特許第6363406号(P6363406)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363406
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/06 20150101AFI20180712BHJP
【FI】
   A63B53/06 B
   A63B53/06 C
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-122722(P2014-122722)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-2136(P2016-2136A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】坂 航
(72)【発明者】
【氏名】北川 知憲
(72)【発明者】
【氏名】和田 梢
【審査官】 吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−167554(JP,A)
【文献】 特開2007−007063(JP,A)
【文献】 特表2012−525214(JP,A)
【文献】 米国特許第05464211(US,A)
【文献】 特開2004−033536(JP,A)
【文献】 特開2007−044279(JP,A)
【文献】 米国特許第07771291(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、
複数の交換部材と、
複数の取付部と、を備え、
前記複数の交換部材は、
第一の交換部材と、
第二の交換部材と、を少なくとも含み、
前記複数の取付部は、
前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、
前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、
前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、
前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であ
前記第二の取付部は、前記第一の取付部から、少なくともフェース−バック方向に離間した部位に配設されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、
複数の交換部材と、
複数の取付部と、を備え、
前記複数の交換部材は、
第一の交換部材と、
第二の交換部材と、を少なくとも含み、
前記複数の取付部は、
前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、
前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、
前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、
前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であ
前記ゴルフクラブヘッドは、クラウン部、ソール部及びサイド部を備えるウッド型のゴルフクラブヘッドであり、
前記第一の取付部は、前記ソール部に配設され、
前記第二の取付部は、バック側の前記サイド部に配設され、
前記第一の交換部材は、前記第二の交換部材よりも重い、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、
複数の交換部材と、
複数の取付部と、を備え、
前記複数の交換部材は、
第一の交換部材と、
第二の交換部材と、を少なくとも含み、
前記複数の取付部は、
前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、
前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、
前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、
前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、
前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であ
前記ゴルフクラブヘッドは、バック部、ソール部及びサイド部を備えるアイアン型のゴルフクラブヘッドであり、
前記第一の取付部は、前記バック部に配設され、
前記第二の取付部は、トウ側の前記サイド部に配設され、
