(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1発光層上に位置し、電子輸送性の第5ホスト化合物で形成された第3バッファ層、及び、前記第2発光層上に位置し、電子輸送性の第6ホスト化合物で形成された第4バッファ層を更に備える、請求項1〜3の何れか1項に記載の有機発光素子。
前記第3ホスト化合物及び前記第4ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物である、請求項1〜6の何れか1項に記載の有機発光素子。
前記第1発光層上に位置し、電子輸送性の第6ホスト化合物で形成された第3バッファ層、及び、前記第2発光層上に位置し、電子輸送性の第7ホスト化合物で形成された第4バッファ層を更に備える、請求項11に記載の有機発光素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、共通発光層を適用した場合に、共通発光層を適用しない場合と比べて、高輝度で効率が低減するロールオフ傾向が現われるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、共通発光層を用いる場合であっても、ロールオフ現象を生じさせることなく効率を向上させることが可能な、有機発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域を含む有機発光素子において、基板と、前記基板上に位置する第1電極層と、前記第1電極層上に位置する正孔注入層と、前記正孔注入層上に位置する共通発光層と、前記共通発光層上に位置する前記第1発光領域内の第1共振補助層、及び、前記共通発光層上に位置する前記第2発光領域内の第2共振補助層と、前記第1共振補助層上に位置し、第1ホスト化合物で形成された第1バッファ層、及び、前記第2共振補助層上に位置し、第2ホスト化合物で形成された第2バッファ層と、前記第1バッファ層上に位置し、第3ホスト化合物及び第1ドーパントを含む第1発光層、及び、前記第2バッファ層上に位置し、第4ホスト化合物及び第2ドーパントを含む第2発光層と、前記第1発光層、前記第2発光層及び前記共通発光層上に位置する電子輸送層と、前記電子輸送層上に位置する第2電極層と、を備える有機発光素子が提供される。
【0009】
前記第1共振補助層及び前記第2共振補助層は、正孔輸送性物質で形成されてもよい。
【0010】
前記第1バッファ層の前記第1ホスト化合物は、前記第1発光層の前記第3ホスト化合物と同一であってもよい。
【0011】
前記第2バッファ層の前記第2ホスト化合物は、前記第2発光層の前記第4ホスト化合物と同一であってもよい。
【0012】
前記第1発光層上に位置し、電子輸送性の第5ホスト化合物で形成された第3バッファ層、及び、前記第2発光層上に位置し、電子輸送性の第6ホスト化合物で形成された第4バッファ層を更に備えてもよい。
【0013】
前記第1ホスト化合物及び前記第2ホスト化合物は、正孔輸送性ホスト化合物であってもよい。
【0014】
前記第1ホスト化合物及び前記第2ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA又はこれらの混合物であってもよい。
【0015】
前記第3ホスト化合物及び前記第4ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物であってもよい。
【0016】
前記第5ホスト化合物及び前記第6ホスト化合物は、それぞれ独立して、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物であってもよい。
【0017】
前記共通発光層は、青色発光層であり、前記第1発光層は、赤色発光層であり、前記第2発光層は、緑色発光層であってもよい。
【0018】
前記電子輸送層と前記第2電極層との間に、電子注入層を更に備えてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域を含む有機発光素子において、基板と、前記基板上に位置する第1電極層と、前記第1電極層上に位置する正孔注入層と、前記正孔注入層上に位置する前記第1発光領域内の第1共振補助層、及び、前記正孔注入層上に位置する前記第2発光領域内の第2共振補助層と、前記第1共振補助層上に位置し、正孔輸送性の第1ホスト化合物で形成された第1バッファ層、及び、前記第2共振補助層上に位置し、正孔輸送性の第2ホスト化合物で形成された第2バッファ層と、前記第1バッファ層上に位置し、第3ホスト化合物及び第1ドーパントを含む第1発光層、前記第2バッファ層上に位置し、第4ホスト化合物及び第2ドーパントを含む第2発光層、及び、前記正孔注入層上に位置し、前記第3発光領域内の第5ホスト化合物及び第3ドーパントを含む第3発光層と、前記第1発光層、前記第2発光層及び前記第3発光層上に位置する電子輸送層と、前記電子輸送層上に位置する第2電極層と、を備える有機発光素子が提供される。
【0020】
前記第1発光層上に位置し、電子輸送性の第6ホスト化合物で形成された第3バッファ層、及び、前記第2発光層上に位置し、電子輸送性の第7ホスト化合物で形成された第4バッファ層を更に備えてもよい。
【0021】
前記第1ホスト化合物及び前記第2ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA又はこれらの混合物であってもよい。
【0022】
前記第3ホスト化合物〜前記第5ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物であってもよい。
