特許第6363311号(P6363311)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6363311
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20180712BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20180712BHJP
   F23G 5/46 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   F23L15/00 A
   F23G5/44 F
   F23G5/46 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-15124(P2018-15124)
(22)【出願日】2018年1月31日
【審査請求日】2018年2月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176315
【弁理士】
【氏名又は名称】荒田 秀明
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 圭
(72)【発明者】
【氏名】眞野 文宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 修史
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−170351(JP,A)
【文献】 特開2017−203434(JP,A)
【文献】 特開2015−194306(JP,A)
【文献】 特開2007−170703(JP,A)
【文献】 特開昭57−102525(JP,A)
【文献】 特開2017−190930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00
F23G 5/44
F23G 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、
前記廃棄物を焼却する焼却炉と、
酸素を含むガスである酸素含有ガスを圧縮するコンプレッサ、及び、前記コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動可能なタービンを含む過給機と、
前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する予熱器と、
前記コンプレッサ、前記予熱器、前記タービン及び前記焼却炉をこの順に接続しており、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスを前記焼却炉に供給するための酸素含有ガス供給流路と、
前記予熱器及び前記タービンをバイパスするように前記酸素含有ガス供給流路に接続されたバイパス流路と、
前記バイパス流路を流れる酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する加熱器と、
前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、
前記焼却炉に供給される前記酸素含有ガスの流量が規定値に維持されるように前記バイパス弁の開度を調整する制御部と、
前記バイパス流路のうち前記バイパス弁と前記加熱器との間の部位に酸素を含むガスである酸素含有ガスを供給可能な送風機と、を備え、
前記制御部は、前記加熱器に流入する前記酸素含有ガスの流量が基準値以上になるように前記送風機の回転数を調整する、廃棄物処理設備。
【請求項2】
廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって
前記廃棄物を焼却する焼却炉と、
酸素を含むガスである酸素含有ガスを圧縮するコンプレッサ、及び、前記コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動可能なタービンを含む過給機と、
前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する予熱器と、
前記コンプレッサ、前記予熱器、前記タービン及び前記焼却炉をこの順に接続しており、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスを前記焼却炉に供給するための酸素含有ガス供給流路と、
前記予熱器及び前記タービンをバイパスするように前記酸素含有ガス供給流路に接続されたバイパス流路と、
前記バイパス流路を流れる酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する加熱器と、
前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、
前記焼却炉に供給される前記酸素含有ガスの流量が規定値に維持されるように前記バイパス弁の開度を調整する制御部と、
前記バイパス流路のうち前記加熱器の下流側の部位から分岐するとともに、前記酸素含有ガスが前記加熱器で受け取った熱を利用する熱利用部に接続される分岐流路と、
前記分岐流路に設けられた開閉弁と、を備え、
前記制御部は、前記熱利用部に供給される前記酸素含有ガスの流量が設定値に維持されるように前記開閉弁の開度を調整する、廃棄物処理設備。
【請求項3】
請求項1または2に記載の廃棄物処理設備において、
前記排ガスが流れる排ガス流路をさらに備え、
