特許第6363416号(P6363416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6363416車両管理システム、車両管理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6363416
(24)【登録日】2018年7月6日
(45)【発行日】2018年7月25日
(54)【発明の名称】車両管理システム、車両管理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20180712BHJP
   B60R 25/23 20130101ALI20180712BHJP
【FI】
   E05B49/00 J
   E05B49/00 B
   B60R25/23
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-152683(P2014-152683)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-30914(P2016-30914A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】古田 泰子
(72)【発明者】
【氏名】武田 有紀
(72)【発明者】
【氏名】坪谷 寿一
【審査官】 秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−306821(JP,A)
【文献】 特開2014−80165(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0088280(US,A1)
【文献】 特開2007−9538(JP,A)
【文献】 特許第4640667(JP,B2)
【文献】 特開2005−104327(JP,A)
【文献】 特開2012−201203(JP,A)
【文献】 特開2006−144595(JP,A)
【文献】 特開平7−26810(JP,A)
【文献】 特開平11−134570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00〜49/04
B60R 25/00〜25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各々に設けられ、設けられた車両の錠を解錠する付属装置と、
前記複数の付属装置と通信を行う発信機と、
前記複数の付属装置と通信を行う車両管理装置と、
を有するシステムであって、
前記発信機は、前記車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合、第2モードへの移行を指示するメッセージを送信し、
前記付属装置は、
パスコードの入力を受け付けるパスコード受付手段と、
記車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記発信機が送信した前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択手段と、
前記選択手段が前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶手段と、
前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御手段と、
を有する
車両管理システム。
【請求項2】
前記車両管理装置は、
パスコードを発行する発行手段と、
前記発行手段が発行したパスコードを前記付属装置へ送信する第1送信手段と、
前記車両が貸与されるユーザーの端末装置へ前記発行手段が発行したパスコードを送信する第2送信手段と、
を有し、
前記付属装置は、
前記第1送信手段が送信したパスコードを受信するパスコード受信手段を有し、
前記錠制御手段は、第1モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠し、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと、前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致しても前記錠を解錠せず、前記第2モードが選択されている場合にも、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠する
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記車両管理装置は、前記発行手段が発行したパスコードを前記端末装置へ送信したことを前記付属装置へ通知する通知手段を有し、
前記付属装置は、前記通知を取得する通知取得手段を有し、
前記錠制御手段は、前記通知取得手段が前記通知を取得した場合、前記第2モードが選択されている場合にも、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠する
請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記選択手段は、前記通知取得手段が前記第2モードへの移行を一定期間禁止する通知を取得してから予め定められた時間が経過するまでは、前記複数の付属装置と前記車両管理装置とが通信不可能であっても第1モードを選択する
請求項3に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記付属装置は、
外部からの指示を取得する指示取得手段を有し、
前記選択手段は、前記指示取得手段が取得した指示が前記第1モードの選択指示である場合、前記複数の付属装置と前記車両管理装置とが通信不可能となっても第1モードを選択する
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項6】
前記複数の付属装置の各々は、振動を検知するセンサーを有し、
前記選択手段は、前記複数のセンサーの検知結果に応じて前記第2モードを選択する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項7】
前記付属装置は、
災害の発生を表す情報を受信する情報受信手段を有し、
前記選択手段は、前記情報受信手段が受信した情報に応じて前記第2モードを選択する
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項8】
前記付属装置は、
他の付属装置と通信を行う通信手段を有し、
前記選択手段は、前記車両管理装置に対して通信不可能であることを示す情報を前記通信手段が通信を行った全ての付属装置から受信した場合、前記第2モードを選択する
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項9】
錠を有する車両に設けられる付属装置が、パスコードの入力を受け付けるパスコード受付ステップと、
前記複数の付属装置と通信を行う発信機が、付属装置と通信を行う車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合、第2モードへの移行を指示するメッセージを送信するステップと、