前記第一の交換部材は、前記第二の交換部材よりも重い、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の交換部材及び前記第二の交換部材は、互いに全長が異なる、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の交換部材及び前記第二の交換部材は、互いに重量が異なる、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項1に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の交換部材及び前記第二の交換部材は、同じ重量である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記当接部分は、前記フェース部の下部である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記当接部分は、前記フェース部の中央部かつ下部である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
請求項1又は請求項3に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第二の取付部は、前記第一の取付部から、少なくともトウ−ヒール方向に離間した部位に配設されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の交換部材及び前記第二の交換部材は、それぞれ、ネジ軸を備え、
前記第一の取付部及び第二の取付部は、それぞれ、前記ネジ軸と螺合するネジ孔を備える、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
請求項10に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の取付部の前記ネジ孔は、その中心線が前記フェース部と交差するように形成されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
請求項10に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の交換部材の前記ネジ軸は、中実又は中空の金属部材である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記複数の交換部材は、3以上の交換部材を含む、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項14】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記複数の取付部は、3以上の取付部を含む、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドの性能を向上するため、様々な構造が提案されている。例えば、特許文献1には中空のゴルフクラブヘッドの内部に骨格を設け、重心位置等の設計自由度を向上しようとしたゴルフクラブヘッドが開示されている。また、例えば、特許文献2〜4には、フェース部の中央部を補強する構造を備えたゴルフクラブヘッドが開示されている。特許文献5及び6には、交換部品を備えてユーザが好みの特性を選択可能なゴルフクラブヘッドが開示されている。特許文献5及び6には、交換部品として、打撃時のフェース部の振動の減衰を促進させる交換部品が開示されている。特許文献7には、フェース部の中央部を補強する構造を備えたゴルフクラブヘッドが開示されており、中央部の剛性を調節可能な構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6558271号明細書
【特許文献2】米国特許第7140977号明細書
【特許文献3】米国特許第8602912号明細書
【特許文献4】特許第5438124号公報
【特許文献5】特許第4608437号公報
【特許文献6】特許第4608426号公報
【特許文献7】特表2012−525214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フェース部の剛性分布は、飛距離性能や打感といったゴルフクラブヘッドの特性に影響する。しかし、ゴルファーの能力や好みにより、その効果の程度は異なる。したがって、ゴルファーが好みの特性を選択できることが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、フェース部の剛性分布をゴルファーが変更可能なゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、複数の交換部材と、複数の取付部と、を備え、前記複数の交換部材は、第一の交換部材と、第二の交換部材と、を少なくとも含み、前記複数の取付部は、前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であ前記第二の取付部は、前記第一の取付部から、少なくともフェース−バック方向に離間した部位に配設されている、ことを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。
