【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的に沿って、第1の態様によれば、本発明は、スポーツ表面及びガーデニング表面用の芝生システムであって、合成由来の芝及び天然由来の芝を含み、前記合成由来の芝及び前記天然由来の芝は実質的に弾性の透過性基板上に配置され、前記弾性基板は前記天然芝の根がより低い位置に配置された生育層まで貫通することを可能にするように構成され、前記弾性基板はより低い位置に配置された前記根の生育層の圧縮を避けるために前記地面で行われた衝突によるエネルギーを吸収することができることを特徴とする芝生システムを提供する。
【0012】
既存の芝生システムと異なり、本発明の芝生システムは、天然芝の生育層のエアレーションのためのスパイク作業なしで、また従来の土かきなしで提供することができるという利点を提供する。また、提案されるシステムは、混合芝と天然芝のどちらでも、栽培断面の適切なエアレーションを保証する。エアレーションは、より少ない圧縮とバイオマスのより高い分解(「少ないサッチ」)をもたらし、土地の安定性(ぬかるみの形成が少ない、排水不足による水たまりの形成が少ないなど)に有利に働くことを考えると、スポーツを実施するための理想的な特性を有する芝を得るのに有利に働く。
【0013】
実際に、根が下の生育層まで通ることを可能にする前記弾性透過性基板の存在のおかげで、より低い位置にある天然芝草の根の生育層は、既存のシステムで起こるのと同じように圧縮されない。請求項に係るシステム、好ましくは混合芝システムでは、弾性基板は、地面で生じた衝撃を吸収し且つより低い層にある根が生育するゾーンの的確なエアレーションを保証し、合成繊維を破壊するスパイキングを必要としないことが確認されている。
【0014】
実際には、請求項に係るシステムは、繊維を破壊する「スパイキング」(エアレーション)を行わなくても、スポーツ表面の衝撃吸収及び回転牽引の特性が少なくとも芝生面に必要な最小値に等しいことを保証することが確認された。これらの最小値は、現時点まで国際サッカー連盟(FIFA)が天然由来の芝を有するピッチの品質証明書を要求しないことを考えると、合成由来の芝のための欧州規格EN 15330−1:2005(スポーツエリアの表面−合成芝の仕様)に定められている。
【0015】
【表1】
【0016】
本発明の芝の別の利点は、芝草の生育層が人工芝よりも低い位置にあるので、前記生育層と、それによって天然芝草の根は、断裂又は隆起を引き起こす力から保護されることにある。このようにして、このシステムは、スポーツゲーム用地の適切な品質を保証することができる。
【0017】
好ましくは、請求項に係るシステムは、合成芝の繊維を支持するベース上に配置された充填土の層を含み、前記充填土の層に天然芝の種を播くことができ、合成繊維を支持するベースは、天然芝の根がより低い位置に配置された弾性基板まで貫通するのを可能にするように構成される。
【0018】
合成芝繊維を支持するベース上に配置されたこの充填土の層は、合成繊維を安定化させるという利点を提供し、また、天然芝草の種子を支持するための基板として機能する。
【0019】
有利なことに、合成繊維を支持するベースは、天然芝草の根の通過のための穴又は穿孔が設けられた、合成材料で作られた実質的に層状の構造により構成される。この合成材料は、例えば、ポリオレフィン族由来物質(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)であることができる。合成繊維に関しては、これらは、支持ベース上に編み込まれた、モノフィラメントのフィブリル化型又は混合型のものであることができる。人工芝はまた、テクスチャード加工の合成繊維又は渦巻いた合成繊維を含むことができる。
【0020】
好ましい実施形態によれば、請求項に係るシステムは、前記充填土の層と実質的に弾性の基板の間に配置された水に対して透過性があるシートを含み、前記シートは、充填土の粒子のより低い位置に配置された弾性基板への通過を阻止するように構成され、前記布は、前記天然芝の根がそれを貫通するのを可能にすることができる。
【0021】
このようにして、この透過性シートのおかげで、弾性基板の孔は、上方の充填土の層からの粒子で塞がれるようにならず、前記基板の空気量が維持されることを保証し、弾性基板を水耕栽培基板と同様にして真菌病原性細菌の増殖の危険性を減少させる。また、このシートは、昆虫の幼虫が天然芝草の根域に達するのを防ぐことができる。
【0022】
このシートは、例えば、特定の粒度を有する充填土の砂粒子の通過を防ぐメッシュの形で構成されたシートであることができる。
【0023】
有利なことに、前記透過性シートは、前記天然芝の根の通過を可能にするように構成されたジオテキスタイル布であり、好ましくは、前記ジオテキスタイル布は、0.0001m(100μM)以下の直径を有する孔が設けられた繊維のメッシュを含み、前記孔は根の通過を可能にし且つより低い位置にある弾性基板の孔を塞ぐ可能性がある土の粒子の通過を防ぐのに適している。
【0024】