【0023】
前記第6ホスト化合物及び前記第7ホスト化合物は、それぞれ独立して、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物であってもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、第1発光領域、第2発光領域及び第3発光領域を含む有機発光素子において、基板と、前記基板上に位置する第1電極層と、前記第1電極層上に位置する正孔注入層と、前記正孔注入層上に位置する前記第1発光領域内の第1共振補助層及び前記正孔注入層上に位置する前記第2発光領域内の第2共振補助層と、前記第1共振補助層上に位置し、第1ホスト化合物で形成された第1バッファ層、及び、前記第2共振補助層上に位置し、第2ホスト化合物で形成された第2バッファ層と、前記第1バッファ層上に位置し、第3ホスト化合物及び第1ドーパントを含む第1発光層、及び、前記第2バッファ層上に位置し、第4ホスト化合物及び第2ドーパントを含む第2発光層と、前記第1発光層、前記第2発光層及び前記正孔注入層上に位置する共通発光層と、前記共通発光層上に位置する電子輸送層と、前記電子輸送層上に位置する第2電極層と、を備える有機発光素子が提供される。
【0025】
前記第1バッファ層の前記第1ホスト化合物は、前記第1発光層の前記第3ホスト化合物と同一であり、前記第2バッファ層の前記第2ホスト化合物は、前記第2発光層の前記第4ホスト化合物と同一であってもよい。
【0026】
前記第1ホスト化合物及び前記第2ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA又はこれらの混合物であってもよい。
【0027】
前記第3ホスト化合物及び前記第4ホスト化合物は、それぞれ独立して、CBP、TCTA、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物であってもよい。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によれば、正孔輸送層と発光層との間に、又は、発光層と電子輸送層との間に、ホスト化合物で形成されたバッファ層を適用することで、ロールオフ現象を改善して効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
本明細書において、正孔輸送性ホスト化合物とは、正孔輸送能が電子輸送能よりさらに高いホスト化合物を意味する。
【0032】
本明細書において、電子輸送性ホスト化合物とは、電子輸送能が正孔輸送能よりさらに高いホスト化合物を意味する。
【0033】
本明細書において、ロールオフ現象とは、輝度が増加するにつれて効率が急減する現象を意味する。
【0034】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る有機発光素子100の概略的な断面図である。有機発光素子100は、赤色発光領域R、緑色発光領域G及び青色発光領域Bの副画素領域を含んでいる。
【0035】
有機発光素子100は、基板101と、アノード111と、正孔注入層121と、共通発光層123と、第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gと、第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gと、赤色発光層126R及び緑色発光層126Gと、電子輸送層128と、電子注入層129と、カソード131と、を備える。
【0036】
基板101としては、通常的な有機発光素子で使われる基板を使用可能である。基板101は、機械的強度、熱的安定性、透明性、表面平滑性、取り扱い容易性及び防水性の優秀なガラス基板又は透明プラスチック基板で形成されてもよいし、シリコン、ステンリススチールのような不透明な物質で形成されてもよい。
【0037】
基板101上には、アノード111が絶縁膜112によって副画素領域別に分離されている。アノード111は、相対的に仕事関数の高い物質からなる。アノード111は、例えば、ITO(インジウムスズ酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(亜鉛酸化物)、AZO(Alドーピングされた亜鉛酸化物)、In
2O
3(インジウム酸化物)又はSnO
2(スズ酸化物)のような透明な導電性酸化物からなるが、こられに限定されるものではない。アノード111は、蒸着法又はスパッタリング法などにより、形成される。
【0038】
正孔注入層121は、アノード111及び絶縁膜112上に形成される。正孔注入層121には、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、DNTPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−[4−(フェニル−m−トリル−アミノ)−フェニル]−ビフェニル−4,4’−ジアミン)、m−MTDATA(4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、TDATA(4,4’,4”−トリス(N,N’−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、2T−NATA(4,4’,4”−トリス{N,−(2−ナフチル)−N−フェニルアミノ}−トリフェニルアミン)、NPB(N,N’−ジ(−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン)、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホナート))、Pani/DBSA(ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)、Pani/CSA(ポリアニリン/カンファースルホン酸)、又は、PANI/PSS(ポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホナート))などの化合物を使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