また、本発明によれば、フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、複数の交換部材と、複数の取付部と、を備え、前記複数の交換部材は、第一の交換部材と、第二の交換部材と、を少なくとも含み、前記複数の取付部は、前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であり、前記ゴルフクラブヘッドは、クラウン部、ソール部及びサイド部を備えるウッド型のゴルフクラブヘッドであり、前記第一の取付部は、前記ソール部に配設され、前記第二の取付部は、バック側の前記サイド部に配設され、前記第一の交換部材は、前記第二の交換部材よりも重い、ことを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される
また、本発明によれば、フェース部を備えるゴルフクラブヘッドであって、複数の交換部材と、複数の取付部と、を備え、前記複数の交換部材は、第一の交換部材と、第二の交換部材と、を少なくとも含み、前記複数の取付部は、前記第一の交換部材が着脱自在な第一の取付部と、前記第一の取付部とは異なる部位に配設され、前記第二の交換部材が着脱自在な第二の取付部と、を少なくとも含み、前記第一の交換部材は、前記第二の取付部に着脱自在であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に着脱自在であり、前記第一の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接して、その当接部分の変形を拘束する補強部材であり、前記第二の交換部材は、前記第一の取付部に取り付けられた場合に、前記フェース部の背面に当接しない部材であり、前記ゴルフクラブヘッドは、バック部、ソール部及びサイド部を備えるアイアン型のゴルフクラブヘッドであり、前記第一の取付部は、前記バック部に配設され、前記第二の取付部は、トウ側の前記サイド部に配設され、前記第一の交換部材は、前記第二の交換部材よりも重い、ことを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フェース部の剛性分布をゴルファーが変更可能なゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)は本発明の一実施形態のゴルフクラブヘッドの斜視図、(B)は図1(A)のゴルフクラブヘッドをソール部側から見た図。
図2】(A)及び(B)は図1(A)のI-I線に沿う断面図。
図3】(A)及び(B)は当接部分の位置の例の説明図。
図4】(A)〜(C)は別例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1(A)は本発明の一実施形態のゴルフクラブヘッド10の斜視図、図1(B)はゴルフクラブヘッド10をソール部13側から見た図である。
【0010】
ゴルフクラブヘッド10は中空体をなしており、その周壁が、フェース部11、クラウン部12、ソール部13及びサイド部14を構成している。フェース部11は、その表面(正面)がフェース面(打撃面)を形成する。フェース面にはバルジ及びロールを形成することができる。クラウン部12はゴルフクラブヘッド10の上部を形成する。ソール部13はゴルフクラブヘッド10の底部を形成する。サイド部14はソール部13と、クラウン部12との間の部分を形成する。また、ゴルフクラブヘッド10はシャフトが取付けられるホゼル部15を備える。
【0011】
図1(A)の矢印d1はフェース−バック方向を示し、矢印d2はトウーヒール方向を示す。フェース−バック方向は、通常は、飛球線方向(打球の目標方向)となる。トウ−ヒール方向は、ソール部13のトウ側端とヒール側端とを結ぶ方向とする。フェース部11の上下方向は、ゴルフクラブヘッドを規定ライ角通りに接地した場合を基準とする。本実施形態の場合、ソール部13−クラウン部12の方向となる。
【0012】
ゴルフクラブヘッド10はドライバ用のゴルフクラブヘッドである。しかし、本発明はドライバ以外のフェアウエイウッド等も含むウッド型のゴルフクラブヘッド等、他の種類のゴルフクラブヘッドに適用可能である。
【0013】
ゴルフクラブヘッド10は、金属材料から作成することができ、そのような金属材料としては、チタン系金属(例えば、6Al−4V−Tiのチタン合金等)、ステンレス、ベリリウムカッパー等の銅合金が挙げられる。
【0014】
ゴルフクラブヘッド10は、複数のパーツを接合して組み立てることができる。例えば、本体部材とフェース部材とから構成できる。本体部材は、クラウン部12、ソール部13、サイド部14及びフェース部11の周縁部分を構成し、フェース部11に相当する部分の一部に開口部が形成される。フェース部材は本体部材の開口部に接合される。