前記付属装置が、前記車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記発信機が送信した前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択ステップと、
前記付属装置が、前記選択ステップで前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶ステップと、
前記付属装置が、前記選択ステップにより前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付ステップで受け付けたパスコードと前記記憶ステップで記憶されたパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御ステップと、
を有する車両管理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
パスコードの入力を受け付けるパスコード受付手段と、
錠を有する車両に設けられる付属装置と通信を行う車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合に第2モードへの移行を指示するメッセージを送信する発信機から前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択手段と、
前記選択手段が前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶手段と、
前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御手段
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム、車両管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車を借りるユーザーが替わる毎に自転車の錠を解錠するための符号を変更するシステムが開示されている。このシステムにおいては、ユーザーが携帯電話でセンターサーバーに接続したことを契機にしてセンターサーバーがユニークな番号を生成し、生成した番号をユーザーの携帯電話機と、レンタル自転車の錠に送信する。ユーザーは、携帯電話機に送信された番号を錠に入力する。錠は、センターサーバーから送信された番号と携帯電話機のユーザーがテンキーで入力した番号とが一致すると錠を解錠する。
特許文献2には、災害情報を受信し、現在位置が災害地域内である場合、災害時用に登録されたパスワードでエンジンの始動を可能とする装置が開示されている。
【0003】
特許文献1の発明と特許文献2の発明によれば、災害が発生していないときには、特定のユーザーのみがユニークな番号でレンタル自転車を使用することができ、災害時には、災害用のパスワードでレンタル自転車を使用させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4640667号公報
【特許文献1】特開2006−144595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、災害が発生したときには、災害情報を発信する設備も被害を受けることがある。この場合、災害情報を車両で受信することができなくなり、災害用のパスワードで車両を使用することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上述した背景の下になされたものであり、災害で通信不可能となっても、車両を使用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数の車両の各々に設けられ、設けられた車両の錠を解錠する付属装置と、前記複数の付属装置と通信を行う発信機と、前記複数の付属装置と通信を行う車両管理装置と、を有するシステムであって、前記発信機は、前記車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合、第2モードへの移行を指示するメッセージを送信し、前記付属装置は、パスコードの入力を受け付けるパスコード受付手段と、記車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記発信機が送信した前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択手段と、前記選択手段が前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶手段と、前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御手段と、を有する車両管理システムを提供する。
【0008】
本発明においては、前記車両管理装置は、パスコードを発行する発行手段と、前記発行手段が発行したパスコードを前記付属装置へ送信する第1送信手段と、前記車両が貸与されるユーザーの端末装置へ前記発行手段が発行したパスコードを送信する第2送信手段と、を有し、前記付属装置は、前記第1送信手段が送信したパスコードを受信するパスコード受信手段を有し、前記錠制御手段は、第1モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠し、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと、前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致しても前記錠を解錠せず、前記第2モードが選択されている場合にも、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠する構成としてもよい。
【0009】
また、本発明においては、前記車両管理装置は、前記発行手段が発行したパスコードを前記端末装置へ送信したことを前記付属装置へ通知する通知手段を有し、前記付属装置は、前記通知を取得する通知取得手段を有し、前記錠制御手段は、前記通知取得手段が前記通知を取得した場合、前記第2モードが選択されている場合にも、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記パスコード受信手段が受信したパスコードとが一致すると前記錠を解錠する構成としてもよい。
【0010】
また、本発明においては、前記選択手段は、前記通知取得手段が前記第2モードへの移行を一定期間禁止する通知を取得してから予め定められた時間が経過するまでは、前記複数の付属装置と前記車両管理装置とが通信不可能であっても第1モードを選択する構成としてもよい。
【0011】
また、本発明においては、前記付属装置は、外部からの指示を取得する指示取得手段を有し、前記選択手段は、前記指示取得手段が取得した指示が前記第1モードの選択指示である場合、前記複数の付属装置と前記車両管理装置とが通信不可能となっても第1モードを選択する構成としてもよい。
【0012】
また、本発明においては、前記複数の付属装置の各々は、振動を検知するセンサーを有し、前記選択手段は、前記複数のセンサーの検知結果に応じて前記第2モードを選択する構成としてもよい。