正孔注入層121は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの多様な方法を用いて形成される。
【0040】
真空蒸着法によって正孔注入層121を形成する場合、その蒸着条件は、正孔注入層121の材料として使う化合物、目的とする正孔注入層121の特性などによって異なるが、例えば、蒸着温度100℃〜500℃、真空度10
−8Torr〜10
−3Torr(1Torrは、約1.333×10
−1kPaである。)、蒸着速度0.01Å/sec〜100Å/sec(1Å=0.1nmである。)の範囲で適宜選択される。
【0041】
スピンコーティング法によって正孔注入層121を形成する場合、そのコーティング条件は、正孔注入層121の材料として使う化合物、目的とする正孔注入層121の特性などによって異なるが、例えば、2,000rpm〜5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度は、80℃〜200℃の温度範囲で適宜選択される。
【0042】
前記正孔注入層121の厚さは、100Å〜10,000Å、望ましくは100Å〜1,000Åである。前記正孔注入層の厚さが前述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の低下なしに満足すべき正孔注入特性を得られる。
【0043】
前記正孔注入層121は、膜の導電性などを向上させるために、電荷生成物質を更に含む。前記電荷生成物質は、例えば、pドーパントである。前記pドーパントの非制限的な例としては、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)及び2,3,5,6−テトラフルオロ−テトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などのキノン誘導体、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボキシル−3,4,9,10−ジアンヒドリド(PTCDA)、タングステン酸化物及びモリブデン酸化物などの金属酸化物及びシアノ基含有化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
青色共通発光層123は、正孔注入層121上の赤色発光領域R、緑色発光領域G及び青色発光領域Bに共通層として形成される。青色共通発光層123は、青色ホスト化合物及び青色ドーパントを含む。
【0045】
青色ホスト化合物として、例えば、Alq
3、CBP(4,4’−N,N’−シカルバゾール−ビフェニル)、PVK(ポリ(n−ビニルカルバゾール))、ADN(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン)、TCTA、TPBI(1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン)、TBADN(3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン)、E3、DSA(ジスチリルアリーレン)又はこれらの2以上の混合物を使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
青色ドーパントとして、F
2Irpic、(F
2ppy)
2Ir(tmd)、Ir(dfppz)
3、テル−フルオレン、DPAVBi(4,4’−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ビフェニル)、TBPe(2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン)などを含む化合物を使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
青色共通発光層123は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて形成される。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって発光層を形成する場合、その蒸着条件は使う化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。一方、ホスト及びドーパントを含む層を形成するために、共蒸着方法を使用可能である。
【0048】
青色共通発光層123の厚さは、100Å〜1,000Åである。青色共通発光層123の青色ドーパントの含量は、通常的に発光層の質量に対して0.01質量%〜15質量%の範囲で選択されるが、これに限定されるものではない。
【0049】