前記加熱器は、前記排ガス流路のうち前記予熱器の上流側の部位に設けられている、廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を処理する廃棄物処理設備が知られている。例えば、特許文献1には、廃棄物を燃焼させる燃焼炉と、コンプレッサ部及びタービン部を含む過給機と、熱交換部と、圧縮空気管及び燃焼炉接続管と、第2管と、第2弁と、を備える廃棄物処理設備が開示されている。
【0003】
コンプレッサ部は、外部から吸い込んだ空気を圧縮する。タービン部は、コンプレッサ部に接続されており当該コンプレッサ部を駆動する。熱交換部は、コンプレッサ部から吐出された空気と燃焼炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって空気を加熱する。圧縮空気管は、コンプレッサ部とタービン部とを接続しており、燃焼炉接続管は、タービン部と燃焼炉とを接続している。つまり、圧縮空気管及び燃焼炉接続管は、コンプレッサ部から吐出された空気を燃焼炉での廃棄物の焼却に必要な燃焼空気として燃焼炉に導く流路である。第2管の一端は、圧縮空気管のうちコンプレッサ部と熱交換部との間に接続されており、第2管の他端は、燃焼炉接続管のうちタービン部と燃焼炉との間の部位に接続されている。すなわち、第2管を流れる空気は、熱交換部及びタービン部をバイパスして燃焼炉接続管に合流する。この第2管に第2弁が設けられている。
【0004】
特許文献1に記載の廃棄物処理設備では、当該設備の運転状況に応じて第2弁の開度が調整されることにより、コンプレッサ部から吐出された空気のタービン部への流入量、つまり、過給機の回転数(燃焼炉への空気の供給量)が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−190930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されるような廃棄物処理設備では、コンプレッサ部から吐出された空気のうち第2管を通じて燃焼炉接続管に合流する空気は、熱交換部において排ガスで加熱されないので、第2管を通る空気の流量が増大するにしたがって焼却炉に供給される空気の温度が低下する。この結果、燃焼炉での燃費が低下する(燃焼炉への補助燃料の供給量が増える)。
【0007】
本発明の目的は、焼却炉での燃費の低下を抑制しつつ、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの量を調整することが可能な廃棄物処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する手段として、本発明は、廃棄物を処理する廃棄物処理設備であって、前記廃棄物を焼却する焼却炉と、酸素を含むガスである酸素含有ガスを圧縮するコンプレッサ、及び、前記コンプレッサに接続されており当該コンプレッサを駆動可能なタービンを含む過給機と、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する予熱器と、前記コンプレッサ、前記予熱器、前記タービン及び前記焼却炉をこの順に接続しており、前記コンプレッサから吐出された酸素含有ガスを前記焼却炉に供給するための酸素含有ガス供給流路と、前記予熱器及び前記タービンをバイパスするように前記酸素含有ガス供給流路に接続されたバイパス流路と、前記バイパス流路を流れる酸素含有ガスと前記焼却炉から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する加熱器と、を備える、廃棄物処理設備を提供する。
【0009】
本廃棄物処理設備は、バイパス流路を備えているので、過給機の回転数、つまり、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの量を調整することが可能であり、また、バイパス流路に流入した酸素含有ガスが酸素含有ガス供給流路に合流するまでに当該酸素含有ガスを排ガスにより加熱する加熱器を備えているので、焼却炉に供給される酸素含有ガスの温度の低下(焼却炉での燃費の低下)が抑制される。
【0010】
また、前記廃棄物処理設備、前記バイパス流路に設けられたバイパス弁と、前記焼却炉に供給される前記酸素含有ガスの流量が規定値に維持されるように前記バイパス弁の開度を調整する制御部と、をさらに備える。
【0011】
このようにすれば、焼却炉に供給される酸素含有ガスの流量が自動的に概ね規定値に維持される。例えば、制御部は、焼却炉に供給される酸素含有ガスの流量が規定値よりも少なくなった場合に、バイパス弁の開度を小さくする。そうすると、コンプレッサから吐出された酸素含有ガスのうちタービンへ流入する酸素含有ガスの流量(過給機の回転数)が増大するので、焼却炉に供給される酸素含有ガスの流量が増大する。
【0012】
さらに、この出願の第1の発明に係る廃棄物処理設備は、前記バイパス流路のうち前記バイパス弁と前記加熱器との間の部位に酸素を含むガスである酸素含有ガスを供給可能な送風機をさらに備え、前記制御部は、前記加熱器に流入する前記酸素含有ガスの流量が基準値以上になるように前記送風機の回転数を調整する。
【0013】
このようにすれば、加熱器に流入する酸素含有ガスの流量、つまり、加熱器において排ガスで加熱されてから酸素含有ガス供給流路に合流する酸素含有ガスの流量が確保される。よって、バイパス流路に流入する酸素含有ガスの流量が減少した場合における加熱器の損傷が抑制され、かつ焼却炉に供給される酸素含有ガスの流量が有効に確保される。
【0014】
