特許第6363082号(P6363082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363082
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】層状複水酸化物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/02 20060101AFI20180712BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20180712BHJP
   A61K 31/196 20060101ALI20180712BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20180712BHJP
   A61K 9/16 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/20 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/10 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/70 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/68 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/48 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/06 20060101ALN20180712BHJP
   A61K 9/46 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   A61K47/02
   A61K9/14
   A61K31/192
   A61K31/196
   A23L33/10
   !A61K9/16
   !A61K9/20
   !A61K9/10
   !A61K9/70
   !A61K9/68
   !A61K9/48
   !A61K9/06
   !A61K9/46
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-535105(P2015-535105)
(86)(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公表番号】特表2016-500667(P2016-500667A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】GB2013052554
(87)【国際公開番号】WO2014053822
(87)【国際公開日】20140410
【審査請求日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】1217911.5
(32)【優先日】2012年10月5日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515089183
【氏名又は名称】オックスフォード ファーマサイエンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,クレア
(72)【発明者】
【氏名】ブラボ コーデロ,マルセロ レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】オヘア,ダーモット,マイケル
【審査官】 天野 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許第101507819(CN,B)
【文献】 欧州特許出願公開第01341556(EP,A1)
【文献】 特開平10−101580(JP,A)
【文献】 特開2004−091421(JP,A)
【文献】 Mara L. Parello, et al.,Dissolution kinetics and mechanism of Mg-Al layered double hydroxides:A simple approach to describe drug release in acid media,Journal of colloid and interface science,2010年,Vol.351, No.1,pp.134-139
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/00 − 47/69
A61K 9/00 − 9/72
A23L 33/10
A61K 31/192
A61K 31/196
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の活性アニオンをインターカレートさせた層状複水酸化物材料を含む、処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を製造するための処理方法であって、以下のステップ:
a)以前に構成され、且つ、単離された層状複水酸化物−活性アニオン材料を液体分散剤内に分散させ、次いで、加熱処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を製造するため、得られる懸濁液を2〜72時間、具体的温度において、又は80℃より大〜200℃の温度範囲にわたって、加熱し且つ撹拌するステップと;
b)加熱された懸濁液を冷却し、且つ前記懸濁液から前記加熱処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を分離するステップと;
c)前記加熱処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を水及び次いでさらなる洗浄液体で1回以上洗浄し、且つ、次いで洗浄され、加熱処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を、少なくとも50℃の昇温で、及び任意には真空下で、乾燥するステップであって、それにより、前記処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料得られる、ステップと;を含
前記処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料は、1以上の3価の金属カチオンと1以上の2価の金属カチオンとの混合水酸化物からなり、1以上のインターカレートされた活性アニオンによりバランスされる過剰な正電荷を有し、且つ、
前記1以上の2価の金属カチオンは、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+、Mn2+、Pd2+、Ti2+、Ca2+、Cd2+及びMg2+からなる群から選択される、
処理方法。
【請求項2】
ステップc)における乾燥は、撹拌と共に乾燥することを含む、請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、NSAIDS、gaba類似体、抗生物質、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、抗ヒスタミン及びドーパミン前駆体、抗菌剤、精神刺激薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗けいれん薬、凝固剤、抗癌剤、免疫抑制剤、緩下剤、染料化合物、農薬、医薬及び栄誉補助食品及び食品に使用される分子もしくは化合物、飲料及び製剤からなる群から選択される化合物から誘導される、
請求項1に記載の処理方法。
【請求項4】
前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、イブプロフェン、ナプロキセン及びジクロフェナクから選択される化合物から誘導される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項5】
