【文献】
大石 克嘉,自己発熱機能を有する固体型CO2吸収材の構造とその作製方法,関西大学・中央大学新技術説明会,2013年11月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素(CO
2)排出量の増加が大きな環境問題の一つとして挙げられている。このCO
2排出量の増加に対する対策として、直接的なCO
2排出量の削減は重要である。しかしながら、CO
2排出量増加の主な原因が発電所、製鉄所や自動車の稼働にあるという事実を考慮すると、その排出量を今すぐに劇的に減少させる事は難しいと考えられる。そのため、2つ目の対策として、CO
2の発生には目をつぶり、発電所、製鉄所や自動車の排出混合ガスからCO
2のみを分離・回収する技術が多く提案されてきた。
【0003】
CO
2の分離・回収技術は、1)膜分離法、2)吸着法、3)化学吸収法の3つに大別される。1)の方法はCO
2分離膜の両側のCO
2の化学ポテンシャルの差を利用してCO
2を分離する方法であり、膜材料としては高分子膜、無機膜、促進輸送膜等がある。2)の方法は、物質への気体の吸着力の違いを利用して、排ガスからCO
2のみを分離する方法である。多孔質のゼオライトや活性炭のようにCO
2を吸着しやすい固体吸着材にCO
2含有ガスを接触させ、固体吸着材の微細な空隙にCO
2を選択的に吸着させることによってCO
2の分離を行うことができる。吸着されたCO
2は減圧または加熱することにより放出・回収される。これらの特徴として比較的装置が簡単であり、乾式操作でメンテナンスが容易であることがあげられるが、吸着材の再生時の所要動力が大きく、吸着工程と脱着工程の切り替え時にバルブの切り替えを頻繁に行うため、装置の耐久性には問題がある。
【0004】
これに対して、3)の化学吸着法は、吸着(吸収)材質とCO
2間の化学反応を利用した方法であるため、CO
2選択性が非常に高く、CO
2吸収後の安定性も高く、さらに繰り返し利用が容易であると考えられている。従来、化学吸着(吸収)法に使用されるCO
2吸収材としては、有機系ではモノエタノールアミン(HOC
2H
4NH
2)を中心としたアミン系有機物質が有力視されている。これらアミン系CO
2吸収材は、水に溶解させて使用されていて(10%〜20%濃度)、最近稼働率が増大した火力発電所等では応用が最も近いと言われている。
【0005】
近年、リチウム複合酸化物は、高温な場所で使用可能であり、かつ、高性能でコンパクトな無機固体系のCO
2吸収材として期待されている。リチウム複合酸化物のCO
2吸収材としての特徴は、600℃以上の高温領域でCO
2と高速に反応すること、また、1gあたりのCO
2を吸収能力が大きいこと、が挙げられる。特許文献1では、リチウム複合酸化物をCO
2吸収材として用いて、大気中のCO
2の吸収放出が可能であり、良好な炭酸ガス吸収性を有する炭酸ガス吸収材、CO
2吸収性が高く、大気等の炭酸ガス含有雰囲気中での炭酸ガスの吸収放出が行なえる炭酸ガスの吸収放出方法および吸収放出装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、CO
2吸収材とCO
2とを反応させた場合、CO
2との反応が進行するに従い、CO
2吸収材の粒子表面が反応生成物で覆われてしまうため、CO
2吸収能力は急激に低下してしまうという問題を有している。そのため、CO
2吸収部材を繰り返し利用するためには、一旦吸収させたCO
2を放出させる過程が必要となる。吸収したCO
2を放出させるためには、CO
2吸収部材を電気炉内に移動させて700℃以上に加熱するか、または、CO
2吸収材と電気炉を合体させた大型の吸収部材にする必要がある。しかしながら、このような場合、CO
2吸収部材が大型化してしまい、用途が制限されてしまうおそれがあり好ましくない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、コンパクトで、かつ、吸収したCO
2の放出を容易に行うことができるCO
2吸収部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解消するために鋭意検討した結果、CO
2吸収材の担体に所定の材質を用いることで、CO
2吸収部材の温度を容易に制御することでき、これにより、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のCO
2吸収部材の製造方法は、自己発熱線材と、該自己発熱線材を被覆するLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3からなる群から選択されるCO
2吸収材を有する表層と、を有するCO
2吸収部材の製造方法において、
前記自己発熱線材の表面上に、前記CO
2吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、前記自己発熱線材に通電することにより発熱させて、前記CO
2吸収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0011】
本発明のCO
2吸収部材の製造方法においては、前記自己発熱線材は銅線材、ケイ素線材またはニクロム線材であることが好ましい。また、本発明においては、前記加熱工程における加熱温度は700℃〜950℃であることが好ましい。本発明においては、前記自己発熱線材が銅線材またはケイ素線材であり、かつ、前記CO
2吸収材がLi
2CO
3の微粉末であることがより好ましく、この場合、前記加熱工程における加熱温度は685℃〜950℃であることが好ましい。
【0013】
本発明の他のCO
