特許第6363101号(P6363101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363101ターボ機械の入口カウルのためのエンジンバランス装置用のバランスねじ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363101
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ターボ機械の入口カウルのためのエンジンバランス装置用のバランスねじ
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/10 20060101AFI20180712BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20180712BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20180712BHJP
   F04D 29/64 20060101ALI20180712BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20180712BHJP
   F04D 29/34 20060101ALI20180712BHJP
   G01M 1/32 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F01D5/10
   F01D25/00 E
   F02C7/00 D
   F02C7/00 A
   F02C7/00 C
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   F04D29/64 F
   F04D29/66 M
   F04D29/34 F
   G01M1/32
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-553145(P2015-553145)
(86)(22)【出願日】2014年1月6日
(65)【公表番号】特表2016-509648(P2016-509648A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】FR2014050005
(87)【国際公開番号】WO2014111641
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2016年12月14日
(31)【優先権主張番号】1350428
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル・ストラ,ジャン−リュック
(72)【発明者】
【氏名】ポイエ,エルベ
(72)【発明者】
【氏名】トリー,ロマン・ジャン−ルイ・ロベール
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−052549(JP,A)
【文献】 特開平07−305710(JP,A)
【文献】 米国特許第05285700(US,A)
【文献】 特開2013−043091(JP,A)
【文献】 特開2009−115316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/10
F01D 25/00
F02C 7/00
F04D 29/34
F04D 29/64
F04D 29/66
G01M 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のポートによって突き通されるフェルールと、複数のポートの各ポートを通過するバランスねじとを含む、ターボ機械の回転部のためのバランス装置にして、各バランスねじが、本体および頭部を含み、頭部が凹部によって突き通され、バランスねじは、第1のタイプおよび第2のタイプから成り、第1のタイプのバランスねじの凹部が、駆動凹部によって、および追加の凹部によって形成され、駆動凹部が、底部を有し、駆動凹部の部が、追加の凹部によって突き通され、第1のタイプのねじの凹部が、深さp1を有し、第2のタイプのねじの凹部が、深さp2を有し、p2が、p1よりも厳密に浅く、第2のタイプのバランスねじ、および第1のタイプのバランスねじが、回転部をバランスさせるように、フェルールを中心に半径方向に配置される、バランス装置(22)。
【請求項2】
第1のタイプのバランスねじ(27)が、第1の密度m1を有する材料で作られ、
第2のタイプのバランスねじ(27’)が、第2の密度m2を有する材料で作られ、m2が、m1よりも厳密に高い、請求項1に記載のバランス装置。
【請求項3】
第1のタイプのバランスねじ(27)が、チタンで作られ、