前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、不味いもしくは刺激性の物質から誘導される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項6】
キャリア、貯蔵システムもしくは送達システムとしての、請求項1に記載の処理方法により構成された、処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料の使用であって、
イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpH>4である環境内における場合、前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、前記層状複水酸化物内に実質的に保持される、使用。
【請求項7】
味、熱傷及び/もしくは刺激をマスキングする用途における、及び/又は経口製薬及び/もしくは食品及び/もしくは飲料用途における、及び/又は非経口用途における、請求項1に記載の処理方法により構成された、処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料の使用であって、
イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpH>4である環境内における場合、前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、前記層状複水酸化物内に実質的に保持される、使用。
【請求項8】
乾いた顆粒、タブレット、カプレット、水性もしくは非水性液体もしくは懸濁液、口腔内崩壊タブレット、口腔内崩壊顆粒、トローチ、フィルム、カプセル、パウダー、発泡性フォーミュレーション、バッカル及び舌下剤形、ゲル、シロップ及びガムからなる群から選択される形態おける、請求項1に記載の処理方法により処理された、1以上の処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を調合するステップを含む、フォーミュレーションを製造する方法。
【請求項9】
消費者もしくは患者の口、口腔、喉頭もしくは消化管内で実質的にゼロの味覚、熱傷もしくは刺激を呈する、請求項に記載のフォーミュレーションを製造する方法であって、
乾いた顆粒、タブレット、カプレット、水性もしくは非水性液体もしくは懸濁液、口腔内崩壊タブレット、口腔内崩壊顆粒、トローチ、フィルム、カプセル、パウダー、発泡性フォーミュレーション、バッカル及び舌下剤形、ゲル、シロップ及びガムからなる群から選択される形態において、請求項1に記載の処理方法により構成された、1以上の処理された層状複水酸化物−活性アニオン材料を調合するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記1以上のインターカレートされた活性アニオンは、イオン交換条件不在下で、及び/又はpH>4において、前記1以上の活性アニオンを溶解するのに好適な溶媒内へ合計5重量%未満を浸出するように構成される、請求項3に記載の処理方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層状複水酸化物(layered double hydroxide)(LDH)材料に、及び特に、活性アニオン性化合物がインターカレートされているLDH材料(LDH−活性アニオン性化合物)を製造する新規な方法に関わる。さらに本発明は、それらの高程度の堅牢性及びインターカレートされた活性アニオン性化合物を保持するそれらの能力を特徴とする、新規LDH−活性アニオン性化合物に関わる。本発明はまた、例えば,活性アニオン性化合物貯蔵及び/もしくは活性アニオン性化合物キャリア及び/もしくは活性アニオン性化合物送達システムにおける、このような新規のLDH−活性アニオン性化合物の使用に;
LDH−活性アニオン性化合物を有するフォーミュレーションに、及び特に風味,刺激もしくは他の望ましくない/有害な特性がマスクされること及び/もしくは減らされることを必要とする、LDH−活性アニオン性化合物を有するフォーミュレーションに関わる。
【背景技術】
【0002】
層状複水酸化物(LDHs)の検討が、Chemistry in Britain,September 1997,59乃至62ページにおいてされている。手短に言うとこれらの材料は、1価の金属と3価の金属との混合水酸化物又は2価の金属と3価の金属との混合水酸化物のいずれかであり、層間(interlayer)アニオンによりバランスされる過剰な正電荷を有する。このような材料は、
[M(1−x)III(OH)n+z−n/z.yH
又は
[MII(1−x)III(OH)x+z−x/z.yH
のいずれかにより代表され得る。上記式中、
,MII及びMIIIはそれぞれ1価、2価及び3価アニオンであり、これらは水酸化物層内において八面体位置を占める;
z−は、層間電荷補償アニオンである;
zは整数である;
n=2x−1;
xは、1未満である;及び
yは≧0である。
【0003】
LDH材料を製造する方法は十分に文書化され、且つイオン交換,共沈,再水和,2次インターカレーション,再共沈,及び鋳型合成を包含する。例えば、He et al.,Struct. Bond,2006,119,p.89−119を参照。もっと最近では、US2010/0233286A1(Lu及びXu)は、LDH粒子を形成するため、適切な金属イオンを含有する混合金属イオン溶液を形成するステップと、これをアルカリ性材料、例えばアルカリ性溶液に添加するステップとを有する共沈が知られていることを記載する。通常、アルカリ性溶液は、任意には重炭酸ナトリウムもしくは炭酸ナトリウムのいずれかを有する水酸化ナトリウム溶液であり、但し他のもの例えばアンモニア溶液,KOH,NaHCO,KHCO,NaCO,KCO及び有機アミン(例えばメチルアミン及びエチルアミン)も知られている。この方法を使用して、1以上の単純なアニオン、例えばCl(金属塩化物出発物質の対(counter)塩化物塩から誘導される)NO(金属硝酸塩出発物質の対硝酸塩から誘導される)及びCO(アルカリ性溶液の一部として使用されるNaCOから誘導される)をインターカレートさせたLDH材料を製造することが可能である。よりしばしばLDH生成物は、インターカレートされたアニオンの混合物を含有する。例えば、MgClとAlClとの溶液を、NaOHとNaCOとを含有するアルカリ性溶液で共沈させたとき、MgAl(OH)(CO0.5.HO、即ちCOイオンをインターカレートさせたLDH材料が生成される。U2010/0233286A1のもう1つの特徴は、「水熱」ステップでLDH粒子を処理することである。これは、LDH粒子のサイズを減らすため、及びこれら粒子が平均サイズ周辺±20%の狭い粒子サイズ分布に一致することを確実にするためのやり方として記載される。得られる生成物は、水中でLDH粒子が安定な且つ十分に分散された懸濁液を形成する。水熱処理は、共沈プロセスにより形成したLDH材料を中に分散させるステップと、この分散液をオートクレーブ内で80℃より大乃至150℃までの温度に、1時間乃至144時間の間加熱するステップとを有する。この先行技術プロセスの際、沸騰が好ましくは抑制される。変性されたLDH粒子は、水熱処理された懸濁液から水を処理することにより、例えば乾燥、濾過もしくは遠心分離により、及び次いで分離されたLDH粒子を乾燥することにより回収され得る。
【0004】
共沈の後に追加のイオン交換プロセスが、より大きく、より複雑な層間アニオン性のもの(anionics)をLDH材料内に導入するための一つのやり方として報告される。例えばEP0987328(B1)(Choy及びKwak)は、LDH/バイオ無機ハイブリッド複合体を記載する。当該複合体は、遺伝子、例えばヌクレオシド−5’−一リン酸、ヌクレオシド−5’三リン酸,DNA及びRNAを貯蔵且つ運搬可能であり、及び以下の3つのステップを使用して調製される。第1のステップは、アルカリ性物質を、2価金属(MII)(例えばMg(NO)及び3価金属(MIII)(例えばAl(NO)を有する水性混合金属溶液に添加するという共沈を伴う。第2のステップは、第1のステップから反応生成物、即ち電荷補償アニオン(当初の2価の及び3価の金属出発物質から誘導される(例えばOH,NO))をインターカレートさせた安定な層状複水酸化物(LDH)を単離する。そして第3のステップでは、これらのインターカレートされた補償アニオンは、所望の遺伝子、DNAもしくはRNAのアニオン性化学種とのイオン交換反応に付される。一般式:
