(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363091
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ニードルアセンブリマガジン
(51)【国際特許分類】
A61M 5/158 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
A61M5/158 500Z
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-545751(P2015-545751)
(86)(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-536222(P2015-536222A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2013075135
(87)【国際公開番号】WO2014086684
(87)【国際公開日】20140612
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】12196101.5
(32)【優先日】2012年12月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・スティール
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リチャード・ドレイパー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・バトラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ケイブ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・リチャード・マーサー
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ルイーズ・スレイデン
【審査官】
胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第01/093927(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0312604(US,A1)
【文献】
特表2006−527622(JP,A)
【文献】
特開2012−045384(JP,A)
【文献】
特表2010−534542(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/048753(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニードルアセンブリマガジン(2)であって、
薬剤送達デバイス(1)を受けるように適用された近位開口部、およびニードルアセンブリ(8)の針(8’)を受けるように適用された遠位開口部を有するカップリング(9)を含むハウジング(6)と、
該ハウジング(6)に連結され、カップリング(9)の該遠位開口部と軸方向で心合わせされた開口部(22)を有し、ハウジング(6)に対して伸長位置から後退位置に並進運動可能である、ニードルガード(10)と、
該ニードルガード(10)に回転可能に連結され、複数のニードルアセンブリ(8)を保持するように適用されたニードルアセンブリキャリア(7)とを含み、
ここで、該ニードルアセンブリキャリア(7)が回転することにより、1つのニードルアセンブリ(8)をカップリングの前記遠位開口部およびニードルガードの前記開口部(22)と心合わせし、
ニードルアセンブリキャリア(7)は、近位プレート(25)および遠位プレート(24)を含み、プレート(24、25)のそれぞれは、ニードルアセンブリ(8)を保持するための開口部を含み、
伸長位置から後退位置へのニードルガード(10)の動きが、ニードルアセンブリ(8)の針(8’)の近位先端がカップリング(9)の遠位開口部から突出し、および針(8’)の遠位先端がニードルガード(10)の遠位開口部(22)から突出するようにニードルアセンブリ(8)のニードルハブ(17)の動きを起こす、
前記ニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項2】
カップリング(9)は、薬剤送達デバイス(1)の遠位端に係合するように適用されたねじ山、バヨネット配置、摩擦嵌め配置またはスナップ嵌め配置を含む、請求項1に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項3】
ニードルガード(10)を伸長位置で付勢するガードばね(11)をさらに含む、請求項1または2に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項4】
針(8’)は近位先端および遠位先端を有し、ニードルアセンブリ(8)は、針(8’)を保持するように適用されたニードルハブ(17)をさらに含み、ニードルハブ(17)は、ニードルアセンブリキャリア(7)の開口部(18)に摺動可能に配置され、ニードルアセンブリキャリア(7)に対して後退位置から伸長位置に動くことができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項5】
ニードルアセンブリ(8)は、ニードルアセンブリ(8)を後退位置で付勢するニードルばね(18)をさらに含む、請求項4に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項6】
