【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、請求項1で請求されるような蛍光改良型光源を提供する。本発明の第2の態様は、請求項13において請求されるような照明器具を提供する。有利な実施形態は、従属請求項において定義される。
【0005】
本発明の第1の態様に従って可視パターンを提供するための蛍光改良型光源は、光出口窓、光エミッタ、ルミネッセンス層を含む。光出口窓は、蛍光改良型光源の周囲に光を放射する。光エミッタは、第1の色分布の光を光出口窓の方へ放射する。ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部を吸収し、且つ吸収された光の一部を第2の色分布の光に変換するルミネッセンス材料を含む。ルミネッセンス層の少なくとも一部が、光出口窓の少なくとも一部を形成する。ルミネッセンス層は、第1の領域、及び第1の領域と異なる第2の領域を含む。第1の領域及び第2の領域は、パターンを形成する。第1の領域の第1の光変換特徴は、第1の領域による周囲への第1の発光、及び第2の領域による周囲への第2の発光を実現するために、第2の領域の第2の光変換特徴と類似している。光エミッタが動作している場合に、第1の発光及び第2の発光は、類似の発光として人の肉眼によって認識される。光が、それぞれ第1の領域及び第2の領域に周囲から当たる場合に、第1の領域の第1の反射特性は、第2の領域による第2の周囲光反射と異なる第1の領域による第1の周囲光反射を得るために、第2の領域の第2の反射特性と異なる。第1の周囲光反射と第2の周囲光反射との間の差は、人の肉眼で見える。
【0006】
本発明は、パターンを形成し、且つ同じ光変換特性を有する少なくとも2つの別々な領域を含むルミネッセンス層を提供する。光エミッタによって放射された光は、第1の領域の第1の光変換特性及び第2の領域の第2の光変換特性の結果として、それぞれ、第1の領域において第1の発光に変換され、且つ第2の領域において第2の発光に変換される。「発光」は、本コンテクストにおいて、特定の色分布を有する光の放射を意味し、且つ特定の光強度を有してもよい。第1の変換特性及び第2の変換特性は、第1の発光が第2の発光と類似していることを人の肉眼が認識するようなものである。類似は、「等しい」ことを直接的には意味しないが、それは、人の肉眼が、第1の発光と第2の発光との間にわずかな差のみを認識し得ることを意味する。これは、第1の発光及び第2の発光の強度及び色が、わずかに離れてもよいことを意味する。それはまた、第1の発光のスペクトル及び第2の発光のスペクトルが、それらのスペクトルがほぼ同じ色のスペクトルとして人の肉眼によって認識される限り、離れてもよいことを意味する。従って、光エミッタが動作していて発光する場合に、見る人は、それぞれ第1の領域及び第2の領域の発光を、ほぼ等しい発光として認識する。これは、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人によって、便利な発光として認識される。従って、蛍光改良型光源の発光は、蛍光改良型光源の光エミッタが動作している場合に、改善される。第1の領域又は第2の領域のそれぞれの変換特性は、パラメータ中で特に、光エミッタによって放射されたどのくらいの光が、変換されずにそれぞれの領域を透過されるかということ、第1の色分布のどのくらいの光が、それぞれの領域のルミネッセンス材料によって第2の色分布の光へ変換されるかということ、及びどのくらいの光が、それぞれの領域において吸収されるかということに依存する。従って、第1の発光及び第2の発光は、両方とも、第2の色分布の光を含み、且つ両方とも、第1の色分布の光を含んでもよい。
【0007】
更に、第1の領域は、第2の領域の第2の反射特性と異なる第1の反射特性を有し、それによって、第1の周囲光反射及び第2の周囲光反射が得られる。それぞれの反射特性は、第1の領域及び第2の領域による、周囲からの光の反射に関連付けられる。従って、それぞれの領域の周囲光反射は、人の肉眼が、それぞれの周囲光反射を異なる反射として認識するように、異なる。第1の領域及び第2の領域は、見る人が分かる特定のパターンを形成する。パターンは、人に提供される画像であってもよい。
【0008】
蛍光改良型光源の認識される発光は全体として、人の肉眼が、蛍光改良型光源の方を見た場合に見える発光であるが、周囲光の強度、及び光エミッタによって放射される光の強度に強く依存することに留意されるべきである。光エミッタが動作していない場合に、蛍光改良型光源の方を見る人は、それぞれの周囲光反射を見るだけであり、結果として、その人は、パターンを見る。光エミッタが発光しており、且つ周囲光が存在しない場合に、人は、それぞれの発光だけを見、その結果、パターンは見られない。光エミッタが発光しており、且つ周囲光の強度レベルが非常に低い場合に、人の肉眼は、主としてそれぞれの発光を見る。従って、光エミッタによって放射される光の強度と周囲光の強度との間の比率に依存して、パターンが見られ得るか、又は均一な発光が認識される。