[MII(1−x)III(OH)][ABIO0−x/n.yH
の化合物が生成される。よく似た共沈/イオン交換プロセスが、
例えば、「高度に結晶性の」ステアリン酸塩及びオレイン酸塩をインターカレートさせた層状複水酸化物を製造するらしいWO2010/089691A1に、
「良好な結晶相構造」を備えたグリホシン−LDHを記載するCN101597474Bに、及び
ポリオキソメタレートをインタカレートさせた均一な層状複水酸化物を記載するEP0550415A2に記載される。ただし以下に記載されるように、本出願人には、実際においては、この方法で製造されたLDH−活性アニオン材料は、結晶性であるように思われるのに、これらの生成物によって示される堅牢性の程度は、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料において観察されるものよりも顕著に少なく、且ついずれにせよ、本発明が目指す課題を解決可能である材料を提供しないことが分かった。
【0005】
その他の先行技術、例えばEP1341556(B1)は、医薬的に活性なアニオン性化合物をインターカレートさせたLDH材料を有するドラッグ送達システムの調製を教示する。これもまた、上に記載された類似の共沈/イオン交換方法を使用し、且つホストLDH化合物、例えば(おそらく共沈反応を介して生成される)
[LiAl(OH)]Cl.HOもしくは
CaAl(OH)NO.xH
から開始し、及び次いでイオン交換反応を使用する。イオン交換反応において、ホストLDHは、所望の医薬的に活性なアニオン性化合物のナトリウム塩と反応する。インターカレートされたLDH−医薬的に活性なアニオン性化合物は、反応混合物から濾過により分離され、次いで過剰の脱イオン水及びアセトンで洗浄され、及び空気中で乾燥させる。このようなLDH−活性アニオン材料の利点は、持続した/制御された放出ドラッグ送達システムを製造するため、これらの活性アニオン性化合物をゆっくり放出するこれらの能力であると記載される。この先行技術の結果が示すように、pH4及び7においてこのようなLDH−医薬的に活性なアニオン材料は、最初の5分以内に薬剤の60乃至80%を放出し、及び次いで40乃至60分の期間にわたり残りの20乃至40%を放出する。
【0006】
Silion et al,Journal of Materials Science,Vol.21(11),2010により報告された研究は、LDH材料内へインターカレートされたケトプロフェンのin vitro及びin vivo挙動に関する。インターカレートされた材料は、上に記載された同一のイオン交換方法を使用して製造され、そしてこの分家においてブロードなXRDピーク及び放出プロファイルが実証するように、試験された材料は、劣った規則構造のものである。その上さらに、インターカレートされた材料は、約30分内にpH7.4において約10%のケトプロフェンを放出し、そして残りのケトプロフェンは経時的に放出される。
【0007】
中国特許CN1299616Cは、以下のステップ:
窒素下、pH7乃至12においてジ金属塩とトリ金属塩と食品保存料(FP)とを水酸化ナトリウムと反応させるステップと、
所望のFP−LDH材料を得るため、15乃至150℃で2乃至72時間加熱するステップと
を伴う、共沈プロセスを介して食品保存料化合物をインターカレートさせたLDH材料の製造を記載する。これらFP−LDH材料の目的は、食品中への食品保存料物質の徐放(1乃至60日)を備えることである。図面は、pH4.5以上において10%以上の食品保存料物質が殆ど直ちに放出され、そして残余は数時間にわたり浸出することを表す。XRDパターンは、この先行技術により製造されたFP−LDH材料は堅牢ではないことを表す低強度(CPS)値を記録する。
【0008】
中国特許CN1297276Cは、共沈プロセスを介してインターカレートされた5−アミノサリチル酸(5−ASA)−LDH材料をゆっくり放出する調製を開示する。即ち、2つの可溶性金属塩及び5−アミノサリチル酸を水酸化ナトリウムとpH6乃至10で反応させ、及び15乃至70℃で12乃至72時間加熱した。図3に表される徐放結果は、pH6.9において、事実上5−ASAの40%が殆ど直ちに放出され、且つ残余は経時的に放出されることを実証する。図1のXRDのブロードなピークは、この先行技術により製造された5−ASA−LDH材料が非常に低い堅牢性を有することを示す。
【0009】
中国特許CN101785860Bは、医薬品テガフールの徐放を示すテガフール/LDHナノメートルハイブリッド材料を製造するための2つの製造方法を教示する。第1の方法は、アルカリ性条件下、テガフールとのジ金属塩及びトリ金属塩の共沈、及び次いで所望のテガフール/LDH材料を回収するステップを有する。第2の方法は、第1のステップにおいて2つの金属塩からLDH材料を製造し、及びこれの後に第2のステップが続く。第2のステップにおいて、イオン交換反応によりテガフールをLDH材料内にインターカレートさせる。図4に表される材料の徐放特性は、ほとんど60%のテガフールが、pH7.2において約30分後に放出され、且つこれはpH4.8において約30分後約90%までになることを表す。XRDにおけるその低強度値及びブロードなピークは、この先行技術に記載されたように製造したテガフール−LDH材料は堅牢性の乏しいものであること示す。
【0010】
中国特許文献CN100462071Cは、イブプロフェンの徐放を再び提供する磁性ブルフェン−LDH材料を調製することを記載する。その方法は、
LDHを得るため、アルカリ性環境(例えばNaOH)内で金属塩を共沈させるステップと、
次いで、これの中へイブプロフェンと鉄とを含有する材料を導入するステップと、
濾過により高い比磁化を備えた生成物を回収するステップと、
引き続き、洗浄し且つ乾燥するステップと
を有する。
【0011】
中国特許CN102218043Bは、アスピリンのジ金属塩及びトリ金属塩を、70乃至80℃で水酸化ナトリウム(pH10乃至12)内で窒素下40分間加熱することにより製造されるデキストラン−LDH−アスピリン材料を有する徐放タブレットを記載する。次いで得られるスラリーを、デキストラン溶液と共に、温度70乃至85℃で、窒素下及び撹拌と共に加熱する。所望の最終生成物を単離し且つ精製するためのプロセスは、
デキストラン−LDH−ASP混合物を、温度−20乃至−10℃における冷たいエタノール内へ注ぐステップ、
これを1時間冷凍庫内に放置し、次いで室温で30分間放置し、その後二重に蒸留された水を添加するステップ、及び
固体相を分離するため遠心分離するステップ
として記載される。後者を次いで分離し、エタノールで洗浄し、そして真空オーブン内65乃至80℃、0.085Mpaで乾燥する。この特許の図1,2及び3が説明するように、pHが1.0,6.8もしくは7.0のいずれにも関わらず、アスピリンの少なくとも10%が約30分後に放出され、且つや腔16時間後にアスピリンの80%以上が放出される。
【0012】
CN101507819Bは、イブプロフェンをインターカレートさせたハイドロタルサイト(LDH)材料を製造するための、いわゆる水熱合成方法を記載する。アルカリ性条件下、pH9乃至11で、且つ100乃至180℃に18乃至72時間加熱することにより、金属塩がイブプロフェンとともに共沈される。得られる生成物を次いで分離し、そして60乃至80℃で24乃至72時間乾燥する。この方法は、粒子サイズ300乃至600nmの製造に有利に働き、且つ当該文献は、粒子サイズを増加させるとイブプロフェンが放出される速度を減ずると報告する。
【0013】
WO2004/099104は、動物飼育場から肥しを含有する廃棄物を金属イオン封鎖する(sequester)ため、粘度材料、例えばLDH材料の使用を記載する。次いで得られる材料は、乾燥及び粒状化され得る。そしてこの文献が述べているように、アニオン及びカチオンはLDHに永久に付着しそうにないのであるから、これらは環境中へゆっくり放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
