【課題を解決するための手段】
【0010】
患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化する方法であって、
上記3D物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現であって、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する段階と、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所の1つ又は複数の特徴に関するテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する段階であって、上記箇所の所望の対象範囲は、該箇所に対する1つ又は複数の異なる視点から上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の各々を獲得することにより獲得される、段階と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現を整列させる段階と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の少なくとも一部分と、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現とを組み合わせることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現を求める段階と、
上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する段階と、
モデル化された3D物体が患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得るように、上記3D物体を3Dモデル化する段階であって、該3Dモデル化段階は、獲得された上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの上記1つ又は複数の特徴の情報を適用する段階とを備えて成る、方法が開示される。
【0011】
また、患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化する方法であって、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現であって、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する段階と、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所の1つ又は複数の特徴に関するテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する段階であって、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得は、上記箇所の所望の対象範囲を求めるために上記箇所及び獲得手段を相互に再位置決めすることにより実施される、段階と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の少なくとも一部分と、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現とを整列させ且つ組み合わせることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現を求める段階と、
上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する段階と、
上記3D物体をモデル化するときに、上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの1つ又は複数の特徴の情報を適用する段階とを備えて成る、方法が開示される。
【0012】
幾つかの実施例において、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得の間において、且つ、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得の間において、上記箇所は、上記各デジタル表現の少なくとも一方は所定個数の異なる視点から自動的に獲得され且つ上記所望の対象範囲が求められるように、獲得ユニットに対して自動的に再位置決めされる。
【0013】
患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化する方法であって、
上記3D物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現であって、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する段階と、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所の1つ又は複数の特徴に関するテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する段階であって、上記箇所の所望の対象範囲は、該箇所に対する1つ又は複数の異なる視点から上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の各々を獲得することにより獲得される、段階と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現を整列させる段階と、
モデル化された3D物体が患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得るように、上記3D物体を3Dモデル化する段階であって、該3Dモデル化段階は、獲得された上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの上記1つ又は複数の特徴の情報を適用する段階とを備えて成る、方法が開示される。
【0014】
幾つかの実施例において、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の少なくとも一部分と、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現とは組み合わされることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現が求められ、且つ、上記方法は、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する段階を含む。
【0015】
患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化するシステムであって、
当該システムの走査体積の少なくとも一部分を照明すべく構成された照明ユニットと、
上記走査体積内に配置された箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得すべく構成された獲得ユニットと、
第1のデジタル信号プロセッサ・ユニットであって、
獲得された上記2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現を解析し、
上記2Dデジタル表現及び上記3Dデジタル表現を整列させ、且つ、
上記2Dデジタル表現の少なくとも一部分と、上記3Dデジタル表現とを組み合わせることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現を求めるべく構成される第1デジタル信号プロセッサ・ユニットと、
上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する視覚化デバイスと、
モデル化された3D物体が患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得るように、上記3D物体を3Dモデル化すべく構成された第2のデジタル信号プロセッサ・ユニットであって、上記3Dモデル化は、獲得された上記2Dデジタル表現からの情報を適用する段階を含む、第2デジタル信号プロセッサ・ユニットとを備えて成る、システムが開示される。
【0016】
本発明に関し、“走査体積”という表現は、走査体積内に配置された箇所の2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現が獲得され得るように、単一又は複数の光源からの光により上記箇所が照明され得ると共に該箇所から反射された光はカメラにより受容され得る、体積を指し得る。
【0017】
本発明に関し、“2Dデジタル表現からの1つ又は複数の特徴の情報を適用する”という表現は、上記2Dデジタル表現が、上記1つ又は複数の特徴の情報を提供する場合を指し得る。上記特徴は、上記箇所の一部分であり得るか、又は、該箇所、該箇所の物理的模型又は印象上に画成され得ると共に、獲得された上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は、上記1つ又は複数の特徴の情報を提供し得る。本発明に関し、“物体”及び“3D物体”という表現は、互換的に使用され得る。
【0018】
本発明に関し、“モデル化する”及び“3Dモデル化する”という表現は、互換的に使用され得る。
【0019】
当該特徴が上記箇所のデジタル表現において識別されることを許容する幾何学形状を有する特徴は、幾何学的特徴と称され得る。
【0020】
当該特徴が上記箇所のデジタル表現において識別されることを許容するテクスチャを有する特徴は、テクスチャ的特徴と称され得る。
【0021】
1つの特徴が、幾何学形状及びテクスチャの両方を有することがある。故に、当該特徴が上記箇所のデジタル表現において識別されることを許容する幾何学形状及びテクスチャの両方を有するとき、該特徴は幾何学的特徴及びテクスチャ的特徴のいずれとも称され得る。
【0022】
上記箇所は、3D物体が患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る患者の身体の一部であり得るか、又は、該一部におけるものとされ得る。
【0023】
本発明に関し、“箇所の特徴”という表現は、該特徴が、例えば修復物に対して準備された歯の境界ラインのような、箇所の一体的部分であるという状況、又は、該特徴が、例えば、歯列矯正装置の一部などの箇所上に直接的に明示され、若しくは、歯科技工士により患者の歯上に描かれたラインであるという状況、又は、該特徴が、一群の歯の石膏模型上に描かれたラインのような、箇所の物理的模型若しくは印象上に明示されるという状況を指し得る。
【0024】
“上記箇所”という表現は、その箇所自体、該箇所の物理的模型、又は、該箇所の印象を指し得る。例えば、“上記箇所の2Dデジタル表現を獲得する段階”という表現は、該箇所の、又は、該箇所の物理的模型の、又は、該箇所の印象の2Dデジタル表現が獲得されるという状況を指し得る。
【0025】
故に、“箇所のテクスチャ的データ”という表現は、テクスチャを有する特徴が箇所の一体的部分であり、且つ、上記特徴が、例えば歯科技工士により、上記箇所上に、又は、該箇所の物理的模型若しくは印象上に、直接的に明示されるという状況を指し得る。例えば、1つの特徴は、一群の歯の物理的模型上に描かれた色付きラインとされ得、その場合に上記特徴は着脱可能な部分床義歯の境界部であり且つ該特徴のテクスチャは、上記境界部が明示される色である。故に上記特徴は、上記箇所の、すなわち患者の口の、一体的部分ではなく、後時に物理的模型上に明示されている。本発明に関し、上記描かれたラインは依然として、上記箇所の特徴であると見做され得る。
【0026】
上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は、該箇所の、又は、該箇所の物理的模型若しくは印象の1つ又は複数の2D画像を備えて成る。上記1つ又は複数の2D画像は、上記箇所に関して同一の、又は、異なる視点から獲得され得る。
【0027】
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現と同一の視点から獲得され得る。これにより、上記2Dデジタル表現及び上記3Dデジタル表現の比較的に単純な整列が許容され得る。
【0028】
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現が獲得される視点と同一ではない視点から獲得されても良い。
【0029】
上記箇所のテクスチャに関するデータを含む2D画像は、テクスチャ的画像又はテクスチャ画像と称され得る。
【0030】
故に、箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの特徴は、その箇所に配置され得る物体の3Dモデル化を促進するために使用され得ることが好適である。上記物体をモデル化する際に上記箇所のテクスチャ的データを使用するとき、そのモデル化の結果は改善され得る、と言うのも、複数の異なる種類のデータが使用されることから、上記箇所の複数の異なる種類の特徴が検出されて上記物体のモデル化プロセスにおいて考慮され得るからである。
【0031】
テクスチャは、箇所の表面の感触、形状及び外観として定義されることから、テクスチャは、その箇所の滑らかさ、粗さ、柔らかさ、色などを含み得る。テクスチャは、箇所の外側表面により保持された特性、及び、該表面により引き起こされる感覚であって、触覚により受容されるという感覚を指し得る。テクスチャはまた、非触覚的な感触を記述するためにも使用され得る。テクスチャは、箇所の表面のパターン、色、又は、他の視覚的特性を包含し得る。故に、テクスチャ的データは、箇所の表面のテクスチャを記述するデータである。