【0015】
ゴルフクラブヘッド10は、取付部16、17を備える。取付部16は、本実施形態の場合、ソール部13に配設されている。具体的には、ソール部13は、周囲よりも凹んだ凹部13aを含み、取付部16は凹部13aの壁部に形成されてゴルフクラブヘッド10の内部に位置している。また、取付部16は、d2方向で言うとソール部13の中央部に位置し、d1方向で言うとフェース部11側に偏った位置に配設されている。
【0016】
取付部17は、取付部16とは異なる位置に配設されている。本実施形態の場合、取付部17は、バック側のサイド部14に配設されており、d1方向で言うとバック側に偏った位置に配設されている。このため、取付部16と、取付部17とは、互いにd1方向に離間した部位に配設されている。また、取付部17は、d2方向で言うとヒール側に偏った位置に配設されている。このため、取付部16と、取付部17とは、互いにd2方向にも離間した部位に配設されている。
【0017】
本実施形態の場合、取付部16、17は、同径、同ピッチのネジ孔である。取付部16は、その中心線d3がフェース部11と交差するように形成されている。取付部17は、その中心線d4がd1方向よりもd2方向に近い方向となるように形成されている。
【0018】
ゴルフクラブヘッド10は、交換部材18、19を備える。交換部材18は、本実施形態の場合、ネジ軸18aと、頭部18bとを一体に備えるネジ部材である。交換部材19は、本実施形態の場合、ネジ軸19aと、頭部19bとを一体に備えるネジ部材である。
【0019】
頭部18b、19bには六角レンチなどの工具と係合する有底の孔が形成されている。ネジ軸18a及び19aは、それぞれ、取付部16及び取付部17に螺合する軸径及びネジピッチを有している。したがって、交換部材18は、選択的に、取付部16又は取付部17のいずれにも着脱自在である。同様に、交換部材19は、選択的に、取付部16又は取付部17のいずれにも着脱自在である。上述したとおり、取付部16はゴルフクラブヘッド10の内部に位置しているが、凹部13aを設けたことで、交換部材18又は19の着脱を比較的容易なものにしている。取付部17はサイド部14に開口しているので、これも、交換部材18又は19の着脱を比較的容易なものにしている。
【0020】
本実施形態の場合、交換部材18と交換部材19とは、全長を除いて同じ構成としている。交換部材18の全長はL1であり、交換部材19の全長はL2であり、両者はL1>L2の関係にある。ここで、本実施形態の場合、全長L1と全長L2との違いは、専らネジ軸18aとネジ軸19aの長さの違いによるものであり、頭部18と頭部1bとは同じ形状である。
【0021】
交換部材18、19は、本実施形態の場合、それぞれ、比重が同じ金属材料から一体的に形成された中実の金属部材である。金属材料としては、例えば、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、タングステン、タングステン合金、ステンレス等を挙げることができる。既に述べたとおり、交換部材18、19は全長が異なるので、これらは互いに重量が異なる。本実施形態の場合、交換部材18の方が全長が長いので、したがって、交換部材18の方が交換部材19よりもその重量が重い。
【0022】
本実施形態のゴルフクラブヘッド10では、交換部材18、19の取付位置を選択することができる。第1の取付態様は、交換部材18を取付部16に取り付け、交換部材19を取付部17に取り付ける態様である。第2の取付態様は、交換部材18を取付部17に取り付け、交換部材19を取付部16に取り付ける態様である。
【0023】
以下、これらの取付態様の違いについて図2(A)及び(B)を参照して説明する。図2(A)及び(B)は図1(A)のI-I線に沿う断面図であり、図2(A)は第1の取付態様における断面図を示し、図2(B)は第2の取付態様における断面図を示している。
【0024】
図2(A)に示すように、第1の取付態様の場合、交換部材18の先端(ネジ軸18aの先端)がフェース部11の背面に当接する。換言すると、交換部材18の全長L1(特にネジ軸18aの長さ)と取付部16の位置とが、交換部材18の先端がフェース部11の背面に当接するように設計されている。
【0025】
ネジ軸18aの先端がフェース部11の背面に当接することで、フェース部11は、その当接部分Pの変形が拘束される。つまり、交換部材18はフェース部11の変形を局所的に拘束する補強部材として機能する。本実施形態の場合、ネジ軸18aの先端は、先細り形状となっており、フェース部11の背面に点接触する。これは、フェース部11の変形を過剰に拘束することを抑制することができる。ネジ軸18aの先端は、自然状態におけるフェース部11の背面を押圧しない程度に接触するようにしてもよいし、フェース面側に押圧する程度に接触するようにしてもよい。また、取付部16に対するネジ軸18aの締結度合によって、押圧の程度を調整可能としてもよく、最大に締結した場合には、ネジ軸18aの先端がフェース部11の背面をフェース面側に僅かに変位させてもよい。
