特許第6363315号(P6363315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6363315
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/56 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
   H04M3/56 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-88158(P2018-88158)
(22)【出願日】2018年5月1日
【審査請求日】2018年5月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100125874
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 純市
(72)【発明者】
【氏名】國分 二郎
【審査官】 塩澤 如正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−165817(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0185371(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
H04M 1/24 − 1/82
H04M 3/00
H04M 3/16 − 3/20
H04M 3/38 − 3/58
H04M 7/00 − 7/16
H04M 11/00 − 11/10
H04M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信するための音声を音声信号に変換するマイクロホンと、
前記マイクロホンからの音声信号に従って搬送波信号を変調することで無線信号を発生して無線送信する変調送信手段と、
受信される無線信号を受信して、受信した無線信号を音声信号に復調する受信復調手段とを備えた無線通信装置において、
無線送信を行っていないときに前記マイクロホンに入力される音声信号を検出し、前記検出された音声信号のレベルが所定のしきい値以上である否かを判断する検出手段と、
前記検出手段が前記音声信号のレベルが所定のしきい値以上であると判断したとき、前記復調された音声信号を所定時間ミュートさせる制御手段とを備えたことを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置がミュート中であることを示す所定の第1の音声信号を発生することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先に対して、
(1)当該無線通信装置によるミュートの開始時を示す所定の第2の音声信号と、
(2)当該無線通信装置によるミュートの終了時を示す所定の第3の音声信号と
のうちの少なくとも一方を無線送信することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先からの無線送信の音声信号を受信したとき、当該音声信号の受信を示す所定の第4の音声信号を発生することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先からの無線送信の音声信号を受信した後当該受信の終了時に、当該無線通信装置の通信相手先に当該無線通信装置がミュート中であることを示す所定の第5の音声信号を無線送信することを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記検出手段が前記マイクロホンに入力される音声信号を検出したとき、前記制御手段は、当該検出した音声信号を当該無線通信装置のスピーカ又はイヤホンに出力することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の無線通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来例に係る、会話と無線通話との関係に関する問題点を示すための概略模式図である。図1において、無線通信装置Bの使用者Qが、無線通信装置Aの使用者Pからの無線通話受信を行うことと、他の会話相手Rと会話(例えば接客など)を行うこととが同時に発生する場合がある。このシチュエーションは、例えばホテルのコンセルジュ、もしくは居酒屋の店員が顧客と会話中に、例えば業務連絡の無線受信音声を受ける場合(もしくは、その逆パターン)において頻発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−091120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1の場合において、無線通信装置Bの使用者Qは無線通話と会話の両方の聞き取りが困難になる。ここで、基本的に対面への対応が優先されるため、無線通信装置Bの使用者Qは会話相手Rとの会話を優先し、以下のいずれかの手動の操作対応を行う必要があるという問題点があった。
(1)無線通信装置Bの音量を手動操作で消音に変更する。
(2)無線通信装置Bの電源を手動操作でオフする。
(3)無線通信装置Bの内蔵スピーカを耳から遠ざけるか、もしくは外部イヤホンを耳からはずす。
【0005】