【0032】
幾何学形状は、特徴のサイズ、形状、相対位置、及び、空間の特性として定義されることから、箇所の長さ、面積、及び、体積に関連する。故に、幾何学的データは、箇所の表面の幾何学形状を記述するデータである。
【0033】
上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現は、上記箇所と、上記各表現を獲得すべく使用される光源及びカメラのような獲得手段とを、相互に対して再位置決めすることにより、任意の視点から獲得され得る。上記再位置決め段階は、例えばスキャナ内で少なくとも2軸動作システムを用いることで自動的に実施され得る。故に上記スキャナは、任意の視点から上記箇所の各デジタル表現の獲得を自動的に実施し得る2軸又は3軸の動作システムを備えて成り得る。
【0034】
故に、幾何学的及びテクスチャ的データの両方の獲得に対し、上記箇所を再位置決めするために同一の動作システムが使用されることが好適であり得る。上記動作システムは、走査されるべき模型又は印象が内部に載置される3Dスキャナ内に配置され得る。上記動作システムは、上記模型若しくは印象の、又は、上記獲得手段、すなわち、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する上記光源及び/又はカメラの、並進及び/又は回転運動を実施し得る。故に、上記再位置決めは、データが捕捉されつつある例えば模型若しくは印象などの箇所のものとされ得るか、又は、上記再位置決めは、上記獲得手段、すなわち単一若しくは複数の光源及びカメラのものとされ得る。上記動作システム内に2軸又は3軸を有するとき、上記模型又は印象は、側方及び頂部の両方から走査され得る。
【0035】
上記箇所の所望の対象範囲は、該箇所全体の全ての範囲、若しくは、該箇所の一部、又は、該箇所のまさに特定領域の範囲とされ得る。所望の対象範囲は、例えば、1つの合成テクスチャ的画像へと構築され得る3個又は4個のテクスチャ的画像を捕捉することにより求められ得る。所望の対象範囲を求めるために、更に多数又は更に少数のテクスチャ的画像が捕捉されても良い。
【0036】
上記整列段階及び組み合わせ段階は、上記2つの表現、すなわち、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現及びテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現が、幾何学的及びテクスチャ的データを備えて成る複合3Dデジタル表現を求めるために如何に処理されるかを記述し得る。
【0037】
整列とは、箇所の1つのデジタル表現を該箇所の別のデジタル表現に関し、各デジタル表現の構造が一致するように、調節することであると定義され得る。故に、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の夫々の共通する又は同様の構造同士が整列される。
【0038】
各表現を整列して組み合わせると、特徴検出の視覚化及び精度が改善され得る。本発明に関し、“複合3D表現を視覚化する”という表現は、複合3D表現により提供される全てのデータの視覚化、又は、複合3D表現により提供されるデータの一部分の視覚化を指し得る。故に、視覚化された複合3D表現は、2Dデジタル表現から提供され得る全てのデータではなく、抽出された情報の視覚化を提供し得る。
【0039】
物体をモデル化するときに、箇所の1つ又は複数のテクスチャ的特徴の情報を適用するということは、上記箇所内に挿入され、又は、上記箇所に装着され若しくは配置され得る物体をモデル化するときに、該箇所のテクスチャ的特徴の情報が、上記物体が上記箇所の上記テクスチャ的特徴を考慮して該箇所に適合するように、使用されること、と定義され得る。上記物体の適合とは、該物体の挿入又は装着が患者に対して痛覚を引き起こさず、且つ、該物体の挿入又は装着が審美的に快適であることを意味し得る。
【0040】
歯科医療において物体のモデル化とは、1つ又は複数の歯科的修復物若しくは修復物下位構造のモデル化、又は、1つ又は複数のインプラント若しくはインプラント支台のモデル化、又は、歯列矯正装置のモデル化、又は、一本以上の歯の矯正移動のモデル化、又は、例えば、完全に若しくは部分的に固定された若しくは取外し可能な部分床義歯などの義歯のモデル化、又は、義歯における一本以上の歯のモデル化を含み得る。
【0041】
故に、上記モデル化段階は、修復物、歯列矯正装置、インプラント、義歯などのモデル化段階を含み得る。3Dコンピュータ支援設計(CAD)モデル化が、例えば修復物を含むとき、仮想的にモデル化されたクラウン及びブリッジのような修復物はコンピュータ支援製造(CAM)により製造され得ると共に、製造された修復物又は装置は次に最終的に、歯科医により患者の口腔内へと挿入され得る。
【0042】
上記物体をモデル化するときにおける上記箇所の1つ又は複数の特徴の情報を適用する段階、及び、上記方法の他の段階は、ユーザ又は操作者が、上記データ群と、該データ群に対して実施された種々の操作との視覚的表現を獲得するように、コンピュータ上でデジタル的に実施されて画面のようなユーザ・インタフェース上に示され得ると共に、操作者は次に、上記物体のモデル化を実施し、仕上げ、又は、チェックし得る。
【0043】
上記方法は、上記モデル化された3D物体を製造する段階、及び/又は、該方法により製造された1つ又は複数の物体を用いて上記箇所の治療を計画する段階を備えて成り得る。
【0044】
また、患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を製造する方法であって、該製造方法は、上記3D物体を3Dモデル化する上記方法の各段階と、モデル化された3D物体を製造する段階とを備えて成る製造方法も開示される。
【0045】
上記物体が配置され得る上記箇所の少なくとも一部分のデジタル表現を獲得するという表現の代替策として、上記方法は、上記物体が配置され得る上記箇所のデジタル表現を獲得する段階を備えて成り得る。
【0046】
上記箇所の上記3Dデジタル表現、及び、上記3D物体の3Dモデルは、複数の三角形により接続された多数の頂点により3D表面がパラメータ化されるという、三角形式の表現によるものとされ得る。
【0047】
故に、幾何学的走査画像は、表面表現を提供する表面走査画像である。故に、上記箇所へと適合させるために物体をモデル化するとき、それは、モデル化されつつある上記物体の表面であり、又は、上記モデル化は、上記物体の表面上若しくは該物体の表面の外部にて実施される。上記表面の外部でモデル化を実施するために、上記表面のオフセットがデジタル的に行われ得る。上記オフセットにおいては、物体の表面自体をモデル化せずに、該表面に類似する形状物上にてモデル化が実施され得るように、上記表面から所定距離に該表面の複製物が載置される。例えばCT走査においては、体積が走査されることから、表面表現ではなく体積的表現が作成される。
【0048】
上述された特許文献1は、患者の歯列の3D表現を形成するデータ群を獲得する方法であって、個別的構成要素を表すデータ要素を識別する方法を開示しており、その場合に個別的構成要素は、個別的な歯又は歯茎組織であり得る。故に、その方法は、例えば個別的な歯を識別する3D表現に関していることから、例えば2D表現から検出されるなどの、歯の特徴の検出に関してはいない。該方法は、治療計画を実施すべく歯列矯正装置を作成するために使用される。
【0049】
上述された特許文献2は、患者の顔面の外部的な視覚的外観又は表面構成を含む患者の頭蓋顔面画像情報の異なるデータ表現を記憶し且つ組み合わせることで、仮想的な3D顔面を作成するシステムを開示している。故に、この文献は頭蓋顔面の画像情報に関しており、該文献は、例えば、特徴の情報を使用すること、又は、物体のモデル化を開示していない。
【0050】
同様に上述された特許文献3においては、色及び半透明情報及び3D形状が使用されることで、プロテーゼの色が正しいか否かをユーザが吟味し得るように、吟味のためのプロテーゼの色的に正確な表現物がレンダリングされる。
【0051】
特許文献4は、耳栓の製造に関すると共に、該特許文献4は、耳道及び/又は道口に個別的に合致する少なくとも1つの部分を備えて成るべく適合作成された耳栓のコンピュータ支援式モデル化方法を開示しており、その場合に該方法は、a)箇所の、すなわち、耳道の少なくとも一部分の、立体的なコンピュータ・モデル、すなわち3Dモデルを求める段階であって、上記箇所の3Dモデルは外側面を有する段階などの、多数の段階を含む。該文献はまた、幾つかの実施例において、耳又は耳道の印象であって、導管の3Dデジタル表現を生成すべく使用される印象が、色走査を含むテクスチャ走査が実現されるように、走査されることも開示している。更に、幾つかの実施例においては、印象上にマーク付けされたテクスチャが初期配置のために使用されると共に、幾つかの実施例において、上記方法は、外殻の表面に対して色及び/又はテクスチャ化を割当てる段階を備えている。しかし、該特許文献4は、例えば、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得が、箇所の所望の対象範囲を求めるために該箇所及び獲得手段を相互に対して自動的に再位置決めすることにより実施される、ということを開示していない。更に、該特許文献は、組み合わされて整列された3Dデジタル表現を開示していない。
【0052】
幾つかの実施例において、本方法は、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現から1つ又は複数の特徴の情報を抽出する段階を含む。
【0053】
故に、上記1つ又は複数の特徴の情報は、3D物体をモデル化するときに上記特徴の情報を適用する前に抽出され得る。
【0054】
幾つかの実施例において、上記1つ又は複数の特徴の情報を抽出する段階は、自動的に実施される。上記箇所の1つ又は複数の特徴の情報を自動的に抽出するとは、上記箇所の1つ又は複数の特徴が、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現から自動的に検出されることであると定義され得る。
【0055】
上記情報は、上記箇所上の相当に複雑なパターンを用いて画成される特徴から抽出され得る。特徴は、例えば、該特徴のエッジをマーク付けする閉ループと、このエッジ内にグリッドを形成すべく配置される所定数の交差ラインとを用いて画成され得る。特徴はまた、所定数の分離ライン・セグメントを備えて成る1本のラインを用いても画成され得る。所定数の分離ライン・セグメントを備えて成る1本のラインに対し、各ライン・セグメントを組み合わせることにより実線が形成され得る。このことは、相互に臨む各端部にて隣接するライン・セグメントの勾配を推定することにより実現され得る。各勾配ベクトルが実質的に平行であるとき、2つのライン・セグメントは可能的には、同一ラインの区画であることから、仮想的に組み合わされ得る。所定数の交差ラインがグリッドを形成するとき、各交点間の夫々のライン・セグメントの勾配が決定され得ると共に、各交点における夫々のラインの相対配置の評価は、各交点間の夫々のラインの勾配から該交点の異なる部分を特定する段階を備えて成り得る。
【0056】
代替的に、1つ又は複数の特徴の情報の抽出は、操作者により手動的に実施される。
【0057】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記2Dデジタル表現からの1つ又は複数の2D特徴を3D特徴へと変換する段階を含む。上記2Dデジタル表現からの特徴が3D特徴へと変換され得ることは好適であり得る、と言うのも、これにより、2Dデジタル表現からの情報は3D物体の3Dモデル化において適用され得るからである。上記1つ又は複数の2D特徴は、2D点、2D曲線又は2Dスプラインを備えて成り得る。上記3D特徴は、3D点、3D曲線、又は、上記2Dデジタル表現のテクスチャ的データから抽出された3Dスプラインのような3Dスプラインを備えて成り得る。
【0058】
本発明に関し、“2D特徴”という表現は、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の1つの2D画像において捕捉された、上記箇所の特徴の形状を指し得る。これらの2D画像の各々は、上記特徴の情報の一部分を備えて成り得ると共に、この部分が上記2D特徴として抽出され得る。上記組み合わせ段階は、1つ又は複数の2D画像からの2D特徴を3Dデジタル表現上に投射する段階を備えて成り得る。上記2D特徴は、複合3Dデジタル表現に基づいて3D特徴へと変換され得、その場合に上記複合3Dデジタル表現は、上記2Dデジタル表現の1つ又は複数の2D画像からの2D特徴が投射された3Dデジタル表現を備えて成り得る。上記2Dデジタル表現の上記情報は、上記3Dモデル化方法が当該3D特徴を適用するような、3D特徴であり得る。
【0059】
幾つかの実施例において、上記2Dデジタル表現及び上記3Dデジタル表現を組み合わせて複合3Dデジタル表現を求める段階は、上記2Dデジタル表現から抽出された情報を上記3Dデジタル表現上に投射する段階を含む。故に、上記2つの表現を組み合わせる段階は、例えば、上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を上記箇所の上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現上に投射するなど、各表現の一方を他方の表現上に投射する段階を備えて成り得る。
【0060】
