(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363345
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】スプリンクラ消火設備
(51)【国際特許分類】
A62C 35/64 20060101AFI20180712BHJP
A62C 37/36 20060101ALI20180712BHJP
A62C 35/60 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
A62C35/64
A62C37/36
A62C35/60
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-5989(P2014-5989)
(22)【出願日】2014年1月16日
(65)【公開番号】特開2015-134022(P2015-134022A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2017年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100088052
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】100189968
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 浩司
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕三
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−206402(JP,A)
【文献】
実開昭55−161552(JP,U)
【文献】
特開2007−063759(JP,A)
【文献】
特開2000−140148(JP,A)
【文献】
特開平10−005365(JP,A)
【文献】
特開2007−111465(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3170412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/00−37/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水検知装置の二次側に設けられ、常時より水が充填された二次側配管と、その二次側配管に接続されたスプリンクラヘッドとを備えたスプリンクラ消火設備において、
前記流水検知装置の二次側に設けられる前記二次側配管に直接設けられるか、又は枝管を介して設けられ、常時は閉止状態にある開放弁と、その開放弁の二次側に設けられ、内部が所定の圧力で加圧された加圧タンクと、所定の震度以上の地震が発生したときに地震検知信号を出力する地震検知手段とを備え、
前記地震検知手段による地震検知信号の出力があったときに、前記開放弁を開放状態に制御するように構成されていることを特徴とするスプリンクラ消火設備。
【請求項2】
前記スプリンクラヘッドと同じ防護領域に設置され、火災を検知したときに火災信号を出力する火災感知器を更に備え、前記地震検知手段による地震検知信号の出力があり、且つ前記火災感知器による火災信号の出力があったときに、前記開放弁を開放状態に制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項3】
前記地震検知手段は、緊急地震速報による地震動の予報・警報信号を利用するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項4】
前記スプリンクラヘッドが接続され、且つ前記開放弁と前記加圧タンクとが設けられた前記二次側配管を複数系統備えており、それら複数系統の前記二次側配管同士が連結管を介して連結され、複数の加圧タンクが連携して加圧及び給水ができるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のスプリンクラ消火設備。
【請求項5】