また、特許文献1では、ネットワークを用いた音声通信において、使用形態に応じて音声出力の形態を切り換えることのできる音声通信端末装置を提供することが開示されている。当該音声通信端末装置は、外部マイクおよび外部イヤホンが接続される周辺機器接続部と、マイクから入力された音声をネッワーク通信部に入力する送信回路と、ネットワーク通信部が受信した音声信号をスピーカに出力する受信回路と、送信回路をオン/オフするPTTスイッチとを備える。また、周辺機器接続部に周辺機器が接続されない状態でPTTスイッチが操作されたとき、送信回路をオンするとともに受信回路から出力される音声信号を無音にし、周辺機器接続部に外部マイクおよび外部イヤホンが接続された状態で外部マイクから入力される音声のレベルが一定レベルを超えたとき、受信回路をオンしたままで前記送信回路をオンする制御部を備える。
【0006】
すなわち、特許文献1に開示された音声通信端末装置は、外部マイクから入力される音声のレベルが一定レベルを超えたとき、受信回路をオンしたままで前記送信回路をオンするという、いわゆる、音声を感知すると自動で送信状態になる「VOX機能」のみが開示されており、上述の問題点を解決することができない。
【0007】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、上述の手動操作をする必要がない、無線通話よりも会話を優先とすることができる無線通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る無線通信装置は、
無線送信するための音声を音声信号に変換するマイクロホンと、
前記マイクロホンからの音声信号に従って搬送波信号を変調することで無線信号を発生して無線送信する変調送信手段と、
受信される無線信号を受信して、受信した無線信号を音声信号に復調する受信復調手段とを備えた無線通信装置において、
無線送信を行っていないときに前記マイクロホンに入力される音声信号を検出し、前記検出された音声信号のレベルが所定のしきい値以上である否かを判断する検出手段と、
前記検出手段が前記音声信号のレベルが所定のしきい値以上であると判断したとき、前記復調された音声信号を所定時間ミュートさせる制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記無線通信装置において、前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置がミュート中であることを示す所定の第1の音声信号を発生することを特徴とする。
【0010】
また、前記無線通信装置において、前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先に対して、
(1)当該無線通信装置によるミュートの開始時を示す所定の第2の音声信号と、
(2)当該無線通信装置によるミュートの終了時を示す所定の第3の音声信号と
のうちの少なくとも一方を無線送信することを特徴とする。
【0011】
さらに、前記無線通信装置において、前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先からの無線送信の音声信号を受信したとき、当該音声信号の受信を示す所定の第4の音声信号を発生することを特徴とする。
【0012】
またさらに、前記無線通信装置において、前記制御手段が無線受信される音声信号をミュートさせるときに、前記制御手段は、当該無線通信装置の通信相手先からの無線送信の音声信号を受信した後当該受信の終了時に、当該無線通信装置の通信相手先に当該無線通信装置がミュート中であることを示す所定の第5の音声信号を無線送信することを特徴とする。
【0013】
またさらに、前記無線通信装置において、前記検出手段が前記マイクロホンに入力される音声信号を検出したとき、前記制御手段は、当該検出した音声信号を当該無線通信装置のスピーカ又はイヤホンに出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
従って、本発明に係る無線通信装置によれば、上述の手動操作をする必要がない、無線通話よりも会話を優先とすることができる無線通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来例に係る問題点を示すための概略模式図である。
図2】実施形態1に係る前記問題点を解決する方法を示す概略模式図である。
図3】実施形態1に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
図4図3の無線通信装置の制御部10により実行される装置制御処理を示すフローチャートである。
図5】実施形態2(実施形態3〜6にも適用)に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
図6図5の無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。
図7A】実施形態3に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。
図7B】実施形態3に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。
図8A】実施形態4に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理の第1の部分を示すフローチャートである。
図8B】実施形態4に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理の第2の部分を示すフローチャートである。