幾何学的データを含む3Dデジタル表現及びテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得するシステムは、1つ又は複数の照明ユニット、獲得ユニット、及び、上記照明ユニット及び獲得ユニットに対して箇所を並進及び/又は回転させるための位置決めユニットのような、幾つかの構成要素を備えて成り得る。上記箇所と、上記システムの各ユニットの配置の詳細な知見が入手可能であるとき、上記3Dデジタル表現から形成された上記箇所の3Dデジタル表現上への、上記2Dデジタル表現の一部分の単純な投射が可能である。幾つかの実施例において、上記システムは全体的にこの知見を提供すると特徴付けられることから、例えば、位置決めユニット、上記照明ユニットの光源、及び、上記獲得ユニットのカメラなどの相対配置が、獲得されたデジタル表現の各々、又は、デジタル表現の一部分に対して既知である。故に、上記獲得ユニット及び上記箇所の相対位置は上記2Dデジタル表現の獲得部分の各々に対して特定され得ると共に、獲得された2Dデジタル表現、又は、2Dデジタル表現の一部分は、3Dデジタル上へと単純に投射され得る。上記3Dデジタル表現の2Dデジタル表現の正確な投射を提供する1つの手法は、上記2Dデジタル表現の2D画像を獲得するために使用される単一又は複数のカメラに対する上記箇所の配向が、上記2Dデジタル表現に対して獲得された各2D画像に対して既知であるように、上記システムの仮想モデルをソフトウェア内に一体化することである。そのときに上記ソフトウェアは、上記2Dデジタル表現の2D画像、又は、該2D画像の一部分を、上記3Dデジタル表現上に投射し得る。上記ソフトウェアはまた、本発明に係る上記方法の他の各段階を実施する様にも構成され得る。レンズの歪曲もまた、考慮され得ると共に、例えば、上記システムの仮想モデル内に含まれ得る。
【0061】
幾つかの実施例において、上記3Dデジタル表現は、上記箇所の物理的模型を走査することにより、上記箇所の印象を走査することにより、及び/又は、上記箇所の直接的走査を実施することにより獲得される。上記2Dデジタル表現が、上記箇所の物理的模型又は印象の2D画像を獲得することにより提供されるとき、上記特徴は、上記2D画像を獲得するに先立ち、上記箇所の上記物理的模型又は印象上に画成され得る。すなわち、上記特徴は、上記箇所の一部分ではなく、上記2Dデジタル表現の獲得に先立ち付加される何かであり得る。上記特徴はまた、上記箇所の物理的模型又は印象を求めるに先立ち、又は、上記2Dデジタル表現の直接的獲得に先立ち、上記箇所に対して付加される何かでもあり得る。
【0062】
本発明に関し、“上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する段階”という表現は、上記箇所のテクスチャ的データが、上記箇所の物理的模型若しくは印象上に、又は、該箇所の直接的走査に先立ち直接的に該箇所上に、画成される、という場合も指し得る。上記テクスチャ的データは、例えば、上記箇所の物理的模型上に特徴を描くことにより、歯科技工士のような操作者により明示され得る。
【0063】
幾つかの実施例において、上記箇所の上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する段階は、幾何学的データ及びテクスチャ的データを獲得し得るシステムにより実施される。
【0064】
上記システムは、上記箇所の上記各デジタル表現を獲得すべく構成された獲得ユニットと、該獲得ユニットに対して上記箇所を位置決めすべく構成された位置決めユニットとを備えて成り得、且つ、上記方法は、上記システムに対し、上記箇所を、該箇所の物理的模型を、又は、該箇所の印象を配置する段階を含む。上記獲得ユニット及び上記位置決めユニットは、3Dスキャナの一部分とされ得る。上記獲得ユニットは、幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を獲得し得る一台以上のカメラを備えて成り得る。
【0065】
幾つかの実施例において、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得の間において、且つ、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得の間において、上記箇所は、上記各デジタル表現の少なくとも一方は所定個数の異なる視点から自動的に獲得され且つ上記所望の対象範囲が求められるように、上記獲得ユニットに対して自動的に再位置決めされる。上記2Dデジタル表現及び上記3Dデジタル表現の両方が、所定個数の異なる視点から自動的に獲得され得る。
【0066】
幾つかの実施例において、上記位置決めユニットは、上記獲得ユニットに対する上記箇所の自動的な再位置決めを提供する。
【0067】
歯科医療の範囲内で、歯科技工士は上記箇所の物理的模型又は印象上に直接的に特徴を描き得、描かれた特徴は注記として表され得ると共に、その場合に上記特徴は、物体をモデル化するために使用されるラインであり得る。上記ラインは、例えば、歯の修復物に対する、又は、部分床義歯用の大連結子、クラスプ及び保持グリッドに対する、準備用境界ラインであり得る。故に、ラインのような、これらの描かれた特徴は、テクスチャ情報として使用され得る。
【0068】
口腔内的走査のような直接的走査を使用するとき、テクスチャは、歯上にて、色、陰影、材料特性などの形態で存在し得る。特徴は、歯上に、又は、患者の口蓋の軟組織上に直接的に描かれたラインであり得る。例えば、3D物体が着脱可能な部分床を備えて成るとき、該着脱可能な部分床の好適な形状が、上記歯及び軟組織上に表され得る。
【0069】
印象の走査を用いるとき、上記テクスチャは、例えば、印象材料の表面の微細構造の形態で印象上に存在する。歯科医療の範囲内で、歯を研削し、又は、準備ラインを研削すると、研削が行われた処にて更に粗い表面構造が生成され、且つ、この粗い構造は、上記歯の印象を作成するときに印象材料に対して転写される。研削されていない歯の部分は、研削の粗い表面よりも平滑な表面を有している。
【0070】
幾つかの実施例において、上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する段階は、所定個数の異なる視点から上記箇所を走査して2D画像を獲得する段階を含む。上記2Dデジタル表現を獲得する段階は、上記箇所の物理的模型又は該箇所の印象の1つ又は複数の2D画像を獲得し、及び/又は、上記箇所の2D画像を直接的に獲得する段階を備えて成り得る。上記2D画像は、一台以上のカメラを用いて獲得され得る。これによる利点は、複数の異なる視点から上記箇所を走査して2D画像を獲得したとき、上記箇所の全ての又は該当する特徴に対するデータが獲得され得る、ということである。複数の異なる視点は、複数の異なるアングルなどである。
【0071】
幾つかの実施例において、上記3Dデジタル表現と組み合わされた、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の一部分は、獲得された2Dデジタル表現の2D画像の1つ又は複数の区画を備えて成る。上記2D画像の1つ又は複数の区画は、上記箇所の上記特徴に関する区画であり得る。
【0072】
幾つかの実施例において、上記3D物体の上記3Dモデル化段階は、上記1つ又は複数の特徴に基づいて自動的に実施される。この実施例の利点は、上記モデル化段階が完全に自動的に実施されるとき、ユーザはユーザ・インタフェース上で上記3D物体の一切の手動的なモデル化を実施する必要がない、ということである。もし自動的なモデル化が行われるなら、ユーザは、そのモデル化が満足するか否かをチェックし、おそらくは、そのモデル化に対して僅かな修正を実施し得る。
【0073】
幾つかの実施例において、上記3Dモデル化段階は、上記情報に基づいて上記3D物体の1つ又は複数のエッジを定義する段階を含む。
【0074】
上記方法は、上記3D物体の3Dモデルを提供する段階を備えて成り得ると共に、上記3Dモデル化段階は、上記3D物体の上記提供された3Dモデルを上記情報に基づいて適合化する段階を備えて成り得る。上記提供された3Dモデルは、ライブラリから提供され得る。
【0075】
上記3D物体の上記提供された3Dモデルを適合化する上記段階は、上記3D物体の上記提供された3Dモデルのエッジを上記情報に基づいて形状化する段階を備えて成り得る。このことは例えば、上記3Dスプラインのような上記情報を、上記3D物体のエッジとしてユーザが特定することを許容するコンピュータ・ソフトウェアを用いて実現され得る。
【0076】
上記自動モデル化段階は、上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現から抽出された上記情報に基づいて上記3D物体をモデル化する段階を備えて成り得る。上記抽出された情報は、準備された歯に位置決めされるべくモデル化される例えば修復物の周縁部のような、モデル化された3D物体の境界部に関連し得、その場合に上記特徴は、準備された歯の境界ラインである。上記抽出された情報は、上記2Dデジタル表現の2D画像上の特徴に追随する2Dスプライン、又は、幾何学的データを含む3Dデジタル表現上の特徴に追随する3Dスプラインの形態であり得る。
【0077】
上記3D物体のエッジが上記3Dスプラインから一旦抽出されたなら、上記3D物体は、コンピュータ・ソフトウェアを用いて実施され得るアルゴリズムのような標準的なアルゴリズムを用いて定義され得る。上記3D物体、又は、該物体の少なくとも一部分は、一部分の構造はライブラリからの入力により定義され且つ該一部分の周縁部は上記3Dスプラインにより定義されるときのように、ライブラリからの入力を用いて形成され得る。これは、例えば、着脱可能な部分床義歯の保持グリッドに対する場合であり得、そのときに表面の孔付き構造はライブラリから提供される一方、上記周縁部は3Dスプラインから導かれ得る。
【0078】
上記3D物体が、修復物又は着脱可能な部分床義歯のような、歯科医療の範囲内で使用される物体であるという状況において、上記3D物体の形状は、幾何学的データを含む3Dデジタル表現から部分的に、且つ、上記3Dスプラインから部分的に抽出され得る。すなわち、歯の調製品の、咬頭又は先端、及び、唇側、隣接及び舌側の各面は幾何学的データを含む3Dデジタル表現から抽出され得る一方、準備された歯すなわち支台の境界ラインに臨む上記修復物の表面は、上記特徴から抽出される。
【0079】
幾つかの実施例において、上記3D物体は、患者の身体の解剖学的対象物に置き換わり得る。故に、上記物体は、破断された股関節に置き換わる人工股関節、又は、気道若しくはその一部分に置き換わる呼吸デバイス、又は、例えば悪性腫瘍に起因して除去されている乳房に置き換わる乳房プロテーゼであり得る。故に、上記物体は、本来の解剖学的対象物が疾患により破断され又は冒されたときの交換物として使用され得る。但し、上記物体は、例えば形成外科手術を用いて乳房、臀部、唇部、鼻、顔面、胃、大腿などを置き換え又は再構成するなどの、純粋に整容的な理由のために、解剖学的対象物に置き換わることもできる。
【0080】
幾つかの実施例において、上記3D物体は、患者の体腔内に挿入され得る。患者の体腔内に挿入され得る物体の例は、耳道内に挿入されるべき聴覚デバイス、口腔内に挿入されるべき歯科的修復物、歯科的インプラント、歯列矯正装置など、女性の膣内に挿入されるべきペッサリーのような避妊デバイス、空の眼窩内に挿入されるべきガラス製の義眼などである。
【0081】
幾つかの実施例において、上記箇所は患者の口腔である。
【0082】
幾つかの実施例において、上記箇所は患者の一本以上の歯である。上記箇所は、修復物のために準備された、クラウン又はブリッジのような歯の調製品であり得る。
【0083】
幾つかの実施例において、上記箇所は患者の耳道である。
【0084】
幾つかの実施例において、上記箇所の1つ又は複数の特徴の情報を抽出する上記段階は、特徴検出を備えて成る。この実施例の利点は、特徴検出が、画像情報のアブストラクションを演算し且つ全ての像点の局所的な判断を実施する方法を備えて成り、その場合に上記判断は、その点に所定形式の特徴が在るか否かに関する、ということである。故に、結果的な特徴は、例えば、分離された複数の点、連続的な複数の曲線、又は、接続された複数の領域の形態などの、画像領域の複数の部分集合であり得る。
【0085】
この実施例の利点は、上記箇所の各点においてテクスチャ的データと幾何学的データとを比較することにより特徴が検出され得る、ということである。例えば、上記幾何学的データ及び上記テクスチャ的データの両方が、例えば、同一場所における曲線などの特徴を示し得ると共に、このことは、上記特徴は幾何学的かつテクスチャ的であることを意味し得、且つ、そのことはまた、上記特徴が、例えば模型又は印象上などの、上記箇所における実際の特徴であり、単なるエラーではない、ということの確認でもあり得る。例えば、上記幾何学的データのみが、その場所における特徴を示すならば、このことは、其処にテクスチャ的特徴は無いことを意味し、又は、テクスチャ的データのみが、その場所における特徴を示すならば、このことは、その特徴が、幾何学的又は空間的でなく、例えば視認可能な色などのテクスチャ的なものにすぎないことを意味する。歯科技工士が、例えば歯の模型上の、且つ、最終的には患者の口腔内の何処に、着脱可能な部分床義歯が配置されるかを示すために該模型上に幾つかの特徴を描いたときには、最後の場合が当てはまり得る。多くの歯科技工士は、石膏模型により手動的に作業することを好み得ると共に、石膏模型上に、例えば着脱可能な部分床義歯の輪郭を描き、次にその描記物が、テクスチャ的データ獲得を実施するときに検出又は捕捉される。
【0086】
