(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために消火剤ガスが供給される配管に接続して設置される消音手段を備えた噴射ヘッドであって、前記噴射ヘッドが、前記配管との接続部を形成した噴射ヘッド本体と、該噴射ヘッド本体に配設した消火剤ガスが流通するオリフィスを形成したオリフィス板と、該オリフィス板の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材とを備え、前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を通して、噴射ヘッド本体に着脱可能にされてなることを特徴とするガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側に装着するC形止め輪により固定されるようにしてなることを特徴とする請求項1に記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体に螺着されるようにするとともに、オリフィス板に、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を通して、オリフィス板を回転操作するための操作部を形成してなることを特徴とする請求項1に記載のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド。
請求項1、2又は3記載の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために消火剤ガスが供給される配管に接続して設置される消音手段を備えた噴射ヘッドの保管・組立方法であって、前記噴射ヘッドが、前記配管との接続部を形成した噴射ヘッド本体と、該噴射ヘッド本体に配設した消火剤ガスが流通するオリフィスを形成したオリフィス板と、該オリフィス板の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材とを備えてなり、前記噴射ヘッド本体に前記消音部材を組み付けた状態で保管しておき、出荷時に、前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を介して、噴射ヘッド本体に装着するようにすることを特徴とするガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの保管・組立方法。
【背景技術】
【0002】
窒素、二酸化炭素、フッ素化合物等の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において、消火の際にガス系消火設備が作動すると、約1分間以内(フッ素化合物の消火剤ガスの場合は10秒)で消火対象区画の消火剤ガス濃度が消火濃度に達するように、消火剤ガスが放出される。
【0003】
このとき、消火剤ガスは、消火対象区画に消火剤ガスを放出するために天井や壁面等に設置される噴射ヘッドから放出されるが、ガス系消火設備用噴射ヘッドは、
図24(a)に示すような、消火剤ガスが供給される配管40に接続された噴射ヘッド10Aの出口部にオリフィス20を備え、オリフィス20から消火剤ガスを直接消火対象区画に放出するようにしたものや、
図24(b)に示すような、消火剤ガスが供給される配管40に接続された噴射ヘッド10Bの出口部にオリフィス20及び円錐形状のデフレクタ(偏向部材)50を備え、オリフィス20から放出された消火剤ガスをデフレクタ(偏向部材)50により偏向させて消火対象区画に放出するようにしたもの、さらには、
図24(c)に示すような、噴射ヘッド10Cの出口部にオリフィス(図示省略)及び円錐筒形状のホーン(拡散部材)60を備え、オリフィスから放出された消火剤ガスをホーン(拡散部材)60により拡散させて消火対象区画に放出するようにしたもの等が従来から汎用されてきた。
【0004】
このように、上記従来のガス系消火設備用噴射ヘッド10A、10B、10Cは、消火対象区画に通常複数個設置される各々の噴射ヘッドから同じ量の消火剤ガスが放出されるようにするために、噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量をオリフィス20によって制限するようにしているが、このため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に、高レベルの騒音(具体的には、120db以上の騒音)が発生することが知られていた。
【0005】
ところで、ガス系消火設備の作動時には、消火対象区画内に人が存在しないことが前提となっているため、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音(振動)に対しては、従来全く問題視されず、何の対策も取られていなかった。
【0006】
しかしながら、最近になって、ガス系消火設備の作動時に消火対象区画内に逃げ遅れた人がいた場合の対処、また、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音が周囲にいる人に悪影響を及ぼすおそれがあること、さらには、騒音(振動)が情報通信機器等の精密機器の故障の要因になるなどの知見に基づき、消火剤ガスが放出される際に発生する騒音を低減するための技術が提案されてきた(例えば、特許文献1〜5参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、噴射ヘッドから消火剤ガスが放出される際に発生する騒音(「振動」を含み、以下、単に、「騒音」という。)に起因する問題に対処するための上記技術のうち、特許文献1に記載の技術は、消火設備を起動すべき場合に、消火設備の起動タイミングと、消火設備起動に伴うICT装置の動作不良発生防止のための回避措置タイミングとを連動させるもので、騒音の低減を目的とするものではなかった。
一方、特許文献2〜5に記載の技術は、また、騒音の低減を目的とするものではあるが、騒音の低減率を高めるためには、噴射ヘッドが、一般的な噴射ヘッドと比べて大型化することになるため、保管場所や設置場所の制約やコスト上昇の問題があった。
【0009】
特に、ガス系消火設備は、消火剤ガスが放出される区画の容積に応じた量の消火剤ガスを規定時間に放出する必要があるが、このため、区画の容積及び消火剤ガスを放出する噴射ヘッドの個数によって、各噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量を異ならせる必要がある。
ところで、この消火剤ガスの流量の調節は、通常、噴射ヘッドに設けられるオリフィスの形状(オリフィス板に形成した消火剤ガスが流通するオリフィスの大きさ及び数)を選定することによって行うようにしている。