2吸収部材の製造方法は、自己発熱線材と、該自己発熱線材を被覆するLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3からなる群から選択されるCO
2吸収材を有する表層と、を有するCO
2吸収部材の製造方法であって、
前記自己発熱線材と前記表層との間に層厚18μm以下の酸化層を有するCO
2吸収部材の製造方法において、
前記自己発熱線材を通電することにより自己発熱線材の表面を酸化して酸化層を形成する酸化工程と、
前記酸化工程後、前記酸化層の表面上に、前記CO
2吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後、前記自己発熱線材に通電することにより発熱させて、前記CO
2吸収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を含むことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の他のCO
2吸収部材の製造方法においては、前記酸化工程において、前記自己発熱線材を表面電力密度3.0〜8.0W/cm
2で通電することが好ましい。また、本発明においては、前記加熱工程において、前記自己発熱線材を表面電力密度9.0〜15W/cm
2で通電することが好ましい。本発明においては、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンパクトで、かつ、吸収したCO
2の放出を容易に行うことができるCO
2吸収部材の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のCO
2吸収部材の製造方法は、自己発熱線材と、この自己発熱線材を被覆するLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3からなる群から選択されるCO
2吸収材を有する表層と、を有するCO
2吸収部材を製造する方法である。CO
2吸収材の担体として、自己発熱線材を用いることで、直接CO
2吸収部材を加熱するすることが可能となり、CO
2吸収部材からCO
2を放出させるために用いていた電気炉を用いなくてもよくなる。また、自己発熱線材を適宜選択するれば、自己発熱線材に通電する電流量を調整することにより、CO
2吸収部材のCO
2吸収能が最大となるとなる温度やCO
2放出温度に容易に調整できる。
【0020】
本発明においては、自己発熱体の表面上にCO
2吸収材からなる表層を設けるために、自己発熱線材の表面上に、CO
2吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、塗布工程後、自己発熱線材に通電することにより発熱させて、CO
2吸収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を有する。すなわち、自己発熱線材を発熱させて、自己発熱部材の表面上のCO
2吸収材を溶融させ、これにより、CO
2吸収材からなる表層を設けることが可能になるため、電気炉を用いることなくCO
2吸収部材を製造することができる。
【0021】
本発明においては、自己発熱線材としては、特に制限はないが、銅線材、ケイ素線材またはニクロム線材を好適に用いることができる。特に、銅線材またはケイ素線材が好ましい。金属シリコン(Si)はホウ素(B)やリン(P)等の不純物をドープすることにより、様々な電気抵抗率ρ値をもつ不純物Siとして販売されている。このため、それら不純物Siを目的に応じて適宜選択することにより、所期の発熱を得ることができるという利点を有している。一方、銅線材は、金属シリコンと比較して延性に富むため、CO
2吸収部材の形状を自由に設計できるという利点を有している。
【0022】
本発明においては、CO
2吸収材であるLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する必要があるが、具体的には、Li
4SiO
4、Li
2CuO
2の場合は、700℃〜950℃であり、Li
2CO
3の場合は685℃〜950℃である。本発明においては、特に、自己発熱線材を銅線材またはケイ素線材とし、CO
2吸収材としては、Li
2CO
3の微粉末を用いることが好ましい。
【0023】
本発明に用いる自己発熱線材の形状には特に制限はなく、例えば、直線状のワイヤを用いることができる。特には、ワイヤ状の自己発熱線材を、スパイラル(バネ)状としたものが好ましい。スパイラル状にすることにより、CO
2吸収部材を配置する空間が狭くても、CO
2吸収部材の表面積を多くすることができ、CO
2の吸収効率を向上させることができる。また、スパイラル状とすると、加熱される自己発熱線材が互いに接近しているため、加熱時に自己発熱線材から外界への放出される熱を極力抑えることができ、その結果、加熱効率が向上するという効果も有している。
【0024】
次に、本発明のCO
2吸収部材について説明する。
本発明のCO
2吸収部材は、自己発熱線材と、自己発熱線材を被覆するLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3からなる群から選択されるCO
2吸収材を有する表層と、を有するものである。本発明のCO
2吸収部材においては、自己発熱線材と表層との間に層厚18μm以下の酸化層を有する。自己発熱線材の表面上に酸化層を設けることで、CO
2吸収材からなる表層を良好に形成することができ、また、CO
2吸収部材に対して連続通電した際における表面のさらなる酸化を防止することができる。しかしながら、酸化層の層厚が18μmよりも厚くなると、自己発熱線材表面と酸化層の間に断層が生じてしまい、酸化層が剥がれやすくなり、酸化層と一緒にCO
