(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御回路は、前記起動時に前記出力電圧が上限値に達した後、デューティ比を徐々に小さくし、前記出力電圧が予め定められた値に達した後、前記定電圧制御を行う、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のDC/DCコンバータ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、プリチャージ回路を設ける場合には、部品点数が多くなると共にプリチャージ回路用の制御が必要になるため、構成が複雑化してしまう。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成で起動時の突入電流を抑制できるDC/DCコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係るDC/DCコンバータは、
一次巻線及び二次巻線を有するトランスと、
複数の第1のスイッチング素子のスイッチング動作により、入力された直流の入力電圧を第1の交流電圧に変換して前記トランスの前記一次巻線に供給する第1のブリッジ回路と、
複数の第2のスイッチング素子のスイッチング動作により、前記トランスの前記二次巻線から供給される第2の交流電圧を直流の出力電圧に変換して出力する第2のブリッジ回路と、
前記各第1のスイッチング素子をオン又はオフに切り替える第1の駆動信号と、前記各第2のスイッチング素子をオン又はオフに切り替える第2の駆動信号と、を出力し、定電圧制御時に、前記出力電圧が目標電圧に近づくように、前記第1の駆動信号と前記第2の駆動信号との間の位相差を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、起動時の前記第1及び第2の駆動信号のデューティ比を、前記定電圧制御時の前記第1及び第2の駆動信号のデューティ比より大きく設定する、ことを特徴とする。
【0010】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記第1及び第2のブリッジ回路は、3相のフルブリッジ回路であり、
前記制御回路は、前記起動時のデューティ比を2/3より大きく設定し、前記定電圧制御時のデューティ比を2/3以下に設定してもよい。
【0011】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記第1及び第2のブリッジ回路は、2相のフルブリッジ回路であり、
前記制御回路は、前記起動時のデューティ比を1/2より大きく設定し、前記定電圧制御時のデューティ比を1/2以下に設定してもよい。
【0012】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記起動時のデューティ比を、前記第2のブリッジ回路から出力される出力電力がゼロになる値より小さく設定してもよい。
【0013】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記起動時に前記出力電圧が上限値に達した後、デューティ比を徐々に小さくし、前記出力電圧が予め定められた値に達した後、前記定電圧制御を行ってもよい。
【0014】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記起動時に、前記位相差を、前記第2のブリッジ回路から出力される出力電力がゼロになる角度から90°まで大きくしてもよい。
【0015】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記出力電圧が前記上限値に達する前に、前記位相差を90°まで大きくしてもよい。
【0016】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、起動直後に前記位相差を90°に設定してもよい。
【0017】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記起動時に前記出力電圧が前記上限値に達した後、デューティ比を徐々に小さくすると共に前記位相差を徐々に小さくしてもよい。
【0018】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記制御回路は、前記起動時に前記出力電圧が上限値に達した後、デューティ比を徐々に小さくすると共に前記定電圧制御を行ってもよい。
【0019】
また、前記DC/DCコンバータにおいて、
前記第1の駆動信号のデューティ比は、ハイサイド側の前記第1のスイッチング素子を切り替える前記第1の駆動信号のハイ期間/周期であり、
