特許第6363018号(P6363018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363018可視パターンを提供するための蛍光改良型光源及び照明器具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363018
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】可視パターンを提供するための蛍光改良型光源及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20180712BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20180712BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20180712BHJP
【FI】
   H01L33/50
   F21S2/00 211
   F21S2/00 231
   F21S2/00 250
   F21V9/16 100
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-514174(P2014-514174)
(86)(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公表番号】特表2014-519710(P2014-519710A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】IB2012052646
(87)【国際公開番号】WO2012168821
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年5月20日
【審判番号】不服2017-3265(P2017-3265/J1)
【審判請求日】2017年3月6日
(31)【優先権主張番号】11169428.7
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】バン ボメル ティエス
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファット アタ ムスタファ
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 星野 浩一
【審判官】 近藤 幸浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/109742(WO,A1)
【文献】 特表2011−503817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F13/00−13/46
H01L33/00―33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視パターンを提供するための蛍光改良型光源であって、前記蛍光改良型光源が、
前記蛍光改良型光源の周囲に光を放射するための光出口窓と、
第1の色分布の光を前記光出口窓の方へ放射するための光エミッタと、
前記第1の色分布の前記光の一部を吸収するための、且つ前記吸収された光の一部を第2の色分布の光に変換するためのルミネッセンス材料を含むルミネッセンス層であって、前記ルミネッセンス層の少なくとも一部が、前記光出口窓の少なくとも一部を形成し、前記ルミネッセンス層が、第1の領域、及び前記第1の領域と異なる第2の領域を含み、前記第1の領域及び前記第2の領域がパターンを形成するルミネッセンス層と、
を含み、
前記第1の領域の第1の光変換特徴が、前記第1の領域による前記周囲への第1の発光、及び前記第2の領域による前記周囲への第2の発光を得るために、前記第2の領域の第2の光変換特徴に似ており、前記光エミッタが動作している場合に、前記第1の発光及び前記第2の発光が、ほぼ等しい光特性であることにより類似の発光として人の肉眼によって認識され、
光が、前記第1の領域及び前記第2の領域に周囲から当たる場合に、前記第1の領域の第1の反射特性が、前記第2の領域による第2の周囲光反射と異なる前記第1の領域による第1の周囲光反射を得るために、前記第2の領域の第2の反射特性と異なり、前記第1の周囲光反射と前記第2の周囲光反射との間の差が、人の肉眼で見える蛍光改良型光源。
【請求項2】
前記第1の発光及び前記第2の発光が、色空間における色点、相関色温度に関して類似の発光として少なくとも認識される、請求項1に記載の蛍光改良型光源。
【請求項3】
前記第1の発光が、第1の色点を有し、前記第2の発光が、第2の色点を有し、前記第1の色点と前記第2の色点との間の差が、10SDCMより小さい、請求項2に記載の蛍光改良型光源。
【請求項4】
前記第1の発光が、第1の演色評価数を有し、前記第2の発光が、第2の演色評価数を有し、前記第1の演色評価数と前記第2の演色評価数との間の差が10以下である、請求項2に記載の蛍光改良型光源。
【請求項5】
前記第1の反射特性が、
前記第1の領域が、前記周囲から当たる前記光の第1の部分を吸収し、前記第2の領域が、前記周囲から当たる前記光の第2の部分を吸収し、前記第1の部分が、前記第2の部分と異なることと、
前記第1の領域が、第1の散乱特性を有し、前記第2の領域が、第2の散乱特性を有し、前記第1の散乱特性が、前記第2の散乱特性と異なることと、
の少なくとも1つに関して、前記第2の反射特性と異なる、請求項1に記載の蛍光改良型光源。
【請求項6】
前記吸収される第1の部分が、吸収される光量に関して、前記吸収される第2の部分と異なり、且つ/又は前記吸収される第1の部分が、吸収される前記光の色に関して、前記吸収される第2の部分と異なる、請求項5に記載の蛍光改良型光源。
【請求項7】
可視パターンを提供するための蛍光改良型光源であって、前記蛍光改良型光源が、
前記蛍光改良型光源の周囲に光を放射するための光出口窓と、
第1の色分布の光を前記光出口窓の方へ放射するための光エミッタと、
前記第1の色分布の前記光の一部を吸収するための、且つ前記吸収された光の一部を第2の色分布の光に変換するためのルミネッセンス材料を含むルミネッセンス層であって、前記ルミネッセンス層の少なくとも一部が、前記光出口窓の少なくとも一部を形成し、前記ルミネッセンス層が、第1の領域、及び前記第1の領域と異なる第2の領域を含み、前記第1の領域及び前記第2の領域がパターンを形成するルミネッセンス層と、
を含み、
