(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記ポリエステル粒子の融点Tm1と、上記ポリエステル基材フィルムを構成するポリエステル樹脂の融点Tm2とが、200≦Tm2≦270、Tm1−40≦Tm2≦Tm1+40を満足する、請求項1に記載のエッジライト型バックライトユニット用白色反射フィルム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を構成する各構成成分について詳細に説明する。
【0013】
[ボイドを含有するポリエステル基材フィルム]
本発明におけるボイドを含有するポリエステル基材フィルムは、ポリエステル樹脂とボイド形成剤とからなり、ボイド形成剤を含有させることによって層中にボイドを含有し、白色を呈するようにしたフィルムである。かかるボイド形成剤としては、詳細は後述するが、例えば無機粒子、ポリエステル基材フィルムを構成するポリエステル樹脂とは非相溶の樹脂(以下、非相溶樹脂と呼称する場合がある。)を用いることができる。
また、かかるポリエステル基材フィルムの波長550nmにおける反射率は、好ましくは95%以上、さらに好ましくは96%以上、特に好ましくは97%以上である。
【0014】
また、本発明におけるポリエステル基材フィルムは、単層フィルムであってもよいし積層フィルムであってもよい。積層フィルムである場合は、例えばボイド含有量の比較的多い反射層と、ボイド含有量の比較的少ない支持層とからなるものであることができる。反射層(A)と支持層(B)とを有する場合は、A/Bの2層構成、A/B/AやB/A/Bの3層構成や、同様にして4層以上からなる多層構成であっても良く、本願の構成を満たしていれば特に限定はされない。ボイド含有量の比較的少ない支持層により、製膜性の向上効果を高くすることができる。
【0015】
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル基材フィルムを構成するポリエステル樹脂としては、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなるポリエステルであることが好ましい。このジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等に由来する成分を挙げることができる。ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等に由来する成分を挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されてフィルムの製膜安定性(延伸性、製膜性ともいう)が良好となる点から、共重合ポリマーが好ましい。共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性と製膜性の両立という観点から、イソフタル酸成分、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば0.5〜20モル%、好ましくは1〜18モル%、特に好ましくは2〜15モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、製膜性の向上効果に優れる。また、熱寸法安定性に優れる。
【0016】
また、ポリエステル基材フィルムは、上述のポリエステル樹脂およびボイド形成剤のほかに、白色反射フィルムの製造において、製品とならないものやクリップに把持された端部等を回収した自己回収原料を含有することができる。本発明においては、ポリエステル基材フィルムおよび塗布層がポリエステルを主体とする構成であるために、自己回収原料を含有したとしても、反射率に優れた白色反射フィルムを得ることができる。かかる自己回収原料としては、回収したフィルムを粉砕したもの、粉砕したフィルムを圧力等によりチップ状にしたもの、粉砕したフィルムを溶融押出してチップ状にしたもの等を挙げることができる。
【0017】
自己回収原料の含有量は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されないが、ポリエステル基材フィルムの質量を基準として、例えば10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%である。かかる範囲であると、反射率に悪影響を与え難くなり、また生産性に優れたものとなる。
【0018】
本発明においては、ポリエステル基材フィルムが反射層と支持層とを有する場合、自己回収原料は主に反射層に含有することが好ましい。支持層に含有すると、自己回収原料が有するボイド形成剤等で、支持層による製膜性向上の効果が奏され難くなるためである。本発明における塗布層が特定構成を具備するため、自己回収原料を主に反射層に含有しても、製膜性および反射率に優れる。
【0019】
(ボイド形成剤)
ポリエステル基材フィルムにおいて、ボイド形成剤として無機粒子を用いる場合、無機粒子としては、白色無機粒子が好ましい。この白色無機粒子としては、硫酸バリウム、二酸化チタン、二酸化珪素、炭酸カルシウムの粒子を例示することができる。これら無機粒子は、白色反射フィルムが適切な反射率を有し、好ましくは適切な製膜性を具備するように、平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。無機粒子の平均粒子径は、例えば0.2〜3.0μm、好ましくは0.3〜2.5μm、さらに好ましくは0.4〜2.0μmである。またその含有量は、ポリエステル基材フィルムの質量を基準として20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%がさらに好ましく、最も好ましくは31〜53質量%である。この範囲で無機粒子を用いることにより、好ましい反射率を達成しやすくなる。また、上述のような粒子の態様を採用することにより、ポリエステル中で適度に分散させることが可能であり、粒子の凝集が起こり難く、粗大突起のないフィルムを得ることができ、また同時に、粗大粒子が起点となる延伸時の破断も抑制され、製膜性の向上効果を高くすることができる。無機粒子は、どのような粒子形状でもあってもよく、例えば、板状、球状であってもよい。また無機粒子は、分散性を向上させるための表面処理を行ってあってもよい。
【0020】