要約すると、上に考察された豊富な文献及び特許文献から、活性アニオン性化合物の放出を減速させるための、及びそれにより制御された放出調製物を提供するための手段として、インターカレートされたLDH−活性アニオン材料を使用することが周知であるということが明らかである。しかしながら、本発明は、このような調製物を提供することに関係しない。その代わり、本発明は、以下に定義されるように非常に堅牢であり、且つ非浸出性である改善されたLDH−活性アニオン材料開発することに関する。「非浸出性」とは、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料が一方において、pH4以下において活性アニオンを送達可能であるが、他方において、イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpH4を超えた環境内に存在する場合、LDH構造内に活性アニオン性化合物の実質的に全てを保持可能であることを意味する。本発明は、イオン交換条件の不在下及び/もしくはpH>4でいずれの有意な量の活性アニオン性化合物を経時的に放出しない、特に改善されたLDH−活性アニオン材料に関わる。活性アニオン性化合物は、実質的にLDHマトリックス内に保持されている。本発明によりカバーされる調製物は、医薬的及び/もしくは非医薬的活性を備えた活性アニオンを包含可能であり(ただしこれらに限定されない)、且つ健康上、安全性、毒性、使いやすさ及び/もしくは取り扱いやすさの理由から、イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpHが>4であるとき、LDHマトリックス内に実質的に保持されることが必要とされる、いずれの活性アニオンを包含する。
【0015】
口,口腔,喉頭もしくは消化管内の不味さ,苦味,熱傷(burn)及び刺激は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)gaba類似体及び抗生物質を包含する(ただしこれらに限定されない)、経口的に送達されるドラッグクラスの多くのフォーミュレーションにとって問題である。これらの問題は、患者の、特に小児科患者グループ内で不承諾をもたらす。その上さらに製剤と同様に、消費者に対して成分の許容性を妨げるような不快で苦い味の成分を有する多数の食品及び飲料製品及び充填剤(bulking agents)が存在する。
【0016】
以降、単独でもしくはいずれの薬剤、健康補助食品、医薬品、非医薬品、食品、もしくは飲料フォーミュレーション、調製物もしくはレシピにおいて、医薬的に活性であってもなくてもよく、消費者もしくは患者によって、口,口腔,喉頭もしくは消化管内で体験されるいずれかの許容しがたい味、苦味、熱傷、刺激もしくはいずれか他の許容しがたい感覚をもたらすいずれかの成分を定義するのに、「不味いもしくは刺激性の物質」を使用する。
【0017】
経口的に送達される医薬及び/もしくは他の食用できるフォーミュレーション内の不味いもしくは刺激性の物質の嗜好性を改善するための先行技術方法は、消費者の口,口腔,喉頭もしくは消化管内の味蕾及び/もしくは他のレセプタに対し、不味いもしくは刺激性の物質の有効性を効果的に上書きする、隠すもしくは減ずるため、多数の異なる味マスキング戦略を使用する。例えばタブレット及び非タブレットプロダクト(例えばシロップ,懸濁液,液体及び口腔内崩壊顆粒)において、味マスキングは、フォーミュレーションに対し余分の成分(例えばフレーバー,甘味料及びアミノ酸)の添加を有し得る。あるいは、不味いもしくは刺激性の物質の粒子もしくはフォーミュレーション全体(例えばパウダーもしくはタブレット)のいずれかを、いろいろな種類のポリマー、例えば親水性もしくは親油性高分子材料、例えばデンプン,ゼラチン,レシチン,メチルセルロースもしくはエチルセルロースから選択されるコーティングでカプセル化してよい。他の味マスキング技術は、慣用の粒状化;脂質との噴霧凝固;シクロデキストリン、リポソーム、イオン交換樹脂との錯体の形成;フリーズドライプロセス;多層エマルション;塩及び高分子膜を使用する。味マスキング方法についての考察は、Sohietal.,Drug Development and Industrial Pharmacy,2004,30,5 pp429−448になされている。
【0018】
被覆方法を使用して経口フォーミュレーション内の不味いもしくは刺激性の物質の味をマスキングするとき、ゴールは、不味いもしくは刺激性の物質、もしくはフォーミュレーション全体をコーティングでカバーすることである。フォーミュレーションが患者若しくは消費者の口内ある限り、コーティングは原位置に留まることになる。但し、活性アニオン性化合物が活性医薬である場合、これは薬効を損い得るので、活性アニオン性化合物の溶解プロファイルにコーティングが干渉するほど長い間ではない。この潜在的落し穴と同様に、追加された成分の結果だけでなく、製造に必要とされる余分な加工時間の結果として、コーティングはまた多くのコストを加える。
【0019】
錯体化を介する味,熱傷及び/もしくは刺激のマスキングは、錯化剤と分子レベルでの錯体を形成する不味いもしくは刺激性の物質を伴う。本質的に、錯化剤はファンデルワールス力を使用して、不味いもしくは刺激性の物質に弱く結合し、且つそれにより、不味いもしくは刺激性の物質が味蕾,口,口腔,喉頭もしくは消化管に曝露される程度を減らす。この技術を開示する先行技術は、以下のものを包含する:特開平03−236316(Kurasumi et al.);
US5024997(Motolaetal.);
特開平02−291244(Ikezuki);
Manek and Kamat,Indian J. Pharm. Sci., 1981,43,11−12,209−212;
EP0501763 (Honeysett et al.);
US6514492 (Gao et al.);
Agarwal et al., Drug Dev. Ind. Pharm.,2000,26,7,773−776。
【0020】
ただし、錯体化テクノロジーは、再び製造のコストと時間に加わり、且つこれらはもっぱら比較的少量の不味いもしくは刺激性の物質を含有するフォーミュレーションに、例えば低投与量ドラッグにおいて好適である。加えて、錯体化は、必ずしも不味いもしくは刺激性の物質の構造全体をカプセル化するのではなく、口,口腔,喉頭もしくは消化管内の細胞レセプターとの自由に相互作用する構造の部分を残す。依って、味,苦味,熱傷,もしくは刺激は、この方法により完全には打ち消されないかもしれない。
【0021】
コーティングと同様、錯化剤は、不味いもしくは刺激性の物質の放出プロファイルに影響し得るし、且つ上述のように、不味いもしくは刺激性の物質が医薬的に活性な材料である場合、これは薬効に対する影響を有し得る。例えば、イオン交換樹脂錯体は、消化管(GIT)内で適切に荷電されたイオンと交換することにより錯体化された医薬的に活性な材料を放出するように設計され得る。このようにして、これら錯体は、樹脂から遊離の医薬的に活性な材料の拡散を可能にする。この交換は、フォーミュレーションからのドラッグの即時放出をもたらさないかもしれず、そしてこのことがドラッグ溶解プロファイルを妨害する。
【0022】
先行技術は、物質が不味い程度を決定するための複数の方法をも記載する。例えば、苦味官能に関するアッセイが、J. D. Boughter Jr et al,in Chemical Senses 2001,Vol27,issue 2 pp133−142により報告される;そしてOpertech Bio, Inc社は、彼らのウェブサイトopertechbio.comにおいて味質と嗜好性とを測定するための高スループットシステムの詳細を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、新規の改善されたインターカレートさせたLDH−活性アニオン材料を、特にイオン交換条件の不在下及び/もしくはpH4を超える環境内で、非常に堅牢な且つLDHからの活性アニオン性化合物の浸出に対して高耐性であるものを対象とする。このような改善された材料は、医薬及び非医薬用途を包含する広範囲の貯蔵,キャリア及び送達システム用途において有用である。
【0024】