第2のタイプのバランスねじ(27’)が、鋼で作られる、請求項2に記載のバランス装置(22)。
【請求項4】
第1のタイプのねじ(27)が、長さl1を有し、
第2のタイプのねじ(27’)が、長さl2を有し、l2>l1である
請求項1から3のいずれか一項に記載のバランス装置。
【請求項5】
バランスねじ(27、27’)が、円筒状のねじ頭部(29’)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のバランス装置。
【請求項6】
第1のタイプの各バランスねじ(27)の頭部(29)が、前記バランスねじ(27)の全質量の少なくとも60%に等しい質量を有し、
第2のタイプの各バランスねじ(27’)の頭部(29)が、前記バランスねじ(27)の全質量の少なくとも40%に等しい質量を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載のバランス装置。
【請求項7】
追加のバランスねじをさらに含み、各追加のねじが、第1のタイプのねじ(27)の1つの質量と、第2のタイプのねじ(27’)の1つの質量との間の質量を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のバランス装置(22)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載のバランス装置(22)が設けられるターボ機械の回転部(20)をバランスさせるための方法であって、回転部(20)をバランスさせるように凹部(32、32’)の深さを調整するステップを含む、バランス方法。
【請求項9】
回転部(20)をバランスさせるように次のパラメータ、すなわち、
頭部(20、29’)の各々の外部寸法(d1、l3、d2、l4)、
ねじ頭部(29、29’)の形状、
バランスねじ(27、27’)の材料
のうちの1つまたは複数を調整するステップをさらに含む、請求項8に記載のバランス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボ機械の入口カウルのためのエンジンバランス装置用のバランスねじ、ならびにターボ機械の入口カウルのためのエンジンバランス装置、ならびにこの種のバランス装置を含むターボ機械に関する。また、本発明は、この種のバランス装置を含む入口カウル、ならびにこの種のバランス装置を用いるバランス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機ターボ機械の回転入口カウル10は、通常、図1に示されるように、互いに取り付けられる2つの部分を含んでいる。すなわち、
− フロントコーン11と呼ばれる円錐形の前部。フロントコーン11は、同じくターボ機械全体の長手方向軸に一致する、入口カウル10の回転軸X上で心出しされるコーン先端形状前方端部13を有する。また、フロントコーン11は、円環形状であって軸Xに対して半径方向に延在する後方端部14を有する。
− ターボ機械の長手方向軸Xに沿って延在し、フロントコーン11から延在する、バックフェルール12と呼ばれる後方部分。バックフェルール12は、円環形状であて軸Xに対して半径方向に延在する前方端部15を有する。従来、フロントコーン11およびバックフェルール12は、前部から後部にフロントコーン11の後方端部14およびバックフェルール12の前方端部15を通過するボルト16によって取り付けられる。
【0003】
用語「前部」および「後部」は、矢印100によって図式的に示されるように、前部から後部へ、ターボ機械を通る流体流の全体的な方向に対して考えられるべきであることに留意されたい。
【0004】
知られている方法では、ターボ機械は、それ自体いわゆる副モジュールを含む、いわゆる主要モジュールを含む。このモジュール配置は、サブエレメントにつき容易な組立システムを可能にするが、またモジュラーバランシングによってアンバランスの分散も可能にする。実際、各副回転モジュールは、そのアンバランスを低減し、かつそれによっていったん組み立てられるとエンジンに対する衝撃を制限するために、動的にバランスされる。アンバランスは、回転部の不均衡の原因となる寄生質量である。
【0005】
次いで、いったん組み立てられると、ターボ機械は、それ自体バランスされる。従来、バックフェルール12は、その周縁に配置される36個の孔17を有し、その中にナット18がかしめられる。かしめられたナット18は、ターボ機械のアンバランス全体を制限できるようになる、いわゆるバランスねじを受け入れることができる。実際、ナット18に螺合されるべきバランスねじの重量を正しく選択することによって、ターボ機械はバランスされる。
【0006】