ボイド形成剤として非相溶樹脂を用いる場合、非相溶樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレンなどが好ましい。これらは粒子の態様でもよい。またその含有量は、無機粒子の場合と同様に、白色反射フィルムが適切な反射率を有し、好ましくは適切な製膜性を具備するように、平均粒子径や含有量を選択すればよく、これらは特に限定はされない。好ましくは白色反射フィルムの反射率が本発明における好ましい範囲となるようにすればよい。このことを勘案して、含有量は、ポリエステル基材フィルムの質量を基準として5〜40質量%が好ましく、7〜35質量%が更に好ましく、最も好ましくは10〜32質量%である。このような範囲で非相溶樹脂を用いることで、好ましい反射率を達成しやすくなる。
本発明においては、無機粒子と非相溶樹脂とを併用することもでき、併用した際においても、目的とする反射率に応じて含有量等は適宜調整すればよい。
【0021】
(その他の成分)
ポリエステル基材フィルムは、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、その他の成分、例えば紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス、ボイド形成剤とは異なる粒子や樹脂等を含有することができる。
【0022】
[塗布層]
本発明の塗布層は、塗液から形成されてなり、該塗液は、その固形分がポリエステルバインダーとポリエステル粒子とを主たる構成成分とするものである。本発明においては、これら塗布層を構成するポリエステル粒子やポリエステルバインダーが架橋していない態様(それぞれ非架橋ポリエステルバインダーおよび非架橋ポリエステル粒子と呼称する場合がある。)が特に好ましい。これらのうち少なくとも一方が架橋された様態(それぞれ架橋ポリエステルバインダーおよび架橋ポリエステル粒子と呼称する場合がある。)であると、自己回収原料を用いたフィルム製膜において、未溶融物等の異物が発生しやすくなり、製膜性の向上効果が低くなる可能性がある。また、自己回収原料を用いて製膜して得られたフィルムの反射率が低くなる傾向にある。さらに、ポリエステル粒子が架橋された粒子である際には、粒子硬度が高くなる傾向にあり、導光板への傷付き抑制の向上効果が低くなる傾向にある。なお、ここで架橋されたものであるかどうかは、例えば融点を有しないものは架橋された態様であると判断することができる。
【0023】
なお、上記「ポリエステルバインダーとポリエステル粒子とを主たる構成成分とし」とは、ポリエステルバインダーおよびポリエステル粒子以外の成分を含有することを排除するものではなく、本発明における塗布層(またはかかる塗布層を形成する塗液の固形分)は、他の任意成分を含有することができる。その際、塗布層(またはかかる塗布層を形成する塗液の固形分)は、ポリエステル粒子を規定の量添加し、他の任意成分を任意の量添加し、その余の部分がポリエステルバインダーとなる態様とすれば良い。
【0024】
(ポリエステルバインダー)
本発明における塗布層を構成するポリエステルバインダーとしては、特に限定されず、例えば、芳香族ポリエステルや脂肪族ポリエステル等を挙げることができる。また、ポリエステル基材フィルムと塗布層を積層する場合、ポリエステルバインダーを採用することによってこれらの層間密着性が向上するが、さらに、これらを構成するポリエステル樹脂として同類のポリエステル樹脂(例えば共重合成分が同じであったり、共重合量が近いもの)とすることによって、層間の密着性がより一層向上する。
【0025】
ポリエステルバインダーとして用いられるポリエステルとしては、ポリエステル基材フィルムにおけるポリエステル樹脂として例示したものと同様のポリエステルを挙げることができる。これらのポリエステルのなかでも芳香族ポリエステルが好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートはホモポリマーであってもよいが、フィルムを1軸あるいは2軸に延伸する際に結晶化が抑制されて塗布層の造膜性が良好となる点から、共重合ポリマーが好ましい。共重合成分としては、上記のジカルボン酸成分やジオール成分が挙げられるが、耐熱性と造膜性の両立という観点から、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。共重合成分の割合は、ポリエステルの全ジカルボン酸成分100モル%を基準として、例えば1〜20モル%、好ましくは2〜18モル%、さらに好ましくは3〜17モル%、特に好ましくは12〜16モル%である。共重合成分の割合をこの範囲とすることによって、塗布層の造膜性の向上効果に優れる。また、耐熱性に優れる。さらに、後述の融点の態様を達成し易くなる。また、ポリエステル以外の成分を、例えばブロック共重合体やグラフト共重合体のごとく態様で有する変性ポリエステルも、本発明におけるポリエステルバインダーとして用いることができるが、変性ポリエステルの質量を基準として、ポリエステル成分が50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、最も好ましくは70質量%以上であることが原料回収後の製膜性や反射率の点や、ポリエステルを主体とする基材との密着性の観点から望ましい。
【0026】
また、原料回収性や環境への負荷軽減の観点から、水溶性ポリエステルや水分散性ポリエステルからなる、水系ポリエステルバインダーを用い、塗液として水系塗液とすることが好ましい。水系ポリエステルバインダーとしては、スルホン酸金属塩を含有するジカルボン酸成分、好ましくはNaスルホイソフタル酸成分を共重合成分として含有する態様が好ましい。かかる共重合量としては1〜20モル%が好ましく、2〜15モル%がより好ましい。スルホン酸金属塩を含有するジカルボン酸成分の共重合量が多すぎると、耐ブロッキング性等に劣る傾向にある。
【0027】
(ポリエステル粒子)
本発明の塗布層におけるポリエステル粒子としては、例えばポリエチレンテレフタレート粒子、ポリブチレンテレフタレート粒子、ポリエチレンナフタレート粒子等が挙げられるが、これらは特に熱安定性が高いことや、フィルムを回収して、自己回収原料として用いた際に扱い易く、得られるフィルムの反射率に優れ、またガスマークや未溶融物等の異物が生じ難いく製膜性に優れるという観点で特に好ましい。
【0028】