【0013】
また、本発明においては、前記付属装置は、災害の発生を表す情報を受信する情報受信手段を有し、前記選択手段は、前記情報受信手段が受信した情報に応じて前記第2モードを選択する構成としてもよい。
【0014】
また、本発明においては、前記付属装置は、他の付属装置と通信を行う通信手段を有し、前記選択手段は、前記車両管理装置に対して通信不可能であることを示す情報を前記通信手段が通信を行った全ての付属装置から受信した場合、前記第2モードを選択する構成としてもよい。
【0015】
また、本発明は、錠を有する車両に設けられる付属装置が、パスコードの入力を受け付けるパスコード受付ステップと、前記複数の付属装置と通信を行う発信機が、付属装置と通信を行う車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合、第2モードへの移行を指示するメッセージを送信するステップと、前記付属装置が、前記車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記発信機が送信した前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択ステップと、前記付属装置が、前記選択ステップで前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶ステップと、前記付属装置が、前記選択ステップにより前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付ステップで受け付けたパスコードと前記記憶ステップで記憶されたパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御ステップと、を有する車両管理方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、コンピュータを、パスコードの入力を受け付けるパスコード受付手段と、錠を有する車両に設けられる付属装置と通信を行う車両管理装置と通信可能な場合、第1モードを選択し、前記車両管理装置との通信が不可能であるとの通知を予め定められた台数以上の前記付属装置から取得した場合に第2モードへの移行を指示するメッセージを送信する発信機から前記メッセージを取得した場合、第2モードを選択する選択手段と、前記選択手段が前記第2モードを選択した場合に有効となるパスコードを記憶する記憶手段と、前記選択手段により前記第2モードが選択されている場合、前記パスコード受付手段が受け付けたパスコードと前記記憶手段に記憶されているパスコードとが一致すると前記錠を解錠する錠制御手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、災害で通信不可能となっても、車両を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る車両管理システムを構成する装置を示した図。
図2】付属装置10のハードウェア構成を示したブロック図。
図3】付属装置10の機能構成を示したブロック図。
図4】車両管理装置20のハードウェア構成を示したブロック図。
図5】車両管理装置20の機能構成を示したブロック図。
図6】発信機40のハードウェア構成を示したブロック図。
図7】発信機40の機能構成を示したブロック図。
図8】実施形態の動作例を説明するためのシーケンス図。
図9】パスコードの一例を示した図。
図10】実施形態の動作例を説明するためのシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
(全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係わる車両管理システム1を構成する装置を示した図である。車両管理システム1は、車両の一例であるレンタル自転車を管理するシステムであり、付属装置10A,10B、車両管理装置20及び発信機40を含む。通信網2は、データ通信のサービスを提供する移動体通信網である。なお、通信網2は、インターネットや固定電話網なども含めることができる。付属装置10A,10B、車両管理装置20及び端末装置30は、通信網2を介してデータ通信を行う。
【0020】
付属装置10A、10Bは、レンタル自転車の車輪をロックする電子錠3を制御する機能を有しており、レンタル自転車に固定されている。付属装置10Aが固定されている自転車と、付属装置10Bが固定されている自転車は異なる。付属装置10Aと付属装置10Bは、ハードウェア構成は同じであるため、以下、各々を区別する必要がない場合は、「付属装置10」と称する。付属装置10は、通信網2を介して車両管理装置20と通信を行う機能を備えている。
車両管理装置20は、複数のレンタル自転車を管理する装置であり、レンタル自転車の電子錠3を解錠するためのパスコード、レンタル自転車の位置、レンタル自転車が貸与されるユーザーの情報などを管理する。
【0021】
端末装置30は、本実施形態においてはスマートフォンであり、通信網2を介して音声通信やデータ通信を行う。なお、本実施形態においては、端末装置30はスマートフォンであるが、スマートフォンに限定されるものではなく、通信網2を介した通信を行う機能を備えているものであれば、タブレットPC(Personal Computer)、フィーチャーフォン又はPDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。
【0022】
発信機40は、レンタル自転車の駐輪場(貸し出し場所や返却場所となる場所)に設置される装置である。本実施形態においては、複数の駐輪場があり、発信機40が設置されている駐輪場は複数存在する。各駐輪場に設置された発信機40は、各々駐輪場を一意に識別する駐輪場識別子を送信する。本実施形態においては、発信機40は、315MHz帯の電波を用いる無線装置であり、駐輪場識別子を予め定められた周期で送信する。なお、発信機40は、電波が届く範囲が予め定められた範囲となるように、その出力が調整されている。一つの駐輪場が広い場合には、複数の発信機40を駐輪場に設け、各発信機からは同じ駐輪場識別子を送信するようにしてもよい。本実施形態においては、一つの駐輪場には、付属装置10を備えるレンタル自転車が複数台駐輪され、車両管理装置20は、各駐輪場に駐輪された各レンタル自転車を管理する。
【0023】
なお、図1においては、図面が繁雑になるのを防ぐため、付属装置10A、10B、一つの車両管理装置20、一つの発信機40、1つの端末装置30を示しているが、車両管理システム1においては、複数の付属装置10と、複数の車両管理装置20と、二つ以上の発信機40が存在し得る。また、端末装置30についても、複数の端末装置30が存在し得る。
【0024】
(付属装置10の構成)
図2は、付属装置10のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えたマイクロコンピューターである。CPUがROMに記憶されているプログラムを実行すると各種機能が実現する。