また、前記廃棄物処理設備において、前記排ガスが流れる排ガス流路をさらに備え、前記加熱器は、前記排ガス流路のうち前記予熱器の上流側の部位に設けられていることが好ましい。
【0015】
このようにすれば、加熱器において排ガスが酸素含有ガスによって冷却されるので、予熱器に流入する排ガスの温度が有効に低下する。このため、バイパス流路へ流入する酸素含有ガスの流量が多くなったとしても、予熱器から排出された酸素含有ガスの温度、つまり、タービンに流入する酸素含有ガスの温度が過度に上昇すること、及び、それに起因するタービンの損傷が抑制される。
【0016】
また、この出願の第2の発明に係る廃棄物処理設備、前記バイパス流路のうち前記加熱器の下流側の部位から分岐するとともに、前記酸素含有ガスが前記加熱器で受け取った熱を利用する熱利用部に接続される分岐流路と、前記分岐流路に設けられた開閉弁と、をさらに備え、前記制御部は、前記熱利用部に供給される前記酸素含有ガスの流量が設定値に維持されるように前記開閉弁の開度を調整する。
【0017】
このようにすれば、焼却炉への酸素含有ガスの供給量の確保と、バイパス流路に流入した酸素含有ガスの余剰分の熱利用部での有効利用と、の双方が達成される。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、焼却炉での燃費の低下を抑制しつつ、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの量を調整することが可能な廃棄物処理設備を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態の廃棄物処理設備の概略を示す図である。
図2図1に示される廃棄物処理設備の制御部の制御内容を示すフローチャートである。
図3図1に示される廃棄物処理設備の制御部の制御内容を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態の廃棄物処理設備の概略を示す図である。
図5図4に示される廃棄物処理設備の制御部の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の好ましい実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の廃棄物処理設備について、図1図3を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示されるように、本実施形態の廃棄物処理設備は、焼却炉10と、過給機20と、予熱器30と、酸素含有ガス供給流路L1と、バイパス流路L2と、バイパス弁V1と、加熱器40と、制御部50と、送風機60と、を備えている。
【0023】
焼却炉10は、下水の汚泥等の廃棄物を焼却する炉である。この焼却炉10から排出される排ガスは、当該焼却炉10に接続された排ガス流路Lを流れる。
【0024】
過給機20は、コンプレッサ21と、タービン22と、を有している。コンプレッサ21は、酸素を含有する酸素含有ガス(空気等)を圧縮する。タービン22は、コンプレッサ21に接続されている。このため、タービン22の回転によりコンプレッサ21が駆動される。
【0025】
予熱器30は、焼却炉10から排出された排ガス(排ガス流路Lを流れる排ガス)によってコンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスを加熱する。なお、予熱器30において酸素含有ガスを加熱した後に当該予熱器30から排出された排ガスは、予熱器30の下流側に配置される処理設備で適宜処理される。
【0026】
酸素含有ガス供給流路L1は、コンプレッサ21、予熱器30、タービン22及び焼却炉10をこの順に接続している。このため、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスは、予熱器30及びタービン22を経由して燃焼用ガスとして焼却炉10に供給される。
【0027】
バイパス流路L2は、予熱器30及びタービン22をバイパスするように酸素含有ガス供給流路L1に接続されている。つまり、バイパス流路L2の上流側の端部は、酸素含有ガス供給流路L1のうちコンプレッサ21と予熱器30との間の部位に接続されており、バイパス流路L2の下流側の端部は、酸素含有ガス供給流路L1のうちタービン22と焼却炉10との間の部位に接続されている。
【0028】
バイパス弁V1は、バイパス流路L2に設けられており、開度の調整が可能である。
【0029】
加熱器40は、バイパス流路L2を流れる酸素含有ガスと排ガス流路Lを流れる排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する。本実施形態では、加熱器40は、排ガス流路Lのうち予熱器30よりも上流側の部位に設けられている。ただし、加熱器40は、排ガス流路Lのうち予熱器30よりも下流側の部位に設けられてもよい。
【0030】
送風機60は、バイパス流路L2のうちバイパス弁V1と加熱器40との間の部位に酸素を含むガスである酸素含有ガス(空気等)を供給可能である。
【0031】