前記第2の駆動信号のデューティ比は、ローサイド側の前記第2のスイッチング素子を切り替える前記第2の駆動信号のハイ期間/周期であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、第1及び第2の駆動信号の起動時のデューティ比を、定電圧制御時のデューティ比より大きく設定しているので、起動時に一次巻線に入力電圧が印加される期間を短くできる。これにより、起動時に一次巻線に流れる電流を小さくできるため、突入電流を抑制できる。また、このようなデューティ比の制御は、回路素子を追加することなく、制御回路の制御を変更することで実現できる。従って、簡単な構成で起動時の突入電流を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。これらの実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る3相用のDC/DCコンバータ1の概略的な構成を示す回路図である。
図1に示すように、DC/DCコンバータ1は、トランスT1と、第1のブリッジ回路10と、第2のブリッジ回路20と、制御回路30と、インダクタL1〜L3と、を備える。
【0024】
3相のトランスT1は、一次巻線W11,W12,W13及び二次巻線W21,W22,W23を有する。一次巻線W11は、二次巻線W21と磁気的に結合されている。一次巻線W12は、二次巻線W22と磁気的に結合されている。一次巻線W13は、二次巻線W23と磁気的に結合されている。
【0025】
一次巻線W11は、ノードN11に接続された一端と、ノードN12に接続された他端と、を有する。一次巻線W12は、ノードN12に接続された一端と、ノードN13に接続された他端と、を有する。一次巻線W13は、ノードN13に接続された一端と、ノードN11に接続された他端と、を有する。
【0026】
二次巻線W21は、ノードN21に接続された一端と、ノードN22に接続された他端と、を有する。二次巻線W22は、ノードN22に接続された一端と、ノードN23に接続された他端と、を有する。二次巻線W23は、ノードN23に接続された一端と、ノードN21に接続された他端と、を有する。
【0027】
第1のブリッジ回路10は、3相のフルブリッジ回路である。第1のブリッジ回路10は、6個の第1のスイッチング素子SW1〜SW6のスイッチング動作により、入力端子T11,T12間に入力された直流の入力電圧Vinを第1の交流電圧に変換してトランスT1の一次巻線W11,W12,W13に供給する。第1のスイッチング素子SW1〜SW6は、例えば、N型MOSトランジスタである。
【0028】
第1のスイッチング素子SW1は、一方の入力端子T11に接続された一端(ドレイン)と、ノードN11に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G1が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0029】
第1のスイッチング素子SW2は、ノードN11に接続された一端(ドレイン)と、他方の入力端子T12に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G2が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0030】
第1のスイッチング素子SW3は、一方の入力端子T11に接続された一端(ドレイン)と、ノードN12に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G3が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0031】
第1のスイッチング素子SW4は、ノードN12に接続された一端(ドレイン)と、他方の入力端子T12に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G4が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0032】
第1のスイッチング素子SW5は、一方の入力端子T11に接続された一端(ドレイン)と、ノードN13に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G5が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0033】
第1のスイッチング素子SW6は、ノードN13に接続された一端(ドレイン)と、他方の入力端子T12に接続された他端(ソース)と、第1の駆動信号G6が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0034】
インダクタL1の一端は、ノードN21に接続されている。インダクタL2の一端は、ノードN22に接続されている。インダクタL3の一端は、ノードN23に接続されている。