ニードルアセンブリキャリア(7)は、ニードルガード(10)の弾性アーム(14)に係合するように適用されたラチェット(15)を含み、弾性アーム(14)は、ニードルアセンブリキャリア(7)が第1の回転方向に回転するときに、ラチェット(15)が係合することにより偏向し、ラチェット(15)に当接して、ニードルアセンブリキャリア(7)が第2の回転方向に回転することを阻止する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項7】
ニードルアセンブリキャリア(7)は複数のグリップ機能を含み、グリップ機能の少なくとも1つはニードルガード(10)の切欠き(16)から延びる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項8】
ニードルガード(10)が伸長位置から後退位置に動くことにより、ニードルハブ(17)がハウジング(6)に当接し、後退位置から伸長位置に動いて、(i)針(8’)の近位先端をカップリング(9)の遠位開口部から突出し、(ii)針(8’)の遠位先端をニードルガード(10)の遠位開口部(22)から突出する、請求項3または5に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項9】
少なくとも1つの印がニードルアセンブリキャリア(7)に配置され、少なくとも1つの印のうちの少なくとも1つは、ニードルガード(10)の切欠き(16)を通して見ることができる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項10】
少なくとも1つの印は、数字、図、画像、単語、または色を含む、請求項9に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項11】
近位プレート(25)を遠位プレート(24)に対して付勢するキャリアばね(26)をさらに含む、請求項1に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項12】
近位プレート(25)は、ハウジング(6)の駆動歯(27)に係合するように適用された軌道(28)を有するステムを含む、請求項1に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項13】
軌道(28)は、傾斜部分(28.2)によって連結された第1の長手方向チャネル(28.1)および第2の長手方向チャネルを含む、請求項12に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項14】
ハウジング(6)に連結され、近位プレート(25)に係合するように適用されたボタン(23)をさらに含む、請求項1および11〜13のいずれか1項に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項15】
ハウジング(6)に対するボタン(23)の、伸長位置から後退位置への軸方向運動に
より駆動歯(27)が第1の長手方向チャネル(28.1)内で軸方向に移動し、ハウジング(6)に対するボタン(23)の、後退位置から伸長位置への動きにより駆動歯(27)が傾斜部分(28.2)に沿って第2の長手方向チャネルに移動して、近位プレート(25)をニードルガード(10)に対して回転させる、請求項13または14に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【請求項16】
ボタン(23)を伸長位置で付勢するボタンばね(29)
をさらに含む、請求項15に記載のニードルアセンブリマガジン(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はニードルアセンブリマガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薬剤送達デバイスは一般に、薬剤容器と針の間に流体経路を生み出すためのニードルアセンブリを必要とする。使用済み針の再使用に伴う相互汚染、感染および痛みの危険を低減するために、どの注射でも未使用の注射針を使用することが一般に推奨される。
【0003】
ペン型注射器および自動注射器などの薬剤送達デバイスの多くの使用者は、高齢であることも、器用さが低下していることもある。これらの人々にとって、ニードルアセンブリを送達デバイスに取り付けることは、ニードルアセンブリが正しい方向に向けられていない場合、薬剤の流体経路を不通にすることや、痛みを伴う注射作業になることがあり、問題となり得る。さらに、使用済み注射針を取り外すことは困難なことがあり、また使用者を針刺傷の危険にさらす可能性がある。一般に針は、針刺傷を回避するために注意して取り外すことが推奨される。
【0004】
さらに、薬剤送達デバイスの使用者は、例えば旅行のときに、複数のニードルアセンブリを携行する必要がある。現在、未使用のニードルアセンブリは、特に携帯用ではない大型の箱に収容されている。
【0005】
したがって、薬剤送達デバイスへのニードルアセンブリの取付けおよび取外しを容易にし、かつ複数のニードルアセンブリの携帯性を向上するニードルアセンブリマガジンの改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改善されたニードルアセンブリマガジンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態では、本発明によるニードルアセンブリマガジンは、薬剤送達デバイスを受けるように適用された近位開口部、およびニードルアセンブリの針を受けるように適用された遠位開口部を有するカップリングを含むハウジングと、ハウジングに連結され、カップリングの遠位開口部と軸方向で心合わせされた開口部を有するニードルガードと、ニードルガードに回転可能に連結され、複数のニードルアセンブリを保持するように適用されたニードルアセンブリキャリアとを含む。ニードルアセンブリキャリアが回転することにより、1つのニードルアセンブリを遠位開口部および開口部と心合わせする。