幾つかの実施例において、上記特徴検出は、上記各デジタル表現の1つ又は複数のデジタル表現における全てのピクセルを検証し、そのピクセルに特徴の少なくとも一部分が存在するか否かを検出する段階を含む。
【0087】
幾つかの実施例において、上記1つ又は複数の特徴は、ライン、外郭形状、曲線、エッジ、リッジ、コーナー又は点から成る群から選択される。異なる特徴が、ソフトウェア・アルゴリズムであり得る特徴検出器により検出され得ることが利点である。特徴検出器は、2つの異なる範疇に分類され得る:強度系の検出器、及び、構造系の検出器。上記強度系の検出器は、局所的である微分的な幾何学形状又は強度のパターンを解析して、幾つかの一意性及び安定性の判断基準を満足する点又は領域を見出す。上記構造系の検出器は、ライン、エッジ及び曲線のような構造的特徴を解析して、所謂る関心点又は領域を画成する。
【0088】
エッジとは、2つの画像領域間における境界部又は縁部が在る点として定義され得ることから、エッジとは、画像中の一群の点であって、強い勾配規模を有する一群の点として定義され得る。幾つかのアルゴリズムは、複数の高勾配の点を相互に連結し、更に完全であるエッジの記述を形成し得る。
【0089】
上記アルゴリズムはエッジの特性に対し、形状、滑らかさ、及び、勾配値のような制約条件を課し得る。
【0090】
コーナーは、局所的な2D構造を有する2D画像における点状の特徴である。エッジ検出を実施した後、そのエッジは解析されることで、方向の急激な変化、すなわちコーナーが検出され得る。
【0091】
複数の点、又は、複数の関心点は、画像勾配における高レベルの曲率を探索することにより検出され得る。例えば、白色の背景上の暗色のスポット又は点は、画像勾配における曲率を調べることにより検出され得る。
【0092】
複数の関心点のブロブ(blob)又は更に大きな領域は、円滑すぎて点としては検出され得ない2D画像中の領域であるが、これらの領域は依然として、極大値又は重心のような、好適な又は重要な点を有し得る。
【0093】
リッジ(ridge)は、対称軸心を表す1次元の曲線であって、各リッジ点と関連付けられた局所的リッジ幅の属性も有する1次元の曲線として定義され得る。
【0094】
特徴が検出されたとき、その結果は、画像の局所的領域を特定する特徴記述又は特徴ベクトルであり得る。
【0095】
特徴が検出されたとき、その特徴の回りにおける局所的画像パッチが画像処理により抽出され得ると共に、その結果は、特徴記述又は特徴ベクトルと表され得る。
【0096】
幾つかの一般的な特徴検出器は:
エッジを検出するもの:キャニー及びソーベル;
関心点又はコーナーを検出するもの:Harris、Shi及びThomasi、均一な曲線の曲率、及び、FAST;
関心点のブロブ又は更に大きな領域を検出するもの:最大安定外部領域(MSER)、及び、基本曲率系領域検出器(PCBR)。MSERは、強度系の検出器の一例である。
【0097】
特徴検出作業において、照明、姿勢、色及びテクスチャにおける変化は、局所的強度における相当の変動を引き起こし得ることから、局所的強度は、安定的な検出キューを提供しないこともある。故に強度系の検出器は、区別的な特徴を特定しない。局所的な強度キューを捕捉する代替策は、エッジ及び曲線的な形状のような、半局所的な構造的キューを捕捉することである。これらの構造的キューは、強度、色及び姿勢の変動よりも、更に堅牢であり得る。上記PCBR検出器は、これらの更に信頼性の高い画像構造的キューを活用する。
【0098】
上記1つ又は複数の特徴の情報は、種々の技術を用いて、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現から抽出された1つ又は複数の3Dスプラインを備えて成り得る。上記3Dスプラインは、例えば上記箇所の物理的模型上の鉛筆マークに対応し得ると共に、上記方法は、上記3Dスプラインを抽出する段階と、それを上記3D物体の3Dモデル化段階において適用する段階とを備えて成り得る。
【0099】
物理的模型上の鉛筆マークから情報を抽出するときなどのように、幾つかの用途に対し、獲得された2Dデジタル表現の2D画像における特徴の表現は、例えば、コントラストを増進することにより、又は、上記2D画像からノイズを除去することにより、改善され得る。上記特徴は、上記2Dデジタル表現の2D画像において検出されると共に、幾何学的データを含む3Dデジタル表現内へと整合され得る。上記画像処理及び特徴検出に加え、上記方法は3Dスプライン検出を備えて成り得、その場合に該3Dスプライン検出は、2つ以上の2Dスプラインを併合して3Dスプラインを提供する段階を含む。
【0100】
上記画像処理は、センサ・ノイズを除去すべく適用される干渉増進拡散フィルタリングのようなフィルタリングを備えて成り得る。センサ・ノイズに加え、上記特徴は、可干渉であるセグメント、及び/又は、上記箇所上にて理想的には定義されないセグメントを備えて成り得る。例えば、上記箇所の物理的模型上に鉛筆でラインを描くとき、その鉛筆は上記物理的模型の表面を飛び越えることで上記ライン中に間隙を残置することがあり得るか、又は、操作者は部分的に重なり合うセグメントから成るラインを描いていることもある。セグメント化されたラインの場合には、1つのセグメントが他のセグメントの延長であると見なされ得るように、該1つのセグメントが配置されるように、隣接する複数のラインが配向されるべきか否かを決定すべく、勾配手法が適用され得る。その場合、2つのライン・セグメントは、同一のラインの一部分であると見做され得る。
【0101】
上記画像処理は、例えば、上記箇所の物理的模型上の鉛筆マークが2Dデジタル表現の2D画像中で更に明確に見えるように、2D画像におけるコントラスト強調を備えて成り得る。該コントラスト強調は例えばシグモイド関数により提供され得、その場合、コントラスト強調の量は、0〜1に亙るアルファパラメータである単一パラメータにより決定され、0に近づくアルファ値は線形交換(効果なし)を与えると共に、1のアルファ値は偶シグモイド関数を与える。
【0102】
マークと背景との間の遷移を更に明らかとする画像鮮鋭化もまた、上記1つ又は複数の特徴から抽出された情報の信頼性を高め得る。
【0103】
上記画像処理の後、上記特徴が検出され得ると共に上記情報が抽出され得るように、該特徴は上記2D画像内で分離され得る。上記特徴の検出のために、自動的なスケール空間選択が使用され得る。
【0104】
例えば、上記箇所の物理的模型上の鉛筆の描線の幅の広さに依存し、上記マークが最適に特定されるスケールが自動的に見出され得る。上記スケール空間選択はまた、画像処理の一部でもあり得る。
【0105】
上記2Dデジタル表現の2D画像中におけるリッジ又はエッジとして特徴を検出すると、特徴として特定されるべき多数の可能的なピクセル候補が提供され得る。これらの候補は、ソートされ、スプラインへと変換される必要がある。このことは、非常に小さなライン片を除外する段階を含むシーケンスにおいて行われ得る。この除外が行われるべきか否かは、画像品質に依存し得る。もし、画像品質、及び/又は、特徴の定義が、特徴の分離している複数のライン片が2D画像の前処理及び/又は特徴検出の間において閉じられず又は接続され得ないのであるなら、小さなライン片の除外は行われないことが好適であり得る。当該候補の3D位置が、2D画像の獲得に使用されるカメラの射出光線に対して非常に急峻な角度を有する柱面上にある、という候補を除外するためには、概略的なソーティングが使用され得る。これにより、シルエットエッジ、及び、低品質のデータが除外される。
【0106】
そのとき、例えば、歯科技工士による鉛筆マークに対応する可能的な3Dスプラインは、3Dデジタル表現からの幾何学的データ、及び、検出された2Dリッジ/エッジの両方を組み合わせて使用することにより、特定され得る。3Dスプラインの特定においては、ライン交差、コーナー及びブロブに対処するために、一定の規則が設定されるべきことがある。
【0107】
上記箇所の表面の各区画を示す画像パッチは、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の2D画像から見出され得る。各画像パッチは、上記箇所の隣接する複数の区画に関連する各パッチが並置して整列されるように、整列され得る。そのとき、隣接する画像パッチ間の境界線に現れる一切の視認可能な遷移部が、見えにくい様にされることを確実とすべく、テクスチャ・ウィービングが適用され得る。斯かる視認可能な遷移部は、例えば、更に強力な照明により画像化された上記箇所の区画と、強力でない照明により画像化された上記箇所の区画との間の遷移部であり得る。テクスチャ・ウィービングは、視覚化された3Dデジタル表現の外観を改善するために、視覚化された複合3Dデジタル表現の異なる区画間の視認可能な遷移部を円滑化するために行われ得る。情報の抽出の間、斯かる遷移部は幾つかの場合、上記箇所の特徴として、上記遷移部の不正確な特定に繋がり得る。テクスチャ・ウィービングは、隣接する2つのパッチ内におけるピクセル強度を比較すると共に、ピクセル強度において円滑な変化が実現されるように、2つのパッチ間の遷移部に亙り各ピクセルに対して強度値を割当てることにより実施され得る。
【0108】
3Dスプラインは、該3Dスプライン上の複数の基準点を用いて操作者により最適化され得、その場合、上記箇所に対するこれらの基準点の位置は、マウスのようなポインタツール、又は、キーボードなどを使用するデータ入力を使用することで最適化され得る。
【0109】
上記物体の3Dモデル化段階は、抽出された3Dスプラインにより上記物体の一部分を定義する段階を備えて成り得る。故に上記方法は、その部分の形状を上記3Dスプラインに対して自動的に適合化させる段階を備えて成り得る。
【0110】
幾つかの実施例において、上記1つ又は複数の特徴は、準備された歯又は鋳型の境界ラインを備えて成る。
【0111】
上記境界ラインは、例えばクラウン又はブリッジなどの修復物に対して患者の歯を準備するために該歯に歯科医が研削した準備用境界ラインである。歯科技工士は、準備された歯の上記境界ラインをマーク付けするために物理的な石膏模型上に色ペンで物理的ラインを描き得る。
【0112】
準備用境界ラインが研削された模型又は鋳型又は歯のテクスチャは、歯上のエナメル質のように、円滑である周囲表面よりも粗い。準備ラインは、典型的には直径が1mm以上の歯科的ツールを用いて作成され得る。故に、準備用境界ラインは、上記模型又は鋳型又は歯のテクスチャを考察することにより検出され得る。微小テクスチャもまた検出され得る。上記準備ラインの研削に起因する研削焼けもまた、検出され得る。
【0113】
故に、境界ラインの研削跡は、通常の光源及びカメラを用いてテクスチャ的特徴として撮影又は捕捉され得、その場合に上記カメラは例えば高分解能を有する。但し、準備用境界ラインを幾何学的特徴として走査するために、幾何学的特徴を走査するための光源及びカメラを含む3Dスキャナも使用され得る。
【0114】
例えば、幾何学的データ表現において準備用境界ラインを検出するとき、該境界ラインは、上記箇所のデジタル表現上に、例えば明確な赤色ラインとして、自動的にマーク付けされ得る。
【0115】
幾つかの実施例において、上記1つ又は複数の特徴は、患者の歯の陰影を備えて成る。この実施例の利点は、例えば、特徴のテクスチャ的データが患者の存在する又は既存の歯の直接的走査を実施することにより獲得されるなら、その歯の陰影又は色がテクスチャ的データとして捕捉され得ることから、この情報は、例えば、修復物、又は、全部床若しくは部分床義歯における人工歯、又は、インプラントなどである物体の正しい陰影をモデル化又は適用すべく使用され得る、ということである。これは、物体の正しい陰影を決定する非常に効率的で高速の方法であり得、このことは歯科用途において特に重要である。
【0116】
幾つかの実施例においては、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得に先立ち、ユーザにより、箇所上、又は、該箇所の物理的模型上、又は、該箇所の印象上に、1つ又は複数の特徴が描かれる。これによる利点は、歯科技工士は、自身がそれを好むなら、物理的模型上に他のテクスチャ的マークを描き、又は、研削し、又は、配備することにより手動的に物体を設計し得る、ということである。
【0117】
幾つかの実施例において、特徴は、モデル化されるべき3D物体の一部分である。これは、例えば、着脱可能な部分床義歯又は歯列矯正装置の複数の異なる部分であって、当該箇所からデジタル表現が獲得される箇所の一部分を形成すべく配置される複数の異なる部分であり得る。そのときに、これらの部分は複合3Dデジタル表現において特定され得ると共に、3D物体の3Dモデル化段階においてこれらの部分は、操作者の選好性に依存して改変され又は維持され得る。
【0118】
上記3D物体は、1つ又は複数の特徴が、大連結子、クラスプ及び/又は保持グリッドであり得るように、且つ、3Dモデル化段階が、3D特徴から当該着脱可能な部分床義歯の1つ又は複数のエッジを定義する段階を含むように、着脱可能な部分床義歯を備えて成り得る。幾つかの実施例において、上記1つ又は複数の特徴は、着脱可能な部分床義歯をモデル化するために使用され、且つ、上記1つ又は複数の特徴は、大連結子、クラスプ及び/又は保持グリッドである。これによる利点は、部分床義歯が数個の異なる構成要素を有する複雑な物体であり得ると共に、歯科技工士にとり、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上ではなく、この相当に複雑な歯科的デバイスを先ず手動的に設計してモデル化することが更に高速で直感的に更に容易であり得る、ということである。
【0119】