このため、噴射ヘッドは、1つの形状、1つのサイズを取り上げても、オリフィスの形状の違いで数十種類になり、さらに、サイズ(20A、25A、32A、40A)毎に集計すると数百種類にもなる。
そして、噴射ヘッドの出荷を迅速に行うことができるようにするために、1つの形状で、オリフィスの形状を異ならせた数百種類の噴射ヘッドを在庫として保管しておかなければならず、保管場所の制約やコスト上昇の問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来のガス系消火設備用噴射ヘッド、特に、ガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの有する問題点に鑑み、噴射ヘッドを在庫として保管しやすくすることによって、保管場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができるようにしたガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド及びその保管・組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドは、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために消火剤ガスが供給される配管に接続して設置される消音手段を備えた噴射ヘッドであって、前記噴射ヘッドが、前記配管との接続部を形成した噴射ヘッド本体と、該噴射ヘッド本体に配設した消火剤ガスが流通するオリフィスを形成したオリフィス板と、該オリフィス板の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材とを備え、前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を通して、噴射ヘッド本体に着脱可能にされてなることを特徴とする。
【0012】
この場合において、前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側に装着するC形止め輪により固定されるようにしてなるようにしたり、噴射ヘッド本体に螺着されるようにするとともに、オリフィス板に、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を通して、オリフィス板を回転操作するための操作部を形成してなるようにすることができる。
【0013】
また、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの保管・組立方法は、上記の消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために消火剤ガスが供給される配管に接続して設置される消音手段を備えた噴射ヘッドの保管・組立方法であって、前記噴射ヘッドが、前記配管との接続部を形成した噴射ヘッド本体と、該噴射ヘッド本体に配設した消火剤ガスが流通するオリフィスを形成したオリフィス板と、該オリフィス板の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材とを備えてなり、前記噴射ヘッド本体に前記消音部材を組み付けた状態で保管しておき、出荷時に、前記オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を介して、噴射ヘッド本体に装着するようにすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド及びその保管・組立方法によれば、オリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を通して、噴射ヘッド本体に着脱可能にすることによって、噴射ヘッド本体に消音部材を組み付けた状態で在庫として保管しておき、出荷時に、噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量に対応したオリフィス板を、噴射ヘッド本体の配管との接続部側の開口を介して、噴射ヘッド本体に装着するようにすることにより、一般的な噴射ヘッドと比べて大型化するガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドを在庫として保管しやすくすることによって、保管場所の制約やコスト上昇の問題を解消しながら、噴射ヘッドの出荷を迅速に行うことができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第1実施例を示す斜め下から見た斜視図である。
【
図4】同平面図(オリフィス板31を装着する前の状態。)である。
【
図6】(a)は
図4のX−X断面図(オリフィス板31を装着した状態。)、(b)はオリフィス板の固定に使用するC形止め輪の平面図である。
【
図7】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第2実施例を示す断面図である。
【
図8】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第3実施例を示し、(a)は断面図、(b)はオリフィス板の回転操作に使用する操作具の斜視図である。
【
図9】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第4実施例を示す断面図である。
【
図10】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第5実施例を示す断面図である。
【
図11】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第6実施例を示す断面図である。
【
図12】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第7実施例を示す断面図である。
【
図13】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第8実施例を示す斜め下から見た斜視図である。
【
図18】同平面図(オリフィス板31を装着する前の状態。)である。
【
図20】
図18のX−X断面図(オリフィス板31を装着した状態。)である。
【
図21】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第9実施例を示す断面図である。
【
図22】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第10実施例を示す断面図である。
【
図23】本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第11実施例を示す断面図である。
【
図24】従来のガス系消火設備用噴射ヘッドを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜
図6に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第1実施例を示す。
【0018】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、消火剤ガスを使用するガス系消火設備において消火対象区画に消火剤ガスを放出するために消火剤ガスが供給される配管(図示省略)に接続して設置されるものであって、噴射ヘッド1が、配管との接続部21を形成した噴射ヘッド本体2と、噴射ヘッド本体2に配設した消火剤ガスが流通するオリフィス31a、32aを形成したオリフィス板31、32と、オリフィス板31、32の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4とを備えるようにしたものである。
【0019】
本実施例において、オリフィス板31、32は、噴射ヘッド本体2の配管との接続部21側の開口を通して、噴射ヘッド本体2に着脱可能にされてなるオリフィス板31と、噴射ヘッド本体2の消火剤ガスの出口側に配設したオリフィス板32とで構成するようにしている。
そして、オリフィス板31とオリフィス板32との間には、層状の空間24を形成するようにし、消音部材4を、オリフィス板32の消火剤ガスの出口側に配設するようにしている。
【0020】
このうち、オリフィス板31は、噴射ヘッド1から放出される消火剤ガスの流量を規制する機能を有するものである。
そして、例えば、オリフィス31aの形状(オリフィス31aの大きさ及び数)が異なる複数種類のオリフィス板31をあらかめ用意しておき、出荷時に、別途在庫として保管していた、噴射ヘッド本体2に消音部材4を組み付けた状態のものに、噴射ヘッド1の設置場所等の条件に応じて、噴射ヘッドから放出される消火剤ガスの流量に対応したオリフィス板31を選択し、当該選択したオリフィス板31を、噴射ヘッド本体2の配管との接続部21側の開口22を介して、噴射ヘッド本体2に装着するようにする。
ここで、オリフィス板31は、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23に落とし込むように配置し、噴射ヘッド本体2の配管との接続部21側に装着するC形止め輪7により固定されるようにしている。なお、オリフィス板31の固定手段は、C形止め輪7に限定されず、後述の実施例において採用しているねじのほか、ばねや磁石等、任意の固定方式を採用することができる。また、オリフィス板31は、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23に落とし込むように配置され、消火剤ガスが放出される際には、消火剤ガスの圧力を受けて固定されるため、固定手段を省略することもできる。
これにより、一般的な噴射ヘッドと比べて大型化するガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1を在庫として保管しやすくなり、保管場所の制約やコスト上昇の問題を解消しながら、噴射ヘッド1の出荷を迅速に行うことができる。
【0021】
一方、オリフィス板32は、複数(本実施例では、等角度間隔に6個。)のオリフィス32aを形成したオリフィス板32を、噴射ヘッド本体2の内部空間に形成した段部25に、例えば、段部25及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に配設するようにしている。
これにより、必要に応じて、オリフィス32aの形状(オリフィス32aの大きさ及び数)が異なる複数種類のオリフィス板32を、噴射ヘッド1の設置場所等の条件に応じて選択することができる。
なお、着脱可能なオリフィス板32を省略し、噴射ヘッド本体2に同様のオリフィス32aを直接形成することもできる。
【0022】
この場合、オリフィス板32は、消音部材4に面接触するようにすることが好ましい。
これにより、消音部材4の中心部から周辺部に向けて消火剤ガスを均一に流通させることによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0023】
多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4は、一体構造のもので構成するほか、本実施例に示すように、中心部材41、周面部材42及び中心部材41と周面部材42の端面をカバーする端面部材43からなる分割構造のもので構成することができる。
【0024】
消音部材4を構成する多孔性材料は、形状保持性能の高い無機材料(金属、金属の酸化物、金属の水酸化物等)からなる焼結体のほか、導電処理を行った発泡樹脂に電気メッキを行い、その後熱処理を行うことによって、三角柱状の骨格が3次元に連なった連続気孔(気孔率:最大98%)を持つ金属(Ni、N−Cr)多孔体(住友電気工業社製「セルメット」(登録商標))を好適に用いることができる。
【0025】
消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径は、全体を均質な材料で構成するほか、気体が流通する方向に変化させた材料、より具体的には、気体が流通する方向に小さくした材料で構成することができ、例えば、本実施例においては、中心部材41の空隙の孔径よりも、周面部材42及び端面部材43の空隙の孔径が小さくなるような材料で構成することができる。
このように、消音部材4を構成する多孔性材料の空隙の孔径を、気体が流通する方向に小さくすることにより、消音部材4の各部位から消火剤ガスを均一に放出することによって、消火剤ガスの放出部位で発生する騒音を均一にできることと相俟って、騒音の低減率を一層高めることができる。
【0026】
消音部材4は、ボルト5及びリング部材6によって、噴射ヘッド本体2に固定するようにしている。
そして、消音部材4は、一体構造、分割構造のいずれの場合も、消音部材4の一方側の端面が噴射ヘッド本体2(本実施例においては、オリフィス板32を含む場合がある。)に接して配設されるとともに、消音部材4の周面及び他方側の端面が、ボルト5を介して噴射ヘッド本体2に消音部材4を固定するリング部材6に接する部分を除いて、大気に開放されてなるようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、消火剤ガスが放出される際に噴射ヘッド1にかかる消火剤ガスの噴射反力を、消音部材4の周面から放出される消火剤ガスの分が噴射ヘッド1の単位で相殺されることと相俟って、小さくすることができる。
【0027】