第1共振補助層124Rは、青色共通発光層123上の赤色発光領域Rに形成されており、第2共振補助層124Gは、青色共通発光層123上の緑色発光領域Gに形成されている。
【0050】
第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gは、正孔輸送層の役割を行え、正孔輸送物質からなる。第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gは、互いに同じ物質からなる。第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gに使われる正孔輸送物質は、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、TPD(N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン)などのトリフェニルアミン系物質、NPB(N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン)、TCTA(4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて形成される。
【0052】
第1共振補助層124Rの厚さは、30Å〜700Å、例えば、50Å〜200Åである。第2共振補助層124Gの厚さは、30Å〜300Å、例えば、50Å〜100Åである。第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gは、赤色発光と緑色発光との共振距離及び電子と正孔とが再結合する領域を調節するために、それぞれ適宜な厚さを持つように形成される。この時、第1共振補助層124Rの厚さは、第2共振補助層124Gの厚さより厚く形成される。
【0053】
第1バッファ層125Rが第1共振補助層124R上に形成されており、第2バッファ層125Gが第2共振補助層124G上に形成されている。
【0054】
第1バッファ層125Rは、赤色発光層に使われるホスト物質からなる。同様に、第2バッファ層125Gは、緑色発光層に使われるホスト物質からなる。前記ホスト物質は、正孔輸送性ホスト、電子輸送性ホスト又はこれらの混合物を使用可能である。第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gに使われるホスト化合物は、青色ホスト化合物と同様にAlq
3、CBP、PVK、ADN、TCTA、TPBI、TBADN、E3、DSA又はこれらの2以上の混合物を使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて形成される。第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gの厚さは、それぞれ30Å〜600Åである。
【0056】
第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gは、正孔伝達のエネルギー障壁を低下させることができる。また、第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gは、それぞれ第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gより低いLUMO(lowest unoccupied molecular level)レベルを形成して、発光に寄与していない電子が流れ出さずに第1共振補助層124R及び第2共振補助層124Gに遮られて発光に寄与するようにできる。これによって駆動電圧を低め、高輝度で効率が減少する現象を防止する。
【0057】
赤色発光層126Rは、第1バッファ層125R上に形成される。赤色発光層126Rは、赤色ホスト化合物及び赤色ドーパントを含む。赤色ホスト化合物は、第1バッファ層125Rと同様にAlq
3、CBP、PVK、ADN、TCTA、TPBI、TBADN、E3、DSA又はこれらの2以上の混合物を使用可能であるが、こられに限定されるものではない。赤色ホスト化合物として、第1バッファ層125Rと同じ物質を使ってもよく、他の物質を使ってもよい。
【0058】
赤色ドーパントとして、例えば、PtOEP、Ir(piq)
3、Btp
2Ir(acac)、Ir(piq)
2(acac)、Ir(2−phq)
2(acac)、Ir(2−phq)
3、Ir(flq)
2(acac)、Ir(fliq)
2(acac)、DCM又はDCJTBを含む化合物を用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
緑色発光層126Gは、第2バッファ層125G上に形成される。緑色発光層126Gは、緑色ホスト化合物及び緑色ドーパントを含む。緑色ホスト化合物としては、第2バッファ層125Gと同様に、Alq
3、CBP、PVK、ADN、TCTA、TPBI、TBADN、E3、DSA又はこれらの2以上の混合物が使用可能であるが、こられに限定されるものではない。緑色ホスト化合物として、緑第2バッファ層125Gと同じ物質を使ってもよく、他の物質を使ってもよい。
【0060】
緑色ドーパントとして、Ir(ppy)
3(トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)、Ir(ppy)2(acac)(ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III))、Ir(mppy)
