特許第6363289号(P6363289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363289温度制御システム及びそれを用いた電動車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363289
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】温度制御システム及びそれを用いた電動車両
(51)【国際特許分類】
   B60L 15/20 20060101AFI20180712BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20180712BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20180712BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20180712BHJP
   B60W 10/30 20060101ALN20180712BHJP
   B60W 20/15 20160101ALN20180712BHJP
   B60K 1/00 20060101ALN20180712BHJP
【FI】
   B60L15/20 Z
   B60L1/00 L
   B60K11/04 H
   B60H1/22 671
   B60H1/22 651Z
   !B60W10/30 900
   !B60W20/15ZHV
   !B60K1/00
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-500119(P2017-500119)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-513453(P2017-513453A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】CN2015074767
(87)【国際公開番号】WO2015139661
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】61/968,801
(32)【優先日】2014年3月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516280613
【氏名又は名称】アリース エコ アーク(ケイマン) シーオー.エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊安陶
(72)【発明者】
【氏名】陳錚錚
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−525914(JP,A)
【文献】 特開2008−149288(JP,A)
【文献】 特開2009−291008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
B60H 1/22
B60K 11/04
B60K 1/00
B60W 10/30
B60W 20/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両の温度制御システムであって、前記電動車両は、コンパートメント、モータ、及びモータコントローラ、を備え、且つ、前記温度制御システムは、循環流路と、液体温度
調整器と、室内熱交換器と、放熱器と、モータ冷却回路と、流路スイッチを備え、
前記循環流路は、第一流路、第二流路、第三流路、第四流路、及び高温流路を含み、且つ前記循環流路内で冷却液が循環され、
前記液体温度調整器は、第一の入口と第一の出口を含み、且つ前記第一流路に配置され、
前記室内熱交換器は、第二の入口と第二の出口を含み、且つ前記コンパートメントの室内温度を調整し、前記第二の入口は、前記第一流路を通って前記第一の出口と連通し、前記放熱器は、第三の入口と第三の出口を含み、前記第三の入口は、前記第二流路を通って前記第二の出口と連通し、
前記モータ冷却回路は、第四の入口と第四の出口を含み、且つ前記モータ及びモータコントローラの動作温度を調整し、前記第四の入口は、前記第三の出口と連通し、
前記流路スイッチは、前記第一流路を通って前記第一の入口に接続され、前記第三流路を通って前記第二の出口に接続され、及び、前記第四流路を通って前記第四の出口に接続され、
前記高温流路は、前記第二流路及び前記第四流路の間に配置且つ接続され、それによって、前記第三の入口は、前記第四の出口と連通し、
前記第一流路は、前記第三流路又は前記第四流路と連通するように、前記流路スイッチによって選択的に変更される、
温度制御システム。
【請求項2】
第一ポンプをさらに含み、
