(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363079
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】アトルバスタチン、イルベサルタンおよび炭酸マグネシウムを含有する二層複合錠製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/40 20060101AFI20180712BHJP
A61K 31/41 20060101ALI20180712BHJP
A61K 9/24 20060101ALI20180712BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20180712BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20180712BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20180712BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
A61K31/40
A61K31/41
A61K9/24
A61K9/26
A61K47/02
A61P9/12
A61P3/06
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-529683(P2015-529683)
(86)(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公表番号】特表2015-530384(P2015-530384A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】KR2013007838
(87)【国際公開番号】WO2014035188
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0096477
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599139534
【氏名又は名称】ハンミ ファーム. シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン・イル
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ジュン・ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ジュン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ヨン・クン
(72)【発明者】
【氏名】パーク,ジェ・ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジョン・スー
【審査官】
鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/142621(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/121824(WO,A1)
【文献】
生物学的同等性試験に関する資料−アトルバスタチン10mg「サワイ」,2006年11月24日,pp.1-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/69
A61P 3/06
A61P 9/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む第1の層と、
(b) アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む第2の層と、
を含み、前記アトルバスタチンのAUCが1144.8〜1587.6ng・hr/mLである、二層複合錠製剤。
【請求項2】
前記アトルバスタチンは、無水物の形態である、請求項1に記載の二層複合錠製剤。
【請求項3】
前記イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を、1単位製剤当たり8mg〜600mgの量で含有する、請求項1に記載の二層複合錠製剤。
【請求項4】
前記アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩を、1単位製剤当たり1mg〜80mgの量で含有する、請求項1に記載の二層複合錠製剤。
【請求項5】
前記第1の層は、水性希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、表面活性剤およびこれらの混合物からなる群から選択される医薬上許容される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の二層複合錠製剤。
【請求項6】
前記第2の層は、水性希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される医薬上許容される添加剤をさらに含む、請求項1に記載の二層複合錠製剤。
【請求項7】
1) イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む顆粒を形成するステップと;
2) アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩、および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む顆粒を形成するステップと;
3) 前記ステップ1)で形成した前記イルベサルタン顆粒および前記ステップ2)で形成した前記アトルバスタチン顆粒を圧縮し、二層錠を形成するステップと、
を含む、請求項1に記載の二層複合錠製剤を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、バイオアベイラビリティおよび溶解速度の面で改善された、アトルバスタチン、イルベサルタンおよび炭酸マグネシウムを含む二層複合錠製剤(bilayered composite tablet formulation)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩は、選択的かつ競合的HMG−CoA還元酵素阻害剤である。特に、以下の式(I)で示されるアトルバスタチンカルシウム(IUPAC名称:カルシウム[R−(R