【0035】
第2のブリッジ回路20は、3相のフルブリッジ回路である。第2のブリッジ回路20は、6個の第2のスイッチング素子SW7〜SW12のスイッチング動作により、トランスT1の二次巻線W21,W22,W23からインダクタL1〜L3を介して供給される第2の交流電圧を直流の出力電圧Voutに変換して出力端子T21,T22間に出力する。第2のスイッチング素子SW7〜SW12は、例えば、N型MOSトランジスタである。
【0036】
第2のスイッチング素子SW7は、一方の出力端子T21に接続された一端(ドレイン)と、インダクタL1の他端に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G7が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0037】
第2のスイッチング素子SW8は、インダクタL1の他端に接続された一端(ドレイン)と、他方の出力端子T22に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G8が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0038】
第2のスイッチング素子SW9は、一方の出力端子T21に接続された一端(ドレイン)と、インダクタL2の他端に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G9が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0039】
第2のスイッチング素子SW10は、インダクタL2の他端に接続された一端(ドレイン)と、他方の出力端子T22に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G10が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0040】
第2のスイッチング素子SW11は、一方の出力端子T21に接続された一端(ドレイン)と、インダクタL3の他端に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G11が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0041】
第2のスイッチング素子SW12は、インダクタL3の他端に接続された一端(ドレイン)と、他方の出力端子T22に接続された他端(ソース)と、第2の駆動信号G12が供給される制御端子(ゲート)と、を有する。
【0042】
出力端子T21,T22間には、コンデンサC1が接続されている。
【0043】
二次巻線W21〜W23、インダクタL1〜L3、及び、第2のスイッチング素子SW7〜SW12の寄生容量は、ゼロボルトスイッチングを行うための共振回路を構成している。
【0044】
制御回路30は、各第1のスイッチング素子SW1〜SW6をオン又はオフに切り替える第1の駆動信号G1〜G6と、各第2のスイッチング素子SW7〜SW12をオン又はオフに切り替える第2の駆動信号G7〜G12と、を出力する。
【0045】
図2(a)は、定電圧制御時の第1及び第2の駆動信号G1〜G12のタイミング図であり、
図2(b)は、起動時の第1及び第2の駆動信号G1〜G12のタイミング図である。
【0046】
図2(a)に示すように、定電圧制御時では、第1及び第2の駆動信号G1〜G12は、デューティ比が例えば約50%の矩形波である。第1の駆動信号G2,G4,G6のそれぞれは、対応する第1の駆動信号G1,G3,G5の反転信号である。第2の駆動信号G8,G10,G12のそれぞれは、対応する第1の駆動信号G7,G9,G11の反転信号である。
【0047】
第1の駆動信号G1,G2と、第1の駆動信号G3,G4との間の位相差は、約120°である。第1の駆動信号G1,G2と、第1の駆動信号G5,G6との間の位相差は、約240°である。
【0048】
第2の駆動信号G7,G8と、第2の駆動信号G9,G10との間の位相差は、約120°である。第2の駆動信号G7,G8と、第2の駆動信号G11,G12との間の位相差は、約240°である。
【0049】
制御回路30は、定電圧制御時に、出力電圧Voutが目標電圧に近づくように、第1の駆動信号G1〜G6と第2の駆動信号G7〜G12との間の位相差φを制御する。
【0050】
位相差φを増加させるに従い、第2のブリッジ回路20から出力される出力電力は増加する。DC/DCコンバータ1の各素子が理想的であり、デューティ比が50%である場合、第2のブリッジ回路20から出力される出力電力は、位相差φが0°の場合にゼロになり、位相差φが90°の場合に最大になる。また、位相差φが負の場合には、第1のブリッジ回路10から入力端子に出力電力が出力される。つまり、DC/DCコンバータ1は、双方向のDC/DCコンバータとして用いることができる。