ポリエステル粒子の平均粒子径は、導光板とフィルムとのギャップを一定に保ち、これらが貼り付くことを抑制できるという観点、および粒子の脱落抑制の観点から、好ましくは5〜70μmである。平均粒子径が小さすぎると、白色反射フィルムが導光板に部分的に密着してし、密着斑となってしまう可能性が高くなる傾向にある。このような観点から、平均粒子径は、より好ましくは6μm以上、さらに好ましくは7μm以上、特に好ましくは8μm以上である。他方、大きすぎる場合は、粒子が脱落し易くなる傾向にあり、脱落が生じるとバックライトユニットにおいては部分的に導光板との接触が生じ、白く輝度の斑となって目視においても判るような欠点となる。このような観点から、平均粒子径は、より好ましくは65μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは55μm以下である。
【0029】
ポリエステル粒子は、特に短径/長径が0.9〜0.3の範囲にある非球状粒子であることが好ましい。該ポリエステル粒子は、非球状粒子である事により、メカニズムは不明であるが、粒子自体が適度に凝集しやすい傾向にあり、適度に凝集した粒子は好ましく高い突起を形成することができるため、導光板とフィルムのギャップを一定に保ち易くなり、輝度の均一性に優れる等有利である。このような観点から、短径/長径の比は、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下である。一方、短径/長径の比率が0.3未満であると、好ましい高さの突起を形成し難くなる傾向にある。
なお、塗布層におけるポリエステル粒子の含有量は、粒子の平均粒子径等を勘案した上で、後述する突起頻度を満足するような範囲を選択すればよい。例えば、塗布層の質量(塗布層を形成する塗液の固形分の質量)を基準として、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは6〜55質量%、特に好ましくは7〜50質量%である。
【0030】
ここで、ポリエステル粒子の製造方法について以下に一例を示す。すなわち、ポリエステル樹脂を凍結させた後、細かく割断したのち、風力分級により目的とする粒子サイズのものを得ることができる。このような製造方法においては、ポリエステル樹脂の態様としてはチップ上や繊維状であることが好ましいが、繊維状のポリエステル樹脂から作成すると、得られる粒子の短径/長径の比率もコントロールし易く所望のサイズを容易に得る事ができるための特に好ましい。
【0031】
(その他の成分)
塗布層(塗布層を形成する塗液の固形分)は、上記構成成分以外の成分を、本発明の目的を阻害しない範囲において含有していてもよい。かかる成分としては、例えば架橋剤、シリコーンオイルをはじめ、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、ワックス、上記ポリエステル粒子とは異なる粒子や樹脂等を挙げることができる。
【0032】
(架橋剤)
本発明における塗布層は、架橋剤によって架橋構造を有するものであってもよい。架橋剤の使用は、塗布層の耐ブロッキング性を向上させる効果を奏する。一方で、自己回収原料を用いたフィルム製膜において、未溶融物等の異物が発生しやすくなり、製膜性の向上効果が低くなる可能性がある。また、自己回収後のフィルムの反射率が低くなる可能性がある。これらのバランスをとるという観点からは、架橋剤の含有量は、塗布層を形成する塗液の固形分において、該固形分の質量を基準として1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%がさらに好ましい。回収性(自己回収後の製膜性および反射率)を優先させるのであれば、架橋剤は含有しないことが好ましい。
架橋剤としてはエポキシ系、オキサゾリン系、メラミン系およびイソシアネート系の架橋剤が好ましい。エポキシ系架橋剤としては例えば、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物が挙げられる。
【0033】
(シリコーンオイル)
本発明における塗布層(塗布層を形成する塗液の固形分)は、シリコーンオイルを含有することができる。塗布層がシリコーンオイルを含有することによって、フィルムに滑性や帯電防止性を付与することができる。一方、含有量が多すぎると、塗布層からの脱落がし易くなり、シリコーンオイルが脱落すると工程汚染となる。これら観点から、シリコーンオイルの含有量は、塗布層を形成する塗液の固形分質量を基準として、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましく、0.3〜3質量%が更に好ましい。
【0034】
本発明においてシリコーンオイルは、オルガノシロキサンを骨格とするシリコーン化合物であり、例えば、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フロロシリコーン、シリコーンポリエーテル共重合体、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーンを挙げることができる。
また反応性基を有するシリコーン化合物を用いることが好ましく、反応性基を含有することによって、塗布層からのシリコーンオイルの欠落による滑性の低下や、帯電防止性の低下、欠落成分による生産工程への汚染を抑制することができる。
【0035】
この反応性基を有するシリコーンオイルとしては、ケイ素原子に直接結合した反応性基を有し、アミノ基を含む有機基、エポキシ基を含む有機基、カルボン酸基を含む有機基、シラノール基もしくは加水分解によりシラノール基を生成する有機基から選ばれる反応性基を1種以上含有するものを用いることが好ましい。アミノ基を含む有機基としては、3−アミノプロピル基、3−アミノ−2−メチル−プロピル基、2−アミノエチル基といった1級アミノアルキル基、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチル基といった1級および2級アミノ基を有する有機基を例示することができる。エポキシ基を含む有機基としては、γ−グリシドキシプロピル基、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシ−β−メチル−プロピル基といったグリシドキシアルキル基、2−グリシドキシカルボニル−エチル基、2−グリシドキシカルボニル−プロピル基といったグリシドキシカルボニルアルキル基を例示することができる。加水分解によりシラノール基を生成する有機基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基といったアルコキシ基、メトキシ−β−エトキシ基、エトキシ−β−エトキシ基、ブトキシ−β−エトキシ基といったアルコキシ−β−エトキシ基、アセトキシ基、プロポキシ基等のアシロキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基といったN−アルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基といったN,N−ジアルキルアミノ基、イミダゾール基、ピロール基といった窒素を含有する複素環基を例示することができる。
