【発明が解決しようとする課題】
【0014】
要約すると、上に考察された豊富な文献及び特許文献から、活性アニオン性化合物の放出を減速させるための、及びそれにより制御された放出調製物を
提供するための手段として、インターカレートされたLDH−活性アニオン材料を使用することが周知であるということが明らかである。しかしながら、本発明は、このような調製物を提供することに関係しない。その代わり、本発明は、以下に定義されるように非常に堅牢であり、且つ非浸出性である改善されたLDH−活性アニオン材料
を開発することに関する。「非浸出性」とは、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料が一方において、pH4以下において活性アニオンを送達可能であるが、他方において、イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpH4を超えた環境内に存在する場合、LDH構造内に活性アニオン性化合物の実質的に全てを保持可能であることを意味する。本発明は、イオン交換条件の不在下及び/もしくはpH>4でいずれの有意な量の活性アニオン性化合物を経時的に放出しない、特に改善されたLDH−活性アニオン材料に関わる。活性アニオン性化合物は、実質的にLDHマトリックス内に保持されている。本発明によりカバーされる調製物は、医薬的及び/もしくは非医薬的活性を備えた活性アニオンを包含可能であり(ただしこれらに限定されない)、且つ健康上、安全性、毒性、使いやすさ及び/もしくは取り扱いやすさの理由から、イオン交換条件が不在であり及び/もしくはpHが>4であるとき、LDHマトリックス内に実質的に保持されることが必要とされる、いずれの活性アニオンを包含する。
【0015】
口,口腔,喉頭もしくは消化管内の不味さ,苦味,熱傷(burn)及び刺激は、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)gaba類似体及び抗生物質を包含する(ただしこれらに限定されない)、経口的に送達されるドラッグクラスの多くのフォーミュレーションにとって問題である。これらの問題は、患者の、特に小児科患者グループ内で不承諾をもたらす。その上さらに製剤と同様に、消費者に対して成分の許容性を妨げるような不快で苦い味の成分を有する多数の食品及び飲料製品及び充填剤(bulking agents)が存在する。
【0016】
以降、単独でもしくはいずれの薬剤、健康補助食品、医薬品、非医薬品、食品、もしくは飲料フォーミュレーション、調製物もしくはレシピにおいて、医薬的に活性であってもなくてもよく、消費者もしくは患者によって、口,口腔,喉頭もしくは消化管内で体験されるいずれかの許容しがたい味、苦味、熱傷、刺激もしくはいずれか他の許容しがたい感覚をもたらすいずれかの成分を定義するのに、「不味いもしくは刺激性の物質」を使用する。
【0017】
経口的に送達される医薬及び/もしくは他の食用できるフォーミュレーション内の不味いもしくは刺激性の物質の嗜好性を改善するための先行技術方法は、消費者の口,口腔,喉頭もしくは消化管内の味蕾及び/もしくは他のレセプタに対し、不味いもしくは刺激性の物質の有効性を効果的に上書きする、隠すもしくは減ずるため、多数の異なる味マスキング戦略を使用する。例えばタブレット及び非タブレットプロダクト(例えばシロップ,懸濁液,液体及び口腔内崩壊顆粒)において、味マスキングは、フォーミュレーションに対し余分の成分(例えばフレーバー,甘味料及びアミノ酸)の添加を有し得る。あるいは、不味いもしくは刺激性の物質の粒子もしくはフォーミュレーション全体(例えばパウダーもしくはタブレット)のいずれかを、いろいろな種類のポリマー、例えば親水性もしくは親油性高分子材料、例えばデンプン,ゼラチン,レシチン,メチルセルロースもしくはエチルセルロースから選択されるコーティングでカプセル化してよい。他の味マスキング技術は、慣用の粒状化;脂質との噴霧凝固;シクロデキストリン、リポソーム、イオン交換樹脂との錯体の形成;フリーズドライプロセス;多層エマルション;塩及び高分子膜を使用する。味マスキング方法についての考察は、Sohietal.,Drug Development and Industrial Pharmacy,2004,30,5 pp429−448になされている。