前記第一ポンプは、前記高温流路に配置される、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
一方向弁をさらに含み、
前記一方向弁は、前記高温流路において、前記第一ポンプと前記第二流路の間に配置される、
請求項2に記載の温度制御システム。
【請求項4】
第二ポンプをさらに含み、
前記第二ポンプは、前記第一流路に配置される、
請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記放熱器は、ファンを備え、
環境温度が前記放熱器の流入温度よりも低い場合、前記ファンは起動され、
前記環境温度が前記放熱器の流入温度よりも高い場合、前記ファンは、停止する、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項6】
制御部をさらに含み、
前記流路スイッチは、前記第一流路が前記第三流路と通じるように、且つ、前記流路スイッチと前記第四流路の間の流路を閉じるように、前記制御部によって駆動され、そして、前記液体温度調整器は、前記液体温度調整器に流入した前記冷却液を冷却するように、前記制御部によって起動される、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項7】
制御部をさらに含み、
前記流路スイッチは、前記第一流路が前記第四流路を通じるように、且つ、前記流路スイッチと前記三流路の間の流路を閉じるように、前記制御部によって駆動され、そして、前記液体調整器は、前記液体温度調整器に流入した前記冷却液を冷却するように、前記制御部によって起動される、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項8】
制御部をさらに含み、
前記流路スイッチは、前記第一流路が前記第四流路と通じるように、且つ、前記流路スイッチと前記第三流路の間の流路を閉じるように、前記制御部によって駆動され、そして、前記液体温度調整器は、前記制御部によって閉じられる、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項9】
制御部をさらに含み、
前記流路スイッチは、前記第一流路が前記第四流路と通じるように、且つ、前記流路スイッチと前記第三流路の間の流路を閉じるように、前記制御部によって駆動され、そして、前記液体温度調整器は、前記液体温度調整器に流入した前記冷却液を加熱するように、前記制御部によって起動される、
請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項10】
電動車両であって、
前記電動車両は、コンパートメント、モータ、モータコントローラ及び温度制御システムを備え、
前記温度制御システムは、循環流路と、液体温度調整器と、室内熱交換器と、放熱器と、モータ冷却回路と、流路スイッチを備え、
前記モータは、前記モータコントローラによって制御され、
前記循環流路は、第一流路、第二流路、第三流路、第四流路、及び高温流路を含み、且つ前記循環流路内で冷却液が循環され、
前記液体温度調整器は、第一の入口と第一の出口を含み、且つ前記第一流路に配置され、
前記室内熱交換器は、第二の入口と第二の出口を含み、且つ前記コンパートメントの室内温度を調整し、前記第二の入口は、前記第一流路を通って前記第一の出口と連通し、
前記放熱器は、第三の入口と第三の出口を含み、前記第三の入口は、前記第二流路を通って前記第二の出口と連通し、
前記モータ冷却回路は、第四の入口と第四の出口を含み、且つ前記モータ及び前記モータコントローラの動作温度を調整し、前記第四の入口は前記第三の出口と連通し、
前記流路スイッチは、前記第一流路を通って前記第一の入口と接続され、前記第三流路を通って前記第二の出口と接続され、及び、前記第四流路を通って前記第四の出口と接続され、
前記高温流路は前記第二流路と前記第四流路の間に配置且つ接続されており、それによって、前記第三の入口は前記第四の出口と連通し、
前記第一流路は、前記第三流路又は前記第四流路と連通するように、前記流路スイッチによって、選択的に変更される、
温度制御システムを備える電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御システム及びそれを用いた電動車両に関するものであり、より詳細には、環境温度に対応してモードを変更する温度制御システム及びそれを用いた電動車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、車両は日常生活に欠かせない交通手段の一つとなっている。そのため、エネルギー不足と環境保護の概念の台頭により、電気で駆動される電動車両は徐々に、今日の産業の発展のキーポイントになりつつある。燃料によって駆動される車両に置き代わって、電動車両は、エネルギー変換の効率を高め、燃料の燃焼による大気汚染を低減することが期待されている。