記憶部102は、不揮発性メモリーであり、レンタル自転車の電子錠3を解錠するためのパスコード、付属装置10を一意に識別する装置識別子、レンタル自転車の返却場所となる駐輪場の駐輪場識別子などを記憶する。なお、本実施形態においては、レンタル自転車は、各々返却場所となる駐輪場が予め定められている。記憶部102には、レンタル自転車を返却することが可能な駐輪場の駐輪場識別子が記憶され、返却を許可されていない駐輪場の駐輪場識別子は記憶されない構成となっている。
【0025】
表示部103は、液晶ディスプレイを備えており、付属装置10を操作するための画面や各種メッセージ等を表示する。操作部104は、電源ボタン、テンキー、自転車のレンタルを開始するための「開始」ボタン、自転車のレンタルを終了するための「終了」ボタンなどを有する。通信部105は、通信網2を介して通信を行う通信インターフェースとして機能し、各種情報の受信や送信を行う。測位部107は、衛星航法システムの電波を受信するアンテナを備えており、受信した電波に基づいて付属装置10の位置を表す位置情報を制御部101へ出力する。近距離通信部108は、発信機40と通信を行う通信インターフェースとして機能する。近距離通信部108は、発信機40が送信した駐輪場識別子を受信し、受信した駐輪場識別子を制御部101へ出力する。また、近距離通信部108は、各種メッセージの受信や送信を行う。なお、本実施形態においては、通信部105、測位部107及び近距離通信部108は、付属装置10が備える構成となっているが、各々をレンタル自転車に固定し、付属装置10の外部に設けるようにしてもよい。また、本実施形態においては、電子錠3は、付属装置10の外部に設けられているが、付属装置10と一体化されている構成であってもよい。
【0026】
図3は、付属装置10において実現する機能のうち、本発明に係る機能の構成を示したブロック図である。パスコード受信部1001は、通信部105が受信したパスコードを受信するブロックである。パスコード受信部1001が受信したパスコードは、記憶部102に記憶される。なお、本実施形態においては、パスコードは4桁の数字となっている。パスコード受付部1003は、操作部104のテンキーで入力されたパスコードを受け付けるブロックである。パスコード受付部1003が受け付けたパスコードは、錠制御部1002へ送られる。設定部1004は、記憶部102に記憶された複数のパスコードから選択したパスコードを、電子錠3を解錠するパスコードに設定するブロックである。錠制御部1002は、電子錠3を制御するブロックである。錠制御部1002は、パスコード受付部1003が受け付けたパスコードと、設定部1004が設定したパスコードとが一致した場合、電子錠3を解錠する。
【0027】
識別子取得部1005は、近距離通信部108が受信した駐輪場識別子を取得し、取得した駐輪場識別子を判定部1006へ出力する。判定部1006は、識別子取得部1005が取得した駐輪場識別子と、記憶部102に記憶されている駐輪場識別子とに基づいて、付属装置10が設けられたレンタル自転車が返却可能か否か判定するブロックである。判定部1006は、識別子取得部1005が取得した駐輪場識別子が記憶部102に記憶されている場合、付属装置10が設けられたレンタル自転車を返却可能と判定する。選択部1007は、近距離通信部108を制御して発信機40へ情報を送信し、発信機40から送信されて近距離通信部108が受信した情報を取得する。選択部1007は、近距離通信部108から取得した情報に基づいて、後述する災害用パスコードを有効にする災害モード(第2モード)、または災害用パスコードを無効にする通常モード(第1モード)を選択する。また、選択部1007は、通信部105が車両管理装置20と通信可能な状態であるときも通常モードを選択する。受信部1008は、車両管理装置20から送信されるメッセージや指示を取得するブロックである。受信部1008は、外部からの指示を取得する指示取得手段の一例である。
【0028】
(車両管理装置20の構成)
図4は、車両管理装置20のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。制御部201は、CPU、ROM及びRAMを有しており、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行すると各種機能が実現する。記憶部202は、ハードディスク装置を有しており、付属装置10へ送信したパスコードや、レンタル自転車を借りるユーザーに関する情報などを記憶する。ユーザーに関する情報としては、車両管理装置20がユーザーを認証するためのユーザー識別子やパスワード、ユーザーの氏名、ユーザーの電子メールアドレスなどがある。なお、これらの情報は一例であり、ユーザーの住所や電話番号などを記憶してもよい。ユーザーに関する情報は、ユーザーがレンタル自転車を借用する前に予め記憶部202に記憶される。
【0029】
表示部203は、液晶ディスプレイを備えており、車両管理装置20を操作するための画面や記憶部202に記憶されている情報などを表示する。操作部204は、キーボードやマウスなどの入力装置を有している。車両管理装置20は、キーボードやマウスに行われた操作に応じて動作する。通信部205は、通信網2を介して通信を行う通信インターフェースとして機能する。通信部205は、通信網2を介して付属装置10や端末装置30などと情報のやり取りを行う。
【0030】
図5は、車両管理装置20において実現する機能のうち、本発明に係る機能の構成を示したブロック図である。パスコード発行部2003は、付属装置10や端末装置30へ送信するパスコードを発行するブロックである。第1送信部2001は、パスコード発行部2003が発行した複数のパスコードや、付属装置10へ送信するメッセージなどを付属装置10へ送信するブロックである。第1送信部2001は、通信部205を制御してパスコードやメッセージなどを付属装置10へ送信する。第2送信部2002は、レンタル自転車が貸与されるユーザーの端末装置30へパスコードを送信するブロックである。第2送信部2002は、通信部205を制御してパスコードを端末装置30へ送信する。受信部2004は、付属装置10から送信されるメッセージや各種情報を受信するブロックである。
【0031】
(発信機40の構成)
図6は、発信機40のハードウェア構成の一例を示したブロック図である。制御部401は、CPU、ROM及びRAMを有しており、CPUがROMに記憶されているプログラムを実行すると、後述する各種機能が実現する。記憶部402は、不揮発性メモリーを有しており、駐輪場識別子を記憶する。通信部405は、付属装置10と通信を行う通信インターフェースとして機能し、各種メッセージや駐輪場識別子の送信、付属装置10から送信される情報の受信などを行う。
【0032】
図7は、発信機40において実現する機能のうち、本発明に係る機能の構成を示したブロック図である。メッセージ取得部4001は、付属装置10が送信して通信部405が受信したメッセージを取得する。メッセージ送信部4002は、車両管理装置20との通信ができないことを示すメッセージを予め定められた台数以上の付属装置10から取得すると、災害モードへの移行を指示するメッセージを通信部405を介して付属装置10へ送信する。
【0033】
(実施形態の動作例)
