特許第6363383号(P6363383)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363383
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】包装材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/30 20060101AFI20180712BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20180712BHJP
   B65D 75/04 20060101ALI20180712BHJP
【FI】
   B65D65/30
   B65D75/62 A
   B65D75/04
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-84521(P2014-84521)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202900(P2015-202900A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241186
【氏名又は名称】朋和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】白井 直人
(72)【発明者】
【氏名】笹本 潤一
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−019164(JP,U)
【文献】 特開2010−260592(JP,A)
【文献】 特開平08−198319(JP,A)
【文献】 特開2011−111216(JP,A)
【文献】 国際公開第99/58406(WO,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第0835748(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0090717(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第2298652(EP,A1)
【文献】 国際公開第2013/024412(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0033660(US,A1)
【文献】 国際公開第96/09967(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/30
B65D 75/04
B65D 75/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体状の物品を包装可能なシート状の形状を有し、物品の一の面と重なる第一切断領域に切り込み状に形成された第一切込線を備え、該第一切込線の両端部を起点に一方向に延びる分離予定線に沿って第一切断領域が前記一方向の一端側から他端部側へ向かって切断されることで、第一切込線と分離予定線とで囲まれた分離予定領域が他の領域から分離されるように構成された包装材であって、
前記物品の一の面に隣接する他の面と重なる第二切断領域であって前記一方向に対して交差する他方向において第一切断領域に隣接する第二切断領域を備えており、
前記第一切込線は、両端部間の領域よりも両端部が前記一方向における第一切断領域の他端側に位置しており、
第一切込線と接する位置から第二切断領域側に向かって分離予定領域の外側の領域に切り込み状に形成された第二切込線を更に備えることを特徴とする包装材。
【請求項2】
一切込線と接することなく分離予定線上に切り込み状に形成された第三切込線を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多面体状の物品を包装する包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の包装材を用いて多面体状の物品を包装した場合、包装材には、物品の各面に沿った領域が複数形成される。例えば、三角柱状の物品を包装した包装材においては、物品の三角形状の一対の面に沿った上面領域および下面領域と、該上面領域および下面領域間に形成された側面領域とが形成されることになる(特許文献1参照)。
【0003】
そして、包装材によって物品が包装された状態から物品を取り出す際には、包装材の一部を切断して所定の領域を他の領域から分離させる。これにより、分離された領域に形成される開口部から物品を取り出すことが可能となる。例えば、上記のような包装材では、上面領域の外周部が切断されることで、上面領域が他の領域から分離され、上面領域が分離された位置に開口部が形成される。これにより、該開口部から物品を取り出すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−1002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような包装材では、多面体状の物品の一の面に対応した領域(具体的には、上面領域)のみが他の領域から分離されて開口部が形成されるため、該開口部からは物品の一の面のみが露出することになる。このため、物品を開口部から取り出す際に、物品を手で把持することが困難となり、開口部からの物品の取り出しを容易に行うことができない。