【0003】
電動車両は主要な電力源としてモータ及びモータコントローラを使用している。大量の廃熱が動作中に電動車両によって生成されるので、モータ及びモータコントローラの正常な動作を維持することを目的として、モータ及びモータコントローラを冷却するために、中国特許公開番号CN101549637Aに開示される電気自動車冷却システムのように、従来の電動車両にはラジエータが利用されてきた。換言すれば、従来の電動車両では、冷却用の管路を通って、冷却水にモータ及びモータコントローラで生じた廃熱を吸収させ、その後、ラジエータへ温められた冷却水が導かれ、外気によって冷却するために、廃熱は空気中に発散される。すなわち、従来の電動車両における冷却効率は、環境温度によって制限される。しかし、環境温度が高すぎる(環境温度が摂氏35度より高い等)と、ラジエータの冷却効率が著しく低下し、それによって、モータ及びモータコントローラを流れる冷却水の温度が、理想的な動作温度(例えば、理想的な動作温度より摂氏20度等)よりも高くなる。したがって、冷却水は、モータ及びモータコントローラによって生じた廃熱を効果的に運び去ることができない。モータ及びモータドライバは容易に高い動作温度に達してしまう。
【0004】
例えば、環境温度が摂氏35度にまで上昇すると、モータ及びモータコントローラを通って流れる冷却水の温度が摂氏50から60度に上昇することもありえる。モータ及びモータドライバの理想的な動作温度が摂氏40度未満であるので、従来の電動車両では、環境温度が高すぎる場合、効果的に廃熱を除去できず、それによって、モータ及びモータコントローラの内部電子部品について、出力電力の減衰、及び不安定な出力電力という、性能の問題が生じ、モータ及びモータコントローラの寿命がさらに短縮される。
【0005】
また、電動車両の快適さを確保するために、環境温度が低すぎる場合、セントラルヒーティング(集中暖房システム)が電動車両により提供される必要が生じる。しかしながら、セントラルヒーティングが、燃料によって提供される場合には、エネルギーを節約し、炭素を低減する効果を効率的に達成することができない。逆に、電気を用いてセントラルヒーティングを作り出すために、エネルギーの消費量は非常に大きくなる。フル充電で可能となる走行マイル数が大幅に削減される。そのため、環境温度が低すぎると、効率的にセントラルヒーティングを作り出すことができない。従来の電動車両は、頻繁に充電する必要があり、そのため、利用するのに不便さが生じる。
【0006】
したがって、上記欠点を解消するために、温度制御システム及びそれを用いた電動車両を提供する必要がある。
【発明の開示】
【0007】
それぞれの環境温度に対応してモードを変更する温度制御システムとそれを用いた電動車両を提供することを目的とする。対応する流路が、それぞれ冷却ループとして形成されるように流路スイッチを介して相互に連通するように選択される。環境温度が高すぎる場合にモータ及びモータドライバの寿命が縮んでしまうという課題と、環境温度が低すぎる場合に電動車両が頻繁に充電する必要があるという課題、及び先行技術の使用の不便さは解決される。
【0008】
本発明は、それぞれの環境温度に対応してモードを変更する温度制御システムとそれを用いた電動車両を提供する。対応する流路が、それぞれの冷却ループとして形成されるように流路のスイッチを介して相互に連通するように選択される。電動車両のモータ及びモータコントローラの動作温度は、理想的な値に維持され、セントラルヒーティングは、モータ及びモータコントローラの廃熱をリサイクルすることによって効率的に提供される。
【0009】
本発明の態様によれば、電動車両の温度制御システムが提供される。電動車両は、コンパートメント、モータ及びモータコントローラを含む。温度制御システムは、循環流路、液体温度調整器、室内熱交換器、放熱器、モータ冷却回路及び流路スイッチを含む。循環流路は、第一流路、第二流路、第三流路、第四流路と高温流路を含む。冷却液は、循環流路内で循環される。液体温度調整器は、第一の入口と第一の出口を含む。液体温度調整器は、第一流路に配置される。室内熱交換器は、コンパートメントの室内温度を調整するために、第二の入口と第二の出口を含む。第二の入口は、第一流路を通って第一の出口と連通している。放熱器は、第三の入口と第三の出口を含む。第三の入口は、第二流路を通って第二の出口と連通している。モータ冷却回路は、モータ及びモータコントローラの動作温度を調整するために、第四の入口と第四の出口を含む。第四の入口は、第三の出口と連通している。流路スイッチは、第一流路を通って第一の入口と接続され、第三流路を通って第二の出口に接続され、及び第四流路を通って第四の出口に接続される。高温流路は、第二流路と第四流路の間に配置され、第二流路と第四流路に接続されており、それによって、第三の入口は、第四の出口と連通している。第一流路は、第三流路又は第四流路と連通するように、流路スイッチによって選択的に変更される。