*,R
*)]−2−(4−フルオロフェニル)−β,δ−ジヒドロキシ−5−(1−メチルエチル)−3−フェニル−4−[(フェニルアミノ)カルボニル]−1H−ピロール−1−ヘプタノアート(2:1))は、低密度リポタンパク質コレステロールの血中レベルを下げ、脂質異常症の治療に有用な高脂血症治療剤として作用する。さらに、アトルバスタチンカルシウムは、循環器疾患に起因する死亡率を低下させ、リスクのある人々における脳卒中の可能性を減少させる。
【0003】
【化1】
【0004】
イルベサルタンは、強力なアンギオテンシンII受容体アンタゴニストであり、血管収縮の原因物質であるアンギオテンシンIIの、アンギオテンシンII AT
1受容体との相互作用を阻止し、血圧降下を誘発する。イルベサルタンは、AT
1受容体を選択的に阻害するが、アンギオテンシンIIのAT
2受容体への結合は阻止しないため、血管拡張活性を維持しつつ内皮細胞成長、血管収縮および組織再生を抑制する。
【0005】
国際特許公開第WO03/011283号には、アトルバスタチンカルシウムの安定剤としてpH5以上を形成するアルカリ化剤を用いた、アトルバスタチンカルシウムおよびアムロジピンベシレートを含む複合製剤が開示されている。この複合製剤では、アルカリ化剤として炭酸カルシウム、リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムが使用される。アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩、および炭酸カルシウムは、約1:1〜1:4(w/w)の比で用いられる。上記の方法によれば、アルカリ化剤は、アトルバスタチンの安定性の向上を確保する。しかしながら、薬物動態的または臨床的な面を考慮して、アルカリ化剤を使用すると、所望の治療効果を得るためにより多い用量のアトルバスタチンが必要となる。
【0006】
韓国特許公開公報第2011−126020号には、イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む第1の層と、HMG−CoA還元酵素阻害剤およびアルカリ剤を含む第2の層とからなる二層複合錠製剤が記載されており、アルカリ剤がHMG−CoA還元酵素阻害剤の安定性を向上させること、さらに、アルカリ剤として、CaCO
3、MgCO
3、またはこれらの混合物を使用し得ることが開示されている。
【0007】
このようなアルカリ剤は、アトルバスタチンを含むHMG−CoA還元酵素阻害剤を安定化することが知られているが、アルカリ剤を用いることによりHMG−CoA還元酵素阻害剤の溶解速度またはバイオアベイラビリティを改善するためにさらなる研究が必要とされている。
【0008】
本発明者らは、イルベサルタンとアトルバスタチンとを含む複合製剤の溶解速度およびバイオアベイラビリティを改善する試みを行ったところ、一層中に炭酸マグネシウムとアトルバスタチンとが特定の重量比で共存すると、薬の溶解および体内への取込みの改善に対して優れた影響が及ぼされることを見出し、これにより本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の概要
したがって、本発明の目的は、優れたバイオアベイラビリティおよび最適な溶解プロファイルを示すイルベサルタンとアトルバスタチンとを含む医薬複合製剤を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、この医薬複合製剤を調製するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面によれば、(a)イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む第1の層と、(b)アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む第2の層とを含む、二層複合錠製剤が提供される。
【0012】
本発明の別の局面によれば、1)イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む顆粒を形成するステップと;2)アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩、および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む顆粒を形成するステップと;3)ステップ1)で形成したイルベサルタン顆粒およびステップ2)で形成したアトルバスタチン顆粒を圧縮し、二層錠を形成するステップとを含む、二層複合錠製剤を調製するための方法が提供される。
【0013】
本発明の上記および他の目的および特徴は、添付の図面と関連して読まれると、次の発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】比較例1〜3および実施例1〜3で調製したイルベサルタン−アトルバスタチン二層錠、ならびに市販品(リピトール錠)間で溶解プロファイル(dissolution profile)を比較した図である。
【
図2】比較例1〜3および実施例1〜3で調製したイルベサルタン−アトルバスタチン二層錠、ならびに市販品(リピトール錠)間でアトルバスタチンの10分以内溶解速度を比較した図である。
【
図3】比較例1〜3および実施例1〜3で調製したイルベサルタン−アトルバスタチン二層錠、ならびに市販品(リピトール錠)間で血中アトルバスタチンレベル−時間プロファイルを比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、(a)イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む第1の層と、(b)アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む第2の層とを含む二層複合錠製剤を提供する。
【0016】
以下に、本発明の二層複合錠製剤で用いられる成分の特性およびタイプについて詳細に説明する。
