(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
隔膜基底及び機能層を含み、該機能層が前記隔膜基底の少なくとも一つの表面を覆うリチウム−硫黄電池用隔膜において、前記機能層が、少なくとも二層の酸化グラフェン複合層及び少なくとも二層のカーボンナノチューブ層を含み、前記少なくとも二層の酸化グラフェン複合層及び前記少なくとも二層のカーボンナノチューブ層が、交替で積層して設置され、前記酸化グラフェン複合層が、複数の酸化グラフェンシート及び複数の二酸化マンガンのナノ粒子を含み、前記複数の酸化グラフェンシートが、互いに接合して、前記複数の二酸化マンガンのナノ粒子が、前記酸化グラフェンシートに均一的に吸着されることを特徴とするリチウム−硫黄電池用隔膜。
前記カーボンナノチューブ層は、積層し、交差して設置された少なくとも二層のカーボンナノチューブフィルムを含み、該カーボンナノチューブフィルムが複数のカーボンナノチューブを含み、該複数のカーボンナノチューブが、同じ方向に沿って配列されていることを特徴とする、請求項1にリチウム−硫黄電池用隔膜。
前記少なくとも二層のカーボンナノチューブ層における一層のカーボンナノチューブ層は、前記隔膜基底と直接に接触されることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム−硫黄電池用隔膜。
リチウム−硫黄電池用隔膜を含み、該リチウム−硫黄電池用隔膜が隔膜基底及び機能層を含み、該機能層が前記隔膜基底の少なくとも一つの表面を覆うリチウム−硫黄電池において、前記機能層が、少なくとも二層の酸化グラフェン複合層及び少なくとも二層のカーボンナノチューブ層を含み、少なくとも二層の酸化グラフェン複合層及び少なくとも二層のカーボンナノチューブ層が、交替で積層して設置され、前記酸化グラフェン複合層が、複数の酸化グラフェンシート及び複数の二酸化マンガンのナノ粒子を含み、前記複数の酸化グラフェンシートが、互いに接合して、前記複数の二酸化マンガンのナノ粒子が、前記酸化グラフェンシートに均一的に吸着されることを特徴とするリチウム−硫黄電池。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例1に係るリチウム−硫黄電池用隔膜の構造を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るリチウム−硫黄電池用隔膜における機能層の断面の形貌を示す図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るリチウム−硫黄電池用隔膜における機能層の構造を示す図である。
【
図4】本発明の実施例1に係るリチウム−硫黄電池用隔膜における機能層の表面の形貌を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るリチウム−硫黄電池用隔膜におけるカーボンナノチューブ層の電子顕微鏡写真である。
【
図6】本発明の実施例2に係るリチウム−硫黄電池用隔膜の構造を示す図である。
【
図7】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池及び比較例bに係るリチウム−硫黄電池の定電流の充放電循環テスト結果である。
【
図8】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池の、異なるサイクルインデックスのもとでの充放電電圧特性曲線である。
【
図9】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池の、異なる倍率のもとでの充放電循環テスト結果である。
【
図10】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池の、倍率テストした後、0.5Cの充放電倍率のもとでの循環テスト結果である。
【
図11】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池及び比較例bに係るリチウム−硫黄電池の、1Cの充放電倍率のもとでの循環テスト結果である。
【
図12】本発明の実施例aに係るリチウム−硫黄電池の、20日放置した前と後の自己放電テストの対比結果である。
【
図13】本発明の比較例bに係るリチウム−硫黄電池の、20日放置した前と後の自己放電テストの対比結果である。
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。
【0016】
図1を参照すると、本発明の実施例1は、リチウム−硫黄電池用隔膜10を提供する。リチウム−硫黄電池用隔膜10は、隔膜基底110及び機能層120を含む。隔膜基底110は、所定の厚さを有するフィルムであり、対向して設置される二つの表面を有する。機能層120は、隔膜基底110の対向して設置される二つの表面の中の少なくとも一つの表面を覆う。本実施例において、機能層120は、隔膜基底110の少なくとも一つの表面を覆う。
【0017】