【0008】
例示的な実施形態では、カップリングは、薬剤送達デバイスの遠位端に係合するように適用されたねじ山、バヨネット配置、摩擦嵌め配置またはスナップ嵌め配置を含む。
【0009】
例示的な実施形態では、ニードルガードは、ハウジングに対して伸長位置から後退位置に並進運動可能である。
【0010】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリマガジンは、ニードルガードを伸長位置で付勢するガードばねをさらに含む。
【0011】
例示的な実施形態では、針は近位先端および遠位先端を有し、ニードルアセンブリは、針を保持するように適用されたニードルハブをさらに含む。ニードルハブは、ニードルアセンブリキャリアの開口部に摺動可能に配置され、ニードルアセンブリキャリアに対して後退位置から伸長位置に動くことができる。ニードルアセンブリは、ニードルアセンブリを後退位置で付勢するニードルばねをさらに含む。
【0012】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリキャリアは、ニードルガードの弾性アームに係合するように適用されたラチェットを含む。弾性アームは、ニードルアセンブリキャリアが第1の回転方向に回転するときに、ラチェットが係合することにより偏向し、ラチェットに当接して、ニードルアセンブリキャリアが第2の回転方向に回転することを阻止する。
【0013】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリキャリアは複数のグリップ機能を含み、ここで、グリップ機能の少なくとも1つはニードルガードの切欠きから延びる。
【0014】
例示的な実施形態では、ニードルガードが伸長位置から後退位置に動くことにより、ニードルハブがハウジングに当接し、後退位置から伸長位置に動いて、(i)針の近位先端をカップリングの遠位開口部から突出し、(ii)針の遠位先端をニードルガードの遠位開口部から突出する。
【0015】
例示的な実施形態では、少なくとも1つの印がニードルアセンブリキャリアに配置され、少なくとも1つの印のうちの少なくとも1つは、ニードルガードの切欠きを通して見ることができる。少なくとも1つの印は、数字、図、画像、単語、または色を含む。
【0016】
例示的な実施形態ではニードルアセンブリキャリアは、近位プレートおよび遠位プレートを含む。プレートのそれぞれは、ニードルアセンブリを保持するための開口部を含む。キャリアばねが、近位プレートを遠位プレートに対して付勢する。近位プレートは、ハウジングの駆動歯に係合するように適用された軌道を有するステムを含む。軌道は、傾斜部分によって連結された第1の長手方向チャネルおよび第2の長手方向チャネルを含む。
【0017】
例示的な実施形態では、ボタンをハウジングに連結し、近位プレートに係合するように適用することができる。ハウジングに対するボタンの、伸長位置から後退位置への軸方向運動により駆動歯が第1の長手方向チャネル内で軸方向に移動し、ハウジングに対するボタンの、後退位置から伸長位置への動きにより駆動歯が傾斜部分に沿って第2の長手方向チャネルに移動し、それによって近位プレートをニードルガードに対して回転させる。ボタンばねが、ボタンを伸長位置で付勢することができる。
【0018】
本発明によるニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態では、薬剤送達デバイスのニードルアセンブリの交換をより迅速かつ容易にし、針刺傷の危険を低減し、かつニードルアセンブリを収納するのに必要な空間を低減する。
【0019】
ニードルアセンブリには触れる必要が全くなく、これにより負傷の危険が大幅に低減する。ニードルアセンブリマガジン中のニードルアセンブリのすべてが使用された後、ニードルアセンブリマガジンを廃棄し、新しいマガジンと取り換えることができる。
【0020】
本発明のさらなる適用可能性の範囲は、以下に示す詳細な説明から明らかになろう。しかし、詳細な説明および具体的な例は、本発明の好ましい実施形態を示すとはいえ、この詳細な説明から本発明の趣旨および範囲内の様々な変更および修正が当業者には明らかになるので、例示としてのみ提示されていることを理解されたい。
【0021】
本発明は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されることになろう。図面は例示としてのみ与えられており、したがって、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】ニードルアセンブリマガジンを備えた薬剤送達デバイスの例示的な実施形態の概略側面図である。
【
図2】ニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図3】ニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略分解組立図である。
【
図4】ニードルアセンブリマガジンの使用前の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図5】ニードルアセンブリマガジンの使用中の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図6】ニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図7】ニードルアセンブリマガジンの使用後の例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図8】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図9】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略斜視図である。