また、物品の一の面以外の面が包装材と重なった状態であるため、物品を開口部から取り出す際に、物品と包装材とが接触し、物品の性状によっては(例えば、物品がケーキやチーズのような脆い食品である場合には)、物品が損傷する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、物品を包装した状態から容易に物品を取り出すことができると共に、物品の損傷を抑制することができる包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装材は、多面体状の物品を包装可能なシート状の形状を有し、物品の一の面と重なる第一切断領域に切り込み状に形成された第一切込線を備え、該第一切込線の両端部を起点に一方向に延びる分離予定線に沿って第一切断領域が前記一方向の一端側から他端部側へ向かって切断されることで、第一切込線と分離予定線とで囲まれた分離予定領域が他の領域から分離されるように構成された包装材であって、前記物品の一の面に隣接する他の面と重なる第二切断領域であって前記一方向に対して交差する他方向において第一切断領域に隣接する第二切断領域を備えており、前記第一切込線は、両端部間の領域よりも両端部が前記一方向における第一切断領域の他端側に位置しており、第一切込線と接する位置から第二切断領域側に向かって分離予定領域の外側の領域に切り込み状に形成された第二切込線を更に備えることを特徴とする。
【0008】
斯かる構成によれば、本発明に係る包装材を用いて多面体状の物品が包装された状態で、第一切込線の両端部を起点に包装材が切断されることで、分離予定領域が他の領域から分離される。これにより、包装材の第一切断領域には、分離予定領域が分離した部分に開口部が形成され、該開口部の内側から物品の一の面が露出した状態となる。
【0009】
また、第一切込線と接する第二切込線が分離予定領域の外側の領域に形成されることで、上述のように分離予定領域が他の領域から分離されて開口部が形成された際に、該開口部と第二切込線とが連続した状態となる。
【0010】
そして、第二切込線における第二切断領域側の端部を起点に包装材が切断されることで第二切断領域が切断される。そして、第二切断領域が切断されることで、第二切断領域の少なくとも一部の領域が他の領域から分離されて物品の他の面が露出した状態となる。この際、第一切断領域における物品の一の面が露出する領域(即ち、開口部の内側の領域)と、第二切断領域における物品の他の面が露出する領域とが連続した状態となる。
【0011】
これにより、物品の一の面と、該一の面に隣接する他の面とが露出した状態となるため、第一切断領域に形成される開口部の内側からのみ物品の一の面が露出する場合よりも、物品の露出面積が広くなる。このため、第一切断領域の開口部からのみ物品を取り出し可能である場合よりも、物品を容易に取り出すことができると共に、包装材と物品との接触部分が少なくなるため、物品を取り出す際に、包装材と物品とが接触して物品が破損してしまうのを抑制することができる。
【0012】
一切込線と接することなく分離予定線上に切り込み状に形成された第三切込線を更に備えることが好ましい。
【0013】
斯かる構成によれば、本発明に係る包装材を用いて多面体状の物品が包装された状態で、第一切込線の両端部を起点に、第一切込線と第三切込線との間の領域を含む分離予定線上で包装材が切断されることで、分離予定領域が他の領域から分離される。これにより、包装材の第一切断領域には、分離予定領域が分離した部分に開口部が形成され、該開口部の内側から物品の一の面が露出した状態となる。
【0014】
また、第二切込線が分離予定領域の外側の領域に形成されることで、上述のように分離予定領域が他の領域から分離されて開口部が形成された際に、該開口部と第二切込線とが連続した状態となる。
【0015】
そして、第二切込線における第二切断領域側の端部を起点に包装材が切断されることで第二切断領域が切断される。そして、第二切断領域が切断されることで、第二切断領域の少なくとも一部の領域が他の領域から分離されて物品の他の面が露出した状態となる。この際、第一切断領域における物品の一の面が露出する領域(即ち、開口部の内側の領域)と、第二切断領域における物品の他の面が露出する領域とが連続した状態となる。
【0016】
これにより、物品の一の面と、該一の面に隣接する他の面とが露出した状態となるため、第一切断領域に形成される開口部の内側からのみ物品が露出する場合よりも、物品の露出面積が広くなる。このため、第一切断領域の開口部からのみ物品を取り出し可能である場合よりも、物品を容易に取り出すことができると共に、包装材と物品との接触部分が少なくなるため、物品を取り出す際に、包装材と物品とが接触して物品が破損してしまうのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、物品を包装した状態から容易に物品を取り出すことができると共に、物品の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第一実施形態に係る包装材と、該包装材によって包装される物品を示した斜視図。
図2】同実施形態に係る包装材における第一切込線の周辺を示した図。
図3】同実施形態に係る包装材を用いて物品が包装されてなる包装体を示した斜視図。
図4】同実施形態に係る包装材を用いて形成された包装体において、包装材の第一切断領域が切断されて開口部が形成された状態を示す斜視図。
図5】同実施形態に係る包装材を用いて形成された包装体において、包装材の第一切断領域および第二切断領域が切断されて開口部が形成された状態を示す斜視図。