隔膜基底110は、複数の微孔を有するポリオレフィンフィルムである。隔膜基底110は、例えば、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム又はポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムとの複合フィルム等である。本実施例において、隔膜基底110は、複数の微孔を有するポリエチレンフィルムであり、微孔の直径が1マイクロメートルであり、厚さが20マイクロメートルである。
【0018】
機能層120の厚さは、1〜3マイクロメートルであることが好ましい。
図2は、本実施例に係るリチウム−硫黄電池用隔膜における機能層120の断面の形貌を示す図である。
図2から見れば、機能層の厚さは、2マイクロメートルであることが分かる。
【0019】
図3を参照すると、機能層120は、少なくとも二層の酸化グラフェン複合層122及び少なくとも二層のカーボンナノチューブ層124を含む。少なくとも二層の酸化グラフェン複合層122及び少なくとも二層のカーボンナノチューブ層124は、隔膜基底110の少なくとも一つの表面に交替で積層して設置される。その中には、少なくとも二層のカーボンナノチューブ層124における一層のカーボンナノチューブ層124は、隔膜基底110と直接に接触される。酸化グラフェン複合層122は、複数の酸化グラフェンシート1222及び複数の二酸化マンガン(MnO
2)のナノ粒子1224を含む。複数の酸化グラフェンシート1222は、カーボンナノチューブ層124の表面に敷設され、複数の酸化グラフェンシート1222が互いに接合する。複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224は、酸化グラフェンシート1222に均一的に吸着され、且つ複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224は、カーボンナノチューブ層124と酸化グラフェンシート1222とが形成する挟層に嵌め込まれる。好ましくは、酸化グラフェン複合層122の数量がカーボンナノチューブ層124の数量と同じである。酸化グラフェン複合層122及びカーボンナノチューブ層124の数量は、8〜12層であることが好ましい。酸化グラフェン複合層122及びカーボンナノチューブ層124の数量が多過ぎると、機能層120の厚さが大き過ぎ、リチウム−硫黄電池のエネルギー密度が小さくなる。酸化グラフェン複合層122及びカーボンナノチューブ層124の数量が少な過ぎると、リチウム−硫黄電池用隔膜10の電気化学反応の活性が良くなくなり、及び多硫化物の行き来する効果を抑えることができない。本実施例において、機能層120は、交替で積層して設置される十層の酸化グラフェン複合層122及び十層のカーボンナノチューブ層124を含む。
【0020】
図4を参照すると、本発明の実施例に係るリチウム−硫黄電池用隔膜における機能層120の表面の形貌を示す図である。
図3から見れば、二酸化マンガンのナノ粒子1224が機能層120の表面に均一的に分布され、且つ機能層120がカーボンナノチューブ層124を平らに覆うことが分かる。これによって、酸化グラフェンシート1222及び二酸化マンガンのナノ粒子1224が機能層120の中に均一的に分布されることが説明される。
【0021】
複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224の直径は、5〜10ナノメートルであることが好ましい。複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224と酸化グラフェンシート1222との重量比が1:2〜1:1であることが好ましい。本実施例において、複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224と酸化グラフェンシート1222との重量比は1:1である。
【0022】
複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224が分子間力で複数の酸化グラフェンシート1222に吸着されるので、吸着力が強い。また、二酸化マンガンのナノ粒子1224のサイズが小さく、酸化グラフェンシート1222のサイズが大きく、且つ機械強度が優れる。そして、カーボンナノチューブ層124がカーボンナノチューブのみからなる構造であり、且つカーボンナノチューブ層124における微孔の直径が小さく、一般的に数十ナノメートルだけである。従って、二酸化マンガンのナノ粒子1224は、酸化グラフェンシート1222にしっかりと吸着されることができ、且つ複合構造が積層されたカーボンナノチューブ層に固定されるので、二酸化マンガンのナノ粒子1224がカーボンナノチューブ層の微孔の中を自由に移動できない。
【0023】
カーボンナノチューブ層124は、一層のカーボンナノチューブフィルム又は少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムを含む。カーボンナノチューブ層124が少なくとも二層のカーボンナノチューブフィルムを含む時に、少なくとも二層のカーボンナノチューブフィルムが、互いに交差し、積層して設置され、交差して形成された角度が制限されない。好ましくは、交差して形成された角度が90度である。少なくとも二層のカーボンナノチューブフィルムが分子間力で緊密的に結合する。本実施例において、