【0018】
被覆方法を使用して経口フォーミュレーション内の不味いもしくは刺激性の物質の味をマスキングするとき、ゴールは、不味いもしくは刺激性の物質、もしくはフォーミュレーション全体をコーティングでカバーすることである。フォーミュレーションが患者若しくは消費者の口内ある限り、コーティングは原位置に留まることになる。但し、活性アニオン性化合物が活性医薬である場合、これは薬効を損い得るので、活性アニオン性化合物の溶解プロファイルにコーティングが干渉するほど長い間ではない。この潜在的落し穴と同様に、追加された成分の結果だけでなく、製造に必要とされる余分な加工時間の結果として、コーティングはまた多くのコストを加える。
【0019】
錯体化を介する味,熱傷及び/もしくは刺激のマスキングは、錯化剤と分子レベルでの錯体を形成する不味いもしくは刺激性の物質を伴う。本質的に、錯化剤はファンデルワールス力を使用して、不味いもしくは刺激性の物質に弱く結合し、且つそれにより、不味いもしくは刺激性の物質が味蕾,口,口腔,喉頭もしくは消化管に曝露される程度を減らす。この技術を開示する先行技術は、以下のものを包含する:特開平03−236316(Kurasumi et al.);
US5024997(Motolaetal.);
特開平02−291244(Ikezuki);
Manek and Kamat,Indian J. Pharm. Sci., 1981,43,11−12,209−212;
EP0501763 (Honeysett et al.);
US6514492 (Gao et al.);
Agarwal et al., Drug Dev. Ind. Pharm.,2000,26,7,773−776。
【0020】
ただし、錯体化テクノロジーは、再び製造のコストと時間に加わり、且つこれらはもっぱら比較的少量の不味いもしくは刺激性の物質を含有するフォーミュレーションに、例えば低投与量ドラッグにおいて好適である。加えて、錯体化は、必ずしも不味いもしくは刺激性の物質の構造全体をカプセル化するのではなく、口,口腔,喉頭もしくは消化管内の細胞レセプターとの自由に相互作用する構造の部分を残す。依って、味,苦味,熱傷,もしくは刺激は、この方法により完全には打ち消されないかもしれない。
【0021】
コーティングと同様、錯化剤は、不味いもしくは刺激性の物質の放出プロファイルに影響し得るし、且つ上述のように、不味いもしくは刺激性の物質が医薬的に活性な材料である場合、これは薬効に対する影響を有し得る。例えば、イオン交換樹脂錯体は、消化管(GIT)内で適切に荷電されたイオンと交換することにより錯体化された医薬的に活性な材料を放出するように設計され得る。このようにして、これら錯体は、樹脂から遊離の医薬的に活性な材料の拡散を可能にする。この交換は、フォーミュレーションからのドラッグの即時放出をもたらさないかもしれず、そしてこのことがドラッグ溶解プロファイルを妨害する。
【0022】
先行技術は、物質が不味い程度を決定するための複数の方法をも記載する。例えば、苦味官能に関するアッセイが、J. D. Boughter Jr et al,in Chemical Senses 2001,Vol27,issue 2 pp133−142により報告される;そしてOpertech Bio, Inc社は、彼らのウェブサイトopertechbio.comにおいて味質と嗜好性とを測定するための高スループットシステムの詳細を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、新規の改善されたインターカレートさせたLDH−活性アニオン材料を、特にイオン交換条件の不在下及び/もしくはpH4を超える環境内で、非常に堅牢な且つLDHからの活性アニオン性化合物の浸出に対して高耐性であるものを対象とする。このような改善された材料は、医薬及び非医薬用途を包含する広範囲の貯蔵,キャリア及び送達システム用途において有用である。
【0024】