この場合において、ボルト5を、消音部材4、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の内部を貫通して噴射ヘッド本体2に螺着することにより、消音部材4を、オリフィス板32に面するようにして、噴射ヘッド本体2に固定、一体化するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができるとともに、放出される消火剤ガスがボルト5に干渉することによる騒音の発生を防止することができる。
【0028】
また、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位、本実施例においては、周面部材42及び端面部材43の部位42a、43aを、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしている。
これにより、消音部材4の大気に開放される消火剤ガスの放出面積をより一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができる。
また、消音部材4を構成する多孔性材料を、板状の素材から切り出して作成する場合は、本実施例の形状(四角形に近似した形状)にすることによって、材料の無駄をなくすことができる利点もある。
【0029】
ところで、本実施例においては、ボルト5が貫通する消音部材4の部位を、他の箇所より外周側に膨出した形状に形成するようにしたが、均一な周面形状(円柱形状)とすることもできる。
【0030】
図7に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第2実施例を示す。
【0031】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第1実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板32を省略し、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に消音部材4を配設するようにしたものである(以下に示す他の実施例においても、本実施例と同様、オリフィス板32を省略することができる。)。
なお、第1実施例の噴射ヘッド1においてオリフィス板31の消火剤ガスの出口側に形成していた層状の空間24を設けることもできる。
本第2実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0032】
図8に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第3実施例を示す。
【0033】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第1実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
ここで、オリフィス板31には、噴射ヘッド本体2の配管との接続部21側の開口22を通して、オリフィス板31を回転操作するための操作部31bを形成するようにし、この操作部31bに係合してオリフィス板31を回転操作する操作具8を使用して、オリフィス板31を着脱するようにする。
また、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に消音部材44を配設するようにしている。
本第3実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0034】
図9に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第4実施例を示す。
【0035】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第1実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、第3実施例の噴射ヘッド1と同様、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
また、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に連なる、第1実施例の噴射ヘッド1において空間24であった箇所に消音部材45を配設するようにしている。
本第4実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例及び第3実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0036】
図10に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第5実施例を示す。
【0037】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第1実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板32に代えて、有底筒状で、周面に複数(本実施例では、等角度間隔に6列、各列上下方向に等間隔に3個の合計18個。)のオリフィス33aを形成したオリフィス筒33を、噴射ヘッド本体2から延設して設け、オリフィス筒33の消火剤ガスの出口側に、消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4を配設し、消音部材4の下面をオリフィス筒33に螺合した蓋部材(デフレクタ)36で支持するようにしたものである。
ここで、消音部材4は、中心部材41及び周面部材42からなる分割構造のもので構成するようにしている。
なお、オリフィス筒33は、噴射ヘッド本体2と一体に構成するほか、別部材で構成し、ねじ等を介して一体化するように構成することもできる。
本第5実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0038】
図11に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第6実施例を示す。
【0039】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第5実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、第3実施例と同様、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
ここで、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に消音部材44を配設するようにしている。
本第6実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例、第3実施例及び第5実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0040】