図5を参照すると、カーボンナノチューブ層124は、二層のカーボンナノチューブフィルムを含み、二層のカーボンナノチューブフィルムが積層し、交差して設置され、交差して形成された角度が90度である。
【0024】
カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなる。カーボンナノチューブフィルムにおける大多数のカーボンナノチューブは、分子間力で端と端が接続されている。カーボンナノチューブフィルムは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)から引き出して得られ、自立構造を有したものである。カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブフィルムを引き出す方向に沿って、且つ、同じ方向に沿って配列されている。微視的には、カーボンナノチューブフィルムにおいて、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブ以外に、該同じ方向に沿っておらずランダムな方向を向いたカーボンナノチューブも存在している。ここで、該ランダムな方向を向いたカーボンナノチューブは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブと比べて、割合は小さい。
【0025】
本発明の実施例に係るリチウム−硫黄電池用隔膜10は、隔膜基底110の一つの表面に機能層120が敷設される。機能層120は、酸化グラフェン複合層122及びカーボンナノチューブ層124からなる挟層構造である。酸化グラフェン複合層122は、複数の酸化グラフェンシート1222及び複数の二酸化マンガンのナノ粒子1224を含み、酸化グラフェンシート1222及び二酸化マンガンのナノ粒子1224における酸素を含む機能原子団が多硫化物へ強い化学吸着力を有して、カーボンナノチューブ層が優れた機械性及び導電性を有する。従って、リチウム−硫黄電池用隔膜10は、リチウム−硫黄電池の電気化学反応の活性を確保できるとともに、多硫化物の拡散を防止でき、多硫化物が陽極と陰極との間の行き来を避けることができる。
【0026】
図6を参照すると、本発明の実施例2は、リチウム−硫黄電池用隔膜20を提供する。リチウム−硫黄電池用隔膜20は、実施例1におけるリチウム−硫黄電池用隔膜10と基本的に同じであり、その違いは、本実施例において、隔膜基底110の対向して設置された二つの表面に機能層120が覆われる。即ち、隔膜基底110は、二つの機能層120の間に設置される。
【0027】
本発明の実施例3は、リチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法を提供する。リチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法は、下記のステップを含む。
【0028】
ステップS1:隔膜基底を提供する。
【0029】
ステップS2:隔膜基底の一つの表面に機能層を形成して、機能層を形成する方法が下記のサブステップを含む。
【0030】
サブステップS21:隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブ層を敷設する。
【0031】
サブステップS22:複数の二酸化マンガンのナノ粒子及び複数の酸化グラフェンシートを提供して、複数の二酸化マンガンのナノ粒子及び複数の酸化グラフェンシートを溶剤に分散し、混合物を形成して、第一カーボンナノチューブ層の表面に混合物を均一的に沈積して、第一酸化グラフェン複合層を形成する。
【0032】
サブステップS23:第一酸化グラフェン複合層の表面に第二カーボンナノチューブ層を敷設する。
【0033】
サブステップS24:第二カーボンナノチューブ層の表面に、第二酸化グラフェン複合層を形成する。
【0034】
ステップS1において、隔膜基底は、リチウム−硫黄電池が通常使用する隔膜を採用する。好ましくは、隔膜基底が複数の微孔を有するポリオレフィンフィルムである。隔膜基底は、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムとポリエチレンフィルムとの複合フィルム等である。本実施例において、隔膜基底は、複数の微孔を有するポリエチレンフィルムであり、微孔の直径が1マイクロメートルであり、厚さが20マイクロメートルである。
【0035】
ステップS2において、複数の二酸化マンガンのナノ粒子の直径が5〜10ナノメートルであることが好ましい。溶剤がアルコール、イソプロピルアルコール等の揮発しやすい非極性の溶剤であることが好ましい。本実施例において、溶剤がアルコールである。
【0036】