【0026】
当接部分Pの位置は、本実施形態の場合、d2方向で言うとフェース部11の中央部であり、上下方向で言うとフェース部11の下部としている。当接部分Pの位置の例について図3(A)及び(B)を参照して具体的に説明する。
【0027】
図3(A)において、面S1はゴルフクラブヘッド10を、その規定ライ角、規定ロフト角で接地面に接地させたときに、フェース部11の幾何中心Fcを通り、接地面と垂直であり、トウ―ヒール方向と垂直な仮想垂直面である。なお、ライ角は図3(A)において角度θ1で示されるとおり、ホゼル部15に装着されるシャフト軸線L11と、接地面とがなす角度である。ロフト角は図3(B)において角度θ2で示されるとおり、フェース部11と、接地面に垂直な面とがなす角度である。
【0028】
面S1と交わるフェース部11の上端、下端をそれぞれ位置FP1、FP2とし、位置FP1−FP2間の高低差Hをフェース部11の高さとする。
【0029】
フェース部11を、その高さに応じて三つの領域R1〜R3に仮想的に区別する。下方領域R3は、例えば、フェース部11の下端からH×0.3までの領域とする。中央領域R2は、例えば、下方領域R3の上端からH×0.7までの領域とする。上方領域R1は、例えば、中央領域R2の上端からフェース部11の上端までの領域とする。数値であらわすと、下方領域R3≦H×0.3、H×0.3<中央領域R2≦H×0.7、上方領域R1>H×0.7、となる。当接部分Pは下方領域R3に設定することができる。
【0030】
図2(B)を参照して、第2の取付態様の場合、交換部材19の先端(ネジ軸19aの先端)がフェース部11の背面に当接しない。換言すると、交換部材19の全長L2(特にネジ軸19aの長さ)と取付部16の位置とが、交換部材19の先端がフェース部11の背面から離間して、当接しないように設計されている。本実施形態では、このようにフェース部11の背面に対する当接の有無を交換部材18、19の全長によって制御しており、比較的簡易な構成でフェース部11の背面に対する当接の有無を切り替えることができる。
【0031】
第1の取付態様の場合と、第2の取付態様の場合とでゴルフクラブヘッド10の特性の変化について説明する。本実施形態では、これら2つの取付態様によって、2種類の特性が同時に変化する。そのうちの一つはフェース部11の剛性分布であり、残りの一つは重心位置である。
【0032】
第1の取付態様の場合、当接部分Pの変形が拘束されることにより、フェース部11の剛性分布としては、相対的に中央部から上部では剛性が低く、相対的に下部では剛性が高くなる。つまり、打撃時にフェース部11の上部がバック側に撓み易くなるので、打球の打ち出し角が高くなる傾向にある。重心について着目すると、取付部16、17が互いにd1方向に離間しており、しかも、交換部材18は交換部材19よりも重量が重い。したがって、ゴルフクラブヘッド10の重心位置は相対的にフェース部11側に位置することになる。したがって、打球のバックスピン量が抑制される傾向になる。以上のことから、第1の取付態様の場合、打球の最大飛距離性能が相対的に高くなる。
【0033】
第2の取付態様の場合、交換部材18、19によってフェース部11の変形が拘束されない。したがって、フェース部11の剛性分布としては、第1の取付態様のように相対的に下部で剛性が高くならない。つまり、反発が高いエリアが第1の取付態様の場合よりも広くなる。重心について着目すると、取付部16、17が互いにd1方向に離間しており、しかも、相対的に高重量の交換部材18がバック側に位置しているので、第1の取付態様の場合よりも重心深度が深くなり、ゴルフクラブヘッド10の慣性モーメントが大きくなる。以上のことから、第2の取付態様の場合、打点のバラつきに対する打球の飛距離のバラつきが相対的に小さくなる。
【0034】
このように本実施形態では、交換部材18、19と取付部16、17との組み合わせを変えることで、フェース部11の剛性分布や重心位置をゴルファーが変更することができる。また、剛性分布と重心位置とが、無関係に変更されるのではない。つまり、第1の取付態様の場合は最大飛距離性能の向上に適した剛性分布と重心位置となり、第2の取付態様の場合は飛距離のバラつきの抑制に適した剛性分布と重心位置となる。したがって、取付位置の違いによるゴルフクラブヘッド10の特性の違いが、ゴルファーに理解し易いという利点がある。
【0035】
<第2実施形態>
本発明はアイアン型のゴルフクラブヘッドにも適用可能である。図4(A)は本発明の一実施形態のゴルフクラブヘッド100の斜視図である。矢印d1、d2は上記第1実施形態と同様、それぞれ、フェース−バック方向、トウ−ヒール方向を示す。
【0036】