まず、本実施形態の動作例について説明する。なお、以下に説明する動作例においては、レンタル自転車を返却可能な駐輪場は、発信機40がある駐輪場であり、この駐輪場の駐輪場識別子が付属装置10A、10Bの記憶部102に予め記憶されている場合を想定する。
【0034】
レンタル自転車の管理者が付属装置10Aの電源をオンにすると、制御部101のCPUがROMに記憶されているプログラムを起動する(図8のステップS1)。制御部101は、まず自身の装置識別子を含み、起動したことを示すメッセージを車両管理装置20へ送信する(ステップS2)。
【0035】
ステップS2で送信されたメッセージを通信部205が受信すると、制御部201(パスコード発行部2003)は、付属装置10Aへ送信するパスコードを発行する。なお、ここで制御部201は、複数の異なるパスコード(本実施形態では4個)を発行し、発行した第1パスコード〜第4パスコードと、受信したメッセージに含まれていた装置識別子と、災害モードにおいて有効となるパスコード(以下、災害用パスコードと称する)とを対応付けて、図9(a)に示したように記憶部202に記憶させる。なお、「受信済み」のフラグと「有効」のセルの値は、発行したパスコードが付属装置10で受信されたことが確認されるまでは「0」にされる。制御部201(第1送信部2001)は、パスコードの記憶が終了すると、発行した複数のパスコードと災害用パスコードとを含み、パスコードを設定するよう要求するメッセージを付属装置10Aへ送信する(ステップS3)。なお、複数のパスコードは、第1パスコード、第2パスコード、第3パスコード、第4パスコード、災害用パスコードの順番に送信される。
【0036】
ステップS3で送信された複数のパスコードを付属装置10Aの通信部105が受信すると、制御部101(パスコード受信部1001)は、通信部105が受信したパスコードを受信する。制御部101は、受信した複数のパスコードを受信した順番で図9(b)に示したように記憶部102に記憶させる(ステップS4)。また、制御部101(設定部1004)は、受信した順番が1番目のパスコード(ここでは「1001」)を、電子錠3を解錠するパスコードとして設定する(ステップS5)。制御部101は、パスコードの設定を終了した後、装置識別子を含み、パスコードを受信したことを通知するメッセージを車両管理装置20へ送信する(ステップS6)。このメッセージを通信部205が受信すると、制御部201は、レンタル自転車を借用するユーザーに送るパスコードを設定する(ステップS7)。具体的には、制御部201は、メッセージに含まれている装置識別子に対応付けて記憶されている「受信済み」のフラグを「1」にする。また、制御部201は、「受信済み」のフラグが1である行の「有効」のセルを「1」にする。「有効」のセルは、第1パスコード〜第4パスコードのうち、どのパスコードが電子錠3を解錠するパスコードとして設定されているかを示す値が格納される。ここで「1」が格納されている場合は第1パスコードが設定され、「2」が格納されている場合は第2パスコードが設定されている。また、「3」が格納されている場合は第3パスコードが設定され、「4」が格納されている場合は第4パスコードが設定されている。「受信済み」のフラグを参照することにより、発行したパスコードを付属装置10が受信したか否かを判定できる。また、「有効」のセルを参照することにより、付属装置10において、どのパスコードが電子錠3を解錠するパスコードとして設定されているか知ることができる。
【0037】
レンタル自転車を借用するユーザーは、端末装置30を操作して車両管理装置20へアクセスし、電子錠3を解錠するためのパスコードを取得する。具体的には、まず、ユーザーが車両管理装置20へアクセスし、車両管理装置20がユーザーを認証する(ステップS8)。ここでは、端末装置30においてユーザーがWebブラウザを操作し、車両管理装置20へログインするためのWebページへアクセスする操作を行うと、当該Webページを要求するメッセージが車両管理装置20へ送信される。車両管理装置20は、このメッセージに応じて、ユーザーを認証するユーザー識別子及びパスワードを入力するWebページを端末装置30へ送信する。このWebページを端末装置30が表示した後、ユーザーがユーザー識別子及びパスワードをWebページに入力し、入力したユーザー識別子及びパスワードを送信する操作を行うと、入力したユーザー識別子及びパスワードが車両管理装置20へ送信される。車両管理装置20は、送信されたユーザー識別子及びパスワードの組を記憶している場合、ユーザーに提供するサービスのメニュー画面のWebページを端末装置30へ送信する。
【0038】
次にレンタル自転車の駐輪場を選択する動作が行われる(ステップS9)。ここでは、メニュー画面から駐輪場を選択するページへ遷移する操作をユーザーが行うと、レンタル自転車の複数の駐輪場の地図を表示するWebページが車両管理装置20から端末装置30へ送られ、このWebページを端末装置30が表示する。ユーザーが、表示された駐輪場の中から駐輪場を選択する操作を行うと、当該駐輪場に保管されているレンタル自転車の一覧を表示するWebページが車両管理装置20から端末装置30へ送信され、レンタル自転車の一覧が端末装置30において表示される。
【0039】
次に借用するレンタル自転車を選択する動作が行われる(ステップS10)。ここでユーザーが、表示されたレンタル自転車の一覧から借用するレンタル自転車を選択する操作を端末装置30において行うと、選択したレンタル自転車の識別子が車両管理装置20へ通知される。例えば、付属装置10Aを有するレンタル自転車が選択されると、このレンタル自転車の識別子が車両管理装置20へ通知される。
【0040】
ユーザーにより選択されたレンタル自転車の識別子を通信部205が受信すると、制御部201は、当該識別子のレンタル自転車に固定されている付属装置10Aで受信済みのパスコードのうち、「有効」のセルに格納されている値で特定されるパスコード(ここでは「受信済み」のフラグが1である行の第1パスコード「1001」)を選択する。そして、制御部201(第2送信部2002)は、選択したパスコードを表示するWebページを端末装置30へ送信する(ステップS11)。端末装置30は、このWebページを受信すると、受信したWebページを表示する。これにより、ユーザーは、自分が選択したレンタル自転車を使用するためのパスコードを知ることができる(ステップS12)。また、車両管理装置20は、選択されたレンタル自転車に固定されている付属装置10Aの装置識別子と、ユーザーのユーザー識別子とを対応付けて記憶する。
【0041】
この後、ユーザーは、選択したレンタル自転車がある駐輪場へ行き、選択したレンタル自転車に設けられている付属装置10Aを操作する。具体的には、ユーザーは、まず、開始ボタンを押下する。制御部101は、開始ボタンが押下されると、パスコードの入力を促すメッセージが表示されるように表示部103を制御する。次にユーザーがパスコードを操作部104のテンキーで入力すると、制御部101(パスコード受付部1003)は、入力されたパスコードを受け付ける(ステップS13)。制御部101(錠制御部1002)は、受け付けたパスコードと設定したパスコードとが一致するか判断し、通常モードが選択されており、受け付けたパスコードと設定したパスコードとが一致した場合、電子錠3を解錠する(ステップS14)。これにより、ユーザーは、付属装置10Aを有するレンタル自転車を使用することが可能となる。