本発明は、特にイオン交換条件の不在下及び/もしくはpH4を超える条件下で、非常に堅牢な且つ浸出に対して高耐性である改善されたインターカレートさせたLDH−活性アニオン材料の製造のための、単純で対費用効果の高い且つ信頼できるプロセスをも対象とする
【0025】
本発明は、特に医薬及び非医薬用途のいずれにも適した、高効率的に味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物を提供することを対象とする。
【0026】
用語「活性アニオン性化合物」及び「活性アニオン」を本書において相互交換可能に使用し、且つアニオン性であり(即ち負電荷を有する分子)又はアニオン
生成部分を有するいずれの分子もしくは化合物、例えばアニオン性分子の塩を包含すると解釈される。アニオン性化合物もしくはアニオンは、それが化学的、物理的、生理学的もしくは薬学的効果を生成するという意味において「活性」であると本書において解釈される。この効果は、動物もしくは人体内で認識されてもされなくてもよい。好適な活性アニオン性化合物は単純なアニオンであってよい一方で、他のものは、大きく且つ/もしくは単純アニオンよりも複雑な構造を有し、且つ染料化合物、農薬、医薬に使用される添加物、栄誉補助食品及びビタミンサプリメント、食品もしくは飲料及び製剤(全てヒト若しくは動物用途のため)を包含してよい(ただしこれらに限定されない)。医薬的効果を生成する好ましい活性アニオン性化合物は、NSAIDSの種類、gaba類似体、抗生物質、スタチン、アンジオテンシン変換
酵素(ACE)阻害薬、抗ヒスタミン、ドーパミン前駆体、抗菌剤、精神刺激薬、プロスタグランジン、抗うつ薬、抗けいれん薬、凝固剤、抗癌剤、免疫抑制剤及び緩下剤を包含してよい(ただしこれらに限定されない)。
【0027】
本出願人は、本発明である固有の混合,加熱,洗浄及び乾燥手順を使用すると、LDH−活性アニオン材料,例えばいずれの公知方法(例えば、
LDHを生成するための共沈プロセス、その後活性アニオンをインターカレートさせるためのイオン交換反応、又は
活性アニオンと金属塩とを有するシングルステップ共沈プロセス)
により製造された物の堅牢性及び性能特性が、具体的にはイオン交換条件の不在下もしくは4を超えるpHにおいて、非常に堅牢且つ実質的に非浸出性LDH活性アニオン材料へと改善されることを見出した。
【0028】
従って本発明は、以下のステップ:
a)LDH活性アニオン出発物質を液体分散剤内に分散させ、次いで得られる懸濁液を加熱し且つ撹拌するステップと;
b)加熱された懸濁液を冷却し、且つ前記懸濁液から加熱処理されたLDH活性アニオン性化合物を分離するステップと;
c)改善されたLDH活性アニオン性化合物を得るため、加熱処理されたLDH活性アニオン性化合物を洗浄し且つ恒量まで乾燥するステップと
を有する、改善されたアニオン材料の製造方法を提供する。
【0029】
好適な液体分散剤は、脱イオン水、及びいずれの他の液体(当該他の液体は、開始物質もしくは改善されたLHD−活性アニオン材料のいずれも溶解しない)を包含する。いずれの好適な反応容器を使用してよい。好ましい反応容器は、オートクレーブ,圧力容器,もしくは標準反応容器であり、且ついずれの好適な圧力における不活性雰囲気下(例えば窒素)にあってよい。具体的には、高圧条件は必須ではない。ステップa)において使用される理想温度は、ある具体的温度もしくはある温度範囲のいずれかであり、且つ50℃乃至200℃、好ましくは80℃乃至180℃及び最も有利には150℃である。
【0030】
ステップa)における撹拌は、プロセスにおける重要なステップである。先行技術に記載された水熱プロセスは、撹拌の必要性を暗黙的に乃至明示的に示唆も、開示も、提案もしない。そして以下の具体的実施例において、本出願人は、撹拌がないと、本発明の非浸出性である利点を提供するには、得られる生成物の堅牢性は低すぎることを実証した。「撹拌」とは、改善されたLDH−活性アニオン材料を製造するプロセスの間に関して、ステップa)における反応物質を混合,回転させるもしくは普通に動かすのに役立ついずれの手段、いずれの好適な手段を包含する。好ましい撹拌の手段は、1以上の振動、振盪及び激しい撹拌を包含する。望ましい撹拌速度は、800rpm乃至1200rpmの範囲内にある。「撹拌」は、アニールされた堅牢な粒子を生成するため、懸濁液内の優れた熱伝導を促進するのに重要である。従って「撹拌」は、堅牢な粒子を生成するため、ステップa)において形成された懸濁液内の優れた熱伝導を促進するいずれの手段をも包含する。