【0036】
[塗布層表面の態様]
(突起頻度)
本発明の白色反射フィルムは、少なくとも片方の表面に塗布層を有し、かかる塗布層により、その表面に上述したポリエステル粒子を有し、かかるポリエステル粒子が白色反射フィルム表面を被覆している態様となる。そして、かかるポリエステル粒子により白色反射フィルム表面に突起が形成される。かかる表面においては、適度な高さの突起を適度な頻度で有することによって、導光板との貼り付きを抑制することができ、具体的には、高さ5μm以上の突起頻度が10
4〜10
10個/m
2であることが通常必要である。突起頻度がかかる範囲にあると、導光板と白色反射フィルムとのギャップ維持の効果を奏することができ、輝度斑(貼り付いた箇所が白く見える欠点)などの不具合が生じない。突起頻度が10
4個/m
2未満であると、ギャップを保つことができなくなることがあり、導光板と反射フィルムとの貼り付きによる輝度斑(貼り付いた箇所が白く見える欠点)が発生する恐れがある。また、導光板と反射フィルム間の摩擦が増える傾向にあり、導光板にキズが付きやすくなる。また、突起頻度が10
10個/m
2を超える場合には突起が密になり、反射フィルムと導光板との適正なギャップの確保や貼り付き抑制をかえって損なう事となったり、粒子がフィルム表面において重なり合い存在するようになり、脱落し易くなる。これら観点から、より好ましい突起頻度としては10
5個/m
2以上であり、さらに好ましくは10
6個/m
2以上である。また、より好ましくは5×10
9個/m
2以下、さらに好ましくは10
9/m
2以下、特に好ましくは5×10
8個/m
2以下である。
【0037】
(平均突起高さ)
本発明において塗布層表面における平均突起高さとは、後述の測定方法によって求められる、塗布層表面の中心線からの最頻高さをいう。かかる平均突起高さは、5〜70μmであることが好ましく、導光板とのギャップ確保がし易くなると共に、粒子の脱落がより抑制される。平均突起高さが5μmに満たないものは、導光板との接触が生じやすい状態となり、また70μmを超える高さのものは突起を形成する粒子が脱落しやすくなる。このためより好ましい突起高さとしては6〜65μmであり、更に好ましい範囲としては7〜60μmであり、最も好ましい範囲としては8〜55μmである。
【0038】
[各構成成分の融点]
本発明においては、塗布層におけるポリエステル粒子の融点をTm1(単位:℃)とした際には、下記式を満足することが必要である。
200≦Tm1≦270
このような態様とすることによって、粒子の耐熱性を維持出来るとともにフィルムから原料回収を行った際に回収性(回収後の製膜性および反射率)に優れる。Tm1が低すぎると、塗布層の形成において粒子が溶融し易い傾向にあり、塗布層表面に突起を形成することが困難となる。他方、Tm1が高すぎると、自己回収原料を用いたフィルム製膜において、ポリエステル粒子が残存し易くなる傾向にあり、得ようとするフィルムの製膜性および反射率の向上効果が低くなる。かかる観点から、Tm1は、好ましくは205〜268℃、さらに好ましくは210〜260℃である。
【0039】
また、ボイドを含有するポリエステル基材フィルムを構成するポリエステル樹脂の融点をTm2(単位:℃)としたときに、下記式を満足することがより好ましい。ここで、ポリエステル基材フィルムが反射層と支持層のように複数層を有する場合は、上記Tm2は、自己回収原料を含有させる層を構成するポリエステル樹脂の融点と考えればよい。本発明においては、上述のとおり、自己回収原料は反射層に含有することが好ましく、よってそのような態様においては、上記Tm2は、反射層を構成するポリエステル樹脂の融点となる。
200≦Tm2≦270
Tm1−40≦Tm2≦Tm1+40
【0040】
上記Tm1とともに、Tm2をこのような融点の態様とすることにより、白色反射フィルムとしては、導光板とのギャップを保持することができると同時に、本発明の白色反射フィルムを回収して、自己回収原料として再度フィルムの製膜に、特に反射層の製膜に用いて、本発明の白色反射フィルムを製造したとしても、得られた白色反射フィルムは製膜性および反射率に優れる。すなわち、塗布層においては粒子が存在し、ギャップの確保が可能であると同時に、これを回収した際には、フィルム中においては粒子を十分に溶融させることができ、これにより優れたフィルム製膜性能を維持できるとともに、自己回収原料の粒子等に起因するボイド数低減が抑制され、原料回収していない際のボイドの態様と同様なボイドの態様となり、反射率の低下や他の光学特性に影響を与えることない優れたフィルムを得ることができる。このような観点から、Tm2は、より好ましくは205〜268℃、さらに好ましくは210〜260℃である。また、より好ましくはTm1−30≦Tm2≦Tm1+30、さらに好ましくはTm1−25≦Tm2≦Tm1+25である。
【0041】
[白色反射フィルムの構成]
本発明におけるポリエステル基材フィルムの厚みは、70〜400μmであることが好ましい。これにより反射率の向上効果を高くすることができる。薄すぎると反射率の向上効果が低く、他方厚すぎることは非効率である。このような観点から、さらに好ましくは80〜350μmである。
【0042】
また、塗布層の厚み(複数有する場合は、導光板側となる表面における1層の厚み)は、1μm以上、10μm未満である。これにより、塗液の塗布により形成される塗布層であっても突起頻度の態様を満足でき、導光板とのギャップ確保ができる。また、反射率低下を抑制し、反射率を高くすることができる。薄すぎると突起頻度と粒子脱落抑制とを両立させることが困難となる。かかる観点から、好ましくは2μm以上である。他方、厚すぎると、塗液の塗布によって形成される塗布層では必要な突起頻度を達成し難くなり、また、反射率の低下の傾向が著しくなる。さらに、塗布層が厚すぎると、フィルムを回収して得られた回収原料を用いた製膜において、製膜性に劣るという問題もある。これら観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは5μm以下である。