本発明は、特にイオン交換条件の不在下及び/もしくはpH4を超える条件下で、非常に堅牢な且つ浸出に対して高耐性である改善されたインターカレートさせたLDH−活性アニオン材料の製造のための、単純で対費用効果の高い且つ信頼できるプロセスをも対象とする
【0025】
本発明は、特に医薬及び非医薬用途のいずれにも適した、高効率的に味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物を提供することを対象とする。
【0026】
用語「活性アニオン性化合物」及び「活性アニオン」を本書において相互交換可能に使用し、且つアニオン性であり(即ち負電荷を有する分子)又はアニオン生成部分を有するいずれの分子もしくは化合物、例えばアニオン性分子の塩を包含すると解釈される。アニオン性化合物もしくはアニオンは、それが化学的、物理的、生理学的もしくは薬学的効果を生成するという意味において「活性」であると本書において解釈される。この効果は、動物もしくは人体内で認識されてもされなくてもよい。好適な活性アニオン性化合物は単純なアニオンであってよい一方で、他のものは、大きく且つ/もしくは単純アニオンよりも複雑な構造を有し、且つ染料化合物、農薬、医薬に使用される添加物、栄誉補助食品及びビタミンサプリメント、食品もしくは飲料及び製剤(全てヒト若しくは動物用途のため)を包含してよい(ただしこれらに限定されない)。医薬的効果を生成する好ましい活性アニオン性化合物は、NSAIDSの種類、gaba類似体、抗生物質、スタチン、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、抗ヒスタミン、ドーパミン前駆体、抗菌剤、精神刺激薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗けいれん薬、凝固剤、抗癌剤、免疫抑制剤及び緩下剤を包含してよい(ただしこれらに限定されない)。
【0027】
本出願人は、本発明である固有の混合,加熱,洗浄及び乾燥手順を使用すると、LDH−活性アニオン材料,例えばいずれの公知方法(例えば、
LDHを生成するための共沈プロセス、その後活性アニオンをインターカレートさせるためのイオン交換反応、又は
活性アニオンと金属塩とを有するシングルステップ共沈プロセス)
により製造された物の堅牢性及び性能特性が、具体的にはイオン交換条件の不在下もしくは4を超えるpHにおいて、非常に堅牢且つ実質的に非浸出性LDH活性アニオン材料へと改善されることを見出した。
【0028】
従って本発明は、以下のステップ:
a)LDH活性アニオン出発物質を液体分散剤内に分散させ、次いで得られる懸濁液を加熱し且つ撹拌するステップと;
b)加熱された懸濁液を冷却し、且つ前記懸濁液から加熱処理されたLDH活性アニオン性化合物を分離するステップと;
c)改善されたLDH活性アニオン性化合物を得るため、加熱処理されたLDH活性アニオン性化合物を洗浄し且つ恒量まで乾燥するステップと
を有する、改善されたアニオン材料の製造方法を提供する。
【0029】
好適な液体分散剤は、脱イオン水、及びいずれの他の液体(当該他の液体は、開始物質もしくは改善されたLHD−活性アニオン材料のいずれも溶解しない)を包含する。いずれの好適な反応容器を使用してよい。好ましい反応容器は、オートクレーブ,圧力容器,もしくは標準反応容器であり、且ついずれの好適な圧力における不活性雰囲気下(例えば窒素)にあってよい。具体的には、高圧条件は必須ではない。ステップa)において使用される理想温度は、ある具体的温度もしくはある温度範囲のいずれかであり、且つ50℃乃至200℃、好ましくは80℃乃至180℃及び最も有利には150℃である。
【0030】
ステップa)における撹拌は、プロセスにおける重要なステップである。先行技術に記載された水熱プロセスは、撹拌の必要性を暗黙的に乃至明示的に示唆も、開示も、提案もしない。そして以下の具体的実施例において、本出願人は、撹拌がないと、本発明の非浸出性である利点を提供するには、得られる生成物の堅牢性は低すぎることを実証した。「撹拌」とは、改善されたLDH−活性アニオン材料を製造するプロセスの間に関して、ステップa)における反応物質を混合,回転させるもしくは普通に動かすのに役立ついずれの手段、いずれの好適な手段を包含する。好ましい撹拌の手段は、1以上の振動、振盪及び激しい撹拌を包含する。望ましい撹拌速度は、800rpm乃至1200rpmの範囲内にある。「撹拌」は、アニールされた堅牢な粒子を生成するため、懸濁液内の優れた熱伝導を促進するのに重要である。従って「撹拌」は、堅牢な粒子を生成するため、ステップa)において形成された懸濁液内の優れた熱伝導を促進するいずれの手段をも包含する。
【0031】
加熱期間は、1乃至72時間,好ましくは8時間未満及び理想的には約2時間であり得る。
【0032】
室温まで冷却後、真空濾過を使用して、熱処理されたLDH−活性アニオン材料を便宜的に懸濁液から分離してよい。そして表面からいずれの残留遊離活性アニオン性化合物を除去するため、分離された熱処理された材料を液体で1回以上洗浄した後に、結果として改善されたLDH−活性アニオン材料を得る。これを達成するための好適な液体は、脱イオン水を包含する。改善されたLDH−活性アニオン材料の表面から残留水を除去するため、さらなる洗浄液体、例えばメタノールもしくはアセトンを使用するとき、さらに改善された結果がえられる。
【0033】
好ましくは、いずれの塊を分解するため、篩にかけ、脱塊化し (de−lumped)及び/もしくはクラッシュした材料に対して、ステップc)における乾燥を行う。これは、さらに改善された結果を再び与える効率的な乾燥プロセスを保証する。真空下で及び理想的には少なくとも50℃の昇温で乾燥を行ってよい。及びさらに乾燥手順の際に生成物が撹拌されるとき、さらなる強化が得られる。
【0034】
上に記載したように、いずれの公知の方法を使用してLDH−活性アニオン出発物質を製造してよいにもかかわらず、本出願人は、以下のステップ:
i)a)1以上の3価の金属カチオンと、b)1以上の2価の金属カチオンとを含有する第1の混合金属イオン溶液を形成するステップと;
ii)1以上の活性アニオン性化合物を含有する第2の溶液を形成するステップと;
iii)得られる第2の溶液を、25℃を超える温度に加熱するステップと;
iv)第1の混合金属イオン溶液と、暖められた第2の溶液とを激しい撹拌によって組み合わせ;且つ得られる沈殿したLDH−活性アニオン材料を収集するステップと
を有するシングルステップ共沈反応を使用することに良い手特有の利点を見出した。
【0035】
3価の金属カチオンは、原子価3+の金属イオンからなる。好ましい例としては、Al3+,Co3+,Fe3+,Mn3+,Ga3+,RH3+,RU3+,Cr3+,V3+,Ia3+,Y3+,Gd3+及びLa3+が挙げられる。2価の金属カチオンは、原子価2+の金属イオンからなる。好ましい例としては、Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Mn2+,Pd2+,Ti2+,Ca2+,Cd2+及びMg2+が挙げられる。
【0036】
好ましい1以上の3価の金属カチオンは、Al3+及び/もしくはFe3+及び/もしくはCo3+を有する。1以上の2価の金属カチオンは、Mg2+及び/もしくはCa2+及び/もしくはZn2+を有する。好ましい2価の/3価のカチオンペアは、Mg2+−Al3+,Ca2+−Al3+及びZn2+−Al3+である。
【0037】
いずれの公知の技術を使用して、例えば当該金属の塩を適当な溶媒内に溶解することにより、第1の混合金属イオン溶液を調製してよい。このような塩は、塩化物,硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩及び何れの他の都合のよく且つ可溶性の金属塩を包含してよい。好ましい金属塩は、金属硝酸塩,金属硫酸塩及び金属塩化物である。各金属イオンについて同一タイプの塩を使用することは、必要ではない。好ましい溶媒は水であるけれども、金属を溶解するいずれの他の溶媒もしくは溶媒の混合物を使用してよい。あるいは、1以上の酸、例えばHCl,HNO,HSO,もしくは有機カルボン酸、例えばメタン酸及び酢酸(ただしこれらに限定されない)内に、適当な金属を溶解してよい。