しかし、小さなエンジンにおいては、異なる長さおよび質量のバランスねじを嵌め込むことによるエンジンバランス機能は、作るのが困難である。実際、小さなエンジンにおいては、フロントコーンは、ねじの重心がその結果としてエンジン軸に非常に接近して配置されるような小さな直径を有し、それによりそれらの全体のバランス能力が減少される。さらにまた、直径および空間全体の減少は、無理に使用されるねじの数を減少させ、かつ小さな直径のねじ直径を有するねじを使用させ、それにより、ねじの全質量の、および全体のバランス能力の減少がもたらされる。さらにまた、小さなエンジンにおいては、バランスねじは、ターボ機械をより重くする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、バランス装置が小さなエンジンにおいて使用され得るようになる、バランス装置用のバランスねじを提供することによって現時点での技術的水準の欠点を克服することを目的としており、これは、先行技術のバランスねじに対して質量という観点から最適化される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、本体および頭部を含み、頭部が凹部によって突き通される、ターボ機械のバランス装置用のバランスねじであって、凹部が、駆動凹部によって、および追加の凹部によって形成され、駆動凹部が底部を有し、駆動凹部の底部が追加の凹部によって突き通されるバランスねじ、が提供される。
【0009】
実際に駆動凹部から延在する追加の凹部を有すると、より軽いバランスねじが提供される。実際、ねじの質量は、このようにそれらの外部寸法を変更することなく低減されることができ、このことは、たとえこれらのねじのいくつかがバランス調整に有用でなくても、ねじを受け入れることを目的としているフェルールのポートがすべてねじによって必然的に遮られなければならないので有利であり、なぜなら、これらのポートは流れをもたらすからである。したがって、重すぎないようにターボ機械のための低質量のねじを有することが有利である。この場合は、螺合頭部は、駆動凹部によって、および駆動凹部から延在する追加の凹部によって形成される凹部によって突き通される。追加の凹部は、その製作を容易にするように円筒形状を有することが好ましい。さらにまた、追加の凹部は、駆動凹部に挿入されるスパニングツールが追加の凹部の境界において駆動凹部の底部に当接し得るように、駆動凹部の寸法よりも小さな寸法を有することが好ましい。
【0010】
本発明の第2の態様は、複数のポートによって突き通されるフェルールを含む、ターボ機械の回転部のためのバランス装置であって、本発明の第1の態様によるバランスねじが各ポートを通過する、バランス装置に関する。
【0011】
また、本発明によるバランス装置は、単独に、または技術的に可能な任意の組み合わせによって、後で挙げられる特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0012】
有利なことに、バランスねじは、少なくとも第1および第2のタイプから成り、第1のタイプのねじの凹部は、深さp1を有し、第2のタイプのバランスねじは、凹部深さp2を有し、p2が、p1よりも厳密に浅く、第2のタイプの、および第1のタイプのバランスねじは、回転部をバランスさせるように、フェルールを中心に半径方向に配置される。
【0013】
ねじ頭部の凹部の深さがアンバランスを補償するように変更されるバランス装置を有すると、これが小さな寸法を有する場合を含めて、ターボ機械をバランスさせるより多くの可能性が提供される。実際、凹部の深さを変更すると、質量の、およびバランスねじの重心の位置の、より大きな変更が可能となり、それにより、このエンジンが減少された寸法を有する場合を含めて、エンジンをバランスさせるより多くの可能性が提供される。したがって、バランスねじの質量は、それらの外部寸法を変更することなく変更され得る。
【0014】
有利なことに、第1および第2のタイプのバランスねじは、スパニングツールを受け入れるのに適した駆動凹部を含む。
【0015】
第2のタイプのバランスねじの凹部は、第2のタイプのバランスねじの駆動凹部に対応することが好ましい。したがって、第2のタイプのバランスねじは、最小限の凹部を有することが好ましく、それにより、このバランスねじがより高質量を有することができるようになる。この場合は、駆動凹部に対応する凹部は、駆動凹部に挿入されることを目的としているスパニングツールの形状に適応する形状を有することが好ましい。
【0016】
1つの実施形態によれば、
− 第1のタイプのバランスねじは、第1の密度m1を有する材料で作られ、
− 第2のタイプのバランスねじは、第2の密度m2を有する材料で作られ、m2は、m1よりも厳密に高い。
【0017】