【0043】
塗布層は、白色反射フィルムの少なくとも片方の表面に有していればよく、両方の表面に有していても良い。
また本発明においては、ボイド含有するポリエステル基材フィルムと塗布層以外に、本発明の目的を損なわない限りにおいて他の層を有していてもよい。例えば、帯電防止性や導電性、紫外線耐久性等の機能を付与するための層を有していてもよい。
【0044】
[製造方法]
以下、本発明の白色反射フィルムを製造する方法の一例を説明する。
まず、ポリエステル基材フィルムを製造するに際しては、ポリエステル樹脂と、ボイド形成剤としての例えば無機粒子とを含有するポリエステル組成物を、十分に乾燥させたのち、押出機に投入し、溶融し、線径15μm以下のステンレス鋼細線よりなる平均目開き10〜100μmの不織布型フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。この濾過を行うことで、通常は凝集して粗大凝集粒子となりやすい粒子の凝集を抑え、粗大異物の少ないフィルムを得ることができる。なお、不織布の平均目開きは、好ましくは20〜50μmである。濾過したポリエステル組成物は、例えば反射層と支持層との積層の態様とする場合は、それぞれの層を形成するためのポリエステル組成物を、溶融した状態でフィードブロックを用いた同時多層押出法により、ダイから多層状態で押し出し、未延伸積層シートを製造する。ダイより押し出された未延伸積層シートを、キャスティングドラムで冷却固化し、未延伸積層フィルムとする。次いで、この未延伸積層フィルムをロール加熱、赤外線加熱等で加熱し、機械軸方向(以下、縦方向または長手方向またはMDと呼称する場合がある。)に延伸して縦延伸フィルムを得る。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。
【0045】
次いで、縦延伸後のフィルム上に、塗布層を形成するための、ポリエステルバインダー、ポリエステル粒子および他の任意成分を含む塗液を、溶液コーティング法、溶融押出樹脂コーティング法等により片面あるいは両面にコートする。
例えば溶液コーティング方に用いられる塗液は、塗布層を構成する各成分を混合し、適宜溶媒により希釈して得ることができる。ここで溶媒としては、水が好ましく、すなわち水系塗液であることが好ましい。塗液の固形分濃度は、各種公知のコーティング方法に適した濃度とすればよい。
その後、テンターにて塗液を乾燥させ、各層の樹脂を予熱しながら機械軸方向と直交する方向(以下、横方向または幅方向またはTDと呼称する場合がある。)に延伸し、2軸延伸フィルムを得る。
【0046】
上述の延伸は、ポリエステル基材フィルムを構成するポリエステルのガラス転移温度(Tg)以上、Tg+30℃以下の温度で行うことが好ましく、製膜性に優れ、またボイドが好ましく形成されやすい。ここで、フィルムが複数層からなる場合は、通常最も高いTgを採用するが、適宜厚み比率の高い層のTgを採用してもよい。また、延伸倍率は、縦方向、横方向ともに、好ましくは2.5〜4.3倍、さらに好ましくは2.7〜4.2倍である。延伸倍率が低すぎるとフィルムの厚み斑が悪くなる傾向にあり、またボイドが形成されにくい傾向にあり、他方高すぎると製膜中に破断が発生し易くなる傾向にある。なお、縦延伸を実施しその後横延伸を行うような逐次2軸延伸の際には、2段目(上記の場合は横延伸)は1段目(上記の場合は縦延伸)の延伸温度よりも10〜50℃程度高くする事が好ましい。これは1段目の延伸で配向した事により1軸フィルムとしてのTgがアップしている事に起因する。
【0047】
また、各延伸の前にはフィルムを予熱することが好ましい。例えば横延伸の予熱処理はポリエステル基材フィルムを構成するポリエステルのTg+5℃より高い温度から始めて、徐々に昇温するとよい。横延伸過程での昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが通常逐次的に昇温する。例えばテンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーン毎に所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
二軸延伸後のフィルムは、続いて、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、溶融押出から延伸に引き続いて、これらの処理もフィルムを走行させながら行うことができる。
【0048】
二軸延伸後のフィルムは、クリップで両端を把持したまま(Tm−20℃)〜(Tm−100℃)で、定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して、熱固定し、熱収縮率を低下させるのがよい。ここで、フィルムが複数層からなる場合は、通常最も低いTmを採用するが、適宜厚み比率の高い層のTmを採用してもよい。かかる熱処理温度が高すぎるとフィルムの平面性が悪くなる傾向にあり、厚み斑が大きくなる傾向にある。他方低すぎると熱収縮率が大きくなる傾向にある。
【0049】
また、熱収縮量を調整するために、把持しているフィルムの両端を切り落とし、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させることができる。弛緩させる手段としてはテンター出側のロール群の速度を調整する。弛緩させる割合として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは0.1〜2.5%、さらに好ましくは0.2〜2.3%、特に好ましくは0.3〜2.0%の速度ダウンを実施してフィルムを弛緩(この値を「弛緩率」という)して、弛緩率をコントロールすることによって縦方向の熱収縮率を調整する。また、フィルム横方向は両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることができる。
なお、二軸延伸に際しては、上記のような縦−横の逐次二軸延伸法以外にも、横−縦の逐次二軸延伸法でもよい。また、同時二軸延伸法を用いて製膜することができる。同時二軸延伸法の場合、延伸倍率は、縦方向、横方向ともに例えば2.7〜4.3倍、好ましくは2.8〜4.2倍である。
【0050】