更に有利なことに、ジオテキスタイル布は不織布、好ましくは0.3Kg/m
2(300g/m
2)以下の繊維密度を有する不織布である。不織布の繊維は、天然繊維又は合成繊維、例えばポリエステル繊維などであることができる。合成繊維は、それらが下の生育層への幼虫の通過をより効果的に防ぐことを考えると、天然繊維よりも好ましい。
【0025】
300g/m
2以下のジオテキスタイル布の繊維の密度が、根の通過を可能にすると同時に充填土の粒子の通過を防ぐのに適していることが確認された。
【0026】
しかしながら、ジオテキスタイル布の代わりに、例えば、約300g/m
2の重さがある、0.6mm×1mmの規則的な格子によって形成された、押出ポリマー(HDPE−高密度ポリエチレン)で作られたメッシュを使用することもできる。
【0027】
前述の弾性基板に関しては、好ましくは、前記基板は、システムの断面内に0.020m(20mm)と0.005m(5mm)の間に含まれる厚さを有する層を画定し、有利なことに、布の透過性シートで保護された場合に、弾性基板のこの層の見掛けの嵩密度は、空気の最適含有量を保証するために500Kg/m
3以下である。
【0028】
この見掛けの嵩密度は、例えばピート又はパーライトなどの水耕栽培に使用される基板によって提供されるものと同様である。このようにして、下方の生育層にアクセスするために基板を通る天然芝草の根は、それらの生物学的過程を改善する重要な空気の流れを利用する。この基板の高い空気量の別の利点は、それにより表面の温度変化の影響を低減する断熱効果がもたらされることにある。このことは、天然芝の蒸発散量が減少するため、水を節約するのに役立つ。
【0029】
また、有利には、前記実質的に弾性の透過性基板は、ボール又は類似物体の作用によって表面に発生した衝撃のエネルギーを吸収することができるように構成され、特に、前記基板は、実験UNE−EN14808:2005に従って(
図7参照)、上記欧州規格によって定められた値(55%−70%)の範囲内に含まれる衝撃吸収能力を有する混合芝又は天然芝を得ることができるように構成される。
【0030】
また、弾性基板の垂直リバウンド能力は、実験UNE−EN122235によって検証されている。この実験は、方法の説明書に示されるように、承認されたフットボールのボールを2mの高さから落下させた後のボールの高さの回復を評価する。コンクリートの床に関するボールの高さの回復の結果はコンクリートの上で直接測定した120cmであり、一方、弾性基板上で直接跳ね返った後に回復した高さは80cmであり、これは、40%の弾性基板の(芝ではなく、基板のみの)ボールの垂直リバウンドに対応し、この値は、上記欧州規格EN−15330−1によれば、合成由来の芝に必要とされる値の範囲に非常に近い。
【0031】
好ましい実施形態によれば、前記実質的に弾性の基板は、例えばポリ塩化ビニルすなわちPVCなどのポリマー由来の弾性材料で製造された0.005m(5mm)と0.02m(20mm)の間に含まれる厚さを有する三次元メッシュを基にして構成される。
【0032】
弾性合成材料の三次元メッシュ、例えば、弾性材料の糸の非晶質ネットワークを画定するタイプのメッシュは、前記非晶質ネットワークが草の根の支持体を提供し、芝の下部の改善されたグリップをもたらし、その結果、競技場の芝の不要な浮き上がりのリスクが低いことを考慮すると、非常に適切であることが確認された。
【0033】
好ましくは、前記三次元メッシュは、弾性特性を有するポリマー材料の糸状のものによって形成されたメッシュである。これらの糸状のものは、草の根の通過を可能にするための中空空間を有するセミアモルファス構造を定めるように互いに固定又は結合される。このタイプのメッシュは、商品名ビニールループマット(Vinyl loop mats)でNotax Floor Mattingにより市販されている。
【0034】
別の実施形態によれば、前記弾性基板は、芝草の根の通過のための貫通孔が設けられた、所定の厚みを有する弾性材料のスラブを基にして構成される。スラブの材料は、ゴム系SBR(スチレン−ブタジエン)とポリウレタン又は他の結合剤との凝集体、例えばBerleburguer Shaumstoffwerk社製の材料などであることができる。それはまた、必要とされる特性をもたらす、イソシアネート又はその他の試薬の使用によって結合された適切な密度を有するポリウレタンフォーム、例えば、Recticel Internacional社製の材料などであってもよい。別の種類の材料は、必要とされる特性をもたらす方法によって一体化された、発泡ポリエチレン又は同様のプラスチック材料、例えば、Trocellen社及びShmitz Foams Products社製の材料などであってもよい。
【0035】
或いは、上記弾性材料のスラブの代わりに、システムの弾性層は、天然芝の根の通過を可能にするための0.8mmと4.5mmの間に含まれる顆粒サイズを有する、複数の弾性材料の顆粒、好ましくはゴム顆粒で構成することができる。このようにして、顆粒はコンパクトな本体を形成しないものの、それらは衝撃吸収及び土壌圧縮の回避の際にスラブと同様の機能を果たすことができる。