【0031】
加熱期間は、1乃至72時間,好ましくは8時間未満及び理想的には約2時間であり得る。
【0032】
室温まで冷却後、真空濾過を使用して、熱処理されたLDH−活性アニオン材料を便宜的に懸濁液から分離してよい。そして表面からいずれの残留遊離活性アニオン性化合物を除去するため、分離された熱処理された材料を液体で1回以上洗浄した後に、結果として改善されたLDH−活性アニオン材料を得る。これを達成するための好適な液体は、脱イオン水を包含する。改善されたLDH−活性アニオン材料の表面から残留水を除去するため、さらなる洗浄液体、例えばメタノールもしくはアセトンを使用するとき、さらに改善された結果がえられる。
【0033】
好ましくは、いずれの塊を分解するため、篩にかけ、脱塊化し (de−lumped)及び/もしくはクラッシュした材料に対して、ステップc)における乾燥を行う。これは、さらに改善された結果を再び与える効率的な乾燥プロセスを保証する。真空下で及び理想的には少なくとも50℃の昇温で乾燥を行ってよい。及びさらに乾燥手順の際に生成物が撹拌されるとき、さらなる強化が得られる。
【0034】
上に記載したように、いずれの公知の方法を使用してLDH−活性アニオン出発物質を製造してよいにもかかわらず、本出願人は、以下のステップ:
i)a)1以上の3価の金属カチオンと、b)1以上の2価の金属カチオンとを含有する第1の混合金属イオン溶液を形成するステップと;
ii)1以上の活性アニオン性化合物を含有する第2の溶液を形成するステップと;
iii)得られる第2の溶液を、25℃を超える温度に加熱するステップと;
iv)第1の混合金属イオン溶液と、暖められた第2の溶液とを激しい撹拌によって組み合わせ;且つ得られる沈殿したLDH−活性アニオン材料を収集するステップと
を有するシングルステップ共沈反応を使用することに良い手特有の利点を見出した。
【0035】
3価の金属カチオンは、原子価3+の金属イオンからなる。好ましい例としては、Al
3+,Co
3+,Fe
3+,Mn
3+,Ga
3+,RH
3+,RU
3+,Cr
3+,V
3+,Ia
3+,Y
3+,Gd
3+及びLa
3+が挙げられる。2価の金属カチオンは、原子価2+の金属イオンからなる。好ましい例としては、Fe
2+,Co
2+,Ni
2+,Cu
2+,Zn
2+,Mn
2+,Pd
2+,Ti
2+,Ca
2+,Cd
2+及びMg
2+が挙げられる。
【0036】
好ましい1以上の3価の金属カチオンは、Al
3+及び/もしくはFe
3+及び/もしくはCo
3+を有する。1以上の2価の金属カチオンは、Mg
2+及び/もしくはCa
2+及び/もしくはZn
2+を有する。好ましい2価の/3価のカチオンペアは、Mg
2+−Al
3+,Ca
2+−Al
3+及びZn
2+−Al
3+である。
【0037】
いずれの公知の技術を使用して、例えば当該金属の塩を適当な溶媒内に溶解することにより、第1の混合金属イオン溶液を調製してよい。このような塩は、塩化物,硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩及び何れの他の都合のよく且つ可溶性の金属塩を包含してよい。好ましい金属塩は、金属硝酸塩,金属硫酸塩及び金属塩化物である。各金属イオンについて同一タイプの塩を使用することは、必要ではない。好ましい溶媒は水であるけれども、金属を溶解するいずれの他の溶媒もしくは溶媒の混合物を使用してよい。あるいは、1以上の酸、例えばHCl,HNO
3,H
2SO
4,もしくは有機カルボン酸、例えばメタン酸及び酢酸(ただしこれらに限定されない)内に、適当な金属を溶解してよい。
【0038】