【0038】
第1の混合金属イオン溶液と、1以上の活性アニオン性化合物を含有する第2の溶液との一方もしくは両方が、不活性雰囲気下で調製され且つ維持されるならば有利である。第1の溶液及び第2の溶液の各々において使用される溶媒は、少なくとも互いに混和性であることが望ましい。そして両方の溶媒が同一であること(水が好ましい)ならば、特に好都合である。
【0039】
第2の溶液は、ある具体的温度もしくはある温度範囲に、25℃乃至100℃,好ましくは30℃乃至80℃,理想的には55℃乃至65℃,及び最も有利には60℃において加熱されてよい。
【0040】
第2の溶液を調製するとき、及びまた第1の溶液と第2の溶液との組み合わせ全体を通して、反応溶液内に溶解された活性アニオン性化合物を維持することが重要である。例えば反応混合物のpHを調節することにより、これは達成され得る。必要とされる正確なpHは、特定の活性アニオン性化合物の溶解性プロファイルに依存することになる。例えば、イブプロフェンが活性アニオン性化合物であるならば、pH9.5以上が好ましい。そして同様の条件が、ナプロキセン及びジクロフェナクに関して有利である。
【0041】
好ましいプロセスにおいて、ステップiv)で、比較的ゆっくりの添加、例えば液滴を使用して、第1の混合金属イオン溶液が、暖められた第2の溶液に添加される。但し、混合金属イオン溶液の添加は、4時間以内に、及び理想的には1乃至2時間以内に完了すべきである。最良の結果のため、添加ステップiv)の終わりで得られた反応混合物を、好ましくは不活性雰囲気下で少なくとも10分間撹拌すべきである。
【0042】
LDH−活性アニオン材料を含有する、結果として生じる沈殿物は、真空濾過により反応混合物から好都合にも回収され、そして好ましくは少なくとも2回水で洗浄され、そして真空濾過で乾燥される。
【0043】
この方法は、容易に入手可能な且つ高価でない開始物質を使用して、事実上単独の共沈ステップにおいて、有利にLDH−活性アニオン材料を製造する。上に考察された他の先行技術方法と異なり、この方法は、より大きい及び/もしくはより複雑な活性アニオン性化合物をその中にインターカレートさせるため、第2のイオン交換プロセスを利用する前に、単離及び精製されなければいけない単純なインターカレートされたアニオン、例えばNO,Cl,COを有する初期のLDH材料を形成するための第1の共沈プロセスを有しない。
【0044】
その上さらに本出願人は、ワンステップ共沈方法を使用して製造されたLDH−活性アニオン材料は、他の共沈/イオン交換方法を使用して製造された改善されたLDH−活性アニオン材料と比較して、もっと堅牢な改善されたLDH−活性アニオン材料を生成することを有利にも見出した。
【0045】
前に述べたように、本発明のプロセスは、上に考察された先行技術における方法の何れか(US2009/0108233及びUS2010/0233286に開示された共沈プロセスと、引き続く水熱ステップとを包含する)を使用して製造された同類のLDH−活性アニオン性化合物とは全く異なる、非常に高度に堅牢な構造と極めて低い合計浸出特性を備えた、顕著に改善されたLDH−活性アニオン材料を生成する。
【0046】
本発明の改善されたプロセスと、US2009/0108233及びUS2010/0233286に開示された水熱ステップとの違いは、ある移転において微妙なものである。但し、具体的実施例において下に実証されたように、本出願人により認識された具体的な加熱,撹拌,乾燥及び洗浄ステップは、生成物の堅牢性及び浸出性特性について重大な効果を有し、且つ先行技術材料が失敗することが示されてきた用途における使用に好適であるLDH−活性アニオン材料を提供する。
【0047】
全ての粒子状物質が、材料を特徴化するのに使用できるX線粉体回折パターンを示し、且つ識別目的のためのフィンガープリントを提供することは周知である。これらX線回折データ(diffractograms)において、ピークの鋭さと強度とは、結晶構造と分子秩序との指標である。事実、部分的に規則性の材料は非常にブロードなピークを有し、そしてアモルファスな材料においてX線回折データは、識別可能なピークをわずかしか、もしくは全く持たない。
【0048】
固体内のマイクロメートル未満(sub−micrometre)の粒子もしく結晶子のサイズと、回折パターンにおけるピークのブロード化とを相関させるため、
X線回折及び結晶学においてScherrerの式が使用される。Scherrerの式中、
【数1】
タウ(τ)は、規則ドメインの平均サイズであり、Kは形状因子であり、λはX線波長であり、βはラジアンでの最大強度の半値(FWHM)におけるラインブロードニングであり、θはラジアンでのBragg角度である。タウ(τ)のより大きい値が、高秩序構造を示し、かつこれは、同様により堅牢な材料を表す。本書では本出願人は、タウ値を、粒子ロバストネスファクターを算出するのに使用した。タウ値が大きいほど、粒子ロバストネスファクターは高い。
【0049】
下に考察したように、本出願人は、一方において本発明の最適化された加熱、洗浄及び乾燥手順に従い製造された改善されたLDH−活性アニオン材料の構造の堅牢性と、他方において最適化された加熱、洗浄及び乾燥手順を欠いた先行技術に従い製造された類似のLDH−活性アニオン材料の構造の堅牢性との間に違いが存在することを実証するのにX線粉体回折を使用した。具体的には、本出願人は、X線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークの各々に関してタウ値を決定するのに増減された(scaled)Scherrerの式を使用した。且つこれから、これら4個の最も優勢なピークにわたってタウの平均値を算出した。上述のように、平均タウ値が高ければ、粒子ロバストネスファクターにより実証された堅牢性の程度が高くなる。下の具体的実施例で説明されたように、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して、全てのタウ値を正規化した。
【0050】
したがって、本発明は、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して正規化したとき、粒子ロバストネスファクター、即ちX線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークについてのタウの平均値少なくとも4.0(表1〜4に記載のように決定した)を表す、改善されたLDH−活性アニオン材料を提供する。
【0051】
好ましい粒子ロバストネスファクター値少なくとも5.5及び値少なくとも7.0は、特に好ましい
【0052】
本出願人の調査の途中、本出願人は、その構造内にインターカレートされた活性アニオン性化合物を保持することにおいて、(表1〜4に記載のように決定された)粒子ロバストネスファクター少なくとも4.0を有するLDH−活性アニオン材料は、きわめて効率的であること、即ちこれらは活性アニオン性化合物の浸出について極めて低レベルを示すことを認識した。
【0053】
浸出は、イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4,好ましくは少なくともpH4.5,さらに好ましくは少なくともpH5.0及び特に好ましくは少なくともpH5.5においてLDH−活性アニオン材料から放出される活性アニオン性化合物の重量百分率である。
【0054】
浸出した活性化合物が有害な効果を生成し得るような最終使用用途にとって、例えば,味をマスキングする用途にとって、例えば口,口腔,喉頭もしくは消化管内に熱傷,不快な味もしくは刺激が生じ得る経口製薬及び/もしくは食品及び/もしくは飲料用途において、及び例えば安全性、特性、環境感度、取り扱いやすさ、等の理由からLDH内に活性アニオン性化合物が保持されなければならないその他の用途において(ただしこれらに限定されない)、低浸出特性を有する材料は、非常に有益である。
【0055】
従って本発明は、改善されたLDH−活性アニオン材料を、1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに適する溶媒で、イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4において洗浄するとき、溶媒内へ合計5重量%未満の量の1以上の活性アニオン性化合物を浸出する1以上の活性アニオン性化合物をインターカレートさせた改善されたLDH材料(LDH−活性アニオン材料)を提供する。