図12に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第7実施例を示す。
【0041】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第5実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、第3実施例の噴射ヘッド1と同様、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
また、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に連なる、有底筒状のオリフィス筒33の内部の空間24であった箇所に消音部材46を配設するようにしたものである。
本第7実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例、第3実施例及び第5実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0042】
図13〜
図20に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第8実施例を示す。
【0043】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第1実施例の噴射ヘッド1の消音部材4の支持を、ボルト5及びリング部材6によって行うことに代えて、消音部材4の大気に開放される一方側の端面の周縁部に当接して消音部材4を噴射ヘッド本体2に支持する、噴射ヘッド本体2と螺合するリング部材27と、消音部材4の大気に開放される一方側の端面の中心部に当接して消音部材4を噴射ヘッド本体2に支持する、オリフィス板32と螺着するボルト9とによって行うようにしたものである。
ここで、消音部材4は、上流側部材47及び下流側部材48からなる分割構造のもので構成するようにしている。消音部材4は、消音部材4の他方側(大気に開放される側の反対側)の端面が噴射ヘッド本体2(本実施例においては、オリフィス板32を含む。)に接して配設されるとともに、消音部材4の一方側(大気に開放される側)の端面が、この端面の周縁部に当接するリング部材27及び端面の中心部に当接するボルト9を介して、噴射ヘッド本体2に支持されるようにしている。そして、消音部材4を構成する下流側部材48を、上流側部材47より大径に形成するとともに、この下流側部材48の外周縁部を、噴射ヘッド本体2の端面とリング部材27の縁部とで挟持するようにして固定することにより、消音部材4(下流側部材48)の大気に開放される消火剤ガスの放出面積を一層大きく取ることができ、騒音の低減率を高めることができる。
本第8実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0044】
図21に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第9実施例を示す。
【0045】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第8実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板32を省略し、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に消音部材4を配設するようにしたものである(以下に示す他の実施例においても、本実施例と同様、オリフィス板32を省略することができる。)。
なお、第8実施例の噴射ヘッド1においてオリフィス板31の消火剤ガスの出口側に形成していた層状の空間24を設けることもできる。
本第9実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例及び第8実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0046】
図22に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第10実施例を示す。
【0047】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第8実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、第3実施例と同様、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
ここで、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に消音部材44を配設するようにしている。
本第10実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例、第3実施例及び第8実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0048】
図23に、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドの第11実施例を示す。
【0049】
このガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド1は、第8実施例の噴射ヘッド1のオリフィス板31を、第3実施例の噴射ヘッド1と同様、噴射ヘッド本体2の接続部21側の内部空間に形成した段部23及びオリフィス板32の周面に形成したねじを介して、着脱可能に固定するようにしたものである。
また、オリフィス板31の消火剤ガスの出口側に連なる、第1実施例の噴射ヘッド1において空間24であった箇所に消音部材45を配設するようにしている。
本第11実施例の噴射ヘッド1のその他の構成及び作用は、第1実施例、第3実施例及び第8実施例の噴射ヘッド1と同様である。
【0050】
以上、本発明のガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッドについて、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
噴射ヘッドを在庫として保管しやすくすることによって、保管場所の制約やコスト上昇の問題を解消することができるようにしたガス系消火設備用の消音機能を有する噴射ヘッド及びその保管・組立方法を提供するため、噴射ヘッド1が、配管との接続部21を形成した噴射ヘッド本体2と、噴射ヘッド本体2に配設した消火剤ガスが流通するオリフィス31a、32aを形成したオリフィス板31、32と、オリフィス板32の消火剤ガスの出口側に配設した消火剤ガスが流通可能な多孔性材料からなるブロック形状の消音部材4とを備え、オリフィス板31を、噴射ヘッド本体2の配管との接続部21側の開口22を通して、噴射ヘッド本体2に着脱可能にされてなる。