前記ルミネッセンス層に垂直な方向において、前記第1の領域が、前記ルミネッセンス材料を含む少なくとも第1のルミネッセンス副層を含む第1の層スタックを含み、
前記ルミネッセンス層に垂直な方向において、前記第2の領域が、前記ルミネッセンス材料を含む少なくとも第2のルミネッセンス副層を含む第2の層スタックを含み、
前記第1の層スタックが、前記周囲に面している前記第1の層スタックの側面に、前記第1のルミネッセンス副層を配置し、前記第2の層スタックが、前記周囲に面している前記第2の層スタックの側面以外に、前記第2のルミネッセンス副層を配置し、
前記第1の領域の第1の光変換特徴が、前記第1の領域による前記周囲への第1の発光、及び前記第2の領域による前記周囲への第2の発光を得るために、前記第2の領域の第2の光変換特徴に似ており、前記光エミッタが動作している場合に、前記第1の発光及び前記第2の発光が、類似の発光として人の肉眼によって認識され、
光が、前記第1の領域及び前記第2の領域に周囲から当たる場合に、前記第1の領域の第1の反射特性が、前記第2の領域による第2の周囲光反射と異なる前記第1の領域による第1の周囲光反射を得るために、前記第2の領域の第2の反射特性と異なり、前記第1の周囲光反射と前記第2の周囲光反射との間の差が、人の肉眼で見える蛍光改良型光源。
【請求項8】
前記第1の層スタックが、第1の拡散副層を更に含み、
前記第2の層スタックが、第2の拡散副層を更に含み、
前記第2の層スタックが、前記周囲に面している前記第2の層スタックの側面に前記第2の拡散副層を配置した、請求項7に記載の蛍光改良型光源。
【請求項9】
前記ルミネッセンス層が、前記第1の色分布の前記光の一部を吸収するための、且つ前記吸収された光の一部を第3の色分布の光に変換するための更なるルミネッセンス材料を含み、
前記第1の層スタックが、前記更なるルミネッセンス材料を含み、且つ前記ルミネッセンス材料を含まない第1の更なるルミネッセンス副層を更に含み、
前記第2の層スタックが、前記更なるルミネッセンス材料を含み、且つ前記ルミネッセンス材料を含まない第2の更なるルミネッセンス副層を更に含み、
前記第2の層スタックが、前記周囲に面している前記第2の層スタックの側面に前記第2の更なるルミネッセンス副層を配置した、請求項7に記載の蛍光改良型光源。
【請求項10】
前記ルミネッセンス層が、前記第1の色分布の前記光の一部を吸収するための、且つ前記吸収された光の一部を第4の色分布の光に変換するための別のルミネッセンス材料を含み、
前記第1の領域が、前記ルミネッセンス材料と前記別のルミネッセンス材料との第1の混合物を含み、
前記第2の領域が、前記ルミネッセンス材料と前記別のルミネッセンス材料との第2の混合物を含み、前記第2の混合物が、前記第1の混合物と異なる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の蛍光改良型光源。
【請求項11】
前記第1の混合物における前記別のルミネッセンス材料の量がゼロであり、
前記第2の混合物における前記ルミネッセンス材料の量がゼロである、
請求項10に記載の蛍光改良型光源。
【請求項12】
前記ルミネッセンス材料が、無機ルミネッセンス材料であり、
請求項9を参照した場合に、前記更なるルミネッセンス材料が、又は請求項10を参照した場合に、前記別のルミネッセンス材料が、有機ルミネッセンス材料である、請求項9又は10に記載の蛍光改良型光源。
【請求項13】
請求項1に記載の蛍光改良型光源を含む照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光改良型光源の方を見る人に可視パターンを提供する蛍光改良型光源に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2009/0101930号は、蛍光材料を含む発光面の方へ第1の波長領域の光を放射する複数の光エミッタを含む発光装置を開示する。蛍光材料は、第1の波長領域における光の一部を吸収して、第2の波長領域の光を放射する。発光面は、蛍光材料を含まない所謂窓領域を更に有する。従って、光エミッタが、動作している場合に、発光面におけるある部分を通して、第1の波長領域の光と第2の波長領域の光との組み合わせである光が放射され、且つ発光面におけるある他の部分を通して、主として第1の波長の光を含む光が放射される。従って、蛍光材料のある領域及び蛍光材料がない領域のパターンによって規定されるパターンが、観察されてもよい。不都合は、蛍光材料のある領域とない領域という異なる領域を使用するために、発光が最適ではないということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、より良い発光を有する蛍光改良型光源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様は、請求項1で請求されるような蛍光改良型光源を提供する。本発明の第2の態様は、請求項13において請求されるような照明器具を提供する。有利な実施形態は、従属請求項において定義される。
【0005】
本発明の第1の態様に従って可視パターンを提供するための蛍光改良型光源は、光出口窓、光エミッタ、ルミネッセンス層を含む。光出口窓は、蛍光改良型光源の周囲に光を放射する。光エミッタは、第1の色分布の光を光出口窓の方へ放射する。ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部を吸収し、且つ吸収された光の一部を第2の色分布の光に変換するルミネッセンス材料を含む。ルミネッセンス層の少なくとも一部が、光出口窓の少なくとも一部を形成する。ルミネッセンス層は、第1の領域、及び第1の領域と異なる第2の領域を含む。第1の領域及び第2の領域は、パターンを形成する。第1の領域の第1の光変換特徴は、第1の領域による周囲への第1の発光、及び第2の領域による周囲への第2の発光を実現するために、第2の領域の第2の光変換特徴と類似している。光エミッタが動作している場合に、第1の発光及び第2の発光は、類似の発光として人の肉眼によって認識される。光が、それぞれ第1の領域及び第2の領域に周囲から当たる場合に、第1の領域の第1の反射特性は、第2の領域による第2の周囲光反射と異なる第1の領域による第1の周囲光反射を得るために、第2の領域の第2の反射特性と異なる。第1の周囲光反射と第2の周囲光反射との間の差は、人の肉眼で見える。
【0006】