【0009】
従って、本発明は、蛍光改良型光源が動作中していないか、又は周囲光の強度と比較して比較的低い光強度で発光する場合に、パターン又は画像の提示が望ましく、一方で同じ蛍光改良型光源が、それが比較的高い強度で発光する場合に、高品質な発光を有しなければならない広範囲な新しい用途を提供する。例えば、比較的大きな発光面を備えた、店、オフィス又は家庭で使用される照明器具は、日中はパターン化された発光面を有し、一方で夜間はほぼ単色光出力が、オフィス又は家庭を照明するために得られるように、蛍光改良型光源を組み込んでもよい。パターンは、例えば、非常口の方を人々に示す緊急表示である。かかる蛍光改良型光源は、停電のために光エミッタがもはや機能していない場合にも、緊急の際に重要な情報をユーザに依然として提供する(日光などの幾らかの周囲光がまだ存在すると仮定する)。別の実施形態において、可視パターンはまた、比較的大きな照明器具が大きな非パターン化された表面となるのを防ぐために、装飾的であってもよい。
【0010】
任意選択的に、第1の発光及び第2の発光は、色空間における色点又は相関色温度(CCT:correlated color temperature)に関して類似の発光として少なくとも認識される。第1の発光並びに第2の発光の色点及び/又は相関色温度がほぼ同じである場合に、蛍光改良型光源による高品質な発光が得られる。
【0011】
任意選択的に、光エミッタが動作している場合に、第1の発光及び第2の発光は、人の肉眼によって等しい発光として認識される。
【0012】
任意選択的に、第1の発光及び第2の発光は、色空間における色点又は相関色温度に関して等しい発光として少なくとも認識される。
【0013】
任意選択的に、第1の発光は、第1の色点を有し、第2の発光は、第2の色点を有する。第1の色点と第2の色点との間の差は、10SDCMより小さい。SDCMは、色合わせの標準偏差(Standard Deviation of Color Matching)の略語であり、且つ照明分野において、色空間内の2つの色点がどの程度まで等しい色として認識されるかを表現する周知の測定可能な特性である。差が10SDCMより小さい場合に、見る人は、最小限の差を見ることができ、色は、ほとんど等しい色として認識される。実施形態において、差は、5SDCMより小さく、更なる実施形態において、差は、2SDCMより小さい。差が10SDCMより更に小さい場合に、人の肉眼は、それぞれの発光の色を同じ色として認識し、より高品質な発光さえも、蛍光改良型光源によって得られる。
【0014】
任意選択的に、第1の発光は、第1の演色評価数(color rendering index)(CRI
1)を有し、第2の発光は、第2の演色評価数(CRI
2)を有する。第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、10以下である。それぞれの色点がほぼ同じであり、且つ/又はそれぞれの色温度がほぼ同じある場合に、演色評価数における差は、人の肉眼には見えないことが多いが、演色評価数は、蛍光改良型光源によって照明される対象の演色に関して重要である。従って、蛍光改良型光源による高品質な発光を得るために、第2の発光とほぼ同じ演色評価数を有する第1の発光を有することが有利である。別の実施形態において、第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、5より小さい。更なる実施形態において、第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、2より小さい。
【0015】
任意選択的に、第1の反射特性は第2の反射特性と、以下における少なくとも1つに関して異なる。即ち、i)第1の領域が、周囲から当たる光の第1の部分を吸収し、第2の領域が、周囲から当たる光の第2の部分を吸収し、第1の部分が、第2の部分と異なることと、ii)第1の領域が、第1の散乱特性を有し、第2の領域が、第2の散乱特性を有し、第1の散乱特性が、第2の散乱特性と異なることと、の少なくとも1つに関して異なる。第1の領域が、第2の領域の吸収特性と比較して、異なる吸収特性を有する場合に、ルミネッセンス層の方を見る人は、第2の領域から受け取られる配光とは別の配光を第1の領域から受け取る。人によって受け取られる配光は、周囲光の配光から吸収された部分の配光を引いたものに基づく。散乱特性が異なる場合に、第1の領域及び第2の領域の方を見る人は、それぞれの領域から別の光量を受け取る。何故なら、それぞれの散乱特性に依存して、より少ないか又はより多くの光が、人の方向へ散乱されるからである。周囲から当たる光の一部を吸収することが、特定のスペクトルを吸収すること及び特定の光量を吸収することの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせを含むことに留意されるべきである。
