【文献】
CANCER IMMUNOLOGY, IMMUNOTHERAPY,2002年12月,V51 N11-12,P621-629
【文献】
BIOTECHNOLOGY AND APPLIED BIOCHEMISTRY,2009年10月,V 54 N PART2,P121-131
【文献】
SINGER HEIKO,JOURNAL OF IMMUNOTHERAPY,2010年 7月 1日,V33 N6,P599-608
【文献】
INTERNATIONAL JOURNAL OF MOLECULAR MEDICINE,2010年 2月,V25 N2,P209-215
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない前記抗原が、クリプト(クリプティックファミリータンパク質)、CD(表面抗原分類)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR及びTSH−Rからなる群から選択される、請求項1、2又は7に記載のキット、請求項3又は7に記載の薬学的組成物、あるいは請求項4から7の何れか一項に記載の医薬。
腫瘍細胞の表面に天然に生じる前記抗原が、EpCAM、HER−1、HER−2、HER−3、CD20、CD22、CD33、CD52、CA−12−5、HLA−DR、MUC−1(ムチン)、A33−抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、トランスフェリン−受容体、テネイシン及びCA−IXからなる群から選択される、請求項1、2、7又は8に記載のキット、請求項3、7又は8に記載の薬学的組成物、あるいは請求項4から8の何れか一項に記載の医薬。
前記第1の結合ドメイン及び/又は第2の結合ドメインがヒトである、及び/又はヒト化されている、請求項1、2又は7から9の何れか一項に記載のキット、請求項3又は7から9の何れか一項に記載の薬学的組成物、あるいは請求項4から9の何れか一項に記載の医薬。
形質導入されたCD8+T細胞が、前記T細胞上に天然に生じるT細胞受容体及び/又は前記T細胞に遺伝子導入されたT細胞受容体をさらに含む、請求項1、2又は7から10の何れか一項に記載のキット、請求項3又は7から10の何れか一項に記載の薬学的組成物、あるいは請求項4から10の何れか一項に記載の医薬。
二重特異性抗体分子が核酸配列によってコードされている、請求項1、2又は7から11の何れか一項に記載のキット、請求項3又は7から11の何れか一項に記載の薬学的組成物、あるいは請求項4から11の何れか一項に記載の医薬。
形質導入されたCD8+T細胞の増殖が、サイトカイン、好ましくはインターロイキン−2(IL−2)及び/又はインターロイキン−15(IL−15)の存在下で実施される、請求項16に記載のキット。
【発明の概要】
【0008】
上皮、内皮又は中皮由来の癌及び血液の癌などの悪性疾患の治療のためのT細胞介在性免疫応答の誘導によるこれらの上に述べた手段及び方法は、周知の二重特異性抗体に基づく治療法の上に述べた不利益を克服するはずである。
【0009】
前記技術的問題の解決は、特許請求の範囲において特徴付けられる実施形態を提供することによって達成される。
【0010】
したがって、本発明は、CD8+T細胞中及び/又は表面上に天然では生じないマーカータンパク質を有するCD8+T細胞の形質導入及び腫瘍に対する二重特異性抗体分子によるそれらの標的化された動員に関する(
図7及び21を参照されたい)。本発明の状況ではCD8+T細胞の形質導入は、本明細書の以下に記載のとおりレトロウイルス系によって実施できる。本発明は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の抗原に特異的に結合する第1の結合ドメイン及び、腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む二重特異性抗体分子であって、前記CD8+T細胞がCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原を形質導入されている二重特異性抗体分子に関する。本発明の状況では、二重特異性抗体分子は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の抗原に特異的に結合する第1の結合ドメイン及び、腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含み、前記二重特異性抗体分子は(モノクローナル)抗体分子である。本発明の概念の証明として添付の実施例において示すとおり、第1の結合ドメインが(ヒト)EGFR(T細胞(CD8+T細胞)中又は上に天然では生じない抗原を表す)と相互作用する/に結合し、第2の結合ドメインがEpCAM(腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原を表す)と相互作用する/に結合する二重特異性抗体が構築された。この二重特異性抗体及びdel−(ヒト)hEGFRタンパク質を発現している形質導入された腫瘍特異的T細胞(CD8+T細胞)との組み合わせによる腫瘍の処置は、対照実験と比較してマウスの生存を顕著に延長する(
図12及び14を参照されたい)。したがって、これらの細胞中及び/又は表面上に天然では生じない抗原で((概念の証明として)添付の実施例のとおり配列番号12(配列番号11に示すcDNA配列によってコードされる)において示すdel−(ヒト)hEGFRタンパク質配列によって)形質導入されたT細胞(CD8+T細胞)は、T細胞(CD8T細胞)に導入されているT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原に第1の結合ドメイン((ヒト)hEGFR)を介して、並びに腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原(EpCAM)に第2の結合ドメインを介して結合する二重特異性抗体分子の使用によって特異的に動員できることが驚くべきことに見出された。
【0011】
この状況では、本明細書において使用される用語「二重特異性結合コンストラクト」は、CD8+T細胞中又は細胞上に天然に/内因的に発現されない抗原に結合でき、標的細胞(腫瘍細胞の表面上に天然に生じる(内因性に発現される)腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを介して)の排除/溶解を誘導できる二重特異性抗体分子に具体的に関する。CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原の二重特異性結合コンストラクト(二重特異性抗体分子)を通じた(例えば、抗体、抗体誘導体又は抗体断片)結合は、腫瘍特異的T細胞(CD8+T細胞)を腫瘍細胞と物理的に接触させる(
図7及び21を参照されたい)。形質導入されていない又は内在性のT細胞(CD8+T細胞)は、二重特異性結合コンストラクト(二重特異性抗体分子)によって影響されないままである。したがって本発明の二重特異性抗体分子は、in vivo及び/又はin vitroで標的細胞を溶解する能力を有する。対応する標的細胞は、本発明の二重特異性抗体分子の第2の(Ig由来)結合ドメインによって認識される表面分子を発現している細胞を含む。そのような表面分子は、本明細書の以下で特徴付けられる。
【0012】
標的細胞の溶解は、当技術分野において周知の方法によって検出できる。したがってそのような方法は、とりわけ、生理学的in vitroアッセイを含む。そのような生理学的アッセイは、例えば細胞膜統合性の消失によって細胞死をモニターできる(例えばFACSに基づくヨウ化プロピジウムアッセイ、トリパンブルー流入アッセイ、光度酵素放出アッセイ(LDH)、放射測定
51Cr放出アッセイ、蛍光定量的ユーロピウム放出及びカルセインAM放出アッセイ)。さらなるアッセイは、例えば測光MTT、XTT、WST−1及びアラマーブルーアッセイ、放射測定
3H−Thd取り込みアッセイ、細胞分裂活性を測定するクローン原性アッセイ並びにミトコンドリア膜貫通勾配を測定する蛍光定量的ローダミン
123アッセイによる細胞生存率のモニタリングを含む。付加的にアポトーシスも、例えばFACSに基づくホスファチジルセリン暴露アッセイ、ELISAに基づくTUNEL検査、カスパーゼ活性アッセイ(測光、蛍光定量的もしくはELISAに基づいて)又は細胞形態の変化(縮小、膜ブレブ形成)を分析することによってモニターできる。
【0013】
本発明の状況で用いられる用語「に結合」は、少なくとも2つの「抗原−相互作用−部位」の相互の結合(相互作用)を定義する。用語「抗原−相互作用−部位」は、本発明により、特定の抗原又は抗原の特定の基との特異的相互作用の能力を示すポリペプチドのモチーフを定義する。前記結合/相互作用は、「特異的認識」を定義するとも理解される。用語「特異的に認識」は、本発明により、抗体コンストラクトが本明細書で定義されるヒト標的分子それぞれの少なくとも2つのアミノ酸と特異的に相互作用及び/又は結合できることを意味する。抗体は、同じ標的分子上の異なるエピトープを認識、と相互作用及び/又はに結合できる。この用語は、抗体分子の特異性、すなわち、本明細書で定義されるヒト標的分子の特定の領域間を識別する能力に関する。特異的抗原との抗原−相互作用−部位の特異的相互作用は、例えば抗原のコンホメーションの変化、抗原の多量体化などの誘導によりシグナルの開始を生じる場合がある。したがって抗原−相互作用−部位のアミノ酸配列中の特定のモチーフと抗原とは、それらの一次、二次又は三次構造の結果として及び前記構造の二次修飾の結果として相互に結合する。
【0014】
本発明により用いられる用語「特異的相互作用」は、本発明の二重特異性結合コンストラクト(二重特異性抗体分子)が類似の構造の(ポリ)ペプチドと交差反応しない又は本質的にしないことを意味する。したがって本発明の二重特異性コンストラクトは、腫瘍マーカー、細胞表面マーカー、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原に特異的に結合/と相互作用し、その第2の(Ig由来)ドメインにより腫瘍細胞の表面上に天然に生じる特異的な、選択された他の化合物、抗原、細胞表面マーカー、腫瘍マーカーなどと相互作用できる。前記第1及び第2の、Ig由来ドメインが方向付けられるそのような分子の具体的な例は、本明細書の以下に示される。
【0015】
調査中のコンストラクトのパネルの交差反応性は、例えば、従来の条件下(例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1988)及びUsing Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,(1999)を参照されたい)で二重特異性抗体コンストラクトの前記パネルの対象の(ポリ)ペプチドへ及び多数の(構造的に/機能的に)より密接に関連する又はあまり関連しない(ポリ)ペプチドへの結合を評価することによって検査できる。対象の(ポリ)ペプチド/タンパク質に結合するが、対象の(ポリ)ペプチドと同じ組織によって(例えば腫瘍組織の細胞によって)発現される任意の他の(ポリ)ペプチドには結合しない、又は本質的に結合しないこれらのコンストラクト(すなわち、抗体、(二重特異性)scFvなど)だけが、対象の(ポリ)ペプチド/タンパク質に対して特異的と考えられ、本明細書で提供される方法によるさらなる研究のために選択される。とりわけこれらの方法は、構造的に及び/又は機能的に密接に関連する分子との結合研究、遮断及び競合研究を含む場合がある。これらの結合研究は、FACS分析、表面プラズモン共鳴(SPR、例えばBIAcore(登録商標))、分析超遠心分離法、等温滴定熱量測定、蛍光偏光測定、蛍光分光法又は放射標識リガンド結合アッセイも含む。さらに、細胞傷害アッセイ及び上に述べたアッセイなどの生理学的アッセイも実施できる。したがって特定の抗原との抗原−相互作用−部位の特定の相互作用についての例は、リガンドのその受容体への特異性を含むことができる。前記定義は、具体的にはその特異的受容体への結合においてシグナルを誘導するリガンドの相互作用を含む。対応するリガンドについての例は、その特異的サイトカイン−受容体/と相互作用する/に結合するサイトカインを含む。同様に前記定義によって具体的に含まれるのは、セレクチンファミリー、インテグリン及びEGFなどの増殖因子のファミリーの抗原などの抗原への抗原−相互作用−部位の結合である。前記定義によっても具体的に含まれる前記相互作用についての別の例は、抗原決定基(エピトープ)と抗体の抗原結合部位との相互作用である。
【0016】
用語「に結合」は、直鎖エピトープに関するだけでなく、コンホメーショナルエピトープ、構造エピトープ又はヒト標的分子もしくはその部分の2つの領域からなる不連続エピトープにも関する場合がある。本発明の状況では、コンホメーショナルエピトープは、一次配列において分離されており、ポリペプチドが未変性タンパク質にホールドする際に分子の表面上に集まる2つ以上の別々のアミノ酸配列によって定義される(Sela,Science 166(1969),1365及びLaver,Cell 61(1990),553〜536)。さらに用語「に結合」は、本発明の状況では、用語「と相互作用する」と互換的に用いられる。
【0017】
したがって特異性は、当技術分野において周知の方法及び本明細書に記載の方法によって実験的に決定できる。そのような方法は、これだけに限らないが、ウエスタンブロット、ELISA検査、RIA検査、ECL検査、IRMA検査及びペプチドスキャンを含む。
【0018】
用語(Ig由来)「第1の結合ドメイン」は、「免疫グロブリン由来ドメイン」に、詳細には抗体もしくはその断片に、単鎖抗体に、合成抗体に、抗体断片(Fab、F(ab
2)’、FvもしくはscFv断片など)に、又はこれらのいずれかの化学的に修飾された誘導体に関する。これらの抗体分子は、さまざまな種由来であってよく、キメラ由来であってよい。本発明の状況では(添付の実施例において例示されるとおり)本発明の二重特異性抗体分子に含まれる前記(Ig由来)第1のドメインは、第2の(Ig由来)「結合ドメイン」が融合される(モノクローナル)抗体であってよい。
【0019】
用語(Ig由来)「第2の結合ドメイン」は、免疫グロブリン由来ドメインに、詳細には抗体もしくはその断片に、単鎖抗体に、合成抗体に、抗体断片(Fab、F(ab
2)’、FvもしくはscFv断片など)に、又はこれらのいずれかの化学的に修飾された誘導体に関する。これらの抗体分子は、さまざまな種由来であってよく、キメラ由来であってよい。本発明の状況では(添付の実施例において例示されるとおり)本発明の二重特異性抗体分子に含まれる前記(Ig由来)第2のドメインは、scFvであってよい。
【0020】
本発明による二重特異性抗体分子は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有する(モノクローナル)二重特異性抗体であり、任意のフォーマットであってよい。多種多様な組換え抗体フォーマットが近年開発されている、例えば二価、三価又は四価二重特異性抗体。例は、IgG抗体フォーマット及び単鎖ドメインとの融合物を含む(異なるフォーマットについて、例えばColoma,M.J.ら、Nature Biotech 15(1997),159〜163;WO2001/077342;Morrison,S.L.,Nature Biotech 25(2007),1233〜1234;Holliger,P.ら、Nature Biotech.23(2005),1126〜1136;Fischer,N.,and Leger,O.,Pathobiology 74(2007),3〜14;Shen,J.ら、J.Immunol.Methods 318(2007),65〜74;Wu,C.ら、Nature Biotech.25(2007),1290〜1297を参照されたい)。本明細書の二重特異性抗体又は断片は、WO2009/080251;WO2009/080252;WO2009/080253;WO2009/080254;WO2010/112193;WO2010/115589;WO2010/136172;WO2010/145792;WO2010/145793及びWO2011/117330に記載の二価、三価又は四価二重特異性抗体を含む。
【0021】
本発明の「抗体」は、2つ以上の結合ドメインを有し、二重特異性である。つまり抗体は、2個より多い結合ドメインがある(すなわち抗体が三価又は多価である)場合でさえも二重特異性であってよい。本発明の二重特異性抗体は、例えば、多価単鎖抗体、ダイアボディ及びトリアボディ並びに、さらなる抗原−結合ドメイン(例えば、単鎖Fv、VHドメイン及び/又はVLドメイン、Fabもしくは(Fab)2)が1つ又は複数のペプチド−リンカーを介して連結される全長抗体の定常ドメイン構造を有する抗体を含む。抗体は、単一の種由来の全長であってよく、キメラ化されてよく、又はヒト化されてよい。2個より多い抗原結合ドメインを有する抗体について、タンパク質が2つの異なる抗原に対する結合ドメインを有する限り、いくつかの結合ドメインは同一であってよい。
【0022】
本出願において用いられる用語「価」は、抗体分子中の特定の数の結合ドメインの存在を記す。そのように用語「二価」、「四価」及び「六価」は、抗体分子中の結合ドメイン2個、結合ドメイン4個及び結合ドメイン6個の存在をそれぞれ記す。本発明による二重特異性抗体は、少なくとも「二価」であり、「三価」又は「多価」(例えば「四価」又は「六価」)である場合がある。好ましくは本発明による二重特異性抗体は、二価、三価又は四価である。したがって本発明の状況では前記二重特異性抗体は、二価である。本発明の状況では前記二重特異性抗体は、三価である。本発明の状況では前記二重特異性抗体は四価である。
【0023】
上に述べたとおり(及び
図1に例示のとおり)本発明の二重特異性抗体分子は、最も好ましくは、scFvである場合がある(Ig由来)第2のドメインを含む。したがって本発明の例示的実施形態では、概念の証明のために、二重特異性抗体分子が(ヒト)EGFRに対する(第1の結合ドメインを介する)1つの特異性及び、さらなる分子/化合物に方向付けられた/と相互作用できる第2のscFvによって介在されるさらなる特異性を有して提供される。これらのさらなる分子/化合物は、細胞表面分子、腫瘍マーカー、腫瘍抗原などを含む場合がある。そのようなさらなる化合物/分子は、本明細書の以下で例示される。
【0024】
したがって本発明の状況における二重特異性結合分子は、2つの抗体由来結合ドメインを含む抗体分子に関連する場合があり、1つの結合ドメインはscFvであってよい。前記結合ドメインの内の1つは、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない(本明細書の以下に定義のとおり)(ヒト)標的分子1に特異的に結合/と相互作用できる抗体の可変領域(もしくはその部分)、抗体断片又はその誘導体からなる。第2の結合ドメインは、本明細書の以下に定義のとおり別の(ヒト)抗原(標的分子2)に特異的に結合/と相互作用できる抗体の可変領域(もしくはその部分)、抗体断片又はその誘導体からなる。したがって本発明による前記第2の結合ドメインは、腫瘍細胞の表面上に天然に生じる細胞表面分子又は腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的マーカー(抗原)に対する特異性を有する抗原−相互作用−部位を含む上に列挙された(Ig由来)第2のドメインである。二重特異性抗体分子中の前記2つのドメイン/領域は、好ましくは相互に共有結合で繋がれている。この繋がりは、直接(ドメイン1[上に定義のとおりCDR領域もしくはCDR領域及びフレームワーク領域を含んでCD8+T細胞中もしくは上に天然では生じない(ヒト)標的分子1に対して特異的]−ドメイン2[細胞表面分子及び/又は腫瘍特異的マーカーに対して特異的]、又はドメイン1[細胞表面分子及び/又は腫瘍特異的マーカーに対して特異的]−ドメイン2[上に定義のとおりCDR領域もしくはCDR領域及びフレームワーク領域を含んでCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない(ヒト)標的分子1に対して特異的])あるいは追加的ペプチドリンカー配列(ドメイン1−リンカー配列−ドメイン2)を通じてのいずれかで生じる場合がある。リンカーが用いられる事象では、このリンカーは本発明の状況において、第1及び第2のドメインが互いに無関係にそれらそれぞれの結合特異性を保持できることを確実にするために十分な長さ及び配列である。本発明の状況では追加的ポリペプチドリンカー配列は、例えば抗体のFc部分又は1つもしくは複数の定常ドメインである場合がある抗体それ自体の断片であってもよい。
【0025】
本発明の状況では結合ドメイン1は、抗体アーム1の部分であってもよく、結合ドメイン2は抗体アーム2の部分であってもよく、又は逆も同様であり、2つの抗体アームはインターフェースを介して繋がれている。抗体アーム1は、抗体の可変領域(もしくはその部分)、抗体断片の又はその誘導体からなり、本明細書の以下に定義のとおり、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない(ヒト)標的分子1に特異的に結合/と相互作用できる。抗体アーム2は、抗体の可変領域(もしくはその部分)、抗体断片又はその誘導体からなり、腫瘍細胞の表面上に天然に生じる細胞表面分子又は腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原に特異的に結合/と相互作用できる。「インターフェース」は、1つ又は複数の「接触」アミノ酸残基(又は他の非アミノ酸基)と第2の抗体アームのインターフェースにおいて相互作用するこれらの接触アミノ酸残基(又は例えば炭水化物基などの他の非アミノ酸基)を第1の抗体アーム中に含む。好ましいインターフェースは、抗体の重鎖の定常ドメイン(又はその領域)などの免疫グロブリンのドメインであり、インターフェースを介する結合/相互作用は、2つの抗体アームのヘテロ二量体形成を提供する(例えばRidgway,J.B.ら、Protein Eng.9(1996),617〜621;WO96/027011;Merchant,A.M.ら、Nature Biotech.16(1998),677〜681;Atwell,S.ら、J.Mol.Biol.270(1997),26〜35;EP1870459A1;WO2007/147901;WO2009/089004(A1)及びWO2010/129304を参照されたい)。
【0026】
本発明により使用される抗体、抗体コンストラクト、二重特異性抗体分子、抗体断片、抗体誘導体(すべてIg由来)又はそれらの対応する免疫グロブリン鎖(複数可)は、当技術分野において周知の従来技術を用いて、例えばアミノ酸欠失(複数可)、挿入(複数可)、置換(複数可)、付加(複数可)及び/又は組換え(複数可)及び/又は当技術分野において周知の任意の他の修飾(複数可)を単独又は組み合わせて用いることによってさらに修飾できる。免疫グロブリン鎖のアミノ酸配列の基礎をなすDNA配列にそのような修飾を導入するための方法は、当業者に十分周知であり、例えば、Sambrook(1989)同書、を参照されたい。用語「Ig由来ドメイン」は、詳細には、少なくとも1つのCDRを含む(ポリ)ペプチドコンストラクトに関する。列挙したIg由来ドメインの断片又は誘導体は、上記抗体分子の一部であり、及び/又は化学的/生化学もしくは分子生物学的方法によって修飾される(ポリ)ペプチドを明確にする。対応する方法は、当技術分野において周知であり、とりわけ実験室マニュアルに記載されている(Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,第二版(1989)及び第三版(2001);Gerhardtら、Methods for General and Molecular Bacteriology ASM Press(1994);Lefkovits,Immunology Methods Manual:The Comprehensive Sourcebook of Techniques;Academic Press(1997);Golemis,Protein−Protein Interactions:A Molecular Cloning Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press(2002)を参照されたい)。
【0027】
本明細書で使用される用語「CDR」は、当技術分野において十分周知である「相補性決定領域」に関する。CDRは、免疫グロブリンの部分であり、前記分子の特異性を決定し、特定のリガンドに接触する。CDRは、分子の最も可変性の部分であり、これらの分子の多様性に寄与する。各Vドメインには、3個のCDR領域、CDR1、CDR2及びCDR3がある。CDR−Hは可変重鎖のCDR領域を表し、CDR−Lは可変軽鎖のCDR領域に関する。VHは可変重鎖を意味しVLは可変軽鎖を意味する。Ig由来領域のCDR領域は、Kabat「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,第5版,NIH Publication no.91〜3242 U.S.Department of Health and Human Services(1991);Chothia J.Mol.Biol.196(1987),901〜917又はChothia Nature 342(1989),877〜883に記載のとおり決定できる。
【0028】
したがって本発明の状況では、本明細書の上に記載の二重特異性抗体などの抗体分子は、完全抗体(IgG1、IgG2、IgG2b、IgG3、IgG4、IgA、IgM、IgD又はIgEなどの免疫グロブリン)、F(ab)−、Fab’−SH−、Fv−、Fab’−、F(ab’)
2−断片、キメラ抗体、CDR移植抗体、全ヒト抗体、二価抗体コンストラクト、抗体融合タンパク質、合成抗体、二価単鎖抗体、三価単鎖抗体及び多価単鎖抗体からなる群から選択される。
【0029】
本明細書において使用される用語「全ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列だけを含む抗体を指す。全ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において又はマウス細胞由来融合細胞において産生される場合にネズミ炭水化物鎖を含有する場合がある。同様に「マウス抗体」又は「ネズミ抗体」は、マウス(ネズミ)免疫グロブリンタンパク質配列だけを含む抗体を指す。代替的に「全ヒト抗体」は、ラットにおいて、ラット細胞において、ラット細胞由来融合細胞において産生される場合にラット炭水化物鎖を含有する場合がある。同様に用語「ラット抗体」は、ラット免疫グロブリン配列だけを含む抗体を指す。例えば全ヒト抗体は、全ヒト抗体の生産及びスクリーニングを可能にする広く用いられているスクリーニング技術であるファージディスプレイによって生産できる。同様にファージ抗体は、本発明の状況において用いることができる。ファージディスプレイ法は、例えばUS5,403,484、US5,969,108及びUS5,885,793に記載されている。全ヒト抗体の開発を可能にする別の技術は、マウス融合細胞技術の変法を含む。マウスは、それら自身のマウス遺伝子と交換してヒト免疫グロブリン遺伝子座を含有するようにトランスジェニックにされる(例えば、US5,877,397を参照されたい)。
【0030】
本明細書において使用される用語抗体は、キメラ抗体も含む。用語「キメラ抗体」は、別のヒト又は非ヒト種(例えばマウス、ウマ、ウサギ、イヌ、ウシ、ニワトリ)由来の抗体領域(例えば、定常領域)と融合された又はキメラ化されたヒト又は非ヒト種の可変領域を含む抗体を指す。
【0031】
用語抗体は、組換えヒト抗体、異種性抗体及びヘテロハイブリッド抗体にも関する。用語「組換えヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてのトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現された抗体、組換え、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離された抗体又はヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって調製、発現、作出もしくは単離された抗体などの組換え手段によって調製、発現、作出又は単離されたすべてのヒト配列抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列由来の可変領域及び定常領域(存在する場合は)を有する。しかしそのような抗体は、in vitro変異導入(又はヒトIg配列についてのトランスジェニック動物が用いられる場合はin vivo体細胞変異導入)に供することができ、それにより組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、(ヒト生殖系列VH及びVL配列に由来及び関連する一方で)in vivoでヒト抗体生殖系列レパートリー中に天然では生じない場合がある配列である。
【0032】
「異種性抗体」は、そのような抗体を産生するトランスジェニック非ヒト生物との関連において定義される。この用語は、トランスジェニック非ヒト動物を構成しない生物において見出されるもの、及び一般にトランスジェニック非ヒト動物以外の種由来のものに対応するアミノ酸配列又はコード核酸配列を有する抗体を指す。
【0033】
用語「ヘテロハイブリッド抗体」は、さまざまな生物的起源の軽鎖及び重鎖を有する抗体を指す。例えば、ネズミ軽鎖と関連してヒト重鎖を有する抗体は、ヘテロハイブリッド抗体である。ヘテロハイブリッド抗体の例は、キメラ抗体及びヒト化抗体を含む。
【0034】
用語抗体は、ヒト化抗体にも関する。非ヒト(例えばネズミ又はウサギ)抗体の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合サブ配列など)である。しばしばヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDR由来残基によって置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられる。さらにヒト化抗体は、レシピエント抗体においても、移入されたCDR又はフレームワーク配列においてのいずれでも見出されない残基を含むことができる。これらの修飾は、抗体性能をさらに改良する及び最適化するために行われる。一般にヒト化抗体は、少なくとも1つの典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含み、すべて又は実質的にすべてのCDR領域は非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべて又は実質的にすべてはヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも部分も含む場合がある。さらなる詳細についてJonesNature 321(1986),522〜525;Reichmann Nature 332(1998),323〜327及びPresta Curr Op Struct Biol 2(1992),593〜596を参照されたい。