幾つかの実施例においては、当該歯列矯正装置又はブラケットをモデル化するために1つ又は複数の特徴が使用され、且つ、上記1つ又は複数の特徴は、単一若しくは複数のブラケット位置、単一若しくは複数のネジ位置、金属フレームワーク、プラスチック棚部、外殻、咬合プレート、プッシュロッド、及び/又は、スプリングであるように、3D物体は歯列矯正装置又はブラケットを備えて成る。上記3Dモデル化段階は、上記3D特徴から上記ブラケット位置及び/又は上記ネジ位置を定義する段階を備えて成り得る。これによる利点は、歯列矯正装置が数個の異なる構成要素を有する複雑な物体であり得ると共に、歯科技工士にとり、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上ではなく、この相当に複雑な歯科的デバイスを先ず手動的に設計してモデル化することが更に高速で直感的に更に容易であり得る、ということである。
【0120】
幾つかの実施例においては、ユーザにより複数の異なる色により複数の異なる特徴が描かれる。これによる利点は、複数の異なる色の故に、複数の異なる特徴が容易に区別され得ることである。
【0121】
更に、印象又は模型上に描かれるために使用される各色は、描記物が実際に画像化又は記録され得るように、例えば印象又は模型が走査されるスキャナなどの区画室において、模型又は印象に対し、且つ、背景の色に対し、コントラストを有する色とされるべきである。例えば、褐色の描記物は、暗色の模型、又は、黒色の背景区画室に対し、十分なコントラストを提供しないこともある。コントラストの定義は、それが、視覚的特性の差であって、画像において、1つの対象物又はその表現を、他の対象物及び背景から区別可能にするという視覚的特性の差である、ということである。故に、上記対象物は、歯の印象若しくは物理的模型、又は、その歯自体であり得る。現実世界の視覚的な認識において、コントラストは、同一の視野内における所定対象物と他の対象物の色及び明るさの差により決定される。
【0122】
幾つかの実施例において、特徴は、上記箇所の複数の異なる構造間の境界線である。幾つかの実施例において、特徴は、上記箇所の複数の異なる材料間の境界線である。
【0123】
境界線はまた、箇所における高さ及び/又は材料の遷移部、浮き出し部、又は、変化部と表され得る。
【0124】
準備用境界ラインは境界線であり得る、と言うのも、それは、粗い準備用境界ラインである研削部分と、歯の円滑なエナメル質である非研削部分との間の遷移部だからである。
【0125】
口蓋皺は境界線であり得る、と言うのも、口蓋皺は、表面の高度が変化する一種の浮き出し部だからである。口蓋皺の検出は、例えば、口蓋に付随する患者用の部分床義歯をモデル化すべく使用され得る。
【0126】
歯茎の突起部と歯との間の遷移部は境界線であり得る、と言うのも、此処では、歯の表面の硬いエナメル質及び歯茎又は歯肉の軟組織という異なる物質が存在するからである。
【0127】
境界線は箇所の一部分であり得ることから、該箇所上に直接的に画成され得る。境界線はまた、箇所の物理的模型上、又は、該箇所の印象上に画成され得る。
【0128】
幾つかの実施例において、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する上記段階、及び、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する上記段階は、順番に実施される。故に、各デジタル表現は、別体的な複数のデバイスとして配置されるか、又は、1つのデバイスとして配置され得る1つの記録手段又は2つ以上の記録手段を用いて、2つの別体的な記録物にて獲得され得る。代替的に、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得、及び、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得は、同時に実施される。
【0129】
幾つかの実施例においては、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び/又は幾何学的データを含む3Dデジタル表現が、上記箇所を光により照明することで獲得され得るように、上記各デジタル表現の少なくとも一方は、上記箇所の、該箇所の物理的模型の、又は、該箇所の印象の、少なくとも一部分を光により照明することにより獲得される。
【0130】
幾つかの実施例において、上記各デジタル表現の少なくとも一方を獲得すべく使用される上記光は、個数Nを2以上として、N個の波長における光を備えて成る多重スペクトル光である。
【0131】
幾つかの実施例においては、1つの特徴を特定すべく使用される色は1つの波長にて光を反射し、且つ、別の特徴を特定すべく使用される色は別の波長にて光を反射するように、上記方法は、複数の異なる特徴を識別するために複数の異なる色又は色コードを使用する段階を備えて成り、上記複数の異なる色又は色コードは、上記多重スペクトル光の上記N個の波長に対応する。
【0132】
走査するときに、どの種の光照明が使用されるべきかは、印象が走査されるのか模型が走査されるのか、又は、例えば歯である箇所の直接的走査が実施されるか否かに依存する。もし3Dスキャナを用いて印象又は模型を走査するなら、該印象又は模型が走査のために内部配置される区画室は、例えば黒色又は白色とされ得る。もし上記区画室が白色に着色されるなら、走査のための光は、上記区画室の内側で拡散的に反射され得る。拡散的に反射された上記光は、上記印象又は模型上のテクスチャを画像化するために好適であり得る。但し、もし上記区画室が黒色に着色されるなら、光の反射が無いこともある。故に、色が走査され又は記録され得る幾何学的走査又はテクスチャ走査のような種々の走査目的に対し、上記スキャナの区画室の色及び形状は、種々の走査又は画像化モードに対して適切であるように、好適には変更可能とされ得る。
【0133】
3Dデジタル表現を獲得すべく構成された3D走査デバイスは、箇所上への、一面以上の光、又は、別の公知のパターンの光の投射に基づき得る。照明の供給源は可視光線スペクトルにおける低出力レーザとされ得るか、又は、幾何学的データ及び/又はテクスチャ的データの獲得のための箇所の照明は、例えば、赤色、緑色及び青色の光などを発する異なる種類のレーザ、レーザ・ダイオード、又は、発光ダイオードすなわちLEDを用いて実施され得る。上記箇所からの反射光又は信号を受容し、測定し、及び、変換するセンサは、35マイクロメータの分解能を有する5メガピクセルのカメラであり得る。上記箇所からの反射光を捕捉する一台以上のカメラが在り得るが、それらのカメラは全て、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を捕捉し得る。
【0134】
幾つかの実施例において、上記箇所の照明のために使用される上記多重スペクトル光における上記N個の波長は、赤色、緑色及び青色の光を備えて成る順番のように、順番に配備される。上記順番における各段階は、該順番における先行段階及び/又は後続段階と一切の重複なしで、又は、重複ありで、実施され得る。各段階が重複する場合、2Dデジタル表現の2D画像の獲得のタイミングは、1つのみの波長の光が箇所を照明している間に各2D画像が獲得されるのである、ということが必要とされ得る。重複する各段階はまた、特徴の複数の異なる部分、又は、複数の異なる特徴の特定に対し、2つ以上の色による色コードが使用される、という場合に関しても使用され得る。
【0135】
代替的に及び/又は付加的に、例えば、近赤外(NIR)又は紫外(UV)などの他のスペクトル・ピークも採用され得る。記録される表面の反射率測定値の空間的対応性を確実とするために、光学システムの波長依存較正が実施され得る。更に、複数のセンサ及びビームスプリッタの使用により、又は、Bayer型配置で配置され得るカラーフィルタ配列(CFA)の使用により、色情報が同時に獲得され得る。
【0136】
幾つかの実施例において、上記多重スペクトル光が、第1波長における光と、第2波長における光と、第3波長における光とを備えて成るように、上記Nは3である。Nが3に等しいとき、上記順番は、第1波長、第2波長、及び、第3波長であり得る。この順番の異なる順列もまた、上記第2波長の光が上記第1波長の光により追随され、それは次に上記第3波長の光により追随されるように、可能である。
【0137】
故に上記順番は、第1波長、第3波長、及び、第2波長とされ得る。
【0138】
故に上記順番は、第2波長、第1波長、及び、第3波長とされ得る。
【0139】
故に上記順番は、第2波長、第3波長、及び、第1波長とされ得る。
【0140】
故に上記順番は、第3波長、第2波長、及び、第1波長とされ得る。
【0141】
故に上記順番は、第3波長、第1波長、及び、第2波長とされ得る。
【0142】
上記第1、第2及び第3の波長は、夫々、赤色、緑色、及び、青色の波長の範囲内であり得る。
【0143】
幾つかの実施例において、上記多重スペクトル光における上記N個の波長は同時に提供される。
【0144】
幾つかの実施例においては、上記箇所が当該白色光源の上記N個の波長及び他の一切の波長にて照射されるように、上記多重スペクトル光における上記N個の波長は白色光源において提供される。上記白色光源は、電磁スペクトルの可視部分の相当の部分に亙り光を発する白色ダイオードを備えて成り得る。
【0145】
上記N個の波長の各々に対し、2D画像が獲得され得る。
【0146】
幾つかの実施例においては、赤色、緑色及び青色の光の各々に対するように、上記N個の波長の各々に対し、2D画像が獲得される。例えば、複数本のラインなどが、結果的な2D又は3D表現中に現れ又は存在するように、該ラインなどの特徴に関するデータの獲得は、通常の光照射を用いると共に、例えば黒色/白色表現を獲得することにより可能であり得る。但し、例えば複数のラインがペンを使用して印象又は模型上に描かれるなら、それらのラインの正しい色を捕捉するために、それらの色は順次的な照射を用いて獲得され得、その場合、例えば複数の光ダイオードからの赤色、緑色及び青色の光が別体的に検出される。
【0147】
幾つかの実施例において、赤色、緑色及び青色の光に対するように、上記多重スペクトル光における上記N個の波長の各々に対して獲得された上記各2D画像は相互に纏められて、1つの共通2D画像とされる。上記2Dデジタル表現が1つ又は複数の共通2D画像を備えて成り、各共通2D画像は上記N個の波長の各々にて獲得された複数の2D画像を備えて成り得る。
【0148】
本発明に関し、“青色光”及び“青色範囲における波長を有する光”という表現は、約450nm〜約490nmの範囲内の波長を以て伝搬する電磁波に関して使用され得る。
【0149】
本発明に関し、“緑色光”及び“緑色範囲における波長を有する光”という表現は、約490nm〜約560nmの範囲内の波長を以て伝搬する電磁波に関して使用され得る。
【0150】
本発明に関し、“赤色光”及び“赤色範囲における波長を有する光”という表現は、約635nm〜約700nmの範囲内の波長を以て伝搬する電磁波に関して使用され得る。
【0151】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記2Dデジタル表現の上記テクスチャ的データに基づき、隣接する2D画像間の1つ又は複数の特徴を相互にウィービングする段階を含むテクスチャ・ウィービングを備えて成る。この実施例の利点は、結果的な2D画像における色のようなテクスチャが自然に正しく現れると共に、例えば皮膚などからの表面散乱が考慮される、ということである。テクスチャ・ウィービング及び同様の処理の目的は、視点又は光特性に起因する外観の全ての変動を、すなわち、物体表面の本来的な特性ではなく外部処理の結果としての表面の変調を、除去することである。テクスチャ・ウィービングによれば、異なる画像間の遷移部が、例えば色などの異なる特徴のようなテクスチャに関して円滑になるように、異なる画像間の遷移部が円滑化される。故に、上記箇所全体に対するテクスチャ的データを捕捉するために、所定数の2D画像が獲得されて相互にウィービングされ得、例えば、上記箇所全体を覆うために4個のテクスチャ的画像が捕捉され得る。データが捕捉されつつある箇所の表面から鏡面効果を除去すべく、画像処理が使用され得る。
【0152】
例えば、第1光源としてレーザを用いて上記箇所に対する複数の異なる視点から獲得された該箇所の複数の走査画像が相互に纏められ得ると共に、上記箇所全体を覆うべく幾つかの幾何学的走査画像が獲得され得ることから、複数の幾何学的特徴が相互に纏められ得る。テクスチャ・ウィービングは一定の場合には、テクスチャ・ブレンディングとも称される。
【0153】
テクスチャ・ウィービングは、例えば、非特許文献1に記述されている。
【0154】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得するために使用された光のレーザ変調を備えて成る。この実施例の利点は、レーザ変調は、不均一な反射率を有する表面上の幾何学形状の獲得に役立ち得ることから、レーザ源は、拡散及び鏡面設定の両方において、反射率の変動を補償するために、幾何学的情報の獲得の間に変調され得る、ということである。すると、これにより、カメラ・センサのダイナミック・レンジよりも大きいダイナミック・レンジを呈する物体の幾何学形状の獲得が許容される。テクスチャ獲得に対して同一の手法が採用され得るが、此処では、発せられる光に関する詳細な知見の付加的要件が在り得る。
【0155】
レーザ変調は、当該光線が、自由空間に亙り伝達され得るか、光学的導波路を通して伝搬され得る、光線を変調すべく使用されるデバイスである変調器を用いて実施され得る。上記変調器は、振幅、位相、偏光性などのような、光の複数の異なるパラメータを操作し得る。例えばレーザ・ダイオードなどの光源を駆動する電流を変調することにより、光線の強度の変調が実現され得る。