図6】第二実施形態に係る包装材における第一切込線の周辺を示した図。
図7】同実施形態に係る包装材を用いて物品が包装されてなる包装体を示した斜視図。
図8】同実施形態に係る包装材を用いて形成された包装体において、包装材の第一切断領域が切断されて開口部が形成された状態を示す斜視図。
図9】同実施形態に係る包装材を用いて形成された包装体において、包装材の第一切断領域および第二切断領域が切断されて開口部が形成された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態について、図1〜5を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付すこととし、その説明は繰り返さない。
【0020】
本実施形態に係る包装材1は、図1に示すように、多面体状(本実施形態では、扁平な三角柱状)の物品Xを包装可能なシート状に形成される。そして、物品Xの各面に沿って包装材1が変形されることで物品Xが包装された状態となる。このため、包装材1は、物品Xの一の面X1と重なる領域(以下、第一切断領域とも記す)A1と、物品Xの一の面X1に隣接する他の面X2と重なる領域(以下、第二切断領域とも記す)A2とを備える。本実施形態では、第一切断領域A1は、矩形状の領域となり、第二切断領域A2は、三角形状の領域となるように構成される。
【0021】
本実施形態では、包装材1は、図2に示すように、物品Xを包装可能な大きさに形成されて物品Xの各面に沿って変形可能な本体シート2と、包装材1(具体的には、本体シート2)の切断方向を制御するカットテープ3と、後述する第一切込線2aおよび第二切込線2dを本体シート2の一方の面側から覆うカバーシート4とから構成される。
【0022】
また、包装材1は、第一切断領域A1に切り込み状に形成された第一切込線2aを備える。該第一切込線2aは、本体シート2を貫通するように形成される。また、第一切込線2aは、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に位置する一端部側に形成される。また、第一切込線2aの両端部は、第一切込線2aの両端部以外の部位よりも第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に位置する他端部側に形成される。本実施形態では、第一切込線2aは、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に沿って形成された一対の切込線第一部位2b,2bを備え、該一対の切込線第一部位2b,2bの各一端部が第一切込線2aの両端部を構成する。また、第一切込線2aは、一対の切込線第一部位2b,2bの他端部同士と連結される切込線第二部位2cを備える。該切込線第二部位2cは、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)と交差(具体的には、略直交)するように形成される。つまり、本実施形態では、第一切込線2aは、コの字状の形状を有する。
【0023】
上記のような第一切込線2aを備えることで、包装材1は、第一切込線2aの両端部を起点に切断可能に構成される。具体的には、包装材1は、第一切込線2aの両端部を起点に一対の分離予定線L1,L1に沿って(具体的には、第一切断領域A1の長手方向の一端側から他端側に向かって)切断可能に構成される。一対の分離予定線L1,L1は、第一切込線2aの両端部から第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に沿って伸びる一対の仮想線である。そして、包装材1は、第一切込線2aの両端部を起点に一対の分離予定線L1,L1上で切断されることで、第一切込線2aと一対の分離予定線L1,L1とで囲まれた領域(以下、分離予定領域)A3が他の領域から分離可能に構成される。
【0024】
また、包装材1は、分離予定領域A3の外側の領域に切り込み状に形成された第二切込線2dを更に備える。該第二切込線2dは、第一切込線2a(具体的には、一方の切込線第一部位2b)と接するように形成される。また、第二切込線2dは、第一切込線2a(具体的には、一方の切込線第一部位2b)と接する位置から第二切断領域A2側に向かって線状に形成される。本実施形態では、第二切込線2dは、第二切断領域A2側の端部が第二切断領域A2内に位置するように形成される。つまり、第二切込線2dは、第一切断領域A1と第二切断領域A2との境界線と交差するように形成される。また、第二切込線2dは、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に対して交差(具体的には、略直交)するように形成される。言い換えれば、第二切込線2dは、第一切込線2aの両端部を起点とする包装材1(本体シート2)の切断方向(一対の分離予定線L1,L1の伸びる方向)に対して交差(具体的には、略直交)するように形成される。
【0025】
カットテープ3は、第一切込線2aの両端部間(即ち、一対の分離予定線L1,L1間)に配置される。つまり、カットテープ3は、分離予定領域A3の外周縁よりも内側に配置される。また、カットテープ3は、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)に沿って配置される。言い換えれば、カットテープ3は、包装材1の切断方向(一対の分離予定線L1,L1の伸びる方向)に沿って配置される。また、カットテープ3は、ヒートシール等を用いて本体シート2に貼り付けられる。
【0026】