前記連結管は、前記二次側配管のそれぞれに切換弁を介して接続されていることを特徴とする請求項4に記載のスプリンクラ消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スプリンクラ消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一定規模の建屋には、消火設備としてスプリンクラ消火設備が設置されている。スプリンクラ消火設備は、充水された二次側配管にスプリンクラヘッドが接続され、配管内の圧力低下が検出された時にポンプが起動するように構成されている。ポンプは水源としての水槽に接続されており、それにより加圧送水装置が構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−291932公報公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常に大規模な強い地震が発生した際に、スプリンクラ消火設備を構成している配管等の機器が破損する場合がある。特に、給水側の配管も含め、ポンプや水槽等の加圧送水装置等の二次側配管への加圧送水のための機器が破損した場合、それにより加圧送水の機能が失われてしまえば、水源からの水をスプリンクラヘッドに供給することができず、火災が発生しても、その水をスプリンクラヘッドから放水することができなくなってしまうことになる。
【0005】
尚、二次側配管内に常時加圧された水が充填されている湿式のスプリンクラ消火設備の場合、スプリンクラヘッドが開放すれば、二次側配管内に充填されている水が放水されることになる。それだけでも量的には火災に対する消火抑制効果は期待できるが、前記のように加圧送水装置がその機能を失っていると、二次側配管内に充填されている水を加圧することができず、火災が発生すれば、その水が流出はするが、火災消火抑制に最低限必要な加圧送水力を確保できず十分に加圧して放水することはできず、火災に対する消火抑制効果を期待することはできない。
【0006】
この発明は、前記の事情に鑑み、地震が発生した際、水源からの加圧送水の機能が失われたとしても、水を加圧してスプリンクラヘッドから放水することができるスプリンクラヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、流水検知装置の二次側に設けられ、常時より水が充填された二次側配管と、その二次側配管に接続されたスプリンクラヘッドとを備えたスプリンクラ消火設備において、前記流水検知装置の二次側に設けられ
る前記二次側配管に直接設けられるか、又は枝管を介して設けられ、常時は閉止状態にある開放弁と、その開放弁の二次側に設けられ、内部が所定の圧力で加圧された加圧タンクと、所定の震度以上の地震が発生したときに地震検知信号を出力する地震検知手段とを備え、前記地震検知手段による地震検知信号の出力があったときに、前記開放弁を開放状態に制御するように構成されていることを特徴とするスプリンクラ消火設備である。
【発明の効果】
【0008】
この発明においては、流水検知装置の二次側に設けられ、常時は閉止状態にある開放弁と、その開放弁の二次側に設けられ、内部が所定の圧力で加圧された加圧タンクと、所定の震度以上の地震が発生したときに地震検知信号を出力する地震検知手段とを備え、地震検知手段による地震検知信号の出力があったときに、開放弁を開放状態に制御するように構成されている。これにより、強い地震が発生した場合には、開放弁が開放状態にされ、加圧タンクにより二次側配管を加圧することができ、地震により二次側配管への加圧送水のための機器が破損し、水源からの加圧送水の機能が失われたとしても、火災が発生し、スプリンクラヘッドが開放すれば、二次側配管内に充填されている水だけにはなるものの、火災消火抑制に最低限必要な加圧送水力を確保でき、その水を加圧してスプリンクラヘッドから放水することができる。
【0009】
従って、この発明によれば、地震が発生した際、水源からの加圧送水の機能が失われたとしても、水を加圧してスプリンクラヘッドから放出することができるスプリンクラ消火設備を提供することができる。
【0010】
又、この発明においては、更に、スプリンクラヘッドと同じ防護領域に設置され、火災を検知したときに火災信号を出力する火災感知器を備え、地震検知手段による地震検知信号の出力があり、且つ火災感知器による火災信号の出力があったときに、開放弁を開放状態に制御するように構成されていることにより、強い地震が発生し、且つ火災が発生したときに開放弁を開放状態にすることができる。これにより、例えば、スプリンクラヘッド等が防護領域ごとに系統分けされ、複数系統設けられている場合、火災感知器が火災を検知した防護領域にある開放弁のみを選択的に開放状態にすることができ、即ち、その他の防護領域にある開放弁は閉止状態に維持することができ、その他の防護領域にあるスプリンクラヘッド等が地震により破損し、火災が発生していないのに水を放出してしまう状態になっていたとしても、加圧しての放出はしないようにすることができ、水損被害を軽減することができる。