【0056】
イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4において改善されたLDH−活性アニオン材料を溶媒で洗浄するとき、好ましくは,合計未満2%,非常に好ましくは合計未満1%及び理想的には合計未満0.5重量%の1以上の活性アニオン性化合物が、1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに適する溶媒内へ浸出する。
【0057】
「合計」未満5%活性アニオン性化合物が本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料から浸出することが注意されよう。これは、本発明の改善された材料は、5%未満より多くは放出しないこと;特に先行技術における徐放性材料について報告されている活性アニオン性化合物の継続的な徐放は存在しないことを意味する。具体的には、イオン交換性条件が不在であり及び/又はpHが>4である間、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料内の活性アニオン性化合物は、実質的に保持される。
【0058】
本出願人は、合計浸出レベル5重量%未満は、粒子ロバストネスファクター(PRF)値少なくとも4.0を有する改善されたLDH−活性アニオン材料によって典型的には示されることを観察した。従って、味,熱傷及び/もしくは刺激がマスクされる必要があるとき、又は何か他の望ましくない効果、例えば毒性,環境感度,取り扱いやすさ、等を予防するために、活性アニオン性化合物が保持される必要があるとき、PRF少なくとも4を備えた改善されたLDH−活性アニオン材料は、理想的材料を生成する。2重量%未満の好ましい合計浸出レベルは、粒子ロバストネスファクター値少なくとも5.5を有するLDH−活性アニオン性化合物について観察される。未満0.5重量%の非常に好ましい合計浸出レベルは、粒子ロバストネスファクター値少なくとも7.0を有するLDH−活性アニオン性化合物について観察される。
【0059】
本発明は、イオン交換条件の不在下及び/おしくはpH>4においてLDHマトリックス内に保持される必要がある活性アニオン性化合物のための、貯蔵システム,キャリアもしくは送達システムとしての使用のための改善されたLDH−活性アニオン材料をさらに提供する。
【0060】
特に有用な一例は、本発明は、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して正規化したとき、粒子ロバストネス値、即ちX線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークに基づくタウの平均値、少なくとも4.0を表す、改善されたLDH−活性アニオン材料を有する味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物の提供である。
【0061】
このような味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物経口的に送達される医薬及び/もしくは食物及び/もしくは飲料用途における不味いもしくは刺激性物質の嗜好性を改善することが見出される。一人のヒトの口のpHレベルは、最近消費したもの及び当該ヒトの通常の口の健康に依存して変化する。5.6乃至7.9の範囲内のpHのように、5.5を超えるpHは正常であると通常見なされる。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、改善されたLDH−活性アニオン材料を溶媒で洗浄するとき、合計5重量%未満、好ましくは合計2%未満及び非常に好ましくは合計0.5%未満の1以上の活性アニオン性化合物を、その1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに好適な溶媒内へ浸出する、改善されたLDH−活性アニオン材料を有する味をマスクした組成物を提供する。
【0063】
上に記載された味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物は、いずれの経口もしくは非経口形態に、例えば乾いた顆粒,タブレット,水性溶液もしくは懸濁液,非水性溶液もしくは懸濁液,シロップもしくはゲル(ただしこれらに限定されない)に調合されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、先行技術のイオン交換プロセスを使用して、製造したLDH−イブプロフェンの典型的なX線粉体回折データを表す;
図2図2は、共沈プロセスにより製造されたLDH−イブプロフェンの典型的なX線粉体回折データを表す;
図3図3は、US2010/0233286A1に記載された水熱処理が続く共沈方法により製造されたLDH−イブプロフェン材料の典型的なX線粉体回折データを表す;及び
図4図4は、改善されたLDH−イブプロフェン材料を調製するため、本発明によるプロセスが続く共沈方法により製造されたLDH−イブプロフェン材料の典型的なX線粉体回折データを表す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0065】
実施例1: EP1341556に記載されたイオン交換プロセスによるMgAl(OH)(C1317)・nHOイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物の調製
出発物質:
MgAl(OH)(NO),MgAl−NO: 0.885g;3.69mmol
1318,イブプロフェン: 1.521g;7.38mmol
NaOH,水酸化ナトリウム: 0.295g;7.38mmol
方法:
丸底フラスコ内の25mlの蒸留HOにMgAl−NOを添加したものを、次いでNガス下に封入し、MgAl−NOの懸濁液を形成するため15乃至30分間超音波処理した。撹拌しながらイブプロフェンを25mlの蒸留HO内に溶解したNaOHの溶液に添加し、その間Nガスにより気泡発生させることにより、イブプロフェンの分離溶液が製造された。添加が完了したら、Nガスさらに5乃至10分間通気した。アルカリ性ナトリウムイブプロフェン溶液を、次いでMgAl−NO懸濁液に添加し、そして撹拌された混合物をNガスフロー下で60℃に加熱した。一旦60℃において、反応容器を、N下に封入し、そしてさらに48時間撹拌した。混合物全体の撹拌を維持するように努めた。得られる反応混合物を次いで真空濾過し、そして回収されたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物生成物を蒸留HOで、及び次いでアセトンで洗浄し、そして最終的に空気乾燥させた。この材料の典型的XRP回折データは、図1に示される。
【0066】
実施例2: ワンステップ共沈方法を使用するMgAl(OH)(C1317)・nHO(MgAl−イブプロフェン)の調製
硝酸マグネシウム257g及び硝酸アルミニウム189gを、丸底フラスコ内1000ml脱イオン水内で、N下で、これらが溶解するまで撹拌した。分離容器内で、活性アニオン性化合物イブプロフェン258gを、N下、1500mlの脱イオン水内で撹拌することにより溶解し、そして2M水酸化ナトリウム溶液を使用して、pHを10.0に調節した。次いでイブプロフェン溶液を80℃に加熱し、そして一旦その温度まで、添加漏斗を使用して水性金属硝酸塩溶液を液滴状に添加し、そして混合物を激しく混合した。第2の添加漏斗を通じて2M水酸化ナトリウム溶液を使用する添加の間中、pHを9.5乃至13に維持した。イブプロフェン溶液の添加は、30分乃至2時間以内に完了した。添加完了の後、反応混合物をN下でさらに10分間混合し、そして室温に冷却させた。得られるLDH−イブプロフェン化合物は、真空濾過を使用して反応混合物から単離され、回収された固体生成物を少なくとも2回1000mlの脱イオン水で洗浄することを確実にした。固体イブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物(200g)得た。図2は、この生成物材料についての典型的XRP回折データを表す。