【0042】
制御部101は、電子錠3を解錠すると、記憶部102に記憶されている装置識別子を含み、レンタル開始を通知するメッセージを、通信部105を制御して車両管理装置20へ送信する(ステップS15)。このメッセージを通信部205が受信すると、制御部201は、メッセージに含まれている装置識別子の付属装置10Aを有するレンタル自転車をレンタル中として管理する。
【0043】
続いて、レンタル自転車を返却する場合の動作について説明する。ユーザーが、発信機40のある駐輪場へ行き、発信機40が出力する電波を受信可能な範囲に付属装置10Aが入ると、近距離通信部108は、発信機40が送信する装置識別子を受信する(ステップS16)。制御部101(識別子取得部1005)は、近距離通信部108が受信した駐輪場識別子を取得する。制御部101(判定部1006)は、取得した駐輪場識別子が記憶部102に記憶されているか判定する(ステップS17)。上述したように、本動作例においては、発信機40が送信する駐輪場識別子が、記憶部102に記憶されている。制御部101は、受信した駐輪場識別子が記憶部102に記憶されている場合、レンタル自転車を返却可能と判定し、施錠を促すメッセージが表示されるように表示部103を制御する。このメッセージを見たユーザーは、電子錠3を施錠する(ステップS18)。
【0044】
制御部101は、レンタル自転車を返却可能と判定すると、終了ボタンの押下を受け付けるようになる。例えば、制御部101は、終了ボタンを点灯させ、レンタル終了可能な状態をユーザーに示してもよく、終了ボタンの押下を促すメッセージを表示部103に表示させるようにしてもよい。ここでユーザーが終了ボタンを押下すると(ステップS19)、制御部101は、自身の装置識別子を含み、レンタル終了を通知するメッセージを、通信部105を制御して車両管理装置20へ送信する(ステップS20)。制御部101(設定部1004)は、ステップS20の処理が終了すると、記憶した4つのパスコードのうち、次に電子錠3を解錠するパスコードとして2番目に送信された第2パスコード(ここでは「2342」)を設定する(ステップS21)。
【0045】
ステップS20で送信されたメッセージを通信部205が受信すると、制御部201は、受信したメッセージに含まれている装置識別子に対応付けて記憶されているユーザー識別子を特定し、当該ユーザー識別子に対応付けて記憶している電子メールアドレスを記憶部102から取得する。そして制御部201は、レンタル終了を通知する電子メールを生成し、取得した電子メールアドレスを宛先として送信する(ステップS22)。
【0046】
また、車両管理装置20は、次のユーザーに送信するパスコードを設定する(ステップS23)。具体的には、制御部201は、受信したメッセージに含まれていた装置識別子に対応付けて記憶されている行のうち「受信済み」のフラグが1である行を特定し、特定した行の「有効」のセルの値を2にする。次に制御部201は、新たに複数のパスコードを発行し、発行した第1パスコード〜第4パスコードと、災害用パスコードと、受信したメッセージに含まれていた装置識別子とを対応付けて、図9(c)に示したように記憶部202に記憶させる。なお、新たに発行したパスコードの行においては「受信済み」のフラグが「0」にされ、「有効」のセルの値が0にされる。制御部201は、パスコードの記憶が終了すると、災害用パスコードと、新たに発行した複数のパスコードとを含み、パスコードを設定するよう要求するメッセージを付属装置10へ送信する(ステップS24)。なお、複数のパスコードは、ここでも第1パスコード、第2パスコード、第3パスコード、第4パスコード、災害用パスコードの順番に送信される。
【0047】
付属装置10Aにおいては、ステップS24で送信された複数のパスコードを通信部105が受信すると、制御部101が、受信した複数のパスコードを受信した順番で図9(d)に示したように記憶部102に記憶させる(ステップS25)。なお、制御部101は、記憶部102に記憶されていたパスコードを、新たに受信したパスコードで上書きし、ステップS4で記憶したパスコードを消去する。また、制御部101(設定部1004)は、受信した順番が1番目のパスコード(ここでは「2001」)を、電子錠3を解錠するパスコードとして設定する(ステップS26)。制御部101は、パスコードの設定を終了した後、装置識別子を含み、パスコードを受信したことを通知するメッセージを車両管理装置20へ送信する(ステップS27)。このメッセージを通信部205が受信すると、制御部201は、次のユーザーに送信するパスコードを設定する(ステップS28)。具体的には、制御部201は、図9(e)に示したように、メッセージに含まれている装置識別子に対応付けて記憶されていた情報のうち、「受信済み」のフラグが「1」であった行(図9(c)の1行目)を消去し、「受信済み」のフラグが「0」となっていた行(図9(c)の2行目)の「受信済み」のフラグを「1」にし、当該行の「有効」のセルの値を1にする。つまり、ステップS23で新たに発行したパスコードが受信済みのパスコードとなる。
【0048】
次に、図10を参照して、災害が発生したと判断されたときにレンタル自転車を貸し出すときの動作例について説明する。なお、以下の説明においては、車両管理装置20から予め第1パスコード〜第4パスコードと、災害用パスコードとを送信し、付属装置10Aと付属装置10Bが、送信されたパスコードを記憶している状態を想定して動作例の説明を行う。
【0049】
付属装置10A、10Bは、予め定められた周期を示す第1周期で、装置識別子と位置情報を車両管理装置20へ送信する(ステップS31、S33)。なお、この第1周期は、操作部104を操作して設定してもよく、また、車両管理装置20から当該第1周期を示す情報を送信し、送信された情報に応じて制御部101が第1周期を設定するようにしてもよい。また、付属装置10A、10Bから車両管理装置20へ周期的に送信する情報としては、例えば、電源となる二次電池の残量を示す情報を含めるようにしてもよい。制御部201は、装置識別子および位置情報を取得すると、位置情報を受信したことを通知する応答メッセージを付属装置10A、10Bへ送信する(ステップS32、S34)。制御部201は、装置識別子と位置情報とを対応付けて記憶し、付属装置10の位置を監視する。
【0050】
付属装置10A、10Bは、第1周期で装置識別子と位置情報を送信するが、災害が発生して通信網2に障害が発生すると、送信した装置識別子および位置情報が車両管理装置20に届かず、車両管理装置20が応答メッセージを送信しないため、付属装置10A、10Bは、応答メッセージを車両管理装置20から受信できなくなる。
【0051】
付属装置10A、10Bの制御部101は、車両管理装置20から応答メッセージを受信できない期間が予め定められた期間を超えた場合、車両管理装置20との通信ができないことを通知するメッセージを発信機40へ送信する(ステップS35、S36)。