【0035】
抗体のヒト化のためのよく知られている方法は、非ヒト「ドナー」抗体由来の機能性抗原結合部位がヒト「受容」抗体に移植されるCDR移植を含む。CDR移植法は、当技術分野において周知であり、例えばUS5,225,539、US5,693,761及びUS6,407,213において記載されている。別の関連する方法は、遺伝子再構成及び遺伝子再構築を受けることができる1つ又は複数のヒト化免疫グロブリン遺伝子座を含有するように遺伝子的に操作されたトランスジェニック動物からのヒト化抗体の生産である(例えばUS7,129,084を参照されたい)。
【0036】
したがって本発明の状況では用語「抗体」は、全免疫グロブリン分子及びそのような免疫グロブリン分子の部分に関する。上に考察したとおりさらに用語は、修飾された及び/又は変更された抗体分子に関する。用語は、組換えにより又は合成的に生成された/合成された抗体にも関する。用語は、未処理抗体及び、分離された軽鎖及び重鎖、Fab、Fab/c、Fv、Fab’、F(ab’)2などのその抗体断片にも関する。用語「抗体」は、二機能性抗体、三機能性抗体、全ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体及び、単鎖Fvs(scFv)又は抗体融合タンパク質などの抗体コンストラクトも含む。
【0037】
「単鎖Fvs」又は「scFv」抗体断片は、本発明の状況では、抗体のV
H及びV
Lドメインを有し、これらのドメインは1本のポリペプチド鎖中に存在する。一般にscFvポリペプチドは、scFvが抗原結合のための所望の構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーをV
HとV
Lドメインとの間にさらに含む。単鎖抗体の生産のために記載された技術は、例えばPluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,Rosenburg and Moore編 Springer−Verlag,N.Y.113(1994),269〜315に記載されている。
【0038】
本明細書において使用される「Fab断片」は、軽鎖1本並びに重鎖1本のC
H1及び可変領域からなる。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成できない。
【0039】
「Fc」領域は、抗体のC
H2及びC
H3ドメインを含む重鎖断片2つを含有する。重鎖断片2つは、2つ以上のジスルフィド結合によって及びC
H3ドメインの疎水性相互作用によって共に保持されている。
【0040】
「Fab’断片」は、軽鎖1本並びに、V
Hドメイン及びC
H1ドメイン並びにC
H1とC
H2ドメインとの間の領域も含有する重鎖1本の部分を、Fab’断片2本の重鎖2本の間にF(ab’)
2分子を形成するように鎖間ジスルフィド結合が形成できるように含有する。
【0041】
「F(ab’)
2断片」は、軽鎖2本及び、C
H1とC
H2ドメインとの間の定常領域の部分を含有する重鎖2本を、鎖間ジスルフィド結合が重鎖2本の間に形成されるように含有する。したがってF(ab’)
2断片は、重鎖2本の間のジスルフィド結合によって共に保持されるFab’断片2つからなる。
【0042】
「Fv領域」は、重鎖及び軽鎖の両方由来の可変領域を含むが、定常領域を欠いている。
【0043】
本発明の二重特異性抗体分子が、本明細書に定義の第1の(Ig由来)ドメイン及び(Ig由来)第2のドメインに加えて追加的ドメイン(複数可)を、例えば組換えにより生産されたコンストラクトの単離及び/又は調製のために含む場合があることは注目されるべきである。
【0044】
本発明により、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の(ヒト)抗原に特異的に相互作用/に結合する、本発明の分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)の上に記載の第1のドメインだけが修飾できるのではないことは注目される。(Ig由来)第1のドメイン、(Ig由来)第2のドメイン及び/又は連結リンカー領域(複数可)が修飾されることも予測される、例えばヒト化抗体、CDR移植抗体又は全ヒト抗体。
【0045】
「ヒト化アプローチ」は、当技術分野において十分周知であり、具体的に抗体分子、例えばIg由来分子について記載されている。用語「ヒト化」は、非ヒト抗体由来の配列のいくらかの部分を含有する非ヒト(例えば、ネズミ)抗体又はその断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)、scFvもしくは抗体の他の抗原−結合部分配列など)のヒト化形態を指す。ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリンの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の結合特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラット又はウサギなどの非ヒト種の、CDR由来の残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリンを含む。一般にヒト化抗体は、少なくとも1つの、一般には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、非ヒト免疫グロブリンのものに対応するCDR領域のすべて又は実質的にすべて並びにFR領域のすべて又は実質的にすべては、ヒト免疫グロブリン共通配列のものである。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも部分も含む;とりわけ、Jonesら、Nature 321(1986),522〜525,Presta,Curr.Op.Struct.Biol.2(1992),593〜596を参照されたい。非ヒト抗体をヒト化するための方法は、当技術分野において十分周知である。一般にヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ又は複数のアミノ酸を有し、抗体の元の結合活性を保持している。抗体/抗体分子のヒト化のための方法は、Jonesら、Nature 321(1986),522〜525;Reichmannら、Nature 332(1988),323〜327;及びVerhoeyenら、Science 239(1988),1534〜1536にさらに詳述されている。ヒト化抗体の具体的な例(例えばEpCAMに対して方向付けられた抗体)は当技術分野において周知であり、例えば(LoBuglio,Proceedings of the American Society of Clinical Oncology Abstract(1997),1562及びKhor,Proceedings of the American Society of Clinical Oncology Abstract(1997),847)を参照されたい。
【0046】
したがって本発明の状況では、特に、ヒト化され、薬学的組成物において良好に使用できる二重特異性抗体分子が提供される。本発明の状況では、本明細書に記載の(ヒト化)二重特異性抗体分子は、本明細書の以下に定義のとおりキットにおいて使用できる。
【0047】
本発明の状況では、本明細書に記載の二重特異性抗体分子の(Ig由来)第1のドメインは、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原に対する特異性を有する抗原−相互作用−部位を含む。
【0048】
本明細書において使用される用語「CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原」は、CD8+T細胞に組み込まれている、CD8+T細胞中及び/又は表面上に天然では提示されない、及び通常の(形質導入されていない)CD8+T細胞中又は細胞上に(内因的に)発現されない分子に関する。したがって、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原/マーカーは、CD8+T細胞に人工的に導入される。本発明の状況では、前記CD8+T細胞は、本明細書で定義されるとおり治療される対象から単離される/得られる。本発明の状況では、CD8+T細胞のT細胞受容体上に天然に生じる/内因的に発現される抗原ペプチドは、上に述べた用語「CD8+T細胞上に天然では生じない抗原」から除外される。したがって、人工的に導入され、続いて前記CD8+T細胞中及び/又は表面上に示されるこれらの分子は、(Ig由来)結合ドメイン、好ましくは、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗体、抗体断片もしくは誘導体に(in vitro又はin vivoで)到達できるドメイン又はエピトープを含む。本発明の状況では、これらの人工的に導入される分子は、本明細書の以下に記載のとおり(レトロウイルス)形質導入後に前記CD8+T細胞中及び/又は表面上に示される。
【0049】
本発明の状況では、用語「CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原」は、CD8+T細胞1個あたり500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000個を超える抗原分子を有するCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原/マーカーを指す。したがって抗原/マーカーは、通常の(形質導入されていない)CD8+T細胞の集団の1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2.0
0/
00(プロミル)を超えるCD8+T細胞中及び/又は細胞上に存在しない/内因的に発現されない。CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然に生じる抗原/マーカーの存在及び量は、FACS分析、ELISA、共焦点顕微鏡、分析用HPLCなどの当技術分野において周知の方法によってモニターできる。
【0050】
これらの分子の例は、非免疫原性タンパク質(好ましくはヒト由来)を含む。代替的に前記分子は、それ自体が機能的に不活性なタンパク質分子であってよく、又は当技術分野において周知の遺伝子組換え技術によって機能的に不活性に作られる(例は、細胞内シグナル伝達ドメインの欠失(本明細書に記載のdel−hEGFRコンストラクト(配列番号11及び12)を参照して、細胞内シグナル伝達ドメインを含まない(ヒト)EGFRによって添付の実施例において例示されるとおり)又は細胞外ドメインの不活性化点変異が分子を機能的に不活性にするタンパク質分子である)。変異(ヒト)EGFRバージョンの別の例は、添付の実施例において用いられるdel−hGFRvIIIコンストラクト(DNAとして配列番号17及び(コードされる)アミノ酸配列として配列番号18)である。hEGFRvIIIは、神経膠芽腫並びに乳房、卵巣及び肺の癌腫において見出されたヒト上皮増殖因子受容体の変異体である。変異体受容体は、その細胞外ドメインに欠失を有する(Lorimerら、Proc.Natl.Acad.Sci USA 93:14815〜14820(1996))。
【0051】
上に述べたこれらの基準を満たすマーカーの例は、本明細書の以下に示され、これだけに限らないがクリプト(cripto)(クリプティック(cryptic)ファミリータンパク質)、CD(表面抗原分類)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR又はTSH−Rを含む。
【0052】
本発明の状況では、本明細書に記載の二重特異性抗体分子(複数可)は、クリプト(クリプティックファミリータンパク質)、CD(表面抗原分類)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR及びTSH−Rからなる群から選択される、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原に結合する。したがって、本明細書に記載の二重特異性抗体分子(複数可)は、(用語「非T細胞」によって表されることから)T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は上に(排他的に)天然では生じないCD−ファミリーのメンバー、クリプト、EGFR又はTSH−Rと相互作用/に結合する。本発明の状況では本明細書に記載の二重特異性抗体分子(複数可)は、(用語「非T細胞」によって表されることから)T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は上に内因的に発現されないCD−ファミリーのメンバー、クリプト、EGFR又はTSH−Rと相互作用/に結合する。
【0053】
クリプト(クリプティックファミリータンパク質)の(ヒト)メンバー、CD(表面抗原分類)ファミリー(非T細胞)のメンバー、EGFR又はTSH−Rの配列(複数可)は、UniProtKB/Swiss−Prot databaseにおいて利用可能であり、http://www.uniprot.org/uniprot/?query=reviewed%3Ayesから検索できる。これらの(タンパク質)配列は、アノテートされた修飾配列にも関連する。本発明は、相同性配列、及び本明細書で提供される簡潔な配列(concise sequence)の対立遺伝子バリアントなどが用いられる技術及び方法も提供する。好ましくは、本明細書の簡潔な配列のそのような「バリアント」などは用いられる。好ましくは、そのような「バリアント」は、遺伝子的バリアントである。当業者は、ゲノムDNA及びmRNA/cDNAの登録も含む場合があるこれらのデータバンクの登録中でこれらの(タンパク質)配列の関連するコード領域を容易に推定できる。
【0054】
「CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原」との関連において本明細書において使用される用語「CD(表面抗原分類)ファミリー(非T細胞)」は、
からなる群から選択されるCD配列のいずれか1つを指す。
【0055】
(ヒト)CD9(CD9抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21926(登録バージョン123、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD10(ネプリライシン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08473(登録バージョン151、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD11(インテグリンアルファ−D)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q13349(登録バージョン110、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD13(アミノペプチダーゼN)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15144(登録バージョン145、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD14(単球分化抗原CD14)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08571(登録バージョン131、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD16(Fc−ガンマ受容体IIIb)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9ULV2(登録バージョン51、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD18(インテグリンベータ−2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P05107(登録バージョン162、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD19(B−リンパ球抗原CD19)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15391(登録バージョン128、配列バージョン6)から得られる;(ヒト)CD20(B−リンパ球抗原CD20)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11836(登録バージョン118、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD21(補体受容体2型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P20023(登録バージョン128、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD22(B細胞受容体CD22)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P20273(登録バージョン136、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD23(低親和性免疫グロブリンイプシロンFc受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P06734(登録バージョン133、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD24(シグナル伝達因子CD24)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P25063(登録バージョン106、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD26(ジペプチジルペプチダーゼ4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P27487(登録バージョン140、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD27(CD27抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P26842(登録バージョン119、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD29(インテグリンベータ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P05556(登録バージョン154、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD30(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P28908(登録バージョン129;配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD31(血小板内皮細胞接着分子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16284(登録バージョン146、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD32(低親和性免疫グロブリンガンマFc領域受容体II−b)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P31994(登録バージョン138、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD33(骨髄細胞表面抗原CD33)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P20138(登録バージョン130、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD34(造血前駆細胞抗原CD34)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P28906(登録バージョン108、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD35(補体受容体1型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P17927(登録バージョン131、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD36(血小板糖タンパク質4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16671(登録バージョン133、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD38(ADP−リボシルシクラーゼ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P28907(登録バージョン126、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD39(エクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P49961(登録バージョン114、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P25942(登録バージョン147、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD41(インテグリンアルファ−IIb)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08514(登録バージョン158、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD43(ロイコシアリン(Leukosialin))の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16150(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD46(補体調節タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15529(登録バージョン145、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD48(CD48抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P09326(登録バージョン137、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD49(インテグリンアルファ−4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13612(登録バージョン128、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD50(細胞接着分子3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32942(登録バージョン128、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD51(インテグリンアルファ−V)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P06756(登録バージョン149、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD54(細胞接着分子1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P05362(登録バージョン160、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD55(補体崩壊促進因子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08174(登録バージョン143、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD56(神経細胞接着分子1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13591(登録バージョン132、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD57(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーGメンバー1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q96E93(登録バージョン72、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD59(CD59糖タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13987(登録バージョン139、配列情報1)から得られる;(ヒト)CD61(インテグリンベータ−3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P05106(登録バージョン175、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD63(CD63抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08962(登録バージョン122、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD64(高親和性免疫グロブリンガンマFc受容体I)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P12314(登録バージョン128、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD66(癌胎児抗原関連細胞接着分子1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13688(登録バージョン133、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD67(癌胎児抗原関連細胞接着分子8)の配列(複数可)はSwiss−type protデータベース登録P31997(登録バージョン115、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD68(マクロシアリン(Macrosialin))の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P34810(登録バージョン106、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD70(CD70抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32970(登録バージョン101、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD72(B細胞分化抗原CD72)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21854(バージョン登録113、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD74(HLAクラスII組織適合抗原ガンマ鎖)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04233(登録バージョン141、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD75(ベータ−ガラクトシドアルファ−2,6−シアリルトランスフェラーゼ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15907(登録バージョン130、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD77(ラクトシルセラミド4−アルファ−ガラクトシルトランスフェラーゼ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NPC4(登録バージョン100、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD79(B細胞抗原受容体複合体関連タンパク質アルファ鎖)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11912(登録バージョン120、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD81(CD81抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P60033(登録バージョン82、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD82(CD82抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P27701(登録バージョン98、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD83(CD83抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q01151(登録バージョン113、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD84(SLAMファミリーメンバー5)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UIB8(登録バージョン87、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD87(ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化表面受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q03405(登録バージョン129、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD88(C5aアナフィラトキシン走化性受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21730(登録バージョン116、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD89(免疫グロブリンアルファFc受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P24071(登録バージョン121、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD90(Thy−1膜糖タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04216(登録バージョン128、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD91(プロ低密度(Prolow−density)リポタンパク質受容体関連タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q07954(登録バージョン133、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD92(コリントランスポーター様タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8WWI5(登録バージョン79、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD93(補体成分C1q受容体)の配列(複数可)