【0017】
(i) 第1の層
本発明に従った二層複合錠製剤の第1の層は、イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む。
【0018】
イルベサルタン(IUPAC名称:2−ブチル−3−({4−[2−(2H−1,2,3,4−テトラゾール−5−イル)フェニル]フェニル}メチル)−1,3−ジアザスピロ[4.4]ノン−1−エン−4−オン)は、アンギオテンシン受容体に対する高い特異性を有する長時間作用性アンギオテンシンII受容体アンタゴニストである。イルベサルタンは、血管収縮、アルドステロンの放出、ならびに、水およびナトリウムの再吸収を含むアンギオテンシンの活性を阻止する機能をするため、イルベサルタンは、とりわけ高血圧症および心不全などの循環器疾患の治療に適用可能である。イルベサルタンは、以下の式(II)の構造を有し、米国特許第5,270,317号に開示されている。
【0020】
本発明において、当業者に容易に入手可能である限り、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびアンモニウム塩を含む、イルベサルタンの任意の医薬上許容される塩が用いられてもよい。
【0021】
本発明に従った第1の層において、イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩は、限定されないが、各単位製剤形態中の8〜600mgの範囲、好ましくは、100〜200mgの治療上有効な量に対応して、第1の層の全重量に基づいて、20〜80重量%の量、好ましくは、50〜70重量%の量で含有されてもよい。
【0022】
さらに、第1の層は、医薬上許容される添加剤をさらに含んでもよい。医薬上許容される添加剤は、水性希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、表面活性剤およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0023】
本発明において、水性希釈剤は、限定されないが、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、α化デンプン、グルコース、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、リビトール、キシリトール、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。水性希釈剤は、第1の層の全重量に基づいて、5〜50重量%の量、好ましくは、8〜30重量%の量で用いられてもよい。
【0024】
本発明において、結合剤は、限定されないが、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。結合剤は、第1の層の全重量に基づいて、0.5〜10重量%の量、好ましくは、2〜5重量%の量で用いられてもよい。
【0025】
本発明の崩壊剤は、限定されないが、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、α化デンプン、グリコール酸ナトリウム、デンプン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。崩壊剤は、第1の層の全重量に基づいて、0.5〜20重量%の量、好ましくは、2〜10重量%の量で用いられてもよい。
【0026】
本発明において、滑沢剤は、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアラート、グリセリルパルミトステアラート、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、タルク、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。滑沢剤は、第1の層の全重量に基づいて、0.1〜10重量%の量、好ましくは、0.5〜2重量%の量で用いられてもよい。
【0027】
本発明において、表面活性剤は、限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロクサマー、ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。表面活性剤は、第1の層の全重量に基づいて、0.5〜20重量%の量、好ましくは、2〜5重量%の量で用いられてもよい。
【0028】
(ii) 第2の層
本発明に従った二層複合錠製剤の第2の層においては、アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩が、1:4〜1:5の重量比で炭酸マグネシウムと混合される。
【0029】
アトルバスタチンは、血中リポタンパク質または脂質レベルを下げる機能をし、高脂血症および動脈硬化症の予防または治療のために用いられる。
【0030】
代表的には、カルシウム塩、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびアンモニウム塩など、当業者に容易に入手可能なアトルバスタチンの任意の医薬上許容される塩が用いられてもよく、カリウム塩が好ましい。好ましくは、アトルバスタチンは、無水物の形態である。
【0031】
本発明に従った第2の層において、アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩は、限定されないが、各単位製剤形態中の1〜80mgの範囲、好ましくは、5〜50mgの治療上有効な量に対応して、第2の層の全重量に基づいて、0.5〜20重量%の量、好ましくは、2〜5重量%の量で含まれてもよい。
【0032】
炭酸マグネシウムは、アトルバスタチンを含有する同一層のみに存在し、アトルバスタチンの安定性を向上させるとともにアトルバスタチンの溶解速度およびバイオアベイラビリティを増加させるだけでなく、本発明に従ったアトルバスタチンとイルベサルタンとの反応も防止する。
【0033】