制御部50は、バイパス弁V1の開度及び送風機60の回転数をPID制御等により調整する。具体的に、制御部50は、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量が規定値Fαに維持されるようにバイパス弁V1の開度を調整するバイパス弁調整部51と、加熱器40に流入する酸素含有ガスの流量が基準値Fβ以上になるように送風機60の回転数を調整する回転数調整部52と、を有する。バイパス弁調整部51によるバイパス弁V1の開度の調整及び回転数調整部52による送風機60の回転数の調整は、時間的に並列的に行われる。例えば、回転数調整部52による送風機60の回転数の調整速度(応答速度)は、バイパス弁調整部51によるバイパス弁V1の開度の調整速度(応答速度)よりも小さく設定される。これにより、ハンチングが抑制される。なお、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量は、酸素含有ガス供給流路L1のうちバイパス流路L2の下流側の端部と焼却炉10との間の部位に設けられた流量センサ81によって検出される。加熱器40に流入する酸素含有ガスの流量は、バイパス流路L2送風機60と加熱器40との間の部位に設けられた流量センサ82によって検出される。
【0032】
以下、図2を参照しながら、バイパス弁調整部51の制御内容について説明し、その後、図3を参照しながら、回転数調整部52の制御内容について説明する。
【0033】
図2に示されるように、制御部50のバイパス弁調整部51は、まず、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量F1が規定値Fα未満であるか否かを判断する(ステップST11)。この結果、前記流量F1が規定値Fα未満である場合、バイパス弁調整部51は、バイパス弁V1の開度を下げる(ステップST12)。これにより、バイパス流路L2に流入する酸素含有ガスの流量が減るとともに、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスのうち予熱器30を経由してタービン22に流入する酸素含有ガスの流量が増えるので、過給機20の回転数が上がる。このため、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量(流量センサ81の検出値F1)が増大する。
【0034】
一方、ステップST11において前記流量F1が規定値Fα以上である場合、バイパス弁調整部51は、前記流量F1が規定値Fαよりも大きいか否かを判断する(ステップST13)。この結果、前記流量F1が規定値Fαよりも大きい場合、バイパス弁調整部51は、バイパス弁V1の開度を上げる(ステップST14)。これにより、バイパス流路L2に流入する酸素含有ガスの流量が増えるとともに、コンプレッサ21から吐出された酸素含有ガスのうち予熱器30を経由してタービン22に流入する酸素含有ガスの流量が減るので、過給機20の回転数が下がる。このため、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量(流量センサ81の検出値F1)が減少する。
【0035】
そして、ステップST12又はステップST14の後、あるいは、ステップST13において前記流量F1が規定値Fα以下の場合、つまり、前記流量F1が規定値Fαに等しい場合、バイパス弁調整部51は、焼却炉10を停止するか否か(焼却炉10の停止を指示する指示信号を受信したか否か)を判断する(ステップST15)。その結果、焼却炉10を停止しない場合、バイパス弁調整部51は、再びステップST11に戻り、焼却炉10を停止する場合、バイパス弁調整部51は、制御を終了する。
【0036】
次に、回転数調整部52について説明する。
【0037】
図3に示されるように、回転数調整部52は、まず、加熱器40に供給される酸素含有ガスの流量F2が基準値Fβ未満であるか否かを判断する(ステップST21)。この結果、前記流量F2が基準値Fβ未満である場合、回転数調整部52は、送風機60の回転数を上げる(ステップST22)。これにより、加熱器40を経由して酸素含有ガス供給流路L1に合流する酸素含有ガスの流量が増大する。このため、バイパス流路L2に流入する酸素含有ガスの流量が減少した場合においても、加熱器40において排ガスが酸素含有ガスにより十分に冷却されるので、加熱器40の損傷が抑制され、かつ焼却炉10への酸素含有ガスの供給量(流量センサ81の検出値F1)が有効に確保される。
【0038】
一方、ステップST21において前記流量F2が基準値Fβ以上である場合、回転数調整部52は、前記流量F2が基準値Fβよりも大きいか否かを判断する(ステップST23)。この結果、前記流量F2が基準値Fβよりも大きい場合、回転数調整部52は、送風機60の回転数を下げる(ステップST24)。これにより、加熱器40を経由して酸素含有ガス供給流路L1に合流する酸素含有ガスの流量が減少する。
【0039】
そして、ステップST22又はステップST24の後、あるいは、ステップST23において前記流量F2が基準値Fβ以下の場合、つまり、前記流量F2が基準値Fβに等しい場合、回転数調整部52は、焼却炉10を停止するか否か(焼却炉10の停止を指示する指示信号を受信したか否か)を判断する(ステップST25)。その結果、焼却炉10を停止しない場合、回転数調整部52は、再びステップST21に戻り、焼却炉10を停止する場合、回転数調整部52、制御を終了する。
【0040】
以上に説明したように、本実施形態の廃棄物処理設備は、バイパス流路L2を備えているので、過給機20の回転数、つまり、焼却炉10へ供給される酸素含有ガスの流量F1を調整することが可能であり、また、バイパス流路L2に流入した酸素含有ガスが酸素含有ガス供給流路L1に合流するまでに当該酸素含有ガスを排ガスにより加熱する加熱器40を備えているので、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの温度の低下(焼却炉10での燃費の低下)が抑制される。