【0010】
本発明の別の態様によれば、コンパートメント、モータ、モータコントローラ及び温度制御システムを含む電動車両が提供される。モータの動作は、モータコントローラによって制御される。温度制御システムは、循環流路、液体温度調整器、室内熱交換器、放熱器、モータ冷却回路及び流路スイッチを含む。循環流路は、第一流路、第二流路、第三流路、第四流路と高温流路を含む。冷却液は、循環流路内で循環される。液体温度調整器は、第一の入口と第一の出口とを含む。液体温度調整器は、第一流路に配置される。室内熱交換器は、コンパートメントの室内温度を調整するために、第二の入口と第二の出口を含む。第二の入口は、第一流路を通って第一の出口と連通している。放熱器は、第三の入口と第三の出口とを含む。第三の入口は、第二流路を通って第二の出口と連通している。モータ冷却回路は、モータ及びモータコントローラの動作温度を調整するために、第四の入口と第四の出口を含む。第四の入口は、第三の出口と連通している。流路スイッチは、第一流路を通って第一の入口と接続され、第三流路を通って第二の出口に接続され、及び、第四流路を通って第四の出口に接続される。高温流路は、第二流路と第四流路の間に配置され、第二流路と第四流路に接続され、それによって、第三の入口は第四の出口と連通する。第一流路は、第三流路又は第四流路と連通するように、流路スイッチによって選択的に変更される。
【0011】
本発明の上記の内容は、以下の詳細な説明と添付の図面を検討すると、当業者に、より容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電動車両の構成を示す。
【0013】
図2図2は、本発明の実施形態に係る温度制御システムの構成を示す。
【0014】
図3図3は、本発明の実施形態に係る温度制御システムの回路ブロック図を示す。
【0015】
図4図4は、通常冷却モードで温度制御システムの構成を示す。
【0016】
図5図5は、補助冷却モードと熱リサイクル加熱モードでの温度制御システムの構成を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、以下の実施形態を参照して具体的に説明される。本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、例示および説明のみを目的として、本明細書に提示されているということに留意されたい。それは、開示された正確な形態に、網羅的であること、または限定されるものではない。
【0018】
図1を参照のこと。図1は、本発明の実施形態に係る電動車両の構成を示す。図1に示すように、電動車両2は、電気駆動の車両である。電動車両2は、コンパートメント21、モータ22、モータコントローラ23、伝送システム(図示せず)、及び温度制御システム1を含む。電動車両2では、モータ21の動作は、モータコントローラ22によって制御され、電動車両2は、モータ21で駆動されるトランスミッションシステムにより動くように駆動される。好ましい実施形態では、電動車両2は、電動バスであり、公共交通機関のツールとして、コンパートメント21は、複数の乗客を運ぶために使用することができる。
【0019】
図2を参照のこと。図2は、本発明の実施形態に係る温度制御システムの構成を示す。図2に示すように、温度制御システム1は、循環流路10、液体温度調整器11、室内熱交換器12、放熱器13、モータ冷却回路14、流路スイッチ15、第一ポンプ16、一方向弁17、第二ポンプ18、及び、制御部19、を含む。この実施形態では、循環流路10、液体温度調整器11、室内熱交換器12、放熱器13、モータ冷却回路14、及び流路スイッチ15は、完全な閉鎖系路として構成されるが、それに限定されない。閉鎖系路は、他の機器を含み、且つ冷却液(図示せず)は、閉鎖系路で循環する。
【0020】
循環流路10は、第一流路101、第二流路102、第三流路103、第四流路104、及び高温流路105を含む。冷却液は、循環流路10内で循環される。第一流路101は、流路スイッチ15、液体温度調整器11、及び室内熱交換器12とを接続するように構成される。冷却液は、流路スイッチ15から出力し、その後、冷却液は、第一流路101に沿って液体温度調整器11を通って室内熱交換器12に導かれる。第二流路102は、室内熱交換器12と放熱器13とを接続するように構成される。冷却液は、室内熱交換器12から出力し、その後、冷却液は、第二流路102に沿って放熱器13に導かれる。第三流路103は、室内熱交換器12と流路スイッチ15とを接続するように構成される。冷却液は、室内熱交換器12から出力し、その後、冷却液は、第三流路103に沿って流路スイッチ15に導かれる。第四流路104は、モータ冷却回路14と流路スイッチ15とを接続するように構成される。冷却液は、モータ冷却回路14から出力し、その後、冷却液は第四流路104に沿って流路スイッチ15に導かれる。高温流路105は、第二流路102と第四流路104とを接続するように構成される。冷却液の一部は、第四流路104から高温流路105に入り、それから、高温流路105に沿って第二流路102に入る。