ゴルフクラブヘッド100は、フェース部101と、バック部102と、ソール部103と、サイド部104と、ホゼル部105と、を備える。
【0037】
フェース部101は、その表面(正面)がフェース面(打撃面)を形成する。フェース面にはスコアラインを形成することができる。バック部102はフェース部101からd1方向(フェース−バック方向)に離間しており、ゴルフクラブヘッド100の背部を形成する。ソール部103はゴルフクラブヘッド100の底部を形成し、フェース部101とバック部102とを接続する。サイド部104はゴルフクラブヘッド100の側部を形成する。
【0038】
ゴルフクラブヘッド10は、単一部品で構成してもよいし、複数のパーツを接合して組み立てることができる。複数のパーツを接合する場合、例えば、本体部材とフェース部材とから構成できる。本体部材はフェース部101以外の部分を構成し、フェース部材は本体部材に接合されてフェース部101を形成する。
【0039】
ゴルフクラブヘッド100は、取付部106、107を備える。取付部106は、本実施形態の場合、バック部102に配設されている。具体的には、取付部106は、d2方向で言うとバック部102の中央部に位置し、上下方向で言うとバック部102の中央部に位置している。
【0040】
取付部107は、取付部106とは異なる位置に配設されている。本実施形態の場合、取付部107は、トウ側のサイド部104に配設されている。このため、取付部106と、取付部107とは、互いにd2方向に離間した部位に配設されている。また、取付部107は、d1方向で言うとフェース部101とバック部102との間に位置している。このため、取付部106と、取付部107とは、互いにd1方向にも離間した部位に配設されている。
【0041】
本実施形態の場合、取付部106、107は、同径、同ピッチのネジ孔である。取付部106は、その中心線d13がフェース部101と交差するように形成されている。取付部107は、その中心線d14がd1方向よりもd2方向に近い方向となるように形成されており、本実施形態の場合、d2方向と平行である。
【0042】
ゴルフクラブヘッド100は、交換部材108、109を備える。交換部材108は、本実施形態の場合、ネジ軸108aと、頭部108bとを一体に備えるネジ部材である。交換部材109は、本実施形態の場合、ネジ軸109aと、頭部109bとを一体に備えるネジ部材である。
【0043】
頭部108b、109bには六角レンチなどの工具と係合する有底の孔が形成されている。ネジ軸108a及び109aは、それぞれ、取付部106及び取付部107に螺合する軸径及びネジピッチを有している。したがって、交換部材108は、選択的に、取付部106又は取付部107のいずれにも着脱自在である。同様に、交換部材109は、選択的に、取付部106又は取付部107のいずれにも着脱自在である。取付部106、107は、それぞれ、バック部102、サイド部104に開口しているので、交換部材108又は109の着脱を比較的容易なものにしている。
【0044】
上記第1実施形態の交換部材18、19と同様、本実施形態の場合、交換部材108と交換部材109とは、全長を除いて同じ構成としており、交換部材108の方が全長が長い。また、交換部材108、109は、比重が同じ金属材料から一体的に形成された中実の金属部材である。
【0045】
本実施形態のゴルフクラブヘッド100では、交換部材108、109の取付位置を選択することができる。第1の取付態様は、交換部材108を取付部106に取り付け、交換部材109を取付部107に取り付ける態様である。第2の取付態様は、交換部材108を取付部107に取り付け、交換部材109を取付部106に取り付ける態様である。
【0046】
以下、これらの取付態様の違いについて図4(B)及び(C)を参照して説明する。図4(B)及び(C)は図4(A)のII-II線に沿う断面図であり、図4(B)は第1の取付態様における断面図を示し、図4(C)は第2の取付態様における断面図を示している。
【0047】
図4(B)に示すように、第1の取付態様の場合、交換部材108の先端(ネジ軸108aの先端)がフェース部101の背面に当接する。ネジ軸108aの先端がフェース部101の背面に当接することで、フェース部101は、その当接部分Pの変形が拘束される。つまり、交換部材108はフェース部101の変形を局所的に拘束する補強部材として機能する。本実施形態の場合、ネジ軸108aの先端は、先細り形状となっており、フェース部101の背面に点接触する。これは、フェース部101の変形を過剰に拘束することを抑制することができる。ネジ軸108aの先端は、自然状態におけるフェース部101の背面を押圧しない程度に接触するようにしてもよいし、フェース面側に押圧する程度に接触するようにしてもよい。また、取付部106に対するネジ軸108aの締結度合によって、押圧の程度を調整可能としてもよく、最大に締結した場合には、ネジ軸108aの先端がフェース部101の背面をフェース面側に僅かに変位させてもよい。