上記のように、第2の層中のアトルバスタチンの炭酸マグネシウムに対する重量比は、1:4〜1:5の範囲である。アトルバスタチンの炭酸マグネシウムに対する重量比が1:4未満である場合、治療上有効なレベルまたは所望の治療効果を得るためにより高い用量のアトルバスタチンが必要となる。一方、アトルバスタチンの炭酸マグネシウムに対する重量比が1:5を超える場合、溶解プロファイルまたは血中濃度のさらなる上昇は観察されない。さらに、過剰な炭酸マグネシウムは、服薬遵守および生産効率の点で不利となる。さらに、重量比がこの範囲外であるとき、固体剤形のC
MAXが既存の市販の製剤(たとえば、リピトール錠)のC
MAXより125%を上回り、製剤について、既存の市販品と異なる薬として生じるおそれがある。この場合、追加の実験を実施することにより得られる安全性プロファイルについての報告書を提出しなければならない。したがって、本発明のアトルバスタチンの炭酸マグネシウムに対する重量比は、1:4〜1:5の範囲内であることが好ましい。
【0034】
さらに、第2の層は、医薬上許容される添加剤をさらに含んでもよい。医薬上許容される添加剤は、水性希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0035】
本発明において、水性希釈剤は、限定されないが、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、α化デンプン、グルコース、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、ダルシトール、リビトール、キシリトール、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。水性希釈剤は、第2の層の全重量に基づいて、5〜80重量%の量、好ましくは、10〜50重量%の量で用いられてもよい。
【0036】
本発明において、結合剤は、限定されないが、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、ポビドン、デンプン、α化デンプン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。結合剤は、第2の層の全重量に基づいて、0.1〜5重量%の量、0.5〜2重量%の量で用いられてもよい。
【0037】
本発明の崩壊剤は、限定されないが、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、粉末セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、α化デンプン、グリコール酸ナトリウム、デンプン、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。崩壊剤は、第2の層の全重量に基づいて、2〜50重量%の量、好ましくは、5〜20重量%の量で用いられてもよい。
【0038】
本発明において、滑沢剤は、限定されないが、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアラート、グリセリルパルミトステアラート、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、タルク、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。滑沢剤は、第2の層の全重量に基づいて、0.1〜5重量%の量、好ましくは、0.5〜2重量%の量で用いられてもよい。
【0039】
(iii) 二層錠
本発明に従った二層複合錠製剤は、イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩の顆粒が第1の層中に存在し、一方、アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩および炭酸マグネシウムの1:4〜1:5の重量比の混合物の顆粒が第2の層を構成することにより、溶解速度およびバイオアベイラビリティについてアトルバスタチンを改善するとともに、2種類の顆粒が互いに接触することを出来る限り阻止することのできる二層構造を有する。
【0040】
特に、第2の層中、1:4〜1:5の重量比でアトルバスタチンおよび炭酸マグネシウムが共存することを特徴とする本発明に従った二層複合錠製剤は、複合薬形態の薬物動態において最も重要な要因である、安定性および溶解速度の問題を回避することができる。
【0041】
本発明の一実施形態に従った二層複合錠製剤は、溶解プロファイル上で最も区別される時間範囲である10分以内で30%以上の速度でアトルバスタチンを放出可能であり(
図1および
図2参照)、これは、医薬効能の点では市販品のリピトール錠と同等以上である。
【0042】
本発明の二層複合錠製剤は、1)イルベサルタンまたはその医薬上許容される塩を含む顆粒を形成するステップと;2)アトルバスタチンまたはその医薬上許容される塩、および炭酸マグネシウムを1:4〜1:5の重量比で含む顆粒を形成するステップと;3)二層錠打錠機を用いて、ステップ1)で形成したイルベサルタン顆粒およびステップ2)で形成したアトルバスタチン顆粒を圧縮し、二層錠を形成するステップとを含む方法を用いて調製されることができる。
【0043】
本発明の調製方法のステップは、従来のプロセスを用いて実施されてもよい。
本発明の一実施形態においては、イルベサルタンまたはアトルバスタチンは、次のステップを含む顆粒化プロセスに従って形成されてもよい。
【0044】
(a) イルベサルタンまたはアトルバスタチンに、崩壊剤および、随意的に、最終組成物に必要な他の添加剤の一部またはすべて(添加剤は、希釈剤、結合剤、ならびに加工性、流動性、安定性、および単位剤形の形成に必要な他の物質を含んでもよい)を配合するステップと;
(b) ステップ(a)で得られたブレンドに顆粒化溶剤を加える(好ましい顆粒化溶剤は、水、エタノール、イソプロピルアルコール、またはこれらの混合物であってもよく、当該技術分野で既知の他の成分(たとえば、結合剤、湿潤剤、表面活性剤など)が顆粒化溶剤に加えられてもよい)ステップと;
(c) エアドライヤ、棚段乾燥機、流動層乾燥機またはマイクロ波乾燥機を用いて、ステップ(b)で得られた湿った塊を乾燥する(乾燥プロセスは、たとえば、40〜60℃で行われてもよい)ステップと;
(d) ステップ(c)で得られた乾燥物質を粉砕または(たとえば30メッシュなど、14〜40メッシュを有する篩を用いて)篩にかけるステップと;