図9】実施形態5に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。
図10】実施形態6に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
【0017】
(実施形態1)
図2は実施形態1に係る前記問題点を解決する方法を示す概略模式図である。図2に示すように、無線通信装置Bの使用者Qが、無線通信装置Aの使用者Pからの無線通話受信を行うことと、他の会話相手Rと会話(例えば接客など)を行うこととが同時に発生する場合において、無線通信装置Bが無線送信を行っていないときに本来は無線送信で使うマイクロホンを用いて、当該マイクロホンに入力される音声信号が所定のしきい値以上である否かを判断することにより会話の有無を判断し、会話中の場合は無線通話による受信音声をミュートさせることを特徴としている。ここで、「ミュート」とは完全に消音すること、もしくは、出力音声を低減することを含む。これにより、無線通信装置Bの使用者Qは自動的に会話のみを聞き取ることが容易となる。
【0018】
図3は実施形態1に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。
【0019】
図3において、制御部10は内部メモリ10mを有し、無線通信装置内の各部2,3,8,の動作を制御する。内部メモリ10mは、後述するミュートタイマーカウントの計数値、無線受信中にミュートオンであるか否かを示すフラグ(実施形態4)を格納するレジスタを有する。制御部10には、押下することで無線送信を開始して話し始めるためのプッシュ・ツー・トークキー(以下、PTTキーという)11Aを含む操作部11が接続される。当該無線通信装置の使用者がPTTキー11Aを押下したとき、当該無線通信装置は無線送信状態になり、押下していないときに無線受信状態になる。
【0020】
無線受信状態において、アンテナ1により受信された無線信号は受信復調部2に入力される。受信復調部2は受信された無線信号を復調することで音声信号を生成して音声遮断・通過切替部3に出力する。音声遮断・通過切替部3は受信音声のミュート制御部を構成し、制御部10からの制御信号に基づいて、入力される音声信号を遮断する(ミュートさせる)か、もしくは通過させるかを選択的に切り替える。後者のときは、音声遮断・通過切替部3は通過させた音声信号を音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力することで、受信した音声信号の音声を出力する。ここで、外部イヤホン5は本体内蔵のスピーカであってもよい。
【0021】
マイクロホン6に入力される音声は音声信号に変換された後、音声信号増幅部7を介して変調送信部8に入力されるとともに音声検出部13に入力される。無線送信状態において、変調送信部8は入力される音声信号に従って所定の搬送波信号を変調することで無線信号を生成してアンテナ9に出力することで、当該無線信号を相手先の無線通信装置に放射する。音声検出部13は入力される音声信号のレベルが所定のしきい値以上であるか否かを判断し、しきい値以上であるときに所定の検出信号を制御部10に出力する。制御部10は、検出信号に応答して、無線通信装置の使用者が他の会話相手と会話中であると判断して無線通話による受信音声をミュートさせるように、音声遮断・通過切替部3を制御する。
【0022】
図4図3の無線通信装置の制御部10により実行される装置制御処理を示すフローチャートである。
【0023】
図4のステップS1において、PTTキー11Aによる無線送信待ちであって、通話の音声信号で変調された無線信号の入感による受信待ち、もしくは無線信号の入感による受信中の状態であり、内部メモリ10mのミュートタイマーカウントを0にリセットする。次いで、ステップS2において、PTTキー11Aがオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS6に進む。ステップS3では、無線送信を開始し、ステップS4でPTTキー11Aがオンであるか否かが判断され、NOとなったときにステップS5において無線送信を終了させ、ステップS2に戻る。
【0024】
ステップS6においてマイクロホン6に音声が入力されているか否かが判断され、すなわち、音声検出部13が音声信号を出力したか否かが判断され、YESのときはステップS10に進む一方、NOのときはステップS7に進む。ステップS7では、ミュートタイマーカウントの計数値が0であるか否かが判断され、YESのときはステップS8に進む一方、NOのときはステップS9に進む。ステップS10では、ミュートタイマーカウントの計数値に、ミュート保持時間(例えば3秒〜10秒)に対応するデータ値をセットした後、ステップS11において受信音声のミュートをオンにするように音声遮断・通過切替部3を制御し、ステップS2に戻る。一方、ステップS8では、受信音声のミュートをオフするように音声遮断・通過切替部3を制御してステップS2に戻る。ステップS9では、ミュートタイマーカウントの計数値を1だけデクリメントしてステップS2に戻る。
【0025】
なお、上記ミュート保持時間においてミュートが保持されるが、その後も会話中であれば、ミュートタイマーカウントの計数値に、ミュート保持時間(例えば3秒〜10秒)に対応するデータ値を再びセットして、ミュート保持時間が継続される。
【0026】