第一カーボンナノチューブ層又は第二カーボンナノチューブ層は、一層のカーボンナノチューブフィルム又は少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムである。第一カーボンナノチューブ層又は第二カーボンナノチューブ層が一層のカーボンナノチューブフィルムである時に、隣接する第一カーボンナノチューブ層及び第二カーボンナノチューブ層が交差して設置され、交差して形成された角度が90度であることが好ましい。第一カーボンナノチューブ層又は第二カーボンナノチューブ層が少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムである時に、少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムが分子間力で緊密的に結合している。好ましくは、少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムが交差して設置され、交差して形成された角度が制限されない。より好ましくは、少なくとも積層された二層のカーボンナノチューブフィルムが交差して設置され、交差して形成された角度が90度である。本実施例において、第一カーボンナノチューブ層及び第二カーボンナノチューブ層は、それぞれ二層のカーボンナノチューブフィルムを含み、二層のカーボンナノチューブフィルムが交差し、積層して設置され、交差して形成された角度が90度である。
【0037】
カーボンナノチューブフィルムは、複数のカーボンナノチューブからなる。カーボンナノチューブフィルムにおける大多数のカーボンナノチューブは、分子間力で端と端が接続されている。カーボンナノチューブフィルムは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)から引き出して得られ、自立構造を有したものである。カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブフィルムを引き出す方向に沿って、且つ、同じ方向に沿って配列されている。微視的には、カーボンナノチューブフィルムにおいて、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブ以外に、該同じ方向に沿っておらずランダムな方向を向いたカーボンナノチューブも存在している。ここで、該ランダムな方向を向いたカーボンナノチューブは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブと比べて、割合は小さい。
【0038】
カーボンナノチューブフィルムは、引き伸ばす工具を採用して、超配列カーボンナノチューブアレイから引き伸ばして獲得されたものである。具体的には、超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供し、該基材はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、4インチのシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、基材の表面に、均一的に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイを成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に垂直に生長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブアレイの高さは300マイクロメートル以上であり、カーボンナノチューブの直径が10〜20ナノメートルである。具体的な製造方法は、特許文献1を参照する。
【0039】
隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブ層を敷設するステップにおいて、超配列カーボンナノチューブアレイから引き伸ばして獲得されたカーボンナノチューブフィルムを隔膜基底の表面に直接に敷設する。第一カーボンナノチューブ層が二層又は二層以上の積層し、交差されたカーボンナノチューブフィルムを含む時に、まず、隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブフィルムを敷設する。その後、第一カーボンナノチューブフィルムの表面に第二カーボンナノチューブフィルムを敷設して、第一カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向を第二カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向と交差させ、上記のようなステップを繰り返して、二層又は二層以上の交差し、積層されたカーボンナノチューブフィルムを含むカーボンナノチューブ層を獲得する。本実施例において、まず、隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブフィルムを敷設する。その後、第一カーボンナノチューブフィルムの表面に第二カーボンナノチューブフィルムを敷設して、第一カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向が、第二カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向と垂直する。
【0040】
第一酸化グラフェン複合層の表面に第二カーボンナノチューブ層を敷設する方法は、隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブ層を敷設する方法と同じである。