【0051】
図2(b)に示すように、起動時では、第1及び第2の駆動信号G1〜G12は、デューティ比が例えば約70%の矩形波である。
【0052】
制御回路30は、起動時の第1及び第2の駆動信号G1〜G12のデューティ比を、定電圧制御時の第1及び第2の駆動信号G1〜G12のデューティ比より大きく設定する。具体的には、制御回路30は、起動時のデューティ比を2/3(約66.6%)より大きく設定し、定電圧制御時のデューティ比を2/3以下に設定する。
【0053】
第1の駆動信号G1〜G6のデューティ比は、ハイサイド側の第1のスイッチング素子SW1,SW3,SW5を切り替える第1の駆動信号G1,G3,G5の「ハイ期間/周期」(1周期に対するハイ期間の割合)であり、且つ、ローサイド側の第1のスイッチング素子SW2,SW4,SW6を切り替える第1の駆動信号G2,G4,G6の「ロー期間/周期」(1周期に対するロー期間の割合)である。
【0054】
第2の駆動信号G7〜G12のデューティ比は、ローサイド側の第2のスイッチング素子SW8,SW10,SW12を切り替える第2の駆動信号G8,G10,G12の「ハイ期間/周期」であり、且つ、ハイサイド側の第2のスイッチング素子SW7,SW9,SW11を切り替える第2の駆動信号G7,G9,G11の「ロー期間/周期」である。
【0055】
制御回路30は、起動時のデューティ比を、第2のブリッジ回路20から出力される出力電力がゼロになる値より小さく設定する。第2のブリッジ回路20から出力される出力電力がゼロになる値は、負荷などに応じて変化するが、ほぼ無負荷の場合、例えば約75%である。
【0056】
図3は、第1及び第2の駆動信号G1〜G12のデューティ比と、第1のスイッチング素子SW1〜SW6のピーク電流との関係を示す図である。
【0057】
図3に示すように、デューティ比が50%以上、66.6%未満では、ピーク電流はほぼ一定である。デューティ比が66.6%以上では、ピーク電流は、デューティ比の増加に応じて単調に減少する。前述のように、例えば、デューティ比が約75%以上では、第2のブリッジ回路20から出力される出力電力は、ゼロである。
【0058】
図4〜6は、第1の駆動信号G1,G3,G5と、一次巻線W11,W12,W13の両端間の電圧V1,V2,V3との関係を示す図である。
図4では、デューティ比は60%であり、
図5では、デューティ比は66.6%であり、
図6では、デューティ比は70%である。
【0059】
図4,5に示すように、デューティ比が60%及び66.6%である場合、第1の駆動信号G1,G3,G5が同時にハイになる期間は存在しない。この場合、一次巻線W11,W12,W13の両端間の各電圧V1,V2,V3は、周期の約33.3%の期間で正の入力電圧Vinになり、周期の約33.3%の期間で負の入力電圧Vinになり、周期の約33.3%の期間でゼロになる。
【0060】
一方、
図6に示すように、デューティ比が70%である場合、第1の駆動信号G1,G3,G5が同時にハイになる期間T1が存在する。この期間T1においては、第1のスイッチング素子SW1,SW3,SW5はオンし、第1のスイッチング素子SW2,SW4,SW6はオフする。従って、期間T1において、各電圧V1,V2,V3は、ゼロになる。
【0061】
これにより、各電圧V1,V2,V3は、周期の30%(=100%−70%)の期間で正の入力電圧Vinになり、周期の30%の期間で負の入力電圧Vinになり、周期の40%の期間でゼロになる。
【0062】
第1の駆動信号G1,G3,G5が同時にハイになる期間T1は、デューティ比の増加に応じて長くなる。従って、各電圧V1,V2,V3が正又は負の入力電圧Vinになる期間、即ち一次巻線W11,W12,W13に入力電圧Vinが印加される期間は、デューティ比の増加に応じて短くなる。
【0063】
つまり、デューティ比を66.6%より大きく設定することによって、起動時に一次巻線W11,W12,W13に入力電圧Vinが印加される期間を短くできる。これにより、起動時に一次巻線W11,W12,W13に流れる電流を小さくできるため、突入電流を抑制できる。
【0064】
次に、起動シーケンスの一例について説明する。
図7は、
図1のDC/DCコンバータ1の起動シーケンスを説明するための図である。
図7の例では、起動開始した時刻t10において、デューティ比は75%である。これにより、上述のように入力電流Iinの突入電流を抑制できる。
【0065】
また、時刻t10において位相差φは角度φ0である。角度φ0は、第2のブリッジ回路20から出力される出力電力がゼロになる角度である。制御回路30は、起動時に、位相差φを角度φ0から90°まで大きくする。これにより、ソフトスタートを行うことができ、出力電圧Voutの上昇を緩やかにできる。
【0066】