【0067】
実施例3: US2010/0233286A1に記載された水熱処理ステップ方法を使用して、実施例2から得られたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物材料の構造の堅牢性を最適化する試み
出発物質: 実施例2の方法から得られたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物化合物(200g)
方法:
実施例2から得られた固体生成物を、3750ml脱イオン水内にできる限り均等に分散させ、そして懸濁液をオートクレーブ内で1乃至4時間150℃で加熱した。次いで懸濁液を室温に冷やし、そして回収された固体生成物を濾過、1000mlの脱イオン水で洗浄、次いで空気乾燥した。図3に、この生成物についての典型的XRP回折データを示す。
【0068】
実施例4: 改善されたLDH−イブプロフェン材料を生成するため、本発明の方法を使用して、実施例2から得られたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物材料の構造の堅牢性を最適化する
出発物質:
実施例2の方法から得られたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物化合物(200g)
方法:
実施例2で得られた固体生成物をオートクレーブ内3750mlの脱イオン水にできる限り均等に分散させ、そして撹拌しながらN下で2時間150℃に加熱した。次いで反応混合物を室温に冷やし、そして固体を真空濾過により除去した。固体を次いで1000mlの脱イオン水及び1000mlのメタノールで洗浄した。塊はバラバラにされ、そして固体を撹拌しながら真空下60℃で、恒量が達成されるまで乾燥した。図4に、この材料についての典型的XRP回折データを示す。
【0069】
結果: 実施例1、2、3及び4で製造されたイブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物化合物について、粒子ロバストネスファクターの決定
上の施例1、2、3及び4に記載された4つの方法のうちの1つを使用して、イブプロフェンアルミニウムマグネシウム水酸化物化合物のサンプルが調製され、そしてX−線回折技術を使用して各々を分析した。これらの材料についてXRP回折データが、それぞれ図1、2、3、及び4にある。次いで、X線回折パターンにおける4個の最も優勢なピークの各々についてタウ値を決定するのに、(表1〜4において定義される)式を使用した。この式から、LDH−イブプロフェン化合物の各サンプルについて、これら4個の最も優勢なピークにわたるタウの平均値(粒子ロバストネスファクター、PRF)が算出された。ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して、全てのタウ値を正規化した。結果は、表1、2、3及び4において、以下に示す。
【0070】
X線回折パターンを得るのに使用した典型的操作条件は、以下の通りである。
スリットサイズ: 発散スリット固定: 2,受容スリット: 1.52
範囲: 2〜75°2θ
x線波長=Kα1波長: 1.540598Å(オングストローム),Kα2波長: 1.544426Å
スキャンタイプ: 継続的
スキャンステップサイズ(°2θ): 0.0334225
ステップ毎の時間(秒): 280.035
【0071】
表1(脚注): イオン交換(実施例1)
[表1]
【0072】
表2(脚注): ワンステップ共沈(実施例2)
[表2]
【0073】
表3(脚注): ワンステップ共沈、次いで水熱処理(実施例3)
[表3]
【0074】
表4(脚注): ワンステップ共沈、次いで本発明の最適化方法(実施例4)
[表4]
脚注: 表1〜4について、以下の等式、スケールファクタ及び変数定義が、増減された(scaled)タウ値(Å、オングストローム)を決定するのに使用された。
増減されたタウ値(Å)=Κλ/βcos(θ)
式中、
β=(FWHM、ラジアン)の半値全幅、
β(ラジアン)=β(deg)×0.017453、
λ=1.540598Å(上述の試験条件から)、且つ、
θ、ラジアン、且つ、
Κは、増減されたタウ、λ、β、cos(θ)=0.01133についての上記値を使用する上記等式から決定される。
FMHM(β値)は、装置による拡がり(instrument broadening)に関して補正され;且つ、
粒子ロバストネスファクター(PRF)を、:
{タウ(003)+タウ(006)+タウ(009)+タウ(0012)}÷4
により決定した。
【0075】
上の表1乃至4に示された平均タウ値の比較から明らかに観察されるように、本発明の粒子最適化方法(実施例4)は、非常に堅牢なLDH−イブプロフェン化合物を製造することにおいて、非常に驚くべきことに、実施例3において利用された水熱プロセス(US2010/0233286に記載された方法から取られた)もしくは実施例1において使用されたイオン交換プロセス(EP1341556に記載された通り)のいずれかよりもきわめてもっと効率的である。従ってこれらの結果は、本発明の最適化方法は、顕著に堅牢な粒子を製造することにおいて非常に効果的であることを実証する。また上に考察したように、本出願人は、このような材料は、LDH−イブプロフェン化合物からインターカレートされたアニオン性材料の浸出を減らすこと及び/もしくはなくすことにおいて特に有用であることを見出した。LDH−活性アニオン材料から浸出する活性アニオン性化合物の%w/w量は、例えばEP1341556B1に記載されたような、当該技術で知られたいずれの都合の良い浸出方法を使用して決定してよい。
【0076】
結果:
標準分析ツールを使用して、実施例1乃至4で調製されたLDH−イブプロフェン材料のサンプルから浸出するイブプロフェンの%w/w量が決定され、そして低風味のもしくは無風味のフォーミュレーションを提供することにおいて、各サンプルが如何に効果的であるかを示すための風味データと一緒に、下の表5に示された。
【0077】
【表5】
【0078】
上の結果は、本発明の粒子最適化プロセス(実施例4)は、0.7%w/wのイブプロフェンが浸出するだけの、インターカレートされた活性アニオン性化合物をほぼ100%保持可能である改善されたLDH−イブプロフェン材料を生成することを表す。実施例3の水熱プロセスで処理された材料から浸出するのが観察された、10.7%w/wイブプロフェンと比べて、この結果はきわめて好ましく遜色ない。事実、上の結果は、US2010/0233286に記載された水熱処理方法は、実施例2で製造された材料から浸出するイブプロフェンの量を実際には増やすことを示す。
【0079】
これに加えて、上の浸出テストは、脱イオン水をLDH−イブプロフェンと5分間接触させたサンプルに対して行われた。脱イオン水を30分間接触させた並列実験は、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料について、同一の低浸出レベル結果(0.7%w/w)を生成した。これは、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料からイブプロフェンは継続的に放出されないこと、及び記録された0.7%w/wは、イオン交換条件不在下で、且つpH>4において浸出した材料の合計量であることを明らかに実証している。
【0080】
また表5における結果が実証するように、イブプロフェンに関連した熱傷/不味さは、浸出レベルが6.2%w/wのとき、口内で検知可能であるが、イブプロフェン浸出レベルが0.7%w/wであるとき検出されなかった。従って、上の浸出テストにより決定された0.7%w/wイブプロフェンは、ヒトによる苦味/刺激検知についての有利には閾値以下であり、及び従って本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料は、風味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクしたフォーミュレーションの調製において使用するのに非常に好適である。
図1
図2
図3
図4