以上説明したように、図4の装置制御処理により、無線送信していないときに、使用者の会話の有無を検出するために、マイクロホン6に入力される音声信号のレベルが所定のしきい値以上である場合に、無線通信装置の使用者が会話相手と会話中であると判断して、例えば接客等の会話優先モードで自動的に、無線受信する音声信号をミュートする。これにより無線通信装置の使用者は自動的に、会話相手との会話のみを聞き取ることが容易となる。
【0027】
本実施形態によれば、特に、無線受信しているときに通常では使用していないマイクロホン6を有効に活用して、その使用者の会話音声を検出する。これにより、例えばホテルのコンセルジュ、もしくは居酒屋の店員が顧客と会話中に、例えば業務連絡の無線受信音声を受ける場合(もしくは、その逆パターン)において、受信音声を自動的にミュートすることができ、手動操作で例えば
(1)無線通信装置Bの音量を手動操作で消音に変更し、
(2)無線通信装置Bの電源を手動操作でオフし、もしくは
(3)無線通信装置Bの内蔵スピーカを耳から遠ざけるか、もしくは外部イヤホンを耳からはずす
などの手動操作する必要が無いので、無線通信装置の操作性を大幅に向上できる。
【0028】
(実施形態2)
図5は実施形態2(実施形態3〜6にも適用)に係る無線通信装置の構成例を示すブロック図である。図5の無線通信装置は、図3の無線通信装置に比較して以下のように異なる。
(1)制御部10に代えて、制御部10Aを備えた。
(2)音声遮断・通過切替部3と音声信号増幅部4との間に、出力音声切替部21を挿入した。
(3)音声信号増幅部7と変調送信部8との間に、変調音声切替部24を挿入した。
(4)音声信号発生部22と、自声モニター切替部23をさらに備えた。
以下、前記相違点について説明する。
【0029】
自声モニター切替部23は、制御部10Aからの制御信号に基づいて、音声信号増幅部7からのマイクロホン6により検出した、当該無線通信装置の使用者の会話音声等を含む音声信号を出力音声切替部21に出力するか否かを選択的に切り替える。ここで、「自声」とは自分の声という意味で、当該無線通信装置の使用者自身の声を意味し、それを当該無線通信装置でモニターするものであり、自声モニター切替部23は、当該音声信号を出力音声切替部21及び音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力することで自声モニターオンとなり、当該無線通信装置の使用者は、自分及び会話相手の音声を外部イヤホン5で聞くことができる。
【0030】
音声信号発生部22は、制御部10Aからの制御信号に基づいて、所定の意義(後述)を表す種々の音声信号(ビープ音等の別の可聴信号(音声信号)でもよい)を発生して出力音声切替部21及び変調音声切替部24に出力する。出力音声切替部21は、制御部10Aからの制御信号に基づいて、音声遮断・通過切替部3からの受信音声信号と、自声モニター切替部23からの当該無線通信装置の使用者の会話音声等を含む音声信号と、音声信号発生部22からの種々の音声信号又はビープ音とのうちいずれか1つを選択して音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力する。なお、外部イヤホン5は本体内蔵のスピーカであってもよい。
【0031】
変調音声切替部24は、制御部10Aからの制御信号に基づいて、音声信号増幅部7からの音声信号と、音声信号発生部22からの種々の音声信号又はビープ音とのうちのいずれか1つを選択して変調送信部8に出力する。
【0032】
図6図5の無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。図6の装置制御処理は、図4の装置制御処理に比較して以下の点が異なる。
(1)ステップS10の後段において、ステップS21の処理を挿入した。
(2)ステップS21でNOのときに、ステップS22の処理を挿入した。
以下、前記相違点について詳述する。
【0033】
図6において、ステップS21において、受信音声のミュートがすでにオンであるか否かが判断され、YESのときはステップS11に進む一方、NOのときはステップS22に進む。ステップS22では、音声信号発生部22は、ミュートオンとなり無線通話ができないことを当該無線通信装置の使用者に伝えるために、音声信号発生部22によりミュートオンを示す所定の音声信号を発生して、出力音声切替部21及び音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力する。そして、ステップS11に進む。
【0034】
以上説明したように、実施形態2によれば、当該無線通信装置がミュートオン(会話中)となり、無線通話が出来ないことを当該無線通信装置の使用者に伝えるため、ミュートオンになったことを、ミュートオンを示す音声信号で伝えることができる。
【0035】
(実施形態3)
図7A及び図7Bは実施形態3に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。図7A及び図7Bの装置制御処理は、図4の装置制御処理に比較して以下の点が異なる。なお、装置のブロック図は図5の構成を用いる。
(1)図4のステップS1に代えて、「無線通話入感による受信中」を除外したステップS1Aを挿入した。
(2)図7AのステップS8,S9,S11の後段に、ステップS31の処理を挿入した。
(3)図7AのステップS31でYESのとき実行する、図7BのステップS41の処理を挿入した。