また、上記においては縦延伸後に塗液を塗布して塗布層を形成したが、上記において塗布層を有しないポリエステル基材フィルムを作成し、いわゆるオフライン塗布により塗布層を設けることもできる。また、別の任意の基材にポリエステルバインダーとポリエステル粒子と他の任意成分とを含有する塗液を塗工して塗布層を形成したシートを作成し、これを塗布層を有しないポリエステル基材フィルムに、塗布層が表面となるようにラミネート法等により貼り合せることで、塗布層を有するポリエステル基材フィルムを得る事も可能である。
【0051】
かくして本発明の白色反射フィルムを得ることができる。
また、得られた白色反射フィルムを、粉砕や溶融押出によりチップ化したものを自己回収原料として用いて、基材フィルムに添加して、上記と同様にして白色反射フィルムを製造することができる。その際は、各成分の濃度は、自己回収原料中に含まれる各成分の量を勘案して、総合して目的とする濃度となるように調整すればよい。
【0052】
[反射フィルムの特性]
(反射率、輝度)
本発明の白色反射フィルムの反射率は、塗布層側において、好ましくは95%以上、より好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以上である。反射率が95%以上であることによって、液晶表示装置や照明等に用いた場合には、高い輝度を得ることができる。
また輝度は、後述する測定方法により求められるが、5500cd/m
2以上が好ましく、5510cd/m
2以上がさらに好ましく、5520cd/m
2以上が特に好ましい。
【0053】
(揮発有機溶剤量)
本発明の白色反射フィルムは、後述の方法にて測定した揮発有機溶剤量が、好ましくは10ppm以下である。これにより、自己回収原料を得て、それを用いてフィルムを製膜するに際して、ガスマークが発生し難くなり、製膜性が向上する。かかる観点から、より好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下であり、理想的には0ppmである。本発明においては、揮発有機溶剤量を少なくするために、塗布層の形成において、有機溶剤を用いた溶液コーティング法を採用せずに、上述した方法を採用することが好ましい。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を詳述する。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)光線反射率
分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)に積分球を取り付け、BaSO
4白板を100%とした時の反射率を波長550nmで測定し、この値を反射率とした。なお、測定は、塗布層を有するものについては塗布層の表面において行った。表裏に異なる塗布層を有する場合やポリエステル基材のみの際には導光板側と接する側において測定すればよい。
【0055】
(2)ボイド形成剤(無機粒子)の平均粒子径
レーザー散乱型粒度分布測定機(島津製作所製SALD−7000)にて、粒子の粒度分布(粒径の標準偏差)を求め、d50での粒子径(体積分布基準で小さい側から50%の分布となる粒子径)を平均粒子径とした。
【0056】
(3)ポリエステル粒子の平均粒子径
日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用い、倍率1000倍にて、粒子を100個任意に測定し、平均粒子径、長径、短径を求めた。なお、球状以外の場合は(長径+短径)/2にて平均粒子径を求めた。ここで長径は最大径を表わし、短径は長径と垂直方向の最大径を表わす。
【0057】
(4)揮発有機溶剤量
室温(23℃)において、1gのフィルムサンプルを10Lのフッ素樹脂製バッグに入れ、その中を純窒素でパージして密封した。次いで、直ちにかかるバッグの中の窒素から、0.2L/分の流量で、2本の分析用TENAX−TA捕集管にそれぞれ0.2L、1.0Lの窒素を採取し、これらを用いて、HPLCおよびGCMSにより、採取した窒素中に含まれる有機溶剤成分の質量を定量した。得られた値を窒素10L中の量に換算して、1gのフィルムサンプルから10Lの窒素中に揮発した有機溶剤の質量を求め、揮発有機溶剤量(単位:ppm、フィルムサンプルの質量基準)とした。なお、アルデヒド類は、アセトニトリルでアルデヒド誘導体化物を捕集管から溶出し、HPLCにより定量した。また、HPLCとGCMSとで値が異なる場合は、多く検出した方の値を採用した。
【0058】
(5)フィルム厚み
白色反射フィルムをミクロトームにてスライスして断面出しを行い、かかる断面について日立製作所製S−4700形電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、倍率500倍にて観測し、フィルム全体、ポリエステル基材、塗布層の厚みをそれぞれ求めた。なお、フィルム全体および塗布層の厚みは、粒子が塗布層表面より突出している部分を除いた部分の厚みとした。
【0059】
(6)融点、ガラス転移温度
示差走査熱量測定装置(TA Instruments 2100 DSC)を用い、昇温速度20℃/分で測定を行った。
【0060】
(7)平均突起高さ
キーエンス社製レーザーマイクロスコープ(VK−X100)を用い、1mm×1mmのフィルムサンプル(塗布層側を測定)を準備する。対物レンズを50倍にして観察対象箇所にてオートフォーカスにて形状測定を実施する。保存された形状測定データを装置に内在の解析アプリケーションにて、高さしきい値を5μmに設定し、測定された最頻突起高さ範囲(μm)の中央値を突起高さ(μm)とした。
【0061】
(8)突起頻度
フィルム表面の突起プロファイルを、三次元粗さ測定装置SE−3CKT(株式会社小坂研究所製)にて、カットオフ0.25mm、測定長1mm、走査ピッチ2μm、走査本数100本で測定し、高さ倍率1000倍、走査方向倍率200倍にて突起プロファイルを記録した。尚、解析には三次元粗さ解析装置SPA−11(株式会社小坂研究所製)を用いた。得られた突起プロファイル(横軸:突起高さ、縦軸:突起個数の突起プロファイル)から、高さ5μm以上の突起個数(個/m
2)を求め、突起頻度とした。
【0062】
(9)輝度
LG社製のLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)から反射フィルムを取り出し、実施例で得られた反射フィルムを、塗布層がある場合は塗布層がある側が画面側(導光板に接する面)となるように設置し、バックライトユニットの状態にて輝度計(大塚電子製Model MC−940)を用いて、バックライトの中心を真正面より測定距離500mmで輝度を測定した。