【0156】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得するために使用された光の変調を備えて成る。
【0157】
幾つかの実施例において、上記箇所の上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する上記段階は、幾何学的データ及びテクスチャ的データを捕捉し得るスキャナにより実施される。
【0158】
幾つかの実施例において、上記幾何学的データ及びテクスチャ的データを獲得する段階は、幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を捕捉し得るカメラにより実施される。該カメラは、5メガピクセルのカラー・カメラであり得る。代替的に、複数の異なる種類の特徴に対する、又は、複数の異なる幾何学的若しくはテクスチャ的な特徴に対するデータを捕捉する複数の異なる分解能を有する2台以上のカメラが配備され得る。
【0159】
幾つかの実施例において、上記幾何学的データを獲得する段階は第1光源により実施され、且つ、上記テクスチャ的データを獲得する段階は第2光源により実施される。上記第2光源は、ダイオードの配列を備えて成り得、上記ダイオードの配列は、所定数の第1ダイオード、所定数の第2ダイオード及び所定数の第3ダイオードを備えて成り、上記第1、第2及び第3のダイオードは、夫々、第1、第2及び第3の波長にて光を発し得る。
【0160】
上記第2光源は、白色光源から、又は、赤色、緑色及び青色のダイオードの配列から発せられた光の拡散のような、発せられた光の拡散を提供すべく配置された拡散板を備えて成り得る。
【0161】
上記幾何学的データはレーザを用いて捕捉され得、その場合、複数の異なるアングルから捕捉された多数の走査画像が相互に纏められて、1つの組立てモデルとされ得る。更に、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は通常的な白色の光源を用いて獲得され得ると共に、その結果は1つの2D画像であり得る。箇所全体を網羅するためには数個の2D画像が適切であり得ると共に、各2D画像間の一貫しない又は不適当な遷移部を回避すべく、テクスチャ・ウィービングが実施され得る。
【0162】
代替的に、幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を捕捉するために同一の光源が使用され得る。1つのみの光源を用いることの利点は、幾何学的データ及びテクスチャ的データが同時に捕捉され得るということであるが、2つの光源を用いる場合には、各光源は同時に投入はされ得ない、と言うのも、各光源の一方が、他方の光源を用いるデータの捕捉を阻害し得るからである。
【0163】
代替的に及び/又は付加的に、複数のカラーフィルタが採用されることで、幾何学形状及びテクスチャのデータの同時的な獲得が許容され得る。
【0164】
代替的に及び/又は付加的に、上記獲得ユニットにおいては、例えば、単一又は複数台のカメラの受容光学機器の回りにおける光のリングなどの、光が配備され得る。これによる利点は、光/カメラのアングルが最小化されることで深いキャビティにおける本影の量が最小化され得る、ということである。
【0165】
上記光源は、構造化された白色光、又は、グリッドと組み合わされた白色光のような、白色光であり得る。
【0166】
幾つかの実施例において、上記位置決めユニットは、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得の間における上記箇所の位置決めが当該少なくとも2軸動作システムにより自動的に実施されるように、少なくとも2軸動作システムを備えて成る。
【0167】
幾つかの実施例において、上記方法では、上記幾何学的データ及びテクスチャ的データの獲得は、少なくとも2軸動作システムにより自動的に実施される。
【0168】
操作者が各位置を手動的に選択する必要がない様に、上記獲得及び動作システムは自動的に作動することが好適であり得る。上記動作システムは、例えば2軸又は3軸動作システムであり得る、と言うのも、これにより、上記箇所のデータは、例えば、側方及び上方の両方から捕捉され得るからである。
【0169】
幾つかの実施例において、上記方法は、上記3D物体のモデル化の結果の視覚化を促進するために、患者の3D顔面走査を提供する段階を含む。例えば、修復物、部分床義歯、歯列矯正装置などをモデル化するときに、患者の3D顔面走査を使用することは好適であり得る、と言うのも、そのときに、モデル化された物体は、患者の全体的な顔面及び外観に関して認識又は視認され得るからである。
【0170】
幾つかの実施例において、上記箇所の上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現、及び/又は、上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現は、3D顔面走査により求められる。
【0171】
幾つかの実施例において、上記方法は、歯科医療における3Dモデル化に対して使用され得る。
【0172】
幾つかの実施例において、上記歯科医療は、修復物、インプラント、ブラケット載置のような歯列矯正装置、及び、着脱可能な部分床義歯のような部分床義歯を備えて成る。
【0173】
修復物においては、幾何学的データ及びテクスチャ的データの表現から準備用境界ラインが検出され得ることが利点である。歯列矯正装置においては、歯科技工士は、上記装置又はブラケットが配置されるべき物理的模型上に描画し得ること、又は、幾何学的データ及びテクスチャ的データの各表現を用いて歯のセグメント化が自動的に実施され得ることが利点である。
【0174】
歯科医療において使用される3D物体のモデル化において、該3D物体の1つ又は複数の部分のエッジは、3Dスプラインのような抽出された情報により明示され得る。
【0175】
上記3Dモデル化段階は、上記箇所の物理的模型上に描かれた複数本のラインのような複数の特徴を抽出する段階を備えて成り得、その場合、上記3D物体の1つの部分に対して多数の特徴が関連する。例えば、着脱可能な部分床義歯をモデル化するとき、保持グリッドは、歯及び口蓋の物理的模型上に描かれた多数のラインにより明示され得る。多数の特徴が検出されたとき、それらは、上記3D物体の複数の特定部分に対し、該特定部分の知見に基づき、及び/又は、特徴の箇所、長さ、色及び形状に基づき、マッピングされ得る。保持グリッド、窓部、大連結子、及び、小連結子のような、着脱可能な部分床義歯の複数の異なる部分は、例えば、異なる色を用いて明示され得る。それらはまた、上記窓部は口蓋に在り、且つ、上記保持グリッドは歯肉上に在るという知見からも特定され得る。モデル化された3D物体が着脱可能な部分床義歯であるとき、上記3D特徴は、例えば保持グリッド又は大連結子などのような上記着脱可能な部分床義歯の一部の周縁部を定義する3Dスプラインであり得る。
【0176】
3D物体の複数の異なる部分はまた、同心的に配置された2つ以上の円、複数の十字形、複数の矩形、複数の三角形などのような識別マークを用いても明示され得る。例えば、着脱可能な部分床義歯の保持グリッドは1つのマークを有し、大連結子は2つのマークを有するなどのように、識別マークにおける要素数もまた使用され得る。
【0177】
幾つかの実施例において、上記特徴は、該特徴の実質的に閉じられたエッジ内に配置された識別マークを備えて成る。上記閉じられたエッジは、例えば、上記箇所の物理的模型上に描かれた閉ループであり得る。上記識別マークは、同心的に配置された複数の円と、複数の十字形と、複数の矩形と、複数の三角形と、ドットの個数のような当該識別マークにおける要素数とから成る群から選択され得る。
【0178】
閉ループは、例えば、着脱可能な部分床義歯の複数の異なる部分のエッジをマークすべく描かれ得ると共に、これらの複数の異なる部分を特定すべく複数の異なる識別マークが使用され得る。上記大連結子は、例えば1つのドット、保持グリッドは2つのドット、及び、窓部は3つのドットを用いて特定され得る。
【0179】
更に、上記方法は、例えば、患者の上下の歯の間にカラー・トレース紙を載置することにより患者の咬み合わせを決定すべく使用され得ると共に、患者が自身の歯を相互に咬み合わせるとき、上記紙は歯上の衝突点に色を移し、この移された色はテクスチャ的データとして捕捉され得る。咬み合わせを決定する段階は、口腔内で、故に、患者の実際の歯上で直接的に実施され得るか、又は、それは、例えば咬合器を用いて石膏模型などの歯の物理的模型上で実施され得る。
【0180】
幾つかの実施例において、上記方法は、聴覚デバイスの3Dモデル化に対して使用され得る。そのときに上記特徴は、上記補聴器デバイスの内側面又は外側面の境界部、通気孔の位置又は断面形状、又は、上記補聴器デバイスに対するIDタグを定義し得る。上記特徴は、どの補聴器デバイスが配置され得るかに関連して、耳の物理的模型又は印象上に明示され得る。上記補聴器デバイスは、耳内デバイス、耳道内デバイス、又は、耳掛けデバイスとされ得る。上記特徴は、補聴器デバイスの外殻部、イヤーモールド、又は、一体的面プレートに対するように、該デバイスの複数の異なる部分に関連し得る。
【0181】
幾つかの実施例において、上記情報は、幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る、視覚化された複合3D表現から、操作者により抽出される。操作者は、例えば、同一の特徴に関する複数の異なる情報を特定し得る。このことは、例えば、複合モデルをグラフィック・ディスプレイ上に視覚化し乍ら行われ得る。
【0182】
上記方法はまた、患者に対して完全に適合すべく特注された靴のモデル化のためにも使用され得、その場合、患者の足の幾何学的及びテクスチャ的な特徴が、直接的走査により、又は、足の印象を作成してから該印象を走査するか、又は、上記印象から物理的模型を作製してから該物理的模型を走査することにより獲得される。上記足のテクスチャ的データもまた、獲得される。
【0183】
幾つかの実施例において、上記方法は、プログラム・コード手段がデータ処理システム上で実行されたときに、該データ処理システムにより先行請求項のいずれか一項に記載の方法を実施させるプログラム・コード手段を備えて成るコンピュータ・プログラム製品上で実施される。
【0184】
上記第1及び/又は第2デジタル信号プロセッサ・ユニットは、上記2Dデジタル表現から1つ又は複数の特徴の情報を抽出すべく構成され得る。
【0185】
上記第1及び第2のデジタル・プロセッサ・ユニットは、当該デジタル信号処理デバイスが、獲得された各デジタル表現を解析して組み合わせるべく且つ3D物体をモデル化すべく構成されるように、デジタル信号処理デバイスの一体的部品であり得る。
【0186】
上記獲得ユニットは、
上記走査体積内に配置された箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記3Dデジタル表現は上記箇所の幾何学的データを備えて成る手段と、
上記走査体積内に配置された箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記2Dデジタル表現は上記箇所のテクスチャ的データを備えて成る手段とを備えて成り得る。
【0187】
上記獲得ユニットは、上記走査体積から光を受容すべく配置された第1群のカメラであって、上記箇所から上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の両方を獲得すべく配置される第1群のカメラを備えて成り得る。そのときに上記第1群のカメラは、3Dデジタル表現を獲得する上記手段及び2Dデジタル表現を獲得する上記手段の両方の一部分である。上記第1群のカメラは、上記走査体積内に位置された箇所の3D走査が可能であるように、上記走査体積及び上記第1光源に対して配置された2台のカメラを備えて成り得る。
【0188】
上記システムは、上記第1群のカメラに加え、第2カメラ、又は、第2群のカメラのような、一台以上の更なるカメラを備えて成り得る。
【0189】
幾つかの実施例において、上記獲得ユニットは、箇所のN個の異なる特徴であって各特徴は固有の色又は色コードを有するN個の異なる特徴に対するテクスチャ的データを獲得すべく、且つ、上記色又は色コードに基づいて上記N個の異なる特徴を区別すべく構成される。上記各特徴は、例えば、複数の異なる着色インク又は塗料を用いて明示され得る。同様に、上記獲得ユニットは、箇所の1つの特徴のN個の異なる部分であって各部分は固有の色又は色コードを有するN個の異なる部分に対するテクスチャ的データを獲得すべく、且つ、上記色又は色コードに基づいて上記N個の異なる部分を区別すべく構成され得る。以下において、記述内容は多くの場合に複数の異なる特徴に関するデータの獲得に焦点を合わせているが、示された注釈は、1つの特徴の複数の異なる部分に対してデータが獲得されるという場合にも等しく適用され得る。
【0190】
幾つかの実施例において、上記システムの上記照明ユニットは、箇所の幾何学的データの獲得のための光を提供し得る第1光源と、テクスチャ的データの獲得のための光を提供し得る第2光源とを備えて成る。
【0191】
故に、上記箇所を照明するために使用される上記光は、上記第1光源及び上記第2光源の両方から発せられた光を備えて成り得る。上記箇所は、上記第1及び第2の光源により同時に、又は、1つずつ、照明され得る。箇所の幾何学的データの獲得のための光を提供し得る光源は、実質的に平行な複数の射線で光を発すべく構成され得る。テクスチャ的データの獲得のための光を提供し得る光源は、光の複数の異なる射線の方向が更にランダムに分布される、拡散光を提供すべく構成され得る。
【0192】