はSwiss−Protデータベース登録Q9NPY3(登録バージョン115、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD94(ナチュラルキラー細胞抗原CD94)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q13241(登録バージョン107、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD95(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー6)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P48023(登録バージョン134、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD97(CD97抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P48960(登録バージョン125、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD98(4F2細胞表面抗原重鎖)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08195(登録バージョン140、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD99(CD99抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P14209(登録バージョン117、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD100(セマフォリン4D)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q92854(登録バージョン125、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD101(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q93033(登録バージョン89、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD102(細胞接着分子2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13598(登録バージョン131、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD103(インテグリンアルファ−E)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P38570(登録バージョン118、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD104(インテグリンベータ−4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16144(登録バージョン160、配列バージョン5)から得られる;(ヒト)CD105(エンドグリン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P17813(登録バージョン133、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD106(血管細胞接着タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P19320(登録バージョン158、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD107(リソソーム結合膜糖タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11279(登録バージョン117、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD108(セマフォリン7A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O75326(登録バージョン107、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD109(CD109抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q6YHK3(登録バージョン64、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD110(トロンボポエチン受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P40238(登録バージョン122、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD111(ポリオウイルス受容体関連タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q15223(登録バージョン114、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD112(ポリオウイルス受容体関連タンパク質2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q92692(登録バージョン123、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD113(ポリオウイルス受容体関連タンパク質3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NQS3(登録バージョン78、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD114(顆粒球コロニー刺激因子受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q99062(登録バージョン129、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD115(マクロファージコロニー刺激因子1受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P07333(登録バージョン145、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD116(顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子受容体サブユニットアルファ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15509(登録バージョン128、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD117(マスト/幹細胞増殖因子受容体キット)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P10721(登録バージョン150、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD118(白血病抑制因子受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P42702(登録バージョン115、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD119(インターフェロンガンマ受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15260(登録バージョン140、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD121(インターロイキン−1受容体1型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P14778(登録バージョン151、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD123(インターロイキン−3受容体サブユニットアルファ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P26951(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD124(インターロイキン−4受容体サブユニットアルファ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P24394(登録バージョン144、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD125(インターロイキン−5受容体サブユニットアルファ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q01344(登録バージョン120、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD126(インターロイキン−6受容体サブユニットアルファ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08887(登録バージョン143、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD130(インターロイキン−6受容体サブユニットベータ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P40189(登録バージョン142、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD131(サイトカイン受容体共通サブユニットベータ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32927(登録バージョン128、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD133(プロミニン(Prominin−1))の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O43490(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD134(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P43489(登録バージョン106、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD135(受容体型チロシンタンパク質キナーゼFLT3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P36888(登録バージョン119、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD136(マクロファージ刺激タンパク質受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q04912(登録バージョン129、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD137(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q07011(登録バージョン109、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD138(シンデカン−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P18827(登録バージョン114、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD140(血小板由来増殖因子受容体ベータ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P09619(登録バージョン154、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD141(トロンボモジュリン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P07204(登録バージョン162、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD142(組織因子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13726(登録バージョン137、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD143(アンジオテンシン変換酵素)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P12821(登録バージョン157、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD144(カドヘリン−5)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P33151(登録バージョン108、配列バージョン5)から得られる;(ヒト)CD146(細胞表面糖タンパク質MUC18)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P43121(登録バージョン109、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD147(ベイシジン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P35613(登録バージョン134、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD148(受容体型チロシンタンパク質フォスファターゼエータ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q12913(登録バージョン124、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD151(CD151抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P48509(登録バージョン108、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD153(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32971(登録バージョン90、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD155(ポリオウイルス受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15151(登録バージョン132、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD156(ディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼドメイン含有タンパク質8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P78325(登録バージョン115、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD157(ADP−リボシルシクラーゼ2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q10588(登録バージョン116、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD158(キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8N743(登録バージョン91、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD159(NKG2−A/NKG2−B II型内在性膜タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P26715(登録バージョン116、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD160(CD160抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O95971(登録バージョン98、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD161(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーBメンバー1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q12918(登録バージョン81、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD162(P−セレクチン糖タンパク質リガンド1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q14242(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD163(スカベンジャー受容体富システイン1型タンパク質M130)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q86VB7(登録バージョン77、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD164(シアロムチンコアタンパク質24)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q04900(登録バージョン89、配列バージ
ョン2)から得られる;(ヒト)CD166(CD166抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q13740(登録バージョン111、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD167(ジスコイジンドメイン含有受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q16832(登録バージョン120、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD168(ヒアルロナン介在性運動受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O75330(登録バージョン99、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD169(シアロアドヘシン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9BZZ2(登録バージョン103、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD170(シアル酸結合Ig様レクチン5)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O15389(登録バージョン106、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD171(神経細胞接着分子L1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32004(登録バージョン139、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD172(シグナル調節タンパク質ベータ−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00241(登録バージョン112、配列バージョン5)から得られる;(ヒト)CD177(CD177抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8N6Q3(登録バージョン65、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD178(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー6)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P48023(登録バージョン134、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD179(免疫グロブリンイオタ鎖)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P12018(登録バージョン115、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD180(CD180抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q99467(登録バージョン101、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD181(C−X−Cケモカイン受容体1型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P25024(登録バージョン125、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD182(C−X−Cケモカイン受容体2型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P25025(登録バージョン123、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD183(C−X−Cケモカイン受容体3型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P49682(登録バージョン118、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD184(C−X−Cケモカイン受容体4型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P61073(登録バージョン95、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD185(C−X−Cケモカイン受容体5型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32302(登録バージョン109、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD186(C−X−Cケモカイン受容体6型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00574(登録バージョン104、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD191(C−Cケモカイン受容体1型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P32246(登録バージョン106、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD192(C−Cケモカイン受容体2型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P41597(登録バージョン128、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD193(C−Cケモカイン受容体3型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P51677(登録バージョン112、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD200(OX−2膜糖タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P41217(登録バージョン110、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD201(内皮タンパク質C受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UNN8(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD204(マクロファージスカベンジャー受容体I型及びII型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21757(登録バージョン122、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD206(マクロファージマンノース受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P22897(登録バージョン138、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD207(C型レクチンドメインファミリー4メンバーK)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UJ71(登録バージョン85、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD208(リソソーム結合膜糖タンパク質3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UQV4(登録バージョン69、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD209(CD209抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NNX6(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD217(インターロイキン−17受容体A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q96F46(登録バージョン94、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD218(インターロイキン−18受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q13478(登録バージョン104、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD220(インスリン受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P06213(登録バージョン175、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD221(インスリン様増殖因子1受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08069(登録バージョン145、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD222(カチオン非依存性マンノース−6−リン酸受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11717(登録バージョン137、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD223(リンパ球活性化遺伝子3タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P18627(登録バージョン108、配列バージョン5)から得られる;(ヒト)CD224(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P19440(登録バージョン137、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD225(インターフェロン誘導膜貫通タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P13164(登録バージョン101、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD226(CD226抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q15762(登録バージョン89、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD227(ムチン−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15941(登録バージョン136、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD228(メラノトランスフェリン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08582(登録バージョン124、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD230(主要プリオンタンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04156(登録バージョン161、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD231(テトラスパニン−7)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P41732(登録バージョン115、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD232(プレキシン−C1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O60486(登録バージョン80、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD233(バンド3アニオン輸送タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P02730(登録バージョン167、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD234(ダッフィー抗原/ケモカイン受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q16570(登録バージョン114、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD236(グリコホリンC)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04921(登録バージョン116、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD238(ケル式血液型(Kell