制御部401(メッセージ取得部4001)は、ステップS35、S36で送信されたメッセージを取得する。制御部401(メッセージ送信部4002)は、通信ができないことを通知するメッセージを予め定められた台数以上の付属装置10から取得すると、災害モードへの移行を指示するメッセージを送信する(ステップS37、S38)。付属装置10A、10Bの制御部101(選択部1007)は、災害モードへの移行を指示するメッセージを受信すると、災害モードへ移行する(ステップS39、S40)。災害モードへ移行した制御部101は、災害モードであることを知らせるメッセージが表示されるように表示部103を制御する。また、災害モードへ移行した制御部101は、装置識別子および位置情報を車両管理装置20へ送信する周期を、第1周期より長い第2周期に設定する。
【0052】
付属装置10A、10Bが災害モードとなると、例えば、公務員や消防署の職員等、災害用パスコードを知らされている特定ユーザーは、レンタル自転車を使用することができる。特定ユーザーは、レンタル自転車がある駐輪場へ行き、付属装置10Aまたは付属装置10Bを操作する。具体的には、まずユーザーは、開始ボタンを押下する。例えば、付属装置10Aの制御部101は、開始ボタンが押下されると、パスコードの入力を促すメッセージが表示されるように表示部103を制御する。次にユーザーが災害用パスコードを操作部104のテンキーで入力すると、制御部101(パスコード受付部1003)は、入力されたパスコードを受け付ける(ステップS41)。制御部101(錠制御部1002)は、災害モードが選択されており、受け付けたパスコードと記憶している災害用パスコードとが一致した場合、電子錠3を解錠する(ステップS42)。これにより、特定ユーザーは、レンタル自転車を使用することが可能となる。
【0053】
特定ユーザーは、レンタル自転車を返却する場合、発信機40がある駐輪場へレンタル自転車を戻す。付属装置10Aの近距離通信部108は、発信機40が出力する電波を受信可能な範囲に入ると、駐輪場にある発信機40が送信する装置識別子を受信する(ステップS43)。制御部101は、近距離通信部108が受信した駐輪場識別子を取得する。制御部101は、受信した駐輪場識別子が記憶部102に記憶されているか判定する(ステップS44)。上述したように、本動作例においては、発信機40が送信する駐輪場識別子が、記憶部102に記憶されている。制御部101は、受信した駐輪場識別子が記憶部102に記憶されている場合、レンタル自転車を返却可能と判定し、施錠を促すメッセージが表示されるように表示部103を制御する。このメッセージを見た特定ユーザーは、電子錠3を施錠する(ステップS45)。制御部101は、レンタル自転車を返却可能と判定すると、終了ボタンの押下を受け付けるようになる。ここでユーザーが終了ボタンを押下すると(ステップS46)、制御部101は、パスコードを受け付ける状態になる。
【0054】
この後、通信網2が復旧すると、車両管理装置20から応答メッセージを受信できなくなってから通信網2が復旧するまでの間の履歴(位置情報の履歴や操作の履歴)、装置識別子および位置情報が、付属装置10A、10Bから車両管理装置20へ送られる(ステップS47、S49)。制御部201は、装置識別子および位置情報を受信すると、位置情報を受信したことを通知する応答メッセージを付属装置10A、10Bへ送信する(ステップS48、S50)。付属装置10A、10Bの制御部101(選択部1007)は、応答メッセージを受信すると、災害モードを解除して通常モードを選択し(ステップS51、S52)、装置識別子および位置情報を送信する周期を第2周期から第1周期に戻す。制御部101は、災害モードを解除して通常モードを選択すると、入力されたパスコードと記憶している災害用パスコードとが一致しても電子錠3を解錠しない。
【0055】
このように、本実施形態によれば、災害が発生したと判断された場合には、特定ユーザーがレンタル自転車を使用することが可能となる。また、本実施形態では、災害情報を発信する設備が災害で情報を発信できなくなっても、付属装置10と発信機40により災害の発生を判断し、付属装置10が災害モードへ移行して特定ユーザーにレンタル自転車を貸すことができる。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0057】
上述した実施形態においては、災害モードへ移行した場合、災害用パスコードだけでなく、設定部1004が設定したパスコード(第1パスコードから第4パスコードのいずれかのパスコード)でも、錠を解錠するようにしてもよい。この構成によれば、レンタル自転車を借用する端末装置30のユーザも、災害時にレンタル自転車を使用することができる。
【0058】
本発明においては、車両管理装置20は、端末装置30のユーザーへパスコードを通知した後、パスコードをユーザーへ通知したことを、ユーザーが選択したレンタル自転車の付属装置10へ通知する通知手段を有し、付属装置10は、この通知を取得する通知取得手段を有するようにしてもよい。この構成においては、パスコードがユーザーへ通知されたことの通知を付属装置10が取得した後、付属装置10が災害モードとなった場合、付属装置10は、端末装置30のユーザーが入力したパスコードと記憶しているパスコードが一致すると、電子錠3を解錠するようにしてもよい。この構成によれば、端末装置30のユーザーは、災害モードのときもレンタル自転車を使用することができる。
【0059】
本発明においては、例えば、車両管理装置20のメンテナンスにより車両管理装置20が通信を行えなくなる期間が予め決まっている場合、通信を行えなくなる期間を予め付属装置10へ通知し、付属装置10は、通知された期間においては、災害モードへ移行しないようにしてもよい。この通知は、車両管理装置20が送信する構成に限定されるものではなく、車両管理装置20とは異なる装置が通信網2を介して付属装置10へ送信してもよい。また、この通知は、レンタル自転車の管理者が、付属装置10を操作して付属装置10に設定するようにしてもよい。
また、車両管理装置20が通信を行えなくなる期間の前に災害モードへの移行を禁止するメッセージを車両管理装置20から付属装置10へ送信し、車両管理装置20が通信を行えなくなる期間が終了すると、災害モードへの移行を許可するメッセージを車両管理装置20から付属装置10へ送信する構成としてもよい。この構成においては、付属装置10は、災害モードへの移行を禁止するメッセージを受信部1008が受信すると、発信機40から災害モードへの移行を指示するメッセージを受信しても災害モードへ移行せず、災害モードへの移行を許可するメッセージを受信すると、発信機40から災害モードへの移行を指示するメッセージを受信した場合には災害モードへ移行する。付属装置10は、災害モードへ移行しない状態のときには、災害モードへ移行しない状態であることを示すメッセージを表示部103に表示するようにしてもよい。
この構成によれば災害が発生していないにも関わらず災害モードへ移行するのを防ぐことができる。なお、この構成においては、各種指示を車両管理装置20から送信するのではなく、通信網2に接続された他の装置から送信するようにしてもよい。また、この構成においては、付属装置10における操作では、災害モードを解除しないようにしてもよい。
【0060】