3(トリス(2−(4−トリル)フェニルピリジン)イリジウム)、C545T(10−(2−ベンゾチアゾリル)−1,1,7,7−テトラメチル−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ−[6,7,8−ij]−キノリジン−11−ワン)などを用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
赤色発光層126R及び緑色発光層126Gは、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法などの方法を用いて形成される。一方、ホスト及びドーパントを含む赤色発光層126R及び緑色発光層126Gを形成するために、共蒸着方法を使用可能である。第1バッファ層125R及び赤色発光層126Rは、同じホスト化合物を使う場合に同じチャンバ内で形成でき、第2バッファ層125G及び緑色発光層126Gも、同じホスト化合物を使う場合に同じチャンバ内で形成できる。赤色発光層126R及び緑色発光層126Gの厚さは、それぞれ100Å〜1,000Åである。
【0062】
赤色発光層126R及び緑色発光層126Gのドーパントの含量及び青色共通発光層126Bの青色ドーパントの含量は、通常的に各発光層の質量に対して0.01質量%〜15質量%の範囲で選択されるが、これに限定されるものではない。
【0063】
電子輸送層128は、青色共通発光層123、赤色発光層126R及び緑色発光層126G上に形成される。電子輸送層128は、カソード131から注入された電子を発光層に輸送する機能を行う層であり、例えば、Alq
3、BCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、Bphen(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)、TAZ(3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール)、NTAZ(4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール)、tBu−PBD(2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1、3,4−オキサジアゾール)、BAlq(ビス(2−メチル−8−キノリノラト−N1,O8)−(1,1’−ビフェニル−4−オラート)アルミニウム)、Bebq
2(ベリリウムビス(ベンゾキノリン−10−オラート))、ADN(9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン)などの公知の材料を使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
前記電子輸送層128は、真空蒸着法、又は、スピンコーティング法、キャスト法などを用いて形成される。真空蒸着法及びスピンコーティング法によって電子輸送層128を形成する場合、その条件は使う化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層121の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。
【0065】
前記電子輸送層128の厚さは、100Å〜1,000Å、好ましくは、150Å〜500Åである。前記電子輸送層128の厚さが前述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべき電子輸送特性が得られる。
【0066】
または、前記電子輸送層128は、電子輸送性有機化合物及び金属−含有物質を含む。前記金属−含有物質は、Li錯体を含む。前記Li錯体の非制限的な例としては、リチウムキノリノラート(LiQ)又は、下記化学式103などが挙げられる。
【0068】
また、電子輸送層128の上部に、カソード131から電子の注入を容易にする機能を持つ電子注入層129が積層される。前記電子注入層129は、LiF、NaCl、CsF、Li2O、BaOなどの電子注入層材料として、公知の任意の物質が用いられるが、これらに限定されるものではない。前記電子注入層129の蒸着条件は、使う化合物によって異なるが、一般的に正孔注入層121の形成とほぼ同じ条件範囲内で選択される。
【0069】
前記電子注入層129の厚さは、1Å〜100Å、好ましくは、3Å〜90Åである。前記電子注入層の厚さが前述したような範囲を満たす場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに満足すべき電子注入特性を得られる。
【0070】
選択的に、前記電子輸送層128及び電子注入層129は、電子輸送機能及び電子注入機能を同時に持つ機能層に入れ替えられる。
【0071】
電子注入層129上のカソード131としては、低い仕事関数を持つ金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの2以上の混合物が使用可能である。具体的な例としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを薄膜に形成して、透過型電極を得ることができる。一方、前面発光素子を得るためにITO、IZOを用いる透過型電極を形成するなど、多様な変形が可能である。
【0072】
カソード131上には、光学的特性を向上させて発光効率を極大化するために、キャッピング層(図示せず)を形成してもよい。キャッピング層(図示せず)は、例えば、金属酸化物層、金属窒化物層又は金属窒酸化物層からなる。キャッピング層(図示せず)は、例えば、MoOx(x=2〜4)、Al