また、カバーシート4は、第一切込線2aおよび第二切込線2dを本体シート2の一方の面側から覆うように本体シート2に貼り付けられる。具体的には、カバーシート4は、第一切込線2aおよび第二切込線2dから離間した位置で、本体シート2にヒートシールされることで、本体シート2に貼り付けられる。
【0027】
次に、上記のように形成される包装材1によって物品Xが包装された状態から物品Xを取り出す流れについて説明する。
【0028】
包装材1を用いて物品Xを包装することで、図3に示すような包装体1Xが形成される。該包装体1Xでは、包装材1における第一切断領域A1に対して第二切断領域A2が交差する(具体的には、略直交する)ように配置される。そして、包装材1における第一切込線2aで囲まれた領域によって、指で摘むことが可能な第一摘み片1aが形成される。一方、第二切込線2dは、第一切断領域A1に形成された部分と第二切断領域A2に形成された部分とが交差する(具体的には、略直交する)ように構成される。
【0029】
そして、第一摘み片1aを摘んで、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)の一端側から他端側に向かって第一摘み片1aを引っ張ることで、第一切込線2aの両端部を起点に一対の分離予定線L1,L1上で包装材1が切断される。これにより、第一切込線2aと一対の分離予定線L1,L1とで囲まれた分離予定領域A3が他の領域から分離されて、図4に示すように、第一分離片1bが形成される。そして、第一分離片1bが形成されることで、包装材1(具体的には、第一切断領域A1)における第一分離片1bが分離された領域に開口部1cが形成される。これにより、該開口部1cから物品X(具体的には、物品Xの一の面X1)が露出した状態となる。
【0030】
上記のように開口部1cが形成されることで、第二切込線2d(具体的には、第一切込線2aと接する端部)は、開口部1cと連結される。これにより、包装材1における第二切込線2dを構成する一対の端部1d,1dを摘むことが可能となる。つまり、開口部1cが形成されることで、包装材1における第二切込線2dを構成する一対の端部1d,1dに一対の第二摘み片1d,1dが形成される。
【0031】
そして、一対の第二摘み片1d,1dの少なくとも一方を第二切断領域A2側に引っ張ることで、第二切込線2dにおける第二切断領域A2側の端部を起点に第二切断領域A2が切断される。これにより、第二切断領域A2の一部の領域が他の領域から分離されて、図5に示すように、第二分離片1eが形成される。そして、第二切断領域A2における第二分離片1eが分離された領域から物品X(具体的には、物品Xの他の面X2)が露出する。これにより、第一切断領域A1における物品Xが露出した領域と、第二切断領域A2における物品Xが露出した領域とが連結されて、第一切断領域A1に形成される開口部1cよりも開口面積の広い開口部1fが形成される。これにより、斯かる開口部1fから物品Xを取り出すことが可能となる。
【0032】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図6〜9を用いて説明する。第二実施形態に係る包装材10は、第一実施形態に係る包装材1と比較すると、主に第三切込線2eを備える点で異なるものであり、それに伴って、第二切込線2dの構成も一部異なる点を有する。従って、以下では、第一実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成に対しては同一の符号を付すこととして説明を省略する。
【0033】
本実施形態に係る包装材10は、図6に示すように、第一切断領域A1における一対の分離予定線L1,L1上に切り込み状に形成された一対の第三切込線2e,2eを備える。一対の第三切込線2e,2eは、第一切込線2a(具体的には、第一切込線2aの両端部)から離間した位置に形成される。そして、第二切込線2dは、第一切込線2aではなく、一方の分離予定線L1と接するように形成される。具体的には、第二切込線2dは、一方の分離予定線L1上に形成された一方の第三切込線2eと接するように形成される。また、第二切込線2dは、一方の第三切込線2eと接する位置から第二切断領域A2側に向かって線状に形成される。
【0034】
カットテープ3は、第一切込線2aの両端部間および一対の第三切込線2e,2e間(即ち、一対の分離予定線L1,L1間)に配置される。また、カバーシート4は、第一切込線2a、第二切込線2d、および、一対の第三切込線2e,2eを本体シート2の一方の面側から覆うように本体シート2に貼り付けられる。具体的には、カバーシート4は、第一切込線2a、第二切込線2d、および、一対の第三切込線2e,2eから離間した位置で、本体シート2にヒートシールされることで、本体シート2に貼り付けられる。
【0035】
次に、上記のように形成される包装材10を用いて物品Xを包装した状態から物品Xを取り出す流れについて説明する。包装材10を用いて物品Xを包装することで、図7に示すような包装体10Xが形成される。そして、第一摘み片1aを摘んで、第一切断領域A1の一方向(具体的には、長手方向)の一端側から他端側に向かって第一摘み片1aを引っ張ることで、第一切込線2aの両端部を起点に該両端部と一対の第三切込線2e,2eとの間の領域を含む一対の分離予定線L1,L1上で包装材1が切断される。これにより、第一切込線2aと一対の分離予定線L1,L1とで囲まれた分離予定領域A3が他の領域から分離されて、図8に示すように、第一分離片1bが形成される。そして、第一分離片1bが形成されることで、包装材1(具体的には、第一切断領域A1)における第一分離片1bが分離された領域に開口部1cが形成される。これにより、該開口部1cから物品X(具体的には、物品Xの一の面X1)が露出した状態となる。