blood group)糖タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P23276(登録バージョン124、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD239(基底細胞接着分子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P50895(登録バージョン117、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD241(アンモニウム輸送Rh A型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q02094(登録バージョン98、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD242(細胞接着分子4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q14773(登録バージョン106、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD243(多剤耐性タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08183(登録バージョン146、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD244(ナチュラルキラー細胞受容体2B4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9BZW8(登録バージョン94、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD246(ALKチロシンキナーゼ受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UM73(登録バージョン120、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD248(エンドシアリン)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9HCU0(登録バージョン87、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD249(グルタミルアミノペプチダーゼ)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q07075(登録バージョン121、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD252(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P23510(登録バージョン101、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD253(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー10)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P50591(登録バージョン118、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD254(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー11)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14788(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD256(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O75888(登録バージョン111、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD257(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー13B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y275(登録バージョン127、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD258(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー14)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O43557(登録バージョン117、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD261(腫瘍壊死因子受容体
スーパーファミリーメンバー10A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00220(登録バージョン112、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD262(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14763(登録バージョン133、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD263(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10C)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14798(登録バージョン99、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD264(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10D)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UBN6(登録バージョン109、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD265(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー11A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y6Q6(登録バージョン100、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD266(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー12A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NP84(登録バージョン89、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD267(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14836(登録バージョン102、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD268(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー13C)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q96RJ3(登録バージョン91、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD269(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q02223(登録バージョン125、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD270(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q92956(登録バージョン134、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD271(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P08138(登録バージョン135、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD276(CD276抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q5ZPR3(登録バージョン71、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD277(ブチロフィリンサブファミリー3メンバーA1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00481(登録バージョン102、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD280(C−型マンノース受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UBG0(登録バージョン79、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD281(トール様受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q15399(登録バージョン125、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD282(トール様受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O60603(登録バージョン129、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD283(トール様受容体3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O15455(登録バージョン120、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD284(トール様受容体4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00206(登録バージョン125、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD286(トール様受容体6)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y2C9(登録バージョン108、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD288(トール様受容体8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NR97(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD289(トール様受容体9)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NR96(登録バージョン107、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD290(トール様受容体10)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9BXR5(登録バージョン105、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD292(骨形成タンパク質受容体1A型)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P36894(登録バージョン146、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD294(推定G−タンパク質共役受容体44)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y5Y4(登録バージョン91、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD295(レプチン受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P48357(登録バージョン132、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD296(GPI修飾NAD(P)(+)−−アルギニンADP−リボシルトランスフェラーゼ1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P52961(登録バージョン96、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD297(エクト−ADP−リボシルトランスフェラーゼ4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q93070(登録バージョン106、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD298(ナトリウム/カリウム輸送ATPアーゼサブユニットベータ−3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P54709(登録バージョン102、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD299(C−型レクチンドメインファミリー4メンバーM)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9H2X3(登録バージョン108、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD300(CMRF35様分子9)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q6UXG3(登録バージョン67、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD301(C−型レクチンドメインファミリー10メンバーA)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8IUN9(登録バージョン80、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD302(CD302抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8IX05(登録バージョン64、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD303(C−型レクチンドメインファミリー4メンバーC)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8WTT0(登録バージョン82、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD304(ニューロフィリン−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14786(登録バージョン129、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD305(白血球関連免疫グロブリン様受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q6GTX8(登録バージョン70、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD306(白血球関連免疫グロブリン様受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q6ISS4(登録バージョン63、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD309(血管内皮増殖因子受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P35968(登録バージョン138、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD312(EGF様モジュール含有ムチン様ホルモン受容体様2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UHX3(登録バージョン113、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD314(NKG2−DII型内在性膜タンパク質)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P26718(登録バージョン117、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD315(プロスタグランジンF2受容体ネガティブレギュレーター)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9P2B2(登録バージョン98、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD316(免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q969P0(登録バージョン81、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD317(骨髄間質抗原2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q10589(登録バージョン95、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD318(CUBドメイン含有タンパク質1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9H5V8(登録バージョン78、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD319(SLAMファミリーメンバー7)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NQ25(登録バージョン92、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD320(CD320抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NPF0(登録バージョン86、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD321(接合部接着分子A)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y624(登録バージョン124、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD322(接合部接着分子B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P57087(登録バージョン107、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD324(カドヘリン−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P12830(登録バージョン157、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD325(カドヘリン−2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P19022(登録バージョン118、配列バージョン4)から得られる;(ヒト)CD326(上皮細胞接着分子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16422(登録バージョン118、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD327(シアル酸結合Ig様レクチン6)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O43699(登録バージョン107、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD328(シアル酸結合Ig様レクチン7)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y286(登録バージョン111、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD329(シアル酸結合Ig様レクチン8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NYZ4(登録バージョン100、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD331(線維芽細胞増殖因子受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11362(登録バージョン169、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD332(線維芽細胞増殖因子受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21802(登録バージョン165、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD333(線維芽細胞増殖因子受容体3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P22607(登録バージョン161、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD334(線維芽細胞増殖因子受容体4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P22455(登録バージョン136、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD335(細胞傷害誘発受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O76036(登録バージョン98、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD336(細胞傷害誘発受容体2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O95944(登録バージョン86、配