本発明は、パターンを形成し、且つ同じ光変換特性を有する少なくとも2つの別々な領域を含むルミネッセンス層を提供する。光エミッタによって放射された光は、第1の領域の第1の光変換特性及び第2の領域の第2の光変換特性の結果として、それぞれ、第1の領域において第1の発光に変換され、且つ第2の領域において第2の発光に変換される。「発光」は、本コンテクストにおいて、特定の色分布を有する光の放射を意味し、且つ特定の光強度を有してもよい。第1の変換特性及び第2の変換特性は、第1の発光が第2の発光と類似していることを人の肉眼が認識するようなものである。類似は、「等しい」ことを直接的には意味しないが、それは、人の肉眼が、第1の発光と第2の発光との間にわずかな差のみを認識し得ることを意味する。これは、第1の発光及び第2の発光の強度及び色が、わずかに離れてもよいことを意味する。それはまた、第1の発光のスペクトル及び第2の発光のスペクトルが、それらのスペクトルがほぼ同じ色のスペクトルとして人の肉眼によって認識される限り、離れてもよいことを意味する。従って、光エミッタが動作していて発光する場合に、見る人は、それぞれ第1の領域及び第2の領域の発光を、ほぼ等しい発光として認識する。これは、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人によって、便利な発光として認識される。従って、蛍光改良型光源の発光は、蛍光改良型光源の光エミッタが動作している場合に、改善される。第1の領域又は第2の領域のそれぞれの変換特性は、パラメータ中で特に、光エミッタによって放射されたどのくらいの光が、変換されずにそれぞれの領域を透過されるかということ、第1の色分布のどのくらいの光が、それぞれの領域のルミネッセンス材料によって第2の色分布の光へ変換されるかということ、及びどのくらいの光が、それぞれの領域において吸収されるかということに依存する。従って、第1の発光及び第2の発光は、両方とも、第2の色分布の光を含み、且つ両方とも、第1の色分布の光を含んでもよい。
【0007】
更に、第1の領域は、第2の領域の第2の反射特性と異なる第1の反射特性を有し、それによって、第1の周囲光反射及び第2の周囲光反射が得られる。それぞれの反射特性は、第1の領域及び第2の領域による、周囲からの光の反射に関連付けられる。従って、それぞれの領域の周囲光反射は、人の肉眼が、それぞれの周囲光反射を異なる反射として認識するように、異なる。第1の領域及び第2の領域は、見る人が分かる特定のパターンを形成する。パターンは、人に提供される画像であってもよい。
【0008】
蛍光改良型光源の認識される発光は全体として、人の肉眼が、蛍光改良型光源の方を見た場合に見える発光であるが、周囲光の強度、及び光エミッタによって放射される光の強度に強く依存することに留意されるべきである。光エミッタが動作していない場合に、蛍光改良型光源の方を見る人は、それぞれの周囲光反射を見るだけであり、結果として、その人は、パターンを見る。光エミッタが発光しており、且つ周囲光が存在しない場合に、人は、それぞれの発光だけを見、その結果、パターンは見られない。光エミッタが発光しており、且つ周囲光の強度レベルが非常に低い場合に、人の肉眼は、主としてそれぞれの発光を見る。従って、光エミッタによって放射される光の強度と周囲光の強度との間の比率に依存して、パターンが見られ得るか、又は均一な発光が認識される。
【0009】
従って、本発明は、蛍光改良型光源が動作中していないか、又は周囲光の強度と比較して比較的低い光強度で発光する場合に、パターン又は画像の提示が望ましく、一方で同じ蛍光改良型光源が、それが比較的高い強度で発光する場合に、高品質な発光を有しなければならない広範囲な新しい用途を提供する。例えば、比較的大きな発光面を備えた、店、オフィス又は家庭で使用される照明器具は、日中はパターン化された発光面を有し、一方で夜間はほぼ単色光出力が、オフィス又は家庭を照明するために得られるように、蛍光改良型光源を組み込んでもよい。パターンは、例えば、非常口の方を人々に示す緊急表示である。かかる蛍光改良型光源は、停電のために光エミッタがもはや機能していない場合にも、緊急の際に重要な情報をユーザに依然として提供する(日光などの幾らかの周囲光がまだ存在すると仮定する)。別の実施形態において、可視パターンはまた、比較的大きな照明器具が大きな非パターン化された表面となるのを防ぐために、装飾的であってもよい。
【0010】
任意選択的に、第1の発光及び第2の発光は、色空間における色点又は相関色温度(CCT:correlated color temperature)に関して類似の発光として少なくとも認識される。第1の発光並びに第2の発光の色点及び/又は相関色温度がほぼ同じである場合に、蛍光改良型光源による高品質な発光が得られる。
【0011】
任意選択的に、光エミッタが動作している場合に、第1の発光及び第2の発光は、人の肉眼によって等しい発光として認識される。
【0012】
任意選択的に、第1の発光及び第2の発光は、色空間における色点又は相関色温度に関して等しい発光として少なくとも認識される。
【0013】
任意選択的に、第1の発光は、第1の色点を有し、第2の発光は、第2の色点を有する。第1の色点と第2の色点との間の差は、10SDCMより小さい。SDCMは、色合わせの標準偏差(Standard Deviation of Color Matching)の略語であり、且つ照明分野において、色空間内の2つの色点がどの程度まで等しい色として認識されるかを表現する周知の測定可能な特性である。差が10SDCMより小さい場合に、見る人は、最小限の差を見ることができ、色は、ほとんど等しい色として認識される。実施形態において、差は、5SDCMより小さく、更なる実施形態において、差は、2SDCMより小さい。差が10SDCMより更に小さい場合に、人の肉眼は、それぞれの発光の色を同じ色として認識し、より高品質な発光さえも、蛍光改良型光源によって得られる。
【0014】
任意選択的に、第1の発光は、第1の演色評価数(color rendering index)(CRI)を有し、第2の発光は、第2の演色評価数(CRI)を有する。第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、10以下である。それぞれの色点がほぼ同じであり、且つ/又はそれぞれの色温度がほぼ同じある場合に、演色評価数における差は、人の肉眼には見えないことが多いが、演色評価数は、蛍光改良型光源によって照明される対象の演色に関して重要である。従って、蛍光改良型光源による高品質な発光を得るために、第2の発光とほぼ同じ演色評価数を有する第1の発光を有することが有利である。別の実施形態において、第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、5より小さい。更なる実施形態において、第1の演色評価数と第2の演色評価数との間の差は、2より小さい。
