’の周長が延び、減圧時に減圧吸収面11’がより変形しやすくなるため、減圧強度及び限界の体積変化量の更なる向上が可能となる。また、本変形例によれば、各減圧吸収面11’に分断されないより大きな凹溝13を付加することができるため、減圧強度及び限界の体積変化量の更なる向上が可能となる。
【0034】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えてもよいことは言うまでもない。
【実施例1】
【0035】
本発明の発明例1〜2として、それぞれ、図1図3に示した構成になる合成樹脂製ボトルについて解析データを製作した。また、比較例1として、図7に示す構成になる合成樹脂製ボトルについて解析データを製作した。比較例1の構成は、減圧吸収面7が凹面を有しておらず、横断面において直線状をなしている点を除いては、図1図2に示した構成と同一になっている。
【0036】
発明例1〜2及び比較例1は、いずれも、PP樹脂単体のダイレクトブロー成形によるものとし、ボトル内容量は200ml、ボトル重量は14gとした。そして、空の状態の各例について、付与する減圧圧力をボトルに歪な変形が生じる(具体的には、6本の柱部8,12のいずれかの下部において屈曲が生じる)まで増加させながら、体積変化量(吸収容量)の変化を解析するシミュレーションを実施した。その結果を以下の表1及び図9に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表1及び図9から明らかなように、比較例1(図7に示した構成)に対し、発明例1(図1図2に示した構成)は、減圧強度が6.31kPaから7.04kPaに、限界の体積変化量は8.29mlから12.25mlに、それぞれ大幅に増加した。これは、減圧吸収面7に凹面を形成したことで、減圧時に減圧吸収面7が内側に変形しやすくなったためであると考えられる。
【0039】
また、発明例1に対し、発明例2(図3に示した構成)は、減圧強度が7.04kPaから7.63kPaに、限界の体積変化量は12.25mlから12.50mlにそれぞれ増加した。これは、減圧吸収面7’に凹溝9を形成したことで、ボトルの周長が延び、減圧時に減圧吸収面7’がより変形しやすくなったためであると考えられる。
【実施例2】
【0040】
同様に、本発明の発明例3〜4として、それぞれ、図4図6に示した構成になる合成樹脂製ボトルについて解析データを製作した。また、比較例2として、図8に示す構成になる合成樹脂製ボトルについて解析データを製作した。比較例2の構成は、減圧吸収面11が凹面を有しておらず、横断面において直線状をなしている点を除いては、図4に示した構成と同一になっている。
【0041】
そして、これら発明例3〜4及び比較例2について、前述した発明例1〜2及び比較例1の場合と同一の条件でシミュレーションを実施した。その結果を以下の表2及び図10に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
表2及び図10から明らかなように、肩部3の形状を変更した発明例3(図4図5に示した構成)、発明例4(図6に示した構成)及び比較例2(図8に示した構成)においても、前述した発明例1〜2及び比較例1の場合と同様の結果が得られた。
【0044】
以上の結果により、本発明によれば、減圧強度及び限界の体積変化量を向上できることが確認された。
【符号の説明】
【0045】
1,1’ 合成樹脂製ボトル
2 胴部
2a 短円筒部
3 肩部
4 口筒部
5 底部
6 周溝
7,7’ 減圧吸収面
8 柱部
9 凹溝
10,10’ 合成樹脂製ボトル
11,11’ 減圧吸収面
12 柱部
13 凹溝
A 肩部下端部と胴部下部との間の領域
B 胴部の下部領域
C 肩部上部と胴部下部の間の領域
D 胴部上端部と胴部下部の間の領域
E 肩部上部と肩部下端部の間の領域
F 肩部上部と胴部上端部の間の領域
G 胴部上端部領域
H 肩部下端部領域
O ボトル軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10