【0036】
上記のように開口部1cが形成されることで、第二切込線2d(具体的には、一方の第三切込線2eと接する端部)は、開口部1cと連結される。これにより、一対の第二摘み片1d,1dが形成される。そして、一対の第二摘み片1d,1dの少なくとも一方を第二切断領域A2側に引っ張ることで、図9に示すように、第二切込線2dにおける第二切断領域A2側の端部を起点に第二切断領域A2が切断される。これにより、第二切断領域A2の一部の領域が他の領域から分離されて第二分離片1eが形成される。そして、第二切断領域A2における第二分離片1eが分離された領域から物品X(具体的には、物品Xの他の面X2)が露出する。これにより、第一切断領域A1における物品Xが露出した領域と、第二切断領域A2における物品Xが露出した領域とが連結されて、第一切断領域A1に形成される開口部1cよりも開口面積の広い開口部1fが形成される。これにより、斯かる開口部1fから物品Xを取り出すことが可能となる。
【0037】
以上のように、本発明に係る包装材によれば、物品を包装した状態から容易に物品を取り出すことができると共に、物品の損傷を抑制することができる。
【0038】
即ち、前記包装材1,10は、包装体1X,10Xが形成された状態で、第一切込線2aの少なくとも一端部を起点に包装材1,10が切断されることで、分離予定領域A3が他の領域から分離される。これにより、包装材1,10の第一切断領域A1には、分離予定領域A3が分離した部分に開口部1cが形成され、該開口部1cの内側から物品Xの一の面X1が露出した状態となる。
【0039】
また、第一切込線2a又は第三切込線2eと接する第二切込線2dが分離予定領域A3の外側の領域に形成されることで、上述のように分離予定領域A3が他の領域から分離されて開口部1cが形成された際に、該開口部1cと第二切込線2dとが連続した状態となる。
そして、第二切込線2dにおける第二切断領域A2側の端部を起点に包装材1,10が切断されることで第二切断領域A2が切断される。そして、第二切断領域A2が切断されることで、第二切断領域A2の少なくとも一部の領域が他の領域から分離されて物品の他の面X2が露出した状態となる。この際、第一切断領域A1における物品Xの一の面X1が露出する領域(即ち、開口部の内側の領域)と、第二切断領域A2における物品Xの他の面X2が露出する領域とが連続した状態となる。
これにより、物品Xの一の面X1と、該一の面X1に隣接する他の面X2とが露出した状態となるため、第一切断領域A1に形成される開口部1cの内側からのみ物品Xの一の面X1が露出する場合よりも、物品Xの露出面積が広くなる。このため、第一切断領域A1の開口部1cからのみ物品Xを取り出し可能である場合よりも、物品Xを容易に取り出すことができると共に、包装材1,10と物品Xとの接触部分が少なくなるため、物品Xを取り出す際に、包装材1,10と物品Xとが接触して物品Xが破損してしまうのを抑制することができる。
【0040】
なお、本発明に係る包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0041】
例えば、上記実施形態では、第二切込線2dは、第一切込線2a又は第三切込線2eと接するように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、分離予定線L1上における切り込みが形成されていない位置と接する(交差する)ように構成されてもよい。斯かる場合には、分離予定線L1上で包装材が切断されて開口部1cが形成されることで、第二切込線2dと開口部1cとが連結された状態にすることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、第一切込線2aがコの字状に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、U字状、直線状、波形状に形成されてもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、一対の分離予定線L1,L1上で包装材1,10が直線状に切断されているが、これに限定されるものではなく、例えば、包装材1,10が波形状に切断されるように構成されてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、一対の分離予定線L1,L1上で包装材1,10が切断されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第一切込線2aの一方の端部を起点に一の分離予定線L1上で包装材1,10が切断されるように構成されてもよい。斯かる場合には、第一切込線2aと分離予定線L1とで囲まれた三角形状の領域が他の領域から分離して分離片を構成する。
【符号の説明】
【0045】
1,10…包装材、1a…第一摘み片、1b…第一分離片、1c…開口部、1d…第二摘み片、1e…第二分離片、1f…開口部、2…本体シート、2a…第一切込線、2b…切込線第一部位、2c…切込線第二部位、2d…第二切込線、2e…第三切込線、3…カットテープ、4…カバーシート、A1…第一切断領域、A2…第二切断領域、A3…分離予定領域、L1…分離予定線、X…物品、1X,10X…包装体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9