第1の混合金属イオン溶液と、1以上の活性アニオン性化合物を含有する第2の溶液との一方もしくは両方が、不活性雰囲気下で調製され且つ維持されるならば有利である。第1の溶液及び第2の溶液の各々において使用される溶媒は、少なくとも互いに混和性であることが望ましい。そして両方の溶媒が同一であること(水が好ましい)ならば、特に好都合である。
【0039】
第2の溶液は、ある具体的温度もしくはある温度範囲に、25℃乃至100℃,好ましくは30℃乃至80℃,理想的には55℃乃至65℃,及び最も有利には60℃において加熱されてよい。
【0040】
第2の溶液を調製するとき、及びまた第1の溶液と第2の溶液との組み合わせ全体を通して、反応溶液内に溶解された活性アニオン性化合物を維持することが重要である。例えば反応混合物のpHを調節することにより、これは達成され得る。必要とされる正確なpHは、特定の活性アニオン性化合物の溶解性プロファイルに依存することになる。例えば、イブプロフェンが活性アニオン性化合物であるならば、pH9.5以上が好ましい。そして同様の条件が、ナプロキセン及びジクロフェナクに関して有利である。
【0041】
好ましいプロセスにおいて、ステップiv)で、比較的ゆっくりの添加、例えば液滴を使用して、第1の混合金属イオン溶液が、暖められた第2の溶液に添加される。但し、混合金属イオン溶液の添加は、4時間以内に、及び理想的には1乃至2時間以内に完了すべきである。最良の結果のため、添加ステップiv)の終わりで得られた反応混合物を、好ましくは不活性雰囲気下で少なくとも10分間撹拌すべきである。
【0042】
LDH−活性アニオン材料を含有する、結果として生じる沈殿物は、真空濾過により反応混合物から好都合にも回収され、そして好ましくは少なくとも2回水で洗浄され、そして真空濾過で乾燥される。
【0043】
この方法は、容易に入手可能な且つ高価でない開始物質を使用して、事実上単独の共沈ステップにおいて、有利にLDH−活性アニオン材料を製造する。上に考察された他の先行技術方法と異なり、この方法は、より大きい及び/もしくはより複雑な活性アニオン性化合物をその中にインターカレートさせるため、第2のイオン交換プロセスを利用する前に、単離及び精製されなければいけない単純なインターカレートされたアニオン、例えばNO
3−,Cl
−,CO
3−を有する初期のLDH材料を形成するための第1の共沈プロセスを有しない。
【0044】
その上さらに本出願人は、ワンステップ共沈方法を使用して製造されたLDH−活性アニオン材料は、他の共沈/イオン交換方法を使用して製造された改善されたLDH−活性アニオン材料と比較して、もっと堅牢な改善されたLDH−活性アニオン材料を生成することを有利にも見出した。
【0045】
前に述べたように、本発明のプロセスは、上に考察された先行技術における方法の何れか(US2009/0108233及びUS2010/0233286に開示された共沈プロセスと、引き続く水熱ステップとを包含する)を使用して製造された同類のLDH−活性アニオン性化合物とは全く異なる、非常に高度に堅牢な構造と極めて低い合計浸出特性を備えた、顕著に改善されたLDH−活性アニオン材料を生成する。
【0046】
本発明の改善されたプロセスと、US2009/0108233及びUS2010/0233286に開示された水熱ステップとの違いは、ある移転において微妙なものである。但し、具体的実施例において下に実証されたように、本出願人により認識された具体的な加熱,撹拌,乾燥及び洗浄ステップは、生成物の堅牢性及び浸出性特性について重大な効果を有し、且つ先行技術材料が失敗することが示されてきた用途における使用に好適であるLDH−活性アニオン材料を提供する。
【0047】
全ての粒子状物質が、材料を特徴化するのに使用できるX線粉体回折パターンを示し、且つ識別目的のためのフィンガープリントを提供することは周知である。これらX線回折データ(diffractograms)において、ピークの鋭さと強度とは、結晶構造と分子秩序との指標である。事実、部分的に規則性の材料は非常にブロードなピークを有し、そしてアモルファスな材料においてX線回折データは、識別可能なピークをわずかしか、もしくは全く持たない。