(4)図7BのステップS41でYESのとき実行する、ステップS42の処理を挿入した。
(5)図7BのステップS32〜S40までの受信制御処理を追加した。
以下、前記相違点について詳述する。
【0036】
図7AのステップS31において、無線通話の無線信号が入感しているか否かが判断され、YESのときは図7BのステップS41に進む一方、NOのときは図7AのステップS2に戻る。ステップS41において、ミュートがオンされているか否かが判断され、YESのときはステップS42に進む一方、NOのときはステップS32に進む。ステップS42では、音声信号発生部22は、相手先の無線通信装置から着信有り(受信)を示す音声信号を発生して、出力音声切替部21及び音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力する。
【0037】
ステップS32では、無線受信処理を開始し、ステップS33で無線通話の無線信号が入感したか否かが判断され、YESのときはステップS34に進む一方、NOのときはステップS40に進む。ステップS40では、無線受信処理を終了して図7AのステップS2に戻る。ステップS34では、マイクロホン6からの会話の音声信号の入力があるか否か、すなわち、音声検出部13がマイクロホン6に入力される音声信号のレベルが所定のしきい値以上であると判断して検出信号を出力したか否かが判断される。ステップS34において、YESのときはステップS38に進む一方、NOのときはステップS35に進む。ステップS38では、ミュートタイマーカウントの計数値に、ミュート保持時間(例えば3秒〜10秒)に対応するデータ値をセットした後、ステップS39において受信音声のミュートをオンにするように音声遮断・通過切替部3を制御し、ステップS33に戻る。一方、ステップS35では、ミュートタイマーカウントの計数値が0であるか否かが判断され、YESのときはステップS36進む一方、NOのときはステップS37に進む。ステップS36では、受信音声のミュートをオフするように音声遮断・通過切替部3を制御し、ステップS33に戻る。ステップS37では、ミュートタイマーカウントの計数値を1だけデクリメントしてステップS33に戻る。
【0038】
以上説明したように、実施形態3によれば、当該無線通信装置がミュートオン中(会話中)に無線通信の相手方の無線通信装置の使用者からの無線通話送信を受信(着信)したが、無線通話ができないことを当該無線通信装置の使用者に伝えるため、着信有りを示す音声信号を伝えることができる。
【0039】
(実施形態4)
図8A及び図8Bは実施形態4に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。図8A及び図8Bの装置制御処理は、図7A及び図7Bの装置制御処理に比較して以下の点が異なる。なお、装置のブロック図は図5の構成を用いる。
【0040】
(1)図7BのステップS41及びS42の処理を削除した。従って、ステップS31でYESのとき、ステップS32に進む。
(2)ステップS40の後段に、ステップS51〜S55の処理を追加した。
(3)ステップS38とステップS39との間に、ステップS56の処理を挿入した。
以下、前記相違点について詳述する。
【0041】
図8BのステップS38の処理の後、ステップS56において、無線受信中のミュートオンである否かを示すミュートフラグをセットした後、ステップS39に進む。
【0042】
図8BのステップS40で無線受信処理を終了した後、ステップS51において、無線受信中のミュ−トフラグがセットされているか否かが判断され、YESのときはステップS52に進む一方、NOのときは図8AのステップS2に戻る。ステップS52では、当該無線通信装置の使用者が会話中で応答できないこと(応答不可能)を示す音声信号を音声信号発生部22により発生させ、当該音声信号を変調音声切替部24を介して変調送信部8に出力することで、当該音声信号に従って搬送波信号を変調し、無線送信を開始する。ステップS53では、所定時間の前記音声信号の発生が終了したか否かが判断され、YESとなったら、ステップS54で無線送信を終了し、ステップS55で無線受信中のミュートフラグをリセットした後、図8AのステップS2に戻る。
【0043】
以上説明したように、実施形態4によれば、当該無線通信装置がミュートオン(会話中)のため、相手先の無線通信装置の使用者からの無線通話が聞けない状態だったことを、相手先の無線通信装置の使用者に伝えるため、相手先の無線通信装置からの無線通話終了時に応答できないことを示す音声信号に従って搬送波信号を変調することで、当該無線通信装置から無線送信することによって、相手先の無線通信装置の使用者に応答できないことを示す音声信号を用いて伝えることができる。すなわち、当該無線通信装置の使用者は会話中で応答できなかったことを相手先の無線通信装置の使用者に知らせることができる。
【0044】
(実施形態5)
図9は実施形態5に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。図9の装置制御処理は、図4の装置制御処理に比較して以下の点が異なる。
(1)ステップS8の後段に、ステップS61〜S63の処理を追加した。
(2)ステップS11の後段に、ステップS64〜S66の処理を追加した。
【0045】
以下、前記相違点について詳述する。
【0046】