列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD337(細胞傷害誘発受容体3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O14931(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD338(ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UNQ0(登録バージョン120、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD339(タンパク質ジャギド1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P78504(登録バージョン129、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD340(受容体チロシンタンパク質キナーゼerbB−2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04626(登録バージョン162、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD344(フリズルド(Frizzled)−4)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9ULV1(登録バージョン107、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD349(フリズルド−9)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O00144(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD350(フリズルド−10)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9ULW2(登録バージョン100、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD351(高親和性免疫グロブリンアルファ及び免疫グロブリンミューFc受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8WWV6(登録バージョン65、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD352(SLAMファミリーメンバー6)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q96DU3(登録バージョン93、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)CD353(SLAMファミリーメンバー8)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9P0V8(登録バージョン80、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD354(骨髄系細胞1上で発現される誘発受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9NP99(登録バージョン93、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD355(細胞傷害性及び制御T細胞分子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O95727(登録バージョン81、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD357(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー18)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9Y5U5(登録バージョン103、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD358(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー21)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録O75509(登録バージョン110、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD360(インターロイキン−21受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9HBE5(登録バージョン104、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD361(タンパク質EVI2B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P34910(登録バージョン87、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD362(シンデカン−2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P34741(登録バージョン105、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD363(スフィンゴシン1−リン酸受容体1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21453(登録バージョン116、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)クリプティックファミリータンパク質(クリプティックファミリータンパク質1−B)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P0CG36(登録バージョン12、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16473(登録バージョン152、配列バージョン2)から得られる;又は(ヒト)上皮増殖因子受容体(EGFR)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P00533(登録バージョン178、配列バージョン2)から得られる。
【0056】
上に述べたとおり上に記載の二重特異性抗体分子の(Ig由来)第2のドメインは、腫瘍細胞上に天然に生じる細胞表面分子に対して特異性を有する抗原−相互作用−部位を含むことができる。
【0057】
本明細書において用いられる用語「腫瘍細胞上に天然に生じる細胞表面分子」は、腫瘍細胞の表面上に示される分子も記す。用語「天然に存在」は、腫瘍細胞の表面上に内因的に発現される分子に関する。用語「細胞表面分子」は、細胞の表面上に(天然に/内因的に)発現される/示される分子に関し、(Ig由来)結合ドメインに、好ましくは抗体、抗体断片又は誘導体に(in vitro又はin vivoで)到達できるドメイン又はエピトープを含む。上に例示するとおり前記Ig−由来の第2の結合ドメインは、scFvであってよい。前記細胞表面分子についての例は、膜タンパク質及び膜貫通タンパク質、前記タンパク質又は細胞表面などに適応される分子である。したがって本発明の状況では前記細胞表面分子は、腫瘍特異的マーカーである、本発明の状況では前記腫瘍特異的マーカーは、腫瘍細胞の表面上に通常内因的に発現されるマーカーに関する。
【0058】
本発明の状況では用語「腫瘍特異的マーカー」は、腫瘍細胞の表面上に天然に/内因的に示される及び/又は位置づけられる、又は偏在的に発現されるが腫瘍細胞の表面上においてだけ抗体、抗体断片又は抗体誘導体の結合が到達可能である分子に関する。本明細書で参照される「腫瘍特異的マーカー」は、腫瘍細胞上で優先的に又は排他的に発現されるタンパク質を記載する。優先的には、通常の体細胞においてよりも腫瘍における相対的に高い発現を意味するが、排他的には、当業者に周知のタンパク質検出の標準的手段によって体細胞において見出されない腫瘍細胞上のタンパク質の発現を意味する。これらの基準を満たすタンパク質は、当技術分野において十分周知である例えば減算による又は差次的な発現スクリーニングによって同定できる。本発明の治療方法によって活用されるために必要である腫瘍細胞特異的発現の程度は、対象の抗原を発現している細胞とこの抗原に特異的なT細胞とが一緒にインキュベートされ、誘導される死滅の特異性が決定される細胞性アッセイによって評価できる。
【0059】
「優先的発現」は、遺伝子増幅、転写情報制御もしくはmRNA安定化又はそのようなタンパク質の代謝回転に影響を与える変異によって介在されるタンパク質過剰発現によって正常細胞と比較して腫瘍細胞上で高度に発現されるタンパク質を指す。優先的は、腫瘍細胞上及び正常細胞上でも発現されるが、ヒト身体の免疫特権領域など正常細胞がT細胞又は抗体に通常接触できないタンパク質も定義する。追加的に腫瘍細胞上に発現されるが処置の範囲で正常細胞上では発現されないタンパク質は、胚発生の際に排他的に発現されるタンパク質などこの定義に該当する。
【0060】
「排他的発現」は、処置の経過の際に腫瘍細胞上においてだけ見出されるタンパク質を指す。好ましくはそのようなタンパク質は、細胞表面に提示され、それらの細胞外部分に正常細胞上で見出されない点変異又は欠失を保持している。同様にシェダーゼ(sheddase)の腫瘍特異的活性から生じるネオ−エピトープはこの分類に属する。排他的発現は、腫瘍において排他的に見出されるが正常細胞では見出されない異常な糖構造(glycostructure)も含む。
【0061】
本発明の状況では、本明細書に記載の二重特異性抗体分子の、本明細書に記載の第1の結合ドメイン及び本明細書に記載の第2の結合ドメインは、異なる抗原に結合する。
【0062】
腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍マーカーの例は、本明細書の以下に示され、これだけに限らないが、EpCAM、HER−1、HER−2、HER−3、CD20、CD22、CD33、CD52、CA−12−5、HLA−DR、MUC−1(ムチン)、A33−抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、トランスフェリン−受容体、テネイシン又はCA−IXを含む。
【0063】
したがって本発明の状況では、本明細書に記載の二重特異性抗体分子(複数可)は、EpCAM、HER−1、HER−2、HER−3、CD20、CD22、CD33、CD52、CA−12−5、HLA−DR、MUC−1(ムチン)、A33−抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、トランスフェリン−受容体、テネイシン及びCA−IXからなる群から選択される腫瘍細胞の表面上に天然に生じる抗原/マーカーを含む。本発明の状況では、本明細書に記載の二重特異性抗体分子(複数可)は、EpCAM、HER−1、HER−2、HER−3、CD20、CD22、CD33、CD52、CA−12−5、HLA−DR、MUC−1(ムチン)、A33−抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、トランスフェリン−受容体、テネイシン及びCA−IXからなる群から選択される腫瘍細胞の表面上に内因的に発現される抗原/マーカーを含む。
【0064】
EpCAM、HER−1、HER−2、HER−3、CD20、CD22、CD33、CD52、CA−12−5、HLA−DR、MUC−1(ムチン)、A33−抗原、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、トランスフェリン−受容体、テネイシン又はCA−IXの(ヒト)メンバーの配列(複数可)は、the UniProtKB/Swiss−Protデータベースから入手可能であり、http://www.uniprot.org/uniprot/?query=reviewed%3Ayesから検索できる。これらの(タンパク質)配列はアノテートされた修飾配列にも関連する。本発明は、本明細書で提供される相同性配列並びに簡潔な配列の遺伝的対立形質バリアントなどが用いられる技術及び方法も提供する。好ましくは、本明細書の簡潔な配列のそのような「バリアント」などは用いられる。好ましくはそのような「バリアント」は、遺伝的バリアントである。当業者は、ゲノムDNA及びmRNA/cDNAの登録も含む場合があるこれらのデータバンク登録中でこれらの(タンパク質)配列の関連するコード領域を容易に推定できる。
【0065】
(ヒト)EpCAM(上皮細胞接着分子)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P16422(登録バージョン117、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)HER−1(上皮増殖因子受容体)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P00533(登録バージョン177、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)HER−2(受容体チロシン−タンパク質キナーゼerbB−2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P04626(登録バージョン161、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)HER−3(受容体チロシン−タンパク質キナーゼerbB−3)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P21860(登録バージョン140、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD20(B−リンパ球抗原CD20)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P11836(登録バージョン117、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)CD22(B−リンパ球抗原CD22)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P20273(登録バージョン135、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CD33(B−リンパ球抗原CD33)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P20138(登録バージョン129、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)CA−12−5(ムチン16)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q8WXI7(登録バージョン66、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)HLA−DRの配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q29900(登録バージョン59、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)MUC−1(ムチン−1)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録P15941(登録バージョン135、配列バージョン3)から得られる;(ヒト)A33(細胞表面A33抗原)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q99795(登録バージョン104、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)PSMA(グルタミン酸カルボキシペプチダーゼ2)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q04609(登録バージョン133、配列バージョン1)から得られる;(ヒト)トランスフェリン受容体の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q9UP52(登録バージョン99、配列バージョン1)及びP02786(登録バージョン152、配列バージョン2)から得られる;(ヒト)テネイシンの配列はSwiss−Protデータベース登録P24821(登録バージョン141、配列バージョン3)から得られる;又は(ヒト)CA−IX(炭酸脱水酵素9)の配列(複数可)はSwiss−Protデータベース登録Q16790(登録バージョン115、配列バージョン2)から得られる。
【0066】
本発明の状況では、(ヒト)クリプトに結合する/に方向付けられた/と又はに相互作用する第1の結合ドメイン及び(ヒト)EpCAMに結合する/に方向付けられた/と相互作用する第2のドメインを含む二重特異性抗体が記載される。
【0067】
本明細書で提供する分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、医療の場で特に有用である。例えば悪性疾患は、本明細書に記載の二重特異性コンストラクトで処置できる。本発明の状況では悪性疾患は、上皮、内皮もしくは中皮由来の癌/癌腫又は血液の癌であってよい。本発明の状況では癌/癌腫は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌、口腔癌、胃癌、子宮頸癌、B及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣の癌、白血病、リンパ性白血病、上咽頭癌、結腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、尿生殖路の癌、例えば、精巣癌、卵巣の癌、内皮癌、子宮頸癌及び腎臓癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌及び甲状腺癌、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫もしくは骨肉腫などの他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0068】
本明細書で提供する分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、医療の場で特に有用である。例えば腫瘍性疾患及び/又はリンパ腫は、これらの医学的適用(複数可)に対して方向付けられた二重特異性コンストラクトで処置できる。二重特異性抗体(分子)についての適用は、腫瘍抗原の発現によって示される。実体において発現される腫瘍抗原は、上に述べた任意のT細胞マーカー(腫瘍細胞の表面上に天然に生じる/内因性に発現される抗原を表す)と実質的に組み合わせることができる。例えば、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)EpCAM(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に対して方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。したがって本発明の状況では、(ヒト)EpCAMに対して方向付けられ(第2の結合ドメインとして)、クリプトに対して方向付けられ/に結合し/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性抗体コンストラクトは、胃腸癌、例えば、胃腸由来の腺癌の処置において用いることができる。胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)HER1(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。胃癌、乳癌及び/又は子宮頸癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)HER2(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。胃癌及び/又は肺癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)HER3(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)CD20(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)CD22(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。骨髄性白血病は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)CD33(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性コンストラクトで処置できる。卵巣癌、肺癌、乳癌及び/又は胃腸癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)CA12−5(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。胃腸癌、白血病及び/又は上咽頭癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)HLA−DR(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。結腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌及び/又は膵臓癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)MUC−1(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。結腸癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)A33(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。前立腺癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)PSMA(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)トランスフェリン受容体(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。膵臓癌、肺癌及び/又は乳癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)トランスフェリン受容体(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。腎癌は、第2の結合ドメインを介して(ヒト)CA−IX(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)に方向付けられ、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つに方向付けられた/に結合する/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)で処置できる。
【0069】
同様に添付の実施例において例示されるとおり、本発明の概念の証明として本発明の特定の二重特異性抗体分子は、(ヒト)EGFRに結合する/に方向付けられた/と又はに相互作用する上に定義の第1の(Ig由来)ドメイン、及び(ヒト)EpCAMに結合する/に方向付けられた/と又はに相互作用する第2の(Ig由来)ドメインを含む。
【0070】
上皮細胞接着分子(EpCAM、17−1A抗原、KSA、EGP40、GA733−2、ks1−4又はesaとも称される)は、特定の上皮及び多数のヒト癌腫における特異的発現を有する314アミノ酸の40−kDa膜貫通型(membrane−integrated)糖タンパク質である(Balzar,J.Mol.Med.(1999),77,699〜712において概説されている)。EpCAMは、ネズミモノクローナル抗体17−1A/エドレコロマブによるその認識を通じて発見され、次いでクローン化された(Goettlinger,Int J Cancer 38(1986),47〜53及びSimon,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990),2755〜2759)。EpCAMは、指向性の、高度に順序付けられた様式で上皮細胞を接着するために役立つ(Litvinov,J Cell Biol.139(1997),1337〜1348)。上皮細胞の悪性形質転換では急速に増殖する腫瘍細胞は、上皮の高度な細胞性の秩序を放棄している。結果としてEpCAMの表面分布はあまり限定されなくなり、分子は腫瘍細胞上により暴露され、腫瘍細胞の表面において抗体、抗体断片又は抗体誘導体の結合に到達可能になる。それらが上皮細胞由来であることから、大部分の癌腫由来の腫瘍細胞はそれらの表面上でEpCAMを発現し続けている。
【0071】
In vivoではEpCAMの発現は、増大した上皮増殖に関連し、細胞分化と負に関連する(概説についてBalzar,J.Mol.Med.77(1999),699〜712を参照されたい)。EpCAMの発現はすべての主要な癌腫において原則的に観察される(Balzar,J.Mol.Med.77(1999),699〜712において概説されており、又は、とりわけDe Bree,Nucl Med Commun.15(1994),613〜27;Zhang,Clin Cancer Res.4(1998),295〜302)中に記載されている。その広範な発現により、EpCAMは「汎癌」抗原と称される。多くの場合、腫瘍細胞はそれらの親上皮又は前記癌の悪性度が低い形態よりもより高い程度にEpCAMを発現することが観察された。例えばEpCAM発現の増大は、前立腺癌の発症の初期現象を示す(Poczatek,J.Urol.162(1999),1462〜1644)。付加的に子宮頸部の扁平上皮及び腺癌の両方の大部分における強いEpCAM発現は、増殖の増大及び最終分化についてのマーカーの消失と関連する(Litvinov,Am.J.Pathol.148(1996),865〜75)。乳癌では腫瘍細胞でのEpCAMの過発現は、生存の予測因子である(Gastl,Lancet 356(2000),1981〜1982)。EpCAMは、頭部、頸部及び肺の扁平上皮細胞癌を罹患している患者において播種性腫瘍細胞の検出のためのマーカーである(Chaubal,Anticancer Res.19(1999),2237〜2242及びPiyathilake,Hum.Pathol.31(2000),482〜487)。表皮、口腔、喉頭蓋、咽頭、喉頭及び食道において見出される正常扁平上皮は、EpCAMを有意に発現しなかった(Quak、Hybridoma 9(1990),377〜387)。EpCAMは、初期、転移性及び播種性NSCLC(非小細胞肺癌細胞(Passlick,Int J Cancer 87(2000),548〜552))の大部分において、胃及び胃食道接合部腺癌において(Martin,J.Clin.Pathol.52(1999),701〜4)及び結腸直腸、膵臓癌及び乳癌由来の細胞株において(Szala,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990),3542〜6及びPackeisen,Hybridoma 18(1999),37〜40)発現されることが示されている。
【0072】
添付の実施例において例示的に示されるとおり、本発明の概念の証明として(ヒト)抗EGFR抗体は、二重特異性コンストラクトMAb225_scFv_G8.8を形成するために(ネズミ)抗EpCAM(G8.8)と組み合わされた。(ヒト)抗EGFR抗体の軽鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号1を参照):
【0073】
(ヒト)抗EGFR抗体の重鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号2を参照):
【0074】
(ネズミ)抗EpCAM(G8.8)抗体の軽鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号3を参照):
【0075】
(ネズミ)抗EpCAM(G8.8)抗体の重鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号4を参照):
【0076】
二重特異性生産物(MAb225_scFv_G8.8)の軽鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号5を参照):
【0077】
二重特異性生産物(MAb225_scFv_G8.8)の重鎖のアミノ酸配列を下に示す(配列番号6を参照):
【0078】
さらに
図20及び21に例示されるとおり、(さらに)本発明の概念の証明として、1つのアームの上にdel−(ヒト)hEGFRvIIIに対する及び他方のアームの上に(ネズミ)EpCAMに対する抗原結合部位を有する二重特異性抗体(BiAb)「BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1」が構築された;実施例4を参照されたい。二重特異性生産物(BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1)の軽鎖のアミノ酸配列を
図23Aに示す(配列番号15を参照)。二重特異性生産物(BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1)の重鎖のアミノ酸配列を
図23Bに示す(配列番号16を参照)。
【0079】
本発明は、本発明の二重特異性抗体分子をコードしている核酸配列も提供する。
【0080】
制御配列を本発明の核酸分子に付加できることは、当業者に明らかである。例えば、プロモーター、転写エンハンサー及び/又は本発明のポリヌクレオチドの発現を誘導できる配列を使用できる。適切な誘導可能な系は、例えばGossen and Bujard Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89(1992),5547〜5551及びGossenら、Trends Biotech.12(1994),58〜62によって記載される例えばテトラサイクリン制御遺伝子発現であり、又は例えばCrook EMBO J.8(1989),513〜519によって記載されるデキサメタゾン誘導可能遺伝子発現系である。
【0081】
さらに、さらなる目的のために核酸分子が、例えば、チオエステル結合及び/又はヌクレオチド類似物を含む場合があることが予測される。前記修飾は、細胞中のエンド及び/又はエクソヌクレアーゼに対する核酸分子の安定化のために有用である可能性がある。前記核酸分子は、細胞中での前記核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含有する適切なベクターによって転写できる。この点において、そのようなポリヌクレオチドが「遺伝子標的化」又は「遺伝子治療的」アプローチのために用いられる可能性があることも理解される。別の実施形態では前記核酸分子は、標識化される。核酸の検出のための方法は、当技術分野において十分周知である、例えばサザン及びノーザンブロッティング、PCR又はプライマー伸長。本実施形態は、遺伝子療法アプローチの際に上に記載したとおり、核酸分子の順調な導入を確認するためのスクリーニング方法のためにも有用である。
【0082】
前記核酸分子(複数可)は、任意の前述の核酸分子を単独又は組み合わせのいずれかで含む、組換えにより生産されたキメラ核酸分子であってよい。本発明の状況では、核酸分子はベクターの部分である。
【0083】
したがって本発明は、本発明に記載の核酸分子を含むベクターにも関する。
【0084】
多数の好適なベクターが分子生物学の当業者に周知であり、その選択は所望の機能に依存し、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ及び遺伝子的操作において慣用されている他のベクターを含む。当業者に十分周知である方法を種々のプラスミド及びベクターを構築するために用いることができる;例えば、Sambrookら(同書)及びAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989),(1994)に記載の技術を参照されたい。代替的に本発明のポリヌクレオチド及びベクターは、標的細胞への送達のためにリポソーム中に再構成できる。以下にさらに詳細に考察されるとおりクローニングベクターは、DNAの個々の配列を単離するために用いられた。関連配列は、特定のポリペプチドの発現が必要である場合に発現ベクターに移行されてよい。典型的なクローニングベクターは、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322、pGA18及びpGBT9を含む。典型的発現ベクターは、pTRE、pCAL−n−EK、pESP−1、pOP13CATを含む。
【0085】