【0036】
システムの好ましい実施形態によれば、合成芝の繊維は0.015m(15mm)と0.035m(35mm)の間に含まれる高さを有し、充填土の層は、0.005m(5mm)と0.025m(25mm)の間に含まれる厚さを有する。この同じ断面において、より低い位置に配置された天然芝栽培の層は、好ましくは0.05m(50mm)と0.20m(200mm)の間に含まれる高さを有する。
【0037】
請求項に係るシステムでは、合成芝の繊維はより低い位置に配置され、外部からは芝が天然芝のように見えることを意味する。
【0038】
代替的な実施形態によれば、システムには芝の合成繊維が設けられず、前記実質的に弾性の透過性基板上に天然芝のみが配置される。このようにして、本出願はまた、従来の「スパイキング」及び土かきの作業なしで維持することが可能であることを考えると、非常に維持し易いという利点を提供する全体的に天然芝の改良されたシステムを提供する。
【0039】
前述したように、充填土の層は実際には合成繊維を安定化させる機能を有する層であり、下方の生育層は根の成長のための栄養素を提供するものである。さらに、この充填土の層の減厚は、ひっくり返される土の深さが非常に限られることを考えると、幼虫の成長の可能性を低下させ、従来の土かき作業を排除する。このシステムの土かきは実際には行われず、前記充填材を除去及び掃除するための作業に置き換えられる。
【0040】
この充填土の層の限定された厚さ又は深さの他の更なる利点は、天然芝を枯れさせるか又は除草剤によりそれを除去する場合に、弾性基板が表面に非常に近いため、地面に十分な弾力性を提供し続けるおかげで、競技場を合成繊維のみで使用することができることにある。天然芝が再び必要な場合には、もう一度種を播くことのみが必要である。
【0041】
システムの同じ好ましい実施形態によれば、システムの断面のより低い位置に配置された天然芝の生育層は、0.0005m(0.5mm)から0.004m(4mm)の間に含まれる直径を有する、天然由来又は合成由来の弾性材料で作られた粒子を含む。これらの弾性材料の粒子又は、地面又はスポーツ表面又はガーデニング表面の圧縮を減らすことに貢献する。
【0042】
第2の態様によれば、本発明はまた、上記請求項のシステムによって芝生を栽培する方法であって、
a)合成芝の繊維を支持するベース上及び実質的に弾性の透過性基板上に配置された充填土の層に天然芝の種を播く段階と、
b)天然芝を合成芝繊維の高さ以上の高さまで成長させる段階であって、前記天然芝の根はより低い位置に配置された生育層に達するように合成芝繊維を支持するベースを貫通し且つ前記弾性基板を通過することができる段階と、
c)人工芝繊維の高さ、詳細には、面に与えられる用途に応じて、0.015m(15mm)から0.04m(40mm)の間に含まれる高さに少なくとも等しく前記天然芝の高さを維持するために前記天然芝を刈る段階と
を含む方法に関する。
【0043】
提案された混合芝システムは、芝草の根が合成繊維を支持するベースにより下の生育層内で保護されるので、天然芝を破損の危険なしに楽に刈ることができるという利点を提供する。
【0044】
有利なことに、天然芝は、全体的に天然芝の外観を有する表面と天然芝に良く似た力学的特性とを提供するために、人工芝の合成繊維の高さより上の高さに刈られる。
【0045】
好ましくは、段階a)において、種播きは、土粒子の通過を防ぐ透過性シートによって前記実質的に弾性の基板から分離された、0.005m(5mm)と0.025m(25mm)の間に含まれる厚さを有する充填土の層で行われ、天然芝の根は基板内に入り込むように前記透過性シートを貫通することができ、一方、前記基板は土粒子がないままである。
【0046】
天然芝の種播きは、人工芝の合成繊維を支持するベースの非常に近くにある、減厚した充填土の層で行われる。この充填土の層の減厚は、昆虫の幼虫の存在と、その結果、草の損失とを大幅に減らすことが観察された。
【0047】
有利には、前記方法は、0.005m(5mm)と0.025m(25mm)の間に含まれる厚さを有する前記充填土の層を掘り起こすことなく、清掃及び掃除する段階を含む。
【0048】
前述のように、充填土の層の減厚は、ひっくり返される土の深さが非常に限られることを考えると、土かきの作業を排除し、それらを単純な清掃に変える。
【0049】
記載された特徴のすべてのおかげで、請求項に係る混合芝及び天然芝のシステムは、最新式の天然芝の表面又はピッチよりも多くの時間使用することができ、また既存の天然芝表面又は混合芝表面よりもはるかに維持し易い、スポーツ表面又はガーデニング表面を得ることを可能にする。
【0050】
本発明では、ジオテキスタイル布は、必要とされる抵抗及び濾過能力に応じて、非織布又は不織布の形で製造することができる、好ましくはポリプロピレン及びポリエステルで作られた、好ましくは合成繊維の透過性且つ可撓性のシートを意味することが理解されるであろう。本発明で使用されるジオテキスタイル布は、天然芝草の根の通過を可能にするために修正された繊維の密度を有するジオテキスタイル布である。