【0021】
図2を再度参照のこと。液体温度調整器11は、冷媒圧縮サイクル装置(図示せず)、第一の入口E1と第一の出口T1を含む。液体温度調整器11は、第一流路101に配置される。本実施形態では、液体温度調整器11の冷媒圧縮サイクル装置は、液体温度調整器11に流入した冷却液を冷やすことができるサイクル冷凍の機能を有する。
また、液体温度調整器11は、需要に従って、且つコンパートメント21内の室内温度に従って、第一の出口T1から出力した冷却液の温度を、特定の温度(摂氏5から20度であることが好ましく)まで下げるために、冷媒圧縮サイクル装置の電力を調整することができる。
ある実施形態では、液体温度調整器11の冷媒圧縮サイクル装置は、サイクル冷凍及び逆サイクル加熱する機能を同時に有し、サイクル冷凍の機能又は逆サイクル加熱の機能を選択的に起動することができる。
室内温度を下げる必要がある場合、サイクル冷凍の機能により、液体温度調整器11に流入した冷却液の冷却を開始する。
室内温度を上げる必要がある場合、逆サイクル加熱の機能により、液体温度調整器11に流入した冷却液の加熱を開始する。
ある実施形態において、冷却液は水であるが、これに限定されるものではない。冷却液は、実際の用途に応じて、高熱容量又は高い熱伝導率を有する流体から選択することができる。
【0022】
室内熱交換器12は、第二の入口E2と第二の出口T2を含む。室内熱交換器12の第二の入口E2は、第一流路101を通って、液体温度調整器11の第一の出口T1と連通している。
ある実施形態では、室内熱交換器12は、コンパートメント21に配置され、室内熱交換器12でコンパートメント21の室内温度を調整するために、コンパートメント21内の空気は、室内熱交換器12に流入した冷却液により熱交換される。
ある実施形態では、室内熱交換器12は、コンパートメント21に隣接して配置され、コンパートメント21内の空気は、送風装置(図示せず)を用いて室内熱交換器21に流入した冷却液により熱交換される。
【0023】
放熱器13はコンパートメント21の外側に配置され、外気と直接接しており、それによって、放熱器13に流入した冷却液は、熱対流又は熱放射により、外気と熱交換される。
ある実施形態では、放熱器13はラジエータであるが、本明細書では限定しない。放熱器13は、第三の入口E3と第三の出口T3を含む。
放熱器13の第三の入口E3は、第二流路102を通って室熱交換器12の第二の出口T2と連通する。
本実施形態において、放熱器13はファン131を含む。冷却液が放熱器13へ入った時、測定された冷却液の温度は、流入温度として定義される。
環境温度が、放熱器13の流入温度よりも低い場合に、ファン131は、制御部19によって起動され、ファン131により、放熱器13に流入した冷却液と外気との間の熱交換の効率が向上する。(すなわち、冷却液の貢献により放熱器13の温度低下の効率を向上させることができる)。
環境温度が、放熱器13の流入温度よりも高い場合、ファン131は制御部19によって閉じられ、それによって、放熱器13に流入した冷却液と外気との間の熱交換しすぎることを避けることができる。つまり、放熱器13から出力した冷却液の更なる温度上昇を引き起こす可能性があるからである。
【0024】
モータ冷却回路14は、第四の入口E4と第四の出口T4が含む。モータ冷却回路14の第四の入口E4は、放熱器13の第三の出口T3と連通している。
モータ冷却回路14は、少なくとも1つの流体管路(図示せず)によって構成されてもよい。モータ冷却回路14は、電動車両2のモータ22及びモータコントローラ23に隣接して配置され、モータ冷却回路14を介してモータ22及びモータコントローラ23との熱交換ができる。本実施形態で、モータ22の温度とモータコントローラ23の温度は測定され、動作温度として定義される。非常に多くの熱量が、動作中、電動車両2のモータ22及びモータコントローラ23によって生成され、そして、モータ22及びモータコントローラ23の温度が上がるので、モータ22及びモータコントローラ23によって生成された熱は、モータ22及びモータコントローラ23の動作温度を調整するために、モータ冷却回路14に流入した冷却液によって吸収されなければならない。それによって、動作温度が、モータの22及びモータコントローラ23の動作中、理想値より高くなることを回避できる。
ある実施形態では、モータ22及びモータコントローラ23の動作温度の理想値は、摂氏20から40度であるが、これに限定されるものではない。