【
図10】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図11】ニードルアセンブリマガジンを備えた薬剤送達デバイスの別の例示的な実施形態の概略側面図である。
【
図12】ニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図13】ニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略分解組立図である。
【
図14】ニードルアセンブリマガジンの使用前の別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図15】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図16】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図17】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【
図18】次の使用の用意ができているニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。
【0023】
すべての図で、対応する部材は同じ参照記号で標示されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、ニードルアセンブリマガジン2を備えた薬剤送達デバイス1の例示的な実施形態の概略側面図である。薬剤送達デバイス1は、例えば、ペン型注射器、自動注射器、充填済みシリンジなどであり得る。
図1に示された例示的な実施形態では、薬剤送達デバイス1は、薬剤を含むカートリッジ(例えば、シリンジ、アンプルなど)を保持するように適用されたカートリッジホルダ部分3を含む。ニードルアセンブリマガジン2は、薬剤送達デバイス1の遠位端に係合するように適用されている。
【0025】
図2は、ニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態の概略的な細部長手方向断面図である。カートリッジ4は薬剤送達デバイス1内に配置され、カートリッジ4はセプタム5で封止される。ニードルアセンブリマガジン2は、薬剤送達デバイス1の遠位端に係合するように適用されたカップリング9を有するハウジング6を含む。カップリング9は、例えば、薬剤送達デバイス1の対応するねじ山に係合するように適用されたねじ山であり得る。別の変形形態では、カップリング9は、バヨネットカップリング、摩擦嵌め、スナップ嵌めなどであり得る。カップリング9は、取付け時に薬剤送達デバイス1をニードルアセンブリマガジン2に対して心合わせしやすくする開口部を含むことができる。例えば、開口部は、薬剤送達デバイス1の遠位端を補完するように寸法設定し形成する(例えば、円筒形)ことができる。カップリング9は、針が通過してカートリッジ4のセプタム5に貫入することができるように適用された遠位開口部をさらに含むことができる。
【0026】
例示的な実施形態では、ニードルガード10がハウジング6に連結されており、ハウジング6に対して伸長位置(
図2に示す)と後退位置の間で並進運動することができる。ガードばね11は、ニードルガード10を伸長位置で付勢することができる。ニードルガード10とハウジング6は、相対的に回転しないように留めることができる。ニードルガード10は、針が通過できるようにするための遠位開口部22を含む。
【0027】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリキャリア7は、ニードルガード10のボス12に回転可能に連結される。例示的な実施形態では、ボス12は、薬剤送達デバイス1の長手方向軸Lと平行である軸上に配置される。ニードルアセンブリキャリア7は、複数のアセンブリ8を保持するように適用されている。例示的な実施形態では、ニードルアセンブリ8の数は、カートリッジ4内の使用可能な薬剤の用量の数に対応し得る。ボス12のクリップ13は、ニードルアセンブリキャリア7に係合して、ニードルアセンブリキャリア7がボス12に対して軸方向運動をしないようにすることができる。
【0028】
例示的な実施形態では、各ニードルアセンブリ8は、両頭針8’、および両頭針8’に連結されたニードルハブ17を含む。ニードルハブ17は、ニードルアセンブリキャリア7に形成された開口部18の中に摺動可能に嵌るように適用されている。ニードルハブ17の遠位端はクリップ19を含み、このクリップは、ニードルアセンブリキャリア7に対する近位方向Pのニードルハブ17の軸方向運動を制限するために、ニードルアセンブリキャリア7の遠位面に係合するように適用されている。ニードルハブ17の近位端は、ニードルアセンブリキャリア7の近位面に基礎が置かれたニードルばね20を支持するように適用されたフランジを含む。ニードルアセンブリ8は、伸長位置と後退位置(
図2に示す)の間で動くことができ、ニードルばね20は、ニードルアセンブリ8を後退位置で付勢する。
【0029】
図3に示されるように、弾性の径方向アーム14をボス12上に形成し、ニードルアセンブリキャリア7のラチェット15に係合するように適用することができる。径方向アーム14は、ニードルアセンブリキャリア7がボス12に対して第1の回転方向に回転すると、ラチェット15が係合するときに偏向するが、ボス12に対して第1の回転方向と反対の第2の回転方向では、ラチェット15に当接し、ニードルアセンブリキャリア7の回転を阻止する。さらに、ニードルアセンブリ8が薬剤送達デバイス1、およびニードルガード10の遠位開口部22と心合わせされるように、ニードルアセンブリキャリア7が十分な角距離だけ回転することを、連続する各ラチェット15間の間隔によって保証することができる。