上記第1及び第2光源は、第1光源の光軸及び第2光源の光軸が走査体積において交差するように、配置され得る。
【0193】
幾つかの実施例において、上記第1光源は、第1レーザ波長にて光を発する単色レーザを備えて成る。斯かる単色レーザからの光は、実質的に平行な複数の射線で伝搬することにより、箇所の幾何学形状の正確な決定を許容し得る。
【0194】
上記第1レーザ波長は、緑色の波長範囲内、赤色の波長範囲内、又は、青色の波長範囲内であり得る。現在の時点において、赤色レーザは、コスト効率的なシステムを提供し得る、と言うのも、斯かるレーザは多くの場合、例えば青色レーザよりも低価格で購入され得るからである。緑色レーザは、各デジタル表現を獲得するためにカラー・カメラが使用されるとき、更に良好な空間的分解能を提供するという利点を有し得る。
【0195】
上記第2光源は、依然として、該第2光源からの光が、上記走査体積内の箇所から上記獲得ユニットの各カメラに向けて反射され得るように、上記走査体積に対して上記第1光源とは異なるアングルに配置され得る。
【0196】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、所定の波長範囲に亙り光を供与する白色光源のような広帯域の光源を備えて成る。上記第2光源は、多色配置において特徴を定義すべく使用される複数の色又は色コードの全ての波長にて光を提供すべく構成され得る。
【0197】
テクスチャ的データの獲得に関する幾つかの用途に対し、上記光は拡散的であることが好適であり得る。上記第2光源は、拡散光を提供すべく適合され得る。
【0198】
上記第2光源は、波長に対する、発せられた光信号の強度分布のスペクトルが、所定数のピークを備えて成るように、分離された複数の波長にて光を提供すべく構成され得る。
【0199】
上記第2光源は、単一の波長にて、又は、比較的に狭幅の波長範囲にて各々が光を発する所定数の光源を備えて成る設計態様を用いて実現され得、その場合、これらの光源の各々から発せられた信号は組み合わされることで、上記第2光源から発せられる光を提供する。上記第2光源は、ファブリーペロー共振器のような共振効果を利用する設計態様を用いて実現され得る。
【0200】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、ダイオードの配列を備えて成り、上記ダイオードの配列は、所定数の第1ダイオード、所定数の第2ダイオード及び所定数の第3ダイオードを備えて成り、上記第1、第2及び第3のダイオードは、夫々、第1、第2及び第3の波長にて光を発し得る。
【0201】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、白色光源から、又は、ダイオードの配列から発せられた光のような、発せられた光の拡散を提供すべく配置された拡散板を備えて成る。上記第2光源から供与された斯かる拡散光は、上記箇所のテクスチャに関する情報を獲得する上で適切であり得る。
【0202】
幾つかの実施例において、上記第1群のカメラにおける各カメラは、電磁信号を検出すべく構成された感光要素の前方にBayer型配置にて配置された、所謂るBayerフィルタであるカラーフィルタ配列(CFA)を備えて成るカラー・カメラを備えて成る。Bayerフィルタを使用するときには、上記第1光源は該Bayerフィルタの緑色の通過帯域における波長にて光を発することが好適であり得る、と言うのも、Bayerフィルタに依れば、カメラにより提供される空間的分解能は、赤色又は青色の光に対応する波長にて光を発する第1光源を使用して獲得される分解能の2倍であることが実現されるからである。
【0203】
幾つかの実施例において、上記第1群のカメラにおける一台以上のカメラはモノクロ・カメラである。上記カメラの各々がモノクロ・カメラとされても良い。
【0204】
幾つかの実施例において、上記システムは、上記第1及び第2光源の両方からの光が、当該走査プレートにおける物理的模型から当該システムの獲得ユニットに向けて反射され得るように、当該走査プレート上に配置された箇所が上記走査体積内に位置されるように、配置された走査プレートを備えて成る。故に、上記走査プレートの配置は、該走査プレート上に載置された物理的模型又は印象の少なくとも一部分が、上記システムの走査体積内に配置されるように、とされ得る。
【0205】
幾つかの実施例において、上記制御ユニットは、この走査プレートの動作及び回転を制御し得る。
【0206】
幾つかの実施例において、上記システムは、所定個数の位置からの上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得が自動的に実施され得るように、上記走査プレートの少なくとも2軸の動作に対する位置決めユニットを備えて成る。
【0207】
幾つかの実施例において、上記システムは、当該所定個数の異なる位置からテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得することにより上記箇所の所望の対象範囲が獲得され得るように、上記獲得ユニットに対して上記箇所を、所定個数の異なる位置に配置すべく構成された位置決めユニットを備えて成る。
【0208】
幾つかの実施例において、上記システムは、上記ダイオードの配列及び上記位置決めユニットを制御すべく構成された制御ユニットを備えて成る。
【0209】
上記制御ユニットは、一連の光信号が発せられるように、上記第1、第2及び第3ダイオードが光を順番に発することを実現すべく構成され得る。上記順番は、第1波長、第2波長、及び、第3波長であり得る。上記制御ユニットは、上記順番が、上記システムの光学的アセンブリと上記走査プレートとの相対配置の各々に対して1回とするなど、所定回数だけ反復されることを実現すべく構成され得る。
【0210】
本発明に関し、“光学的アセンブリ”という表現は、上記箇所の照明を提供すべく、且つ、上記箇所の2D及び3Dデジタル表現を獲得すべく使用される複数のユニットのアセンブリを指し得る。上記光学的アセンブリは、上記システムの上記獲得ユニット及び上記各光源を備えて成り得る。
【0211】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、上記第1、第2及び第3ダイオードがBayer配置に従い配置されるように、設計される。
【0212】
幾つかの実施例において、上記システムのデジタル信号プロセッサは、獲得された上記2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現のリアルタイム解析に対して構成される。
【0213】
上記第1群のカメラは、2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現の両方を獲得すべく使用され得る。Bayerフィルタを各カメラの感光要素の前方に載置するときには、緑色の波長範囲において光を発するレーザを上記第1光源として使用することが好適であり得る、と言うのも、これによれば、赤色光の通過を許容する区画の2倍の区画が、緑色光が当該フィルタを通過することを許容するBayerフィルタの設計態様の故に、赤色レーザと比較して更に大きな空間的分解能が提供され得るからである。
【0214】
そのとき、獲得される各表現が特徴全体に対するデータを提供することを確実とするために、箇所の物理的模型又は印象の走査が必要とされ得る。これは例えば、上記特徴が、クラウンに対して準備された歯の物理的模型上の境界ラインである、という場合であり得る。幾つかの実施例において、上記システムは、所定個数の位置からの上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及びテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得が自動的に実施され得るように、少なくとも2軸の動作に対する動作システムを備えて成る。
【0215】
幾つかの実施例において、上記システムは、上記ダイオードの配列及び上記動作システムを制御すべく構成された制御ユニットを備えて成る。
【0216】
上記制御ユニットは、一連の光信号が発せられるように、上記第1、第2及び第3ダイオードが光を順番に発することを実現すべく構成され得る。上記順番は、上記第2光源から発せられる光が、第1波長、第2波長、及び、第3波長であるように、とされ得る。基本的に、上記第2光源の光の順番的な照明の目的に依存して、任意の順番の波長が使用され得る。好適には、使用される順番は、各2Dデジタル表現を獲得するときに使用される単一又は複数の波長に対して各表現を関連付けるデジタル信号プロセッサ又はマイクロプロセッサにより認識されねばならない。
【0217】
上記制御ユニットは、上記順番が、光学的アセンブリと上記走査プレートとの相対配置の各々に対して少なくとも一回のように、所定回数だけ反復されることを実現すべく構成され得る。
【0218】
上記第1、第2及び第3のダイオードは、交互配置された緑色及び青色のダイオードを有する複数の行により夫々分離された、所定数の行にて交互配置された赤色及び緑色のダイオードを以て、Bayer配置に従い配置される。
【0219】
上記箇所の特徴を複数の異なる色が明示するときには、白色光源のような広帯域の光源、又は、ダイオードの配列のように、所定個数の個別的な波長に光を発すべく構成された光源の使用が好適であり得る。
【0220】
上記特徴は、例えば、該特徴の別の区画の色とは異なる色であって、上記箇所の物理的模型の周囲領域の色とは異なる色を有する区画を備えて成り得る。斯かる色を有する区画は、例えば、上記箇所の物理的模型上に描かれた色付きラインであり得る。色付き区画は、限られた範囲の波長に亙り、光を反射する。この限られた範囲の反射以外は、上記色付き区画がこの限られた範囲以外の波長を有する光により照明されたとき、それは、上記範囲内の光により照明されたときと比べて暗く見えるように、無視可能であり得る。
【0221】
もし、上記第2光源が、複数の異なる波長における光を順番に発すべく駆動される複数のダイオードを備えて成り、且つ、上記第1群のカメラが複数台の白黒カメラを備えて成るなら、各白黒カメラにより、テクスチャ的データを備えて成る複数の異なる2Dデジタル表現が獲得され得、その場合に、テクスチャ的データを備えて成る各2Dデジタル表現は、上記第2光源から発せられる光の1つの色において獲得される。
【0222】
複数の異なる波長における光を用いて2Dデジタル表現を獲得すると、上記箇所上にて、又は、例えば該箇所の物理的模型上にて、複数の異なる色を用いて、複数の異なる種類の特徴、又は、特徴の複数の異なる部分を明示することが可能とされる。上記特徴は、上記箇所の物理的模型上に明示された色付きラインであって、上記物理的模型の残存部分から該特徴が特定されることを許容するという色を有するラインのようであると色付きラインを備えて成り得る。
【0223】
従って、当該1つの特徴の複数の異なる部分に対して各色が対応するように、3つの異なる色を用いて物理的模型上に1つの特徴が特定されるなら、上記特徴の上記複数の異なる部分は、上記第2光源からの複数の異なる色を用いて獲得され得る3個の異なる2Dデジタル表現から特定され得る。
【0224】
もし、各特徴が、例えば上記箇所の物理的模型上に、特徴に固有の色を用いて特定されるなら、テクスチャ的データを備えて成る複数の異なる2Dデジタル表現から、同一様式にて複数の異なる特徴が特定され得る。
【0225】
幾つかの実施例において、上記システムは、獲得された2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現のリアルタイム解析に対して構成されたデジタル信号プロセッサ又はマイクロプロセッサを備えて成る。
【0226】
上記光学システムの異なる部分はまた、携帯式スキャナに一体化もされ得、その場合、上記システムと箇所(又は、箇所の模型又は印象)の異なる相対配置間の変化は、該携帯式スキャナを移動させることにより獲得される。携帯式スキャナに一体化するためには、上記システムの構成要素の幾つかはサイズが減少されることを必要とし得る。携帯式スキャナ・システムにおいては、スキャナの取手内に、又は、別体的な処理装置内に、デジタル信号プロセッサ又はマイクロプロセッサが載置され得る。
【0227】
上記システムの光学的アセンブリの幾つかの実施例は、当該複数の調整可能なフィルタが2Dデジタル表現の獲得と同期されるように、制御ユニットにより制御され得る複数の調整可能フィルタを利用し得る。そのときに、上記第1群のカメラはモノクロ・カメラであり得ると共に、複数の調整可能フィルタの通過帯域は、所定数の異なる通過帯域に対して2Dデジタル表現が獲得されるように、変更される。1つの通過帯域は、赤色光に対応する波長の範囲の一部をカバーし得る一方、別の帯域通過は緑色光に対応し得、更に別の帯域通過は青色光に対応する。複数の調整可能フィルタが使用されるとき、上記第2光源は、上記調整可能フィルタの全ての通過帯域範囲を網羅するか、又は、少なくとも、例えば上記箇所の物理的模型上に各特徴を明示すべく使用される夫々の色を網羅する波長の範囲に亙り光を発する広帯域の光源とされ得る。
【0228】
本発明は、上述された方法と、以下においては、対応する方法、デバイス、システム、用法、及び/又は、製造手段とを含む、複数の異なる見地に関し、それらの各々は、最初に言及された見地に関して記述される利点及び長所の1つ又は複数をもたらすと共に、各々は、最初に言及された見地、及び/又は、添付の各請求項に開示された見地に関して記述される実施例に対応する1つ又は複数の実施例を有している。
【0229】
