(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363338
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】オプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー及びベッド
(51)【国際特許分類】
A47C 19/02 20060101AFI20180712BHJP
【FI】
A47C19/02 Z
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-223625(P2013-223625)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-84816(P2015-84816A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039985
【氏名又は名称】パラマウントベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100071102
【弁理士】
【氏名又は名称】三觜 晃司
(72)【発明者】
【氏名】八木 剛
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 功士
【審査官】
井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】
実用新案登録第2513854(JP,Y2)
【文献】
特開2002−238957(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0194217(US,A1)
【文献】
特開2003−327226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッドのサイドフレームの外側面に対応する第1の板部と、上面と下面に対応する第2の板部と第3の板部とを有する断面コ字状の長尺カバー部材を構成し、夫々の板部の外面を化粧面として構成すると共に、前記第2の板部と第3の板部の端縁には夫々対向方向に係合爪部を突設して、前記長尺カバー部材を前記サイドフレームの外側から装着して、前記係合爪部を前記サイドフレームの内側に位置させて係合固定する構成とし、前記第2の板部にのみ、前記サイドフレームの上面に形成したオプション取付穴に対応する個所に窓孔を形成したサイドフレーム用化粧カバーであり、
前記オプション取付穴を利用する場合には、前記第2の板部を上にして前記化粧カバーを装着し、前記オプション取付穴を利用しない場合には、第3の板部を上にして前記化粧カバーを装着することを特徴とするオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項2】
係合爪部は、第2の板部と第3の板部の端縁を折り返した構成であることを特徴とする請求項1に記載のオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項3】
オプション取付穴の周縁部が上面に突出しているサイドフレームに対応させ、第3の板部の前記長尺カバー部材の上面及び下面を反対にした場合の前記周縁部に対応した部位に溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項4】
前記第1の板部の内側には、リブが形成されていることを特徴とする請求項1から3のうちの何れか1項に記載のオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項5】
第1窓孔乃至第3窓孔が順に配置されており、前記第1窓孔と第2窓孔との間隔が前記第2窓孔と第3窓孔との間隔と異なることを特徴とする請求項1から4のうちの何れか1項に記載のオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項6】
前記第1の板部と第2の板部と前記第3の板部の外側に化粧面を設けたことを特徴とする請求項1から5のうちの何れか1項に記載のオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバー。
【請求項7】
請求項1から6のうちの何れか1項に記載のサイドフレーム用化粧カバーを有することを特徴とするベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッドのサイドフレーム、特に、オプション取付穴を設けたサイドフレーム用の化粧カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、病院施設向けベッドや介護ベッド等においては、サイドレールやスタンド等のオプションを取付け可能とするために、その長手方向のサイドフレームの上面に、これらのオプションの支柱部分を嵌合可能なオプション取付穴を形成しているものがある。
【0003】
このようにサイドフレーム自体の上面にオプション取付穴を設けた構成では、前述したようなオプションを取り付けるために、別構成の支持部材を必要とせず、支持部材がベッドの外方に突出しないという利点がある。
【0004】
このようなベッドにおいて、その長手方向の構造材であるサイドフレームは、殆どが、角形鋼管や曲げ加工した鋼板を塗装したフレーム材を用いて構成されているが、家具としての側面から、その外観を木調とすることも行われている。
【0005】
例えば特許文献1には、鋼製のベッドのサイドフレームに断面略C字状の化粧カバーを着脱自在に嵌めて覆う構成のベッドが記載されており、このようにすることにより、金属外観を無くし、木目調仕上げを行えるとしている。そして、この特許文献1のベッドでは、サイドフレームにサイドレールを取付可能とするために、両端部に締め付けねじと取付穴を設けた支持フレームを別構成の支持部材として設け、これをサイドフレームの外側に取り付ける構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3837992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されるベッドは、サイドフレームを、化粧カバーにより単に覆ってしまうのであり、オプションの取り付けは、別構成の支持部材をサイドフレームに取り付けることを前提としている。