【0041】
ステップ21において、隔膜基底の表面に第一カーボンナノチューブ層を敷設する前に、更に、隔膜基底を平らなガラスに固定するステップを含む。
【0042】
ステップ22において、超音波式分散、又は攪拌などの方法により、複数の二酸化マンガンのナノ粒子及び複数の酸化グラフェンシートを溶剤に均一的に分散させ、混合物を形成する。複数の二酸化マンガンのナノ粒子と複数の酸化グラフェンシートとの質量比が1:2〜1:1であることが好ましい。本実施例において、5mgの二酸化マンガンのナノ粒子及び5mgの複数の酸化グラフェンシートを40mLのアルコールの中に分散して、30分間超音波式分散する。
【0043】
混合物を第一カーボンナノチューブ層の表面に均一的に沈積して、第一酸化グラフェン複合層を形成する方法は、下記のステップを含む。混合物をビュレットの方式又は徐々に傾けて投入する方式等により、第一カーボンナノチューブ層の表面に均一的に沈積して、混合物を第一カーボンナノチューブ層に浸漬させ、混合物を加熱して、混合物の中の溶剤を去除して、第一カーボンナノチューブ層の表面に第一酸化グラフェン複合層を形成する。
【0044】
攪拌又は超音波式分散などの方法により、複数の二酸化マンガンのナノ粒子を分子間力で複数の酸化グラフェンシートに吸着させることで、吸着力が強く、また、二酸化マンガンのナノ粒子のサイズが小さく、酸化グラフェンシートのサイズが大きく、且つ機械強度が優れる。そして、カーボンナノチューブ層がカーボンナノチューブのみからなる構造であり、カーボンナノチューブ層における微孔の直径が小さく、一般的に数十ナノメートルだけである。従って、二酸化マンガンのナノ粒子は、酸化グラフェンシートにしっかりと吸着することができ、且つ複合構造が積層されたカーボンナノチューブ層に固定されるので、二酸化マンガンのナノ粒子がカーボンナノチューブ層の微孔の中を自由に移動できない。二酸化マンガンのナノ粒子は、酸化グラフェンシートに均一的に吸着され、且つ二酸化マンガンのナノ粒子は、カーボンナノチューブ層と酸化グラフェンシートとが形成する挟層に嵌め込まれる。
【0045】
勿論、何度もステップS23及びステップS24を繰り返して、機能層に交替で積層して設置される複数層のカーボンナノチューブ層及び複数層の酸化グラフェン複合層を含ませる。好ましくは、このステップを7度〜11度も繰り返す。
【0046】
本実施例において、ステップS23及びステップS24を9度も繰り返して、機能層を形成する。機能層は、交替で積層して設置される十層のカーボンナノチューブ層及び十層の酸化グラフェン複合層を含む。具体的には、第一酸化グラフェン複合層の表面に第二カーボンナノチューブ層を敷設して、第二カーボンナノチューブ層の表面に第二酸化グラフェン複合層を敷設して、第二酸化グラフェン複合層の表面に第三カーボンナノチューブ層を敷設して、第三カーボンナノチューブ層の表面に第三酸化グラフェン複合層を敷設して、これによって類推して、隔膜基底に十層のカーボンナノチューブ層を形成して、且つ各層のカーボンナノチューブ層に酸化グラフェン複合層を均一的に沈積する。
【0047】
本発明の実施例4は、リチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法を提供する。本実施例のリチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法は、実施例3のリチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法と基本的に同じである。異なることは、隔膜基底の対向する二つの表面に機能層を形成することである。機能層の形成する方法は、実施例3の機能層の形成する方法と同じである。
【0048】
本発明の実施例5は、リチウム−硫黄電池を提供する。リチウム−硫黄電池は、陽極、陰極、隔膜及び電解液を含み、隔膜が陽極と陰極との間に設置される。その中には、陽極が硫黄−カーボンナノチューブ複合極片であり、硫黄の質量が陽極極片の質量の60wt%〜80wt%であり、陰極が金属のリチウムシートである。カーボンナノチューブが優れた柔軟性、長径比及び導電性を有するので、硫黄−カーボンナノチューブ複合極片が接着剤及び集電体を採用する必要はなく、リチウム−硫黄電池のエネルギー密度を高めることができる。隔膜は、上記のリチウム−硫黄電池用隔膜10を採用し、ここで、詳しく説明しない。電解液は、リチウム−硫黄電池の通常の電解液を採用する。
【0049】
実施例a:
リチウム−硫黄電池は、硫黄−カーボンナノチューブ複合極片を陽極として、金属のリチウムシートを陰極として、下記の方法により形成される溶液を電解液とする。その中には、陽極極片における硫黄の質量が75%を占める。具体的には、電解液は、1モルのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を、添加剤とする0.2モルのLiNO
3を含む1,3−ジオキソラン(DOL)とジメチルエーテル(DME)との混合液に溶解することにより、形成された溶液である。その中には、1,3−ジオキソラン(DOL)とジメチルエーテル(DME)との体積比が1:1である。
【0050】