【0016】
任意選択的に、吸収される第1の部分は、吸収される光量に関して、吸収される第2の部分と異なり、且つ/又は吸収される第1の部分は、吸収される光色に関して、吸収される第2の部分と異なる。それぞれの反射特性が、光量の吸収に関して異なる場合に、第1の領域及び第2の領域は、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人に見える、異なる光強度を反射し、異なる「グレー」レベルが、当たる周囲光が白色光である場合に見られ得る。それぞれの反射特性が、色の吸収に関して異なる場合に、第1の領域及び第2の領域は、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人に見える、異なる色外観を有する。色外観は、当たる光の色スペクトルにおける一部が、例えばルミネッセンス材料によって吸収されるという事実の結果であり、反射される光スペクトルは、吸収される色スペクトルに対して相補的な色を有する。当たる周囲光の色スペクトルは、同様に色外観に影響を及ぼすが、しかしながら、第1の領域が、第2の領域とは別の、当たる周囲光の色スペクトルにおける部分を反射する場合に、ユーザは、それぞれの領域において異なる色を認識する。従って、第1の領域及び第2の領域によって形成されるパターンは、異なる色を通して目に見える。
【0017】
任意選択的に、第1の領域は、ルミネッセンス層に垂直な方向において、ルミネッセンス材料を含む少なくとも第1のルミネッセンス副層を含む第1の層スタックを含む。第2の領域は、ルミネッセンス層に垂直な方向において、ルミネッセンス材料を含む少なくとも第2のルミネッセンス副層を含む第2の層スタックを含む。第1の層スタックは、周囲に面している第1の層スタックの側面に、第1のルミネッセンス副層を配置し、第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面には、第2のルミネッセンス副層を配置しない。ルミネッセンス材料を備えたそれぞれのルミネッセンス副層が、それぞれの層スタックにおける別の位置に配置される場合に、周囲に面している上部層は異なり、従って、反射特性は異なる。第1の領域は、周囲に面している位置に第1のルミネッセンス層を配置し、従って、第1の領域は、当たる周囲光の色スペクトルの一部をルミネッセンス材料が吸収するので、特定の色外観を有する。第2の領域は、この特定の色外観を有しない。両方のスタックは、それぞれのルミネッセンス副層を含み、従って、両方の層の変換特性は、ほぼ等しい。
【0018】
任意選択的に、第1の層スタックは、第1の拡散副層を更に含む。第2の層スタックは、第2の拡散副層を更に含む。第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面に第2の拡散副層を配置した。従って、両方のスタックは、ほぼ等しく、比較可能な変換特性を有し、且つ周囲に面している各スタックのそれぞれの層は異なり、従って、それぞれ第1の領域及び第2の領域の反射特性は異なる。
【0019】
任意選択的に、ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部の吸収のための、且つ吸収された光の一部を第3の色分布の光に変換するための更なるルミネッセンス材料を含む。第1の層スタックは、更なるルミネッセンス材料を含み、且つルミネッセンス材料を含まない第1の更なるルミネッセンス副層を更に含む。第2の層スタックは、更なるルミネッセンス材料を含み、且つルミネッセンス材料を含まない第2の更なるルミネッセンス副層を更に含む。第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面に第2の更なるルミネッセンス副層を配置した。第1の領域及び第2の領域の各領域は、周囲に面している側面に配置された層の自身の層スタックに異なる層を有し、従って、それぞれの領域の反射特性は異なる。反射特性は、特定の色スペクトルの吸収に関して特に異なる。ルミネッセンス材料及び更なるルミネッセンス材料は、それぞれ、第1の色スペクトルの異なる部分を吸収し、従って、それらは、第1の領域及び第2の領域の異なる色外観に寄与する。更に、ルミネッセンス材料は、散乱特性に関して、更なるルミネッセンス材料と異なってもよい。例えば、無機蛍光体は、当たる光をかなりの程度まで散乱し、一方で有機蛍光体は、透明であることが多く、しばしば透明マトリックスポリマーにおいて用いられ、従って、有機蛍光体は、光の散乱に寄与しない。第1の領域及び第2の領域のそれぞれの層スタックが、両方とも、ルミネッセンス材料を備えた層及び更なるルミネッセンス材料を備えた層を含み、従って、それらの変換特性がほぼ等しいことに留意されるべきである。