【0011】
又、この発明においては、更に、加圧タンクには空気と水とが充填されているものとすることにより、二次側配管内に充填されている水に加え、加圧タンク内に充填されている水もスプリンクラヘッドから放出することができ、より多くの水をスプリンクラヘッドから放出することができる。
【0012】
又、この発明においては、スプリンクラヘッドが接続され、且つ開放弁と加圧タンクとが設けられた二次側配管を複数系統備えており、それら複数系統の二次側配管同士が連結管を介して連結されているものとすることにより、火災が発生しておらず、スプリンクラヘッドが開放していない他の防護領域にある加圧タンク内に充填されている水も、火災が発生した防護領域にあり、開放しているスプリンクラヘッドから放出することができ、更により多くの水を放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】この発明のスプリンクラ消火設備のシステム構成の一例を示したものであり、第1の実施形態の設備全体の系統図である。
【
図2】
図1の要部拡大図であり、地震が発生し、且つ火災が発生した際の状態を示したものである。
【
図3】同上の第2の実施形態の設備全体の系統図である。
【
図4】
図3の要部拡大図であり、地震が発生し、且つ火災が発生した際の状態を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施形態を
図1乃至
図4に基づいて説明する。
【0015】
先ず、
図1及び
図2に基づいて、この発明の第1の実施形態に係るスプリンクラ消火設備1−1のシステム構成について説明する。
【0016】
スプリンクラ消火設備1−1は、
図1に示したように、基本的には湿式のスプリンクラ消火設備であり、基端側が加圧送水装置を構成するポンプ15及び貯水槽14に接続された給水本管2と、給水本管2から分岐した一次側配管3と、各防護領域に配置され、スプリンクラヘッド6が接続された二次側配管5と、一次側配管3と二次側配管5との間に設けられた流水検知装置4とを配管系統中に備え、常時は流水検知装置4の二次側の二次側配管5内に加圧された水が充填されているものである。尚、17は、二次側配管5の末端に設けられている試験用の末端試験弁である。
【0017】
流水検知装置4の二次側には、前記の通り二次側配管5が設けられているが、流水検知装置4は、その二次側配管5内の流水を検知するものである。流水検知装置4は、具体的には流水の検知を二次側配管5内の圧力低下を検知するものであり、そのための圧力スイッチ4aが設けられたものとなっている。
【0018】
給水本管2は、火災発生時、貯水槽14内の水をポンプ15により加圧送水し、一次側配管3及び二次側配管5を通じ、スプリンクラヘッド6に供給するものである。尚、給水本管2には、圧力空気槽13が接続されており、圧力空気槽13から供給される加圧空気により、給水本管2は、一次側配管3及び二次側配管5と共に常時は所定圧力に内部が加圧維持されるようになっている。又、圧力空気槽13には、圧力スイッチ13aが設けられており、圧力スイッチ13aが圧力空気槽13内の圧力低下を検知することにより、給水本管2以下の配管内の圧力低下を検知することができるようになっている。
【0019】
ポンプ15には、その起動制御をするポンプ起動盤16が信号線を介して接続されている。尚、本実施形態においては、ポンプ起動盤16には、前記の圧力空気槽13に接続されている圧力スイッチ13aが信号線を介して接続されており、ポンプ起動盤16は、圧力スイッチ13aからの圧力低下信号の入力があったときに、ポンプ15を起動制御するようになっている。
【0020】
10は、各種制御をするためのシステム制御盤である。システム制御盤10は、スプリンクラ制御盤11を有しており、そのスプリンクラ制御盤11に前記の流水検知装置4に設けられている圧力スイッチ4aが信号線を介して接続されたものとなっており、圧力スイッチ4aから二次側配管5内の流水検知信号(流水信号)が入力されるようになっている。尚、本実施形態において、スプリンクラ制御盤11は、前記のポンプ起動盤16に信号線を介して接続されており、流水検知装置4が圧力スイッチ4aによって二次側配管5内の流水を検知し、圧力スイッチ4aからの流水検知信号の入力があったときに、ポンプ起動盤16に起動信号を出力し、ポンプ起動盤16を通じてポンプ15を起動制御するようにすることも可能なものとなっている。
【0021】