本発明は、本明細書に記載の二重特異性抗体コンストラクト(分子)をコードしている前記核酸配列に作動可能に連結された制御配列である核酸配列を含むベクターにも関する。
【0086】
そのような制御配列(調節エレメント)は、当業者に周知であり、プロモーター、スプライスカセット、翻訳開始コドン、ベクターへの挿入物の導入のための翻訳及び挿入部位を含む場合がある。本発明の状況では前記核酸分子は、真核又は原核細胞における発現を可能にする前記発現調節配列に作動的に連結される。
【0087】
前記ベクターが、本明細書に定義の二重特異性抗体コンストラクト(分子)をコードしている核酸分子を含む発現ベクターであることは予測される。
【0088】
用語「制御配列」は、それらがライゲーションされるコード配列の発現をもたらすために必要であるDNA配列を指す。そのような調節配列の性質は、宿主生物に応じて異なる。原核生物では調節配列は、一般にプロモーター、リボソーム結合部位及びターミネーターを含む。真核生物では一般に調節配列は、プロモーター、ターミネーター、及びいくつかの場合では、エンハンサー、トランス活性化因子又は転写因子を含む。用語「調節配列」は、発現のためにその存在が必要である最小限の、すべての構成成分を含むことを意図し、追加的な有利な構成成分も含む場合がある。
【0089】
用語「作動可能に連結」は、記載の構成成分がそれらの目的の様式で機能できるようにする関係にある近位を指す。コード配列に「作動可能に連結」された調節配列は、コード配列の発現が調節配列と合致する条件下で達成されるような方法でライゲーションされる。調節配列がプロモーターである場合、2本鎖核酸が好ましくは用いられることは当業者に明らかである。
【0090】
本発明の状況では列挙されるベクターは、発現ベクターである。「発現ベクター」は、選択された宿主を形質転換するために用いることができるコンストラクトであり、選択された宿主においてコード配列の発現を提供する。発現ベクターは、例えばクローニングベクター、バイナリーベクター又は組み込みベクターであってよい。発現は、核酸分子、好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。原核生物及び/又は真核細胞における発現を確実にする制御エレメントは、当業者に十分周知である。真核細胞の場合ではそれらは、転写の開始を確実にするプロモーターを通常含み、場合により転写の終了及び転写物の安定化を確実にするポリ−Aシグナルを含む。原核宿主細胞における発現を可能にする可能性がある制御エレメントは、例えば大腸菌(E.coli)におけるP
L、lac、trp又はtacプロモーターを含み、真核宿主細胞における発現を可能にする制御エレメントの例は、酵母でのAOX1もしくはGAL1プロモーター又は哺乳動物及び他の動物細胞でのCMV−、SV40−、RSV−プロモーター(ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus))、CMV−エンハンサー、SV40−エンハンサー又はグロビンイントロンである。
【0091】
転写の開始に関与するエレメント以外のそのような制御エレメントは、SV40−ポリ−A部位又はtk−ポリ−A部位などの転写終結シグナルもポリヌクレオチドの下流に含む場合がある。さらに、用いられる発現系に応じてポリペプチドを細胞性コンパートメントに方向付ける又は培地に分泌させることができるリーダー配列も列挙された核酸配列のコード配列に付加される場合があり、当技術分野において十分周知である;例えば添付の実施例も参照されたい。
リーダー配列(複数可)は、翻訳、開始及び終結配列、並びに好ましくは翻訳されたタンパク質又はその部分の細胞膜周辺腔へ又は細胞外培地への分泌を方向付けることができるリーダー配列と適切な時期に編成される。場合により異種性配列は、所望の特徴(例えば、安定化又は発現された組換え生産物の簡素化された精製)を与えるN−末端同定ペプチドを含む融合タンパク質をコードできる;上記を参照されたい。この状況では好適な発現ベクターは、当技術分野において周知である、Okayama−Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In−vitrogene)、pEF−DHFR、pEF−ADAもしくはpEF−neoなど(Raumら、Cancer Immunol Immunother 50(2001),141〜150)又はpSPORT1(GIBCO BRL)など。
【0092】
本発明の状況では発現調節配列は、真核宿主細胞を形質転換又はトランスフェクトできるベクター中の真核プロモーター系であるが、原核宿主のための調節配列も用いることができる。適切な宿主にベクターが組み込まれると、宿主はヌクレオチド配列の高レベル発現のために好適な条件下に維持され、所望により本発明のポリペプチドの回収及び精製が続く場合がある;例えば、添付の実施例を参照されたい。
【0093】
細胞周期相互作用タンパク質を発現するために用いることができる代替的発現系は、昆虫系である。そのような系では、オートグラファカリフォルニカ核多角体病ウイルス(Autographa californica nuclear polyhedrosis virus)(AcNPV)が、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞において又はイラクサギンウワバ(Trichoplusia)幼虫において外来遺伝子を発現するためにベクターとして用いられる。列挙された核酸分子のコード配列は、ポリヘドリン遺伝子などのウイルスの非必須領域にクローン化され、ポリヘドリンプロモーターの調節下に位置づけられてよい。前記コード配列の順調な挿入は、ポリヘドリン遺伝子を不活性化し、コートタンパク質コートを欠失している組換えウイルスを生産する。次いで組換えウイルスは、本発明のタンパク質が発現されるS.フルギペルダ細胞又はイラクサギンウワバ幼虫を感染させるために用いられる(Smith,J.Virol.46(1983),584;Engelhard,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 91(1994),3224〜3227)。
【0094】
追加的制御エレメントは、転写及び翻訳のエンハンサーを含む場合がある。有利には、本発明の上に記載のベクターは選択可能及び/又はスコアリング可能(scorable)マーカーを含む。
【0095】
形質転換された細胞並びに例えば、植物組織及び植物の選択のために有用な選択可能マーカー遺伝子は当業者に十分周知であり、例えば、メトトレキサートへの耐性を付与するdhfrについての選択のための基礎としての代謝拮抗剤耐性(Reiss,Plant Physiol.(Life Sci.Adv.)13(1994),143〜149)、アミノグリコシドネオマイシン、カナマイシン及びパロマイシンへの耐性を付与するnpt(Herrera−Estrella,EMBO J.2(1983),987〜995)並びに、ハイグロマイシンへの耐性を付与するhygro(Marsh,Gene 32(1984),481〜485)を含む。追加的選択可能遺伝子は、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするいわゆるtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノール(histinol)を利用できるようにするhisD(Hartman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85(1988),8047);細胞がマンノースを利用できるようにするマンノース−6−リン酸異性化酵素(WO94/20627)及びオルニチン脱炭酸酵素阻害物質、2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン、DFMOへの耐性を付与するODC(オルニチン脱炭酸酵素)(McConlogue,1987,In:Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory編)又はブラストサイジンSへの耐性を付与するアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)由来デアミナーゼ(Tamura,Biosci.Biotechnol.Biochem.59(1995),2336〜2338)として記載されている。
【0096】
有用なスコアリング可能マーカーは当業者にも周知であり、商業的に入手できる。有利には前記マーカーはルシフェラーゼ(Giacomin,Pl.Sci.116(1996),59〜72;Scikantha,J.Bact.178(1996),121)、緑色蛍光タンパク質(Gerdes,FEBS Lett.389(1996),44〜47)又はβ−グルクロニダーゼ(Jefferson,EMBO J.6(1987),3901〜3907)をコードしている遺伝子である。本実施形態は、列挙されたベクターを含有する細胞、組織及び生物の簡単で迅速なスクリーニングのために特に有用である。
【0097】
上に記載のとおり、列挙された核酸分子は、コードされた二重特異性コンストラクトの細胞中での発現のために単独で又はベクターの部分として、例えば、精製だけでなく遺伝子療法目的のためにも、好ましくは形質導入されたCD8+T細胞との組み合わせで用いられる場合がある。上に記載の二重特異性コンストラクトの任意の1つをコードしているDNA配列(複数可)を含有している核酸分子又はベクターは、対象のポリペプチドを産生する細胞に導入される。ex−vivo又はin vivo技術によって細胞に治療用遺伝子を導入することに基づく遺伝子療法は、遺伝子移行の最も重要な応用の1つである。in vitro又はin vivo遺伝子療法のための方法又は遺伝子送達系のために好適なベクター、方法又は遺伝子送達系は、文献に記載され、当業者に周知である;例えば、Giordano,Nature Medicine 2(1996),534〜539;Schaper,Circ.Res.79(1996),911〜919;Anderson,Science 256(1992),808〜813;Verma,Nature 389(1994),239;Isner,Lancet 348(1996),370〜374;Muhlhauser,Circ.Res.77(1995),1077〜1086;Onodera,Blood 91(1998),30〜36;Verma,Gene Ther.5(1998),692〜699;Nabel,Ann.N.Y.Acad.Sci.811(1997),289〜292;Verzeletti,Hum.Gene Ther.9(1998),2243〜51;Wang,Nature Medicine 2(1996),714〜716;WO94/29469;WO97/00957;US5,580,859;US5,589,466;又はSchaper,Current Opinion in Biotechnology 7(1996),635〜640を参照されたい。列挙された核酸分子及びベクターは、細胞内への直接導入のために又はリポソーム、もしくはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入のために設計されてよい。本発明の状況では前記細胞は、生殖系列細胞、胚細胞もしくは卵細胞又はそれら由来であり、最も好ましくは前記細胞は幹細胞である。胚性幹細胞についての例は、とりわけNagy,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90(1993),8424〜8428に記載の幹細胞であってよい。
【0098】
上記により本発明は、本明細書に定義の二重特異性抗体コンストラクトのポリペプチド配列をコードしている核酸分子を含み、従来の遺伝子操作において用いられるベクター、詳細にはプラスミド、コスミド及びバクテリオファージを導く方法に関する。本発明の状況では前記ベクターは、発現ベクター及び/又は遺伝子移行もしくは標的化ベクターである。レトロウイルス、ワクチニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス又はウシパピローマウイルスなどのウイルス由来発現ベクターは、列挙されたポリヌクレオチド又はベクターを標的細胞集団に送達するために用いることができる。
【0099】
当業者に十分周知である方法は、組換えベクターを構築するために用いることができる;例えば、Sambrookら、(同書),Ausubel(1989,同書)又は他の標準的教科書に記載の技術を参照されたい。代替的に列挙された核酸分子及びベクターは、標的細胞への送達のためにリポソームへ再構築されてよい。本発明の核酸分子を含有するベクターは、細胞性宿主の種類に応じて変化する十分周知の方法によって宿主細胞に移行されてよい。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションは原核細胞について一般に利用され、一方リン酸カルシウム処理又は電気穿孔法は、他の細胞性宿主について用いることができる;上記Sambrookを参照されたい。列挙されたベクターは、とりわけpEF−DHFR、pEF−ADA又はpEF−neoであってよい。ベクターpEF−DHFR、pEF−ADA及びpEF−neoは、当技術分野において、例えばMackら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92(1995),7021〜7025及びRaumら、Cancer Immunol Immunother 50(2001),141〜150において記載されている。
【0100】
本発明は、本明細書に記載のベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた宿主も提供する。前記宿主は、上に記載のベクターの少なくとも1つ又は上に記載の核酸分子の少なくとも1つを宿主に導入することによって生産できる。宿主における前記少なくとも1つのベクター又は少なくとも1つの核酸分子の存在は、上に記載の二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)をコードしている遺伝子の発現を介在できる。
【0101】
宿主に導入された記載の核酸分子又はベクターは、宿主のゲノムに組み込まれてよく、染色体外に維持されてもよい。
【0102】
宿主は、任意の原核又は真核細胞であってよい。
【0103】
用語「原核生物」は、本発明のタンパク質の発現のためのDNA又はDNAもしくはRNA分子で形質転換、形質導入又はトランスフェクトできるすべての細菌を含んで意味する。原核宿主は、グラム陰性細菌及び例えば、大腸菌、ネズミチフス菌(S.typhimurium)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)及び枯草菌(Bacillus subtilis)などのグラム陽性細菌を含んでよい。用語「真核」は、酵母、高等植物、昆虫及び好ましくは哺乳動物細胞を含んで意味する。組換え生産手順において使用される宿主に応じて、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質は、グリコシル化されてよく、又は非グリコシル化であってよい。特に好ましいのは、本発明のポリペプチドのコード配列を含有しているプラスミド又はウイルス及びそれに遺伝子的に融合されたN−末端FLAG−タグ及び/又はC−末端His−タグの使用である。好ましくは、前記FLAG−タグの長さは約4から8アミノ酸、最も好ましくは8アミノ酸である。上に記載のポリヌクレオチドは、当業者に一般的に周知の任意の技術を用いて宿主を形質転換又はトランスフェクトするために用いることができる。さらに、融合され、作動可能に連結された遺伝子を調製するための及びそれらを例えば、哺乳動物細胞及び細菌において発現するための方法は、当技術分野において十分周知である(Sambrook、同書)。
【0104】
本発明の状況では、宿主(細胞)は細菌、昆虫、真菌、植物又は動物細胞である。
【0105】
列挙された宿主が哺乳動物細胞、より好ましくはヒト細胞又はヒト細胞株である場合があることは特に予測される。
【0106】
特に好ましい宿主細胞は、HEK293、CHO細胞、COS細胞、SP2/0又はNS/0などのミエローマ細胞株を含む。添付の実施例において例示されるとおり、特に好ましいのは宿主としてのHEK293細胞である。
【0107】
さらなる実施形態では、したがって本発明は、二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)の発現を可能にする条件下で本発明の細胞及び/又は宿主細胞を培養すること(栽培すること)並びに細胞及び/又は培養培地から分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)を回収することを含む、上に記載の二重特異性抗体分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)の生産のための方法に関する。
【0108】
形質転換された宿主は、発酵容器において増殖されてよく、最適な細胞増殖を達成するために当技術分野において周知の技術により培養されてよい。次いで本発明のポリペプチドは、増殖培地から単離できる。例えば、微生物的に発現された本発明のポリペプチドの単離及び精製は、(例えば本発明のポリペプチドのタグに対して方向付けられた)モノクローナル又はポリクローナル抗体の使用を含むなどの例えば、調製用クロマトグラフィー分離及び免疫学的分離などの任意の従来の手段によって、又は添付の実施例において記載されるとおりであってよい。
【0109】
さらに本発明は、本明細書で定義される二重特異性(モノクローナル)抗体分子又は上に開示の方法によって生産される(ヒト)二重特異性抗体分子、本発明の核酸分子、ベクター又はCD8+T細胞を形質導入された本発明の宿主を含む組成物(医薬)を提供する。本発明の状況では前記組成物は、場合により、担体、安定化剤及び/又は賦形剤の好適な製剤をさらに含む薬学的組成物である。
【0110】
さらに本発明は、医薬としての使用のための本明細書で上に定義される二重特異性抗体分子であって、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与の前、同時に又は後に投与されるものであり、前記CD8+T細胞が治療される対象から得られたものである、二重特異性抗体分子を提供する。
【0111】
本発明の状況では、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞との組み合わせで投与される本明細書で上に定義される二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬であって、前記二重特異性抗体分子がCD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与の前に、同時に又は後に投与されるものであり、前記CD8+T細胞が治療される対象から得られたものである、薬学的組成物/医薬が提供される。
【0112】
本発明の状況ではT細胞は、本明細書で上に定義されるT細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を形質導入される。本発明は、本明細書で上に定義されるCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を形質導入されるCD8+T細胞にも関する。本発明の状況では、これらの形質導入されたT細胞(CD8+T細胞)は、T細胞受容体(TCR)をさらに含む。これらの形質導入されたT細胞(CD8+T細胞)は、これらのT細胞が天然自己T細胞プールから単離され、腫瘍細胞を溶解できることから、又はこれらのT細胞が腫瘍特異的T細胞受容体(TCR)と共形質導入されていることのいずれかのために腫瘍特異的である。本発明の状況ではT細胞(CD8+T細胞)は、T細胞受容体によって複合体を認識できるものも含み、複合体は主要組織適合性抗原分子(MHC分子;ヒトの場合、いわゆる「ヒト白血球抗原」(HLA))をコードしている主要組織適合遺伝子複合体(本明細書の以下では単に「MHC」と称される)及びT細胞受容体特異的抗原ペプチド(本明細書で上に定義されるCD8+T細胞において天然では生じない抗原とは(構造的に)異なる)のコンジュゲートである。したがって本発明の状況では、細胞傷害性反応を確立するために、(i)標的細胞(治療される対象の腫瘍細胞を指す)のHLA−型に特異的なT細胞受容体を有するT細胞(CD8+T細胞)が存在し、(ii)HLA分子への結合によって形成される複合体がTCRによって認識されうるように抗原ペプチドが存在する必要がある可能性がある。
【0113】
本明細書において使用される用語「T細胞受容体」は、続く3つの基準:(i)腫瘍特異性、(ii)(大部分の)腫瘍細胞の認識(標的抗原が(大部分の)腫瘍細胞において発現されているはずであることを意味する)及び(iii)TCRが治療される対象のHLA型にマッチすること、を満たす条件で任意のT細胞受容体を指す。
【0114】
この状況において、上に述べた3つの基準を満たす好適なT細胞受容体はWT1(ウィルムス腫瘍特異的抗原1;配列情報(複数可)について例えば、Sugiyama H.,Japanese Journal of Clinical Oncology 40(2010),377〜87を参照されたい)、MAGE(配列について例えば、WO2007/032255及びPCT/US2011/57272を参照されたい)、SSX(米国仮出願第61/388,983号)、NY−ESO−1(配列情報(複数可)について例えば、PCT/GB2005/001924を参照されたい)及び/又はHER2neu(配列情報(複数可)についてWO2011/0280894を参照されたい)などの当技術分野において周知である。
【0115】
本発明の状況ではT細胞(CD8+T細胞)は、対象から単離される/得られる。患者からT細胞(CD8+T細胞)を単離する/得るための方法は、当技術分野において十分周知であり、非限定的に、患者からの白血球除去による、FACSort装置を用いて細胞を単離すること/得ることによる、手動で又はマイクロマニピュレータを用いることによって生細胞を含む新鮮生検検体において死細胞から生細胞を採取することを含む(Dudleyら、J.Immunother.26(2003),332〜342;Robbinsら、J.Clin.Oncol.29(2011),917〜924及びLeisegang,J.Mol.Med.86(2008),573〜58)。用語「新鮮患者生検」は、手術又は任意の他の周知の手段によって対象から除去された腫瘍組織及び腫瘍組織/腫瘍細胞由来の腫瘍細胞株又は(単離された)細胞を指す。単離された/得られたT細胞は、次に培養され、抗CD3抗体を用いることによって、抗CD3及び抗CD28モノクローナル抗体を用いることによって及び/又は抗CD3抗体、抗CD28抗体及びIL−2を用いることによって増殖される(Dudleyら、J.Immunother.26(2003),332〜342;Dudleyら、J.Clin.Oncol.26(2008),5233〜5239)。
【0116】
本発明の状況ではこれらの単離された/得られたT細胞は、CD8+T細胞である。表面上に天然に生じる/内因的に発現される抗原/マーカーを同定するための方法は、当技術分野において周知であり、非限定的にフローサイトメトリー(Kochら、Immunity & Ageing 5(2008),6)、ポリメラーゼ連鎖反応(Fernandes S.,Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology 12(2005),477〜483)及び共焦点顕微鏡(Kenny E.ら、Immunology 101(2000),178〜184)を含む。
【0117】
続く工程においてT細胞は、当技術分野において周知の方法によって人工的に/遺伝子的に修飾される/形質導入される(Francois M.Lemoineら、J Gene Med 6(2004),374〜386)。T細胞に形質導入するための方法は、当技術分野において周知であり、非限定的に核酸又は組換え核酸が形質導入される場合では、例えば、電気穿孔法方法、リン酸カルシウム法、陽イオン脂質法又はリポソーム法を含む。形質導入される核酸は、商業的に入手できるトランスフェクション試薬、例えば、リポフェクタミン(Invitrogeneにより製造)を用いることによって従来法で及び高効率で形質導入できる。ベクターが用いられる場合は、ベクターがプラスミドベクターである限り上に述べた核酸と同じ様式でベクターは形質導入できる。本出願の状況では、T細胞に形質導入するための方法は、レトロウイルス又はレンチウイルスT細胞形質導入及びmRNAトランスフェクションを含む。
【0118】
この状況では、(ヒト)T細胞形質導入のための好適な(レトロウイルス)ベクターは、SAMEN CMV/SRa(Clayら、J.Immunol.163(1999),507〜513),LZRS−id3−IHRES(Heemskerkら、J.Exp.Med.186(1997),1597〜1602)、FeLV(Neilら、Nature 308(1984),814〜820)、SAX(Kantoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83(1986),6563〜6567)、pDOL(Desiderio,J.Exp.Med.167(1988),372−388)、N2(Kasidら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990),473〜477)、LNL6(Tiberghienら、Blood 84(1994),1333〜1341)、pZipNEO(Chenら、J.Immunol.153(1994),3630〜3638)、LASN(Mullenら、Hum.Gene Ther.7(1996),1123〜1129)、pG1XsNa(Taylorら、J.Exp.Med.184(1996),2031〜2036)、LCNX及びLXSN(Sunら、Hum.Gene Ther.8(1997),1041〜1048)、SFG(Gallardoら、Blood 90(1997),952〜957)、HMB−Hb−Hu(Vieillardら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94(1997),11595〜11600)、pMV7(Cochloviusら、Cancer Immunol.Immunother.46(1998),61〜66)、pSTITCH(Weitjensら、Gene Ther 5(1998),1195〜1203)、pLZR(Yangら、Hum.Gene Ther.10(1999),123〜132)、pBAG(Wuら、Hum.Gene Ther.10(1999),977〜982)、rKat.43.267bn(Gilhamら、J.Immunother.25(2002),139〜151)、pLGSN(Engelsら、Hum.Gene Ther.14(2003),1155〜1168)、pMP71(Engelsら、Hum.Gene Ther.14(2003),1155〜1168)、pGCSAM(Morganら、J.Immunol.171(2003),3287〜3295)、pMSGV(Zhaoら、J.Immunol.174(2005),4415〜4423)、pMX(de Witteら、J.Immunol.181(2008),5128〜5136)など当技術分野において周知である。
【0119】
本発明により用語「医薬」は、用語「薬学的組成物」と互換的に用いられ、患者、好ましくはヒト患者への投与のための組成物に関する。本発明の状況では医薬/薬学的組成物は、CD8+T細胞が単離された/得られた患者に投与される。本発明の状況では患者は、ヒト患者を指す。さらに本発明の状況では患者は疾患を罹患しており、前記疾患は悪性疾患、特に上皮、内皮又は中皮由来の癌/癌腫又は血液の癌である。本発明の状況では、癌/癌腫は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌、口腔癌、胃癌、子宮頸癌、B及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣の癌、白血病、リンパ性白血病、上咽頭癌、結腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、尿生殖路の癌、例えば、精巣癌、内皮癌、子宮頸癌及び腎臓癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌及び甲状腺癌からなる群、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫もしくは骨肉腫などの他の腫瘍性疾患から選択される。
【0120】
好ましい実施形態では薬学的組成物/医薬は、非経口、経皮、腔内、動脈内、くも膜下腔内投与のための又は組織もしくは腫瘍への直接注射のための本明細書で定義される二重特異性抗体分子を含む。本発明の状況では組成物/医薬は、T細胞中及び/又は表面上に内因的に発現されない/天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与の前に、同時に又は後に投与される本明細書で定義される二重特異性抗体分子を含む。本発明の状況では、本明細書で定義される二重特異性抗体分子を含む薬学的組成物/医薬は、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞との組み合わせで投与されるものであり、前記CD8+T細胞は治療される対象から得られたものである。
【0121】
用語「組み合わせで」の使用は治療計画の構成成分が対象に投与される順序を限定しない。したがって本明細書に記載の薬学的組成物/医薬は、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与の前の、同時の又は後の本明細書で定義される二重特異性抗体分子の投与を包含する。本明細書において使用される「組み合わせで」は、本明細書で既に定義された二重特異性抗体分子とCD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞との投与間の時期も限定しない。したがって2つの構成成分が同時に/同時発生的に投与されない場合、投与は1分間、5分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間もしくは72時間あるいは当業者によって容易に決定される及び/又は本明細書に記載の任意の好適な時間差で離されてよい。
【0122】