【0020】
任意選択的に、ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部を吸収するための、且つ吸収された光の一部を第4の色分布の光に変換するための別のルミネッセンス材料を含む。第1の領域は、ルミネッセンス材料と別のルミネッセンス材料との第1の混合物を含む。第2の領域は、ルミネッセンス材料と別のルミネッセンス材料との第2の混合物を含む。第2の混合物は、第1の混合物と異なる。第1の混合物が、第2の混合物と異なる場合に、第1の領域の色外観は、第2の領域と異なる。更に、混合物は、それぞれ第1の領域及び第2の領域の変換特性がほぼ等しいように、調整されなければならない。実施形態において、ルミネッセンス材料の異なる混合物用の等しい変換特性は、例えば、混合物の1つにおいて、第3のルミネッセンス材料又は別の色フィルタリング材料の使用によって得られてもよい。
【0021】
任意選択的に、第1の混合物における別のルミネッセンス材料の量はゼロであり、第2の混合物におけるルミネッセンス材料の量はゼロである。従って、第1の領域及び第2の領域における各領域は、異なるルミネッセンス材料を含む。異なるルミネッセンス材料の濃度は、等しい変換特性が第1の領域用と同様に第2の領域用に得られるように調整されてもよく、一方で同時に、両方の領域は、当たる周囲光を異なって反射し、例えば、両方の領域は、異なる色外観を有する。
【0022】
任意選択的に、ルミネッセンス材料は、無機ルミネッセンス材料である。更なるルミネッセンス材料又は別のルミネッセンス材料は、有機ルミネッセンス材料である。異なる性質のルミネッセンス材料を用いて、同じ変換特性が得られる可能性があり、一方でそれらの反射特性は異なる。上記で説明されたように、無機ルミネッセンス材料は、強い色外観をすることが多く、比較的大きな光量を散乱し、有機ルミネッセンス材料は、透明で、少ない色外観、小量の散乱及びしばしば限られた光反射量に帰着することが多い。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による蛍光改良型光源を含む照明器具が提供される。
【0024】
本発明の第2の態様による照明器具は、本発明の第1の態様による蛍光改良型光源と同じ利点を提供し、システムにおける対応する実施形態と類似の効果を備えた類似の実施形態を有する。
【0025】
本コンテクストにおいて、光エミッタによって放射される光、それぞれの発光の光、又はそれぞれの周囲光反射の光は、典型的には、特定のスペクトルを有する光を含む。特定のスペクトルは、例えば、所定の波長を中心とした特定の帯域幅を有する原色を含んでもよく、又は例えば複数の原色を含んでもよい。所定の波長は、放射電力スペクトル分布の平均波長である。原色の光は、例えば、赤色、緑色、青色、黄色及び琥珀色光を含む。特定のスペクトルはまた、青色及び琥珀色、又は青色、黄色及び赤色などの原色の混合を含んでもよい。例えば、赤色、緑色と青色光との特定の組み合わせを選択することによって、白色を含むほぼ全ての色が、反射され得るか、又は蛍光改良型光源によって放射されることができる。特定のスペクトルが、可視光スペクトル領域における任意のスペクトルであってもよく、且つUV又は赤外線スペクトル領域における波長など、可視光スペクトル範囲外の波長を含んでもよいことが、更に留意されるべきである。
【0026】
ルミネッセンス材料、更なるルミネッセンス材料、及び別のルミネッセンス材料が、それぞれ、特定の吸収スペクトルを有することに留意されるべきである。このスペクトルは、第1の色分布と完全に又は部分的に重なってもよく、重なった部分は、第1の色分布の光におけるどの部分が、それぞれのルミネッセンス材料に吸収され得るかを決定する。更に、それぞれのルミネッセンス材料の吸収スペクトルはまた、第2、第3、又は第4の色分布との重なりを有してもよく、ルミネッセンス材料の特定の構成に依存して、それぞれのルミネッセンス材料はまた、別のルミネッセンス材料によって発生された光を吸収してもよい。
【0027】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下で説明される実施形態から明白であり、且つそれらの実施形態に関連して解明されよう。
【0028】
本発明の上記の選択肢、インプリメンテーション及び/又は態様の2つ以上が、有用であると考えられる任意の方法で組み合わされてもよいことが、当業者によって理解されよう。
【0029】
蛍光改良型光源及び照明器具の修正形態及び変形形態は、蛍光改良型光源の説明される修正形態及び変形形態に対応し、本記載に基づいて当業者によって実施され得る。