ここで、スプリンクラ消火設備1−1における常時の通常の待機状態から火災が発生した場合の動作について説明する。尚、スプリンクラ消火設備1−1は、前記の通り基本的には湿式のスプリンクラ消火設備であり、常時の通常の待機状態から火災が発生した場合には、一般の湿式のスプリンクラ消火設備のものと同様の動作をさせることができるようになっている。
【0022】
即ち、常時の通常の待機状態から火災が発生し、スプリンクラヘッド6が開放すると、先ずは二次側配管5内に充填されていた水が放水される。二次側配管5内に充填されていた水が放水されると、それによる流水を流水検知装置4が検知し、圧力スイッチ4aから流水検知信号がシステム制御盤10に出力される。又、二次側配管5内に充填されていた水が放水されることにより、一次側配管3及び給水本管2内の水が二次側配管5側へ流れ、圧力空気槽13内に圧力低下が生じる。その圧力低下を圧力スイッチ13aが検知し、同スイッチから圧力低下信号がポンプ起動盤16に出力される。その圧力低下信号を受けたポンプ起動盤16からは起動信号がポンプ15に出力され、それによりポンプ15が起動する。ポンプ15が起動することにより、貯水槽14内の水が給水本管2、一次側配管3及び二次側配管5を通じてスプリンクラヘッド6に継続して供給され、水がスプリンクラヘッド6から継続して放水されるようになっている。尚、ポンプ15の起動制御は、前記の通り流水検知装置4の圧力スイッチ4aからの流水信号に基づく信号によって行うようにしてもよく、又、本実施形態においては、第2の実施形態においても同様であるが、後記の通り火災感知器9を備えており、予作動式のスプリンクラ消火設備として運用することも可能であり、即ち、ポンプ15の起動制御は、流水検知装置4の圧力スイッチ4aからの流水信号と火災感知器9からの火災信号との両方があったときに行うようにしてもよい。
【0023】
スプリンクラ消火設備1−1は、前記の通り、常時の通常の待機状態から火災が発生した際には、一般の湿式のスプリンクラ消火設備と同様に動作させることができるものであるが、地震が発生した際には、一般のものとは異なる動作をさせることができるように構成されている。
【0024】
即ち、スプリンクラ消火設備1−1は、流水検知装置4の二次側に設けられ、常時は閉止状態にある開放弁18と、その開放弁18の二次側に設けられ、内部が所定の圧力で加圧された加圧タンク19と、所定の震度以上の地震が発生したときに地震検知信号を出力する地震検知手段の一例である感震器20とを備え、感震器20による地震検知信号の出力があったときに、開放弁18を開放状態に制御するように構成されている。
【0025】
これにより、スプリンクラ消火設備1−1は、所定の震度以上の強い地震が発生した場合には、開放弁18が開放状態にされ、加圧タンク19により二次側配管を予備的に加圧することができるようになっている。このため、地震により二次側配管5への加圧送水のための機器、貯水槽14、ポンプ15、給水本管2及び一次側配管3等の機器が破損し、水源である貯水槽14からの加圧送水の機能が失われたとしても、その後火災が発生し、スプリンクラヘッド6が開放すれば、二次側配管5内に充填されている水だけにはなるものの、加圧タンク19内の加圧空気によって火災消火抑制に最低限必要な加圧送水力は確保されて、その水を加圧してスプリンクラヘッド6から放水することができる。
【0026】
更に、本実施形態のスプリンクラ消火設備1−1について説明する。
【0027】
スプリンクラヘッド1−1は、スプリンクラヘッド6が接続されている二次側配管5等が防護領域に応じて系統分けされて複数設けられているが、それらの防護領域ごと(例えば建屋の各階ごと)に設置され、各防護領域で発生する火災を検知したときに火災信号を出力する火災感知器9を更に備えている。
【0028】
システム制御盤10は、前記の通りスプリンクラ制御盤11を有しているが、火災受信機12も有しており、スプリンクラ制御盤11には開放弁18の駆動モータ18aと感震器20とが信号線を介してそれぞれ接続され、又、火災受信機12には前記の防護領域ごとに設けられている火災感知器9が信号線を介して接続されている。
【0029】
即ち、システム制御盤10において、スプリンクラ制御盤11によって、感震器20からの地震検知信号の出力を受信したときに、開放弁18に開放信号を出力し、開閉弁18を遠隔で開放制御することができるようにもなっているが、別途、開放弁18の開放条件として火災信号を加えてもよい。つまり、スプリンクラ制御盤11が感震器20からの地震検知信号の出力を受信し、且つ火災受信機12が火災感知器9からの火災信号を火災受信機12が受信したときに、スプリンクラ制御盤11によって、開放弁18に開放信号を出力し、開放弁18を遠隔で開放制御することができるようにしてもよい。