したがって、モータ22及びモータコントローラ23内の電子部品が過度に高温になることを回避でき、モータ22及びモータコントローラ23の寿命を延ばす効果が得られる。一方、高温流路15は、第二流路102と第四流路104の間に配置され、第二流路102及び第四流路104と接続されており、それによって、放熱器13の第三の入口E3は、第二流路102、第四流路104、及び高温流路15を通って、モータ冷却回路14の第四の出口T4と連通している。
【0025】
図2を再度参照のこと。流路スイッチ15は、3つのポートを有し、3つのポートを介して、第一流路101、第三流路103、及び第四流路104に同時に接続することができる。すなわち、流路スイッチ15は、第一流路101を通って液体温度調整機11の第一の入口E1に接続され、第三流路103を通って室内熱交換器12の第二の出口T2に接続され、第四の流路104を通ってモータ冷却回路14の第四の出口T4に接続される。本実施形態では、第一流路101は、第三流路103又は第四流路104と連通するように、流路スイッチ15によって選択的に変更される。したがって、温度制御システム1は、それぞれの環境温度に対応してモードを変更することができる。対応する流路が、それぞれの冷却ループとして形成されるように、流路スイッチ15を介して互いに連通するように選択される。電動車両2の寿命と利用率が向上する。
【0026】
本実施形態では、第二流路102は、第一セグメント102a及び第二セグメント102bを含む。第四流路104は、第一セグメント104a及び第二セグメント104bを含む。第二流路102の第一セグメント102aは、放熱器13に接続され、及び、第二流路の第二セグメント102bは、室内熱交換器12に接続される。
第四流路104の第一セグメント104aは、モータ冷却回路14に接続され、及び、第四流路104の第二セグメント104bは、流路スイッチ105に接続される。
【0027】
ある実施形態では、温度制御システム1の第一ポンプ16は、高温流路15に配置されており、モータ冷却回路14から出力した冷却液を、第四流路104の第一セグメント104a、高温流路105、及び第二流路の第一セグメント102aを順に通り、放熱器13に向けてより安定して導くためのものである。
さらに、温度制御システムの一方向弁17は、高温流路15に配置され、且つ、第一ポンプ16及び第二流路102との間に配置される。冷却液の第四流路104から第二流路102への流出は、一方向弁17によってのみ許可される。冷却液の第二流路102から第四流路104への流入は禁止され、それにより、まだ放熱器13によって熱放散していない冷却液の、第二流路102から第四流路104への逆流を回避することができる。
つまり、一方向弁17は、モータ22及びモータコントローラ23を保護するために使用される。ある実施形態では、第二ポンプ18は、第一流路101に配置され、液体温度調整器11から室内熱交換器12へ出力した冷却液を、より安定に導くために、液体温度調整器11と室内熱交換器12の第二の入口E2との間に配置することが好ましい。
【0028】
図3を参照のこと。図3は、本発明の好適な実施形態に係る温度制御システムの回路ブロック図を示す。
図3に示すように、温度制御システム1の制御部19は、液体温度調整器11、ファン131、流路スイッチ15、第一ポンプ16、及び第二ポンプ18と、それぞれ電気的に接続され、液体温度調整器11、放熱器13のファン131、流路スイッチ15、第一ポンプ16、及び第二ポンプ18をそれぞれ起動又は終了するものである。電動車両2がそれぞれの環境温度に適用できるように、温度制御システム1は、通常冷却モード、補助冷却モード、及び、熱リサイクル加熱モード(又は、補助加熱モードと呼ばれる)を含み、温度制御システム1は、環境温度に応じて、動作モード変更することができる。本実施形態では、通常冷却モード、補助冷却モード、及び、熱リサイクル加熱モードは、制御部19によって操作され、温度制御システム1は、環境温度に応じて、制御部19により、対応する動作モードに変更される。
【0029】
図2及び図4を参照のこと。図4は、通常冷却モードでの温度制御システムの構成を示す。
図2及び図4に示すように、制御部19によって通常冷却モードに操作される場合、流路スイッチ15は、第一流路101を第三流路103と通じるように、且つ、流路スイッチ15と第四流路104の間の流路を閉じるように、制御部19によって駆動され、それによって、第一ループC1と第二ループC2が形成される。
第一ループC1は、主に、液体温度調整器11、第一流路101、第二ポンプ18、室内熱交換器12、第三流路103、及び流路スイッチ15を含む。第二ループC2は、主に、放熱器13、モータ冷却回路14、第四流路104の第一セグメント104a、高温流路105、第一ポンプ16、一方向弁17、及び第二流路102の第一セグメント102aを含む。
【0030】