【0048】
固体内のマイクロメートル未満(sub−micrometre)の粒子もしく結晶子のサイズと、回折パターンにおけるピークのブロード化とを相関させるため、
X線回折及び結晶学においてScherrerの式が使用される。Scherrerの式中、
【数1】
タウ(τ)は、規則ドメインの平均サイズであり、Kは形状因子であり、λはX線波長であり、βはラジアンでの最大強度の半値(FWHM)におけるラインブロードニングであり、θはラジアンでのBragg角度である。タウ(τ)のより大きい値が、高秩序構造を示し、かつこれは、同様により堅牢な材料を表す。本書では本出願人は、タウ値を、粒子ロバストネスファクターを算出するのに使用した。タウ値が大きいほど、粒子ロバストネスファクターは高い。
【0049】
下に考察したように、本出願人は、一方において本発明の最適化された加熱、洗浄及び乾燥手順に従い製造された改善されたLDH−活性アニオン材料の構造の堅牢性と、他方において最適化された加熱、洗浄及び乾燥手順を欠いた先行技術に従い製造された類似のLDH−活性アニオン材料の構造の堅牢性との間に違いが存在することを実証するのにX線粉体回折を使用した。具体的には、本出願人は、
X線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークの各々に関してタウ値を決定するのに
増減された(scaled)Scherrer
型の式を使用した。且つこれから、これら4個の最も優勢なピークにわたってタウの平均値を算出した。上述のように、平均タウ値が高ければ、粒子ロバストネスファクターにより実証された堅牢性の程度が高くなる。下の具体的実施例で
説明されたように、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して、全てのタウ値を正規化した。
【0050】
したがって、本発明は、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して正規化したとき、粒子ロバストネスファクター、即ちX線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークについてのタウの平均値少なくとも4.0
(表1〜4に記載のように決定した)を表す、改善されたLDH−活性アニオン材料を提供する。
【0051】
好ましい粒子ロバストネスファクター値少なくとも5.5及び値少なくとも7.0は、特に好ましい
。
【0052】
本出願人の調査の途中、本出願人は、その構造内にインターカレートされた活性アニオン性化合物を保持することにおいて、(
表1〜4に記載のように決定された)粒子ロバストネスファクター少なくとも4.0を有するLDH−活性アニオン材料は、きわめて効率的であること、即ちこれらは活性アニオン性化合物の浸出について極
めて低レベルを示すことを認識した。
【0053】
浸出は、イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4,好ましくは少なくともpH4.5,さらに好ましくは少なくともpH5.0及び特に好ましくは少なくともpH5.5においてLDH−活性アニオン材料から放出される活性アニオン性化合物の重量百分率である。
【0054】
浸出した活性化合物が有害な効果を生成し得るような最終使用用途にとって、例えば,味をマスキングする用途にとって、例えば口,口腔,喉頭もしくは消化管内に熱傷,不快な味もしくは刺激が生じ得る経口製薬及び/もしくは食品及び/もしくは飲料用途において、及び例えば安全性、特性、環境感度、取り扱いやすさ、等の理由からLDH内に活性アニオン性化合物が保持されなければならないその他の用途において(ただしこれらに限定されない)、低浸出特性を有する材料は、非常に有益である。
【0055】
従って本発明は、改善されたLDH−活性アニオン材料を、1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに適する溶媒で、イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4において洗浄するとき、溶媒内へ合計5重量%未満の量の1以上の活性アニオン性化合物を浸出する1以上の活性アニオン性化合物をインターカレートさせた改善されたLDH材料(LDH−活性アニオン材料)を提供する。