【0063】
(10)導光板の傷付き評価(削れ性評価)、および粒子の脱落評価
図2のように、取っ手部分(
図2の符号7)の端に長さ200mm×幅200mm×厚み3mmの鉄板(
図2の符号8、重さ約200g)を固く貼り付け、その上に、評価面を上にした幅250mm×長さ200mmの反射フィルム(
図2の符号9)を幅方向の両端からそれぞれ25mmの部分が鉄板からはみ出すようにして、(中央の200mm×200mmの部分が鉄板と重なるようにして)貼り付けた。この際、反射フィルムの評価面(塗布層面)が外側になるようにした。また、反射フィルムの幅方向の両端で余った25mmの部分は、鉄板の裏側に折り返して、反射フィルムの端部(サンプリング時にナイフ等により刃を入れた部分)が導光板を削ってしまう影響を排除した。
次に、ドット面を上にした導光板(少なくとも400mm×200mmのサイズのもの)を水平な机上に固定し、上記で作成した鉄板に固定した反射フィルムを、評価面と導光板とが接触するように、反射フィルム側の面を下向きにして導光板の上に置き、さらにその上に500gの重り(
図2の符号10)を載せて、距離200mmで(400mm×200mmの領域で鉄板に固定した反射フィルムを動かすことになる)1往復約5〜10秒の速度で15往復動かした。 その後、導光板表面において、その削れ具合と、反射フィルムから脱落した有機粒子の有無について、20倍のルーペを用いて観察し、以下の基準で評価した。
導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、15往復動かした後にルーペで観察できるキズがない場合は「削れない」(削れ評価○)とし、10往復動かした後は観察できるキズがなかったが、15往復動かした後に観察できるキズがある場合は「削れにくい」(削れ評価△)とし、10往復した後に観察できるキズがある場合は「削れる」(削れ評価×)とした。
また、15往復動かした後において、導光板上の擦られた400mm×200mmの全範囲において、ルーペで観察できる白色異物がなければ、「粒子が脱落しない」(脱落評価○)とした。また、観察できる白色異物があった際は、かかる白色異物を顕微鏡により観測し、ポリエステル粒子であることを確認して、脱落した球状異物が5つ以下であれば、「粒子がほとんど脱落しない」(脱落評価△)とし、6つ以上であれば、「粒子が脱落する」(脱落評価×)とした。
なお、上記評価にあたっては、ドットサイズの影響を極力抑えるべく、導光板において、極力ドットサイズの大きな領域を選択し、各評価サンプルで揃えて行った。
【0064】
(11)白点評価
上記(10)の評価で用いた反射フィルムと導光板を用いて、机上に塗布層が上向きとなるように反射フィルムを置き、その上にドット面が下向きになるように導光板を置き、導光板の四辺のそれぞれに各200gの重りを置き固定し、LG社製のLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)のバックライト光源を用いて、導光板の側面から光を入射して、目視で観察できる導光板ドット以外の明るい点があれば白点発生(評価×)とした。他方、目視で観察できる異常な明るい点がなければ白点発生しない(評価○)とした。
【0065】
(12)密着斑評価(貼り付き評価)
LG社製のLED液晶テレビ(LG42LE5310AKR)からシャーシを取り出し、テレビ内部側が上向きとなるように水平な机上に置き、その上に、シャーシとほぼ同じ大きさの反射フィルムを、塗布層面が上向きとなるように置き、さらにその上に、元々テレビに備えられていた導光板および光学シート3枚(拡散フィルム2枚、プリズム1枚)を置いた。次いで、その面内で、シャーシの凹凸の最も激しい部分を含む領域に、
図1に示すごとく直径5mmの円柱状足を三本備える正三角形型の台を置き、その上に更に15kgの重りを乗せて、かかる三本の足に囲まれた領域を目視で観測し、異常に明るい部分がなければ「密着斑がなし」(密着斑評価○)とした。また、異常に明るい部分があった場合は、光学シート3枚の上にさらに、元々テレビに備わっていたDBEFシートを置き、同様に目視で観測し、異常に明るい部分が直らなければ、「密着斑があり」(評価×)とし、異常に明るい部分がなくなれば、「密着斑が殆どなし」(評価△)とした。なお、三つ足に囲まれた領域は、各辺の長さが10cmの略正三角形とした。
【0066】
(13)製膜性(延伸性)
実施例に記載のフィルムを、テンターを用いた連続製膜法にて製膜したときの製膜安定性を観察し、下記基準で評価した。
○:フィルム長さ10000m以上安定に製膜できる。
△:フィルム長さ10000m巻き取る間に1度切断が生じた。
×:フィルム長さ10000m巻き取る間に複数回切断が発生し、安定な製膜ができない。
【0067】
(製造例1:イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の合成)
テレフタル酸ジメチル136.5質量部、イソフタル酸ジメチル13.5質量部(得られるポリエステルの全酸成分100モル%に対して9モル%となる)、エチレングリコール98質量部、ジエチレングリコール1.0質量部、酢酸マンガン0.05質量部、酢酸リチウム0.012質量部を精留塔、留出コンデンサを備えたフラスコに仕込み、撹拌しながら150〜240℃に加熱しメタノールを留出させエステル交換反応を行った。メタノールが留出した後、リン酸トリメチル0.03質量部、二酸化ゲルマニウム0.04質量部を添加し、反応物を反応器に移した。ついで撹拌しながら反応器内を徐々に0.3mmHgまで減圧するとともに292℃まで昇温し、重縮合反応を行い、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1を得た。このポリマーの融点は235℃であった。
【0068】
(製造例2:無機粒子マスターチップ1の作成)
上記で得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1の一部、およびボイド形成剤として平均粒径1.0μmの硫酸バリウム粒子(表中、BaSO
4と表記する。)を用いて、神戸製鋼社製NEX−T60タンデム式押出機にて、得られるマスターチップの質量に対して硫酸バリウム粒子の含有量が63質量%となるように混合し、樹脂温度260℃にて押し出し、硫酸バリウム粒子含有の無機粒子マスターチップ1を作成した。