2吸収材も剥がれてしまうという問題が生じるおそれがある。その結果、初期のCO
2吸収率が低くなってしまい、脱CO
2後の再利用時においては、さらにCO
2吸収率が低くなってしまう。酸化層の層厚は、連続通電時の金属表面のさらなる酸化を防ぐためにも、好ましくは0.5〜10μmである。
【0025】
本発明のCO
2吸収部材は、自己発熱線材を通電することにより自己発熱線材の表面を酸化して酸化層を形成する酸化工程と、酸化工程後、酸化層の表面上に、CO
2吸収材の微粉末を塗布する塗布工程と、塗布工程後、自己発熱線材に通電することにより発熱させて、CO
2吸収材を脱炭酸温度よりも高い温度、かつ、分解温度よりも低い温度で加熱する加熱工程と、を経て製造する。
【0026】
上記本発明のCO
2吸収部材を製造方法においては、酸化工程において、自己発熱線材を表面電力密度3.0〜8.0W/cm
2で通電することが好ましい。酸化工程における自己発熱線材表面の表面電流密度を上記範囲とすることで、酸化層の層厚を制御しやすくなる。なお、直径が0.5〜1.0mmの銅線材の場合、表面電流密度を上記範囲とすることで、表面温度が約300℃になる。
【0027】
また、上記本発明のCO
2吸収部材を製造方法においては、加熱工程において、自己発熱線材を表面電力密度9.0〜15W/cm
2で通電することが好ましい。加熱工程における自己発熱線材表面の表面電流密度を上記範囲とすることで、銅線の表面温度が700〜750℃となり、酸化層表面に塗布したCO
2吸収材を良好に溶融させることができ、自己発熱線材の表面上にCO
2吸収材の表層を形成することができる。
【0028】
次に、本発明のCO
2吸収装置について説明する。
本発明のCO
2吸収装置は、自己発熱線材と、自己発熱線材を被覆するLi
4SiO
4、Li
2CuO
2およびLi
2CO
3からなる群から選択されるCO
2吸収材からなる表層と、を有するCO
2吸収部材を用いて、空気中のCO
2を吸収するものである。本発明のCO
2吸収装置においては、CO
2吸収部材を収容する少なくとも2個の容器と、CO
2吸収部材を通電するための電気スイッチと、を備え、容器に空気導入管と、脱CO
2空気排出管と、CO
2排出管とが連通されており、電気スイッチの切り替えにより個々の容器ごとにCO
2吸収操作とCO
2分離操作を繰り返すことができる構成となっている。以下、図面を用いて、本発明のCO
2吸収装置を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明のCO
2吸収装置の一好適な実施の形態を示す概略構成図である。図示例においては、2個の容器1a、1bにCO
2吸収部材2a、2bが収容されており、空気が空気導入管3a、3bから各容器1a、1bに導入される。各容器1a、1bの後方には、CO
2を除去した空気(脱CO
2空気)を排出する脱CO
2空気排出管4a、4bと、CO
2吸収部材2a、2bが吸収したCO
2を排出するCO
2排出管5a、5bとが、それぞれ接続されている。
【0030】
容器1a、1bに接続される脱CO
2空気排出管4a、4bおよびCO
2排出管5a、5bは、それぞれバルブv1〜v4により流路が開閉自在となっている。また、各容器1a、1b中のCO
2吸収部材2a、2bは、それぞれ電源スイッチにより通電可能とされている。この電源スイッチにより、各CO
2吸収部材2a、2bの温度を、CO
2吸収に適した温度およびCO
2の放出に適した温度に調整可能としてあり、これにより、CO
2の吸収と、CO
2の放出を制御している。
【0031】
具体的には、空気導入管3a、3bよりCO
2を除去したい空気を容器1a、1bに導入する。この時、例えば、容器1a中のCO
2吸収部材2aにてCO
2の吸収を行う場合には、電源スイッチにより、CO
2吸収部材2aをCO
2の吸収に最適な温度に昇温してCO
2を吸収し、脱CO
2空気を、脱CO
2空気排出管4aより排出している。この時、脱CO
2空気が、CO
2排出管5aに流れ込まないよう、バルブv2を閉めておく。一方、容器1bでは、電源スイッチにより、CO
2の放出に最適な温度にCO
2吸収部材2bを昇温して、脱離したCO
2を、空気導入管3bから導入した空気とともに、CO
2排出管5bより排出する。この時、脱離したCO
2が脱CO
2空気排出管4bに流れ込まないよう、バルブv3を閉めておく。
【0032】
容器1aに配置されたCO
2吸収部材2aが、CO
2で飽和になった場合、容器1aに接続された脱CO
2空気排出管4aのバルブv1を閉め、CO
2排出管5aのバルブv2を開け、同時にCO
2吸収部材2aの温度を電源スイッチでCO
2の放出に最適な温度に調整する。これにより、CO
2吸収部材2aで吸収したCO
2を脱離させ、CO
2吸収部材2aを再生させる。
【0033】
一方、容器1bでは、容器1bに接続された脱CO
2空気排出管4bのバルブv3を空け、CO
2排出管5bのバルブv4を閉め、同時に容器1bに配置されたCO
2吸収部材2bの温度をCO
2の吸収に最適な温度に調整して、空気中のCO
2を吸収し、脱CO
2空気を脱CO
2空気排出管4bから排出する。すなわち、本発明のCO
2吸収装置は、少なくとも2個備えた容器中のCO
2吸収部材を、一方はCO
2の吸収に、他方をCO
2の放出に分け、交互に切り替えることで、コンパクトな構造ながら、空気中のCO
2の連続除去を可能としている。
【0034】
本発明のCO
2吸収装置においては、脱CO
2空気排出管4a、4bの排出口に、CO
2センサーを設置することが好ましい。このセンサーによりCO
2を検出することで、CO