バランスねじのために異なる材料を用いると、回転部をバランスさせるより多くの可能性が提供され、これは、フェルールが小さな寸法を有する場合、およびバランスねじの外部寸法の変更によるバランス可能性が制限される場合に有利である。
【0018】
有利なことに、第1のタイプのバランスねじは、チタンで作られる。
【0019】
有利なことに、第2のタイプのバランスねじは、鋼で作られる。
【0020】
1つの実施形態によれば、
− 第1のタイプのねじは、長さl1を有し、
− 第2のタイプのねじは、長さl2を有し、l2>l1である。
【0021】
これにより、第1のタイプねじと第2のタイプのねじとの間の質量変更をさらに増大できるようになる。
【0022】
バランスねじは、円筒状のねじ頭部を有することが好ましく、それにより、バランスねじの製作を容易にすることができるようになる。さらにまた、第2のタイプのバランスねじの場合は、これにより、それらの頭部の質量をさらに増加できるようになる。第2のタイプのねじ頭部の質量を増加すると、それらの重心が前記ねじの頭部の方へ移動され、したがってエンジン軸から離れて移動されることができるようになり、それにより、ねじのバランス能力を増大できるようになる。
【0023】
異なる実施形態によれば、
− 第1のタイプの各バランスねじの頭部は、前記バランスねじの全質量の少なくとも60%に等しい質量を有し、
− 第2のタイプの各バランスねじの頭部は、前記バランスねじの全質量の少なくとも40%に等しい質量を有する。
【0024】
ねじの全重量に対して比較的重い頭部を有すると、ねじの重心を前記頭部の方へ移動することができるようになり、それにより、ねじのバランス能力を増大できるようになる。
【0025】
より一般的には、多少大きなねじ頭部を有するバランスねじは、ねじ本体の長さを補償するために使用され得る。したがって、空間がフェルールにおいて制限され、かつしたがって、ねじ本体のサイズが制限される場合は、ねじ本体のサイズは、ねじ頭部のサイズによって補償され得る。
【0026】
第1のタイプのバランスねじはすべて、バランス装置の製作を簡単にするように互いに同一であることが考えられ得る。
【0027】
同じ理由で、また、第2のタイプのバランスねじはすべて、装置の製作を簡単にするように互いに同一であることが考えられ得る。
【0028】
この場合は、前記グループの各々の内部の同一のバランスねじの2つのグループの使用が回転機械のアンバランスを補償するために十分でない場合には、バランス装置はまた、中間のバランスねじをさらに含むことができ、各中間のねじは、第1のタイプのねじの1つの質量と、第2のタイプのねじの1つの質量との間の質量を有する。これらの中間のバランスねじにより、バランス基準をすべて満たすことができるようになり、バランスの微妙な差異をつけることができるようになる。
【0029】
中間のバランスねじは、たとえば、
− 同じ材料で作られねじであって、第1のタイプのバランスねじと同じ外部寸法を有するが、それらの駆動凹部の範囲を越えていかなる追加の凹部も含まない、ねじ、
− 第1のタイプのねじの寸法に等しい寸法を有するが、その密度が第1のタイプのねじの材料の密度よりも高い材料で作られる、ねじ、
− 第1のタイプのねじと同じ材料で作られるが、より小さな寸法を有する、ねじ...であってもよい。
【0030】
ねじ頭部の寸法は、特に、回転部をバランスさせるように変更され得る。
【0031】
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様によるバランス装置を含むターボ機械の入口カウルに関する。
【0032】
本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様によるバランス装置を含むターボ機械に関する。
【0033】
本発明の第5の態様は、本発明の第2の態様によるバランス装置が設けられるターボ機械の回転部をバランスさせる方法に関し、本方法は、回転部をバランスさせるようにねじ頭部の凹部の深さを調整するステップを含む。
【0034】
有利なことに、本バランス方法は、回転部をバランスさせるように次のパラメータ、すなわち、
− ねじ頭部の各々の外部寸法、
− ねじ頭部の形状、
− バランスねじの材料
のうちの1つまたは複数を調整するステップをさらに含む。
【0035】
また、本方法は、次のステップ、すなわち、
− 第1のタイプのバランスねじをフェルールの各ポートに挿入するステップと、
− アンバランスの存在を検出するように回転部を回転させるステップと、
− アンバランスの検出の場合には、アンバランスを補償するように、第1のタイプのバランスねじのいくつかを第2のタイプのバランスねじ、および/または中間のバランスねじと取り替えるステップと
を含むことができる。
【0036】