本発明の状況では用語「組み合わせで」は、本明細書で定義される二重特異性抗体分子並びにCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞が対象への投与の前に一緒に予備インキュベートされる状態も包含する。したがって2つの構成成分は、投与の前に例えば、1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間もしくは1時間又は当業者によって容易に決定される任意の好適な時間予備インキュベートされてよい。別の好ましい実施形態では本発明は、本明細書で定義される二重特異性抗体分子、並びにCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原/マーカーを含む形質導入されたCD8+T細胞が、同時に/同時発生的に投与される治療計画に関する。本発明の状況では、本明細書で定義される二重特異性抗体分子は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞が投与された後に投与されてよい。
【0123】
さらに本明細書において使用される「組み合わせで」は、開示された治療計画を本明細書で定義される二重特異性抗体分子、並びにCD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の直接連続した(すなわち、2つの構成成分の内の1つの投与に、(ある程度の時間間隔後に)他方の投与が続く(その間に任意の他の処置プロトコールの投与及び/又は実行を含まない))投与に限定しない。したがって本治療計画は、本明細書で定義される二重特異性抗体分子、及びCD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の別々の投与も包含し、投与は、疾患又はその症状の処置又は予防のために必要な及び/又は好適な1つ又は複数の処置プロトコールによって分けられる。そのような介入処置プロトコールの例は、これだけに限らないが、鎮痛剤の投与;化学治療剤の投与、疾患又はその症状の外科的対処を含む。したがって本明細書で開示される治療計画は、本明細書で定義される二重特異性抗体分子、及びCD8+T細胞中又は細胞上で天然では生じない/内因的に発現されない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与を、本明細書に記載の又は当技術分野において周知のとおり、疾患又はその症状の処置又は予防のために好適な1つ又は1つより多い処置プロトコールと共に又はそれ無しで包含する。
【0124】
前記薬学的組成物/医薬が注入又は注射を介して患者に投与されることは具体的に予測される。本発明の状況では、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞は、注入又は注射を介して患者に投与される。好適な組成物/医薬の投与は、さまざまな方法、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、局所又は皮内投与によってなされてよい。
【0125】
本発明の薬学的組成物/医薬は、薬学的に許容される担体をさらに含んでよい。好適な薬学的担体の例は、当技術分野において十分周知であり、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水乳剤などの乳剤、種々の種類の湿潤剤、滅菌溶液などを含む。そのような担体を含む組成物は、十分周知の従来法によって製剤できる。これらの薬学的組成物は、好適な用量で対象に投与できる。投与計画は、主治医及び臨床学的因子によって決定される。医学分野において十分周知のとおり、任意の一患者に対する用量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される具体的な化合物、性別、投与の時期及び経路、総体的健康及び同時発生的に投与される他の薬物を含む多数の因子に依存する。一般的に、薬学的組成物の定期的投与としての計画は、1日あたり1μgから5g単位の範囲であるべきである。しかし、持続的注入のためのより好ましい用量は、1時間あたり、体重1kgあたりで0.01μgから2mg、好ましくは0.01μgから1mg、より好ましくは0.01μgから100μg、さらにより好ましくは0.01μgから50μg及び最も好ましくは0.01μgから10μg単位の範囲である場合がある。具体的に好ましい用量は、本明細書の以下に列挙される。進捗は、定期的な評価によってモニターできる。用量は、変化するが、DNAの静脈内投与のための好ましい用量は、DNA分子のおよそ10
6から10
12コピーである。本発明の組成物は、局所的又は全身に投与できる。投与は、一般に非経口的、例えば静脈内、である;DNAは標的部位に直接投与される場合もある、例えば体内の又は体外の標的部位に微粒子銃送達によって、又は動脈中の部位へのカテーテルによって。非経口投与のための調製物は、滅菌水性もしくは非水性溶液、懸濁剤及び乳剤を含む。非水性溶剤の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油及び、オレイン酸エチルなどの注射可能有機エステルである。水性担体は、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水、アルコール/水性溶液、乳剤又は懸濁剤を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、ブドウ糖リンゲル液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、又は固定油を含む。静脈内ビヒクルは、液体及び栄養補充剤、電解質補充剤(ブドウ糖リンゲルに基づくものなど)などを含む。例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び不活性ガスなどの保存剤及び他の添加物も存在する場合がある。付加的に本発明の薬学的組成物は、タンパク質性担体など、例えば血清アルブミン又は免疫グロブリン(好ましくはヒト由来)を含む場合がある。本発明の薬学的組成物が、タンパク質性二重特異性抗体コンストラクト又は、同物を(本発明において記載のとおり)コードしている核酸分子もしくはベクターに加えて、さらなる生物学的活性剤を薬学的組成物の使用目的に応じて含む場合があることは予測される。そのような薬剤は、胃腸管系として作用する薬物、細胞分裂抑制剤として作用する薬物、高尿酸血症を予防する薬物、免疫反応を阻害する薬物(例えば副腎皮質ステロイド)、循環系に作用する薬物及び/又はT細胞同時刺激分子もしくは当技術分野において周知のサイトカインなどの薬剤である場合がある。
【0126】
本発明の組成物(複数可)/医薬(複数可)の投与について可能性のある適応症は、悪性疾患、特に、乳癌、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、尿生殖路の癌、例えば、卵巣の癌、精巣癌、内皮癌、子宮頸癌及び腎臓癌、肺癌、胃癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌及び甲状腺癌、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫もしくは骨肉腫などの他の腫瘍性疾患、などの上皮癌/癌である。
【0127】
本発明は、他の化合物、例えば、免疫エフェクター細胞に、細胞増殖に又は細胞刺激のために活性化シグナルを提供できる分子との同時投与プロトコールをさらに予測する。前記分子は、例えばT細胞に対するさらなる一次活性化シグナル(例えば、さらなる同時刺激分子:B7ファミリーの分子、Ox40L、4.1BBL、CD40L、抗CTLA−4、抗PD−1)又はさらなるサイトカインインターロイキン(例えば、IL−2)である場合がある。
【0128】
上に記載の本発明の組成物は、場合により検出のための手段及び方法をさらに含む診断用組成物であってもよい。
【0129】
本明細書で提供する二重特異性結合分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、それらを液体相中で又は固相担体に結合させて利用できる免疫アッセイにおける使用のためにも適している。本発明のポリペプチドを利用できる免疫アッセイの例は、直接又は間接フォーマットのいずれかでの競合的又は非競合的免疫アッセイである。そのような免疫アッセイの例は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射免疫アッセイ(RIA)、サンドイッチ(免疫アッセイ)及びウエスタンブロットアッセイである。
【0130】
本発明の二重特異性結合分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、多数の異なる担体に結合でき、前記ポリペプチドに特異的に結合する細胞を単離するために用いることができる。十分周知の担体の例は、ガラス、ポリスチレン、塩化ポリビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然及び変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース及びマグネタイトを含む。担体の性質は、本発明の目的のために可溶性又は不溶性(例えばビーズなど)のいずれであってもよい。
【0131】
当業者に周知の多数のさまざまな標識及び標識化法がある。本発明において用いることができる標識の種類の例は、酵素、放射性同位体、コロイド金属、蛍光化合物、化学発光化合物及び生物発光化合物を含む。
【0132】
本発明の最も好ましい実施形態では、医薬としての使用のための本発明の二重特異性抗体コンストラクト/分子が予測される。本発明の状況では、医薬としての使用のための二重特異性抗体分子であって、前記二重特異性抗体分子が、CD8
+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8
+T細胞の投与の前に、同時に又は後に投与されるものであり、前記CD8
+T細胞が治療される対象から得られたものである、二重特異性抗体分子が記載される。前記医薬は、悪性疾患、特に上皮、内皮もしくは中皮由来の癌/癌腫又は血液の癌の治療方法において使用できる。本発明の状況では癌/癌腫は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌、口腔癌、胃癌、子宮頸癌、B及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣の癌、白血病、リンパ性白血病、上咽頭癌、結腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、尿生殖路の癌、例えば、精巣癌、卵巣の癌、内皮癌、子宮頸癌及び腎臓癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌及び甲状腺癌、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫もしくは骨肉腫などの他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0133】
さらに本発明の状況では、悪性疾患を治療するための方法における使用のための、(i)CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の抗原に結合する第1の結合ドメイン;及び(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む、本明細書に記載の二重特異性抗体分子であって、前記二重特異性抗体分子がCD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入されたCD8+T細胞の投与の前に、同時に又は後に投与されるものであり、前記CD8+T細胞は治療される対象から得られたものである、二重特異性抗体分子が予測される。
【0134】
さらに本発明の状況では、悪性疾患の治療方法は、(i)CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の抗原に結合する第1の結合ドメイン;及び(ii)腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む本発明の二重特異性抗体分子の、それを必要とする対象への投与を含み、前記二重特異性抗体分子は、CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原を含む形質導入された前記対象由来のCD8+T細胞の投与の前に、同時に又は後に投与される。本発明の状況では癌/癌腫は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌、口腔癌、胃癌、子宮頸癌、B及びT細胞リンパ腫、骨髄性白血病、卵巣の癌、白血病、リンパ性白血病、上咽頭癌、結腸癌、前立腺癌、腎細胞癌、頭頸部癌、皮膚癌(メラノーマ)、尿生殖路の癌、例えば、精巣癌、卵巣の癌、内皮癌、子宮頸癌及び腎臓癌、胆管癌、食道癌、唾液腺癌及び甲状腺癌、又は血液腫瘍、神経膠腫、肉腫又は骨肉腫などの他の腫瘍性疾患からなる群から選択される。
【0135】
さらに本発明により、(ヒト)EpCA(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)及び、T細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌の処置のための方法において用いることができる。本発明の状況では、(ヒト)EpCAM(第2の結合ドメインとして)に方向付けられ、クリプトに方向付けられ/に結合し/と相互作用する第1の結合ドメインを含む二重特異性抗体分子は、胃腸癌、例えば胃腸由来の腺癌の処置において用いることができる。(ヒト)HER1(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)HER2(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃癌、乳癌及び/又は子宮頸癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)HER3(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃癌及び/又は肺癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)CD20(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)CD22(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、B細胞リンパ腫及び/又はT細胞リンパ腫の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)CD33(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、骨髄性白血病の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)CA12−5(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、卵巣癌、肺癌、乳癌及び/又は胃腸癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)HLA−DR(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃腸癌、白血病及び/又は上咽頭癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)MUC−1(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、結腸癌、乳癌、卵巣癌、肺癌及び/又は膵臓癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)A33(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、結腸癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)PSMA(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、前立腺癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)トランスフェリン受容体(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、胃腸癌、膵臓癌、胆管細胞癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、皮膚癌及び/又は口腔癌の処置のための方法において用いることができる。(ヒト)CA−IX(腫瘍細胞の表面に天然に生じる腫瘍特異的抗原として)並びにT細胞(CD8+T細胞)中及び/又は細胞上に天然では生じない本明細書に定義の抗原の内の1つを含む分子又はコンストラクト(すなわち、本明細書に記載の二重特異性抗体分子)は、腎癌の処置のための方法において用いることができる。
【0136】
本発明は、疾患、上皮、内皮もしくは中皮由来の癌及び/又は血液の癌などの悪性疾患の治療のための方法にも関する。そのような疾患は、とりわけ:食道、胃、結腸、小腸、肝臓、膵臓、乳房、肺、脳、腎臓、精巣の癌、皮膚癌、白血病及び/又はリンパ腫であり、形質導入されたCD8+T細胞の対象への投与を含む。本発明の状況では、前記対象はヒトである。
【0137】
本発明の状況では、疾患の治療のための方法であって、
(a)対象からCD8+T細胞を単離する工程;
(b)本明細書上に記載のとおり、CD8+T細胞中に天然では生じない抗原を前記単離されたCD8+T細胞に形質導入する工程;及び
(c)形質導入されたCD8+T細胞を前記対象に投与する工程
を含む方法が記載される。
【0138】
本発明の状況では前記形質導入されたCD8+T細胞は、前記対象に静脈内注入によって投与される。
【0139】
さらに本発明は、
(a)対象からCD8+T細胞を単離する工程;
(b)本明細書上に記載のとおり、CD8+T細胞中に天然では生じない抗原を前記単離されたCD8+T細胞に形質導入する工程;
(c)前記単離されたCD8+T細胞にT細胞受容体を同時形質導入する工程;
(d)抗CD3及び抗CD28抗体によってCD8+T細胞を増殖する工程;及び
(e)形質導入されたCD8+T細胞を前記対象に投与する工程
を含む疾患の治療のための方法を提供する。
【0140】
本発明は、単離されたCD8+T細胞上に天然に生じる(腫瘍)抗原が、本明細書に記載の二重特異性抗体がその第2の結合ドメインを介して結合する腫瘍抗原と同一であることを確実にするための方法によって分析される、単離されたCD8+T細胞に関する。本発明の状況では、単離された/得られたCD8+T細胞(単離されたCD8+T細胞の表面上に天然に生じる抗原を含む)は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/天然では発現されない抗原/マーカーを導入することによって人工的に修飾される。本発明の状況では、単離された/得られたCD8+T細胞の人工的修飾は、本明細書に記載の形質導入方法に関する。したがって本発明の状況では治療される対象は、本明細書上に記載のとおり腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原を有することによって特徴付けられる疾患を罹患していることによって特徴付けられる対象に関する。本発明の状況では、治療される対象から得られた/単離された形質導入されたCD8+T細胞の投与は、静脈内注入によって実行される。
【0141】
さらなる実施形態では本発明は、
(a)患者から切除された腫瘍由来の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離する工程;
(b)培養及び本明細書上に記載のとおり、CD8+T細胞中に天然では生じない抗原でのTILの形質導入の工程;
(c)機能性腫瘍認識アッセイに基づいてTIL培養物を選択する工程;
(d)抗CD3及び/又は抗CD28抗体によってTILを増殖する工程;及び
(e)形質導入されたCD8+T細胞を前記対象に投与する工程
を含む疾患を治療するための方法に関する。
【0142】
用語「機能性腫瘍認識」アッセイは、TILと、自己の(例えば患者の)腫瘍細胞又は同じHLA型の細胞株のいずれかとの同時培養を意味する。読み取られるのは、腫瘍細胞に対する細胞傷害性活性である(LDH、カルセイン放出)。さらなる読み取りは、サイトカイン分泌、細胞内サイトカインの存在についてのT細胞のフローサイトメトリー、ELISPOTアッセイである場合がある。
【0143】
上に述べた工程(d)(抗CD3及び/又は抗CD28抗体によってTILを増殖する工程を指す)は、インターロイキン−2及び/又はインターロイキン−15(IL−15)などの(刺激)サイトカインの存在下で実行される場合もある。本発明の状況では、上に述べた工程(d)(抗CD3及び/又は抗CD28抗体によってTILを増殖する工程を指す)は、インターロイキン−12(IL−12)、インターロイキン−7(IL−7)及び/又はインターロイキン−21(IL−21)の存在下で実行される場合もある。
【0144】
処置のための方法は、付加的に、本発明の二重特異性(モノクローナル)抗体の投与も含む場合がある。前記(モノクローナル)二重特異性抗体は、形質導入されたCD8+T細胞が投与される前に、同時に又は後に投与される場合がある。本発明の状況では、形質導入されたCD8+T細胞の投与は、静脈内注入によって実行される。本発明の状況では形質導入されたCD8+T細胞は、治療される対象から単離される/得られる。
【0145】
本発明は、本発明の二重特異性(モノクローナル)抗体、核酸分子、ベクター又は宿主を含むキットを提供する。前記キットは、本発明の薬学的組成物の調製において特に有用であり、とりわけ、注射又は注入のために有用な容器で構成されてよい。有利には、本発明のキットは、場合により緩衝液(複数可)、保存溶液及び/又はその他の試薬又は医学的もしくは科学的目的の実施のために必要な材料をさらに含む。本発明は、(A)(i)CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じないCD8+T細胞上の抗原に結合する第1の結合ドメイン;及び腫瘍細胞の表面上に天然に生じる腫瘍特異的抗原に結合する第2の結合ドメインを含む二重特異性抗体分子;並びに(B)前記CD8+T細胞中又は細胞上に天然では生じない抗原で治療される対象から単離された/得られたCD8+T細胞に形質導入するために必要な材料、を含むキットに関する。
【0146】
本発明の状況では、治療される対象から単離された/得られた「CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料」は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原をコードしている少なくとも1つの核酸である。CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原をコードしている核酸は、ベクター(例えば、プラスミド又はウイルスDNA)内に通常保持され、細菌中のベクターのin vitro選択及び増幅のために必要である配列を含む制御配列(複数可)に作動可能に連結できる。CD8+T細胞中に天然では生じない/内因的に発現されない抗原の発現を可能にするベクターは、本明細書において「発現ベクター」と称される。したがって、治療される対象から単離された/得られた別の有用な「CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料」は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原をコードしている少なくとも1つの核酸を含むベクター/発現ベクターである場合がある。この状況では、T細胞/CD8+T細胞形質導入のために好適なベクターは、SAMEN CMV/SRa(Clayら、J.Immunol.163(1999),507〜513)、LZRS−id3−IHRES(Heemskerkら、J.Exp.Med.186(1997),1597〜1602)、FeLV(Neilら、Nature 308(1984),814〜820)、SAX(Kantoffら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83(1986),6563〜6567)、pDOL(Desiderio,J.Exp.Med.167(1988),372〜388)、N2(Kasidら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87(1990),473〜477)、LNL6(Tiberghienら、Blood 84(1994),1333〜1341)、pZipNEO(Chenら、J.Immunol.153(1994),3630〜3638)、LASN(Mullenら、Hum.Gene Ther.7(1996),1123〜1129)、pG1XsNa(Taylorら、J.Exp.Med.184(1996),2031〜2036)、LCNX及びLXSN(Sunら、Hum.Gene Ther.8(1997),1041〜1048)、SFG(Gallardoら、Blood 90(1997),952〜957)、HMB−Hb−Hu(Vieillardら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94(1997),11595〜11600)、pMV7(Cochloviusら、Cancer Immunol.Immunother.46(1998),61〜66)、pSTITCH(Weitjensら、Gene Ther 5(1998),1195〜1203)、pLZR(Yangら、Hum.Gene Ther.10(1999),123〜132)、pBAG(Wuら、Hum.Gene Ther.10(1999),977〜982)、rKat.43.267bn(Gilhamら、J.Immunother.25(2002),139〜151)、pLGSN(Engelsら、Hum.Gene Ther.14(2003),1155〜1168)、pMP71(Engelsら、Hum.Gene Ther.14(2003),1155〜1168)、pGCSAM(Morganら、J.Immunol.171(2003),3287〜3295)、pMSGV(Zhaoら、J.Immunol.174(2005),4415〜4423)並びにpMX(de Witteら、J.Immunol.181(2008),5128〜5136)からなる群から選択されるベクターを包含する。「CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料」は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原の発現のためのツールとしてのベクターで形質転換された又はトランスフェクトされた宿主細胞も包含できる。前記宿主細胞は、上に記載のベクターの少なくとも1つ、又はCD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原をコードしている少なくとも1つの核酸分子を宿主細胞に導入することによって生産できる。宿主細胞における前記少なくとも1つのベクター又は少なくとも1つの核酸の存在は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない本明細書に記載の抗原をコードしている遺伝子の発現を介在できる。
【0147】
CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料は、これらの単離された/得られたCD8+T細胞の遺伝子的/人工的な修飾/形質導入との関連で必要な詳細な情報及び/又は装置をさらに包含できる。CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない/内因的に発現されない抗原をコードしている核酸又は組換え核酸がCD8+T細胞の形質導入のために用いられる場合、電気穿孔法方法、リン酸カルシウム方法、陽イオン脂質法、リポソーム法のために必要な情報及び/又は装置(トランスフェクション試薬(複数可)、緩衝液(複数可)及び/又は形質導入のために必要なその他の試薬など)はキット中で提供できる。
【0148】
CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料は(抗CD3抗体、抗CD3及び抗CD28モノクローナル抗体及び/又は抗CD3抗体、抗CD28抗体及びIL−2などの)単離された/得られたCD8+T細胞の培養及び増殖との関連において必要な情報及び/又は装置をさらに包含する場合がある。
【0149】
したがって要約として、治療される対象から単離された/得られた「CD8+T細胞に形質導入するために必要な材料」は、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原をコードしている少なくとも1つの核酸、CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原をコードしている少なくとも1つの核酸を含むベクター/発現ベクター、前記CD8+T細胞中及び/又は細胞上に天然では生じない抗原で治療される対象から単離された/得られたCD8+T細胞の形質導入及び/又は培養のために必要なトランスフェクション試薬(複数可)、緩衝液(複数可)及び/又は材料である。
【0150】
さらに、本発明のキットの部分は、個々にバイアルもしくはビンに又は組み合わせで容器もしくは多容器ユニットに包装できる。さらに本発明のキットは、患者細胞(好ましくは本明細書上に記載のT細胞)をGMP(製造管理及び品質管理に関する基準(good manufacturing practice)、http://ec.europa.eu/health/documents/eudralex/index_en.htmにおいて欧州委員会によって公表された製造管理及び品質管理に関する基準についての指針に記載されている)条件下で形質導入及びインキュベートできる(密封された)バッグ細胞インキュベーション系を含む。さらに本発明のキットは、単離された/得られた患者CD8+T細胞をGMP条件下で形質導入及びインキュベートできる(密封された)バッグ細胞インキュベーション系を含む。さらに本発明の状況ではキットは、本明細書上に記載のとおりCD8+T細胞中に天然では生じない抗原をコードしている核酸分子、及び/又は本明細書上に記載のとおりT細胞受容体をコードしている核酸分子も含む場合がある。本発明のキットは、本発明の方法を実行するために、とりわけ有利に用いることができ、及び本明細書で参照する多種多様な応用において使用できる(例えば、研究ツール又は医学的ツールとして)。キットの製造は、当業者に周知の標準的手順に好ましくは従う。