上述した実施形態においては、付属装置10は、応答メッセージを受信すると災害モードを解除しているが、この構成に限定されるものではない。本発明においては、通常モードを選択する指示を表すメッセージを車両管理装置20から付属装置10へ送信し、付属装置10は、このメッセージを受信すると通常モードを選択するようにしてもよい。なお、通常モードを選択する指示を表すメッセージは、SMS(Short Message Service)によって車両管理装置20から付属装置10へ送信するようにしてもよい。この構成によれば、例えば、車両管理装置20が停止して応答メッセージが付属装置10へ送られなくなったとしても、災害モードを解除できるため、通信網2に障害が発生していない状態で災害モードになっても早々に災害モードを解除することができる。
【0061】
本発明においては、車両管理装置20は、パスコードを表示するWebページを端末装置30へ送信した後、災害モードへの移行を一定期間禁止するメッセージを、ユーザーが選択したレンタル自転車の付属装置10へ送信し、このメッセージを受信した付属装置10は、メッセージを受信してから一定期間は災害モードへ移行せず、一定期間が過ぎると災害モードへの移行を可能とするようにしてもよい。この構成によれば、端末装置30のユーザーにより使用される予定のレンタル自転車は、一定期間の間は特定ユーザーによって先に使用されてしまうことを防ぐことができる。
【0062】
本発明においては、予め定められた震度以上の地震を発信機40に設けた加速度センサーで検知し、予め定められた震度以上の地震を発信機40が検知した場合には、災害モードへ移行するメッセージを発信機40から付属装置10へ送信する構成としてもよい。また、付属装置10に設けた加速度センサーで地震を検知し、付属装置10は、予め定められた震度以上の地震を検知した場合には、災害モードへ移行するようにしてもよい。この構成によれば、迅速に災害モードへ移行することができる。
【0063】
本発明においては、例えば、全国瞬時警報システムで送信される緊急情報を受信する情報受信部を付属装置10に設け、緊急情報を受信した付属装置10(選択部1007)は、災害モードへ移行するようにしてもよい。また、全国瞬時警報システムで送信される緊急情報を発信機40が受信し、災害モードへ移行するメッセージを発信機40が緊急情報の受信に応じて付属装置10へ送信する構成としてもよい。この構成によれば、迅速に災害モードへ移行することができる。
【0064】
本発明においては、複数の付属装置10が互いに近距離通信部108で通信する構成としてもよい。この構成においては、一の付属装置10は、一定期間を超えて応答メッセージを受信できない状態であるか否かを他の付属装置10に対して問い合わせ、他の付属装置10からの応答が全て応答メッセージを受信できない状態であることを示す応答である場合、災害モードへ移行するようにしてもよい。この構成によれば、災害モードへの移行を指示するメッセージを発信機40から送信しなくとも付属装置10が災害モードへ移行するため、発信機40の構成を簡易なものにすることができる。
【0065】
本発明においては、付属装置10は、特定ユーザーが使用しているときに車両管理装置20との通信が可能となった場合、災害モードへ移行してからの経過時間、位置情報、解錠を行った時刻を送信してもよい。
【0066】
本発明においては、車両管理装置20に端末装置30のユーザーが所有する非接触ICカードの固有番号をユーザー識別子と対応付けて記憶し、付属装置10は、非接触ICカードと通信を行う機能を有する構成としてもよい。この構成においては、ユーザーがレンタル自転車を選択する操作を行うと、非接触ICカードの固有番号をユーザーが借りるレンタル自転車の付属装置10へ送信する。付属装置10は、ユーザーが非接触ICカードを近づけると、非接触ICカードの固有番号を取得し、取得した固有番号と車両管理装置20から取得した固有番号とが一致する場合、電子錠3を解錠する構成としてもよい。
なお、非接触ICカードを用いる構成においては、レンタル自転車を借用するユーザーについては、非接触ICカードを用いて錠を解錠し、特定ユーザーについては、非接触ICカードではなく災害用パスコードを特定ユーザーが入力する構成としてもよい。
また、レンタル自転車を借用するユーザーについては、パスコードを入力して錠を解錠し、特定ユーザーについては、非接触ICカードを用いて錠を解錠する構成としてもよく、レンタル自転車を借用するユーザーと特定ユーザーの両方が、非接触ICカードを用いて錠を解錠する構成としてもよい。
【0067】
上述した実施形態においては、端末装置30のユーザーに貸す車両は自転車となっているが、自転車に限定されるものではなく、オートバイや自動車などであってもよい。また、端末装置30のユーザーに貸す乗り物は、車両に限定されるものではなく、ボート、スノーモービル、ヘリコプター、飛行機等、他の乗り物であってもよい。
【0068】
上述した実施形態においては、災害用パスコードは、車両管理装置20から付属装置10へ送信されて付属装置10に記憶されるが、付属装置10の管理者が操作部104を操作して災害用パスコードを記憶部102に記憶させるようにしてもよい。
また、付属装置10の近距離通信部108と通信を行う装置を設け、この装置から災害用パスコードを付属装置10へ送信し、付属装置10は、送信された災害用パスコードを記憶部102に記憶させるようにしてもよい。
【0069】
本発明に係る機能を実現するプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク(HDD(Hard Disk Drive)、FD(Flexible Disk))など)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリーなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶した状態で提供し、各装置にインストールしてもよい。また、通信網2を介してプログラムをダウンロードして各装置にインストールしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…車両管理システム、2…通信網、10,10A,10B…付属装置、20…車両管理装置、30…端末装置、40…発信機、101…制御部、102…記憶部、103…表示部、104…操作部、105…通信部、107…測位部、108…近距離通信部、201…制御部、202…記憶部、203…表示部、204…操作部、205…通信部、401…制御部、402…記憶部、403…通信部、1001…パスコード受信部、1002…錠制御部、1003…パスコード受付部、1004…設定部、1005…識別子取得部、1006…判定部、1007…選択部、1008…受信部、2001…第1送信部、2002…第2送信部、2003…パスコード発行部、2004…受信部、4001…メッセージ取得部、4002…メッセージ送信部
図1
図2
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図7
図8
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図10