(e) ステップ(d)で得られた粉末を追加の物質(たとえば、滑沢剤など)と混合し、混合物を顆粒とするステップ。
【0045】
新しい複合製剤のAUCまたはC
MAXが既存の市販の薬剤のAUCまたはC
MAXの125%を上回る場合、その新しい複合製剤は、市販の薬剤と安定性プロファイルが異なると見なされる。この場合、正式な許可の承認を取得するために、複合製剤の安定性プロファイルに関する報告書を提出しなければならない。しかしながら、製剤の毒性に関連するデータを提供するための実験は、時間および経済面を考慮すると非効率的である。さらに、新しい複合製剤について追加の臨床試験が行われたとしても、その複合製剤の安全性を保障するわけではない。したがって、とりわけAUCまたはC
MAXは、複合製剤を開発する際に検討されるべき重要な要因である。イルベサルタンおよびアトルバスタチンがそれぞれ第1の層および第2の層に閉じ込められた本発明の二層複合錠製剤は、AUC T/R比が0.85〜1.18の範囲内であり、C
MAX値は90%信頼区間で市販品(リピトール錠)のC
MAX値と同じである(
図3および表5を参照)ため、市販品と同等の安全性プロファイルを示す。
【0046】
したがって、より優れた薬の体内取込みおよび溶解特性を有する本発明の複合製剤は、高血圧および高コレステロール血症のための治療薬として有用である。
【実施例】
【0047】
以下、本発明をより詳細に説明する。次の実施例は、例示目的でのみ示し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0048】
<調製例1> イルベサルタン顆粒の調製
表1の組成物により示されるように、イルベサルタン(ハンミ薬品、韓国)にマンニトール、α化デンプンおよびクロスカルメロースナトリウム(DMVインターナショナル)を配合し、ポビドン(BASF、ドイツ)の液体結合剤およびポロクサマー188(BASF、ドイツ)水溶液を加え、乾燥させて、その後、湿った塊を30メッシュ篩に通して選別し、湿潤顆粒を得た。次に、湿潤顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合して、イルベサルタン顆粒を調製した。
【0049】
【表1】
【0050】
<調製例2−1〜2−6> アトルバスタチン顆粒の調製
表2に示すデータに従って、アトルバスタチンカルシウム(TEVA、インド)にラクトース、結晶セルロース、クロスポビドン(BASF、ドイツ)および炭酸マグネシウム(富田、日本)を配合し、HPCの液体結合剤(日本曹達、日本)およびポリソルベート80(クローダ、米国)を加え、乾燥させて、その後、湿った塊を30メッシュ篩に通して選別し、湿潤顆粒を得た。次に、湿潤顆粒にステアリン酸マグネシウムを混合して、アトルバスタチン顆粒を調製した。
【0051】
【表2】
【0052】
<比較例1〜3> イルベサルタン−アトルバスタチン二層錠の調製
下記の表3に示すように、調製例1、および調製例2−1、2−5または2−6で調製した顆粒を組合せて、イルベサルタンおよびアトルバスタチンを含む複合製剤を調製した。
【0053】
二層錠打錠機を用いて、イルベサルタン顆粒およびアトルバスタチン顆粒を圧縮し、一錠当たり150mgのイルベサルタンを含む第1の層と10mgのアトルバスタチンを含む第2の層とからなる二層錠を形成した。
【0054】
<実施例1〜3> イルベサルタン−アトルバスタチン二層錠の調製
下記の表3に示すように、調製例1、および調製例2−2、2−3または2−4で調製した顆粒を組合せて、イルベサルタンおよびアトルバスタチンを含む複合製剤を調製した。
【0055】
二層錠打錠機を用いて、イルベサルタン顆粒およびアトルバスタチン顆粒を圧縮し、一錠当たり150mgのイルベサルタンを含む第1の層と10mgのアトルバスタチンを含む第2の層とからなる二層錠を形成した。
【0056】
【表3】
【0057】
<実験例1> 複合製剤の溶解アッセイ
比較例1〜3、および実施例1〜3で調製した二層錠をアトルバスタチンの溶解について分析した。USP溶解装置2(パドル法)に従って、900mLの溶解液、pH1.2を用いて、25rpmで撹拌しながら溶解試験を行った。溶解から5分、10分、15分、30分、45分、60分および90分後にサンプルを採取し、アトルバスタチンの溶解速度を測定した。結果を表1に示す。
図1に示されるように、アトルバスタチンの溶解速度は、炭酸マグネシウム含有量の増加とともに増加することが観察された。
【0058】
さらに、比較例1〜3および実施例1〜3で調製した二層錠の溶解速度のデータを
図2に示し、t−検定のp値を下記の表4に示す。比較のために、市販品のリピトール錠をコントロールとして使用した。
【0059】
データから理解されるように、最も区別される時間範囲である10分以内の時点で、p値≧0.05であり、コントロールの溶解速度と同様の溶解速度であることを考慮すると、5%の有意性であり、実施例1〜3の複合製剤はすべて溶解速度がコントロールと実質的に同等であることが分かった。一方、比較例1〜3の複合製剤はすべてp値<0.05であり、コントロールと大きく異なることが示された。
図2中、有意差を有する製剤は、アスタリスク(
*)により示される。
【0060】
【表4】
【0061】
<実験例2> アトルバスタチンのバイオアベイラビリティについてのアッセイ
比較例1〜3および実施例1〜3で調製した二層錠のアトルバスタチンのバイオアベイラビリティを評価するために、調製した製剤をビーグル犬に投与し、血中アトルバスタチンレベルを監視した。比較のために、市販品のリピトール錠(ファイザー)をコントロールとして使用した。
【0062】
合計28匹のビーグル犬を4匹ずつの7群に分けた。錠剤を粉砕して、0.5%カルボキシルメチルセルロース(CMC)に分散し、10mg/kgアトルバスタチンに相当する用量でビーグル犬に経口投与した。投与後、血中アトルバスタチンレベルを時間により測定し、アトルバスタチンの薬物動態パラメータを分析した。結果を
図3および表5に示す。
【0063】
【表5】
【0064】
図3および表5から明らかなように、実施例1〜3の複合製剤は、AUC T/R比が0.85〜1.18の範囲内であり、C
MAX値は90%信頼区間で市販品(リピトール錠)のC
MAX値と同じであることが分かった。