図9のステップS11の処理の後、ステップS64において、音声信号発生部22は会話開始を示す音声信号を発生して変調音声切替部24を介して変調送信部8に出力する。このとき、当該音声信号に従って搬送波信号を変調して無線送信する。ステップS65において、所定時間の当該音声信号が終了したか否かが判断され、YESとなったらステップS66で無線送信処理が終了し、ステップS2に戻る。
【0047】
また、図9のステップS8の処理の後、ステップS61において、音声信号発生部22は会話終了を示す音声信号を発生して変調音声切替部24を介して変調送信部8に出力する。このとき、当該音声信号に従って搬送波信号を変調して無線送信する。ステップS62において、所定時間の当該音声信号が終了したか否かが判断され、YESとなったらステップS63で無線送信処理が終了し、ステップS2に戻る。
【0048】
以上説明したように、実施形態5によれば、当該無線通信装置がミュートオンで当該使用者が会話中でのため、相手先の無線通信装置の使用者からの無線通話が聞けない状態であることを予め相手先の無線通信装置の使用者に伝えるため、会話開始及び会話終了を示す音声信号に従って搬送波信号を変調して当該無線通信装置から相手先の無線通信装置に無線送信することで、会話中であることを相手先の無線通信装置の使用者に会話開始及び会話終了を伝達することができる。
【0049】
なお、会話開始及び会話終了を示す音声信号はこれら2つの音声信号のうちの少なくとも一方の音声信号に従って変調してもよい。
【0050】
(実施形態6)
図10は実施形態6に係る無線通信装置の制御部10Aにより実行される装置制御処理を示すフローチャートである。図10の装置制御処理は、図4の装置制御処理に比較して以下の点が異なる。
(1)ステップS11の後段に、ステップS72の処理を追加した。
(2)ステップS8の後段に、ステップS71を追加した。
以下、前記相違点について詳述する。
【0051】
図10のステップS11の処理の後、ステップS72において、自声モニターをオンにする。すなわち、自声モニター切替部23は、制御部10Aからの制御信号に基づいて、音声信号増幅部7からのマイクロホン6により検出した、当該無線通信装置の使用者の会話音声等を含む音声信号を出力音声切替部21に出力する。当該音声信号を出力音声切替部21及び音声信号増幅部4を介して外部イヤホン5に出力することで自声モニターオンとなり、当該無線通信装置の使用者は、自分及び会話相手の音声を外部イヤホン5で聞くことができる。ステップS72の処理の後、ステップS2に戻る。また、図10のステップS8の処理の後、ステップS71において、前記の自声モニターをオフとし、ステップS2に戻る。
【0052】
なお、自声モニターにおいて、音声出力をスピーカで出力するときは、その出力がマイクロホン6に回り込むハウリングの可能性があり、そのときは、音声信号増幅部7又は4で利得を調整する必要がある。
【0053】
以上説明したように、実施形態6によれば、当該無線通信装置の使用者が例えば会話中であるときに、マイクロホン6に入力された音声を外部イヤホン5に出力することで、送信時以外のときに、当該無線通信装置の使用者自身の声を自声モニターすることができる。これにより、会話の発声がしやすくなる発声アシスト機能を提供できる。
【0054】
以上の各実施形態の態様要旨(発明特定事項)を互いに組み合わせて構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上詳述したように、本発明に係る無線通信装置によれば、特に、無線受信しているときに通常では使用していないマイクロホン6を有効に活用して、その使用者の会話音声を検出することができる。これにより、例えばホテルのコンセルジュ、もしくは居酒屋の店員が顧客と会話中に、例えば業務連絡の無線受信音声を受ける場合(もしくは、その逆パターン)において、受信音声を自動的にミュートすることができ、手動操作で例えば
(1)無線通信装置Bの音量を手動操作で消音に変更し、
(2)無線通信装置Bの電源を手動操作でオフし、もしくは
(3)無線通信装置Bの内蔵スピーカを耳から遠ざけるか、もしくは外部イヤホンを耳からはずす
などの手動操作する必要が無いので、無線通信装置の操作性を大幅に向上できる。
【符号の説明】
【0056】
1,9 アンテナ
2 受信復調部
3 音声遮断・通過切替部
4 音声信号増幅部
5 外部イヤホン
6 マイクロホン
7 音声信号増幅部
8 変調送信部
9 アンテナ
10,10A 制御部
10m 内部メモリ
11 操作部
11A PTTキー
13 音声検出部
21 出力音声切替部
22 音声信号発生部
23 自声モニター切替部
24 変調音声切替部
【要約】
【課題】無線通話と会話の両方の聞き取りの困難性を解決し、手動操作をする必要なしに、無線通話よりも会話を優先とすることができる無線通信装置を提供する。
【解決手段】無線送信するための音声を音声信号に変換するマイクロホンと、前記マイクロホンからの音声信号に従って搬送波信号を変調することで無線信号を発生して無線送信する変調送信手段と、受信される無線信号を受信して、受信した無線信号を音声信号に復調する受信復調手段とを備えた無線通信装置において、無線送信を行っていないときに前記マイクロホンに入力される音声信号を検出し、前記検出された音声信号のレベルが所定のしきい値以上である否かを判断する検出手段と、前記検出手段が前記音声信号のレベルが所定のしきい値以上であると判断したとき、前記復調された音声信号を所定時間ミュートさせる制御手段とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10