本実施例のリチウム−硫黄電池用隔膜は、隔膜基底及び機能層を含む。隔膜基底は、厚さが20マイクロメートルであるポリエチレンフィルムであり、機能層は、十層の酸化グラフェンシート及び十層のカーボンナノチューブ層を含み、十層の酸化グラフェンシート及び十層のカーボンナノチューブ層が隔膜基底の一つの表面に交替で積層して設置される。複数の二酸化マンガンのナノ粒子は、酸化グラフェンシートに吸着され、且つ複数の二酸化マンガンのナノ粒子は、カーボンナノチューブ層と酸化グラフェンシートとが形成する挟層に嵌め込まれる。カーボンナノチューブ層は、積層し、垂直に交差して設置された十枚のカーボンナノチューブフィルムからなる。
【0051】
比較例b:
比較例bのリチウム−硫黄電池は、上記実施例aのリチウム−硫黄電池と基本的に同じである。異なることは、比較例bのリチウム−硫黄電池用隔膜は、厚さが20マイクロメートルであるポリエチレンフィルムを採用するだけである。
【0052】
図7を参照すると、本実施例aのリチウム−硫黄電池は、0.5Cの一定の速度で充放電して、200回の充放電した後、リチウム−硫黄電池の比容量が654mAh/g(相対極片)以上を保持する。比較例bのリチウム−硫黄電池は、同じテスト条件のもとで、200回の充放電した後、リチウム−硫黄電池の比容量が316mAh/g(相対極片)だけである。比較例bのリチウム−硫黄電池と比べて、本実施例aのリチウム−硫黄電池の容量及び容量保持率が高くなることが説明される。
【0053】
図8参照すると、本実施例aのリチウム−硫黄電池は、0.5Cの充放電倍率のもとで、それぞれ1回(1th)、50回(50th)、100回(100th)、200回(200th)も循環した後の充放電電圧特性曲線である。
図8から見れば、リチウム−硫黄電池が200回(200th)も循環した後の放電容量の保持率は、80.4%であり、且つ1回(1st)、50回(50th)、100回(100th)、200回(200th)も循環した後、リチウム−硫黄電池は、2.35V及び2.10Vのもとで、それぞれ安定である放電プラトー(discharge plateaus)を有することが分かる。実施例aのリチウム−硫黄電池用隔膜が充放電反応過程において、多硫化物の行き来する効果を抑えることができ、陽極極片における活性物質の硫黄の損失を避けることができ、且つリチウム−硫黄電池の電気化学反応活性を高めることができることが説明される。従って、リチウム−硫黄電池の循環の安定性及び容量の保持率を大きく改善することができる。
【0054】
図9を参照すると、本実施例aのリチウム−硫黄電池の倍率特性のテスト結果である。倍率特性のテストは、二つの部分に分けられ、第一部分が速く充電し、遅く放電する過程である。即ち、0.5Cの一定の速度で放電し、それぞれ0.2C、0.5C、1C、5C、7C及び10Cの速度で充電する。図から見れば、高い倍率に充電する時に、リチウム−硫黄電池の放電容量が高く依然として保持され、容量の減衰が小さいことが分かる。第二部分が速く充電し、速く放電する過程である。図から見れば、高倍率に放電する時に、リチウム−硫黄電池の容量が優れた保持率を依然として保持し、且つ低倍率に再び循環する時に容量のリカバリーレートが高いことが分かる。これによって、リチウム−硫黄電池は、優れた電気化学特性を有する。
【0055】
図10を参照すると、本実施例aのリチウム−硫黄電池が倍率テストした後、0.5Cの充放電倍率のもとで、再び100回も循環する。図から見れば、高倍率で充放電するテストをした後、リチウム−硫黄電池の循環安定性が顕著に減衰することを表現しなく、0.5Cの充放電倍率のもとで、再び100回も循環した後、容量が700mAh/g
以上を依然として保持することができることが分かる。
【0056】
図11を参照すると、本実施例aのリチウム−硫黄電池が1Cの一定の充放電倍率で、2500回も循環した後、リチウム−硫黄電池の放電容量が293mAh/gに達することができ、クーロン効率が98.8%以上を保持する。本実施例aのリチウム−硫黄電池は、優れた充放電循環能力を有することが説明される。比較例bのリチウム−硫黄電池は、同じテスト条件のもとで、容量が顕著に減衰して、700回も循環する時に、内部が短絡して、且つそのクーロン効率が高くなく、実施例1のリチウム−硫黄電池と比べて、顕著な変動を有する。
【0057】
図12及び
図13を参照すると、実施例aのリチウム−硫黄電池及び比較例bのリチウム−硫黄電池の自己放電のテスト結果である。
図12から見れば、20日放置した後、実施例aのリチウム−硫黄電池が優れた安定性を有して、20日放置した後の放電容量が元の放電容量の93.0%以上に達することができ、且つ100回の循環過程において、優れた安定性を表現することが分かる。
図13から見れば、比較例bのリチウム−硫黄電池が20日放置した後の放電容量が元の放電容量と比べて、顕著な減衰を有して、ひどい自己放電現象を表現して、且つ100回のテスト過程において、顕著な活性化の過程を有するが、その放電容量が依然として高くないことが分かる。実施例aのリチウム−硫黄電池は、基本的に自己放電現象が無く、比較例bのリチウム−硫黄電池は、自己放電現象がひどいことが説明される。
【0058】
本発明のリチウム−硫黄電池用隔膜の製造方法は、コストが低く、操作が簡単であり、大規模に生産しやすい。