【0015】
任意選択的に、第1の反射特性は第2の反射特性と、以下における少なくとも1つに関して異なる。即ち、i)第1の領域が、周囲から当たる光の第1の部分を吸収し、第2の領域が、周囲から当たる光の第2の部分を吸収し、第1の部分が、第2の部分と異なることと、ii)第1の領域が、第1の散乱特性を有し、第2の領域が、第2の散乱特性を有し、第1の散乱特性が、第2の散乱特性と異なることと、の少なくとも1つに関して異なる。第1の領域が、第2の領域の吸収特性と比較して、異なる吸収特性を有する場合に、ルミネッセンス層の方を見る人は、第2の領域から受け取られる配光とは別の配光を第1の領域から受け取る。人によって受け取られる配光は、周囲光の配光から吸収された部分の配光を引いたものに基づく。散乱特性が異なる場合に、第1の領域及び第2の領域の方を見る人は、それぞれの領域から別の光量を受け取る。何故なら、それぞれの散乱特性に依存して、より少ないか又はより多くの光が、人の方向へ散乱されるからである。周囲から当たる光の一部を吸収することが、特定のスペクトルを吸収すること及び特定の光量を吸収することの少なくとも1つ、又はそれらの組み合わせを含むことに留意されるべきである。
【0016】
任意選択的に、吸収される第1の部分は、吸収される光量に関して、吸収される第2の部分と異なり、且つ/又は吸収される第1の部分は、吸収される光色に関して、吸収される第2の部分と異なる。それぞれの反射特性が、光量の吸収に関して異なる場合に、第1の領域及び第2の領域は、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人に見える、異なる光強度を反射し、異なる「グレー」レベルが、当たる周囲光が白色光である場合に見られ得る。それぞれの反射特性が、色の吸収に関して異なる場合に、第1の領域及び第2の領域は、蛍光改良型光源の光出口窓の方を見る人に見える、異なる色外観を有する。色外観は、当たる光の色スペクトルにおける一部が、例えばルミネッセンス材料によって吸収されるという事実の結果であり、反射される光スペクトルは、吸収される色スペクトルに対して相補的な色を有する。当たる周囲光の色スペクトルは、同様に色外観に影響を及ぼすが、しかしながら、第1の領域が、第2の領域とは別の、当たる周囲光の色スペクトルにおける部分を反射する場合に、ユーザは、それぞれの領域において異なる色を認識する。従って、第1の領域及び第2の領域によって形成されるパターンは、異なる色を通して目に見える。
【0017】
任意選択的に、第1の領域は、ルミネッセンス層に垂直な方向において、ルミネッセンス材料を含む少なくとも第1のルミネッセンス副層を含む第1の層スタックを含む。第2の領域は、ルミネッセンス層に垂直な方向において、ルミネッセンス材料を含む少なくとも第2のルミネッセンス副層を含む第2の層スタックを含む。第1の層スタックは、周囲に面している第1の層スタックの側面に、第1のルミネッセンス副層を配置し、第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面には、第2のルミネッセンス副層を配置しない。ルミネッセンス材料を備えたそれぞれのルミネッセンス副層が、それぞれの層スタックにおける別の位置に配置される場合に、周囲に面している上部層は異なり、従って、反射特性は異なる。第1の領域は、周囲に面している位置に第1のルミネッセンス層を配置し、従って、第1の領域は、当たる周囲光の色スペクトルの一部をルミネッセンス材料が吸収するので、特定の色外観を有する。第2の領域は、この特定の色外観を有しない。両方のスタックは、それぞれのルミネッセンス副層を含み、従って、両方の層の変換特性は、ほぼ等しい。
【0018】
任意選択的に、第1の層スタックは、第1の拡散副層を更に含む。第2の層スタックは、第2の拡散副層を更に含む。第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面に第2の拡散副層を配置した。従って、両方のスタックは、ほぼ等しく、比較可能な変換特性を有し、且つ周囲に面している各スタックのそれぞれの層は異なり、従って、それぞれ第1の領域及び第2の領域の反射特性は異なる。
【0019】
任意選択的に、ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部の吸収のための、且つ吸収された光の一部を第3の色分布の光に変換するための更なるルミネッセンス材料を含む。第1の層スタックは、更なるルミネッセンス材料を含み、且つルミネッセンス材料を含まない第1の更なるルミネッセンス副層を更に含む。第2の層スタックは、更なるルミネッセンス材料を含み、且つルミネッセンス材料を含まない第2の更なるルミネッセンス副層を更に含む。第2の層スタックは、周囲に面している第2の層スタックの側面に第2の更なるルミネッセンス副層を配置した。第1の領域及び第2の領域の各領域は、周囲に面している側面に配置された層の自身の層スタックに異なる層を有し、従って、それぞれの領域の反射特性は異なる。反射特性は、特定の色スペクトルの吸収に関して特に異なる。ルミネッセンス材料及び更なるルミネッセンス材料は、それぞれ、第1の色スペクトルの異なる部分を吸収し、従って、それらは、第1の領域及び第2の領域の異なる色外観に寄与する。更に、ルミネッセンス材料は、散乱特性に関して、更なるルミネッセンス材料と異なってもよい。例えば、無機蛍光体は、当たる光をかなりの程度まで散乱し、一方で有機蛍光体は、透明であることが多く、しばしば透明マトリックスポリマーにおいて用いられ、従って、有機蛍光体は、光の散乱に寄与しない。第1の領域及び第2の領域のそれぞれの層スタックが、両方とも、ルミネッセンス材料を備えた層及び更なるルミネッセンス材料を備えた層を含み、従って、それらの変換特性がほぼ等しいことに留意されるべきである。
【0020】
任意選択的に、ルミネッセンス層は、第1の色分布の光の一部を吸収するための、且つ吸収された光の一部を第4の色分布の光に変換するための別のルミネッセンス材料を含む。第1の領域は、ルミネッセンス材料と別のルミネッセンス材料との第1の混合物を含む。第2の領域は、ルミネッセンス材料と別のルミネッセンス材料との第2の混合物を含む。第2の混合物は、第1の混合物と異なる。第1の混合物が、第2の混合物と異なる場合に、第1の領域の色外観は、第2の領域と異なる。更に、混合物は、それぞれ第1の領域及び第2の領域の変換特性がほぼ等しいように、調整されなければならない。実施形態において、ルミネッセンス材料の異なる混合物用の等しい変換特性は、例えば、混合物の1つにおいて、第3のルミネッセンス材料又は別の色フィルタリング材料の使用によって得られてもよい。