このために、本方法は、回転部のアンバランスを補償するために、第2のタイプのねじ頭部および/または中間のバランスねじの質量を調整するステップを含むことができる。
【0037】
ねじ頭部の質量は、特に、
− 多少深い凹部を前記頭部に作ることによって、
− 前記頭部の外部寸法、および特にその高さを増加させることによって、
− 前記頭部の形状を変更することによって
したがって、等価的な全体空間については、円筒状のねじ頭部は、六角ねじ頭部よりも高い質量を有することになり、
− 前記頭部の材料を変更することによって
調整され得る。
【0038】
したがって、各頭部の質量の変更は、ねじ本体の質量の変更を補償するために使用され得る。実際、ねじ本体の質量は、フェルールの内部の使用できる空間によって制限される。したがって、ねじ頭部は、回転機械をバランスさせるより多くの可能性を有するように使用され得る。
【0039】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図と関連して後に続く詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】先行技術のターボ機械の入口カウルの断面図である。
図2】本発明の1つの実施形態によるターボ機械の入口カウルの斜視図である。
図3図2の入口カウルの断面図である。
図4図2の入口カウルの一部の拡大した断面図である。
図5図2の入口カウルの一部の別の断面図である。
図6図2の入口カウルの別の一部のもう1つの断面図である。
図7図2の入口カウルのねじのうちの1つの断面図である。
図8図2の入口カウルの別のねじの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
明瞭にするために、同一または類似の要素は、図全体にわたって同一の参照符号で標示されている。
【0042】
図2および図4図6は、本発明の1つの実施形態によるバランス装置を含むターボ機械の入口カウル20を示している。
【0043】
この入口カウル20は、バランス装置22が設けられるコーン21を含む。バランス装置22は、フェルール23を含む。フェルール23は、この場合は円錐形状を有する。この実施形態においては、フェルール23は、コーン21の後方部分によって形成される。しかし、図3の実施形態においては、フェルール23は、回転対称を有しコーン21に接続される追加部分24によって形成される。
【0044】
フェルール23は、フェルール23の外周全体にわたって半径方向に配置されるポート25によって突き通される。この実施形態においては、フェルール23は、20個のポート25によって突き通される。しかし、ポートの数は、特に、フェルール23の直径および所望のバランス精度によって決まる。
【0045】
また、バランス装置は、ナット26を含み、各ナット26は、ポート25のうちの1つにかしめられる。かしめられたナット26は、ターボ機械のアンバランスを低減し、またはそれを除去さえするように、いわゆるバランスねじ27、27’を受け入れることができる。
【0046】
このために、第1のタイプのバランスねじ27は、ポート25の各々に初めに挿入され、ナットの各々に螺合される。
【0047】
次いで、ターボ機械は、起こり得るアンバランスの存在を検出するように回転される。
【0048】
アンバランスが検出される場合には、第1のタイプのいくつかのねじ27は、この場合、アンバランスを低減するように第2のタイプのバランスねじ27’と取り替えられる。第1のタイプのバランスねじ27、および第2のタイプのバランスねじ27’は、ターボ機械のアンバランスを低減するようにフェルールを中心に半径方向に配置される。この例示的な実施形態においては、第1のタイプの5つのねじ27が第2のタイプの5つのねじ27’と取り替えられているが、しかし、第1のタイプの、および第2のタイプのねじの半径方向配置およびそれぞれの数は、アンバランスによって決まる。
【0049】
第2のタイプのバランスねじ27’は、第1のタイプのねじ27の質量よりも高い質量を有する。
【0050】
第1のタイプのねじ27は、より正確には図7に示されている。
【0051】