【0030】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリキャリア7はグリップ機能を含み、これらの1つまたはそれ以上が、任意の時間にニードルガード10の切欠きから突出することができる。グリップ機能は、例えば使用者が押して、ニードルアセンブリキャリア7を回転させることができる。
【0031】
図4は、本発明によるニードルアセンブリマガジン2の使用前の例示的な実施形態を示す。使用前に、ニードルガード10はハウジング6に対して伸長位置にあり、ニードルアセンブリ8は、カップリング9の遠位開口部およびニードルガード10と心合わせされている(例えば、ニードルアセンブリキャリア7を回転させることによって)。
【0032】
図5は、本発明によるニードルアセンブリマガジン2の使用中の例示的な実施形態を示す。薬剤送達デバイス1は、ニードルアセンブリマガジン2と連結されている。遠位開口部22が注射部位の上に覆い被さるように、ニードルガード10の遠位面が注射面に置かれる。遠位に向けられた力が薬剤送達デバイス1に加えられ、これによりニードルガード10が伸長位置から後退位置に向かってガードばね11の力に抗して並進運動して、針8’の近位先端がカートリッジ4のセプタム5を穿孔することが可能になる。
【0033】
図6は、本発明によるニードルアセンブリマガジン2の使用中の例示的な実施形態を示す。さらに遠位に向けられた、薬剤送達デバイス1に加えられる力により、ニードルガード10が後退位置に並進運動する。カップリング9は、針8’の遠位先端がニードルガード10の遠位開口部22を通過して注射部位を穿孔するように、ニードルアセンブリハブ17の近位フランジに係合してニードルハブ17(および針8’)をニードルばね20の付勢力に抗して遠位方向に、後退位置から伸長位置に押す。
【0034】
図7は、本発明によるニードルアセンブリマガジン2の使用後の例示的な実施形態を示す。薬剤送達デバイス1に対する力が低減もしくは解除されると、またはニードルアセンブリマガジン2が注射部位から取り除かれると、ニードルばね20の付勢力によりニードルアセンブリ8が伸長位置から後退位置に並進運動し、またガードばね11の付勢力によりニードルガード10が後退位置から伸長位置に並進運動する。
【0035】
図9は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。次の注射が必要になると、グリップ機能を使用してニードルアセンブリキャリア7をボス12に対して回転させ、それによって新しいニードルアセンブリ8をカップリング9およびニードルガード10の各遠位開口部と心合わせすることができる。
【0036】
図8および
図10は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。これらの図で、ニードルアセンブリキャリア7は、新しいニードルアセンブリ8をカップリング9およびニードルガード10の各遠位開口部と心合わせするために、ボス12に対して回転されている。ラチェット15と弾性の径方向アーム14が係合することにより、触覚フィードバックが使用者に与えられる。例えば、ラチェット15が径方向アーム14に係合し、これを偏向させるときに回転抵抗が増大し得る。ラチェット15が径方向アーム14を飛び越えると回転抵抗が減少して、新しいニードルアセンブリ8が適切な位置にあるという触覚フィードバックを得ることができる。径方向アーム14は、使用済みニードルアセンブリ8が再使用されないように、ニードルアセンブリキャリア7の「巻き戻し」を防止することができる。
【0037】
図11は、本発明によるニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、ハウジング6は、残っている未使用のニードルアセンブリの数、使用済みニードルアセンブリの数などを示す印(例えば、数字、図、記号、色)を見るための切欠き16を含む。したがって、ニードルアセンブリが使用されるたびに印を更新して、ニードルアセンブリマガジンの使用に関する視覚フィードバックを与えることができる。
【0038】
図12は、本発明によるニードルアセンブリマガジンの別の例示的な実施形態を示す。この例示的な実施形態では、ニードルアセンブリマガジン2は、ボス12に回転可能に両方が連結されている近位プレート25および遠位プレート24を含む、ニードルアセンブリキャリア7を有する。近位プレート25はまた、ボス12にも摺動可能に連結されている。キャリアばね26が、近位プレート25を遠位プレート24に対して付勢する。近位プレート25および遠位プレート24は、ニードルアセンブリ8を保持するための開口部を含む。この例示的な実施形態では、ニードルアセンブリ8はそれぞれ、近位先端および遠位先端を有する針8’に連結されたニードルハブ17を含む。
【0039】
例示的な実施形態では、ニードルアセンブリマガジン2は、ハウジング6に摺動可能に連結されたボタン23を含む。ボタン23は、使用者に押されるように適用された外面を含む。ボス12のクリップ13は、ボス12に対してボタン23が伸長位置(
図12に示される)を越えて動くためにボタン23に係合する。ボタンばね29がボタン23を伸長位置に向けて付勢する。ボタン23は、ボタン23を後退位置に押すことで近位プレート25をボス12に対して変位させるように、近位プレート25に連結される。
【0040】