【0008】
そのためサイドフレーム自体の上面にオプション取付穴を設けた構成のベッドの利点を利用することはできない。
【0009】
一方、サイドフレーム自体の上面にオプション取付穴を設けた構成のベッドにおいても、当面はオプション取付穴を利用しない場合もあり、この場合には、当面不要のオプション取付穴が外観を損ねることもある。
本発明は、このような課題を解決することを目的の一つとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明では、ベッドのサイドフレームの外側面に対応する第1の板部と、上面と下面に対応する第2の板部と第3の板部とを有する断面コ字状の長尺カバー部材を弾性材によって構成し、夫々の板部の外面を化粧面として構成すると共に、前記第2の板部と第3の板部の端縁には夫々対向方向に係合爪部を突設して、前記長尺カバー部材を前記サイドフレームの外側から装着して、前記係合爪部を前記サイドフレームの内側に位置させて係合固定する構成とし、前記第2の板部にのみ、前記サイドフレームの上面に形成したオプション取付穴に対応する個所に窓孔を形成したことを特徴とするオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバーを提案する。
【0011】
また本発明では、前記構成において、係合爪部は、第2の板部と第3の板部の端縁を折り返した構成としたことを特徴とするオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバーを提案する。
【0012】
また本発明では、前記構成において、オプション取付穴の周縁部が上面に突出しているサイドフレームに対応させ、前記第3の板部に、前記周縁部に対応した溝部を形成したことを特徴とするオプション取付穴を設けたベッドのサイドフレーム用化粧カバーを提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の化粧カバーは、断面コ字状の長尺カバー部材を前記サイドフレームの外側から装着して、前記係合爪部を前記サイドフレームの内側に位置させることにより、サイドフレームに係合固定することができる。
【0014】
装着作業は、長尺カバー部材の弾性により容易に行うことができ、そして弾性変形により対向方向に移動してサイドフレームの内側に位置した係合爪部により、外れを確実に防止することができる。
【0015】
この際、第2の板部を上側として装着すると、この第2の板部にのみ設けた窓孔がサイドフレームの上面に形成されたオプション取付穴に対応するため、長尺カバー部材を装着したまま、サイドフレーム自体に設けたオプション取付穴を利用してサイドレール等のオプションを利用することができる。
【0016】
一方、第3の板部を上側として装着すると、この第3の板部には窓孔が設けられていないため、長尺カバー部材の第3の板部がサイドフレームの上面のオプション取付穴を隠すことができ、また長尺カバー部材の第2の板部はサイドフレームの下面に位置しているため、それに設けた窓孔は見えない。こうしてオプション取付穴を利用する必要が無い時点においては、それを隠すことにより、オプション取付穴により美観を損ねることを防止することができる。
【0017】
本発明において、係合爪部は、第2の板部と第3の板部の端縁に夫々対向方向に突設する構成であればどのような構成であっても良いが、第2の板部と第3の板部の端縁を折り返した構成とした場合には、係合爪部を構成する折り返した部分が装着時に弾性変形して、円滑な装着作業を行えると共に、装着後には弾性により復帰してサイドフレームの内側との係合が確実に行える。
【0018】
サイドフレームのオプション取付穴は、その周縁部が上面に突出しているものがあり、この場合には、第3の板部に、前記周縁部に対応した溝部を形成することにより、第3の板部によりオプション取付穴を隠す装着を行う際に対応させることができる。
【0019】
この溝部は、第3の板部を曲げて形成することもできるし、第3の板部の内側の減肉により形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は本発明に係る化粧カバーと、それを装着するベッドの一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は本発明に係る化粧カバーの第1の装着状態を示す要部斜視図である。
【
図3】
図3は本発明に係る化粧カバーの第2の装着状態を示す要部斜視図である。
【
図4】
図4は本発明に係る化粧カバーの第1の実施の形態を示す断面図である。
【
図5】
図5は本発明に係る化粧カバーの第1の実施の形態における装着作業を、オプション取付穴以外の個所において示す示す断面図である。
【
図6】
図6は本発明に係る化粧カバーの第1の実施の形態における装着後の状態を、オプション取付穴以外の個所において示す断面図である。
【
図7】
図7は本発明に係る化粧カバーの第1の実施の形態における第1の装着状態を、オプション取付穴の個所において示す断面図である。
【
図8】
図8は本発明に係る化粧カバーの第1の実施の形態における第2の装着状態を、オプション取付穴の個所において示す断面図である。
【
図9】
図9は本発明に係る化粧カバーの第2の実施の形態を第1の装着状態において示す断面図である。
【
図10】
図10は本発明に係る化粧カバーの第3の実施の形態を第1の装着状態において示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施の形態を、添付した
図1〜
図10を参照して説明する。尚、
図1〜
図17において、対応する構成要素には同一の符号を付している。
【0022】
本発明に係る化粧カバーと、それを装着するベッドの一例を示す