【0021】
任意選択的に、第1の混合物における別のルミネッセンス材料の量はゼロであり、第2の混合物におけるルミネッセンス材料の量はゼロである。従って、第1の領域及び第2の領域における各領域は、異なるルミネッセンス材料を含む。異なるルミネッセンス材料の濃度は、等しい変換特性が第1の領域用と同様に第2の領域用に得られるように調整されてもよく、一方で同時に、両方の領域は、当たる周囲光を異なって反射し、例えば、両方の領域は、異なる色外観を有する。
【0022】
任意選択的に、ルミネッセンス材料は、無機ルミネッセンス材料である。更なるルミネッセンス材料又は別のルミネッセンス材料は、有機ルミネッセンス材料である。異なる性質のルミネッセンス材料を用いて、同じ変換特性が得られる可能性があり、一方でそれらの反射特性は異なる。上記で説明されたように、無機ルミネッセンス材料は、強い色外観をすることが多く、比較的大きな光量を散乱し、有機ルミネッセンス材料は、透明で、少ない色外観、小量の散乱及びしばしば限られた光反射量に帰着することが多い。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様による蛍光改良型光源を含む照明器具が提供される。
【0024】
本発明の第2の態様による照明器具は、本発明の第1の態様による蛍光改良型光源と同じ利点を提供し、システムにおける対応する実施形態と類似の効果を備えた類似の実施形態を有する。
【0025】
本コンテクストにおいて、光エミッタによって放射される光、それぞれの発光の光、又はそれぞれの周囲光反射の光は、典型的には、特定のスペクトルを有する光を含む。特定のスペクトルは、例えば、所定の波長を中心とした特定の帯域幅を有する原色を含んでもよく、又は例えば複数の原色を含んでもよい。所定の波長は、放射電力スペクトル分布の平均波長である。原色の光は、例えば、赤色、緑色、青色、黄色及び琥珀色光を含む。特定のスペクトルはまた、青色及び琥珀色、又は青色、黄色及び赤色などの原色の混合を含んでもよい。例えば、赤色、緑色と青色光との特定の組み合わせを選択することによって、白色を含むほぼ全ての色が、反射され得るか、又は蛍光改良型光源によって放射されることができる。特定のスペクトルが、可視光スペクトル領域における任意のスペクトルであってもよく、且つUV又は赤外線スペクトル領域における波長など、可視光スペクトル範囲外の波長を含んでもよいことが、更に留意されるべきである。
【0026】
ルミネッセンス材料、更なるルミネッセンス材料、及び別のルミネッセンス材料が、それぞれ、特定の吸収スペクトルを有することに留意されるべきである。このスペクトルは、第1の色分布と完全に又は部分的に重なってもよく、重なった部分は、第1の色分布の光におけるどの部分が、それぞれのルミネッセンス材料に吸収され得るかを決定する。更に、それぞれのルミネッセンス材料の吸収スペクトルはまた、第2、第3、又は第4の色分布との重なりを有してもよく、ルミネッセンス材料の特定の構成に依存して、それぞれのルミネッセンス材料はまた、別のルミネッセンス材料によって発生された光を吸収してもよい。
【0027】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下で説明される実施形態から明白であり、且つそれらの実施形態に関連して解明されよう。
【0028】
本発明の上記の選択肢、インプリメンテーション及び/又は態様の2つ以上が、有用であると考えられる任意の方法で組み合わされてもよいことが、当業者によって理解されよう。
【0029】
蛍光改良型光源及び照明器具の修正形態及び変形形態は、蛍光改良型光源の説明される修正形態及び変形形態に対応し、本記載に基づいて当業者によって実施され得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1a】本発明の第1の実施形態による蛍光改良型光源であって、その光エミッタが発光する蛍光改良型光源の断面図を概略的に示す。
図1b】光エミッタが動作していない蛍光改良型光源の同じ実施形態を概略的に示す。
図2a】拡散副層及びルミネッセンス副層を含むルミネッセンス層の実施形態の断面図を概略的に示す。
図2b】拡散副層及びルミネッセンス副層を含むルミネッセンス層の別の実施形態の断面図を概略的に示す。
図3a】第1のルミネッセンス材料を含む第1の領域及び第2のルミネッセンス材料を含む第2の領域を含むルミネッセンス層の更なる実施形態の断面図を概略的に示す。
図3b】異なるルミネッセンス材料を含む副層を含むルミネッセンス層の実施形態の断面図を概略的に示す。
図3c図2a、図3a及び図3bの領域の組み合わせを含むルミネッセンス層の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4a】側面放射配置の光エミッタを備えた蛍光改良型光源の実施形態の断面図を概略的に示す。
図4b】改造された電球構成に配置された蛍光改良型光源の別の実施形態を概略的に示す。
図5】本発明の第2の態様による照明器具の実施形態を概略的に示す。
図6】本発明の第2の態様による照明器具の別の実施形態を概略的に示す。
【0031】
異なる図において同じ参照数字によって表示されるアイテムが、同じ構造的特徴及び同じ機能を有するか、又は同様の合図であることに留意されるべきである。かかるアイテムの機能及び/又は構造が説明された場合、詳細な説明では、それらの説明が繰り返される必要はない。
【0032】
図は、純粋に略図化したものであり、縮尺通りには描かれていない。特に、明確にするために、幾つかの寸法は、非常に誇張されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
第1の実施形態が、図1a及び1bに示されている。図1aは、光混合キャビティ108を囲むハウジング106を含む蛍光改良型光源100を示す。光混合キャビティ108内には、光エミッタ122が設けられる。ハウジング106は、光出口窓112を更に含み、且つ光出口窓112を形成するルミネッセンス層104を含む。ルミネッセンス層104は、第1の色分布の光を第2の色分布の光に変換するためのルミネッセンス材料を含む。ルミネッセンス層104は、第1の領域102及び第2の領域118に細分される。第1の領域102及び第2の領域118は、両方とも、ほぼ等しい変換特性を有する。光混合キャビティ108に面する側でルミネッセンス層104に当たる光120が、第1の領域102及び第2の領域118を通して部分的に透過され、部分的に変換される場合に、第1の領域102及び第2の領域118の発光110、114は、それぞれ、等しい光特性を有する。第1の色分布の光と第2の色分布の光116との組み合わせが、第1の領域102の発光110及び第2の領域118の発光114において等しいことが、図1aに概略的に示されている。従って、ルミネッセンス層104の方を見る人(観察者)124は、蛍光改良型光源100の光出口窓全体に沿ったほぼ均一な発光を見る。観察者124は、第1の領域102及び第2の領域118において、ほぼ同じ色を見、且つ第1の領域102及び第2の領域118において、ほぼ同じ光強度を見る。