図13の例示的な実施形態に示されるように、ハウジング6は、近位プレート25に連結された軌道28に係合するように適用された駆動歯27を含む。軌道28は、近位プレート25の近位に延びるステム上に形成することができ、駆動歯27は、軌道28に係合するようにハウジング6に径方向に配置することができる。例示的な実施形態では、軌道28は、駆動歯27を受けるように適用されたいくつかの長手方向チャネル28.1を含む。駆動歯27が長手方向チャネル28.1の中にあるとき、ニードルガード10に対する近位プレート25の回転が阻止される。軌道28は、連続する長手方向チャネル28.1を連結するいくつかの傾斜部分28.2をさらに含む。以下でさらに説明するように、ボタン23が押されると、駆動歯27は第1の長手方向チャネル28.1から傾斜部分28.2を越えて第2の長手方向チャネル28.1に移動し、傾斜部分28.2により近位プレート25がニードルガード10に対して回転する。ニードルアセンブリ8が近位プレート25および遠位プレート24の各開口部に配置されているので、近位プレート25が回転すると遠位プレート24が一致して回転することになる。例示的な実施形態では、ボタン23を一回押し下げることによりプレート24、25が回転してニードルアセンブリ8をカップリング9およびニードルガード10の各遠位開口部と心合わせするように、連続する各長手方向チャネル28.1間の角距離が、プレート24、25の連続する各ニードルアセンブリ8間の角距離と一致している。
【0041】
図12に戻ると、ニードルアセンブリマガジン2は使用前の位置にある。薬剤送達デバイス1はハウジング6に連結され、ニードルガード10は伸長位置にあり、ボタン23は伸長位置にある。薬剤デバイスがハウジング6に連結されると、カップリング9の遠位開口部と心合わせされたニードルアセンブリ8の針8’の近位先端は、カートリッジ4のセプタム5に貫入する。キャリアばね26がプレート24、25を互いに付勢し、また近位プレート25がハウジング6に当接するのに対し遠位プレート24がニードルガード10に当接するので、ニードルガード10は伸長位置で保持される。
【0042】
ニードルガード10が伸長位置にあるとき、遠位開口部22と心合わせされたニードルアセンブリ8の針8’の遠位先端はカバーされている。実際、ハウジング6およびニードルガード10は、針8’が使用前後、または使用中に決して見えないように、不透明な材料から作ることができる。別の例示的な実施形態では、ニードルアセンブリマガジン2の針8’および/または他の任意の構成要素の視覚化を可能にするために、ハウジング6および/またはニードルガード10の全部もしくは一部分を半透明にすることができる。
【0043】
図14は、ニードルアセンブリマガジン2の使用中の例示的な実施形態を示す。ニードルガード10が注射面に置かれるとき、遠位開口部22が注射部位と心合わせされる。遠位に向けられた力が薬剤送達デバイス1に加えられ、これによりニードルガード10が伸長位置から後退位置に向かってキャリアばね26の力に抗して並進運動して、遠位プレート24が軸方向に近位プレート25に向かって動くことになる。カップリング9は、針8’の遠位先端がニードルガード10の遠位開口部22を通過して注射部位を穿孔するように、ニードルアセンブリハブ17の近位フランジに係合してニードルハブ17(および針8’)を遠位方向に後退位置から伸長位置に押す。
【0044】
薬剤送達デバイス1に対する力が低減もしくは解除されると、またはニードルアセンブリマガジン2が注射部位から取り除かれると、キャリアばね26の付勢力により、ニードル遠位プレート24が遠位方向に並進運動し、これにより、ニードルガード10が後退位置から伸長位置に並進運動する。伸長位置では、ニードルガード10が針8’の遠位先端をカバーする。
【0045】
図15は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。次の注射が必要になると、ボタン23が押されて近位プレート25が変位する。近位プレート25が動くと、近位プレートがキャリアばね26を介して遠位プレート24を遠位方向に押す。この遠位の動きが、針8’の近位先端をカートリッジ4およびセプタム5から引き出す。
【0046】
図16は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。ボタン23が押されると、駆動歯27は、第1の長手方向チャネル28.1の中で近位に移動する。駆動歯27が傾斜部分28.2に到達すると、近位プレート25は、したがってまたニードルアセンブリ8および遠位プレート24は、ハウジング6およびニードルガード10に対して回転する。
【0047】
図17は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。ボタン23が完全に押されると、駆動歯27は長手方向チャネル28.1に入るかまたは心合わせされており、プレート24、25は、新しいニードルアセンブリがカップリング9およびニードルガード10の遠位開口部と心合わせされるように、十分な角距離だけ回転している。
【0048】
図18は、次の注射の用意ができている本発明によるニードルアセンブリマガジン2の例示的な実施形態を示す。ボタン23が解放されたとき、プレート24、25およびニードルガード10は最初の軸方向位置にあり、新しい針8’の近位先端がカートリッジ4のセプタム5を穿孔する。駆動歯27は、第2の長手方向チャネル28.1の下方へ移動して、プレート24、25がそれ以上回転しないようにする。
【0049】
プレート24、25が回転し終えたとき、新しい印30が見えるようになって、例えば、残っている未使用のニードルアセンブリ8の数、使用済みニードルアセンブリ8の数、ニードルアセンブリのすべてが使用されたかどうか、などについての視覚フィードバックが得られる。
【0050】
装置、方法および/またはシステムの様々な構成要素ならびに本明細書に記載の実施形態の修正(追加および/または除去)を、このような修正、およびそのありとあらゆる等化物を包含する本発明の全範囲および趣旨から逸脱せずに加えることができることが当業者には理解されよう。