第1のタイプのバランスねじ27は、基準軸31に沿って延在する。第1のタイプのバランスねじ27は、チタンで作られることが好ましい。第1のタイプのバランスねじ27は、頭部29および本体30を含む。第1のタイプのバランスねじ27の本体30は、その外表面に、第1のタイプのバランスねじ27がナット26に螺合されることができるようになるねじ山35を含む。第1のタイプのバランスねじ30の本体30は、ナット26に完全に螺合されることができるのに十分な長さl1を有する。しかし、長さl1は、ターボ機械を重くしすぎないように、本体30がナット26から過度に突出しないように選択されることが好ましい。第1のタイプのねじの頭部29は、凹部32によって突き通される。凹部32は、駆動凹部33によって、および駆動凹部33の軸方向延長部分に配置される追加の凹部34によって形成される。駆動凹部33は、追加の凹部34によって突き通される底部40を有する。駆動凹部33は、ねじが対応するナット26に螺合されることができるようになるスパニングツールを受け入れることができる。このために、駆動凹部33は、六角形断面を有することが好ましい。追加の凹部34は、その機械加工を容易にするように円筒形状を有することが好ましい。そのうえ、これは、駆動凹部33に挿入されるスパニングツール31が駆動凹部33と追加の凹部34との間の境界において底部40に当接するように、駆動凹部33の横断寸法よりも小さい基準軸31に関する横断寸法を有することが好ましい。凹部32の深さp1は、ねじとしての、より正確にはこのねじの頭部としての所望の質量に応じて調整される。同じように、追加の凹部の横断寸法は、ねじとしての、より正確にはねじの頭部としての所望の質量に応じて調整され得る。頭部29は、その製作を容易にするように円筒形であることが好ましい。
【0052】
第1のタイプのねじ27の寸法は、ターボ機械をバランスさせるために有さなければならない質量に応じて変更され得る。したがって、第1のタイプのねじ27の本体30の長さl1が、初めに変更され得る。また、頭部29の質量は、所望のバランスを達成するように変更され得る。このために、頭部29の寸法および特にその高さh3が、特に変更され得る。また、凹部32の深さp1ならびにその形状が、変更され得る。また、頭部29の形状を変更することが考えられ得る。
【0053】
第2のタイプのねじ27’は、より正確には図8に示されている。
【0054】
第2のタイプのバランスねじ27’は、ターボ機械のアンバランスを低減するように第1のタイプのバランスねじ27のいくつかの代わりに使われる。
【0055】
第2のタイプのバランスねじ27’は、鋼で作られることが好ましい。また、第2のタイプのバランスねじ27’は、基準軸31’に沿って延在し、これはまた、頭部29’および本体30’を有する。また、第2のタイプのバランスねじ27’の本体30’は、その外表面に、第2のタイプのバランスねじ27’がナット26に螺合されることができるようになるねじ山35’を含む。本体30’は、第1のタイプのバランスねじ27の本体30の長さl1よりも高い長さl2を有することが好ましい。頭部29’は、凹部32’によって突き通される。凹部32’は、この例示的な実施形態においては、スパニングツール33’によって形成される。この実施形態においては、凹部32’は、駆動凹部33’の範囲を越えて延在しない。その結果として、この実施例においては、凹部32’の深さp2は、駆動凹部33’の深さに一致する。したがって、深さp2は、深さp1よりも浅い。したがって、第2のタイプのバランスねじ27’の凹部32’は、頭部の質量、およびしたがってねじのバランス能力を最大化するように、この実施形態においては最小限である。同様に、頭部は、その質量を最大化するように円筒形であることが好ましい。
【0056】
第2のタイプのねじ27’の寸法は、ターボ機械をバランスさせるために有さなければならない質量に応じて変更され得る。したがって、第2のタイプのねじ27’の本体30’の長さl2が、初めに変更され得る。しかし、この長さl2は、フェルールの内部の空間によって制限される。その結果として、所望のバランスを得るように頭部29’の質量を変更することが有利である。このために、頭部29’の寸法、および特にその高さl4が、特に変更され得る。また、凹部の深さp2、ならびにその形状が変更され得る。また、頭部29’の形状を変更することが考えられ得る。
【0057】
そのうえ、この例示的な実施形態においては、第1のタイプのバランスねじ27はすべて、互いに同一であり、ならびに第2のタイプのバランスねじ27’はすべて、互いに同一であった。しかしまた、互いに異なっている第1のタイプのバランスねじ27、および/または互いに異なっている第2のタイプのバランスねじ27’を使用することが考えられることもある。
【0058】
そのうえ、ねじの2つのタイプの使用がターボ機械のアンバランスをバランスさせるのに十分でない場合、および所望のバランス精度に応じて、第1のタイプのねじ27と第2のタイプのねじ27’との間の質量を有する中間のねじが使用され得る。
【0059】
もちろん、本発明は、図と関連して説明された実施形態に限定されるものではなく、代替案が、本発明の範囲から逸脱することなく考えられ得る。したがって、ねじの半径方向配置は、バランスされるべきアンバランスに応じて変更され得る。また、他の材料がバランスねじを作るために使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8