2O
3、Sb
2O
3、BaO、CdO、CaO、Ce
2O
3、CoO、Cu
2O、DyO、GdO、HfO
2、La
2O
3、Li
2O、MgO、NbO、NiO、Nd
2O
3、PdO、Sm
2O
3、ScO、SiO
2、SrO、Ta
2O
3、TiO、WO
3、VO
2、YbO、Y
2O
3、ZnO、ZrO、AlN、BN,NbN、SiN、TaN、TiN、VN、YbN、ZrN、SiON、AlON又はこれらの混合物からなる。
【0073】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る有機発光素子200の概略的な断面図である。
図2による有機発光素子200を、
図1の有機発光素子100との違いを中心に説明する。
図2の有機発光素子200は、赤色発光層126R及び緑色発光層126G上にそれぞれ第3バッファ層227R及び第4バッファ層227Gが形成されているという点で、
図1の有機発光素子100と相違している。また、発光層126R、126Gのホスト化合物は、正孔輸送性ホスト化合物と電子輸送性ホスト化合物との混合物である。
【0074】
第3バッファ層227R及び第4バッファ層227Gは、第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gと同様に、それぞれ赤色発光層126R及び緑色発光層126Gに使われるホスト化合物からなる。一方、第1及び第2バッファ層125R、125Gには、正孔輸送特性の良いホスト化合物を使用可能であり、第3及び第4バッファ層227R、227Gには、電子輸送特性の良いホスト化合物を使用可能である。正孔輸送特性の良いホスト化合物は、正孔の注入を含む正孔の輸送能が電子の輸送能より大きいホスト化合物を意味し、電子輸送特性の良いホスト化合物は、電子の注入を含む電子の輸送能が正孔の輸送能より大きいホスト化合物を意味する。例えば、第1及び第2バッファ層125R、125Gには、CBP、TCTA又はこれらの混合物を使用可能であり、第3及び第4バッファ層227R、227Gには、BCP、BPhen、Balq、TAZ又はこれらの混合物を使用可能である。
【0075】
第3バッファ層227R及び第4バッファ層227Gとして、電子輸送特性の良い発光ホスト化合物を使用することで、電子伝達エネルギー障壁を低下させ、かつ、正孔阻止特性を強化させて発光層内の励起子形成を多くし、発光効率を極大化する。これによって、発光効率及びロールオフ特性を改善する。また、第3及び第4バッファ層227R、227Gは、発光層と電子輸送層との界面の特性を向上させることで素子の寿命を延ばし、レーザー十転写法で発光層を形成する場合に、熱による発光層の損傷を回避する。
【0076】
選択的に、青色発光領域Bにおいて青色共通発光層123上に、青色ホスト物質からなるバッファ層(図示せず)を配してもよい。
【0077】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る有機発光素子300の概略的な断面図である。
図3による有機発光素子300を、
図1の有機発光素子100との違いを中心に説明する。
図3の有機発光素子300は、青色共通発光層123を用いず、赤色、緑及び青色発光層326R、326G、326Bがそれぞれの発光領域に形成されている点で、
図1の有機発光素子100と相違している。
【0078】
共通発光層を適用しない場合にも、第1バッファ層125R及び第2バッファ層125Gを適用することで、正孔伝達エネルギー障壁を低下させ、かつ、電子の発光寄与度を高めて素子の駆動電圧を低め、ロールオフ現象を低減させることが可能である。
【0079】
選択的に、青色発光層326B上に、電子輸送性の青色ホスト化合物からなる第5バッファ層(図示せず)を配してもよい。例えば、第5バッファ層は、ADN、DSA、BCP、BPhen、Balq又はTAZからなるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る有機発光素子400の概略的な断面図である。
図4による有機発光素子400を、
図1の有機発光素子100との違いを中心に説明する。
図4の有機発光素子400は、共通青色発光層123を用いず、赤色、緑及び青色発光層326R、326G、326Bがそれぞれの発光領域に形成されている点で、
図1の有機発光素子100と相違している。また、有機発光素子400は、赤色発光層326R及び緑色発光層326G上に、それぞれ第3バッファ層427R及び第4バッファ層427Gが形成されている点で、
図1の有機発光素子100と相違している。
【0081】
共通発光層を適用しない場合にも、第3バッファ層427R及び第4バッファ層427Gとして、電子輸送特性の良い発光ホスト化合物を用いることで、電子伝達エネルギー障壁を低下させ、かつ、正孔阻止特性を強化させて発光層内の励起子形成を多くし、発光効率を極大化することが可能である。これによって、発光効率及びロールオフ特性が改善される。
【0082】
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に係る有機発光素子500の概略的な断面図である。
図5による有機発光素子500を、
図1の有機発光素子100との違いを中心に説明する。
図5の有機発光素子500は、青色共通発光層526が、正孔注入層121と赤色発光層126R及び緑色発光層126Gとの間に位置するのではなく、赤色発光層126R及び緑色発光層126Gと電子輸送層128との間に位置している点で、