2吸収部材のCO
2の吸収と放出のタイミングを適切に切り替えることが可能になる。なお、図示する例では、CO
2吸収部材を収容した容器は2個であるが、3個以上併設してもよい。
【0035】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
下記の手順で作製したCO
2吸収部材を、
図1に示すタイプのCO
2吸収装置に取り付け、得られたCO
2吸収部材につき、CO
2吸収材層である表層、酸化層、表層の剥がれの有無、CO
2除去効率を評価した。容器の大きさは、内径1.00cmΦ−長さ15.0cmで、内容積が11.8cm
3とし、容器中におけるCO
2吸収部材の占める割合は、0.54%であり、空気導入速度は0.10L/minとして、5.0分間空気を導入した。
【0036】
<実施例1>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形し、銅線材表面上にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。
【0037】
<実施例2>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、36A−10min、293℃、表面電力密度2.97[W/cm
2]の条件で、銅線材表面に層厚0.46μmの酸化銅(Cu
2O、CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図2に、実施例2に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0038】
<実施例3>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、37A−10min、333℃、表面電力密度3.23[W/cm
2]の条件で、銅線材表面に層厚0.73μmの酸化銅(Cu
2O、CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図3に、実施例3に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0039】
<実施例4>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、38A−10min、377℃、表面電力密度3.77[W/cm
2]にて加熱して、銅線材表面に層厚1.1μmの酸化銅(Cu
2O、CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図4に、実施例4に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0040】
<実施例5>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、43A−10min、488℃、表面電力密度4.92[W/cm
2]にて加熱して、銅線材表面に層厚3.2μmの酸化銅(Cu
2O、CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図5に、実施例5に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0041】
<実施例6>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、50A−2min、764℃、表面電力密度8.49[W/cm
2]にて加熱して、銅線材表面に層厚10μmの酸化銅(CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A−5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、同じ条件でCO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図6に、実施例6に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0042】
<比較例1>
線径0.9mm−長さ100mm(10cm)の銅線材をスパイラル状に成形して、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱して、銅線材表面に層厚19μmの酸化銅(CuO)の酸化層を設けた。得られた酸化層を有する銅線材にLi
2CO
3を塗布し、53A、5.0min、741℃、表面電力密度9.50[W/cm
2]にて加熱してLi
2CO
3を溶融させて、CO
2吸収部材を作製した。得られたCO
2吸収部材を用いて、上記条件にてCO
2を吸収させ、次いで、50A−10min、734℃、表面電力密度8.37[W/cm
2]にて加熱してCO
2を脱離させた後、再度、CO
2を吸収させた。得られた結果を表1にまとめる。なお、
図7に、比較例1に係る銅線材表面に形成された酸化層の電子顕微鏡写真を示す。
【0043】
【表1】
※:上段は1回目のCO
2除去効率を、下段は2回目のCO
2除去効率を示す。
【0044】
以上より、本発明の製造方法で作製したCO
2吸収部材は、表層の剥がれも生じず、また、十分なCO
2除去効率を示していることがわかる。一方、比較例においては、銅線材と酸化層間に剥がれが生じてしまったため、電流を流してもCO
2吸収層を効率良く加熱することができず、2回目のCO
2除去率が低下した。なお、比較例のCO
2吸収部材は、3回目以降についても徐々にCO
2除去率が低下していく傾向が見られた。これは、酸化層の剥離が進行していくためであると考えられる。