【0034】
図1bは、光エミッタ122が発光していない状態における蛍光改良型光源100を示す。周囲からの光154が、第1の領域102及び第2の領域118に当たる。第1の領域102及び第2の領域118は、それぞれ、周囲から当たる光154が第1の領域102及び第2の領域118により異なって反射されるように、異なる反射特性を有する。第1の領域102の反射光152は、主として、「入射角は反射角に等しい」という法則による反射の結果であるが、しかしながら、色分布が反射において変化されることが、概略的に描かれている。第2の領域118の反射光156は、「入射角は反射角に等しい」という法則に基づいて人が予想するのとは別の発光分布を有し、従って第2の領域は、光を部分的に散乱させ、色分布がまた反射において変化されて、色分布が、第1の領域102によって反射される光152の色分布と異なることが概略的に示されている。従って、光エミッタ122が動作していないとき、蛍光改良型光源100のルミネッセンス層104の方を見る人の肉眼124は、第1の領域102及び第2の領域118において、異なる光色及び/又は異なる光強度を認識する。光エミッタ122が、動作しているが、しかしルミネッセンス層104に当たる周囲からの光154の量と比較して、比較的小さい光量を放射する場合、人の肉眼124は、依然としてそれぞれの領域102、118において、異なる光色及び/又は異なる光強度を認識する。
【0035】
図2aは、ルミネッセンス層204の実施形態の断面図を示す。明確にするために、ルミネッセンス層204の方を見る人124の位置と同様に、光エミッタ122の位置が示されている。換言すれば、図2aの図において、ルミネッセンス層204の上面は、ルミネッセンス層204を含む蛍光改良型光源の周囲に面し、下面は、蛍光改良型光源の光混合キャビティに面している。ルミネッセンス層204は、第1の領域208及び第2の領域210を含む。第1の領域208及び第2の領域210は、断面図において2度描かれているが、しかし第1の領域208及び/又は第2の領域210は、1つの領域であってもよく、又はそれらのサイズ及び位置を除いて同じ特性を有する2つの副領域に細分される領域であってもよい。第1の領域208及び第2の領域210は、蛍光改良型光源の光エミッタが発光していない場合に、ルミネッセンス層204を含む蛍光改良型光源の方を見ている人に観察されるパターンを形成する。ルミネッセンス層204は、光エミッタ122によって放射されるような第1の色分布の光の一部を吸収するための、且つ吸収された光を第2の色分布の光に変換するためのルミネッセンス材料を含む。
【0036】
第1の領域208は、第1の副層202及び第2の副層206を含む第1の層スタックを含む。第1の副層202は、光透過性であるがしかし第1の副層202を透過される光を拡散し、且つ第1の副層202に当たる光を拡散するディフューザである。従って、周囲から第1の領域208に当たる光は、複数の方向に反射される。第2の副層は、第1の色分布の光の一部を第2の色分布の光に変換するルミネッセンス材料を含むルミネッセンス層である。従って、光エミッタ122が動作している場合に、光エミッタによって放射された光の一部は、第2の色分布の光に変換され、従って、第1の領域の上面による全発光は、光エミッタから直接生じる光と第2の色分布の光との組み合わせである。
【0037】
第2の領域210は、第2の層スタックを含む。第2の層スタックは、ディフューザである第3の副層214を含み、且つルミネッセンス材料を含む第4の副層212を含む。第3の副層214は、第1の副層202とほぼ同じ特性を有し、第4の副層212は、第2の副層206とほぼ同じ特性を有するが、しかしながら、第3の副層214及び第4の副層212の順序は、第1の領域208における副層202、206の順序と比較すると異なる。光エミッタ122が発光している場合に、ある光量が、第2の色分布の光に変換され、変換される光量は、第1の領域で変換される光量に匹敵する。従って、第1の領域208及び第2の領域210の発光は、ほぼ同じ色を有する。光エミッタ122が発光していない場合に、第2の副層206は、色外観を有するが、それは、観察者が、反射された周囲光を特定の色の光として認識することを意味する。ルミネッセンス材料を含む第4の副層212に当たる、周囲からの光の色スペクトルの特定の部分が、ルミネッセンス材料によって吸収され、且つ周囲光の残り(吸収されなかった部分)は反射される。例えば、ルミネッセンス材料が主として青色光を吸収する場合に、残りの反射光は、青色スペクトル領域におけるエネルギをそれほど含まず、従って、反射された周囲光は、観察者によって橙色(又は周囲光の本来の色スペクトルに依存して、黄橙色若しくは橙赤色)として見られる。従って、第1の領域208は、周囲光の色を変化させずに、しかし散乱を通して光の角度発光方向をランダムに変化させることによって周囲光を反射し、第2の領域210は、反射される周囲光の幾つかの色を吸収し、結果として別の色分布を反射する。ルミネッセンス材料の特定の特性に依存して、第2の副層210もまた、反射光を散乱/拡散させることがあるが、それは、例えば、無機蛍光粒子が用いられる場合に多い。更に、第4の副層212及び第2の副層206は、有機蛍光分子がマトリックスポリマーに分子的に溶解される場合に、比較的透明になることがあり、副層206及び212による反射は、「入射角は反射角に等しい」という法則だけでなくともよい。特に、無機蛍光体は、強い色外観を有し、且つ(光エミッタ122が発光していない場合に)ルミネッセンス層204の上面において可視パターン/画像を生成するのに有利である。
【0038】