【0056】
イオン交換条件の不在下、及び/もしくはpH>4において改善されたLDH−活性アニオン材料を溶媒で洗浄するとき、好ましくは,合計未満2%,非常に好ましくは合計未満1%及び理想的には合計未満0.5重量%の1以上の活性アニオン性化合物が、1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに適する溶媒内へ浸出する。
【0057】
「合計」未満5%
の活性アニオン性化合物が本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料から浸出することが注意されよう。これは、本発明の改善された材料は、5%未満より多くは放出しないこと;特に先行技術における徐放性材料について報告されている活性アニオン性化合物の継続的な徐放は存在しないことを意味する。具体的には、イオン交換性条件が不在であり
及び/又はpHが>4である間、本発明の改善されたLDH−活性アニオン材料内の活性アニオン性化合物は、実質的に保持される。
【0058】
本出願人は、合計浸出レベル5重量%未満は、粒子ロバストネスファクター(PRF)値少なくとも4.0を有する改善されたLDH−活性アニオン材料によって典型的には示されることを観察した。従って、味,熱傷及び/もしくは刺激がマスクされる必要があるとき、又は何か他の望ましくない効果、例えば毒性,環境感度,取り扱いやすさ、等を予防するために、活性アニオン性化合物が保持される必要があるとき、PRF少なくとも4を備えた改善されたLDH−活性アニオン材料は、理想的材料を生成する。2重量%未満の好ましい合計浸出レベルは、粒子ロバストネスファクター値少なくとも5.5を有するLDH−活性アニオン性化合物について観察される。未満0.5重量%の非常に好ましい合計浸出レベルは、粒子ロバストネスファクター値少なくとも7.0を有するLDH−活性アニオン性化合物について観察される。
【0059】
本発明は、イオン交換条件の不在下及び/おしくはpH>4においてLDHマトリックス内に保持される必要がある活性アニオン性化合物のための、貯蔵システム,キャリアもしくは送達システムとしての使用のための改善されたLDH−活性アニオン材料をさらに提供する。
【0060】
特に有用な一例は、本発明は、ゼロバックグラウンド強度シリコンウエハ標準を使用して正規化したとき、粒子ロバストネス値、即ちX線粉体回折により得られた4個の最も優勢なピークに基づくタウの平均値、少なくとも4.0を表す、改善されたLDH−活性アニオン材料を有する味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物の提供である。
【0061】
このような味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物経口的に送達される医薬及び/もしくは食物及び/もしくは飲料用途における不味いもしくは刺激性物質の嗜好性を改善することが見出される。一人のヒトの口のpHレベルは、最近消費したもの及び当該ヒトの通常の口の健康に依存して変化する。5.6乃至7.9の範囲内のpHのように、5.5を超えるpHは正常であると通常見なされる。
【0062】
さらなる態様において、本発明は、改善されたLDH−活性アニオン材料を溶媒で洗浄するとき、合計5重量%未満、好ましくは合計2%未満及び非常に好ましくは合計0.5%未満の1以上の活性アニオン性化合物を、その1以上の活性アニオン性化合物を溶解するのに好適な溶媒内へ浸出する、改善されたLDH−活性アニオン材料を有する味をマスクした組成物を提供する。
【0063】
上に記載された味,熱傷及び/もしくは刺激をマスクした組成物は、いずれの経口もしくは非経口形態に、例えば乾いた顆粒,タブレット,水性溶液もしくは懸濁液,非水性溶液もしくは懸濁液,シロップもしくはゲル(ただしこれらに限定されない)に調合されてよい。