【0041】
また、本実施形態の廃棄物処理設備は、バイパス弁V1とバイパス弁調整部51とを有しているので、焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量が自動的に概ね規定値Fαに維持される。
【0042】
また、本実施形態の廃棄物処理設備は、送風機60及び回転数調整部52を有しているので、加熱器40に流入する酸素含有ガスの流量F2、つまり、加熱器40において排ガスで加熱されてから酸素含有ガス供給流路L1に合流する酸素含有ガスの流量が確保される。よって、バイパス流路L2に流入する酸素含有ガスの流量が減少した場合における加熱器40の損傷が抑制され、かつ焼却炉10に供給される酸素含有ガスの流量F1が有効に確保される。
【0043】
また、本実施形態の廃棄物処理設備では、加熱器40は、排ガス流路Lのうち予熱器30の上流側の部位に設けられているので、すなわち、加熱器40において排ガスが酸素含有ガスによって冷却されるので、予熱器30に流入する排ガスの温度が有効に低下する。このため、バイパス流路L2へ流入する酸素含有ガスの流量が多くなったとしても、予熱器30から排出された酸素含有ガスの温度、つまり、タービン22に流入する酸素含有ガスの温度が過度に上昇すること、及び、それに起因するタービン22の損傷が抑制される。
【0044】
(第2実施形態)
次に、図4及び図5を参照しながら、本発明の第2実施形態の廃棄物処理設備について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0045】
本実施形態の廃棄物処理設備は、分岐流路L3及び開閉弁V2をさらに備えており、また、制御部50は、開閉弁調整部53をさらに有している。
【0046】
分岐流路L3は、バイパス流路L2のうち加熱器40の下流側の部位から分岐している。この分岐流路L3は、酸素含有ガスが加熱器40で受け取った熱を利用する白煙防止塔等の熱利用部70に接続される。
【0047】
開閉弁V2は、分岐流路L3に設けられており、開度の調整が可能である。
【0048】
開閉弁調整部53は、熱利用部に供給される酸素含有ガスの流量が設定値Fγに維持されるように、開閉弁V2の開度を調整する。この開閉弁調整部53の具体的な制御内容を図5を参照しながら説明する。なお、熱利用部に供給される酸素含有ガスの流量は、分岐流路L3のうち開閉弁V2の下流側の部位に設けられた流量センサ83によって検出される。
【0049】
図5に示されるように、開閉弁調整部53は、まず、熱利用部に供給される酸素含有ガスの流量F3が設定値Fγ未満であるか否かを判断する(ステップST31)。この結果、前記流量F3が設定値Fγ未満である場合、開閉弁調整部53は、開閉弁V2の開度を上げる(ステップST32)。これにより、分岐流路L3に流入する酸素含有ガスの流量が増える。
【0050】
一方、ステップST31において前記流量F3が設定値Fγ以上である場合、開閉弁調整部53は、前記流量F3が設定値Fγよりも大きいか否かを判断する(ステップST33)。この結果、前記流量F3が設定値Fγよりも大きい場合、開閉弁調整部53は、開閉弁V2の開度を下げる(ステップST34)。これにより、分岐流路L3に流入する酸素含有ガスの流量が減る。
【0051】
そして、ステップST32又はステップST34の後、あるいは、ステップST33において前記流量F3が設定値Fγ以下の場合、つまり、前記流量F3が設定値Fγに等しい場合、開閉弁調整部53は、焼却炉10を停止するか否か(焼却炉10の停止を指示する指示信号を受信したか否か)を判断する(ステップST35)。その結果、焼却炉10を停止しない場合、開閉弁調整部53は、再びステップST31に戻り、焼却炉10を停止する場合、開閉弁調整部53は、制御を終了する。
【0052】
以上に説明したように、本実施形態では、焼却炉10への酸素含有ガスの供給量の確保と、バイパス流路L2に流入した酸素含有ガスの余剰分の熱利用部での有効利用と、の双方が達成される。
【0053】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
例えば、送風機60及び回転数調整部52は、省略されてもよい。
【0055】
また、バイパス弁調整部51が省略され、バイパス弁V1の開度が手動で調整されてもよい。同様に、開閉弁調整部53が省略され、開閉弁V2の開度が手動で調整されてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 焼却炉
20 過給機
21 コンプレッサ
22 タービン
30 予熱器
40 過熱器
50 制御部
51 バイパス弁調整部
52 回転数調整部
53 開閉弁調整部
60 送風機
L 排ガス流路
L1 酸素含有ガス供給流路
L2 バイパス流路
L3 分岐流路
V1 バイパス弁
V2 開閉弁
【要約】
【課題】焼却炉での燃費の低下を抑制しつつ、焼却炉へ供給される酸素含有ガスの量を調整することが可能な廃棄物処理設備を提供すること。
【解決手段】廃棄物処理設備であって、焼却炉(10)と、過給機(20)と、予熱器(30)と、酸素含有ガス供給流路(L1)と、予熱器(30)及びタービン(22)をバイパスするように酸素含有ガス供給流路(L1)に接続されたバイパス流路(L2)と、バイパス流路(L2)を流れる酸素含有ガスと焼却炉(10)から排出された排ガスとを熱交換させることによって当該酸素含有ガスを加熱する加熱器(40)と、を備えること。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5