【0069】
(製造例3:ポリエステル粒子A)
オートクレーブ中に下記に記載する原料を仕込み、180〜240℃にて120分間加熱してエステル交換反応を行った。次いで反応系を245℃まで昇温し系内圧力を1〜10mmHgとして60分間反応を続けた結果、共重合ポリエステルを得た。
ジメチルテレフタレート 134質量部
ジメチルイソフタレート 5質量部
5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート 3質量部
パラターシャルブチル安息香酸メチルエステル 5質量部
エチレングリコール 136質量部
テトラブトキシチタネート 0.1質量部
得られた樹脂を緩凝集させ、表中に示す粒子(ポリエステル粒子A)を得た。
【0070】
(製造例4:ポリエステル粒子B〜F)
ポリエチレンテレフタレートペレット(融点:255℃)を冷凍凍結化した後、カッターにて微粒子化する。微粒子化した後の粒子を風力分級に掛け、平均粒子径55μm(長径平均60μm/短径平均50μm)の粒子Bを得た。粒子C〜Fは樹脂のカット条件の変更と風力分級を行い表1に示すサイズの粒子を得た。
【0071】
[実施例1]
(白色反射フィルムの製造)
上記で得たイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート1と無機粒子マスターチップ1を用いて反射層(A層)の原料および支持層(B層)の原料として、それぞれの層が表1に記載した構成となるように混合し、押出機に投入し、A層の溶融押出温度を275℃とし、B層の溶融押出温度を270℃とし、表1に示すごとくB層/A層/B層となるように3層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままダイスよりシート状に成形した。このときB層/A層/B層の厚み比が2軸延伸後に10/80/10となるように各押出機の吐出量で調整した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムとした。この未延伸フィルムを73℃の予熱ゾーン、つづけて75℃の予熱ゾーンを通して、92℃に保たれた縦延伸ゾーンに導き、縦方向に2.9倍に延伸し、25℃のロール群で冷却した。
続いて、上記製造例で得られたポリエステル粒子Aを含む表1に記載の組成である塗液1をフィルムの片面に塗布し、ステンターに投入し、フィルムの両端をクリップで保持しながら115℃の予熱ゾーンを通して130℃に保たれた横延伸ゾーンに導き、横方向に3.6倍に延伸した。その後テンター内で192℃で熱固定を行い、幅入れ率2%、幅入れ温度130℃で横方向の幅入れを行い、次いでフィルム両端を切り落し、縦弛緩率2%で熱弛緩し、室温まで冷やして、基材フィルム厚み250μm、塗布層厚み2μmの二軸延伸フィルムを得た。
このフィルムを回収して、粉砕し、275℃で溶融押出してチップ化して自己回収原料を作成し、かかる自己回収原料を、反射層Aに、反射層Aの質量を基準として35質量%添加し、反射層Aの組成が元のフィルムと同じになるように原料を配合して、上記と同様にして基材フィルム厚み250μm、塗布層厚み2μmの二軸延伸フィルムを得て、白色反射フィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表2に示す。
【0072】
[実施例2〜5、7、比較例1〜3]
塗液を表1に記載の通りとする以外は、実施例1と同様にして自己回収原料を作成し、それ用いて白色反射フィルムを作成し、評価を実施した。評価結果を表2に示す。
なお、比較例1は、高さ5μm以上の突起が観測されなかった。
【0073】
[実施例6]
塗液としてポリエステル粒子Dを含有する表1記載の塗液6を用い、反射層Aにおけるボイド形成剤として、硫酸バリウムの代わりにシクロオレフィン樹脂(ポリプラスチックス社製「TOPAS6017S−04」)を反射層Aの質量を基準として18質量%とした以外は、実施例1と同様にして自己回収原料を作成し、それ用いて白色反射フィルムを作成し、評価を実施した。評価結果を表2に示す。
【0074】
[比較例4]
塗液を表1に示す塗液11に変更した以外は、実施例1同様にして自己回収原料を作成し、それを用いて白色反射フィルムを作成し、評価を実施した。結果を表2に示す。
比較例4においては、塗布層に含まれる架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子(積水化成品工業社製MBX−40)が回収時溶融せず、粗大ボイドの形成の影響で製膜性がすこぶる低下した。なお、比較例4で得られたフィルム内にPMMA粒子が残存していたことを、フィルム厚み測定と同様の電子顕微鏡による断面写真で観測し確認した。
【0075】
[比較例5]
実施例1にて塗液を塗布せず、ポリエステル基材フィルムを作製したのち、このフィルムの片面に下記に示す塗液12を塗布し、最高温度115℃に設定した乾燥機にて乾燥させ、サンプルを得た。
(塗液12、固形分濃度35質量%)
・粒子:積水化成品工業MBX−40(架橋PMMA、架橋系のため融点を示さない)・・・10.5質量%
・アクリルバインダー:DIC アクリディックA−817BA・・・31.5質量%
・架橋剤:日本ポリウレタン工業社 コロネートHL・・・11.7質量%
・有機溶剤:酢酸ブチル・・・46.3質量%
なお、上記レシピから得られるビーズ層における各成分の固形分比率は以下の通りとなる。
・粒子:30質量%
・バインダー:45質量%
・架橋剤:25質量%
【0076】
[比較例6]
実施例1にて塗液を塗布しない以外は、実施例1同様に実施した。結果を表2に示す。
【0077】
[比較例7]
実施例1の塗液を表1に示す塗液13に変更した以外は、実施例1同様に作製した。結果を表2に示す。ポリエチレン粒子(三井化学製ミペロンPM−200)がフィルム製膜工程において溶融し、表面突起形成が出来なかった。
比較例7では、ポリエチレン粒子が溶融したためか、高さ5μm以上の突起が観測されなかった。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
ポリエステルバインダー:互応化学製、製品名プラスコートZ465
架橋剤:高松油脂製、製品名ペスレジンA−645GH
シリコーンオイル:日油株式会社製、製品名モディパーFS770
ND:未検出(検出限界)