【0030】
これにより、スプリンクラ消火設備1−1は、所定の震度以上の地震が発生し、その後火災が発生した際、例えば、
図2に示したように、火災が発生した防護領域(図面中、上方の領域)にある開放弁18のみを開放制御し、加圧タンク19内の圧力を二次側配管5に供給し(矢印A1参照)、二次側配管5内に充填されている水を加圧してスプリンクラヘッド6から放水することができるようになっている。
【0031】
開放弁18及び加圧タンク19は、本実施形態においては、二次側配管5の末端側に設けたものとしており、スプリンクラヘッド6の下流側に配置して設けたものとしている。これにより、常時は閉鎖状態にある開放弁18が二次側配管5に直接設けられるものとしても、通常の待機状態から火災が発生した際の基端側からスプリンクラヘッド6に至る水の流れを閉鎖することがないようになっている。これら開放弁18及び加圧タンク19は、二次側配管5より分岐する枝管を介して設けるようにすれば、スプリンクラヘッド6の上流側に配置して設けることもできる。枝管を介して設けることにより、スプリンクラヘッド6の上流側に配置しても、下流側に配置するのと同様、通常の待機状態から火災が発生した際の基端側からスプリンクラヘッド6に至る水の流れを閉鎖することがないようにすることができる。尚、二次側配管5の基端側の配置位置としては、流水検知装置4の近傍位置とすることができる。そのように配置することにより建屋への設備の配置構造上、容量の大きい加圧タンク19の場所の確保を容易にすることができる。
【0032】
加圧タンク19は、給水本管2側に設けられている圧力空気槽13の容量の半分程度とすることができる。具体的には、例えば圧力空気槽13の容量が標準的な100L程度であれば、加圧タンク19の容量は50L程度とすることができる。又、加圧タンク19は、ほとんど全て空気を充填したものとすることができ(シール用に若干の水を充填してもよい。)、タンク内部の圧力については1Mpa以下とすることができる。尚、加圧タンク19は、水も充填したものとすることができる。水も充填したものとすることにより、二次側配管5内に充填されていた水に加え、加圧タンク19内に充填されている水もスプリンクラヘッド6から放水することができ、より多くの水を放水することができる。
【0033】
感震器8としては、機械式等の従来一般に用いられているものを用いることができるが、加速度センサ式のものも用いることができる。又、感震器8が検知する所定の震度としては、例えば震度3以上とすることができる。
【0034】
尚、感震器8に代えて、地震検知手段としては、気象庁等より通信網を介して取得可能な「緊急地震速報」による地震動の予報・警報信号を利用するものとしてもよい。即ち、地震検知手段として、感震器8に代えて、「緊急地震速報」による地震動の予報・警報信号を受信し、その信号を受信したときに移報信号を地震検知信号としてシステム制御盤10のスプリンクラ制御盤11に出力する受信装置を用いることもできる。
【0035】
次に、
図3及び
図4に基づいて、この発明の第2の実施形態に係るスプリンクラ消火設備1−2のシステム構成について説明する。尚、第2の実施形態に係るスプリンクラ消火設備1−2は、加圧タンク19を所定量の水も充填されるものとし、更に二次側配管5同士を連結し、複数の加圧タンク19が連携して加圧及び給水ができるようにしたものである。その他の構成部分は第1の実施形態におけるものと同様であり、同一図面符号を付して説明を省略する。
【0036】
スプリンクラ消火設備1−2は、
図3に示したように、各圧力タンク19内には加圧された空気と水とが充填されたものとなっており、又、各二次側配管5同士を連結する連結配管21を更に備えている。
【0037】
連結配管21は、加圧タンク19の二次側において異なる防護領域に設けられている二次側配管5同士を連結して設けられている。具体的には、連結配管21は、例えば三方弁からなる切換弁22を介して各二次側配管5に接続されて設けられており、切換弁22による流路切り換え動作により、各二次側配管5間の連通と遮断とを切り換えることができるようになっている。尚、切換弁22の駆動モータ22aは、システム制御盤10のスプリンクラ制御盤11に接続されており、開放弁18の開放制御と同じタイミングで流路の切換制御をすることができるようになっている。なお切換弁22は3つの三角形で示されているが、三角形が白くなっている部分が開放状態にあり、黒い三角形が閉止状態であることを示している。
【0038】
これにより、スプリンクラ消火設備1−2は、所定の震度以上の地震が発生し、その後火災が発生した際、例えば、