【0048】
当接部分Pの位置は、本実施形態の場合、d2方向で言うとフェース部101の中央部であり、上下方向で言うとフェース部101の下部としている。当接部分Pの位置の例については、図3(A)及び(B)を参照して上述した下部領域R3としてもよい。
【0049】
図4(C)を参照して、第2の取付態様の場合、交換部材109の先端がフェース部101の背面に当接しない。
【0050】
第1の取付態様の場合と、第2の取付態様の場合とでゴルフクラブヘッド100の特性の変化について説明する。本実施形態では、これら2つの取付態様によって、2種類の特性が同時に変化する。そのうちの一つはフェース部101の剛性分布であり、残りの一つは重心位置である。
【0051】
第1の取付態様の場合、当接部分Pの変形が拘束されることにより、フェース部101の剛性分布としては、相対的に中央部から上部では剛性が低く、相対的に下部では剛性が高くなる。アイアン型のゴルフクラブヘッドの場合、一般的に、打点はフェース面の中央部から下部となる。つまり、打撃時にフェース部101の下部が撓みにくくなるので、打感がよくなる。重心について着目すると、取付部106、107が互いにd2方向に離間しており、しかも、交換部材108は交換部材109よりも重量が重い。したがって、ゴルフクラブヘッド100の重心位置は相対的にホゼル部105側に位置することになる。したがって、ゴルフクラブヘッド100がシャフト軸線周りに回転し易くなり、その操作性が向上する。
【0052】
第2の取付態様の場合、交換部材108、109によってフェース部101の変形が拘束されない。したがって、フェース部101の剛性分布としては、第1の取付態様のように相対的に下部で剛性が高くならない。つまり、反発が高いエリアが第1の取付態様の場合よりも広くなる。重心について着目すると、取付部106、107が互いにd2方向に離間しており、しかも、相対的に高重量の交換部材108がトウ側に位置しているので、第1の取付態様の場合よりもゴルフクラブヘッド100の慣性モーメントが大きくなる。以上のことから、第2の取付態様の場合、打点のバラつきに対する打球の飛距離のバラつきが相対的に小さくなる。
【0053】
このように本実施形態では、交換部材108、109と取付部106、107との組み合わせを変えることで、フェース部101の剛性分布や重心位置をゴルファーが変更することができる。また、剛性分布と重心位置とが、無関係に変更されるのではない。つまり、第1の取付態様の場合は打感や操作性といった上級者の好みに適した剛性分布と重心位置となり、第2の取付態様の場合は飛距離のバラつきの抑制といった初級者に適した剛性分布と重心位置となる。したがって、取付位置の違いによるゴルフクラブヘッド100の特性の違いが、ゴルファーに理解し易いという利点がある。
【0054】
<他の実施形態>
上記第1実施形態では、交換部材18、19を取付部16、17に着脱自在にする構造として、ネジ構造を採用したが、これに限られず、どのような着脱構造であってもよい。交換部材18、19の構造、形状も上述した構造、形状に限られない。上記第2実施形態も同様である。
【0055】
また、上記第1実施形態では、交換部材18と交換部材19との重量が異なるものとしたが、同じであってもよい。ただし、この構成の場合、第1の取付態様と第2の取付態様とで重心の変化が無いか、極めて小さいものとなる場合があり、実質的にフェース部11の剛性分布のみが変化することになる。上記第2実施形態も同様である。
【0056】
また、上記第1実施形態では、交換部材18及び19を中実の金属部材としたが中空の金属部材としてもよい。中空の金属部材とする場合、例えば、ネジ軸18a、19aが円筒状であってもよい。上記第2実施形態も同様である。
【0057】
また、上記第1実施形態では、交換部材18及び19を比重が同じ金属部材としたが、比重が異なる金属部材としてもよい。また、交換部材18及び19を金属材料以外の材料から形成してもよい。ただし、交換部材18はフェース部11の変形を拘束する点で、剛性の高い材料であることが好ましい。上記第2実施形態も同様である。
【0058】
また、上記第1実施形態では、当接部分Pの位置をフェース部11の中央部で下部としたが、これに限られず、目的とするスイートエリアの範囲に応じて当接部分Pの位置を設定可能である。上記第2実施形態も同様である。
【0059】
また、上記第1実施形態では、交換部材2つとしたが、3以上であってもよい。また、取付部も3以上であってもよい。この場合、各交換部材はどの取付部に対しても着脱自在であってもよい。各取付部の位置も上述した例に限られない。上記第2実施形態も同様である。
【符号の説明】
【0060】
10、100 ゴルフクラブヘッド
16、17、106、107 取付部
18、19、108、109 交換部材
11、101 フェース部
図1
図2
図3
図4