特に本明細書においては、患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化するシステムであって、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現であって、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する手段と、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所のテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得は、上記箇所の所望の対象範囲を求めるために上記箇所及び獲得手段を相互に再位置決めすることにより実施される、という手段と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現と、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現とを整列させ且つ組み合わせることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現を求める手段と、
上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する手段と、
上記3D物体を3Dモデル化するときに、上記箇所の上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの1つ又は複数の特徴の情報を適用する手段とを備えて成る、
システムが開示される。
【0230】
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現の獲得は、上記箇所の所望の対象範囲を獲得するために該箇所及び上記獲得手段を相互に対して自動的に再位置決めすることにより実施され得る。
【0231】
3Dデジタル表現を獲得する上記手段は、箇所の3Dデジタル表現を獲得すべく構成された獲得デバイスを備えて成り得る。
【0232】
2Dデジタル表現を獲得する上記手段は、箇所の2Dデジタル表現を獲得すべく構成された獲得デバイスを備えて成り得る。
【0233】
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現を整列させ且つ組み合わせる上記手段は、2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現を整列させ且つ組み合わせるべく構成されたデータ処理デバイスを備えて成り得る。
【0234】
上記複合3D表現を視覚化する上記手段は、コンピュータ画面のようなグラフィカル・ユーザ・インタフェースの様な、3D表現を視覚化すべく構成された視覚化デバイスを備えて成り得る。
【0235】
上記2Dデジタル表現からの1つ又は複数の特徴の情報を適用する上記手段は、上記3D物体をモデル化するときに情報を適用すべく構成されたデバイスを備えて成り得る。
【0236】
上記システムは、3Dモデル化段階がコンピュータ実行式であることを実現すべく構成され得る。
【0237】
幾つかの実施例において、上記獲得ユニット、上記位置決めユニット、及び、上記第1及び第2の光源は、3Dスキャナ内に配備される。
【0238】
上記第1及び/又は第2のデジタル信号プロセッサ・ユニットは、上記2Dデジタル表現から1つ又は複数の特徴の情報を抽出すべく構成され得る。
【0239】
幾つかの実施例において、上記第1及び第2のデジタル・プロセッサ・ユニットは、デジタル信号処理デバイスの一体的部分である。故に、上記デジタル信号処理デバイスは、上記3D物体の解析及び3Dモデル化の両方を実施し得る。
【0240】
幾つかの実施例において、上記獲得ユニットは、
上記走査体積内に配置された箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記3Dデジタル表現は上記箇所の幾何学的データを備えて成る手段と、
上記走査体積内に配置された箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記2Dデジタル表現は上記箇所のテクスチャ的データを備えて成る手段とを備えて成る。
【0241】
幾つかの実施例において、上記獲得ユニットは、上記走査体積から光を受容すべく配置された第1群のカメラであって、上記箇所から上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の両方を獲得すべく配置される第1群のカメラを備えて成る。
【0242】
幾つかの実施例において、上記照明ユニットは、箇所の幾何学的データの獲得のための光を提供し得る第1光源と、テクスチャ的データの獲得のための光を提供し得る第2光源とを備えて成る。
【0243】
上記第1光源の光軸及び上記第2光源の光軸は上記走査体積内で交差し得る。本発明に関し、“光軸”という表現は、当該経路に沿い光が上記システムを伝搬する経路を画成する仮想ラインを指し得る。故に、上記第1光源の光軸は、該第1光源と、上記システムの走査プレート上の点であって、該第1光源により照明される体積内に在るという点とを結ぶラインであり得る。
【0244】
幾つかの実施例において、上記第1光源は、第1レーザ波長にて光を発する単色レーザを備えて成る。上記第1レーザ波長は、緑色の波長範囲内、赤色の波長範囲内、又は、青色の波長範囲内、又は、赤外の波長範囲内、又は、紫外の波長範囲内であり得る。
【0245】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、白色光源のような広帯域の光源を備えて成る。
【0246】
上記獲得ユニットは、箇所のN個の異なる特徴であって各特徴は固有の色又は色コードを有するN個の異なる特徴に対するテクスチャ的データを獲得すべく、且つ、上記色又は色コードに基づいて上記N個の異なる特徴を区別すべく構成され得る。上記色又は色コードは着色インク又は塗料を用いて明示され得るか、又は、上記色又は色コードは、上記箇所上に自然に生じ得る。
【0247】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、該第2光源から発せられた当該光の波長に基づいて、獲得された2Dデジタル表現から、固有の色又は色コードを有する特徴が識別されることを許容する光を発すべく構成される。
【0248】
上記第2光源は、ダイオードの配列を備えて成り得、上記ダイオードの配列は、所定数の第1ダイオード、所定数の第2ダイオード及び所定数の第3ダイオードを備えて成り、上記第1、第2及び第3のダイオードは、夫々、第1、第2及び第3の波長にて光を発し得る。
【0249】
幾つかの実施例において、上記第2光源は、発せられた光の拡散を提供すべく配置された拡散板を備えて成る。2Dデジタル表現の獲得に対して拡散光を使用すると、該2Dデジタル表現のテクスチャ的データが、複数の平行な射線から成る光線を用いるときよりも詳細であることが実現され得る。
【0250】
上記第1群のカメラにおける両方のカメラのような、該第1群のカメラにおける複数のカメラの内の少なくとも一台は、電磁信号を検出すべく構成された感光要素の前方にBayer型配置にて配置されたカラーフィルタ配列(CFA)を備えて成るカラー・カメラを備えて成り得る。
【0251】
上記第1群のカメラにおける各カメラの内の少なくとも一台はモノクロ・カメラである。上記第1群のカメラにおける各カメラが、モノクロ・カメラでも良い。
【0252】
幾つかの実施例において、上記システムは、当該走査プレート上に配置された箇所が上記走査体積内に位置されるように、配置された走査プレートを備えて成る。上記走査プレートは、3Dスキャナの一部分であり得る。
【0253】
幾つかの実施例において、上記システムは、上記箇所の所望の対象範囲が、該箇所を上記獲得ユニットに対して複数の異なる位置及び/又は配向に配置してテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得することにより求められ得るように、上記獲得ユニットに対して上記箇所を、所定個数の異なる位置及び/又は配向にて位置決めすべく構成された位置決めユニットを備えて成る。
【0254】
上記位置決めユニットは、所定個数の視点からの上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現及び上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得が自動的に実施され得るように、上記走査プレートの少なくとも2軸の動作に対して構成され得る。
【0255】
幾つかの実施例において、上記システムは、上記ダイオードの配列及び上記位置決めユニットを制御すべく構成された制御ユニットを備えて成る。上記制御ユニットは、一連の光信号が発せられるように、上記第1、第2及び第3ダイオードが光を順番に発することを実現すべく構成され得る。上記順番は、第1波長、第2波長、及び、第3波長、又は、上記順序の内の任意の順番とされ得る。
【0256】
上記制御ユニットは、上記順番が、上記システムの光学的アセンブリと上記走査プレートとの相対配置の各々に対して1回とするなど、所定回数だけ反復されることを実現すべく構成され得る。
【0257】
上記第2光源の上記第1、第2及び第3ダイオードは、Bayer配置に従い配置され得る。
【0258】
上記第1デジタル信号プロセッサ及び上記デジタル信号処理デバイスは、獲得された上記2Dデジタル表現及び3Dデジタル表現のリアルタイム解析に対して構成され得る。
【0259】
患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得る3D物体を3Dモデル化するシステムであって、
上記3D物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の3Dデジタル表現であって、上記箇所の幾何学的データを含む3Dデジタル表現を獲得する手段と、
上記物体が配置され得る箇所の少なくとも一部分の2Dデジタル表現であって、上記箇所の1つ又は複数の特徴に関するテクスチャ的データを含む2Dデジタル表現を獲得する手段であって、上記箇所の所望の対象範囲は、該箇所に対する所定個数の異なる視点から上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現の各々を獲得することにより獲得される、手段と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現及び上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現を整列させる手段と、
上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の少なくとも一部分と、上記幾何学的データを含む3Dデジタル表現とを組み合わせることで、上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データの両方を備えて成る複合3Dデジタル表現を求める手段と、
上記箇所の幾何学的データ及びテクスチャ的データを備えて成る上記複合3D表現を視覚化する手段と、
モデル化された3D物体が患者の体内に挿入され、又は、患者により装着され得るように、上記3D物体を3Dモデル化する手段であって、該3Dモデル化は、獲得された上記テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現からの上記1つ又は複数の特徴の情報を適用する手段とを備えて成る、
システムが開示される。
【0260】
また、当該プログラム・コード手段がデータ処理システムにより実行されたときに、該データ処理システムにより、上記方法を実施させるプログラム・コード手段を備えて成る、コンピュータ・プログラム製品、及び、上記プログラム・コード手段が記憶されたコンピュータ可読媒体を備えて成る、コンピュータ・プログラム製品も開示される。
【0261】
また、テクスチャ的データを含む2Dデジタル表現の獲得のために蛍光が使用されるというシステムも開示される。蛍光効果は、上記特徴が蛍光物質を備えて成るときにも利用され得る。上記特徴は、例えば、箇所の物理的模型上に蛍光インクを用いて明示され得る。上記第1光源の波長を含む励起帯を有する蛍光物質を備えて成る特徴は、上記第1光源の波長のストーク・シフトを提供し得る。対照的に、上記箇所から反射された光は、その波長を維持する。そのとき、当業者に公知の種々の光学的構成を用いると、上記箇所を照明するために上記第1光源のみを用いて、幾何学的データ及びテクスチャ・データの両方を抽出することが可能である。蛍光は典型的には、反射光よりも数桁弱いことから、上記第1群のカメラを用いて反射光を検出する一方、蛍光信号は第2群のカメラを用いて検出されることが有用であり得る。上記第2群のカメラは、上記第1光源の波長の範囲内の光を遮断すべく配置されたフィルタを備えて成り得るか、又は、上記箇所と第2群のカメラとの間にはフィルタが載置され得る。蛍光はまた、単一の第2カメラを用いて、すなわち、第2群のカメラが一台のみのカメラを含むように、検出されても良い。一実施例においては、二光子励起に対して構成された蛍光物質を備えて成る塗料又はインクを用いて、箇所の特徴が明示され、且つ、上記第1光源は、2個の赤外光子が吸収されたとき、可視領域における1個の光子が発せられるように、赤外範囲の波長にて光を発する。そのとき、幾何学的データを含む3D表現は、上記箇所から反射された赤外光子を検出することにより獲得される一方、テクスチャ的データは、直接的に獲得されて上記幾何学的データと関連付けられ得る。
【0262】
本発明の上記の及び/又は付加的な目的、特徴及び利点は、以下において添付図面を参照した本発明の実施例の例示的で非限定的である詳細な説明により更に明らかとされよう。