図1において、符号1は、病院施設向けベッドや介護ベッド等のベッドを示すもので、その長手方向の構造材であるサイドフレーム2は角形鋼管を塗装したフレーム材を用いて構成されており、その上面3uに、適数のオプション取付穴4を設けている。この実施の形態のオプション取付穴4は、例えば
図7〜
図10に示すように、サイドフレーム2の上下に設けた取付穴5間に下側を絞った筒体6を装着し、かしめて構成している。
図7、
図8及び
図10の実施の形態では、オプション取付穴4の
周縁部7が上面3uから突出しているが、
図9の実施の形態では
周縁部7は突出していない。この他、オプション取付穴4の構成は適宜である。尚、符号8はベッドの幅方向の構造材としてのフレーム材を示すものである。
【0023】
符号9は本発明に係る化粧カバーを示すもので、この化粧カバーは、サイドフレーム2の外側面3sに対応する第1の板部10sと、サイドフレーム2の上面3uと下面3dに対応する第2の板部10uと第3の板部10dとを有する断面コ字状の長尺カバー部材として構成している。この化粧カバー、即ち、長尺カバー部材9は、合成樹脂や金属等の弾性材により構成しており、夫々の板部10s、10u、10dの外面を化粧面として構成している。化粧面としては、シートラッピング等により木調のデザインとする他、その他のデザインとすることもできる。
【0024】
そして本発明では、前記第2の板部10uと第3の板部10dの端縁には、夫々対向方向に係合爪部11u、11dを突設しており、この長尺カバー部材9を、
図1の矢印で示すように前記サイドフレーム2の外側から装着して、それらの係合爪部11u、11dをサイドフレーム2の内側に位置させて係合固定する構成としている。
【0025】
図10に示す係合爪部11u、11dを除き、他の図に示す係合爪部11u、11dは、第2の板部10uと第3の板部10dの端縁を折り返した構成としている。
【0026】
尚、符号12は長尺カバー部材9の長手方向に沿って形成したリブであり、このリブ12は、例えば長尺カバー部材9を合成樹脂の押し出し成形により形成する際に、成形後の長尺カバー部材9の寸法を押出型の僅かな調整により行えるようにしたものであり、化粧カバーとしての機能においては必ずしも必要とするものではない。
【0027】
そして本発明では、前記第2の板部10uにのみ、前記サイドフレーム2の上面3uに形成したオプション取付穴4に対応する個所に窓孔13を形成したことを特徴とするものである。
【0028】
更に、本発明においては、
図9に示す実施の形態を除き、周縁部7が上面に突出しているオプション取付穴4に対応して、第3の板部10dに、周縁部7に対応した溝部14を形成している。この溝部14は、
図10に示す実施の形態では第3の板部10dの内側の減肉により形成しているが、その他の図に示す実施の形態では、第3の板部10dを曲げて形成している。
【0029】
以上の構成において、本発明の化粧カバーは、
図1の矢印及び
図4〜
図6に示すように、断面コ字状の長尺カバー部材9をサイドフレーム2の外側から装着して、前記係合爪部11u、11dをサイドフレーム2の内側に位置させることにより、サイドフレーム2に係合固定することができる。
【0030】
この装着作業は、
図5に示すように長尺カバー部材9の弾性変形により容易に行うことができ、そして
図6に示す装着状態では、弾性により対向方向に移動してサイドフレーム2の内側に位置した係合爪部11u、11dにより、外れを確実に防止することができる。
【0031】
この際、
図2、
図7、
図9、
図10に示すように、第2の板部10uを上側として装着すると、この第2の板部10uにのみ設けた窓孔13が、サイドフレーム2の上面に形成されたオプション取付穴4に対応するため、長尺カバー部材9を装着したまま、サイドフレーム2自体に設けたオプション取付穴4を利用してサイドレール等のオプションを利用することができる。
【0032】
本発明においては、長尺カバー部材9は、上下方向を逆にしてサイドフレーム2に装着することができるため、前記と異なり、第3の板部10dを上側として装着すると、この第3の板部10dには窓孔が設けられていないため、
図3、
図8に示すように、長尺カバー部材9の第3の板部10dがサイドフレーム2の上面3uのオプション取付穴4を隠すことができる。同時に、長尺カバー部材9の第2の板部10uはサイドフレーム2の下面に位置しているため、それに設けた窓孔13は見えない。
【0033】
このようにして本発明では、オプション取付穴4を利用する必要が無い時点においては、それを隠すことにより、オプション取付穴4により美観を損ねることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上説明したように、本発明の化粧カバーは、オプション取付穴をサイドフレーム自体の上面に設けたベッドにおいて、オプション取付穴を利用できる状態でサイドフレームに木調等の化粧カバーを装着することができる他、オプション取付穴を利用しない時点においては、オプション取付穴を隠した状態でサイドフレームに化粧カバーを装着することができる。
【0035】
こうして本発明では、鋼製の構造材により構成されたベッドにおいて、木調等の外観を容易に低コストで実現することができると共に、サイドフレーム自体の上面にオプション取付穴を設けたベッドの利点を有効に発揮することができる。
【0036】
以上のことから本発明では、例えば在宅ベッドにおいて、一般ベッド仕様と特殊ベッド仕様とを容易に切り替えられるベッドを提供することができ、使用する人が健常である時は、オプション取付穴を隠して一般のリクライニングベッドとして使用でき、そして、その後に介護が必要になったときには、オプション取付穴を窓孔から使用可能として、介護ベッドとして使用することができるという大きな利点がある。
【符号の説明】
【0037】
1 ベッド
2 サイドフレーム
3u 上面
3s 外側面
3d 下面
4 オプション取付穴
6 筒体
7
周縁部
8 フレーム材
9 化粧カバー(長尺カバー部材)
10s 第1の板部
10u 第2の板部
10d 第3の板部
11u、11d 係合爪部
12 リブ
13 窓孔
14 溝部