なお、起動時とは、起動開始した時刻t10から、定電圧制御を開始する時刻t13までの期間を表す。
【0067】
時刻t10の後、出力電圧Voutは、徐々に上昇して時刻t11において上限値V10に達する。デューティ比が75%であるため、位相差φが最大の90°であっても、出力電圧Voutは上限値V10より高くならない。
【0068】
制御回路30は、出力電圧Voutが上限値V10に達する前に、位相差φを90°まで大きくする。これにより、出力電圧Voutの上昇が遅くなりすぎないようにできる。
【0069】
制御回路30は、起動時に出力電圧Voutが上限値V10に達した後、デューティ比を徐々に小さくする。
図7の例では、時刻t11に出力電圧Voutが上限値V10に達し、その後、時刻t12まで待ってから、デューティ比を徐々に小さくしている。時刻t12まで待たず、時刻t11からデューティ比を小さくしてもよい。
【0070】
時刻t12以降、デューティ比を小さくすることによって、出力電圧Voutは上限値V10以上に上昇する。
【0071】
制御回路30は、出力電圧Voutが予め定められた値V20に達した時刻t13の後、定電圧制御を行うと共に、デューティ比を徐々に小さくして50%にする。予め定められた値V20は、目標電圧V30より低い値であって、目標電圧V30に比較的近い値に設定しておく。定電圧制御の方法としては、例えば、周知のPID制御などを用いることができる。
【0072】
これにより、時刻t13の後、位相差φが制御されることにより、出力電圧Voutは目標電圧V30に制御される。また、時刻t14において、デューティ比は50%になる。デューティ比は、50%まで小さくしなくても良いが、電力の利用効率の観点から、少なくとも66.6%まで小さくすることが好ましい。
【0073】
以上で説明したように、本実施形態によれば、第1及び第2の駆動信号G1〜G12の起動時のデューティ比を、定電圧制御時のデューティ比より大きく設定しているので、起動時に一次巻線W11〜W13に入力電圧Vinが印加される期間を短くできる。これにより、起動時に一次巻線W11〜W13に流れる電流を小さくできるため、突入電流を抑制できる。
【0074】
また、このようなデューティ比の制御は、回路素子を追加することなく、制御回路30の制御を変更することで実現できる。従って、簡単な構成で起動時の突入電流を抑制できる。
【0075】
なお、起動開始直後(時刻t10の直後)には、制御回路30は、第2の駆動信号G7〜G12を出力しなくてもよい。このようにしても、突入電流を抑制できる。
【0076】
また、インダクタL1〜L3は設けられていなくてもよい。また、インダクタL1〜L3に加え、第1のスイッチング素子SW1の他端及び第1のスイッチング素子SW2の一端の接続ノードと、ノードN11との間にインダクタが設けられ、第1のスイッチング素子SW3の他端及び第1のスイッチング素子SW4の一端の接続ノードと、ノードN12との間にインダクタが設けられ、第1のスイッチング素子SW5の他端及び第1のスイッチング素子SW6の一端の接続ノードと、ノードN13との間にインダクタが設けられてもよい。この構成でも、以上の効果が得られる。
【0077】
また、第1及び第2のスイッチング素子SW1〜SW12は、IGBTなどの他の素子でもよく、これらの数も6個に限らない。
【0078】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、起動シーケンスが第1の実施形態と異なる。
【0079】
第2の実施形態のDC/DCコンバータ1の構成は第1の実施形態と同じであり、制御回路30の機能が第1の実施形態と異なる。以下では相違点を中心に説明する。
【0080】
図8は、第2の実施形態に係るDC/DCコンバータ1の起動シーケンスを説明するための図である。
図8に示すように、制御回路30は、起動直後(時刻t10)に位相差φを90°に設定する。
図8の例では、時刻t11aに出力電圧Voutが上限値V10に達する。時刻t11a以降の動作は、第1の実施形態の時刻t11以降の動作と同じである。
【0081】
本実施形態によれば、起動直後に位相差φを最大の90°に設定するため、第2のブリッジ回路20は、起動直後に、出力可能な範囲で最大の出力電力を出力できる。そのため、時刻t10直後の出力電圧Voutの上昇を第1の実施形態よりも早めることができる。
【0082】
また、時刻t13において定電圧制御を始めるまでは位相差φを変更しないので、制御が容易である。
【0083】