図4を再度参照のこと。通常冷却モードの間、液体温度調整器11のサイクル冷凍の機能は、液体温度調整器11に流入した冷却液を冷却するために、制御部19によって起動され、それによって、液体温度調整器11から出力した冷却液の温度を低下させる。
次に、温度を低下させた冷却液は、第二ポンプ18を通って室内熱交換器12に導かれ、コンパートメント21内の空気の温度を、環境温度よりも低い温度である冷却液によって、調整することができ、コンパートメント内の空気の温度は下げられる。
そして、室内熱交換器12から出力した冷却液は、第三流路103と流路スイッチ15を介して、液体温度調整器11に戻される。その結果、第一ループC1のサイクルが完了し、コンパートメント21内の空気の温度を調整する効果が得られる。
【0031】
図4を再度参照のこと。通常冷却モードの間、放熱器13は、外気と、放熱器13に流入した冷却液との熱変換をするために利用される。
次に、放熱器13から出力した冷却液は、循環流路10を通ってモータ冷却回路14に入れられ、モータ22及びモータコントローラ23で生じた熱は、冷却液によって吸収される。そして、モータ冷却回路14から出力した冷却液は、第一セグメント104a、高温流路105、第一ポンプ16、一方向弁17、及び第二流路102の第一セグメント102aを通って放熱器13に戻される。
その結果、第二ループC2のサイクルが終了し、モータ22及びモータコントローラ23の動作温度を調整し、モータ22及びモータコントローラ23の動作温度が理想値を超えることを回避するという利点が得られる。
【0032】
さらに、通常冷却モードでは、第一ループC1に循環している冷却液の一部は、第三流路103から第二流路102の第二セグメント102bに入る。一方、第二ループC2に循環している冷却液の一部は、高温流路105から第二流路102の第二セグメント102bに入る。したがって、第一ループC1に循環している冷却液の一部と第二ループC2に循環している冷却液の一部は、第二流路102の第二セグメント102bで相互に熱交換される。第二ループC2の冷却液の温度が第一のループC1の冷却液の温度よりも高いので、液体温度調整器11は、第二流路102と第三流路103との間の伝達ができる設計をすることにより、放熱器13の放熱作業を程良く分担することができる。
【0033】
図2及び図5を参照のこと。図5は、補助冷却モードと熱リサイクル加熱モードにおける温度制御システムの構成を示す図である。
図2及び図5に示すように、制御部19によって補助冷却モードと熱リサイクル加熱モードに操作され、流路スイッチ15は、制御部19によって第一流路101と第四流路104を連通するように駆動され、流路スイッチ15と第三流路103との間の経路を閉じ、それにより、第三ループのC3が形成される。第三ループC3は、主に、液体温度調整器11、第一流路101、第二ポンプ18、室内熱交換器12、第二流路102、放熱器13、モータ冷却回路14、第四流路104、及び流路スイッチ15を含む。
【0034】
図5を再度参照のこと。補助冷却モードの場合であって、環境温度が摂氏40度より高い時、又は、電動車両2のモータ22及びモータコントローラ23の動作温度が高すぎる時、温度制御システムは、補助冷却モードに変更され、このように、液体温度調整器11及び放熱器13の二段階冷却運転は、モータ22及びモータコントローラ23の過熱を回避するために使用される。
【0035】
さらに、補助冷却モードでは、液体温度調整器11のサイクル冷凍の機能が、液体温度調整器11に流入した冷却液を冷却するために制御部19によって起動され、それにより、第三ループC3の冷却液の冷却動作の第一段階が完了し、液体温度調整器11から出力した冷却液の温度は下げられる。次に、温度が低下した冷却液は、コンパートメント21内の空気の温度をその冷却液(冷却液の温度は環境温度よりも低い)によって調節するために、第二ポンプ18を通って室内熱交換器12に導かれ、それによって、吸熱動作の第一段階が完了し、コンパートメント内の空気の温度は下げられる。そして、室内熱交換器12から出力した冷却液は、放熱器13に導かれ、放熱器13は、放熱器13に流入した冷却液と外気との熱交換のために利用される。したがって、第三ループC3の冷却液の冷却動作の第二段階が完了する。次に、放熱器13から出力した冷却液は、冷却液を介してモータ22及びモータ制御部23によって生成された熱を吸収するために、循環流路10を通ってモータ冷却回路14に入れられ、そして、第三ループC3の冷却液の吸熱動作の第二段階が完了する。そして、モータ冷却回路14から出力した冷却液は、第四流路104、流路スイッチ15、及び第一流路101を通って液体温度調整器11に戻され、それによって、第三ループC3の補助冷却循環が完成される。ある実施形態では、制御部19によって補助冷却モードに操作され、且つ、冷却液の冷房動作の第二段階が完了した場合、放熱器13から出力した冷却液の温度は、好ましくは摂氏30から40度である。