【0151】
これらの及び他の実施形態は、本発明の記載及び実施例によって開示及び包含される。さらに、本発明により使用される抗体、方法、使用及び化合物のいずれか1つに関連する文献は、公共図書館及びデータベースから、例えば電子機器を用いて検索できる。例えば、インターネットにおいて利用できる公共データベース「Medline」は(例えばhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/PubMed/medline.htmlにおいて)利用できる。さらなるデータベース及びhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/、http://www.infobiogen.fr/、http://www.fmi.ch/biology/research_tools.html、http://www.tigr.org/などのアドレスは、当業者に周知であり、例えばhttp://www.lycos.comを用いても得ることができる。
【実施例】
【0154】
続く実施例は、本発明を例示する。
例示的に、概念の証明として、続く実施例において、ヒト抗EGFR抗体(MAb225;配列番号1及び2)を二重特異性生産物(MAb225_scFv_G8.8;配列番号5及び6)を形成するためにネズミ抗EpCAM(G8.8;配列番号3及び4)と組み合わせた。さらに
図20及び21に例示するとおり、一方のアーム上にdel−hEGFRvIII(配列番号17及び18)に対する及び他方のアーム上に(ネズミ)EpCAMに対する抗原結合部位を有する二重特異性抗体「BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1」(配列番号15及び16)を構築した;実施例4を参照されたい。
【0155】
実施例1
二重特異性抗体MAb225_scFv_G8.8のクローニング及び発現
組換えDNA技術
DNAを操作するためにSambrook,J.ら、Molecular cloning:A laboratory manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989に記載の標準的方法を用いた。分子生物学的試薬は、製造者の説明書に従って用いた。
【0156】
DNA及びタンパク質配列分析及び配列データ管理
ヒト免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報は:Kabat,E.A.ら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication No 91〜3242において示されている。抗体鎖のアミノ酸は、EU番号付け(Edelman,G.M.ら、PNAS 63(1969)78〜85;Kabat,E.A.ら、(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版,NIH Publication No91〜3242)に従って番号付けた。GCG’s(Genetics Computer Group、Madison、Wisconsin)ソフトウェアパッケージバージョン10.2及びInfomax’s Vector NTI Advance suiteバージョン11.5を、配列作出、マッピング、分析、アノテーション及び例示のために用いた。
【0157】
DNA配列決定
DNA配列をSequiServe(Vaterstetten、Germany)及びGeneart AG(Regensburg、Germany)で実行した二重鎖配列決定法によって決定した。
【0158】
遺伝子合成
所望の遺伝子セグメントを自動化遺伝子合成によって、合成オリゴヌクレオチド及びPCR生産物からGeneart AG(Regensburg、Germany)により調製した。単一の制限エンドヌクレアーゼ切断部位によって隣接されている遺伝子セグメントをpGA18(ampR)プラスミドにクローン化した。プラスミドDNAを形質転換した細菌から精製し、濃度をUV分光法によって決定した。サブクローンした遺伝子断片のDNA配列をDNA配列決定によって確認した。軽鎖をコードしているDNA配列を(隣接する5’NarI及び3’NheI制限エンドヌクレアーゼ部位を有する可変及び定常軽鎖領域を包含して)発注した。可変重鎖領域に加えてCH1領域の断片をコードしているDNA配列を(隣接する5’KpnI及び3’BamHI制限部位と共に)発注した。scFvコンストラクトをコードしているDNA配列を(隣接する5’BsrGI及び3’XbaI制限エンドヌクレアーゼ部位と共にCH3ドメインの断片を含めて)発注した。ネズミEpCAM(配列番号7(cDNA配列)及び8(アミノ酸配列))のアミノ酸1〜267をコードしているDNA配列を5’BamHI及び3’NotI部位を有する遺伝子合成として発注した。すべてのコンストラクトは、真核細胞における分泌のためのタンパク質を標的化するリーダーペプチドをコードしている5’−末端DNA配列と共に設計した。
【0159】
1.1発現プラスミドの構築
発現ベクターをすべての抗体鎖の構築のために用いた。ベクターは、次の構成成分からなる(MAb225(配列番号1)の軽鎖について
図18において例示されるとおり):
− エプスタインバーウイルス(Epstein−Barr virus)(EBV)の複製開始点、oriP、
− 大腸菌における本プラスミドの複製のためのベクターpUC18由来の複製開始点
− 大腸菌においてアンピリシン耐性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子、
− ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)由来最初期エンハンサー及びプロモーター、
− ウシ増殖ホルモンポリアデニル化(「ポリA」)シグナル配列、並びに
− 単一のKpnI、BamHI、BsrGI及びXbaI制限エンドヌクレアーゼ部位(重鎖ベクター)、又は
− 単一のNarI及びNheI制限エンドヌクレアーゼ部位(軽鎖)。
【0160】
重鎖コンストラクトの生産についてコードしている発現ベクターは、追加的に次の構成成分を含有した(G8.8 scFv融合を有する重鎖MAb225(配列番号6)について
図19において模式的に示されるとおり):
− ネオマイシン耐性カセット(neor)、
− サルウイルス40初期プロモーター、及び
− サルウイルス40ポリアデニル化(「ポリA」)シグナル配列。
【0161】
DNAセグメントをコードしている合成抗体を保有しているpG18(ampR)プラスミド及び発現ベクターを、重鎖発現ベクターの場合はKpnI及びBamHI、又は軽鎖ベクターの場合はNarI及びNheI制限酵素のいずれかで消化した。同様にscFv断片を保有しているpG18プラスミドを重鎖ベクターと同様にBsrGI及びXbaIで切断した。得られたすべての断片をアガロースゲル電気泳動に供した。次いで精製されたDNAセグメントを単離された発現ベクターKpnI/BamHI、NarI/NheI、又はBsrGI/XbaI断片にライゲーションし、最終発現ベクターを導いた。最終発現ベクターを大腸菌細胞に形質転換し、発現プラスミドDNAを単離し(Miniprep)、制限酵素分析及びDNA配列決定に供した。正確なクローンをLB−Amp培地150mlで増殖させ、再びプラスミドDNAを単離し(Maxiprep)、続く実験に用いた。
【0162】
発現ベクターを組換えネズミEpCAM外部ドメイン(配列番号10のアミノ酸配列を参照(配列番号9に示すcDNA配列によってコードされる)の構築のために用いた、一方元の配列は、PubMed登録NM_008532(NM_008532.2、GI:112293274)由来であった。ベクター(
図17を参照されたい)は次の構成成分からなる:
− エプスタイン・バーウイルス(EBV)の複製開始点、oriP、
− 大腸菌での本プラスミドの複製のためのベクターpUC18由来複製開始点、
− 大腸菌にアンピリシン耐性を付与するベータ−ラクタマーゼ遺伝子、
− ハイグロマイシン−b−ホスホトランスフェラーゼカセット、
− サルウイルス40初期プロモーター、
− サルウイルス40ポリアデニル化(「ポリA」)シグナル配列、
− ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)由来最初期エンハンサー及びプロモーター、
− プレシジョンプラス部位に続く対象のcDNAのN−末端融合のためのHis Avitag、
− ウシ増殖ホルモンポリアデニル化(「ポリA」)シグナル配列、及び
− 単一のBamHI及びNotI制限エンドヌクレアーゼ部位。
【0163】
合成EpCAM外部ドメインをコードしているDNAセグメントを保有しているpG18(ampR)プラスミド及び発現ベクター(
図17を参照されたい)をBamHI及びNotIで消化した。得られたすべての断片をアガロースゲル電気泳動に供した。次いで精製DNAセグメントを単離されたロシュ発現ベクターBamHI/NotI断片にライゲーションし、最終発現ベクターが生じた。最終発現ベクターを大腸菌細胞に形質転換し、発現プラスミドDNAを単離し(Miniprep)、制限酵素分析及びDNA配列決定に供した。正確なクローンをLB−Amp培地150ml中で増殖させ、再びプラスミドDNAを単離し(Maxiprep)、続く実験に用いた。
【0164】
実施例2
高結合親和性を示すEpCAM外部ドメインの発現及び精製
2.1 ヒト胚性腎臓293(HEK293)細胞における免疫グロブリンバリアントの一過性発現
組換え免疫グロブリンバリアント(MAB225、MAB225_scFv_G8.8及びG8,8)をFreeStyle(商標)293発現系を製造者の説明書(Invitrogen、USA)に従って用いるヒト胚性腎性293−F細胞の一過性トランスフェクションによって発現させた。簡潔には、懸濁FreeStyle(商標)293−F細胞をFreeStyle(商標)293発現培地中、37℃/8%CO
2で培養した。細胞を新鮮培地中に1mlあたり生細胞1x10
6個の密度でトランスフェクションの前日に播種した。DNA−293fectin(商標)複合体をOpti−MEM(登録商標)I培地(Invitrogen、USA)中に、293Free(商標)トランスフェクション試薬(Novagen、EMD、USA)665μl及び全DNA(軽鎖プラスミドDNA及び重鎖プラスミドDNAをモル比1:1で含む)500μgを500ml最終トランスフェクション容量に対して用いて調製した。抗体含有細胞培養上清を、3500rpm、15分間、室温(RT)での遠心分離によってトランスフェクションの6日後に回収し、滅菌フィルター(0.22μm)を通してろ過した。上清を精製まで−80℃で保存した。ネズミEpCAM外部ドメインの生産のための手順は、免疫グロブリンバリアントの生産に類似しており、最終トランスフェクション容量500mlについてDNA 500μgを用いた。
【0165】
2.2 抗体の精製
抗体をタンパク質A−Sepharose(商標)(GE Healthcare、Sweden)を用いる親和性クロマトグラフィー及びSuperdex200サイズ排除クロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。簡潔には、滅菌ろ過細胞培養上清を、PBS緩衝液(10mM Na
2HPO
4、1mM KH
2PO
4、137mM NaCl及び2.7mM KCl、pH7.4)で平衡化したMabSelect Xtra(GE Healthcare)カラム5mlに添加した。未結合タンパク質を平衡緩衝液で洗浄除去した。抗体及び抗体バリアントを0.1Mクエン酸緩衝液、pH3.0で溶出し、タンパク質含有画分を0.2M Tris、pH9.0で中和した。次いで溶出されたタンパク質画分をプールし、アミコン超遠心フィルター装置(MWCO:30K、Millipore)で容量3mlに濃縮し、20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.0で平衡化したSuperdex200 HiLoad 120ml 16/60又は26/60ゲルろ過カラム(GE Healthcare、Sweden)に添加した。高分子量凝集物5%未満である精製抗体を含有する画分をプールし、およそ1.0mg/ml一定分量、−80℃で保存した。
【0166】
ネズミEpCAM外部ドメイン(配列番号9)を、Ni−キレートクロマトグラフィーを用いて親和性クロマトグラフィーによって細胞培養上清から精製した。簡潔には、滅菌ろ過細胞培養上清を20mM「NaPO
4」、0.5M NaCl、20mMイミダゾール、pH7.40で平衡化したHisTrap FF(GE Healthcare、Sweden)カラムに添加した。未結合タンパク質を平衡緩衝液で洗浄除去した。EpCAM外部ドメイン(配列番号9)を20mM「NaPO
4」、0.5M NaCl、500mMイミダゾール、pH7.40を含有する緩衝液で溶出した。ピーク画分をプールし、20mMヒスチジン、140mM NaCl、pH6.70を含有する緩衝液に対して一晩透析した。タンパク質を17.5mg/ml一定分量で−80℃で保存した。
【0167】
2.3 精製されたタンパク質の分析
精製したタンパク質試料のタンパク質濃度を280nmでの光学密度(OD)を測定し、アミノ酸配列に基づいて算出したモル吸光係数を用いることによって決定した。抗体の純度及び分子量を還元剤(5mM 1,4−ジチオスレイトール)の存在下及び非存在下でのSDS−PAGE及びクーマシーブリリアントブルーでの染色によって分析した。NuPAGE(登録商標)Pre−Cast gel system(Invitrogen、USA)を製造者の説明書に従って用いた(4〜12%Bis−Tris−ゲル)。抗体試料の凝集含有物をTSKgel G3000SWカラム(TOSOH Bioscience、USA)を用いて50mM「KPO
4」、pH7.5、300mM NaCl実行緩衝液中、25℃で高速SECによって分析した。タンパク質25μgを流速0.8ml/分でカラムに注入し、20分間均一溶媒で溶出した。還元免疫グロブリンバリアント鎖のアミノ酸骨格の完全性をペプチド−N−グリコシダーゼF(Roche Molecular Biochemicals)での酵素処理によるN−グリカンの除去後にNanoElectrospray Q−TOF質量分析によって検証した。
【0168】
2.4 ネズミ組換えEpCAMの免疫沈降
抗体G8.8(配列番号3及び4)並びに二重特異性MAB225_G8.8抗体(配列番号5及び6)がネズミEpCAM組換え外部ドメイン(ECD)(配列番号10)に結合するかどうかを調べるためにIPを実施した。EpCAM ECD約15μg及び抗体10μgをTBS Tween 0.1%で総容量1.5mLに希釈し、10分間、室温でインキュベートした。EpCAMを含まない抗体を重鎖及び軽鎖の結合を識別するための陰性対照として平行して調製した。50%タンパク質Aスラリー50μLを添加し、試料を撹拌しながら室温、40分間インキュベートし、TBS−Tで洗浄し、クエン酸緩衝液pH3.0で溶出し、4〜12%Bis−Trisゲルに添加した。組換えEpCAM ECD 4μgを対照として添加した。ゲルをクーマシーブリリアントブルーで染色した。
【0169】
2.5 質量分析
抗体の全脱グリコシル化質量を測定し、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)を介して確認した。簡潔には、精製抗体100μgを100mM KH
2PO
4/K
2HPO
4、pH7中の50mU N−グリコシダーゼF(PNGaseF、ProZyme)で37℃、12〜24h、2mg/mlまでのタンパク質濃度で脱グリコシル化し、続いてHPLCを介してSephadex G25カラム(GE Healthcare)で脱塩した。それぞれの抗体鎖の質量を脱グリコシル化及び還元後にESI−MSによって測定した。簡潔には、115μl中の抗体50μgを1M TCEP 60μl及び8M塩酸グアニジン50μlとともにインキュベートし、続いて脱塩した。総質量及び還元抗体鎖の質量をNanoMate sourceを備えたQ−Star Elite MS system上でESI−MSを介して測定した。記録された質量は、試料分子量に依存する。一般に還元抗体について、質量範囲は600〜2000m/zに設定し、非還元抗体については1000〜3600m/zに設定した。
【0170】
2.6 表面プラズモン共鳴
EGFR−特異的MAb225(配列番号1及び2)及びEpCAM−特異的G8.8抗体(配列番号3及び4)の結合特性並びに二重特異性MAb225_scFv_G8.8抗体の結合特性をBiacore装置(Biacore、GE−Healthcare、Uppsala)を用いて表面プラズモン共鳴(SPR)技術によって分析した。この系は、分子相互作用の研究に関して十分に確立されている。リガンド/分析物結合の継続的なリアルタイムモニタリングを、及びしたがって種々のアッセイ設定での会合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)及び平衡定数(KD)の測定を可能にする。SPR技術は、金コートバイオセンサーチップの表面近くの屈折率の測定に基づく。屈折率の変化は、固定されたリガンドと溶液に注入された分析物との相互作用によって生じる表面上の質量変化を示す。分子が表面上で固定されたリガンドに結合すると質量は増大し、解離すると質量は減少する。捕捉のために、ヤギ抗マウスIgG抗体をアミンカップリング化学を製造者の説明書に従って用いてCM5バイオセンサーチップの表面に固定化した。フローセルを0.1M N−ヒドロキシサクシニミドと0.4M 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩の1:1混合物で、流速5μl/分、25℃で活性化した。抗マウスIgG抗体を10mM酢酸ナトリウム、pH4.5中、10μg/mLで注入した。参照基準フローセルを、捕捉抗体の代わりにビヒクル緩衝液だけを含んで同じ方法で処理した。表面を1Mエタノールアミン/HCl pH8.5の注入でブロックした。評価中の抗体をPBS−T+0.1%BSA(希釈緩衝液)に希釈し(30nM MAb225_scFv_G8.8、5nM MAb225、8nM G8.8)、5μl/分、60秒間での注入によって別々のサイクルでリガンドとして捕捉した。すべての相互作用を37℃で、実行緩衝としてPBS−Tを用いて実施した。分析物を、3倍濃度上昇シリーズで(PBS−T+0.1%BSA中EGFR ECD 4.12〜1000nM及びEpCAM ECD 0.91〜2000nM)流速50μl/分、会合180秒間、解離1200秒間で注入した。捕捉抗体を各サイクル後に10mMグリシン、pH2.0、流速30μl/分、60秒間で再生した。シグナルを1秒あたり1シグナルの速度で検出した。
【0171】
例示的二重特異性抗体MAb225_scFv_G8.8並びに個々の親抗体MAb225及びG8.8の生化学的特徴付けの要約を、すべての抗体が高親和性でそれらそれぞれの標的に結合することを示して表1に示す。
【0172】
実施例3
CD8+T細胞の形質導入及び細胞傷害性死滅アッセイ
3.1 細胞培養
項目3.2に記載のマウスから脾臓を採取した。単一細胞懸濁液を40μM細胞ストレイナー(BD Falcon、Germany)で脾臓をすりつぶすことを通じて得た。ストレイナーをそのままのT細胞培地で3回洗浄し、細胞沈殿から赤血球溶解(erilysis)溶液(BD Pharmingen、Germany)90秒間によって赤血球を除いた。初代ネズミT細胞をRPMI、1%L−グルタミン、1%ペニシリン及びストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム、1mM HEPES(すべてPAA,Germany)及び10%FBS(Gibco、USA)からなるT細胞培地中で維持した。T細胞株B3Z(Leisegangら、J Mol Med(2008),86(5),573〜583)を同じ培地で維持した。Plat Eパッキング細胞株(Cell Biolabs、Inc、USA(www.cellbiolabs.com))をDMEM、1%L−グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(すべてPAA、Germany)、10μg/mlピューロマイシン及び1μg/mlブラストサイジン(Sigma、Germany)中で維持した。ネズミ胃癌細胞株はW.Zimmermann、Munichから親切にも提供され、DMEM、1% L−グルタミン、1%ペニシリン及びストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸並びに10%FBS中で培養した。ネズミ乳癌細胞株4T1(ATCC番号CRL−2539)をRPMI、1%L−グルタミン、1%ペニシリン及びストレプトマイシン、1%ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸及び10%FBS中で継代した。ネズミメラノーマ細胞株B16(ATCC番号CRL−6322)をDMEM、1%L−グルタミン、1%ペニシリン及びストレプトマイシン並びに10%FBS中で維持した。
【0173】
3.2 マウス
野生型C57Bl/6マウスをHarlan laboratories(The Netherlands)から購入した。ラージT抗原の免疫優性エピトープIについて特異的なT細胞受容体についてトランスジェニックなマウスをthe Jackson Laboratory、USA(B6.Cg−Tg(TcraY1,TcrbY1)416Tev/J)、USA)から購入した。OVA(オボアルブミン)について特異的なT細胞受容体についてトランスジェニックなマウスをthe Jackson Laboratory、USA(C57Bl/6−Tg(TcraTcrb)1100Mjb/j)から購入した。
【0174】
3.3 T細胞:形質導入ベクター及びクローニング
T細胞形質導入のためのベクターはpMP71(Schambachら、Mol Ther (2000),2(5),435〜45)であった。制限部位NotI及びEcoRIに隣接された切断型ヒト上皮−増殖因子−受容体(del EGFR、膜に挿入された免疫学的に不活性なタンパク質の原型例として、cDNA配列として配列番号11及び(コードされた)アミノ酸配列として配列番号12を参照されたい)を遺伝子合成によって作出した。これら2つの組換え部位を用いてdel EGFRをpMP71にライゲーション(T4−リガーゼ、Thermo scientific、Germany)によってクローン化した。Del EGFR−pMP71を大腸菌(DH5α)で増幅し、配列を次のプライマー配列:フォワードプライマー:CAGCATCGTTCTGTGTTGTCT(配列番号13)、リバースプライマー:CATTTAAATGTATACCCAAATCAA(配列番号14)を用いる配列決定によって検証した。DNAをQiagen plasmid maxi kit(Qiagen、Germany)を用いて抽出した。すべての工程は、製造者の説明書に従って実施した。
【0175】
3.4 初代T細胞及びT細胞株形質導入
形質導入をわずかな変更を伴ってLeisegangら(J Mol Med,(2008)86,573〜83)によって記載された方法に従って実施した。簡潔には、パッケージング細胞株Plat E(Moritaら、Gene Ther(2000).7,1063〜6によって記載のとおり)を6−ウエルプレートに播種し、70〜80%コンフスエンスに一晩増殖させた。1日目に、DNA 16μgを100mM CaCl2(Merck、Germany)及び126.7μMクロロキン(Sigma、USA)と一緒に混合した。Plat−E細胞を30分間低血清培地(3%)中で欠乏させ、次いで沈殿させたDNAと6時間インキュベートした。次いで培地を除去し、培養培地と交換した。2日目に、初代脾細胞をC57Bl/6マウス(Harlan Laboratories、The Netherlands)から採取した。脾細胞の単一細胞懸濁物をT細胞培地中で抗CD3(クローン145−2c11 BD Pharmingen、USA)、抗CD28(クローン37.51、BD Pharmingen、USA)及び組換えネズミIL−2(Peprotech、Germany)で一晩刺激した。3日目に、24−ウエルプレートを12.5μg/ml組換えレトロネクチン(Takara Biotech、Japan)で2時間、室温でコートし、2%ウシ血清アルブミン(Roth、Germany)で、30分間、37℃でブロックし、PBSで洗浄した。Plat Eの上清を採取し、フィルター(40μm、Milipore、USA)を通した。次いで新鮮T細胞培地をPlat E細胞に添加した。ろ過上清の1mlを各ウエルに分配し、2時間、4℃でスピノキュレート(spinoculate)した。次いで上清を24−ウエルプレートから除去した。1ウエルあたりT細胞10
6個を10U IL−2並びに400000抗CD3及び抗CD28ビーズ(Invitrogen、Germany)を補充したT細胞培地1ml中で播種し、800g、30分間、32℃でスピノキュレートした。4日目に、Plat E上清を再び採取し、ろ過した。1mlを24−ウエルプレートの各ウエルに添加し、800gで90分間、32℃でスピノキュレートした。次に細胞を追加的に6時間、37℃でインキュベートした。上清1mlをIL−2を含むT細胞培地に置き換えた。5日目に、細胞を回収し、計数し、細胞10
6個/mlの密度で1mlあたりIL−15 10ng(Peprotech、Germany)を補充したT細胞培地に再播種した。T細胞をこの密度で(細胞分析又は機能アッセイを実施した)10日目まで維持した。
【0176】
3.5 抗体架橋結合アッセイ
EpCAM発現4T1を6−ウエルプレートに播種し、コンフルエンスに増殖させた。Del EGFR形質導入T細胞をカルセイン(Invitrogen、Germany)で製造者の説明書に従って標識し、20μg/ml EpCAMxEGFR二重特異性抗体(MAb225_scFv_G8.8)で30分間、37℃で前処理した。細胞を4T1培養物に2時間、37℃で添加した。上清を完全に除き、プレートをPBSで徹底的に洗浄した。次いで細胞を蛍光顕微鏡で可視化した、又は溶解し、カルセイン保持を多標識リーダー(Berthold、Germany)で測定した。
【0177】
3.6 死滅アッセイ
mGC8細胞(Nockelら、BMC(2006),14,6:57)又はB16細胞をカルセインで製造者の説明書に従って標識した。Del EGFR形質導入T細胞(野生型、OT−1又はTCR−Iマウス由来(を20μg・ml
−1抗体(二重特異性又は対照抗体)で30分間、37℃で前処理した。次いでT細胞をさまざまな標的対エフェクター細胞比で標的細胞と、一晩、37℃でインキュベートした。標的細胞の完全溶解を6%Triton X(Firma)の添加によって誘導した。溶解の%を次の式に従って算出した:
(MFI
対象−MFI
バックグラウンド)/(MFI
完全溶解−MFI
バックグラウンド)
*100
【0178】
3.7 In vivo療法
野生型C57Bl/6マウスに5.10
6mGC8細胞を皮下接種した。腫瘍が触知できるようになったときに(15日目まで)、T細胞形質導入を開始し、10日後に腹腔内に(抗体について10mg/kgの用量で)又は静脈内に(T細胞又は前処理T細胞についてマウス1匹あたり細胞5.10
6個の用量で)のいずれかで治療を行った。一週間後、処置を繰り返した。マウスを2〜3日ごとに皮下腫瘍を測定することによってモニターした。マウスを予め決めた時点で又はGV SOLAS(Morton,Vet Rec(1985)116,431〜436)によって公開された基準により規制に従って屠殺した。
【0179】
3.8. 統計解析
群間の比較のために、対応のないT検定を適用した。腫瘍容積を2要因ANOVAによって比較し、生存率の差異をログランク検定を用いて評価した。すべての統計解析はGraphPad Prism softwareソフトウェア(GraphPad software inc.)を用いて実施した。p<0.05の場合に結果を有意とした。
【0180】
実施例4
クローニング及び二重特異性抗体BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1の発現
実施例1及び2と同様に、(A)(ヒト)EGFRvIII及び(ネズミ)EpCAMを標的化する二重特異性抗体BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1の分析用サイズ排除クロマトグラフィーを調製、精製及び特徴付けた(
図20(A)分析用サイズ排除クロマトグラフィー(B)前記二重特異性抗体の非還元(NR)及び還元(R)SDS−PAGE分析、クーマシーブルー染色、を参照されたい)。
【0181】
実施例5
形質導入されたT細胞とB16メラノーマ細胞との二重特異性抗体BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1を通じた架橋結合(
図21中の模式図を参照されたい)
EpCAM発現B16メラノーマ細胞(GFP−標識)(B16−OVA−mEpCAM細胞)を12−ウエルプレートに播種し、コンフルエンスに一晩増殖させた。翌日、del−hEGFRvIII形質導入された(del−hEGFRvIII挿入;DNA配列として配列番号17及び(コードされた)アミノ酸配列として配列番号18を参照されたい)B3Z T細胞(永久細胞株)を二重特異性抗体BsAb EpCAM−EGFRvIII,MR1.1(20μg)と1時間、37℃で予備インキュベートした。残った未結合二重特異性抗体を次に洗浄除去した。二重特異性抗体(BiAb)前処理B3Z T細胞を接着B16腫瘍細胞と37℃でインキュベートした(カラム番号5)。PBSでの徹底的な4回の洗浄後(カラム番号1から4)、残った細胞をトリプシン処理し、蛍光及び非蛍光細胞をフローサイトメトリーによって測定した。対照としてB16メラノーマ細胞を、delEGFRvIII形質導入されたB3Z T細胞だけで(抗体BsAb EpCAM−EGFRvIIIを含まない;カラム番号2を参照されたい)、形質導入されていないB3Z T細胞だけで(抗体BsAb EpCAM−EGFRvIIIを含まない、カラム番号3を参照されたい)洗浄を伴って及び伴わずに、並びに二重特異性抗体BsAb EpCAM−EGFRvIIIを形質導入されていないB3Z T細胞(カラム番号4)で処置した。二重特異性抗体(BiAb) BsAb EpCAM−EGFRvIIIは、洗浄を伴う任意の対照(カラム番号2から4)よりも多い形質導入された細胞をフラスコ中に維持した(カラム番号1)。結果を
図22に示す。