なお、DC/DCコンバータ1は、片方向のDC/DCコンバータとして用いることもできる。片方向のDC/DCコンバータとして用いる場合、出力端子T21,T22側(出力側)から入力端子T11,T12側(入力側)に逆方向電流を流さないことが好ましい。第1の実施形態のように、ソフトスタートのために位相差φを出力電力がゼロになる角度φ0に設定して起動する場合、DC/DCコンバータ1を構成する素子のばらつき等により、設定された角度φ0と実際に出力電力がゼロになる角度とに誤差が生じると、例えば出力側の負荷やコンデンサC1に電荷が残った場合の起動等で、出力側から入力側に逆方向電流が流れてしまう恐れがある。これに対して、本実施形態によれば、位相差を90°に設定しているので、素子のばらつき等が存在しても、出力側から入力側に逆方向電流が流れる恐れが無い。
【0084】
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、起動シーケンスが第1の実施形態と異なる。
【0085】
第3の実施形態のDC/DCコンバータ1の構成は第1の実施形態と同じであり、制御回路30の機能が第1の実施形態と異なる。以下では相違点を中心に説明する。
【0086】
図9は、第3の実施形態に係るDC/DCコンバータ1の起動シーケンスを説明するための図である。
図9に示すように、制御回路30は、起動時に出力電圧Voutが上限値V10に達した後、デューティ比を徐々に小さくすると共に位相差φを徐々に小さくする。この時、例えば、デューティ比の単位時間当たりの低下量と、位相差φの単位時間当たりの低下量は、それぞれ、予め定めた値としておいてもよい。
【0087】
図9の例では、時刻t11に出力電圧Voutが上限値V10に達し、その後、時刻t12まで待ってから、時刻t13aまでデューティ比及び位相差φを徐々に小さくしている。時刻t12まで待たず、時刻t11からデューティ比及び位相差φを小さくしてもよい。
【0088】
時刻t10からt12までの動作は、第1の実施形態の時刻t10からt12までの動作と同じであり、時刻t13a以降の動作は、第1の実施形態の時刻t13以降の動作と同じである。
【0089】
本実施形態によれば、デューティ比を小さくすることにより出力電力を増加させ、位相差φを小さくすることにより出力電力を減少させることができるので、時刻t12からt13aまでの間の出力電圧Voutの上昇を緩やかにできる。
【0090】
なお、第3の実施形態を第2の実施形態に組み合わせてもよい。
【0091】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、起動シーケンスが第1の実施形態と異なる。
【0092】
第4の実施形態のDC/DCコンバータ1の構成は第1の実施形態と同じであり、制御回路30の機能が第1の実施形態と異なる。以下では相違点を中心に説明する。
【0093】
制御回路30は、起動時に出力電圧Voutが上限値V10に達した後、即ち、例えば
図7の時刻t11の後、デューティ比を徐々に小さくすると共に定電圧制御を行う。
【0094】
本実施形態によれば、時刻t12の後、デューティ比を制御する必要が無いので、制御が容易である。
【0095】
なお、第4の実施形態を第2又は第3の実施形態に組み合わせてもよい。
【0096】
(第5の実施形態)
第5の実施形態は、DC/DCコンバータ1Aが2相で構成されている点において、第1の実施形態と異なる。
【0097】
図10は、第5の実施形態に係る2相用のDC/DCコンバータ1Aの概略的な構成を示す回路図である。
図10では、
図1と共通する構成部分には同一の符号を付しており、以下では相違点を中心に説明する。
【0098】
図10に示すように、DC/DCコンバータ1Aは、
図1のDC/DCコンバータ1の構成から、1相分の構成である一次巻線W13、二次巻線W23、インダクタL3、第1のスイッチング素子SW5,SW6、及び、第2のスイッチング素子SW11,SW12を除去している。つまり、トランスT1Aは2相のトランスであり、第1及び第2のブリッジ回路10A,20Aは、2相のフルブリッジ回路である。
【0099】
本実施形態においても、制御回路30Aは、起動時の第1及び第2の駆動信号G1〜G4,G7〜G10のデューティ比を、定電圧制御時の第1及び第2の駆動信号G1〜G4,G7〜G10のデューティ比より大きく設定する。具体的には、制御回路30Aは、起動時のデューティ比を1/2(50%)より大きく設定し、定電圧制御時のデューティ比を1/2以下に設定する。
起動シーケンスは、第1の実施形態と同様である。
【0100】
これにより、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、起動時に一次巻線W11,W12に入力電圧Vinが印加される期間を短くできる。これにより、起動時に一次巻線W11,W12に流れる電流を小さくできるため、突入電流を抑制できる。
また、第1の実施形態の他の効果も得ることができる。
【0101】
なお、第5の実施形態においても、第2から第4の実施形態の起動シーケンスを用いてもよい。
【0102】
本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。