【0036】
図5を再度参照のこと。補助冷却モードでは、第一ポンプ16は、制御部19によって閉じられ、そして第二ポンプ18は制御部19による起動を保った状態である。一方向弁17により、第二流路102内の冷却液は、高温流路105を通って第四流路104に逆流することを回避されることになり、これにより、高温流路105内の冷却液が停滞し流れない状況にできる。換言すれば、制御部19によって補助冷却モードに操作されると、冷却液は、第三のループC3に沿って循環させることができる。
つまり、あまりに高い環境温度のエリアに置かれた場合、又はモータ22及びモータ制御部23の動作温度が高すぎる場合、温度制御システム1は、単一のループでのみ冷却液を循環し、二段階の冷却動作を行うように、補助冷却モードに切り替えられ、それによって、温度制御システム1のモータ22及びモータ制御部23に対する放熱効率を高め、さらに、モータ22及びモータコントローラ23の動作温度の調整を向上させる利点が達成される。
【0037】
図2及び図5を再度参照のこと。環境温度が低すぎると、制御部19によって熱リサイクル加熱モードに操作される。液体温度調整器11は、制御部19によって閉じられる(すなわち、液体温度調整器11のサイクル冷凍の機能はなされない)。
第一ポンプ16は制御部19によって閉じられ、第二ポンプ18は制御部19による起動を保った状態であり、それによって、冷却液は、第三ループC3に沿って循環される。
熱リサイクル加熱モードにおいて、冷却液が、モータ冷却回路14中の熱を吸収し、それによって、モータ冷却回路14から出力した冷却液の温度が上昇する。次に、高温の冷却液は、第四流路104、流路スイッチ15、第一流路101、及び液体温度調整器11を通って室内熱交換器12に導かれる。液体温度調整器11は閉じられているので、第一流路101内の冷却液は一定の温度に保たれる。従って、室内熱交換器に流入した冷却液12は、高温の状態にある。そして、高温状態の冷却液は、室内熱交換器12を介して、コンパートメント21内の空気と熱交換し、それにより、第三ループC3の冷却液の放熱動作の第一段階が完了する。次に、室内熱交換器12から出力した冷却液は、第三ループC3の冷却液の放熱動作の第二段階を完了するために、第二流路102を通って放熱器13へ導かれる。最後に、放熱器13から出力した冷却液は、第三ループC3の熱リサイクル加熱循環を完了するために、モータ冷却回路14に導かれる。ある実施形態では、制御部19によって熱リサイクル加熱モードに操作され、放熱動作の第二段階が完了し、放熱器13からの出力した冷却液の温度は、好ましくは、摂氏5から30度である。
【0038】
ある実施形態では、液体温度調整器11は、サイクル冷凍と逆サイクル暖房の機能を同時に有している。制御部19により、熱リサイクル加熱モードに変更された場合、制御部19により液体温度調整器11の逆サイクル加熱の機能が起動され、そして、液体温度調整器11に流入した高温の冷却液は、加熱され、液体温度調整器11から出力した冷却液の温度はさらに上昇し、それによって、コンパートメント内の空気の、温度上昇の効率が向上される。したがって、制御部19が、熱リサイクル加熱モードに変更された場合に、冷却液は、単一のループで循環され、モータ22及びモータ制御部23により生成された廃熱は、冷却液を介して室内熱交換器12に転送されることができる。すなわち、環境温度よりも高い冷却液の温度は、熱室熱交換器12を介してコンパートメント21内の空気と熱交換され、それによって、コンパートメント21内の空気の温度を上昇させる。セントラルヒーティングを発生させるために、モータ22及びモータコントローラ23によって発生する廃熱を再利用することにより、セントラルヒーティングが効果的に生成される。
【0039】
上記の説明から、本発明は、それぞれの環境温度に対応してモードを変更する温度制御システム及びそれを用いた電動車両を提供する。対応する流路は、それぞれの冷却ループとして形成されるように、流路スイッチを介して相互に連通するように選択される。電動車両のモータ及びモータコントローラの動作温度は、理想的な値に維持され、環境温度が高すぎる場合のモータ及びモータドライバの寿命が縮められるという問題は、解決される。セントラルヒーティングは、モータ及びモータコントローラにより生成された廃熱を再利用することにより効果的に提供され、環境温度が低すぎる場合に、電動車両が頻繁に充電されなければならないという問題は、解決される。利用の利便性を向上させる効果が得られる。
【0040】
本開示は、当業者によって、編集又は変更される可能性があり、しかしながら、添付の特許請求の範囲の、精神及び範囲内に含まれる、様々な修正及び類似の構成を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5