図2bには、ルミネッセンス層254の代替実施形態が示されている。前の実施形態で説明されたように、ルミネッセンス層254は、第1の色分布の光を第2の色分布の光に変換するためのルミネッセンス材料を含む。ルミネッセンス層204は、第1の領域256、第2の領域258及び第3の領域260を含む。第2の領域258及び第3の領域260は、図2aの第1の領域208及び第2の領域210とそれぞれ同じ構成で配置される。第1の領域256は、3つの副層のスタックを含む。副層252は、第2の領域258の第2の副層206と同じ濃度でルミネッセンス材料を含み、且つ第2の領域258の第2の副層206の半分の厚さを有する。3つの副層のスタックは、第2の領域258及び第3の領域260と同じ変換特性を得るために、ルミネッセンス材料を含む副層252を2回含む。第1の領域208における3つの副層のスタックは、第2の領域258及び第3の領域260の層スタックにもまたそれぞれ設けられるディフューザ202を含む。ディフューザ202は、第1の領域256において2つの副層252間に置かれる。
【0039】
図2aに関連して上記で説明されたように、光エミッタ122が発光していない場合に、周囲光は、第2の領域258及び第3の領域260によって、異なって反射される。図2bの第1の領域256はまた、ルミネッセンス材料を含む副層252を上部層として有するが、しかし副層252の厚さは、第3の領域260の上部層212の厚さと異なり、従って、第1の領域256の反射特性もまた、第2の領域258及び第3の領域260の反射特性と異なる。従って、観察者124は、光エミッタ122が発光していない場合に、各領域が、当たる周囲光をそれぞれ異なって反射する異なる領域256、258、260を見、従って、3つの異なる色/グレートーンを含むパターン/画像が、観察者124によって見られ得る。
【0040】
図3aには、第1のルミネッセンス材料を含む第1の領域306及び第2のルミネッセンス材料を含む第2の領域308を含むルミネッセンス層304の更なる実施形態の断面図が概略的に示されている。第1のルミネッセンス材料は、第2のルミネッセンス材料と異なるが、しかしながら、第1のルミネッセンス材料の濃度及び第2のルミネッセンス材料の濃度は、第1の領域306及び第2の領域308の両方がほぼ同じ変換特性を有するように、選択される。従って、領域単位当たり、光エミッタによって放射されたほぼ同じ光量が、第1の領域306及び第2の領域308を通して透過され、光エミッタによって放射されるほぼ同じ光量が、第2の色分布の光に変換される。しかしながら、第1のルミネッセンス材料及び第2のルミネッセンス材料は、両方とも異なる色外観を有するが、それは、当たる周囲光の色スペクトルにおける別の部分及び/又は別の量が吸収され、従って、異なる色分布が、第1の領域306及び第2の領域308によって反射されることを意味する。
【0041】
例えば、第1の領域306は、無機ルミネッセンス材料を含み、第2の領域308は、有機ルミネッセンス材料を含む。上記で説明されたように、無機ルミネッセンス材料は、強い色外観を有し、一方で有機ルミネッセンス材料は、かかる強い色外観を有しない。有機ルミネッセンス分子は、透明であり、且つ透明マトリックスポリマーに分子的に溶解されることが多い。従って、有機ルミネッセンス材料を含む第2の領域308は、光をそれほど反射せず、強い色外観を有しない。
【0042】
両方の領域306、308の変換特性が、色パラメータに関してほぼ同じであり、一方で両方の領域306、308の反射特性が異なるように、第1の領域306が、ルミネッセンス材料の混合物を含んでもよいこと、及び第2の領域308が、ルミネッセンス材料の別の混合物を含んでもよいことが、留意されるべきである。
【0043】
図3bには、異なるルミネッセンス材料を含む副層332、336、342、344を含むルミネッセンス層334の別の実施形態の断面図が概略的に示されている。ルミネッセンス層334は、第1の領域338及び第2の領域340を含む。第1の領域338及び第2の領域340は、同様に、2つの副層332、336、342、344のスタックを含む。副層332、344は、ほぼ同じ特性を有し、副層336、342は、ほぼ同じ特性を有する。しかしながら、副層332、336の順序は、第1の領域338において、第2の領域340における副層342、344の順序と異なる。従って、第1の領域338において周囲に面する副層は副層332であり、一方で第2の領域340において、(異なる特性を有する)副層342が周囲に面する。副層332、344は、第1のルミネッセンス材料を含み、一方で副層336、342は、第2のルミネッセンス材料を含み、従って、周囲に面するそれぞれの第1の領域338及び第2の領域340の副層は、異なる副層332、342における異なるルミネッセンス材料の存在ゆえに、異なる色外観を有する。従って、光エミッタ122が発光していない場合に、周囲光は、特に、異なる副層332、342によって反射されない色に関連して、異なって反射される。第1の領域338及び第2の領域340が、両方とも、等しい特性を備えた2つの副層を有するので、第1の領域338及び第2の領域340の両方の変換特性は、ほぼ等しい。
【0044】
図3cでは、上記で説明された実施形態が、ルミネッセンス層364の更なる実施形態と組み合わされている。第1の領域366は、第1のルミネッセンス材料を含む第1の副層212、及びディフューザ214である第2の副層214のスタックを含む。第2の副領域368は、第2のルミネッセンス材料を含む第3の副層332の層、及び第3のルミネッセンス材料を含む第4の副層336の層のスタックを含む。第3の副領域370は、第4のルミネッセンス材料を含む(又はルミネッセンス材料の混合物を含む)1つの層からなる。第4の副領域372は、3つの層、即ち、副層206の第1のルミネッセンス材料を含む2つの層252間に置かれた拡散層202である3つの層のスタックを含む。
【0045】
層スタックの異なる例が、以下で説明される。全ての説明される層スタックは、層スタックが、青色を放射する発光ダイオード(LED)から青色光を受け取る場合に、色空間においてほぼ同じ色点を有する色分布を放射し、且つ/又はほぼ同じ相関色温度を有する。
【0046】
第1の層スタックは、マトリックスポリマーPMMA(ポリメチルメタクリレート)に分散された10wt%のTiOを含む厚さ60μmのディフューザと、0.1wt%の黄緑色有機蛍光体F083が分散された135μmのPMMA層と、0.1wt%の赤橙色有機蛍光体(70%のF240(橙色)及び30%のF305(赤色)を含む)が分子的に溶解された厚さ52μmのPMMA層と、を含む。ディフューザは、周囲に面し、52μm層は、例えば、図1aに関連して説明されているような蛍光改良型光源の光混合キャビティに面している。第1の層スタックは、CIE xyz色空間において(x、y)=(0.4493、0.4123)の色点を備えた光を放射し、放射光は、2868ケルビンの相関色温度を有する。周囲光が、ディフューザに当たると、周囲光は、散乱を介して反射され、散乱光の色は、ディフューザによって変化されない。説明される有機蛍光体は、Lumogenの名でBASFから入手可能である。