図1の有機発光素子100と相違している。青色発光ホスト化合物は、大体において、電子輸送特性に優れるため、青色共通発光層526が赤色発光層126R及び緑色発光層126G上に形成されていることで、電子の輸送特性を向上させて駆動電圧が低下し、第2バッファ層が不要となる。
【0083】
上記実施形態で、共通発光層として青色発光層が用いられる場合を説明しているが、選択的に、共通発光層として赤色発光層又は緑色発光層が用いられてもよい。例えば、赤色発光層が共通発光層として形成され、かつ緑色発光層及び青色発光層がパターニングされているか、又は、緑色発光層が共通発光層として形成され、かつ赤色発光層及び青色発光層がパターニングされていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態に用いられた有機層以外に、正孔阻止層(図示せず)もしくは電子阻止層(図示せず)が更に介在されるか、又は、基板上にカソードから積層されるなど、多様な変形例が可能であることは、いうまでもない。
【実施例】
【0085】
以下では、実施例及び比較例を示しながら、本発明の実施形態に係る有機発光素子について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本発明の実施形態に係る有機発光素子のあくまでも一例であって、本発明に係る有機発光素子が下記の例に限定されるものではない。
【0086】
(実施例1)
アノードとしては、コーニング社の15Ω/cm
2(厚さ:500Å)のITOガラス基板を50mm×50mm×0.7mmの大きさに切断し、イソプロピルアルコール及び純水を用いてそれぞれ5分間超音波洗浄した後、30分間紫外線オゾン洗浄して使用した。前記ITOガラス基板の上部に、MTDATAを真空蒸着して1,200Åの厚さの正孔注入層を形成した後、前記正孔注入層の上部に青色ホスト化合物としてTBADN94質量%、及び青色ドーパントとしてDPAVBI5質量%を使って、200Å厚さの青色共通発光層を形成した。前記青色発光層上にNPBを真空蒸着して100Å厚さの共振補助層を形成した後、前記共振補助層上に第1バッファ層としてホスト化合物であるCBPを100Å厚さで形成した。第1バッファ層上に緑色ホスト化合物としてCBP95質量%、及び緑色ドーパントとしてIr(ppy)
3 5質量%を使って400Å厚さの緑色発光層を形成した。前記緑色発光層の上部にCBPを真空蒸着して、100Å厚さの第2バッファ層を形成した。第2バッファ層上にAlq
3を真空蒸着して300Å厚さの電子輸送層を形成した後、LiQを真空蒸着して10Å厚さの電子注入層を形成した。電子注入層上にAlを真空蒸着して1,200Å厚さのカソードを形成することで有機発光素子を完成した。
【0087】
(実施例2)
共振補助層をNPBからp−doped NPBに変更した点を除いては実施例1と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0088】
(比較例1)
第1バッファ層及び第2バッファ層を形成しない点を除いては実施例1と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0089】
表1に実施例1、実施例2及び比較例1の有機発光素子の駆動電圧及び発光効率を示した。表1を参照すれば、実施例1及び実施例2の駆動電圧が比較例1より低く、実施例1及び実施例2の発光効率が比較例1より2倍ほど高いことが分かる。
【0090】
【表1】
【0091】
図6は、実施例1、実施例2及び比較例1の有機発光素子の発光効率と輝度との関係を示したグラフである。発光効率(Cd/A)は、単位電流当たりに放出される光の強度を測定したものである。
図6を参照すれば、実施例1及び実施例2の発光効率は、比較例1の約2倍の値を示し、輝度が大きくなるにつれて実施例1及び実施例2の発光効率が低減するロールオフ現象も、比較例1より非常に少なかった。
【0092】
(実施例3)
緑色発光層のホスト物質としてCBPとBAlqの混合物質を使ったことを除いては実施例1と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0093】
(実施例4)
第1バッファ層の物質として実施例3の緑色発光層の混合ホスト物質を使ったことを除いては実施例3と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0094】
(実施例5)
共振補助層物質として実施例2の共振補助層物質を使ったことを除いては実施例3と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0095】
(比較例2)
緑色発光層物質をCBPからCBPとBalqの混合物質に変更した点を除いては比較例1と同様にして、有機発光素子を完成した。
【0096】
表2に、実施例3〜実施例5及び比較例2の有機発光素子の駆動電圧及び発光効率を示した。表2を参照すれば、実施例3〜実施例5の駆動電圧が比較例2より低く、発光効率が比較例2より更に高いということが分かる。
【0097】
【表2】
【0098】
図7は、実施例3〜実施例5及び比較例2の有機発光素子の発光効率と輝度との関係を示したグラフである。
図7を参照すれば、実施例3〜実施例5の発光効率は、比較例2より高い値を示した。一方、実施例5の場合に駆動電圧が最も低く、発光効率は最も高かった。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。