図4に示したように、火災が建屋のn階で発生した場合に、n階にある開放弁18のみを開放制御し、n階にある加圧タンク19内の加圧された空気と水とがn階にある二次側配管5に供給される状態にすると共に(矢印A1参照)、n階にある二次側配管5と火災が発生していない他の防護領域であるn−1階にある二次側配管5との間を連通させるようにそれぞれの切換弁22を切換制御し、n−1階にある加圧タンク19内の加圧された空気と水とが連結配管21を通じてn階にある二次側配管5に供給される状態にし(矢印A2及びA3参照)、n階にある加圧タンク19とn−1階にある加圧タンク19とを連携させ、両加圧タンク19内の加圧された空気と水とをn階にある二次側配管5に供給し、その二次側配管5内に充填されている水に加えて、両加圧タンク19内に充填されている水をn階にあるスプリンクラヘッド6から加圧して放水することができるようになっており、更により多くの水を放水することができるようになっている。
【0039】
尚、火災が発生した防護領域にある加圧タンク19等と連携させる火災が発生していない他の防御領域にある加圧タンク19等の対象及び数は適宜変更することができる。例えば、n階の防護領域にある加圧タンク19等に対し、その直下のn−1階の防護領域にある加圧タンク19等に代えて或いはそれに加えて、更に下方のn−2階等の防護領域にある加圧タンク19等を選択してもよい。尚、連携させる加圧タンク19等を上方の階の防護領域にあるものにしてもよいが、火災は下方から上方に拡大していくものであり、下方の階の防護領域にある加圧タンク19等から選択した方が好ましい。
【0040】
このような制御を行うためには、システム制御盤10は、防護区画(階)毎に火災の発生を記憶している必要がある。つまり、火災受信機12は、火災感知器9から受信する火災信号によって、建屋のどの階で火災が発生したかを検出できるようになっており、その位置情報を含む火災情報をスプリンクラ盤11に出力するように構成されている。
【0041】
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0042】
上記の実施形態においては、二次側配管5の末端試験弁17を利用して予備的な加圧送水手段を構成するようにしてもよく、その場合、末端試験弁17の二次側に加圧タンク19を接続することになるが、手動操作可能な排出試験弁としての機能を確保しつつ、開放弁18の機能を持たせる必要があり、例えば、末端試験弁を前述の三方弁からなる切換弁で構成し、切換弁の一つのポートに排水管を接続することにより、それは実現可能である。末端試験弁17は、点検員が操作可能な場所に設けられており、末端試験弁17を利用して予備的な加圧送水手段を構成すれば、地震発生によりメインの加圧送水機能がダウンしただけでなく、電気系統もダウンし、システム制御盤10による制御が不可能な状態になった場合でも、火災が発生した際には点検員が手動操作することにより、二次側配管5内に充填されている水を加圧して放水させることが可能なものとすることができる。
【0043】
又、加圧タンク内には、加圧した空気を充填する場合で説明したが、空気以外のガス、例えば、窒素ガスや二酸化炭素ガスなどを充填するようにしてもよい。窒素ガスのような不活性ガスを充填すれば、開栓したスプリンクラヘッドから水が放水された後、窒素ガスが放出されるので、消火に寄与することになる。
【0044】
又、本実施形態では、ポンプが故障することを想定して、地震発生時ポンプからの加圧が断たれた時には、加圧タンクにより補助的に加圧するものであるが、例えば、地震が発生しても、メインのポンプが故障せず正常にポンプにより加圧が可能なときには、ポンプによる加圧と加圧タンクにより加圧を切り替えるようにしてもよい。例えば、ポンプと加圧タンクとの切替えは、互いの加圧圧力に差を設けておくことで機械的(物理的)にどちらか一方から加圧させることが可能となる。
【0045】
又、二次側配管に加圧タンクを別途設けるようにしたが、径の太い配管を使用し、配管内に空気溜まりを設けて加圧できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1:スプリンクラ消火設備 2:給水本管 3:一次側配管
4:流水検知装置 4a:圧力スイッチ 5:二次側配管
6:スプリンクラヘッド 9:火災感知器 10:システム制御盤
11:スプリンクラ制御盤 12:火災受信機 13:圧力空気槽
13a:圧力スイッチ 14:貯水槽 15:ポンプ 16:ポンプ起動盤
17:末端試験弁 18:開放弁 19:加圧タンク 20:感震器