【0047】
第2の層スタックは、マトリックスポリマーPMMAに分散された10wt%のTiOを含む厚さ60μmのディフューザと、0.1wt%の橙色蛍光体(7.5%のF305、17.5%のF240、75%のF083)が分散された厚さ189μmのPMMA層と、を含む。ディフューザは、周囲に面し、蛍光体を含む189μm層は、光混合キャビティに面している。第2の層スタックは、CIE xyz色空間において(x、y)=(0.4505、0.4107)の色点を備えた光を放射し、放射光は、2836ケルビンの相関色温度を有する。周囲光が、ディフューザに当たると、周囲光は、散乱を介して反射され、散乱光の色は、ディフューザによって変化されない。
【0048】
第3の層スタックは、Ceがドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(Yag:Ce2.1)の50wt%の無機蛍光体を含む厚さ75μmのPMMA層と、0.1wt%の有機緑黄色蛍光体(F083)を含む厚さ27μmのPMMA層と、0.05wt%の有機赤色蛍光体(F305)を含む厚さ27μmのPMMA層と、を含む。厚さ75μmの層は、周囲に面し、赤色蛍光体を含む厚さ27μmの層は、光混合キャビティに面している。第3の層スタックは、CIE xyz色空間において(x、y)=(0.4535、0.4085)の色点を備えた光を放射し、放射光は、2773ケルビンの相関色温度を有する。周囲光が厚さ75μmの層に当たる場合に、反射される周囲光は、CeをドープされたYAGに吸収される色の光をそれほど含まない。
【0049】
第4の層スタックは、厚さ156μmであり、且つ0.1wt%の有機蛍光体混合物(12%のF305、18%のF240、70%のF083、4%のTiO散乱粒子)を含むPMMA層である1つの層を含む。第4の層スタックは、CIE xyz色空間において(x、y)=(0.4564、0.4079)の色点を備えた光を放射し、放射光は、2727ケルビンの相関色温度を有する。周囲光が厚さ156μmの層に当たる場合に、反射される周囲光は、橙色蛍光体に吸収される色の光をそれほど含まない。
【0050】
前の実施形態のパターン化されたルミネッセンス層は、例えば、印刷、スクリーン印刷、リソグラフィ、押し出し成形、射出成形など、様々な製造技術を用いて製造されてもよい。
【0051】
図4aは、蛍光改良型光源400の別の実施形態を示す。蛍光改良型光源400は、図1の蛍光改良型光源100に似ているが、しかしながら、光エミッタ422は、別の位置に配置される。光エミッタ422は、所謂側面放射配置に配置される。これは、光エミッタ422が、光出口窓112に垂直に配置された光入力窓を通って、ハウジング406のキャビティ408に光を放射することを意味する。キャビティ408は、ルミネッセンス層104へのほぼ均一な発光を得るために、光出力結合構造を含む導光構造402を含んでもよい。
【0052】
図4bは、蛍光改良型光源450の代替実施形態を示す。ハウジングが、改造された電球配置によって形成される。電球内には、光出口窓を形成する電球の方へ光を放射するように光エミッタ456が配置されたキャビティがある。電球は、異なる領域に細分される。領域における第1のグループの領域452は、全て、第1の変換特性及び第1の反射特性を有する。領域における第2のグループの領域454は、全て、第2の変換特性及び第2の反射特性を有する。第1の変換特性及び第2の変換特性は、光エミッタ456が動作している場合に、領域454及び領域452を通じた発光が類似しているようなものである。第1の反射特性及び第2の反射特性は、電球に当たる周囲光が、第1のグループ及び第2のグループのそれぞれの領域によって異なって反射されるように、異なる。実施形態は、蛍光改良型光源450のルミネッセンス層が、必ずしも平坦層ではなく、例えば電球の表面に沿って曲線状にされてもよいことを示す。
【0053】
図5は、本発明の第2の態様による照明器具500を示す。照明器具500は、本発明の第1の態様による少なくとも1つの蛍光改良型光源502を含む。照明器具500の方を見る人は、少なくとも1つの蛍光改良型光源502の光エミッタが発光していない場合に、少なくとも1つの蛍光改良型光源502の光出口窓における可視パターンを見る。
【0054】
図6は、本発明の第2の態様による照明器具600の別の実施形態を示す。照明器具は、照明器具に含まれる蛍光改良型光源の光出口窓である大きな表面を含む。蛍光改良型光源は、パターンになった複数の領域を有する。それらの領域は、第1のグループ、第2のグループ及び第3のグループに細分される。図において異なるトーンによって示されているように、1つのグループ内において、全ての領域は、同じ変換特性及び同じ反射特性を有する。
【0055】
上記の実施形態が、本発明を限定するのではなく例示すること、及び当業者が、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、多くの代替実施形態を設計できることが、留意されるべきである。
【0056】
特許請求の範囲において、括弧間に置かれたいずれの参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されないものとする。動詞「含む」及びその活用形の使用は、請求項に述べられている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除しない。要素に先行する冠詞「a」又は「an」は、複数のかかる要素の存在を排除しない。本発明は、幾つかの別個の要素を含むハードウェアによって、且つ適切にプログラムされたコンピューターによって実施されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置請求項において、これらの手段の幾つかは、同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。ある手段が、相互に異なる従属請求項において列挙されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを意味しない。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図5
図6